以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例]
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプも複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
上皿55の上部ほぼ中央には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、この演出ボタン67は、周囲にジョグダイヤル68を備えたものとなっている。遊技者が所定期間中に、演出ボタン67やジョグダイヤル68を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50の上皿55には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
図2は、本実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。
センターケース5の下には、第1始動口11が配置され、更にその下には、第2始動口12が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。センターケース5の左方にはゲート17が配置されており、ここを遊技球が通過すると普通図柄が変動し、普通図柄が当り図柄で停止すると翼片が開放される。遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、第1特別図柄保留数表示装置18と、第2特別図柄保留数表示装置19と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9と、第2特別図柄表示装置10とが配置されている。
第2始動口12の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。これら普通入賞口を総じて一般入賞口31ともいう。
パチンコ遊技機50の裏面は図3に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83がサブ制御装置に該当する。
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子78が設けられており、この外部接続端子78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。なお、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子78には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子78を介してホールコンピュータへ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。なお、入賞口スイッチ31aの符号は第1左入賞口31に対応しているが、前記各一般入賞口、すなわち第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に対してそれぞれ入賞口スイッチが設けられており、各一般入賞口に遊技球が入ったことを個別に検出可能に構成されている。
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、及び普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールメインコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを演出中継端子板65を介して受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67およびジョグダイヤル68が接続されており、遊技者がこれら各ボタン67、68を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
メインルーチンを図5に従って説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S10〜S65までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS70の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(S70)に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理が実行される(S20)。この処理は、初期値乱数の値についてこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「299」のときには次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。
S20に続く大当り決定用乱数更新処理(S25)は、初期値乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、最大値である「299」のときは次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。なお、大当り決定用乱数の最初の値は、初期値乱数設定処理で設定された値となる。この値が250であったとすると、大当り決定用乱数は「250」「251」「252」・・・「299」「0」「1」・・・と更新されていく。
なお、大当り決定用乱数が1巡(300回、更新されること)すると、そのときの前記初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にし、大当り決定用乱数は、その初期値から+1するインクリメント処理を行う。そして、再び大当り決定用乱数が1巡すると、その時の初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする動作を行なう。つまり、この一連の動作を繰り返し続けることになる。前述の例では大当り決定用乱数が「249」になると1巡であるから、「249」の次は前記初期値乱数の値となる。仮に初期値乱数の値が「87」だったとすると、「249」「87」「88」・・・「299」「0」「1」・・・「86」と変化していき、「86」の次は新たな前記初期値乱数の値となる。大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)は「0」〜「249」の250個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
S30に続く当り決定用乱数更新処理(S35)は、「0」〜「5」の6個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、当選することとなる値の数は開放延長状態では「1」、「2」、「3」、「4」、「5」であり、通常状態(非開放延長状態)は「3」である。つまり開放延長状態では5/6の確率で当選し、通常状態では1/6の確率で当選する。この当り決定用乱数更新処理は普通図柄の抽選に使用し、その他の初期値乱数、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は特別図柄(特図ともいう)の抽選に使用する。
リーチ判定用乱数更新処理(S40)は、「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時に当選する値の数は21で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時で変動時間短縮機能作動時に当選する値の数は5で、値は「0」〜「4」であり、高確率状態時に当選する値の数は6で、値は「0」〜「5」である。
変動パターン決定用乱数更新処理(S45)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。続く入賞確認処理(S50)では、第1始動口11、第2始動口12の入賞の確認及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数を取得されるのだが、保留記憶できる数を第1始動口11と第2始動口12とで夫々4個までとしており、保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が対応する始動口(第1始動口11又は第2始動口12)に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。
続いて、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての当否判定処理(S55)を行う。この当否判定処理(S55)が終了すると、続いて不正監視処理(S60)が実行される。不正監視処理(S60)は、普通入賞口(第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34)に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。つまり、不正判断手段は、主制御装置80に設けている。
続く各出力処理(S65)では、遊技の進行に応じて主制御装置80は演出図柄制御装置82、払出制御装置81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、大入賞口ソレノイド14b等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S50)により遊技盤1上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置81に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置83に出力する処理を、パチンコ機50に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数更新処理(S70)から構成されるが、前述したS20と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S65までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図5に示された割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数に更新される値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性は極めて小さくなる。大当り決定用乱数が1巡したときの、初期値乱数の値(0〜299の300通り)が、同程度に発生するとすれば、同期する確率はわずか1/300である。また、前述した当り決定用乱数更新処理(S35)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
始動入賞確認処理(S50)の概要を図6に示す。当処理は入賞確認処理(S50)のサブルーチンで、主制御装置80は、まず第1始動口スイッチ11aの検出信号に基づいて、第1始動口11に遊技球が入球したか否かを判断する(S100)。肯定判断なら(S100:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、第1特別図柄の保留記憶(第1保留記憶または第1保留ともいう)が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S105)。
第1保留記憶が満杯でなければ(S105:no)、上記の各乱数を第1保留として記憶し、第1特別図柄保留数表示装置18の点灯態様を1増加させる(S110)。なお、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19は、それぞれ4個のLEDの点灯または消灯させることにより保留記憶されている数を表すものである。また、S110では第1特別図柄の保留個数が更新されたことを示すコマンド(保留個数コマンド)をサブ統合制御装置83に送信し、S115に移行する。第1始動口11に遊技球が入球していない場合(S100:no)、又は第1保留が満杯の場合(S105:yes)は、そのままS115に移行する。
S115では、第2始動口スイッチ12aの検出信号に基づいて、第2始動口12に遊技球が入球したか否かを判断する。肯定判断なら(S115:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、第2特別図柄の保留記憶(第2保留記憶または第2保留ともいう)が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S120)。
第2保留記憶が満杯でなければ(S120:no)、上記の各乱数を第2保留として記憶し、第2特別図柄保留数表示装置19の点灯態様を1増加させる(S125)。また、S125では第2特別図柄の保留個数が更新されたことを示すコマンド(保留個数コマンド)をサブ統合制御装置83に送信し、当処理を終了(リターン)する。第2始動口12に遊技球が入球していない場合(S115:no)、又は第2特図の保留記憶が満杯の場合(S120:yes)は、そのまま当処理を終了する。
S55の当否判定処理の内、特別図柄に係る当否判定などを行なう処理は、図7〜10に示すようなもので、主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S200)。S200の判定が否定判断で、特別図柄が変動中でなく(S205:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S210:no)、図8のS250に移行し、第2特図の保留記憶(S125による保留記憶)があるか否かを判断する。
この保留記憶があれば(S250:yes)、第2特図の保留記憶数をデクリメントし(S255)、S270に進む。第2保留がない場合(S250:no)は、S260に進み、第1特図の保留記憶(S110による保留記憶)があるか否かを判断する。この保留記憶があれば(S260:yes)、第1特図の保留記憶数をデクリメントし(S265)、S270に進む。S270では保留記憶の中で最も古いもの(但し第2保留が存在する場合は、第1保留の方が古い場合でも第2保留を優先)を読み込んで(その保留記憶は消去する)、確変フラグがセットされている(すなわち1)か否かを判定する。ここで確変フラグが1とは、現在のパチンコ機50が高確率遊技状態であることを意味する。肯定判断であれば(S270:yes)、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブルに記録されている当り値と照合する(S275)。ここで当り値の数は10で、7〜16である。つまり当り確率は1/30となる。S270が否定判断された場合(S270:no)は、S280にて当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合する。ここで当り値は7のみである。つまり当り確率は1/300となる。
S275またはS280の判定が行なわれると、S285にて大当りか否かを判定(当否判定)し、肯定判定であれば(S285:yes)、大当り図柄決定用乱数によって大当り図柄(当り図柄ともいう)を決定する(S290)。ここで、大当り図柄決定用乱数と大当り図柄の関係を図16(a)に示す。前後するが、大当り図柄決定用乱数の値が110〜144の場合に設定される7種類の特別図柄から説明する。大当り図柄決定用乱数の値が110〜114の場合には、7セグメント表示装置において「1」として用いられる図柄に、小数点を加えた図柄が設定される。大当り図柄決定用乱数の値が115〜119の場合、には、7セグメント表示装置において「2」として用いられる図柄が用いられる(小数点はなし)。大当り図柄決定用乱数の値が120〜124の場合には、7セグメント表示装置において「3」として用いられる図柄に、小数点を加えた図柄が設定される。大当り図柄決定用乱数の値が125〜130の場合には、7セグメント表示装置において「4」として用いられる図柄が設定される(小数点はなし)。大当り図柄決定用乱数の値が130〜134の場合には、7セグメント表示装置において「5」として用いられる図柄に、小数点を加えた図柄が設定される。大当り図柄決定用乱数の値が135〜139の場合には、7セグメント表示装置において「6」として用いられる図柄(一番上の横棒のセグメントは消灯)が設定される(小数点はなし)。大当り図柄決定用乱数の値が140〜144の場合には、7セグメント表示装置において「7」として用いられる図柄(左上の縦棒はなし)に、小数点を加えた図柄が設定される。
大当り図柄決定用乱数の値が0〜109の場合には、以上7種類の図柄のそれぞれを一部変更した図柄が設定される。例えば、大当り図柄決定用乱数の値が0〜19の場合には、7セグメント表示装置において「1」として用いられる図柄から右下の縦棒のセグメントを除き、小数点を加えた図柄が設定される。大当り図柄決定用乱数の値が20〜39の場合には、7セグメント表示装置において「2」として用いられる図柄から上下の2個の横棒のセグメントを除いた図柄が用いられる。
大当り図柄決定用乱数の値が145〜149の場合に設定される7種類の図柄は、大当り図柄決定用乱数の値が0〜19の場合に設定される7種類の図柄において、小数点の点灯/消灯を逆にしたものとなっている。例えば、大当り図柄決定用乱数の値が100〜104の場合に設定される特別図柄は、「h」に似た図柄で、小数点は消灯しているが、大当り図柄決定用乱数の値が180〜104の場合に設定される特別図柄は、「h」に似た図柄において更に小数点を点灯させたものとなっている。また、大当り図柄決定用乱数の値が105〜109の場合に設定される特別図柄は、上の横棒のセグメント、右上の縦棒のセグメント、及び小数点を点灯させた図柄となっているが、大当り図柄決定用乱数の値が190〜199の場合に設定される特別図柄は、上の横棒のセグメントと右上の縦棒のセグメントのみを点灯させ、小数点を消灯させた図柄となっている。
大当り図柄決定用乱数の値が200〜249の場合に設定される5種類の図柄は、大当り図柄決定用乱数の値が110〜134の場合に設定される5種類の図柄において、小数点の点灯/消灯を逆にしたものとなっている。例えば、大当り図柄決定用乱数の値が110〜114の場合に設定される特別図柄は、7セグメント表示装置において「1」として用いられる図柄に、小数点を加えた図柄であったが、大当り図柄決定用乱数の値が200〜209の場合に設定される特別図柄は、7セグメント表示装置において「1」として用いられる図柄となっている(小数点は消灯)。逆に、大当り図柄決定用乱数の値が115〜119の場合に設定される特別図柄は、7セグメント表示装置において「2」として用いられる図柄で、小数点は消灯されていたが、大当り図柄決定用乱数の値が210〜219の場合に設定される特別図柄は、7セグメント表示装置において「2」として用いられる図柄において、更に小数点を点灯させた図柄となっている。以上、26種類の特別図柄が当り図柄として用いられる。なお、第1特図と第2特図では共通の表示図柄を用いる。
図8に戻る。次に変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定し(S295)、大当り設定処理を行う(S300)。なお、S265において外れと判定された場合は、S320に移行し小当りか否かを判定する。これは予め決定された小当り値が記憶されたテーブルと、大当り決定用乱数を比較する。小当りとなる値は「70」「140」であり、小当り確率は2/300すなわち1/150となっている。肯定判定であれば(S320:yes)、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定し(S325)、小当り設定処理(S330)を行なってS315に合流する。
小当り設定処理(S330)では小当り図柄の設定も行なうが、この設定においても大当り図柄決定用乱数を用いる。大当り図柄決定用乱数と小当り図柄の関係を図16(b)に示す。小当り図柄は5種類あり、これらは図16(a)に示した大当り図柄にそれぞれ似ている。具体的には、大当り図柄決定用乱数の値が0〜49の場合に設定される小当り図柄は、大当り図柄決定用乱数の値が200〜209の場合に設定される大当り図柄を左右反転させた図柄に似ている。大当り図柄決定用乱数の値が50〜99の場合に設定される小当り図柄は、大当り図柄決定用乱数の値が20〜39の場合に設定される大当り図柄を左右反転させた図柄に似ている。大当り図柄決定用乱数の値が100〜149の場合に設定される小当り図柄は、大当り図柄決定用乱数の値が220〜229の場合に設定される大当り図柄を左右反転させた図柄に似ている。大当り図柄決定用乱数の値が150〜199の場合に設定される小当り図柄は、大当り図柄決定用乱数の値が220〜229の場合に設定される大当り図柄を左右反転させた図柄に似ている。大当り図柄決定用乱数の値が200〜249の場合に設定される小当り図柄は、大当り図柄決定用乱数の値が170〜179の場合に設定される大当り図柄を左右反転させた図柄に似ているなお、小当り図柄は、第1特図にのみ存在する。
また、図17に示した大当り図柄および小当り図柄の他にハズレ図柄(図示しない)が存在し、それは7個のセグメントを「H]型に点灯させる。図8に戻る。S320で小当りではないと判定された場合は、S335に移って変動パターン決定処理を行ない、ハズレ設定処理(S340)を行なった上でS315に合流する。
S315では、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には通常大当り、確変大当り、小当り、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力し(S315)、特別遊技処理に移行する。なお、S315の処理により演出図柄表示装置6では演出図柄を設定し、その変動表示を開始するが、ほぼ同時に特別図柄の変動も主制御装置80によって開始される。また、特別図柄が変動する際には必ず演出図柄も変動され、且つ演出図柄が変動されるときには特別図柄も変動されるので、これらの図柄が変動することを単に「図柄が変動する」とも言う。
図7において特別図柄が変動中(S205:yes)と判定された場合には、図9のS350に移行し、図柄変動時間(S295、又はS305の変動パターンに基づく)が経過したか否かを判定する。否定判断(S350:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断であれば確定図柄表示処理(S355)を行なってから特別遊技処理を行う。
図7において確定図柄を表示中と判定された場合(S210:yes)には、図10のS400に移行し、確定図柄の表示時間が終了したか否かを判定する。否定判断(S400:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断であれば確定図柄表示終了処理(S405)を行なってから大当りになる組合せや否かを判定する(S410)。肯定判断なら確変フラグが1か否かを判定し(S415)、肯定判断なら(S415:yes)確変フラグを0にし(S420)、S425に移行する。否定判断なら(S415:no)そのまま、S425に移行する。
S425では、時短フラグが1か否かを判定する。時短フラグが1であれば(S425:yes)、S430にて時短フラグを0にし、S435に移行する。時短フラグが1でなければ(S425:no)、そのままS435に移行する。時短フラグを1にすると本実施例では特別図柄の平均変動時間短縮、普通図柄の平均変動時間短縮、普通電動役物12の開放延長機能をセットする。
S435では、条件装置作動開始処理により、大当りフラグをセットする。そしてS440にて役物連続作動装置を作動させ、S445にて大当り開始演出処理を行なう。大当り開始演出処理では、大当り遊技を開始するコマンド及び大当り遊技に係る情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)をサブ統合制御装置83に送信する。大当り開始演出処理が終了すると、特別遊技処理を行なう。
S410で、確定表示させた特別図柄が大当りになる表示でないと判定された場合は、S450に移行して確変フラグが1か否かを判定する。肯定判断(S450:yes)であれば、確変回数が0か否かを判定する(S455)。確変回数が0であれば(S455:yes)、S460にて確変フラグを0にし、S465に進む。確変フラグが1でないとき(S450:no)、または確変回数が0ではないとき(S455:no)は、そのままS465に移行する。S465では、時短フラグが1か否かを判定し、1であれば(S465:yes)、時短回数が0か否かを判定する(S470)。時短回数が0であれば(S470:yes)、S475にて時短フラグを0にしてS480に進む。時短回数が0ではないとき(S470:no)又は時短フラグが1でないとき(S465:no)はそのままS480に移行する。S480では、現在の遊技状態が確変中であるか否か、時短中であるか否か等の状態を示す状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、S485に移行する。S485では、小当りになる組み合わせか否かを判定し、肯定判断であれば(S485:yes)、S490に移行する。S490では特別電動役物作動開始処理を実行し、続くS495で小当り開始演出処理を行うと、特別遊技処理を実行する。否定判断であれば(S485:no)、そのまま特別遊技処理を実行する。
図11〜13に示す特別遊技処理では、主制御装置80は、役物連続作動装置が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S500)。役物連続作動装置が作動中なら(S500:yes)、大入賞口14が開放中か否かを判断する(S505)。大入賞口14の開放中ではない場合は(S505:no)、ラウンド間のインターバル中により大入賞口14が閉鎖しているのか判断する(S510)。インターバル中でもない場合は(S510:no)、大当り終了演出中であるか判断する(S515)。これも否定判断の場合は(S515:no)、大当り遊技を開始する演出に要する時間が経過したか否かを判定する(S520)。大当り開始演出時間が経過した場合は(S520:yes)、大入賞口開放処理(S525)を行なって当処理を終了(リターン)する。大当り開始演出時間が経過していない場合は(S520:no)、そのまま当処理を終了する。
S505で大入賞口14が開放中であると判定された場合は、図12のS550に進み、大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。なお、本実施例では10個だが、9個、8個でもよく、特に限定するものではない。大入賞口14に10個入賞した場合(S550:yes)にはS560に進み、大入賞口閉鎖処理を行う。そして大当りインターバル処理(S565)を行なって、特別遊技処理を終了する。大入賞口14に10個入賞していない場合(S550:no)にはS555に進み、大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定する。本実施例では、16ラウンドまたは10ラウンドでの大当りの場合は各ラウンドの最大開放時間は29秒に設定しており、2ラウンドでの大当りの場合は各ラウンドの最大開放時間は0.3秒に設定している。無論、この秒数に限定するものではない。開放時間が終了した場合(S555:yes)には、S560に合流し、終了していない場合(S555:no)は特別遊技処理を終了する。
図11のS510でインターバル中であると判定された場合は、図12のS570に進み、大当りインターバル時間が経過したか否かを判定する。インターバル時間が経過している場合(S570:yes)は、直前に大入賞口14が開いていたのが最終ラウンドか否かを判定する(S575)。最終ラウンドであれば(S575:yes)、大当り終了演出処理(S580)を行い、特別遊技処理を終了する。最終ラウンドでなければ(S575:no)、再び大入賞口14を開放する処理(S585)を行い、特別遊技処理を終了する。なお、大当りインターバル時間が経過していないと判定された場合(S570:no)には、そのまま特別遊技処理を終了する。なお、大入賞口14を開放・閉鎖する処理においては、サブ統合制御装置83にも信号を送信する。サブ統合制御装置83は、その信号に基づいて、現在のラウンドを把握し、該ラウンドに応じた演出を行なう。
図11のS515で大当りの終了演出中であると判定された場合は、図13のS600に進み、大当り終了演出時間が経過したか否かを判定する。大当り終了演出時間が経過した場合には(S600:yes)、役物連続作動装置の作動を停止し(S605)、条件装置の作動を停止する(S610)。そしてS615にて大当り終了後に確変状態に移行するか否かを判定し、肯定判断(S615:yes)なら確変回数設定処理(S620)を行なう。そして確変フラグに1をセット(S625)し、S630に移行する。否定判断(S615:no)ならそのままS630に移行する。S630では大当り終了後に時短状態に移行するか否かを判定し、肯定判断(S630:yes)なら時短回数設定処理(S635)を行なう。そして時短フラグに1をセット(S640)し、S645に移行する。否定判断(S630:no)ならそのままS645に移行する。そして、大当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S645)、状態指定コマンド送信処理を実行(S650)し、特別遊技処理を終了する。
状態指定コマンド送信処理(S650)の内容は、S480の処理と同様である。ただし、S480の状態指定コマンド送信処理では、S405にて確定図柄の表示が終了した後、S410にて「大当りになる組合せ」ではないと判定された後に実行されるものであるため、はずれになる都度、状態指定コマンドがサブに送られることになる。これに対してS650は、S600にて大当り終了演出時間が経過したと判定された後に実行されるので、大当りが終了する都度、状態指定コマンドがサブに送られることになる。そして、主制御装置80は、その状態指定コマンドが、何れの処理で送信されたものかを示す情報も添えてサブ統合制御装置83に送信される。図13に戻る。S600にて大当り終了演出時間が経過していないと判断された場合には、そのまま特別遊技処理を終了する。図11で役物連続作動装置が作動していないと判定された場合(S500:no)には小当り処理を行なうが、これについては省略する。その概要のみを示すと、大入賞口14を0.3秒間だけ2回開放し、開放中に規定数以上の入賞があった場合は0.3秒を経過する前に閉鎖するという処理である。そしてこの開放パターンは、2R特定時短有図柄が表示されて生起された大当りとほぼ同じ開放パターンとなっている。
図14にサブ統合制御装置83のCPUによって実行されるモード設定処理のフローチャートを示す。当処理は、主制御装置80から状態指定コマンドを受信すると起動する。ただしこの状態指定コマンドは、S650(図13参照)の状態指定コマンド送信処理によって送信されたものを対象とし、S480の状態指定コマンド送信処理によって送信されたものは対象としない。つまり当処理は、大当りが終了した直後に起動されることになる。主制御装置80から状態指定コマンドを受信すると(S700:yes)、当り図柄と、該当りの発生時の状態に対応するモード切替パターンを設定する。S315の処理により送信される変動開始コマンドには、大当り図柄決定用乱数の値およびそのときの遊技状態も含まれており、大当り図柄決定用乱数に基づいて、演出図柄表示装置6に表示する演出図柄を決定する。こうして決定した演出図柄、及び当った際の遊技状態とからモード切替パターンを決定する。
モード切替パターンについて、図17、図18を用いて説明する。まず図17は、演出図柄表示装置6に表示される当り図柄(演出図柄)と、該当り図柄により発生された大当り後の遊技状態を示すものである。なお、本図では小当り図柄とハズレ図柄についても併記した。また、各大当り図柄が表示されるときの大当り図柄決定用乱数の値も示した。図17に示すように、第1特図においては、16ラウンド(図ではRと表記。以下これに倣う)特定時短有図柄は大当り図柄決定用乱数が0〜99の場合に対応し、10R特定時短有図柄1は大当り図柄決定用乱数が100〜109の場合に対応し、10R特定時短有図柄2は大当り図柄決定用乱数が110〜119の場合に対応し、10R特定時短有図柄3は大当り図柄決定用乱数が120〜129の場合に対応し、10R特定時短有図柄4は大当り図柄決定用乱数が130〜139の場合に対応し、10R特定時短有図柄5は大当り図柄決定用乱数が140〜149の場合に対応し、10R特定時短有図柄6は大当り図柄決定用乱数が150〜159の場合に対応し、2R特定時短有図柄は大当り図柄決定用乱数が160〜199の場合に対応し、10R通常時短有図柄は大当り図柄決定用乱数が200〜249の場合に対応する。これを図16(a)と比較すると、一つの演出図柄に対して複数の特別図柄が対応している。演出図柄の変動開始前にこれらの図柄を決定して記憶しておき、S650の状態指定コマンドを受信してからモード切替パターンを決定する(後述する第2特図についても同様)。
なお、10R通常時短有図柄にて当った場合には大当り終了後に確変機能は付与されず、それ以外の図柄で当った場合には、次回の大当りまで確変機能が付与される。大当り終了後に付与される時短機能の回数(特別図柄の変動回数)は、当り図柄が表示された際の遊技状態に応じて変化される。まず、非時短状態(低確率か高確率化は問わない)で当った場合には、当り図柄が2R特定時短有図柄であれば時短なし、10R通常時短有図柄の場合は時短機能は10回のみ、それ以外の図柄で当った場合は、次回の大当りまで時短機能が付与される。時短状態(低確率か高確率化は問わない)で当った場合には、10R通常時短有図柄の場合は時短機能は21回のみ、それ以外の図柄で当った場合は、次回の大当りまで時短機能が付与される。ハズレ図柄の場合は何も起こらないが、非時短状態において小当り図柄が表示された場合は、図柄が30回変動される間のみイカモードとなる。
第2特図では、16R特定時短有図柄は大当り図柄決定用乱数が0〜99の場合に対応し、10R特定時短有図柄1は大当り図柄決定用乱数が100〜149の場合に対応し、10R特定時短有図柄2は大当り図柄決定用乱数が150〜159の場合に対応し、2R特定時短有図柄は大当り図柄決定用乱数が160〜199の場合に対応し、10R通常時短有図柄は大当り図柄決定用乱数が200〜249の場合に対応する。これも図16(a)と比較すると、第2特図においても、一つの演出図柄に対して複数の特別図柄が対応している。
そして10R通常時短有図柄にて当った場合には大当り終了後に確変機能は付与されず、それ以外の図柄で当った場合には、次回の大当りまで確変機能が付与される。大当り終了後に付与される時短機能の回数(特別図柄の変動回数)は、当り図柄が表示された際の遊技状態によらず、10R通常時短有図柄の場合は21回、それ以外の図柄で当った場合は、次回の大当りまで時短機能が付与される。
これら各大当りの終了後のモード切替のパターンを図18に示す。まず図18(a)は、非時短状態において各大当りが発生した場合のモードの切り替えを示したテーブルである。第1特図として16R特定時短有図柄または10R特定時短有図柄1が表示されて生起された大当りの終了後には、まず猫モードになり、特別図柄が10000回変動する間、該モードが継続する。但し、たとえ低確率状態であっても、10000回変動する前にほぼ確実に大当りし、該大当りが終了すれば、改めて当処理(モード設定処理)にてモード切替パターンが設定されるので、「10000回変動する間」とは次回の大当りまで、そのモード(ここでは猫モード)が続くという意味となる。なお、猫モードでは図19(a)に示すように演出図柄表示装置6の画面内の右上にキャラクタ97(ここでは猫)が表示され、画面の下半分で演出図柄91,92,93が変動される(演出図柄91は停止状態。演出図柄92,93は変動中)。なお、画面の左下にある「○」は第1特図の保留図柄95であり、本図では第1特図の保留が1個あることを示している。本図には示されていないが、第2特図の保留図柄は画面の右下に「□」が保留の数だけ並べられることにより示される。
図18に戻る。10R特定時短有図柄2が表示されて生起された大当りの終了後には、まず犬モードになり、特別図柄が10回変動する間、継続する。この10回転で当らなかった場合は、猫モードになり、特別図柄が更に最高9990回変動する間、猫モードが継続する。これも「次回の大当りまで、猫モードが続く」という意味となる。なお、犬モードでは図19(c)に示すように演出図柄表示装置6の画面内の右上にキャラクタ97(ここでは犬)が表示され、画面の下半分で演出図柄91,92,93が変動される。このように、10R特定時短有図柄2が表示されて生起された大当りの終了後には、16R特定時短有図柄または10R特定時短有図柄1が表示されて大当りになった場合とは異なり、犬モード及び猫モードという2種類のモードにて時短状態が進行する(犬モード中に大当りになった場合は除く)。
10R特定時短有図柄3が表示されて生起された大当りの終了後は、10R特定時短有図柄2の場合とほぼ同様にモードが進行するが、犬モードは、5回変動する間のみ継続する。この5回転で当らなかった場合は、猫モードになり、特別図柄が更に最高9995回変動する間、猫モードが継続する。
10R特定時短有図柄4が表示されて生起された大当りの終了後も犬モードとなるが、1回変動する間のみである。この1回転で当らなかった場合は、猫モードになり、特別図柄が更に最高9999回変動する間、猫モードが継続する。
10R特定時短有図柄5が表示されて生起された大当りの終了後も犬モードとなり、7回変動する間のみ継続する。この7回転で当らなかった場合は、桃太郎モードになり、特別図柄が更に最高9993回変動する間、桃太郎モードが継続する。桃太郎モードでは図19(b)に示すように演出図柄表示装置6の画面内の右上にキャラクタ97(ここでは桃太郎)が表示され、画面の下半分で演出図柄91,92,93が変動される。
10R特定時短有図柄6が表示されて生起された大当りの終了後には、まず桃太郎モードになり、特別図柄が5回変動する間、継続する。この5回転で当らなかった場合は、猫モードになり、特別図柄が更に最高9995回変動する間、猫モードが継続する。2R特定時短有図柄が表示されて生起された大当りの終了後にはイカモードとなり、10000回変動する間、継続する。イカモードでは図20(a)に示すように演出図柄表示装置6の画面内の右上にキャラクタ97(ここではイカ)が表示され、画面の下半分で演出図柄91,92,93が変動される。10R通常時短有図柄が表示されて生起された大当りの終了後には、犬モードになり、特別図柄が10回変動する間、継続する。また、小当り図柄で当った場合には最高10回だけイカモードになる。この10回変動する間は2R特定時短有図柄で当った場合のイカモードと区別がつかず、また2R特定時短有図柄が表示されたことによる大当りの開放パターンと、小当の開放パターンも区別がつきにくい。演出図柄表示装置6で、両者を識別しにくい(「識別できない」を含む)演出を行なえば、この10回の変動中は、遊技者は確変しているか否かを判別しにくい、いわゆる潜伏状態となる。イカモードのまま11回に到達すると、確変していることが確定し、10回変動してイカモードが終了すると、確変していないことが確定する。
前記何れの当り図柄で当った場合も、最後のモードの最高継続回数を完了した場合は通常モードに戻る。通常モードは、図20(b)に示すようなもので、前記したキャラクタ97は特に表示されない。また図柄の変動時間も通常に戻る。但し、これは、「通常モードでは、演出図柄が変動される以外の演出が行なわれない」という意味ではなく、前述したキャラクタ97などが専ら図19や図20(a)に示したような位置や態様で表示されることは無いという程度の意味である。例えば演出が所謂リーチ状態になった場合にのみイカが現れたり、犬が画面内を横切ったりするという演出が通常モードで行なわれても良い。
第2特図にて当った場合は、2R特定時短有図柄で当った場合にイカモードではなく猫モードになる点と、10R通常時短有図柄で当った場合になるイカモードが10回ではなく21回変動する点が、第1図柄で当った場合とは異なる(但し、10R特定時短有図柄3〜6および小当り図柄は、第2特図には存在しない)
次に、時短状態において各大当りが発生した場合のモードの切り替えを図18(b)のテーブルに示す。時短時において第1特図が当った場合のモード移行が、非時短時において第1特図が当った場合のモード移行と異なる点は、10R通常時短有図柄が表示されたことにより生起した大当りの終了後に移行するイカモードが10回ではなく21回続く点と、10R特定時短有図柄6以外の特定時短有図柄で当った場合は全て猫モードになり、該モードが最高10000回続く点である。なお、小当り図柄が表示された場合にはイカモードにはならず、表示前のモードが継続する。つまり、時短状態で第1特図が当った場合には潜伏状態にならない。
時短時において第2特図が当った場合のモード移行が、非時短時において第2特図が当った場合のモード移行と異なる点は、10R特定時短有図柄2が表示されたことにより生起した大当りの終了後に犬モードではなく桃太郎モードになる点のみである。
図14に戻る。以上のように、モード切替パターンを設定すると、S720にてモードが2種類あるか否かを判定する。「モードが2種類」とは、10R特定時短有図柄6で当った場合のように、大当り終了後に第1モード(10R特定時短有図柄6の場合は桃太郎モード)に移行し、その後、所定の回数、特別図柄が変動しても当らない場合に第2のモード(10R特定時短有図柄6の場合は猫モード)に移行することをいう(但しここでは通常モードはモードと呼ばないものとする)。これに対して、16R特定時短有図柄にて当った場合のように、大当り終了後に第1のモードに移行し、10000回転しても当たらなければ通常モードに戻ることを、モードが1種類と呼ぶ。肯定判断(S720:yes)であればS730にてモードフラグを2とし、否定判断(S720:no)であればS740にてモードフラグを1とする。モードは1種類か2種類の2通りしかなく何れでもないモード切替パターンは存在しないので、モードフラグが1であることはモードが1種類を、モードフラグが2であることはモードが2種類であることを示す。なお、モードフラグの値として0も存在し、これは図18に示した通常モードであることを示す。ここでは大当りの終了直後であるため、猫モード、犬モード、桃太郎モード、イカモードのいずれかに必ず移行する(図18参照)ので、モードフラグは1または2となり、0にはならない。
S730またはS740にてモードフラグの値が設定されると、S750に移行して、当り図柄(演出図柄)に対応した第1モード(S710で設定したモード切替パターンに基づく)を設定する。第1モードが設定されると、図示しない別処理により、第1モード(猫モード、犬モード、桃太郎モード、イカモードのいずれか)が開始される。そしてS760にて特別図柄の変動回数をリセットし、リターンする。変動回数をリセットするのは、当り後の変動回数をカウントして、S710で設定したモード切替パターンに従ってモードを切り替えるためである。
図15にモード切替処理を示す。当処理はS480により送信された状態指定コマンドを受信すると起動する。つまり当処理は、特別図柄の変動が終了して特別図柄が確定表示されるごとに起動されることになる。主制御装置80から状態指定コマンドを受信すると(S800:yes)、モードフラグが0、すなわち、現在が通常モードか否かを判定する(S810)。肯定判断ならそのまま当処理を終了(リターン)する。否定判断なら(S810:no)、状態指定コマンドの内容が、通常モードにすることを示すものであるか否かを判定する。否定判断ならS820に移行して、モードフラグが2か否かを判定する。否定判断(S720:no)なら当処理を終了し、肯定判断ならS830にて変動回数を1加算する。続くS840で変動回数がしきい値に達したか否かを判定する。ここでしきい値とは、第1モードから第2モードに移行することとなる変動回数のことである。例えば、当り図柄が通常状態で表示された第1特図の10R特定時短有図柄5であった場合は、第1モードである犬モードは特別図柄が7回変動されると第2モードの桃太郎モードに移行するので、しきい値は7となる。なお、モードフラグが1の場合は、状態指定コマンドにより通常状態に戻る旨が指定される(S815:no)のを待って、通常モードに切り替え(S870)、モードフラグを0にして(S875)、当処理を終了する。変動回数がしきい値に達していれば(S840:yes)、第2モードに設定し(S850)、モードフラグを1に設定し(S860)、当処理を終了する。ここでモードフラグを1にするのは、当処理が再び起動された際に、S820にて否定判断されることにより、S830以降の不要な処理を行なわないようにするためと、S810にて否定判断されて、S815にて通常モードに移行すべきと判定された際(例えば、通常状態で特別図柄が10R通常時短有図柄で当って、特別図柄が当らないまま10回変動した場合)に、S870において通常モードに設定されるためである。S870が実行されると、S875でモードフラグを0に設定して、当処理を終了する。S840が否定判断された場合は、モードフラグが2のまま当処理を終了して、当処理が再び起動された際に、S830にて変動回数をカウントアップして、しきい値に到達するか、特別図柄が当るのを待つ。
以上のように構成された遊技機によれば、図18に示したような複雑な演出モードを持ちながらも、大当り図柄決定用乱数に基づいてモードを設定することができるので、サブ統合制御装置83がどのモード移行のさせ方を行うかを判断する必要が無い。例えば、10R特定時短有図柄2〜10R特定時短有図柄4については大当りの種類も演出モードも同じでありながら、第1モード(犬モード)が終了する特別図柄の変動回数のみが異なるというきめ細かいモード移行のさせ方を、主制御装置80が決定した当り図柄により設定している。このようにサブ統合制御装置83が遊技状態の示唆に係る判断を行なわないので、サブ統合制御装置83が遊技状態を告知するか否かを判断することにより懸念される不具合が発生しない。
そして当り図柄は、第1特図と第2特図とで同じ図柄を用いているので、少ない特別図柄で多くの大当りの種類を実現することができている。
ここで本実施例の構成・状態と、本発明の構成要件との対応関係を示す。サブ統合制御装置83が本発明の「演出制御装置」に相当し、第1特別図柄表示装置9および第2特別図柄表示装置10が本発明の「図柄表示装置」に相当し、S270〜S285の処理が本発明の「当否判定手段」に相当し、S290の処理が本発明の「特別図柄決定手段」に相当し、S410〜S425の処理が本発明の「大当り遊技移行手段」に相当し、S290およびS610〜S640の処理が本発明の「大当り特典付与手段」に相当し、S315の処理が本発明の「図柄情報送信手段」に相当し、図14のモード設定処理が本発明の「モード設定手段」に相当し、図15のモード切替処理が本発明の「モード移行手段」に相当し、S480の処理が本発明の「判定情報送信手段」に相当する。
[他の実施例]
前記実施例では状態指定コマンドを受信して、モードの設定および切替を行なっていたが、S315にて送信される変動開始コマンドを受信して、モードの設定および/または切替を行っても構わない(この場合はS315の処理が判定情報送信手段に相当する)。例えば、モードの切り替えを行う場合には、変動開始コマンドを受信するごとに変動回数をカウントアップし、該カウント値がしきい値+1になったらモードを切り替えることが考えられる。或いは、本来のしきい値よりも1だけ大きな数をしきい値として設定しておいて、該しきい値になったらモードを切り替えるように構成しても勿論よい。