JP6536658B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質、及びこれを用いた非水系電解質二次電池 - Google Patents
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Description
ニオブ含有正極活物質の製造方法の一例として、晶析により得られたニオブ含有複合水酸化物をリチウム化合物と混合し、焼成する方法が挙げられるが、ニオブ含有ニッケル複合水酸化物は濾過し難く、工業的規模での生産に適さないという問題がある。
洗浄液を、炭酸塩水溶液とすることで、不純物である硫酸根、塩素や硝酸根などを低減で
き、かつ、濾過性を高めるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
で実施することができる。また、本発明の非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
本発明は、特定の組成及び構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であり、(1)ニオブ含有遷移金属含有複合水酸化物を得る晶析工程、(2)該ニオブ含有遷移金属含有複合水酸化物を炭酸塩水溶液で洗浄し正極活物質の前駆体を得る洗浄工程、(3)該前駆体とリチウム化合物とを混合してリチウム混合物を得る混合工程、(4)該リチウム混合物焼成し、リチウム遷移金属複合酸化物を得る焼成工程を含む。さらに、焼成工程後に、(5)該リチウム遷移金属複合酸化物を水洗する水洗工程を含んでもよい。
以下、各工程の詳細を説明をする。
晶析工程は、一般式Ni1−a−b−cCoaMbNbc(OH)2(但し、MはMn、V、Mg、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.05≦a≦0.35、0≦b≦0.10、0.006≦c≦0.05、0.95≦d≦1.20である。)で表されるニオブ含有遷移金属複合水酸化物を得る工程である。
添加元素であるMの含有量添加量を示すbは、0≦b≦0.10であり、さらに、Mを必ず含む0<b≦0.10あることが好ましい。
晶析工程により得られるニオブ含有遷移金属複合水酸化物中の各金属間の組成比は、焼成工程後のリチウム遷移金属複合酸化物中でも、ほぼ維持される。よって、各金属間の組成比が上記範囲であることにより、後述するように、正極活物質として優れた電池特定を示すリチウム遷移金属複合酸化物を得ることができる。
ニオブ塩の形状は、特に選ばず、一般に入手できる粉末状、粒状、又は塊状と特に制限されるものではない。
被覆法によってニオブ含有遷移金属複合水酸化物を晶析する工程について述べる。
本法は、まず、少なくともニッケルおよびコバルトを含む混合水溶液にアルカリ水溶液を加えて晶析させ、遷移金属複合水酸化物を得る。
なお、該遷移金属複合水酸化物中の各金属の組成比は、焼成工程後のリチウム遷移金属複合酸化物中でも、ほぼ維持されるため、得られる遷移金属複合酸化物は、一般式Ni1−a’−b’Coa’Mb’(OH)2(但し、MはMn、V、Mg、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.05≦a’≦0.35、0≦b’≦0.10である)で表される組成を有するものであることが好ましい。
遷移金属複合水酸化物を得る方法としては、特に限定されず、従来公知の製造方法を用いることができるが、以下に、一例として、具体的な製造方法を示す。
また、上記アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などを用いることができる。
アンモニウムイオン供給体は特に限定されないが、例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、フッ化アンモニウムなどを使用することができる。
共沈法によって、ニオブ含有遷移金属複合水酸化物を得る方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、上記ニオブ溶液を加える方法が異なる以外は、上記(1−1)被覆法で例示した、遷移金属複合水酸化物得る方法と同様なものとすることができる。
晶析工程で得られたニオブ含有遷移金属複合水酸化物は、通常用いられる濾過装置で固液分離することができ、吸引濾過機、フィルタープレスや遠心機などを用いることができる。
洗浄工程は、上記ニオブ含有遷移金属複合水酸化物を炭酸塩水溶液で洗浄して正極活物質の前駆体(以下、単に「前駆体」ともいう)を得る工程である。
炭酸塩水溶液を用いて洗浄することにより、不純物として残留している硫酸根や塩素イオンなどのアニオン不純物を炭酸塩水溶液中の炭酸イオンとのイオン交換作用により、効率よく除去することができる。また、水への溶解度が高い炭酸塩を用いることで、アルカリ処理等よりもナトリウムなどのアルカリ金属の混入も抑制することができる。さらに、ニオブ含有遷移金属複合水酸化物は、表面に残留するニオブイオンや水酸化物などの微細なニオブ化合物が前記アニオン不純物との相互作用により洗浄時にゲル化しやすいため、該アニオン不純物を除去することでゲル化が解消され、濾過性が向上する。
炭酸塩水溶液のpHが8未満であると、原料由来の不純物である硫酸根や塩素と炭酸イオンの置換が不十分となり、これら不純物の除去が不十分となる。さらにニオブ含有遷移金属複合水酸化物の濾過性が低下し、生産性に劣る。一方、炭酸塩水溶液のpHが12を超えても原料由来の不純物である硫酸根や塩素の洗浄効果は変わらない。余剰に加えた炭酸塩は、コスト増加や環境負荷に影響するだけでなく、該炭酸塩により持ち込まれるカチオン(ナトリウムイオンやカリウムイオンなど)が不純物として残留することもあり、これらを洗浄する余分な工程を追加することとなり、生産性に劣る。
また、炭酸塩水溶液の濃度は、上記pH範囲であればよいが、100g/Lを超えても、不純物の洗浄効果は変わらないため、100g/L以下がよい。
洗浄工程においては、該炭酸塩水溶液により洗浄した後、濾過し、乾燥する工程を含むことが好ましい。さらに、該炭酸塩水溶液として焼成後も残留しやすい金属元素を含む塩を用いた場合は、乾燥前にさらに水を用いて洗浄し、濾過する工程を含むことが好ましい。
洗浄工程に用いられる装置は、通常用いられる濾過装置であればよく、吸引濾過機、フィルタープレスや遠心機などを用いることができる。
本発明により得られるニオブ含有遷移金属複合水酸化物は、アニオン不純物が除去され良好な濾過性を有するため、通常用いられる濾過装置によって容易に濾過することが可能である。
混合工程は、前駆体とリチウム化合物と混合してリチウム混合物を得る工程である。さらに、この工程で添加元素Mを含む化合物を加えてもよい。
なお、混合工程で用いられる前駆体は、洗浄後のニオブ含有遷移金属複合水酸化物および/または熱処理により該ニオブ含有遷移金属複合水酸化物が複合酸化物に転換された組成物を含む。
焼成工程は、上記混合工程で得られたリチウム混合物を酸化雰囲気中700℃〜820℃、好ましくは700℃〜800℃で焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物を形成する工程である。
焼成によって得られたリチウム遷移金属複合酸化物は、粒子間の焼結は抑制されているが、弱い焼結や凝集により粗大な粒子を形成していることがある。このような場合には、解砕により上記焼結や凝集を解消して粒度分布を調整することが好ましい。
水洗工程は、上記リチウム遷移金属複合酸化物を水洗した後、濾過、乾燥する工程である。
上記(4)焼成工程によって得られたリチウム遷移金属複合酸化物は、そのままの状態でも正極活物質として十分用いることが出来るが、粒子表面の余剰リチウムを除去することにより、電解液と接触可能な表面積が増加して充放電容量を向上させることができる。そのため、焼成工程後に水洗工程を経ることが好ましい。また、粒子表面に形成された脆弱部も十分に除去されるため、電解液との接触が増加して充放電容量を向上させることができる。
水洗する際のスラリー濃度としては、スラリー中に含まれる水1Lに対する上記リチウム遷移金属複合酸化物の量(g)が100g〜2000gであることが好ましい。すなわち、スラリー濃度が濃いほど粉末量が多くなり、2000g/Lを超えると、粘度も非常に高いため攪拌が困難となるばかりか、液中のアルカリが高いので平衡の関係から付着物の溶解速度が遅くなったり、剥離が起きても粉末からの分離が難しくなる。一方、スラリー濃度が100g/L未満では、希薄過ぎるためリチウムの溶出量が多く、表面のリチウム量は少なくなるが、正極活物質の結晶格子中からのリチウムの脱離も起きるようになり、結晶が崩れやすくなるばかりか、高pHの水溶液が大気中の炭酸ガスを吸収して炭酸リチウムを再析出する。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式LidNi1−a−b−cCoaMbNbcO2(但し、MはMn、V、Mg、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.05≦a≦0.35、0≦b≦0.10、0.006≦c≦0.05、0.95≦d≦1.20である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなることを特徴とする。
さらに、固溶している場合には、結晶粒界と粒内のNb濃度比(結晶粒界のNb濃度/粒内のNb濃度)が4倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましい。なお、結晶粒界と粒内のNb濃度比は、透過型電子顕微鏡のEDX測定結果より求めることができる。
上記リチウム遷移複合金属酸化物は、硫酸根含有量が0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下であり、かつ塩素含有量が0.1質量%以下、好ましくは0.08重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下であることを特徴とする。ここで、リチウム遷移金属複合酸化物に含有される硫酸根や塩素は、上記晶析工程で用いた原料に由来する。
上記リチウム遷移金属複合酸化物の結晶子径は、10〜100nmが好ましく、30〜100nmがより好ましく、50〜100nmがさらに好ましい。結晶子径が10nm未満になると、結晶粒界が多くなり過ぎて活物質の抵抗が増加するため、十分な充放電容量が得られないことがある。一方、結晶子径が100nmを越えると、結晶成長が進みすぎて、層状化合物であるリチウム遷移金属複合酸化物のリチウム層にニッケルが混入するカチオンミキシングが起こり、充放電容量が減少する。
上記リチウム遷移金属複合酸化物の平均粒径は、レーザー散乱法測定による体積積算50%径であるD50として5μm〜20μmであることが好ましい。5μm未満になると、電池の正極に用いた場合に充填密度が低下して体積当たりの充放電容量が十分に得られない場合がある。一方、20μmを超えると、電解液との接触面積が十分に得られず、充放電容量が低下することがある。
上記リチウム遷移金属複合酸化物は多孔質構造を有していることが好ましい。本明細書において多孔質構造とは、走査型電子顕微鏡の断面観察により確認可能な大きさを有する空隙(空隙外縁の任意の2点間の距離が0.3μm以上)を複数個有する構造をいう。多孔質構造を有しているリチウム遷移金属複合酸化物は、晶析工程において、pHやアンモニア濃度などを最適化することで得ることができるが、該構造物は被覆(コート)法の方がより容易に得られる。
上記リチウム遷移金属複合酸化物の多孔質構造としては、最大長さが3μm以下と確認できる複数の空隙を結晶粒界に有していることが好ましい。これにより、電池の正極に用いられた場合に電解液と接触できる粒子表面が大幅に増加し、ニオブ添加による充放電容量の低下を補って、安全性を確保しながら十分な充放電容量を得ることができる。
上記リチウム遷移金属複合酸化物の比表面積が、好ましくは1.4〜7.0m2/gであり、より好ましくは1.5〜5.0m2/g、さらに好ましくは1.5〜4.0m2/gである。比表面積が1.4m2/g未満になると、電解液と接触できる粒子表面が少なくなり、十分な充放電容量が得られない。一方、比表面積が7.0m2/gを超えると、電解液と接触する粒子表面が多くなり過ぎて安全性が低下する。
本発明に係る非水系電解質二次電池は、一般の非水系電解質二次電池と同様に、(1)正極、(2)負極、(3)セパレータ、(4)非水電解液から構成される。
以下、非水系電解質二次電池の実施形態について、各構成要素及び、(5)電池の形状と構成について詳しく説明する。
正極を形成する正極合材及びそれを構成する各材料について説明する。本発明の粉末状の正極活物質と、導電材、結着剤とを混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整などの目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。正極合材中のそれぞれの材料の混合比も、リチウム二次電池の性能を決定する重要な要素となる。
負極には、金属リチウム、リチウム合金など、また、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
正極と負極との間にはセパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な穴を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトンなどの硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのリン化合物などから選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2など、及びそれらの複合塩を用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル補足剤、界面活性剤及び難燃剤などを含んでいてもよい。
以上説明してきた正極、負極、セパレータ及び非水系電解液で構成される本発明に係るリチウム二次電池の形状は、円筒型、積層型など、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極及び負極にセパレータを介して積層させて電極体とし、この電極体に上記非水電解液を含浸させる。正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、並びに負極集電体と外部に通ずる負極端子との間に集電用リードなどを用いて接続する。以上の構成のものを電池ケースに密閉して電池を完成させることができる。
(2)塩素含有量:自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM−1600)で測定した。
(3)ニオブ存在形態:走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−6360LA)付属のEDXにより、断面を分析した。
(4)結晶子径:X線回折装置(パナリティカル社製、X‘Pert PRO)を用いて、得られた回折パターンにおける(003)面の2θおよび半値幅を用いてScerrerの式により算出した。
(5)比表面積:比表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製、カンタソーブQS−10)を用いて、BET法により測定した。
(6)濾過性の評価:定量濾紙(アドバンテック東洋社製、No.5C、φ=90mm)を用いて、スラリー濃度200g/Lのスラリー1Lを吸引濾過した際に濾過が完了するまでの時間が1分間以内のものを「◎」、5分間以内のものを「○」、10分間以内のものを「△」、10分間を超えるものを「×」と評価した。
[評価用コイン電池の作成]
ニオブ含有遷移金属複合酸化物粉末70質量%に、アセチレンブラック20質量%及びPTFE10質量%を混合し、ここから150mgを取り出してペレットを作製し、正極とした。負極としてリチウム金属を用い、電解液として、1MのLiClO4を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液(富山薬品工業製)を用い、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス中で、図1に示すような2032型のコイン電池を作製した。
[放電容量]
該コイン電池を24時間程度放置し、開路電圧OCV(open circuit voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.5mA/cm2としてカットオフ電圧4.3Vまで充電して、1時間の休止後カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を放電容量として評価した。
[サイクル特性]
サイクル特性は、上記コイン電池に対し、温度25℃にて、1Cのレートで4.4VまでCC充電し、10分間休止した後、同じレートで3.0VまでCC放電し、10分間休止する、という充放電サイクルを、200サイクル繰り返した。1サイクル目及び200サイクル目の放電容量を測定し、1サイクル目2C放電容量に対する、200サイクル目2C放電容量の百分率を容量維持率(%)として求めた。
[安全性]
正極活物質の安全性は、上記コイン電池をカットオフ電圧4.5VまでCCCV充電(定電流−定電圧充電:まず、充電が、定電流で動作し、それから定電圧で充電を終了するという2つのフェーズの充電過程を用いる充電)した後、短絡しないように注意しながら解体して正極を取り出し、この電極を3.0mg計り取り、電解液を1.3mg加えて、アルミニウム製測定容器に封入し、示差走査熱量計(DSC)(Rigaku社製、PTC−10A)を用いて昇温速度10℃/minで室温から300℃まで発熱挙動を測定し、得られた発熱ピーク高さを安全性の評価とした。
(晶析工程)ニッケル:コバルト:アルミニウムのモル比が81.0:15.5:3.5となるように、硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液と、アルミン酸ソーダ水溶液、25質量%水酸化ナトリウム溶液、25質量%アンモニア水を反応槽に同時に添加し、pHを液温25℃基準で11.8に、反応温度を50℃に、アンモニア濃度を10g/Lに保ち、共沈法によって球状の二次粒子からなる遷移金属複合水酸化物を形成した。その後、反応槽内が安定した後、のオーバーフロー口から遷移金属複合水酸化物スラリーを全量回収し、濾過、水洗後乾燥して、遷移金属複合水酸化物を得た。
次に、五塩化ニオブ(NbCl5)粉末を、300g/Lの濃度の苛性カリ溶液に、ニオブ濃度で30g/lLとなるように、溶解温度を80℃で一定に保持し、6時間攪拌して溶解した後、残渣を濾別してニオブ溶液を作製した。
上記遷移金属複合水酸化物を純水と混合したスラリーに、狙いのニオブ比率添加量cを0.01として、ニオブ溶液と25質量%硫酸水溶液を、液温25℃で保持しながらpHが8.0となるように同時に滴下して水酸化ニオブで被覆した後、濾過してニオブ含有遷移金属複合水酸化物(Ni0.802Co0.152Al0.035Nb0.01(OH)2)を得た。
なお、晶析工程、及び洗浄工程条件を表1にそれぞれ示す。
(焼成工程)このリチウム混合物をマグネシア製の焼成容器に挿入し、密閉式電気炉を用いて、流量6L/分minの酸素気流中で昇温速度2.77℃/分minで500℃まで昇温して500℃で3時間保持した。その後に、同様の昇温速度で780℃度℃まで昇温して12時間保持した後、室温まで炉冷し、リチウム遷移金属複合酸化物を得た。
得られた正極活物質の各種評価結果を表2にそれぞれ示す。
洗浄工程の炭酸塩水溶液を、pHが12の炭酸ナトリウム水溶液とし、吸引濾過時に掛け水洗浄したこと以外は実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。
狙いのニオブ添加量比率cを0.03としたこと以外は実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した
狙いのニオブ添加量比率cを0.05としたこと以外は実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。
ニッケル:コバルト:アルミニウム:ニオブのモル比が80.2:15.2:3.5:1となるように、硫酸ニッケル及び硫酸コバルトの混合水溶液と、アルミン酸ソーダ水溶液と、さらに実施例1と同様に作製したニオブ溶液と、25質量%水酸化ナトリウム溶液と、25質量%アンモニア水とを反応槽に同時に添加したこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。
洗浄工程において炭酸塩水溶液を用いず、純水としたこと以外は実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。
洗浄工程において炭酸塩水溶液を用いず、pHが12の水酸化ナトリウム水溶液としたこと以外は実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。
狙いのニオブ添加量比率cを0.005としたこと以外は実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。
狙いのニオブ添加量比率cを0.07としたこと以外は実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。
比較例1〜2では、純水や水酸化ナトリウム水溶液で洗浄したため、硫酸根や塩素含有量が高く、放電容量、濾過性が同様の組成比を有する実施例1と比較して、劣っていた。
比較例3では、ニオブ添加量比率cが0.005と低いために、DSC測定による発熱ピーク高さが7.2cal/sec/gと非常に高くなっており、熱安定性が良くなかった。
比較例4では、ニオブ添加量比率cが0.07と高いために、放電容量が142.3mAh/gと大幅に低下した
2 セパレータ(電解液含浸)
3 正極(評価用電極)
4 ガスケット
5 負極缶
6 正極缶
7 集電体
Claims (4)
- 一般式LidNi1−a−b−cCoaMbNbcO2(但し、MはMn、V、Mg、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.05≦a≦0.35、0≦b≦0.10、0.006≦c≦0.05、0.95≦d≦1.20である。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、
前記リチウム遷移金属複合酸化物中にニオブが固溶し、
硫酸根及び塩素を含み、
硫酸根含有量が0.11質量%以上0.2質量%以下、かつ塩素含有量が0.03質量%以上0.05質量%以下である
非水系電解質二次電池用正極活物質。 - 前記リチウム遷移金属複合酸化物の結晶子径が10〜100nmである請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記リチウム遷移金属複合酸化物は多孔質構造を有し、比表面積が1.4〜7.0m2/gであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を正極に用いた非水系電解質二次電池。
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