以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、本実施形態に係る振出注出口部材の構成を詳細に説明する。図1は本実施形態に係る振出注出口部材1の一例が示された正面図であり、図2は図1の振出注出口部材1の側面図であり、図3は図1のA−A線断面図である。また、図4は図1における振出注出口部材1の基部本体10の正面図であり、図5は図4の基部本体10の背面図であり、図6は図4のB−B線断面図である。また、図7は図1における振出注出口部材1の閉塞部30の正面図であり、図8は図7の閉塞部30の側面図であり、図9は図7の閉塞部30の背面図である。なお、図1〜3における振出注出口部材1は、注出口が開放している状態である。また、以下では、説明の便宜上、図2における後述する振り出し部33側を上とし、後述する固定部31側を下とし、後述する環状リブ15側を外とし、後述する取り付けリブ17側を内とし、紙面に対して手前側を左とし、奥側を右とする。また、図1におけるA−A線は、振出注出口部材1の左右方向の中心を通り、上下方向に延びる直線であり、図3は振出注出口部材1の左右中央の鉛直断面図であり、基部本体10のみが断面で示される。また、図4におけるB−B線は、基部本体10の左右方向の中心を通り、上下方向に延びる直線であり、図6は基部本体10の左右中央の鉛直断面図である。
図1〜図3に示されるように、本実施形態に係る振出注出口部材1は、基部本体10と閉塞部30から構成され、A−A線を基準として左右対称形状である。振出注出口部材1を構成する基部本体10と閉塞部30は別体として形成され、閉塞部30の固定部31が基部本体10の支持部11に固定されている。基部本体10は、開口部12を有する支持部11と、支持部11の外周から延在するシール板13などを有する。閉塞部30は、固定部31と、固定部31に薄肉のヒンジ部32を介して連結する振り出し部33とを有する。また、振り出し部33は、開口部12を閉じるようにヒンジ部32から延びる閉塞板38と、ヒンジ部32の両端部からそれぞれ閉塞板38の外縁に沿って閉塞板38に垂設され、開口部12に挿入される一対の側板39とを有する。そして、振り出し部33は、薄肉のヒンジ部32を基点として、固定部31に対して揺動自在である。
なお、詳細については後述するが、振り出し部33の上部における閉塞板38と左右一対の側板39によって囲われる開口が内容物を注出する際の注出口Sとなる。そして、内容物は、内側から外側に向かって支持部11の開口部12を通過し、振り出し部33を介して振り出し部33の上部の注出口Sから注出される。また、振出注出口部材1は、ヒンジ部32を基点として振り出し部33が揺動自在な構成であり、振り出し部33を開口部12へ向かって外方から内方へ押し込むことにより、振り出し部33によって開口部12が閉塞されて、注出口Sを閉じることができる。
ここで、支持部11とシール板13を有する基部本体10の構成について詳述する。図4〜図6に示すように、支持部11は、開口部12を有する平板状の基板14である。基板14は、環状リブ15と、支持板16と、取り付けリブ17などを有する。
基板14は、正面視において、上側が半円形であり、下側が矩形であり、半円形と矩形とが組み合わせられた形状であり、左右対称の形状である。基板14が有する開口部12は、基板14の外表面18と内表面19との間を貫通する孔である。開口部12は、正面視において、上側が上方へ向けて先細りの台形であり、下側が矩形であり、台形と矩形とが組み合わせられた左右対称の形状である。
環状リブ15は、開口部12の縁の全周に亘って沿い、基板14の外表面18から垂設されて外方へ突出するリブである。したがって、環状リブ15によって囲われた貫通孔が開口部12である。そして、開口部12の外表面18側の縁は環状リブ15の外方端部であり、開口部12の内周面20は、環状リブ15の内周面が含まれる構成である。
支持板16は、開口部12の内周面20に連接して開口部12の一部覆う平板である。ここで、支持板16によって覆われる開口部12は、開口部12の下側の矩形に対応する部分である。
支持板16は、正面視において上下に延びる矩形の孔である2つの係止孔21を有する。2つの係止孔21は、左右対称に位置している。ここで、係止孔21は、後述する閉塞部30の固定部31が有する嵌合突起35を係止するものである。嵌合突起35が係止孔21に係止されることで、閉塞部30の固定部31が支持部11の支持板16に固定される。
なお、支持板16は、閉塞部30の固定部31を固定するものであり、その形状は上述の形状に限定されるものではなく、支持板16の形状、大きさなどは、固定部31に応じて適宜設計できる。
取り付けリブ17は、基板14の外縁に沿って内表面19から内方へ垂設されるリブである。取り付けリブ17は、先端部にテーパーを有する先細り形状である。また、取り付けリブ17は、外周面に爪部22を有する。爪部22は、シール板13の内表面から内方に所定の間隔を有し、背面視において上下左右の4箇所に配置される。なお、取り付けリブ17は、下側における爪部22の左右が切り欠かれている。
なお、取り付けリブ17と取り付けリブ17が有する爪部22は、後述する振出注出口部材1を容器に固着する際に用いられるものであり、その形状は上述の形状に限定されるものではない。取り付けリブ17及び爪部22の形状、大きさ、爪部22の数などは、注出口組合体1が固着される容器の形態に応じて適宜設計できる。例えば、取り付けリブ17が爪部22を備えない構成であっても良く、支持部11が取り付けリブ17を備えない構成であっても良い。
また、基板14は、開口部12の内表面19側の縁であって、台形の斜辺に相当する上下に延びる左右の縁には、凹状の段部23を有する。したがって、この段部23が形成された開口部12の左右の縁の厚みは、他の部位における基板14の厚みよりも薄い。
なお、支持部11は、上述の構成に限定されるものではなく、外表面18と内表面19との間を貫通し、内容物が通過する開口部12を有する形状であれば良い。例えば、開口部12は、正面視において略円形や多角形などであっても良い。また、支持部11の基板14は、正面視において略円形や多角形などであっても良い。また、支持部11の基板14は、平板状に限定されるものではなく、両端が開放した筒形状であっても良い。
基部本体10のシール板13は、基板14の外縁から基板14と同一平面方向へ延びる平板であり、基板14の外周から延在している。シール板13の外形は、正面視において、上述の基板14と相似形状であって、上側が半円形であり、下側が矩形であり、半円形と矩形とが組み合わせられた形状であって、左右対称の形状である。シール板13の厚みは、基板14の厚みより薄い。
なお、シール板13は、振出注出口部材1の容器への固着に用いられるものであって、シール板13の内表面または外表面が容器に固着される。そして、シール板13の形状は上述の形状に限定されるものではなく、振出注出口部材1が取り付けられる容器の形態に応じて適宜設計できる。例えば、平面視において略円形や多角形等であっても良い。また、シール板13の厚みは、基板14と同じでも良い。
次に、固定部31と固定部31にヒンジ部32を介して連結する振り出し部33とを有する閉塞部30の構成について詳述する。図7〜図9に示すように、固定部31は、平板状の固定板34と、2つの嵌合突起35などから構成される。
固定板34は、正面視において矩形であり、上述の開口部12の下側の矩形に対応する形状である。固定板34の上側端部は、外表面にテーパーを有する先細り形状である。この先細りの先端部に薄肉のヒンジ部32が連設される。
2つの嵌合突起35は、固定板34の左側端部及び右側端部の近傍における内表面からそれぞれ内方へ垂設される突起である。嵌合突起35の外側面には、爪部36が形成されている。爪部36は、固定板34の内表面から内方に所定の間隔を有している。ここで、嵌合突起35は、上述の支持板16の係止孔21に対応している。そして、嵌合突起35は、支持板16の係止孔21に挿入されることによって、係止孔21に係止され、固定部31が支持部11に固定される。
また、固定板34は、ヒンジ部32が連結される上側の外縁以外の右側、左側、及び下側の外縁には、これらの外縁から更に延びる平板状の第2フランジ部37を有する。第2フランジ部37の厚みは、固定板34の厚みよりも薄い。そして、第2フランジ部37の外表面と固定板34の外表面は連続しており、同一平面上に位置している。なお、詳細については後述するが、第2フランジ部37の内表面は、閉塞部30が基部本体10に固定されて開口部12を閉塞する際に、開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)と当接する。
なお、固定部31は、上述の構成に限定されるものではなく、支持部11の支持板16に固定されるものであり、その形状は上述の形状に限定されるものではなく、固定部31の形状、大きさなどは、支持板16に応じて適宜設計できる。
薄肉のヒンジ部32は、固定板34の先細りの上側端部に連設され、固定板34の右側端部から左側端部まで直線状に延びている。
振り出し部33は、平板状の閉塞板38と、左右一対の側板39などから構成される。閉塞板38は、ヒンジ部32から上方かつ外方へ延びる平板である。閉塞板38は、上縁が短辺で下縁が長辺の上方へ向けて先細りの台形であり、上述の開口部12の上側の台形に対応する形状である。なお、ヒンジ部32と連結する閉塞板38の下側端部は、外表面にテーパーを有する先細り形状である。そして、この閉塞板38の先細りの下側端部は、右側端部から左側端部までヒンジ部32と連結している。
ここで、ヒンジ部32は、固定板34と閉塞板38との間において、所定の幅を有する帯状である。つまり、ヒンジ部32の上側端部は、閉塞板38の下側端部に連結し、ヒンジ部32の下側端部は、固定板34の上側端部に連結し、閉塞板38は、ヒンジ部32を介して固定板34に連結している。そして、閉塞板38の内側面と、ヒンジ部32の内側面と、固定板34の内側面は連続しており、閉塞板38の内側面とヒンジ部32の内側面は同一平面上に位置している。また、閉塞板38とヒンジ部32の接続部は、固定板34の第2フランジ部37の内表面より内方に位置している。
閉塞板38は、ヒンジ部32が連結される下側の外縁以外の右側、左側、及び上側の外縁には、これらの外縁から更に延びる平板状の第1フランジ部40を有する。第1フランジ部40の厚みは、閉塞板38の厚みよりも薄い。そして、第1フランジ部40の外表面と閉塞板38の外表面は連続しており、同一平面上に位置している。なお、詳細については後述するが、第1フランジ部40の内表面は、閉塞部30が基部本体10に固定されて開口部12を閉塞する際に、開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)と当接する。
また、閉塞板38は、ヒンジ部32と連結する下側端部と対向する上側端部には、第1フランジ部40よりも更に上方へ延びる板状の摘み部41を有する。なお、詳細については後述するが、閉塞部30が基部本体10に固定されて開口部12を閉塞する際に、摘み部41は、環状リブ15より上方へ突出する。
左右一対の側板39は、閉塞板38の内表面から内方へ垂設される板状部材である。左右一対の側板39は、ヒンジ部32の右側及び左側の端部からそれぞれ閉塞板38の外縁に沿って閉塞板38の上側端部まで延びている。側板39は、側面視において、1辺が鉛直方向に伸びる略三角形であり、この三角形の上側の斜辺は凹状の円弧状である。
左右一対の側板39は、上端部であって、凹状の円弧状の外縁から上方に延びる、抜け止め部としての係止板42を有する。ここで、係止板42は、振り出し部33がヒンジ部32を基点に揺動する際に、基板14の内表面19と当接するものである。そして、係止板42が基板14の内表面19と当接することによって、開口部12に挿入された側板39の抜けが防止される。
左右の係止板42の間には、左右方向に延びる板状の補強板43が形成される。つまり、補強板43は、左右の側板39に連結している。したがって、この補強板43によって、左右の側板39は連結され、振り出し部33の剛性が向上されるとともに、側板39の倒れが防止される。
また、左右の側板39は、外側面から突出し、先端が丸みを帯びた規制部としての4つの突起44(44a〜44d)をそれぞれ有する。突起44は、側面視において略円形である。突起44aと突起44bは、第1フランジ部40の内表面から内方に同一の間隔を有して配設されている。突起44cは、突起44a及び突起44bよりも内方に配設されている。突起44dは、突起44cよりも内方かつ係止板42よりも外方に配設されている。また、4つの突起44(44a〜44d)とヒンジ部32との距離はいずれも異なる。なお、詳細については後述するが、左右一対の側板39は、閉塞部30が基部本体10に固定される際に、開口部12に挿入される。その際に、側板39は、開口部12の上側の台形における斜辺に対応して配置される。そして、側板39は、突起44を有する外側面側が突出するように凸状に湾曲しており、振り出し部33がヒンジ部32を基点として揺動される際に、開口部12に挿入された側板39の外側面と開口部12の内周面20とが常に摺接するように構成されている。
なお、振り出し部33は、上述の構成に限定されるものではなく、開口部12の形状に応じて適宜設計できる。例えば、閉塞板38は、開口部12の上側の形状に応じて、矩形や半円形や三角形などであっても良い。また、側板39は、振り出し部33がヒンジ部32を基点として揺動される際に、開口部12の内周面20と側板39の外側面が摺接するように構成されていれば良く、閉塞板38と同様に、開口部12の形状に応じて形状や大きさは適宜設計される。また、摘み部41は、上述の構成に限定されるものではなく、摘み部41を摘んでヒンジ部43を基点として振り出し部33を揺動させることができるものであれば良い。例えば、閉塞板38の外表面から外方へ突出する突起であっても良い。また、薄肉のヒンジ部32による固定部31と振り出し部33との連結は、上述の構成に限定されるものではなく、例えば、固定板34の内側面とヒンジ部32の内側面が同一平面上に位置している構成であっても良い。
次に、閉塞部30の基部本体10への固定方法について説明する。上述したように、振出注出口部材1では、閉塞部30の固定部31を基部本体10の支持部11に固定させる。より詳細には、開口部12の上側の台形の孔に、振り出し部33の側板39の上部(係止板42側)を外方側から挿入し、抜け止め部としての係止板42を基板14の内方側に位置させる。一方、開口部12の下側の矩形の孔を覆う支持板16の係止孔21に、固定部31の嵌合突起35を挿入し、固定板34を支持板16へ向かって外方側から内方側へ押し込む。そして、固定板34を押し込むことで爪部36を有する嵌合突起35が係止孔21に係止され、閉塞部30の固定部31が支持部11の支持板16に固定される(図1〜図3参照)。
ここで、閉塞部30の基部本体10への固定は、嵌合突起35が係止孔21に係止されることよって固定されるものである。つまり、接着剤などを用いることなく閉塞部30を基部本体10へ固定するので、内容物に衛生面で影響を与えることがない。また、振出注出口部材1の製造及び組み立てが容易であり、生産性が良い。
なお、閉塞部30の基部本体10への固定は、上述の構成に限定されるものではなく、閉塞部30を基部本体10へ固定することが可能な構成であれば良い。例えば、固定板34が嵌合突起35を備えない平板とし、支持板16が係止孔21を備えない平板とし、この平板の固定板34を平板の支持板16に接着剤を用いて固定させる構成であっても良い。また、詳細については後述するが、基部本体10及び閉塞部30は、熱可塑性樹脂から形成されるため、接着剤に替わって、超音波溶着や熱溶着などによって固定板34を支持板16に固定させても良い。
また、固定部31が支持部11に固定された状態において、固定板34の左右の縁面は、開口部12の内周面20(環状リブ15の内周面)と接している。また、第2フランジ部37の内表面は、開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)と当接している。したがって、開口部12の内周面20と固定板34との接触部は、第2フランジ部37によって外方から覆われているため、固定部31に対応する開口部12の閉塞性が高い。
また、図3に示すように、薄肉のヒンジ部32は、開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)より内方に位置している。そして、薄肉のヒンジ部32の左右の端面は、開口部12の内周面20(環状リブ15の内周面)と接している。また、左右一対の側板39の外側面は、開口部12の内周面20(環状リブ15の内周面)と接している。また、ヒンジ部32との連結部の近傍における閉塞板38の左右の縁面は、開口部12の内周面20(環状リブ15の内周面)と接している。そして、開口部12の内周面20と、閉塞部30の右側部及び左側部(閉塞板38の左右の縁面、側板39の外側面、ヒンジ部32の左右の端面、固定板34の左右の縁面)との接触部は上下方向に渡って途切れることがない。つまり、振出注出口部材1は、注出口Sが開放した状態において、ヒンジ部32の近傍を含めて閉塞部30の右側部及び左側部には、開口部12と連通する隙間が形成されていない。また、閉塞部30が基部本体10へ取り付けられた状態において、抜け止め部としての係止板42は、基板14の内表面19と当接している。
ここで、上述したように、図1〜図3に示された振出注出口部材1は、内容物を注出する注出口Sが開放している状態である。注出口Sは、振り出し部33の上部における閉塞板38と左右一対の側板39によって囲われる開口である。そして、内容物は、内側から外側に向かって支持部11の開口部12を通過し、振り出し部33を介して振り出し部33の上部の注出口Sから注出される。
一方、この注出口Sは、ヒンジ部32を基点として振り出し部33を開口部12へ向かうように(上方かつ内方へ)揺動させ、振り出し部33を開口部12へ押し込むことによって開口部12が閉塞されて、閉じられる。ここで、図10、図11に、注出口Sが閉じられた状態の振出注出口部材1の一例を示す。なお、図10は注出口Sが閉じられた状態の振出注出口部材1の正面図であり、図11は図10におけるC−C線断面図であり、図11は基部本体10のみが断面で示される。
ヒンジ部32を基点として振り出し部33を開口部12へ向かうように上方かつ内方へ揺動させる。ここで、振り出し部33の左右一対の側板39は、開口部12の上側の台形に対応している。そして、振り出し部33は、側板39の外側面が開口部12の内周面20と常に摺接してヒンジ部32を基点に揺動される。なお、側板39は、外側面から突出する規制部としての4つの突起44(44a〜44d)を有する。したがって、振り出し部33を開口部12へ押し込む際には、側板39の突起44が順次開口部12の縁を乗り越える。そして、第1フランジ部40の内表面が開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)と当接するまで、振り出し部33を開口部12へ押し込むことで、開口部12の上側の台形の部分が閉塞板38によって閉塞され、注出口Sが閉じられる。
ここで、振り出し部33が開口部12へ押し込まれて注出口Sが閉じられた状態において、閉塞板38の左右の縁面は、開口部12の内周面20(環状リブ15の内周面)と接している。また、第1フランジ部40の内表面は、開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)と当接している。したがって、開口部12の内周面20と閉塞板38との接触部は第1フランジ部40によって外方から覆われているため、開口部12の閉塞性が高い。
また、図3に示された注出口Sが開放した状態と同様に、薄肉のヒンジ部32は、開口部12の外表面18側の縁より内方に位置している。そして、薄肉のヒンジ部32の左右の端面は、開口部12の内周面20と接している。また、左右一対の側板39の外側面は、開口部12の内周面20と接している。そして、開口部12の内周面20と、閉塞部30の右側部及び左側部(閉塞板38の左右の縁面、側板39の外側面、ヒンジ部32の左右の端面、固定板34の左右の縁面)との接触部は上下方向に渡って途切れることがない。つまり、振出注出口部材1は、注出口Sが閉じられた状態において、ヒンジ部32の近傍を含めて閉塞部30の右側部及び左側部には、開口部12と連通する隙間が形成されていない。
また、注出口Sを閉じる際に、振り出し部33の開口部12への押し込みは、第1フランジ部40の内表面と開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)とが当接することによって止められる。したがって、振り出し部33が開口部12へ過剰に押し込まれることがなく、使い勝手が良い。また、振出注出口部材1の破損を防止できる。
また、この状態において、閉塞板38の近傍に位置する2つの突起44a及び突起44b(の最外部)と、開口部12の内表面19側の縁とが当接して振り出し部33が基部本体10に係止されている。つまり、開口部12の縁は振り出し部33を係止する係止部としての役割を果たしている。したがって、振り出し部33は、開口部12の縁によって基部本体10に係止され、開口部12は閉塞状態に維持されるので、開口部12の閉塞性が高い。
一方、図10、図11に示される注出口Sが閉じられた状態から注出口Sを開放する際には、摘み部41を外方かつ下方へ引っ張り、ヒンジ部43を基点として振り出し部33を外方かつ下方へ揺動させ、振り出し部33を開口部12から引き出す。このように、振り出し部33を開口部12から引き出すことにより、注出口Sが開放し、内容物を注出することが可能となる。
なお、開口部12から振り出し部33の引き出しは、抜け止め部としての係止板42が基板14の内表面19側の縁と当接することによって止められる(図3参照)。つまり、図3に示される振出注出口部材1は、振り出し部33が開口部12から最大限引き出された状態である。したがって、振り出し部33が開口部12から過剰に引き出されることがなく、開口部12に挿入された側板39の抜けが防止され、使い勝手が良い。また、振出注出口部材1の破損を防止できる。ここで、左右の係止板42の間には補強板43が形成され、振り出し部33の剛性が向上されるとともに、側板39の倒れが防止されている。したがって、この補強板43によって、係止板42の抜け止め効果をより確実に発揮させることができる。
なお、図3に示される振り出し部33が開口部12から最大限引き出された状態において、係止板42と突起44dとの間に、開口部12の縁が位置している。つまり、係止板42と突起44dとが、開口部12の縁に係合している。したがって、振り出し部33は、開口部12の縁によって基部本体10に係止された状態であり、注出口Sが開放した状態に維持されるので、意図せず注出口Sが閉じることがなく、使い勝手が良い。
ここで、振り出し部33の側壁39は、更に突起44cを有する。そして、振出注出口部材1は、規制部としての4つの突起44a、44b、44c、44dによって、振り出し部33のヒンジ部32を基点とした揺動角度を多段階に規制して、注出口Sの大きさを調節することができる。
より詳細には、注出口Sの大きさを大、中、小の3つの形態に調節することができる。ここで、図12は注出口Sの大きさが中の状態の振出注出口部材1の一例が示された断面図であり、上述の図3、図11と同様に、振出注出口部材1の左右中央の鉛直断面図で、基部本体10のみ断面で示される。
また、図12に示される注出口Sの大きさが中の状態の振出注出口部材1は、ヒンジ部32を基点として振り出し部33を揺動させることによって、突起44cと突起44dの間に、開口部12の縁が位置されている。つまり、突起44cと突起44dが、開口部12の縁に係合し、振り出し部33のヒンジ部32を基点とした揺動が規制されている。そして、振り出し部33は、開口部12の縁によって基部本体10に係止された状態であり、注出口Sの大きさがこの状態に維持される。
また、図示による説明は省略するが、振出注出口部材1は、図12に示される注出口Sの大きさよりも小さい状態に調節することができる。例えば、図12に示される状態において、ヒンジ部32を基点として振り出し部33を、開口部12へ向かうように上方かつ内方へ揺動させ、突起44bと突起44cの間に、開口部12の縁が位置される状態とする。つまり、突起44bと突起44cを、開口部12の縁に係合させ、振り出し部33のヒンジ部33を基点とした揺動を規制させる。したがって、振り出し部33は、開口部12の縁によって基部本体10に係止され、注出口Sの大きさがこの状態に維持される。なお、注出口Sの大きさが大の状態の振出注出口部材1は、上述した図3に示される状態であり、注出口Sが閉じられた状態の振出注出口部材1は、上述した図11に示される状態であるため、これらの説明は省略する。
上述のように、振出注出口部材1は、規制部としての4つの突起44a、44b、44c、44dによって、注出口Sの大きさを3つの形態に調節することができるので、内容物の注出量の大小に応じて注出口Sの大きさを調節して所望の量の内容物を容易に取り出すことができ、使い勝手が良い。また、ヒンジ部32を基点にして振り出し部33を所定の位置まで回動させることで、注出口Sの大きさの調節ができるため、その調節動作が容易である。
なお、注出口Sの大きさの調節は、振り出し部33を係止する係止部としての開口部12の縁と、規制部としての4つの突起44a、44b、44c、44d、第1フランジ部40、及び係止板42の係合によってなされるものである。そして、係止部としての役割を果たす開口部12の縁は、開口部12の上下に延びる左右の縁であって、この開口部12の縁は、凹状の段部23を有する。つまり、係止部として開口部12の縁の厚みは、他の部位の開口部12の縁より薄い。したがって、ヒンジ部32を基点にして振り出し部33を所定の位置まで揺動させる際に、突起44は係止部として開口部12の縁を乗り越えやすく、注出口Sの大きさの調節動作が容易である。
また、左右の側板39(係止板42)の間には補強板43が形成され、振り出し部33の剛性が向上されるとともに、側板39の倒れが防止されている。したがって、この補強板43によって、規制部としての突起44による振り出し部33の揺動の規制効果をより確実に発揮させることができる。
また、4つの突起44a、44b、44c、44dは、ヒンジ部32との距離がいずれも異なる。つまり、ヒンジ部32を基点にして振り出し部33を揺動させる際に、4つの突起44a、44b、44c、44dが乗り越える開口部12の縁の位置は、それぞれ異なる。したがって、突起44による開口部12の縁の傷つきを低減することができ、注出口の反復開閉に対する耐久性に優れる。
また、注出口Sが閉じられた状態においては、2つの突起44a、44bによって振り出し部33が係止されるため、その係止力は強い(図11参照)。したがって、意図せず注出口Sが開かれることがなく、閉塞性が高く、使い勝手が良い。
なお、注出口Sの大きさが小及び中の状態の振出注出口部材1は、上述した図3、図11に示される注出口Sの大きさが大の状態及び注出口Sが閉じられた状態と同様に、開口部12の内周面20と、閉塞部30の右側部及び左側部(閉塞板38の左右の縁面、側板39の外側面、ヒンジ部32の左右の端面、固定板34の左右の縁面)との接触部は上下方向に渡って途切れることがない。つまり、振出注出口部材1は、振り出し部33を揺動させる際に、ヒンジ部32の近傍を含めて閉塞部30の右側部及び左側部には、開口部12と連通する隙間が形成されない構成である。
ここで、規制部としての突起44と係止部としての開口部12の縁は、上述の構成に限定されるものではなく、振り出し部33が有する規制部と基部本体10が有する係止部とが係合し、振り出し部33のヒンジ部32を基点とした揺動角度を多段階に規制することができれば良く、係合構成は適宜設計できる。例えば、ヒンジ部32を基点として振り出し部33が揺動する際に、左右一対の側板39の上側の外縁が開口部12の上側の縁と摺接する構成とし、側板39は、この上側の外縁から上方へ突出する規制部として複数の突起を有する構成としても良い。つまり、側板39の外縁から上方へ突出する規制部として複数の突起が、開口部12の上側の縁に係合する構成であっても良い。このような構成であっても、振り出し部33のヒンジ部32を基点とした揺動角度を多段階に規制することができる。なお、規制部は、少なくとも注出口Sを閉じた状態に維持できる構成であることが好ましい。
ここで、振出注出口部材1は、上述したように、基部本体10と閉塞部30は別体として形成される。また、閉塞部30は、振り出し部33が固定部31に薄肉のヒンジ部32を介して揺動自在に連結された状態で形成される。そして、振出注出口部材1は、熱可塑性樹脂からなり、射出成形法によって成形される。振出注出口部材1の原料としての熱可塑性樹脂は、薄肉のヒンジ部32が振り出し部33を固定部31に対して揺動可能とする十分な強度及び柔軟性を有し、内容物の品質に影響を与えず、内容物に接触しても衛生的に支障のないものであれば良く、特に限定されない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネートなどを用いることができる。なお、振出注出口部材1を構成する各部材の厚みや大きさなどは、振出注出口部材1を形成する材料に応じて適宜設計するものである。
ここで、基部本体10は、全体として略平板状の形状である。また、閉塞部30は、振り出し部33が高さを有する形状であるものの、固定部31は略平板状の形状である。つまり、基部本体10と閉塞部30は比較的単純な形状であるため、射出成形に用いる金型の作成が容易であり、射出成形時における成形不良が発生しにくく、その成形に要する時間が短い。したがって、振出注出口部材1を高速で製造することができ、製造コストの低減が図れる。
なお、上述したように、振出注出口部材1は、振り出し部33を揺動させることによって注出口Sが開閉されるが、振り出し部33の基点は薄肉のヒンジ部32であり、熱可塑性樹脂からなる。したがって、振り出し部33の基点である薄肉のヒンジ部32は、紙部材によって構成される同様のヒンジ構造と比較して揺動に対する耐久性を有するので、振出注出口部材1は、注出口Sの反復開閉に対する耐久性に優れる。
次に、振出注出口部材1の容器への固着方法について説明する。図13は、振出注出口部材1が容器100に取り付けられた状態の一例が示された断面図である。なお、図13は基部本体10と容器100が断面で示され、上述の図11と同様に、振出注出口部材1の左右中央の鉛直断面図である。容器100は、紙を基材層とし、この基材層の表面及び裏面に例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂層を積層した積層材料から形成される、いわゆる紙容器である。また、容器100の形状は、上部101が平坦な形状であり、胴部102が四角筒状のフラットトップ型である。なお、積層材料の積層構成は特に限定されるものではなく、アルミニウム箔などの金属箔などから構成されるバリア層や印刷層などを備える構成であっても良い。また、容器100の形状は特に限定されるものではなく、振出注出口部材1を取り付けることが可能なパネルを有するものであれば良く、例えば、上部が傾斜した屋根形状を有するゲーブルトップ型などであっても良い。
容器100の上部101の合わせ部103が開放した接合前の状態において、胴部102のパネル104(積層材料)に予め形成された孔に振出注出口部材1を容器100の外側から挿入する。その際、振出注出口部材1は、振り出し部33が基部本体10の開口部12に押し込まれて開口部12が閉塞された状態である。そして、パネル104の孔の外縁が取り付けリブ17の爪部22を乗り越えるように振出注出口部材1を外側から押し込み、爪部22とシール板13との間にパネル104を配置させる。なお、パネル104に形成された孔の形状は、図5の背面視における取り付けリブ17の形状に対応している。そして、シール板13の内表面とパネル104の外面とを超音波溶着や熱溶着や接着剤などによって固着し、振出注出口部材1を容器100へ固着する。
ここで、取り付けリブ17は、テーパーを有する先細り形状であるので、パネル104の孔に挿入しやすい。また、取り付けリブ17をパネル104の孔に挿入することによって、振出注出口部材1が容器100に仮固定されるので、振出注出口部材1の容器100への固着作業が容易に行える。さらに、取り付けリブ17は爪部22を有するので、取り付けリブ17がパネル104の孔に挿入された振出注出口部材1は、爪部22によってパネル104に係止されて仮固定される。したがって、振出注出口部材1は、より強固に容器100に仮固定されるので、振出注出口部材1の容器100への固着作業が更に容易に行える。また、振出注出口部材1は、支持部11の外周から延在するシール板13がパネル104に固着されるが、シール板13の外方側及び内方側にはこの固着作業の邪魔となる部材がなく、固着作業が更に容易に行える。特に、超音波溶着などによって振出注出口部材1を容器100へ固着する場合においては、シール板13が板状であるので、固着時の加圧が容易に行える。また、シール板13が容器100のパネル104に当接するまで振出注出口部材1を押し込めば良く、押し込み量を考慮する必要が無いので、振出注出口部材1の容器100への固着作業が簡便である。
したがって、振出注出口部材1の容器100への固着作業は、振出注出口部材1の取り付けリブ17をパネル104の孔に挿入してシール板13がパネル104に当接するまで押し込む工程と、支持部11の外周から延在するシール板13とパネル104とを固着する工程とからなり、それぞれの工程は簡易であって連続して行うことが容易であるので、振出注出口部材付容器の生産性が向上するとともに、この固着作業を装置を用いて自動化することが可能である。
ここで、振出注出口部材1の容器100への固着は、容器100が製函される前の状態、つまり、容器100を形成する積層材料を打ち抜いて形成されるブランクの状態で行っても良い。このような固着の場合には、平坦なブランクに振出注出口部材1を固着することができるので、固着作業が容易に行える。
また、容器100への内容物の充填方法は特に限定されるものではない。例えば、容器100の上部101の合わせ部103が開放した接合前の状態で、上述のように容器100に振出注出口部材1を取り付ける。そして、合わせ部103が開放した開口から内容物を充填し、合わせ部103を接合して容器100を密封する。このようにして、振出注出口部材1を備える容器100に内容物が充填された充填体が作製される。容器100に充填される内容物は、粉体や粒体などの流動性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、砂糖、塩、胡椒、出しの素、洗剤などとすることができる。
次に、振出注出口部材1が取り付けられた容器100から内容物を注出する方法について説明する。上述の図13に示される状態において、摘み部41を外方かつ下方へ引っ張り、ヒンジ部32を基点として振り出し部33を外方かつ下方へ揺動させ、振り出し部33を開口部12から引き出す。振り出し部33が開口部12から引き出されることにより、振り出し部33の上部に注出口Sが開放する。そして、容器100を振出注出口部材1側に傾倒して振出注出口部材1の注出口Sから内容物を注出する。
ここで、振り出し部33の閉塞板38は、上方へ向けて先細りの台形である。つまり、振り出し部33の内容物が通過する流路は、開口部12から注出口Sへ向かって先細り形状である。したがって、振出注出口部材1は、内容物を所望の位置に注出しやすく、使い勝手が良い。
また、上述したように、振出注出口部材1は、規制部としての突起44と係止部としての開口部12の縁とによって注出口Sの大きさを調節することができるので、所望の量の内容物を容易に取り出すことができる。そして、例えば、内容物が、砂糖、塩、胡椒、出しの素などの粉体や粒体である場合には、調理の際などには大きさを小さくした注出口Sから少量の内容物を振り出して取り出し、別容器に詰め替える際などには大きさを大きくした注出口Sから大量の内容物を短時間に取り出すことが可能となる。したがって、内容物が粉体や粒体である場合には、特に使い勝手が良い。なお、注出口Sの開口面積は、振り出し部33の形状とヒンジ部32を基点とした振り出し部33の揺動角度に応じて変化するものであり、内容物や容器の使用形態に応じて適宜設計できる。
また、振出注出口部材1は、ヒンジ部32を基点として振り出し部33を外方かつ下方へ揺動させ、振り出し部33を開口部12から引き出す際に、開口部12の内周面20と、側板39の外側面、及びヒンジ部32の左右の端面とが摺接して振り出し部33が揺動するととともに、ヒンジ部32が常に開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)より内方に位置している。そして、注出口Sの大きさ(振り出し部33の揺動角度)によらず、開口部12の内周面20と、閉塞部30の右側部及び左側部(閉塞板38の左右の縁面、側板39の外側面、ヒンジ部32の左右の端面、固定板34の左右の縁面)との接触部は上下方向に渡って途切れることがない。つまり、振出注出口部材1は、ヒンジ部32の近傍を含めて閉塞部30の右側部及び左側部には、開口部12と連通する隙間が形成されない。したがって、振出注出口部材1は、内容物を注出する際に、ヒンジ部32の近傍を含めて閉塞部30の右側部及び左側部からの内容物の漏れを防止でき、内容物を良好に注出することができる。
なお、固定板34の左右の縁面は、開口部12の内周面20(環状リブ15の内周面)と接し、第2フランジ部37の内表面は、開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)と当接しているので、内容物を注出する際に、開口部12の固定部31に対応した部位から内容物が漏れることはない。
また、基部本体10の取り付けリブ17は、下側における爪部22の左右が切り欠かれている。内容物の量が少なくなった場合には、容器100を大きく傾倒して注出する必要があり、このような場合には、容器100の内方へ向かって突出する取り付けリブ17が内容物の開口部12へ向かう流れを阻害する場合がある。しかしながら、このような場合であっても、内容物は、取り付けリブ17の下側における切り欠きを通過して開口部12へ向かうため、内容物を効果的に最後まで注出することができる。
ここで、振出注出口部材は、開栓防止機能を果たすピルファープルーフバンドを備える構成であっても良い。例えば、図14〜図16に示すような振出注出口部材2であっても良い。ここで、図14は別の実施形態に係る振出注出口部材2の一例が示された正面図であり、図15は図14のD−D線断面図であり、図16は図14のE−E線断面図である。振出注出口部材2は、上述の振出注出口部材1の基部本体10にピルファープルーフバンド211を更に有する構成であり、このピルファープルーフバンド211の構成以外は、振出注出口部材1と同様の形態である。なお、図14は閉塞部30によって開口部12が閉塞されて注出口Sが閉じられた状態である。また、図15はと基部本体10との連結を説明する断面図であり、図16は振出注出口部材2の左右中央の鉛直断面図であり、基部本体10のみ断面で示される。
図14〜図16に示すように、ピルファープルーフバンド211は、基板14の外方側であって、開口部12の上側の縁に隣接して配設されている。ピルファープフールバンド211の左右の端部は、破断可能な薄肉部212を介して、開口部12の外表面18側の縁(環状リブ15の外方端部)と連結されている。そして、振り出し部33の摘み部41は、ピルファープルーフバンド211と基板14の外表面18との間に挿入されている。
つまり、振り出し部33のヒンジ部32を基点とした揺動は、ピルファープルーフバンド211によって抑止され、閉塞部30によって開口部12が閉塞された状態が維持されている。なお、ピルファープルーフバンド211を外方へ引っ張り、薄肉部212を破断してピルファープルーフバンド211を基部本体10から切除することによって、振り出し部33のヒンジ部32を基点とした揺動が可能となる。つまり、ピルファープルーフバンド211の有無によって、振出注出口部材2の初期開封の有無を容易に目視できる。したがって、振出注出口部材2は、不正な開栓を防止するピルファープルーフ機能を有する。
なお、ピルファープルーフバンド211は、基部本体10に一体として形成されるものであり、例えば別部材のバージンシールなどの貼付による振出注出口部材へのピルファープルーフ機能の付与とは異なり、安価で振出注出口部材にピルファープルーフ機能を付与することができる。
また、振出注出口部材のシール板による容器への固着は、上述の構成に限定されるものではない。上述の振出注出口部材1、2においては、シール板13の内表面と容器の外面とを超音波溶着や熱溶着や接着剤などによって固着する構成であるが、シール板13の外表面と容器の内面とを超音波溶着や熱溶着や接着剤などによって固着する構成であっても良い。例えば、図17〜図19に示すような振出注出口部材3であっても良い。ここで、図17は別の実施形態に係る振出注出口部材3の一例が示された正面図であり、図18は図17のF−F線断面図であり、図19は図17の振出注出口部材3が容器100に取り付けられた状態の一例が示された断面図である。なお、図17は、上述の図10、図14と同様に、閉塞部30によって開口部312が閉塞されて注出口Sが閉じられた状態である。また、図18は、上述の図11、図15と同様に、振出注出口部材3の左右中央の鉛直断面図であり、基部本体310のみ断面で示される。また、図19は基部本体310と容器100が断面で示され、上述の図13と同様に、振出注出口部材3の左右中央の鉛直断面図である。振出注出口部材3は、基部本体310が、開口部312を有する基板314と胴部317とからなる支持部311と、シール板313とからなる構成であり、この基部本体310の構成以外は、振出注出口部材1と同様の形態である。つまり、振出注出口部材3は、基部本体310と上述の閉塞部30とからなる構成である。
図17、図18に示すように、支持部311は、開口部312を有する平板状の基板314と、基板314の外縁に沿って内方へ垂設される胴部317とからなる。開口部312は、基板314の外表面318と内表面319との間を貫通する孔である。胴部317の内方の端部には、外周からシール板313が延在している。基板314は、開口部312の縁の全周に亘って沿い、外表面318から垂設されて外方へ突出する環状リブ315を有する。そして、開口部312の外表面318側の縁は環状リブ315の外方端部であり、開口部312の内周面320は、環状リブ315の内周面が含まれる構成である。また、基板314は、開口部312の内周面320に連接して開口部312の一部を覆う支持板316を有し、胴部317の外周面には爪部322を有する。爪部322は、シール板313の外表面から外方に所定の間隔を有し、正面視において上下左右の4箇所に形成されている。支持板316は、上述の嵌合突起35を係止する図示せぬ係止孔を有する。また、基板314は、開口部312の内表面319側の左右の縁に、凹状の段部323を有する。なお、基板314、開口部312、シール板313、環状リブ315、支持板316、係止孔、爪部322、段部323は、上述の振出注出口部材1の基板14、開口部12、シール板13、環状リブ15、支持板16、係止孔21、爪部22、段部23に対応するものであり、これらの構成についての説明は省略する。
このような構成の振出注出口部材3は、容器100の内方側から容器に取り付けられる。上述の振出注出口部材1の容器100への取り付けと同様に、容器100の上部101の合わせ部103が開放した接合前の状態において、図19に示すように、胴部102のパネル104(積層材料)に予め形成された孔に振出注出口部材3を容器100の内側から挿入する。その際に、振出注出口部材3は、振り出し部33が基部本体310の開口部312に押し込まれて開口部312が閉塞された状態である。そして、パネル104の孔の外縁が胴部317の爪部322を乗り越えるように振出注出口部材3を内側から押し込み、爪部322とシール板313との間にパネル104を配置させる。なお、パネル104に形成された孔の形状は、図17の正面視における胴部317の外形に対応している。そして、シール板313の外表面とパネル104の内面とを超音波溶着や熱溶着や接着剤などによって固着し、振出注出口部材3を容器100へ固着する。
ここで、胴部317をパネル104の孔に挿入することによって、振出注出口部材1が容器100に仮固定されるので、振出注出口部材1の容器100への固着作業が容易に行える。さらに、胴部317は爪部322を有するので、胴部317がパネル104の孔に挿入された振出注出口部材3は、爪部322によってパネル104に係止されて仮固定される。したがって、振出注出口部材3は、より強固に容器100に仮固定されるので、振出注出口部材3の容器100への固着作業が更に容易に行える。また、振出注出口部材3は、支持部311の外周から延在するシール板313がパネル104に固着されるが、振出注出口部材3はこの固着作業の邪魔となる部材がなく、固着作業が更に容易に行える。特に、超音波溶着などによって振出注出口部材3を容器100へ固着する場合においては、シール板313が板状であるので、固着時の加圧が容易に行える。また、シール板313が容器100のパネル104に当接するまで振出注出口部材3を押し込めば良く、押し込み量を考慮する必要が無いので、振出注出口部材3の容器100への固着作業が簡便である。
したがって、上述の振出注出口部材1と同様に、振出注出口部材3の容器100への固着作業は、仮固定及び固着の2つの工程からなり、それぞれの工程は簡易であって連続して行うことが容易であるので、振出注出口部材付容器の生産性が向上するとともに、この固着作業を装置を用いて自動化することが可能である。
ここで、振出注出口部材3の容器100への固着は、容器100が製函される前の状態、つまり、容器100を形成する積層材料を打ち抜いて形成されるブランクの状態で行っても良い。このような固着の場合には、平坦なブランクに振出注出口部材3を固着することができるので、固着作業が容易に行える。
また、振出注出口部材は、基部本体と閉塞部とが別体として形成される構成に限定されるものではなく、射出成形法によって成形可能な構成であれば良く、基部本体と閉塞部とが一体として形成される構成であっても良い。例えば、図20〜図25に示すような振出注出口部材4であっても良い。ここで、図20は別の実施形態に係る振出注出口部材4の一例が示された正面図であり、図21は図20の振出注出口部材4の側面図であり、図22は図20のG−G線断面図である。また、図23は図20の振出注出口部材4の固定部431が基部本体410に固定された状態の一例が示された断面図であり、図24は図23の振出注出口部材4の注出口Sが閉じられた状態の一例が示された正面図であり、図25は図24のH−H線断面図である。なお、図22、図23、図25は、振出注出口部材4の左右中央の鉛直断面図であり、図23、図25は基部本体410のみ断面で示される。
振出注出口部材4は、基部本体410と閉塞部430とから構成される。基部本体410は、開口部412を有する支持部411と、支持部411の外周から延在するシール板413などを有する。閉塞部430は、開口部412に対応して配設されており、開口部412の外側に位置している。閉塞部430は、固定部431と、固定部431に薄肉のヒンジ部432を介して連結する振り出し部433とを有する。閉塞部430の固定部431は、基部本体410の支持部411に薄肉の連結ヒンジ部416を介して連結されている。なお、後述する破断可能な薄肉部446を破断した際には、振り出し部433は、薄肉のヒンジ部432を基点として固定部431に対して揺動自在であり、閉塞部430は、薄肉の連結ヒンジ部416を基点として、基部本体410に対して揺動自在である。
より詳細には、基部本体410の支持部411は、開口部412を有する平板状の基板414である。基板414は、取り付けリブ417などを有する。基板414は、正面視において、上側が半円形であり、下側が矩形であり、半円形と矩形とが組み合わせられた形状であり、左右対称の形状である。基板414が有する開口部412は、基板414の外表面418と内表面419との間を貫通する孔である。開口部412は、正面視において、上側が上方へ向けて先細りの台形であり、下側が矩形であり、台形と矩形とが組み合わせられた左右対称の形状である。
取り付けリブ417は、基板414の外縁に沿って内表面419から内方へ垂設されるリブである。取り付けリブ417は、先端部にテーパーを有する先細り形状である。取り付けリブ417は、外周面に爪部422を有する。爪部422は、シール板413の内表面から内方に所定の間隔を有し、正面視において上下左右の4箇所に配置される。なお、取り付けリブ417は、下側における爪部422の左右が切り欠かれている。
基部本体410のシール板413は、基板414の外縁から基板414と同一平面方向へ延びる平板であり、基板414の外周に延在している。シール板413の外形は、正面視において、上述の基板414と相似形状であって、上側が半円形であり、下側が矩形であり、半円形と矩形とが組み合わせられた形状であり、左右対称の形状である。シール板413の厚みは、基板414の厚みより薄い。
閉塞部430の固定部431は、平板状の固定板434と、2つの嵌合突起435などから構成される。固定板434は、上述の開口部412の下側の矩形に対応する矩形の平板であり、上方に向かって外方へ傾斜している。固定板434の上側端部は、外表面にテーパーを有する先細り形状である。この先細りの上側の先端部に薄肉のヒンジ部432が連設される。また、固定板434の下側端部は、外表面と内表面にテーパーを有する先細り形状である。この先細りの下側の先端部に薄肉の連結ヒンジ部416が連設される。
薄肉の連結ヒンジ部416は、固定板434の先細りの下側端部と開口部412の外表面418側の縁との間に介在し、固定板434の右側端部から左側端部まで直線状に延びている。なお、連結ヒンジ部416は、固定板434と開口部412の外表面418側の縁との間において、所定の幅を有する帯状である。つまり、連結ヒンジ部416の上側端部は、固定板434の下側端部に連結し、連結ヒンジ部416の下側端部は、開口部412の外表面418側の縁に連結し、固定部431は、連結ヒンジ部416を介して基板414に連結している。
2つの嵌合突起435は、固定板434の内表面から内方へ垂設される板状の突起である。2つの嵌合突起435は、連結ヒンジ部416の右側及び左側の端部からそれぞれ固定板434の外縁に沿ってヒンジ部432の右側及び左側の端部まで延びている。嵌合突起435は、側面視において、略矩形であり、基板414の外表面418より外方に位置している。嵌合突起435の外側面には、爪部436が形成されている。また、固定板434は、左右の外縁から更に延びる平板状の第2フランジ部437を有する。第2フランジ部437の厚みは、固定板434の厚みよりも薄い。そして、第2フランジ部437の外表面と固定板434の外表面は連続しており、同一平面上に位置している。なお、第2フランジ部437は、爪部436と所定の間隔を有している。
薄肉のヒンジ部432は、固定板434の先細りの上側端部に連設され、固定板434の右側端部から左側端部まで直線状に延び、連結ヒンジ部416と平行である。
振り出し部433は、平板状の閉塞板438と、左右一対の側板439などから構成される。閉塞板438は、ヒンジ部432から上方かつ外方へ延びる平板である。閉塞板438は、上縁が短辺で下縁が長辺の上方へ向けて先細りの台形であり、上述の開口部412の上側の台形に対応する形状である。なお、ヒンジ部432と連結する閉塞板438の下側端部は、外表面にテーパーを有する先細り形状である。そして、この閉塞板438の先細りの下側端部は、右側端部から左側端部までヒンジ部432と連結している。ここで、ヒンジ部432は、固定板434と閉塞板438との間において、所定の幅を有する帯状である。つまり、ヒンジ部432の上側端部は、閉塞板438の下側端部に連結し、ヒンジ部432の下側端部は、固定板434の上側端部に連結し、閉塞板438は、ヒンジ部432を介して固定板434に連結している。そして、閉塞板438の内側面と、ヒンジ部432の内側面と、固定板434の内側面は同一平面上に位置している。
閉塞板438は、ヒンジ部432が連結される下側の外縁以外の右側、左側、及び上側の外縁には、これらの外縁から更に延びる平板状の第1フランジ部440を有する。第1フランジ部440の厚みは、閉塞板438の厚みよりも薄い。そして、第1フランジ部440の外表面と閉塞板438の外表面は連続しており、同一平面上に位置している。また、閉塞板438は、ヒンジ部432と対向する上側端部には、第1フランジ部440よりも更に上方へ延びる板状の摘み部441を有する。
左右一対の側板439は、閉塞板438の内表面から内方へ垂設される板状部材である。左右の側板439は、ヒンジ部432の右側及び左側の端部からそれぞれ閉塞板438の外縁に沿って閉塞板438の上側端部まで延びている。なお、左右一対の側板439は、基板414の外表面418より外方に位置している。
左右の側板439は、上部の外方側の縁に、抜け止め部としての切り欠き442を有する。また、左右の側板439は、上部に内方へ向けて延びる連結部445を有する。連結部445は、基板414の外表面418の近傍まで延びるとともに、その内方の先端は、破断可能な薄肉部446を介して、開口部412の外表面418側の縁に連結している。つまり、左右の側板439は、上部の内方側の端部が薄肉部446を介して、開口部412の外表面418側の縁にそれぞれ連結している。また、左右の側板439の上端部の間には、左右方向に延びる板状の補強板443が形成される。つまり、左右の側板439は補強板443を介して連結しており、振り出し部433の剛性が向上されるとともに、側板439の倒れが防止される。
また、左右の側板439は、外側面から突出し、先端が丸みを帯びた規制部としての4つの突起444(444a〜444d)をそれぞれ有する。なお、この規制部としての4つの突起444は、上述の振出注出口部材1の規制部としての4つの突起44と同様の構成であり、その構成についての説明は省略する。
また、側板439は、開口部412の上側の台形の斜辺に対応して配置される。そして、側板439は、突起444を有する外側面側が突出するように凸状に湾曲しており、振り出し部433がヒンジ部432を基点として揺動される際に、開口部412に挿入された側板439の外側面と開口部412の内周面420とが常に摺接するように構成されている。
上述のような構成の振出注出口部材4においては、破断可能な薄肉部446を破断するとともに、閉塞部430の固定部431を基部本体410に固定させることによって、振出注出口部材としての機能を奏する形態となる。より詳細には、薄肉部446が破断された閉塞部430において、開口部412の上側の台形の孔に、振り出し部433の側板439を外方側から挿入し、抜け止め部としての切り欠き442を基板414の内方側に位置させる。一方で、固定部431を開口部412へ向かって連結ヒンジ部416を基点として揺動させ、開口部412へ外方側から押し込む。この際、2つの嵌合突起435は、開口部412に挿入される。そして、固定板434を押し込むことで爪部436を有する2つの嵌合突起435が開口部412の左右の縁にそれぞれ係止され、閉塞部430の固定部431が支持部411の基板414に固定される(図23参照)。ここで、閉塞部430の基部本体410への固定は、嵌合突起435が開口部412の縁に係止されることよって固定されるものである。つまり、接着剤などを用いることなく閉塞部430を基部本体410へ固定するので、内容物に衛生面で影響を与えることがない。また、振出注出口部材4の製造及び組み立てが容易であり、生産性が良い。
なお、図23に示される振出注出口部材4は、上述の振出注出口部材1の図1〜図3と同様に内容物を注出する注出口Sが開放している状態である。注出口Sは、振り出し部433の上端部における閉塞板438と左右一対の側板439によって囲われる開口である。そして、内容物は、内側から外側に向かって支持部411の開口部412を通過し、振り出し部433を介して振り出し部433の上部から注出される。
ここで、固定部431が支持部411に固定された状態において、固定板434の左右の縁面は、開口部412の内周面420と接している。また、固定板434の下側端部は、連結ヒンジ部416を介して開口部412の下側端部の外表面418側に連設されている。また、第2フランジ部437の内表面は、開口部412の外表面418側の縁と当接し、開口部412の内周面420と固定板434との接触部は、第2フランジ部437によって外方から覆われている。したがって、固定部431に対応する開口部412の閉塞性が高い。
また、図23に示すように、薄肉のヒンジ部432は、開口部412の外表面418側の縁より内方に位置している。また、薄肉のヒンジ部432の左右の端面は、開口部412の内周面420と接している。また、左右一対の側板439の外側面は、開口部412の内周面420と接している。また、ヒンジ部432との連結部の近傍における閉塞板438の左右の縁面は、開口部412の内周面420と接している。そして、開口部412の内周面420と、閉塞部430の右側部及び左側部(閉塞板438の左右の縁面、側板439の外側面、ヒンジ部432の左右の端面、固定板434の左右の縁面)との接触部は上下方向に渡って途切れることがない。つまり、振出注出口部材4は、注出口Sが開放した状態において、ヒンジ部432の近傍を含めて閉塞部430の右側部及び左側部には、開口部12と連通する隙間が形成されていない。また、閉塞部430が基部本体410へ取り付けられた状態において、抜け止め部としての切り欠き442は、基板414の内表面419と当接している。
このような構成の振出注出口部材4は、上述の振出注出口部材1と同様に、薄肉のヒンジ部432を基点に振り出し部433を揺動させ、振り出し部433を開口部412から出し入れすることにより、注出口Sの開閉、注出口Sの大きさの調節ができる。ここで、図24、図25に、注出口Sが閉じられた状態の振出注出口部材4の一例を示す。なお、図24は注出口Sが閉じられた状態の振出注出口部材4の正面図であり、図25は図24におけるH−H線断面図であり、図25は基部本体410のみが断面で示される。
振り出し部433が開口部412へ押し込まれて注出口Sが閉じられた状態において、閉塞板438の左右の縁面は、開口部412の内周面420と接している。また、第1フランジ部440の内表面は、開口部412の外表面418側の縁と当接している。したがって、開口部412の内周面420と閉塞板438との接触部は第1フランジ440によって外方から覆われているため、開口部412の閉塞性が高い。
また、2つの突起444a、444bと、開口部412の内表面419側の縁とが当接して振り出し部433が基部本体410に係止されている。したがって、振り出し部433は、開口部412の縁によって基部本体410に係止され、開口部412は閉塞状態に維持されるので、開口部412の閉塞性が高い。
また、振出注出口部材4は、上述の振出注出口部材1と同様に、抜け止め部としての切り欠き442と補強板443を有する。したがって、振り出し部433が開口部412から過剰に引き出されることがなく、開口部412に挿入された側板439の抜けが防止され、使い勝手が良い。また、振出注出口部材4の破損を防止できる。
また、振出注出口部材4は、上述の振出注出口部材1と同様に、規制部としての4つの突起444を有する。したがって、注出口Sの大きさを3つの形態に調節することができるので、使い勝手が良い。
また、薄肉のヒンジ部432を基点に振り出し部433を揺動させる際に、振出注出口部材4は、上述の振出注出口部材1と同様に、開口部412の内周面420と、側板439の外側面、及びヒンジ部432の左右の端面とが摺接して振り出し部433が揺動するととともに、ヒンジ部432が常に開口部412の外表面418側の縁より内方に位置している。そして、注出口Sの大きさ(振り出し部433の揺動角度)によらず、開口部412の内周面420と、閉塞部430の右側部及び左側部(閉塞板438の左右の縁面、側板439の外側面、ヒンジ部432の左右の端面、固定板434の左右の縁面)との接触部は上下方向に渡って途切れることがない。つまり、振出注出口部材4は、ヒンジ部432の近傍を含めて閉塞部430の右側部及び左側部には、開口部412と連通する隙間が形成されない。したがって、振出注出口部材4は、振出注出口部材1と同様に、内容物を注出する際に、ヒンジ部432の近傍を含めて閉塞部430の右側部及び左側部からの内容物の漏れを防止でき、内容物を良好に注出することができる。
また、振出注出口部材4は、基部本体410と閉塞部430を射出成形法によって一体として成形することができ、振出注出口部材1の製造速度が向上して製造コストの低減が図れる。また、振出注出口部材4は、基部本体410と閉塞部430が連結ヒンジ部416とともに、破断可能な薄肉部446を介して連結している。したがって、固定部431を支持部411に固定する前の振出注出口部材4において、連結ヒンジ部416とヒンジ部432に過度な荷重が加わることを防止し、振出注出口部材4の破損の可能性を低減することができる。また、固定部431を支持部411に固定する前の振出注出口部材4の取り扱い、特に搬送時における取り扱いが容易となる。
ここで、振出注出口部材の寸法は限定されるものでない。振出注出口部材は、容器100に取り付け可能な寸法であって、所望の量の内容物を取り出し可能な注出口Sの開口面積を確保できる寸法であればよい。また、注出口Sの開閉、注出口Sの大きさの調節する際には、摘み部を摘んで、薄肉のヒンジ部を基点に振り出し部を揺動させ、振り出し部を開口部から出し入れするため、摘み部は指で把持できる大きさの寸法である。また、薄肉のヒンジ部と薄肉の連結ヒンジ部の厚み及び上下方向の幅や、破断可能な薄肉部の厚みは、振出注出口部材を形成する材料に応じて適宜設計する。また、振出注出口部材を構成する各部材の厚みは、射出成形法によって形成することが可能な厚みであり、振出注出口部材を形成する材料に応じて適宜設計する。
また、以上に説明がなされた本実施形態に係る振出注出口部材1、2、3、4などは、矛盾の生じない範囲で自由に組み合わせることができる。例えば、振出注出口部材4において、振出注出口部材1の環状リブ15に相当する、開口部412の縁の全周に亘って沿い、基板414の外表面418から垂設されて外方へ突出するリブを設けても良い。一方で、振出注出口部材1、2、3において、振出注出口部材4のように、基部本体10が、環状リブ15を備えない構成としても良い。また、振出注出口部材1、2、4において、振出注出口部材3のように、基部本体の支持部211、311、411が、開口部を有する平板状の基板と、基板の外縁に沿って内方へ垂設される胴部とからなり、取り付けリブを備えない構成であっても良い。