JP6536291B2 - 鋼管杭継手の回転抑止構造 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の鋼管杭を連結して相対回転を抑止する鋼管杭継手の回転抑止構造に関する。
従来から、柱状体同士を相対回転しないように接続して、解除操作も行えるものとして、例えば、特許文献1に開示された柱状体の接合部構造が提案されている。
特許文献1に開示された柱状体の接合部構造は、第1柱状体の端部に第1接合部を設け、第2柱状体の端部に第2接合部を設けて、前記第1接合部の内周面上には第1係合凸部を有するとともに、前記第2接合部の外周面上には第2係合凸部を有していて、前記第2係合凸部と前記第1係合凸部との双方に当接して、前記第2接合部と前記第1接合部との相対回転を規制する規制部材を設け、前記規制部材を前記第2接合部と前記第1接合部との間に挿入するための開口部を、前記規制部材を前記第2接合部と前記第1接合部との間に挿入した状態で閉塞する蓋部材が着脱自在に設けられる。
特開2011−179285号公報
特許文献1に開示された柱状体の接合部構造は、第2接合部と第1接合部との間に規制部材を挿入するための開口部に、蓋部材が着脱自在に設けられて、第2接合部の外周面上で蓋部材がボルトにより固定される。このため、特許文献1に開示された柱状体の接合部構造は、第2接合部と第1接合部とが相対回転しようとしたときに、規制部材が第2係合凸部及び第1係合凸部からせん断力及び回転力を受けるだけでなく、蓋部材も第1接合部から相対回転によるせん断力及び回転力を受けるものとなる。
このとき、特許文献1に開示された柱状体の接合部構造は、蓋部材を貫通させることで形成されたボルト挿通孔で、ボルトの全長がボルト挿通孔の側面に当接されるため、相対回転によるせん断力及び回転力を受けた蓋部材から、ボルト挿通孔に挿通されたボルトに、蓋部材が受けたせん断力及び回転力が伝達されるものとなる。このため、特許文献1に開示された柱状体の接合部構造は、蓋部材からせん断力及び回転力が伝達されて、ボルトが破断等することで、蓋部材が開口部から脱落するおそれがあるという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、軸構造の軸芯部の少なくとも一部が、キー部材のキー孔部の側面から離間することで、軸構造の軸芯部のせん断破壊を防止して、第1鋼管杭と第2鋼管杭との相対回転をキー部材で抑止することのできる鋼管杭継手の回転抑止構造を提供することにある。
第1発明に係る鋼管杭継手の回転抑止構造は、複数の鋼管杭を連結して相対回転を抑止する鋼管杭継手の回転抑止構造であって、第1鋼管杭と第2鋼管杭とを管長方向で互いに連結する外嵌継手と内嵌継手とを備え、前記外嵌継手は、管長方向の先端側に設けられる外嵌先端部を有して、前記外嵌先端部の外面が切り欠かれることで、前記外嵌先端部に外嵌側キー溝部が形成されて、前記内嵌継手は、管長方向の基端側に設けられる内嵌基端部を有して、前記内嵌基端部の外面が切り欠かれることで、前記内嵌基端部に内嵌側キー溝部が形成されて、前記外嵌継手及び前記内嵌継手は、管長方向で互いに連結した状態で、前記外嵌側キー溝部と前記内嵌側キー溝部とを管長方向に連続させたキー溝部が形成されて、管長方向に延びるキー部材が、前記外嵌側キー溝部から前記内嵌側キー溝部まで架設されて、前記キー部材は、管径方向に貫通させることでキー孔部が形成されて、前記キー溝部に嵌め込まれるとともに、管径方向に延びる軸構造で固定されて、前記軸構造は、前記キー孔部に挿通される軸芯部と、前記軸芯部よりも拡径した軸頭部とを有して、前記軸芯部の前記キー孔部に挿通された部分の全長が、前記キー孔部の側面から離間して、管長方向で前記キー部材の前記キー孔部が形成される側の上端面又は下端面から、前記外嵌側キー溝部と前記内嵌側キー溝部との境界までの管長方向の部材長L2は、前記軸芯部の中央から前記境界までの管長方向の軸芯離間距離L1と、管周方向の両側で前記軸芯部と前記キー孔部の側面とが離間する穴部クリアランスCL2と、管周方向の両側で前記キー部材と前記キー溝部とが離間する溝部クリアランスCL1との関係で、下記(1)式により規定される関係を満足することを特徴とする鋼管杭継手の回転抑止構造。

L2>L1×CL1/CL2 ・・・(1)
第2発明に係る鋼管杭継手の回転抑止構造は、第1発明において、前記キー部材は、前記軸頭部で管径方向に係止される係止部と、前記係止部よりも管径方向の内側に向けて拡開させた内側拡開部とが、前記キー孔部に形成されて、前記軸構造は、前記軸芯部の前記キー孔部に挿通された部分の少なくとも一部が、前記内側拡開部で前記キー孔部の側面から離間することを特徴とする。
第3発明に係る鋼管杭継手の回転抑止構造は、第2発明において、前記キー部材は、前記係止部から管径方向の内側に向けてテーパ状に傾斜する前記内側拡開部が、前記キー孔部に形成されることを特徴とする。
第4発明に係る鋼管杭継手の回転抑止構造は、第2発明において、前記キー部材は、前記係止部から管径方向の内側に向けて傾斜することなく略直線状に延びる前記内側拡開部が、前記キー孔部に形成されることを特徴とする。
第5発明に係る鋼管杭継手の回転抑止構造は、第2発明〜第4発明の何れかにおいて、前記キー部材は、前記内側拡開部と略同一の形状で、前記係止部よりも管径方向の外側に向けて拡開させた外側拡開部が、前記キー孔部に形成されることを特徴とする。
第6発明に係る鋼管杭継手の回転抑止構造は、第1発明〜第5発明の何れかにおいて、前記軸構造は、前記軸芯部の前記キー孔部に挿通された部分の全長が、前記キー孔部の側面から離間して、管周方向の両側で前記軸芯部と前記キー孔部の側面とが離間する穴部クリアランスCL2は、管周方向の両側で前記キー部材と前記キー溝部とが離間する溝部クリアランスCL1との関係で、下記(2)式により規定される関係を満足することを特徴とする。

CL2>CL1 ・・・(2)
第7発明に係る鋼管杭継手の回転抑止構造は、第1発明〜第6発明の何れかにおいて、前記キー部材は、前記外嵌継手及び前記内嵌継手よりも材料強度が小さいことを特徴とする。
第1発明〜第7発明によれば、外嵌継手と内嵌継手との管周方向の相対回転をキー部材で拘束しながら、軸構造の軸芯部に作用するせん断力を緩和して、又は、キー部材から軸構造の軸芯部へのせん断力及び回転力の伝達を回避することで、軸芯部のせん断破壊や緩みを防止したものとなる。第1発明〜第7発明によれば、軸芯部のせん断破壊や緩みを防止して、キー溝部からのキー部材の脱落を防止することで、第1鋼管杭と第2鋼管杭との相対回転をキー部材で抑止することができるため、複数の鋼管杭を地盤内で確実に回転させることが可能となる。特に、第1発明によれば、軸構造の軸芯部とキー孔部の側面とが当接される前の段階で、キー部材とキー溝部とが確実に当接されて、軸構造の軸芯部とキー部材とが縁切りされた状態となり、キー部材から軸構造の軸芯部への回転力の伝達を回避することが可能となる。
特に、第2発明〜第4発明によれば、軸構造の軸頭部とキー孔部の係止部とが係止されるとともに、管径方向の内側に向けて拡開させた内側拡開部がキー孔部に形成されることで、軸構造の軸芯部とキー孔部の側面との間に間隙が形成される。これにより、第2発明〜第4発明によれば、管周方向の両側からキー部材に対して想定以上の大きなせん断力が作用した場合であっても、軸構造の軸芯部がキー孔部の側面に当接するまでの範囲で、軸構造の軸芯部が間隙で変形するため、軸構造の軸芯部に作用するせん断力が緩和されて、軸構造の軸芯部のせん断破壊を防止することが可能となる。
特に、第5発明によれば、軸構造の軸頭部が外側拡開部に収容されるため、キー部材の表面側よりも、軸構造の軸頭部を管径方向の外側に突出させないものとなる。これにより、第5発明によれば、軸構造の軸頭部が管径方向の外側に突出しないため、鋼管杭を回転させるときの土砂からの抵抗が低減して、複数の鋼管杭の円滑な回転を実現することが可能となる。
特に、第5発明によれば、キー部材のキー孔部で、外側拡開部と内側拡開部とが略同一の形状で形成される。これにより、第5発明によれば、キー部材の板厚方向の中央が対称の軸となるように、外側拡開部と内側拡開部とが互いに線対称に形成されるため、キー部材の表面側と裏面側とを入れ替えて使用できるものとなり、キー部材に表裏の区別をなくすことで、キー部材をキー溝部に嵌め込むときの施工管理を容易にすることが可能となる。
特に、第6発明によれば、軸構造の軸芯部とキー孔部の側面とが当接される前の段階で、キー部材とキー溝部とが確実に当接されて、軸構造の軸芯部とキー部材とが縁切りされた状態となり、キー部材から軸構造の軸芯部へのせん断力の伝達を回避することが可能となる。
特に、第7発明によれば、外嵌継手及び内嵌継手よりもキー部材の材料強度が小さくなることで、軸構造の軸芯部とキー部材とが縁切りされた状態を維持したまま、キー溝部を形成する外嵌継手及び内嵌継手を変形させることなく、キー部材のみを歪むように変形させるものとなり、キー部材から軸構造の軸芯部へのせん断力の伝達を確実に回避することが可能となる。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造が用いられる複数の鋼管杭を示す斜視図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造のギア式継手の外嵌継手及び内嵌継手を示す斜視図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造の外嵌継手を示す正面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造の内嵌継手を示す正面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造の外嵌継手及び内嵌継手の変形例を示す斜視図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造で外嵌継手に内嵌継手を挿入する状態を示す斜視図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造で外嵌継手と内嵌継手とを相対回転させた状態を示す斜視図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー溝部にキー部材を嵌め込んだ状態を示す斜視図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造で外嵌継手と内嵌継手とを嵌合させた状態を示す拡大側面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造で内嵌側キー溝部に配置された内嵌孔部を示す拡大側面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造で外嵌側キー溝部に配置された内嵌孔部を示す拡大側面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー部材の表面側から裏面側までテーパ状に傾斜する内側拡開部を示す拡大平面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー部材の中間部から裏面側までテーパ状に傾斜する内側拡開部を示す拡大平面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー部材の中間部から裏面側まで略階段状に形成された内側拡開部を示す拡大平面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー部材の表面側から係止部までテーパ状に傾斜する外側拡開部を示す拡大平面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー部材の外側拡開部と内側拡開部との間で先鋭化して形成された係止部を示す拡大平面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー部材の中間部から表面側まで略階段状に形成された外側拡開部を示す拡大平面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー部材の板厚方向全体に間隙が形成されたテーパ状に傾斜するキー孔部を示す拡大平面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー部材の板厚方向全体に間隙が形成されたテーパ状に傾斜していないキー孔部を示す拡大平面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造でキー部材の部材長、軸芯部の軸芯離間距離及びクリアランスの関係を示す拡大正面図である。 (a)は、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造が用いられる複数の鋼管杭を正回転させた状態を示す正面図であり、(b)は、その逆回転させた状態を示す正面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造のキー部材で外嵌継手と内嵌継手との相対回転を抑止した状態を示す拡大正面図である。 (a)は、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造の間隙で変形する軸芯部を示す拡大平面図であり、(b)は、従来の柱状体の接合部構造でせん断破壊するボルトを示す拡大平面図である。 (a)は、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造で歪むように変形するキー部材を示す拡大平面図であり、(b)は、そのZ−Z線断面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造で軸芯部が当接される場合の勾配とキー部材が当接するときの勾配との関係を示す拡大正面図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造で相対回転させずに直進して連結される外嵌継手と内嵌継手とを示す斜視図である。 本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造のネジ式継手の外嵌継手及び内嵌継手を示す正面図である。
以下、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、地盤上に構築される構造物の基礎杭等の継手として、図1に示すように、断面形状が略円形状等に形成された複数の鋼管杭を連結して、複数の鋼管杭の管周方向Wの相対回転を抑止するために用いられる。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、地盤内8の下方に埋め込まれる第1鋼管杭1と、地盤内8の上方に埋め込まれる第2鋼管杭2とが、複数の鋼管杭として管長方向Yで互いに連結されて、回転トルクを導入した回転圧入工法等により埋設される。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、第1鋼管杭1の上端部と第2鋼管杭2の下端部とを管長方向Yで互いに連結する外嵌継手3と内嵌継手4とを備える。本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、第1鋼管杭1の上端部に略円形状の外嵌継手3が取り付けられて、第2鋼管杭2の下端部に略円形状の内嵌継手4が取り付けられる。
外嵌継手3は、図2に示すように、管長方向Yの先端側に設けられる外嵌先端部34を有して、外嵌先端部34が第2鋼管杭2に向けて、管長方向Yに延びて形成される。外嵌継手3は、管長方向Yの基端側に設けられる外嵌基端部35を有して、外嵌基端部35の下端部が第1鋼管杭1の上端部に溶接等で取り付けられる。
外嵌継手3は、外嵌先端部34から外嵌基端部35までの内周面に、管径方向Xで内側Aに突出して複数の外嵌山部31が形成される。外嵌継手3は、図3に示すように、外嵌山部31が内周面から突出することで、管周方向Wで外嵌山部31に隣り合った外嵌溝部32と、管長方向Yの基端側で外嵌山部31に隣り合った外嵌谷部33とが形成される。
外嵌継手3は、複数の外嵌山部31が管長方向Yで略一列に配置されて、管長方向Yで4段に亘って、複数の外嵌段部36が形成される。外嵌継手3は、各々の外嵌段部36において、外嵌山部31と外嵌溝部32とが、管周方向Wで交互に形成されるとともに、外嵌山部31と外嵌谷部33とが、管長方向Yに隣り合って形成される。
外嵌継手3は、各々の外嵌段部36において、外嵌山部31の板厚よりも外嵌溝部32の板厚が小さく、外嵌山部31の板厚よりも外嵌谷部33の板厚が小さくなる。外嵌継手3は、管長方向Yに隣り合う外嵌段部36において、管長方向Yの先端側の外嵌谷部33の板厚よりも、管長方向Yの基端側の外嵌谷部33の板厚が大きいものとなる。
外嵌継手3は、外嵌先端部34の外面34aが切り欠かれることで、外嵌先端部34に外嵌側キー溝部71が形成される。外嵌継手3は、外嵌先端部34の外面34aから内側Aに貫通させて、外嵌溝部32と略同一の管周方向Wの幅で、外嵌側キー溝部71が形成される。外嵌側キー溝部71は、外嵌溝部32と略同一の管周方向Wの位置に形成されるが、これに限らず、外嵌山部31と略同一の位置に形成されてもよい。
外嵌継手3は、外嵌側キー溝部71の管周方向Wの幅が、外嵌溝部32の管周方向Wの幅よりも小さく、又は、大きくてもよい。外嵌側キー溝部71の管周方向Wの幅が、外嵌溝部32の管周方向Wの幅よりも大きい場合は、管周方向Wで外嵌溝部32から外嵌山部31まで跨った位置に外嵌側キー溝部71が形成されるものとなる。
外嵌継手3は、管周方向Wで外嵌山部31と交互に形成した複数の外嵌溝部32のうち、一部の外嵌溝部32の先端側のみが切り欠かれて、複数の外嵌溝部32の一部に外嵌側キー溝部71が形成される。また、外嵌継手3は、図5(a)に示すように、管周方向Wで外嵌山部31と交互に形成された複数の外嵌溝部32で、全部の外嵌溝部32の先端側が切り欠かれて、複数の外嵌溝部32の全部に外嵌側キー溝部71が形成されてもよい。
内嵌継手4は、図2に示すように、管長方向Yの先端側に設けられる内嵌先端部44を有して、内嵌先端部44が第1鋼管杭1に向けて、管長方向Yに延びて形成される。内嵌継手4は、管長方向Yの基端側に設けられる内嵌基端部45を有して、内嵌基端部45の上端部が第2鋼管杭2の下端部に溶接等で取り付けられる。
内嵌継手4は、内嵌先端部44から内嵌基端部45までの外周面に、管径方向Xで外側Bに突出して複数の内嵌山部41が形成される。内嵌継手4は、図4に示すように、内嵌山部41が外周面から突出することで、管周方向Wで内嵌山部41に隣り合った内嵌溝部42と、管長方向Yの基端側で内嵌山部41に隣り合った内嵌谷部43とが形成される。
内嵌継手4は、複数の内嵌山部41が管長方向Yで略一列に配置されて、管長方向Yで4段に亘って、複数の内嵌段部46が形成される。内嵌継手4は、各々の内嵌段部46において、内嵌山部41と内嵌溝部42とが、管周方向Wで交互に形成されるとともに、内嵌山部41と内嵌谷部43とが、管長方向Yに隣り合って形成される。
内嵌継手4は、各々の内嵌段部46において、内嵌山部41の板厚よりも内嵌溝部42の板厚が小さく、内嵌山部41の板厚よりも内嵌谷部43の板厚が小さくなる。内嵌継手4は、管長方向Yに隣り合う内嵌段部46において、管長方向Yの先端側の内嵌谷部43の板厚よりも、管長方向Yの基端側の内嵌谷部43の板厚が大きいものとなる。
内嵌継手4は、内嵌基端部45の外面45aが切り欠かれることで、内嵌基端部45に内嵌側キー溝部72が形成される。内嵌継手4は、内嵌基端部45の外面45aから内側Aに所定の深さで切り欠かれて、内嵌溝部42と略同一の管周方向Wの幅で、内嵌側キー溝部72が形成される。内嵌側キー溝部72は、内嵌溝部42と略同一の管周方向Wの位置に形成されるが、これに限らず、内嵌山部41と略同一の位置に形成されてもよい。
内嵌継手4は、内嵌側キー溝部72の管周方向Wの幅が、内嵌溝部42の管周方向Wの幅よりも小さく、又は、大きくてもよい。内嵌側キー溝部72の管周方向Wの幅が、内嵌溝部42の管周方向Wの幅よりも大きい場合は、管周方向Wで内嵌溝部42から内嵌山部41まで跨った位置に内嵌側キー溝部72が形成される。
内嵌継手4は、管周方向Wで内嵌山部41と交互に形成した複数の内嵌溝部42のうち、一部の内嵌溝部42の基端側のみが切り欠かれて、複数の内嵌溝部42の一部に内嵌側キー溝部72が形成される。また、内嵌継手4は、図5(b)に示すように、管周方向Wで内嵌山部41と交互に形成された複数の内嵌溝部42で、全部の内嵌溝部42の基端側が切り欠かれて、複数の内嵌溝部42の全部に内嵌側キー溝部72が形成されてもよい。
外嵌継手3及び内嵌継手4は、図6に示すように、最初に、管長方向Yで第1鋼管杭1と第2鋼管杭2とを互いに連結させるときに、第2鋼管杭2に取り付けられた内嵌継手4が、第1鋼管杭1に取り付けられた外嵌継手3に挿入されるものとなる。
外嵌継手3及び内嵌継手4は、外嵌継手3に内嵌継手4を挿入するとき、管長方向Yで互いに接近するように直進して相対移動する。外嵌継手3及び内嵌継手4は、各々の外嵌段部36において、外嵌山部31の管径方向Xの高さが内嵌溝部42の管径方向Xの深さ以下とされて、外嵌山部31が内嵌溝部42を通過する。また、外嵌継手3及び内嵌継手4は、各々の内嵌段部46において、内嵌山部41の管径方向Xの高さが外嵌溝部32の管径方向Xの深さ以下とされて、内嵌山部41が外嵌溝部32を通過する。
外嵌継手3及び内嵌継手4は、次に、内嵌継手4を外嵌継手3に挿入したまま、図7に示すように、第1鋼管杭1と第2鋼管杭2とを相対回転させることで、外嵌継手3と内嵌継手4とが管周方向Wに相対回転して、管長方向Yで互いに嵌合されるものとなる。
外嵌継手3及び内嵌継手4は、外嵌継手3と内嵌継手4とが相対回転するとき、各々の外嵌段部36において、内嵌谷部43の管径方向Xの深さが外嵌山部31の管径方向Xの高さ以上とされて、外嵌山部31が内嵌谷部43に嵌合される。また、外嵌継手3及び内嵌継手4は、各々の内嵌段部46において、外嵌谷部33の管径方向Xの深さが内嵌山部41の管径方向Xの高さ以上とされて、内嵌山部41が外嵌谷部33に嵌合される。
外嵌継手3及び内嵌継手4は、外嵌側キー溝部71と内嵌側キー溝部72とが、互いに略同一の管周方向Wの位置に形成される。このため、外嵌継手3及び内嵌継手4は、管周方向Wで相対回転させて、管長方向Yで互いに連結した状態で、外嵌側キー溝部71と内嵌側キー溝部72とを管長方向Yに連続させたキー溝部70が形成される。
外嵌継手3及び内嵌継手4は、図8に示すように、例えば、キー溝部70が略矩形状に形成される。外嵌継手3及び内嵌継手4は、キー溝部70よりも外形寸法の小さい鋼製等のキー部材5が、キー溝部70に嵌め込まれる。外嵌継手3及び内嵌継手4は、管長方向Yに延びるキー部材5が、キー溝部70に嵌め込まれることで、管長方向Yで外嵌側キー溝部71から内嵌側キー溝部72まで連続させてキー部材5が架設されるものとなる。
外嵌継手3及び内嵌継手4は、各々の外嵌段部36及び内嵌段部46において、図9に示すように、内嵌山部41の管長方向Yの長さを外嵌谷部33の管長方向Yの長さ以下として、外嵌山部31の管長方向Yの長さを内嵌谷部43の管長方向Yの長さ以下とする。このとき、外嵌継手3及び内嵌継手4は、各々の外嵌段部36及び内嵌段部46において、外嵌山部31と内嵌山部41とが管長方向Yで互いに係止されるものとなる。
外嵌継手3及び内嵌継手4は、外嵌継手3の先端側で外嵌先端部34と内嵌基端部45とが互いに当接されて、内嵌継手4の先端側で内嵌先端部44と外嵌基端部35とが互いに当接される。外嵌継手3及び内嵌継手4は、これに限らず、外嵌継手3の先端側で外嵌先端部34と内嵌基端部45とが互いに離間するものであってもよく、また、内嵌継手4の先端側で内嵌先端部44と外嵌基端部35とが互いに離間するものであってもよい。
キー溝部70は、図10に示すように、管径方向Xに穿孔した内嵌孔部40が内嵌継手4に形成されて、内嵌孔部40が内嵌側キー溝部72に配置される。また、キー溝部70は、図11に示すように、外嵌側キー溝部71が外嵌先端部34の外面34aから内側Aに貫通していない場合等には、管径方向Xに貫通した外嵌孔部30が外嵌継手3に形成されてもよい。
キー部材5は、例えば、略矩形状又は面取りした略矩形状に形成される。キー部材5は、これに限らず、略円形状、略楕円形状、略菱形状又は略六角形状等の略多角形状に形成されてもよい。キー部材5は、特に、管径方向Xに貫通させることでキー孔部50が形成される。キー部材5は、例えば、キー孔部50の内周面がネジ切りされることなく略平滑面状等に形成されるものとなる。
キー部材5は、図10、図11に示すように、略矩形状等に形成されたキー溝部70に嵌め込まれるとともに、外嵌先端部34の外面34aから管径方向Xに突出等しないように、軸構造6でキー溝部70に固定される。キー部材5は、キー孔部50と内嵌孔部40との位置を合わせて、管径方向Xに延びる軸構造6がキー孔部50から内嵌孔部40まで連続して設けられることで、軸構造6でキー溝部70に固定されるものとなる。
軸構造6は、略六角形状のボルト頭が設けられた六角ボルトが用いられる。軸構造6は、これに限らず、六角孔付きボルト又は皿ネジ等の頭付きボルト、ネジ、又は、ボルト頭が設けられていない寸切りボルト等が用いられてもよい。軸構造6は、内嵌継手4の内嵌孔部40及びキー部材5のキー孔部50に挿通される軸芯部61と、管径方向Xの外側Bで軸芯部61よりも拡径した軸頭部62とを有する。
軸構造6は、六角ボルト等のボルト軸が軸芯部61として用いられるとともに、ボルト頭が軸頭部62として用いられる。軸構造6は、軸芯部61となるボルト軸の少なくとも先端側がネジ切りされて、螺旋状にネジ切りされた内嵌孔部40に、軸芯部61の先端側が螺合されて固定される。また、軸構造6は、ボルト頭が設けられない寸切りボルト等が用いられる場合に、管径方向Xの外側Bで寸切りボルトのボルト軸に螺合された緩み止めナット等が、軸頭部62として用いられるものとなる。
軸構造6は、軸芯部61の先端側が内嵌継手4の内嵌孔部40に固定されて、キー部材5をキー溝部70から脱落させないように、軸頭部62でキー部材5を管径方向Xに拘束する。軸構造6は、キー部材5のキー孔部50に挿通される部分で、管径方向Xに延びる軸芯部61の少なくとも一部が、キー部材5のキー孔部50の側面から離間する。軸構造6は、必要に応じて、ワッシャー、ゴムワッシャー又は樹脂製のリング材等、キー部材5からの回転力の伝達を低減する図示しない緩衝材が設置されて、これらのワッシャー等がボルト頭等とともに軸頭部62を構成するものとしてもよい。
キー部材5は、図12に示すように、軸構造6の軸頭部62で管径方向Xに係止される係止部55と、係止部55よりも管径方向Xの内側Aに向けて拡開させた内側拡開部56とが、キー孔部50に形成される。キー部材5は、例えば、係止部55から管径方向Xの内側Aに向けてテーパ状に傾斜する内側拡開部56が、キー孔部50に形成される。
キー部材5は、キー孔部50の係止部55の内径d1が、軸構造6の軸芯部61の外径d61以上の大きさとなることで、軸構造6の軸芯部61がキー孔部50に挿通される。また、キー部材5は、キー孔部50の係止部55の内径d1が、軸構造6の軸頭部62の外径d62よりも小さくなることで、軸構造6の軸頭部62がキー部材5の表面側5aに当接されて、軸構造6の軸頭部62で管径方向Xに係止される。
キー部材5は、キー孔部50の内側拡開部56の内径d2が、軸構造6の軸芯部61の外径d61以上の大きさとなることで、軸構造6の軸芯部61がキー孔部50に挿通される。また、キー部材5は、キー孔部50の内側拡開部56の内径d2が、最大で軸構造6の軸頭部62の外径d62よりも大きくなり、軸構造6の軸芯部61の少なくとも一部が、内側拡開部56でキー孔部50の側面から離間する。
キー部材5は、管径方向Xの内側Aに向けて拡開させた内側拡開部56がキー孔部50に形成されて、軸構造6の軸芯部61のキー孔部50に挿通された部分の少なくとも一部が、内側拡開部56でキー孔部50の側面から離間することで、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面との間に間隙Sが形成される。
キー孔部50は、管径方向Xの表面側5aから裏面側5bまで連続して内側拡開部56がテーパ状に傾斜して、軸構造6の軸芯部61のキー孔部50に挿通された部分の全長がキー孔部50の側面と離間することで、キー部材5の板厚方向全体に間隙Sが形成される。キー孔部50は、これに限らず、図13に示すように、係止部55が所定の板厚寸法で形成されて、管径方向Xの中間部5cから内側拡開部56がテーパ状に傾斜してもよい。このとき、キー孔部50は、軸構造6の軸芯部61の少なくとも一部が、内側拡開部56でキー孔部50の側面と離間して、キー部材5の板厚方向の一部に間隙Sが形成される。
キー孔部50は、テーパ状に傾斜する内側拡開部56が形成されるだけでなく、図14に示すように、係止部55が所定の板厚寸法で形成されるとともに、係止部55から管径方向Xの内側Aに向けて傾斜することなく略直線状に延びる内側拡開部56が形成されてもよい。このとき、キー孔部50は、管径方向Xの中間部5cから略階段状に内側拡開部56が形成されて、軸構造6の軸芯部61の少なくとも一部が、内側拡開部56でキー孔部50の側面と離間して、キー部材5の板厚方向の一部に間隙Sが形成される。
キー部材5は、係止部55と内側拡開部56とがキー孔部50に形成されるだけでなく、必要に応じて、図15〜図17に示すように、係止部55よりも管径方向Xの外側Bに向けて拡開させた外側拡開部57が、キー孔部50に形成されてもよい。キー部材5は、キー孔部50の外側拡開部57の内径d3が、最大で軸構造6の軸頭部62の外径d62以上の大きさとなり、軸構造6の軸頭部62が外側拡開部57に収容される。
キー部材5は、特に、内側拡開部56と略同一の形状で、外側拡開部57が形成される。このとき、キー孔部50は、キー部材5の表面側5aの外側拡開部57と、キー部材5の裏面側5bの内側拡開部56とが、キー部材5の板厚方向の中央が対称の軸となるように、互いに線対称に形成されるものとなる。
キー孔部50は、図15に示すように、キー部材5の表面側5aから係止部55まで、管径方向Xに連続してテーパ状に傾斜する外側拡開部57が形成される。また、キー孔部50は、キー部材5の係止部55から裏面側5bまで、管径方向Xに連続してテーパ状に傾斜する内側拡開部56が形成される。
キー孔部50は、係止部55が所定の板厚寸法で形成されることで、係止部55が管径方向Xで傾斜することなく略直線状に延びるものとなる。キー孔部50は、これに限らず、図16に示すように、係止部55が板厚寸法を有さないものとして、外側拡開部57と内側拡開部56との間で係止部55が先鋭化して形成されてもよい。
キー孔部50は、テーパ状に傾斜する外側拡開部57が形成されるだけでなく、図17に示すように、係止部55が所定の板厚寸法で形成されるとともに、係止部55から管径方向Xの外側Bに向けて傾斜することなく略直線状に延びる外側拡開部57が形成されてもよい。このとき、キー孔部50は、管径方向Xで略直線状に延びる内側拡開部56及び外側拡開部57が、係止部55から略階段状に形成される。
軸構造6は、例えば、キー部材5のキー孔部50にテーパ状に傾斜する外側拡開部57が形成される場合に、図15、図16に示すように、皿ネジ等が用いられるものとなる。このとき、軸構造6は、キー部材5のキー孔部50に形成された外側拡開部57の傾斜面に、皿ネジ等の軸頭部62の傾斜面が係止されて、キー部材5の表面側5aから管径方向Xに突出しないように、軸頭部62が外側拡開部57に収容される。
軸構造6は、キー部材5のキー孔部50に略階段状の外側拡開部57が形成される場合に、図17に示すように、六角ボルト等が用いられるものとなる。このとき、軸構造6は、キー部材5のキー孔部50で外側拡開部57がザグリ穴状に形成されて、キー部材5の表面側5aから管径方向Xに突出しないように、六角ボルト等の軸頭部62が外側拡開部57に収容される。
軸構造6は、図15、図16に示すように、キー孔部50の係止部55から軸芯部61が離間することで、軸芯部61のキー孔部50に挿通された部分の全長が、キー孔部50の側面と離間する。軸構造6は、これに限らず、図13、図14、図17に示すように、キー孔部50の係止部55に軸芯部61が当接されることで、軸芯部61のキー孔部50に挿通された部分の一部が、内側拡開部56でキー孔部50の側面と離間するものでもよい。
このとき、軸構造6は、軸芯部61のキー孔部50に挿通された部分の少なくとも一部が、キー孔部50に形成された内側拡開部56で、キー孔部50の側面と離間するものとなり、キー部材5の板厚方向の全体又は一部に間隙Sが形成される。軸構造6は、図18、図19に示すように、軸芯部61のキー孔部50に挿通された部分の全長が、キー孔部50の側面と離間して、特に、キー部材5の板厚方向全体に間隙Sが形成されてもよい。
このとき、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面とが管周方向Wで互いに離間して、管周方向Wの両側で合計して所定の穴部クリアランスCL2を有する。また、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、キー部材5とキー溝部70とが管周方向Wで互いに離間して、管周方向Wの両側で合計して所定の溝部クリアランスCL1を有する。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、特に、軸芯部61のキー孔部50に挿通された部分の全長が、キー孔部50の側面と離間して、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面との管周方向Wに離間する穴部クリアランスCL2が、キー部材5とキー溝部70との管周方向Wに離間する溝部クリアランスCL1との関係で、下記(1)式により規定される関係を満足する。

CL2>CL1 ・・・(1)
また、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、軸芯部61のキー孔部50に挿通された部分の全長が、キー孔部50の側面と離間するときに、図20に示すように、管長方向Yでキー部材5のキー孔部50が形成される側の上端面53又は下端面54から、外嵌側キー溝部71と内嵌側キー溝部72との境界Mまで、キー部材5が管長方向Yに所定の部材長L2を有して、また、軸構造6の軸芯部61の中央から境界Mまで、軸構造6が管長方向Yに所定の軸芯離間距離L1を有する。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、特に、キー部材5の上端面53又は下端面54から境界Mまでの部材長L2が、軸芯部61の中央から境界Mまでの軸構造6の軸芯離間距離L1と、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面とが管周方向Wに離間する穴部クリアランスCL2と、キー部材5とキー溝部70との管周方向Wに離間する溝部クリアランスCL1との関係で、下記(2)式により規定される関係を満足する。

L2>L1×CL1/CL2 ・・・(2)
第1鋼管杭1及び第2鋼管杭2は、図21に示すように、外嵌継手3と内嵌継手4とで管長方向Yに連結されて、複数の鋼管杭に回転トルクを導入することで、複数の鋼管杭の先端側に設けられた螺旋翼を回転させながら、地盤内8を推進して回転圧入される。このとき、第1鋼管杭1及び第2鋼管杭2は、管長方向Yで互いに連結した状態で、地盤内8で正回転又は逆回転に回転させながら、地盤内8に埋め込まれるものとなる。
第1鋼管杭1及び第2鋼管杭2は、図21(a)に示すように、複数の鋼管杭を左回りに正回転させるとともに、図21(b)に示すように、地盤内8の硬さや障害物の存在等に応じて、複数の鋼管杭を右回りに逆回転させる。なお、第1鋼管杭1及び第2鋼管杭2は、右回りを正回転、左回りを逆回転とするものでもよい。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図22に示すように、複数の鋼管杭を回転させるときに、回転トルクが導入される第2鋼管杭2が第1鋼管杭1に対して相対回転する。本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、キー部材5がキー溝部70に架設されて、キー部材5の一方側面51が外嵌側キー溝部71の側面71aに当接するとともに、キー部材5の他方側面52が内嵌側キー溝部72の側面72aに当接する。
鋼管杭に導入された回転トルクは、キー部材5の他方側面52が内嵌側キー溝部72の側面72aに当接することで、第2鋼管杭2からキー部材5に伝達される。また、鋼管杭に導入された回転トルクは、キー部材5の一方側面51が外嵌側キー溝部71の側面71aに当接することで、キー部材5から第1鋼管杭1に伝達される。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、キー部材5の一方側面51及び他方側面52がキー溝部70に両側から挟み込まれて、第1鋼管杭1と第2鋼管杭2との相対回転を抑止するものとなる。このとき、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、外嵌継手3と内嵌継手4との管周方向Wの相対回転を、キー部材5により拘束するものとなるため、キー溝部70の両側からキー部材5に対してせん断力Tが作用する。
ここで、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、外嵌継手3及び内嵌継手4よりも材料強度が小さい鋼材等がキー部材5に用いられる。このとき、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、キー部材5の一方側面51及び他方側面52が、外嵌側キー溝部71及び内嵌側キー溝部72に挟み込まれて、外嵌継手3及び内嵌継手4を変形させることなく、キー部材5のみが管周方向Wで歪むように変形するものとなり、図23に示すように、キー部材5の変形量が過大となると、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面とが当接するおそれがある。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図23(a)に示すように、軸構造6の軸頭部62とキー孔部50の係止部55とが係止されるとともに、管径方向Xの内側Aに向けて拡開させた内側拡開部56がキー孔部50に形成される。このとき、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、軸芯部61のキー孔部50に挿通された部分の少なくとも一部が、内側拡開部56でキー孔部50の側面から離間することで、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面との間に間隙Sが形成される。
これにより、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、管周方向Wの両側からキー部材5に対して想定以上の大きなせん断力Tが作用した場合であっても、軸構造6の軸芯部61がキー孔部50の側面に当接するまでの範囲で、軸構造6の軸芯部61が間隙Sで変形するため、軸構造6の軸芯部61に作用するせん断力Tが緩和されて、軸構造6の軸芯部61のせん断破壊を防止することが可能となる。
これに対して、従来の柱状体の接合部構造9は、図23(b)に示すように、回転止めキー90に形成されたボルト挿通孔91の側面に、ボルト挿通孔91に挿通されたボルト92の全長が当接されて、ボルト挿通孔91の内部でボルト92が変形しないものとなる。したがって、従来の柱状体の接合部構造9は、ボルト92に作用するせん断力Tを緩和することができず、ボルト92がせん断破壊するおそれがある。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、特に、図24に示すように、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面との穴部クリアランスCL2が、キー部材5とキー溝部70との溝部クリアランスCL1との関係で、上記(1)式により規定される関係を満足することで、キー部材5が管周方向Wで歪むように変形するときに、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面とが当接される前の段階で、キー部材5とキー溝部70とが確実に当接される。
これにより、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面とが当接される前の段階で、キー部材5とキー溝部70とが確実に当接されて、軸構造6の軸芯部61とキー部材5とが縁切りされた状態となり、キー部材5から軸構造6の軸芯部61へのせん断力Tの伝達を回避することが可能となる。
そして、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、外嵌継手3及び内嵌継手4よりもキー部材5の材料強度が小さくなることで、軸構造6の軸芯部61とキー部材5とが縁切りされた状態を維持したまま、キー溝部70を形成する外嵌継手3及び内嵌継手4を変形させることなく、キー部材5のみを歪むように変形させるものとなり、キー部材5から軸構造6の軸芯部61へのせん断力Tの伝達を確実に回避することが可能となる。
なお、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図17に示すように、軸構造6の軸頭部62が外側拡開部57に収容される場合に、六角ボルト等の軸頭部62と外側拡開部57の側面とが管周方向Wに離間するクリアランスも、キー部材5とキー溝部70との溝部クリアランスCL1よりも大きくなることで、軸構造6の軸頭部62とキー孔部50の側面とが当接される前の段階で、キー部材5とキー溝部70とが確実に当接されて、軸構造6の軸頭部62とキー部材5とが縁切りされた状態となる。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図21に示すように、複数の鋼管杭を回転させるときに、例えば、第1鋼管杭1及び第2鋼管杭2を正回転及び逆回転で交互に回転させることで、キー部材5が左回り及び右回りで交互に回動するものとなる。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図20に示すように、キー部材5の上端面53又は下端面54から境界Mまでの部材長L2が、軸芯部61の軸芯離間距離L1と、軸芯部61の穴部クリアランスCL2と、キー部材5の溝部クリアランスCL1との関係で、上記(2)式により規定される関係を満足する。
ここで、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、キー部材5が回動するとき、図25に示すように、キー部材5の一方側面51又は他方側面52とキー溝部70とが当接するときの勾配θ1が、部材長L2を溝部クリアランスCL1で除した値により算出される。また、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面とが当接される場合の勾配θ2が、軸芯離間距離L1を穴部クリアランスCL2で除した値により算出される。
このとき、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、キー部材5が左回り及び右回りに回動するとき、キー部材5の上端面53又は下端面54から境界Mまでの部材長L2が、上記(2)式により規定される関係を満足することで、軸芯部61が当接される場合の勾配θ2よりも、キー部材5が当接するときの勾配θ1が小さくなるため、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面とが当接される前の段階で、キー部材5とキー溝部70とが確実に当接される。
これにより、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、軸構造6の軸芯部61とキー孔部50の側面とが当接される前の段階で、キー部材5とキー溝部70とが確実に当接されて、軸構造6の軸芯部61とキー部材5とが縁切りされた状態となり、キー部材5から軸構造6の軸芯部61への回転力Rの伝達を回避することが可能となる。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図23〜図25に示すように、キー部材5のせん断力T及び回転力Rが軸構造6に伝達されないため、軸構造6の軸芯部61が次第に緩むことを防止したものとなる。このとき、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、軸構造6の軸芯部61が次第に緩むことを防止することで、キー溝部70からキー部材5が脱落しないものとなる。
これにより、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、外嵌継手3と内嵌継手4との管周方向Wの相対回転をキー部材5で拘束しながら、軸構造6の軸芯部61に作用するせん断力Tを緩和して、又は、キー部材5から軸構造6の軸芯部61へのせん断力T及び回転力Rの伝達を回避することで、軸芯部61のせん断破壊や緩みを防止したものとなる。本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、軸芯部61のせん断破壊や緩みを防止して、キー溝部70からのキー部材5の脱落を防止することで、図21に示すように、第1鋼管杭1と第2鋼管杭2との相対回転をキー部材5で抑止することができるため、複数の鋼管杭を地盤内8で確実に回転させることが可能となる。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図15〜図17に示すように、キー部材5の表面側5aで、軸構造6の軸頭部62が外側拡開部57に収容されるため、キー部材5の表面側5aよりも、軸構造6の軸頭部62を管径方向Xの外側Bに突出させないものとなる。これにより、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、軸構造6の軸頭部62が管径方向Xの外側Bに突出しないため、鋼管杭を回転させるときの土砂からの抵抗が低減して、複数の鋼管杭の円滑な回転を実現することが可能となる。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、キー部材5のキー孔部50で、外側拡開部57と内側拡開部56とが略同一の形状で形成される。これにより、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、キー部材5の板厚方向の中央が対称の軸となるように、外側拡開部57と内側拡開部56とが互いに線対称に形成されるため、キー部材5の表面側5aと裏面側5bとを入れ替えて使用できるものとなり、キー部材5に表裏の区別をなくすことで、キー部材5をキー溝部70に嵌め込むときの施工管理を容易にすることが可能となる。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図6〜図8に示すように、内嵌継手4が外嵌継手3に挿入されて、外嵌継手3と内嵌継手4とを管周方向Wに相対回転させることで、外嵌継手3と内嵌継手4とが管長方向Yに連結されるギア式継手に用いられる。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、これに限らず、図26に示すように、外嵌継手3と内嵌継手4とを相対回転させることなく、内嵌継手4を管長方向Yに直進させて外嵌継手3に挿入するのみで、外嵌継手3と内嵌継手4とが連結されてもよい。
このとき、外嵌継手3及び内嵌継手4は、外嵌継手3の内周面で管周方向Wに連続して溝状に延びる外嵌溝状部39が形成されるとともに、内嵌継手4の外周面で管周方向Wに連続して溝状に延びる内嵌溝状部49が形成される。外嵌継手3及び内嵌継手4は、孔部58に挿入されたネジで係止片59を押し込んで、外嵌継手3の内周面の外嵌溝状部39と内嵌継手4の外周面の内嵌溝状部49とに係止片59が架設されて連結される。
さらに、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図27に示すように、外嵌突状部38と内嵌溝状部49とが螺合されるネジ式継手に用いられてもよい。このとき、外嵌継手3及び内嵌継手4は、外嵌継手3の内周面で略螺旋状に連続する外嵌突状部38が形成されるとともに、内嵌継手4の外周面で略螺旋状に連続する内嵌溝状部49が形成されて、外嵌突状部38と内嵌溝状部49とが螺合されて連結される。
本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、図26、図27に示すように、外嵌継手3と内嵌継手4とを相対回転させずに連結する場合、及び、外嵌継手3と内嵌継手4とを螺合させて連結する場合の何れにおいても、外嵌継手3と内嵌継手4とを管長方向Yに連結して、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7が導入されるものとなる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
例えば、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、第1鋼管杭1に内嵌継手4が取り付けられるとともに、第2鋼管杭2に外嵌継手3が取り付けられてもよい。また、本発明を適用した鋼管杭継手の回転抑止構造7は、第1鋼管杭1又は第2鋼管杭2の端部が切削されることで、第1鋼管杭1又は第2鋼管杭2そのものに外嵌継手3又は内嵌継手4が設けられてもよい。
1 :第1鋼管杭
2 :第2鋼管杭
3 :外嵌継手
30 :外嵌孔部
31 :外嵌山部
32 :外嵌溝部
33 :外嵌谷部
34 :外嵌先端部
34a :外面
35 :外嵌基端部
36 :外嵌段部
38 :外嵌突状部
39 :外嵌溝状部
4 :内嵌継手
40 :内嵌孔部
41 :内嵌山部
42 :内嵌溝部
43 :内嵌谷部
44 :内嵌先端部
45 :内嵌基端部
45a :外面
46 :内嵌段部
49 :内嵌溝状部
5 :キー部材
5a :表面側
5b :裏面側
5c :中間部
50 :キー孔部
51 :一方側面
52 :他方側面
53 :上端面
54 :下端面
55 :係止部
56 :内側拡開部
57 :外側拡開部
58 :孔部
59 :係止片
6 :軸構造
61 :軸芯部
62 :軸頭部
7 :鋼管杭継手の回転抑止構造
70 :キー溝部
71 :外嵌側キー溝部
71a :外嵌側キー溝部の側面
72 :内嵌側キー溝部
72a :内嵌側キー溝部の側面
8 :地盤内
S :間隙
W :管周方向
X :管径方向
Y :管長方向

Claims (7)

  1. 複数の鋼管杭を連結して相対回転を抑止する鋼管杭継手の回転抑止構造であって、
    第1鋼管杭と第2鋼管杭とを管長方向で互いに連結する外嵌継手と内嵌継手とを備え、
    前記外嵌継手は、管長方向の先端側に設けられる外嵌先端部を有して、前記外嵌先端部の外面が切り欠かれることで、前記外嵌先端部に外嵌側キー溝部が形成されて、
    前記内嵌継手は、管長方向の基端側に設けられる内嵌基端部を有して、前記内嵌基端部の外面が切り欠かれることで、前記内嵌基端部に内嵌側キー溝部が形成されて、
    前記外嵌継手及び前記内嵌継手は、管長方向で互いに連結した状態で、前記外嵌側キー溝部と前記内嵌側キー溝部とを管長方向に連続させたキー溝部が形成されて、管長方向に延びるキー部材が、前記外嵌側キー溝部から前記内嵌側キー溝部まで架設されて、
    前記キー部材は、管径方向に貫通させることでキー孔部が形成されて、前記キー溝部に嵌め込まれるとともに、管径方向に延びる軸構造で固定されて、
    前記軸構造は、前記キー孔部に挿通される軸芯部と、前記軸芯部よりも拡径した軸頭部とを有して、前記軸芯部の前記キー孔部に挿通された部分の全長が、前記キー孔部の側面から離間して、
    管長方向で前記キー部材の前記キー孔部が形成される側の上端面又は下端面から、前記外嵌側キー溝部と前記内嵌側キー溝部との境界までの管長方向の部材長L2は、前記軸芯部の中央から前記境界までの管長方向の軸芯離間距離L1と、管周方向の両側で前記軸芯部と前記キー孔部の側面とが離間する穴部クリアランスCL2と、管周方向の両側で前記キー部材と前記キー溝部とが離間する溝部クリアランスCL1との関係で、下記(1)式により規定される関係を満足すること
    を特徴とする鋼管杭継手の回転抑止構造。

    L2>L1×CL1/CL2 ・・・(1)
  2. 前記キー部材は、前記軸頭部で管径方向に係止される係止部と、前記係止部よりも管径方向の内側に向けて拡開させた内側拡開部とが、前記キー孔部に形成されて、
    前記軸構造は、前記軸芯部の前記キー孔部に挿通された部分の少なくとも一部が、前記内側拡開部で前記キー孔部の側面から離間すること
    を特徴とする請求項1記載の鋼管杭継手の回転抑止構造。
  3. 前記キー部材は、前記係止部から管径方向の内側に向けてテーパ状に傾斜する前記内側拡開部が、前記キー孔部に形成されること
    を特徴とする請求項2記載の鋼管杭継手の回転抑止構造。
  4. 前記キー部材は、前記係止部から管径方向の内側に向けて傾斜することなく略直線状に延びる前記内側拡開部が、前記キー孔部に形成されること
    を特徴とする請求項2記載の鋼管杭継手の回転抑止構造。
  5. 前記キー部材は、前記内側拡開部と略同一の形状で、前記係止部よりも管径方向の外側に向けて拡開させた外側拡開部が、前記キー孔部に形成されること
    を特徴とする請求項2〜4の何れか1項記載の鋼管杭継手の回転抑止構造。
  6. 前記軸構造は、前記軸芯部の前記キー孔部に挿通された部分の全長が、前記キー孔部の側面から離間して、
    管周方向の両側で前記軸芯部と前記キー孔部の側面とが離間する穴部クリアランスCL2は、管周方向の両側で前記キー部材と前記キー溝部とが離間する溝部クリアランスCL1との関係で、下記(2)式により規定される関係を満足すること
    を特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の鋼管杭継手の回転抑止構造。

    CL2>CL1 ・・・(2)
  7. 前記キー部材は、前記外嵌継手及び前記内嵌継手よりも材料強度が小さいこと
    を特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の鋼管杭継手の回転抑止構造。
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