JP6535696B2 - オキシ水酸化バナジウム及びバナジウム電解液の製造方法 - Google Patents

オキシ水酸化バナジウム及びバナジウム電解液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オキシ水酸化バナジウム及びバナジウム電解液の製造方法に関する。
大容量の蓄電池として、レドックスフロー電池が知られている。レドックスフロー電池は、正極電極と負極電極との間にイオン交換膜を設けた電池セルに、正極電解液と負極電解液とを供給して充放電を行う。酸化還元により価数が変化する金属を含有する溶液が、正極電解液と負極電解液として使用され、バナジウムを含有する電解液が広く使用されている。バナジウムを含有する電解液は、メタバナジン酸アンモニウム(NHVO)、五酸化バナジウム(V)、五酸化バナジウムを含有する燃焼残渣等から製造される。
例えば、特許文献1は、メタバナジン酸アンモニウムを酸化又は還元して、三酸化バナジウム(V)と五酸化バナジウムとを生成し、生成した三酸化バナジウムと五酸化バナジウムを硫酸に溶解して、3価バナジウムと4価バナジウムとを含有するバナジウム電解液を生成する製造方法を開示している。なお、以下では、3価バナジウムと4価バナジウムとを含有するバナジウム電解液を、混合バナジウム電解液と記載する。
また、特許文献2は、メタバナジン酸アンモニウム又は五酸化バナジウムを還元して、三酸化バナジウムと四酸化バナジウム(V)とを生成し、生成した三酸化バナジウムと四酸化バナジウムとを硫酸に溶解して、混合バナジウム電解液を生成する製造方法を開示している。さらに、特許文献3においては、まず、五酸化バナジウムを含有する燃焼残渣を燃焼処理することによって四酸化バナジウム又は二酸化バナジウム(VO)を生成し、生成した四酸化バナジウム又は二酸化バナジウムを硫酸に溶解して4価バナジウムを含有する水溶液を生成している。次いで、4価バナジウムを含有する水溶液にアルカリ性物質を添加してオキシ水酸化バナジウム(VO(OH))を生成している。最後に、濾別したオキシ水酸化バナジウムを硫酸に溶解し、その硫酸溶液を電解還元して混合バナジウム電解液を製造している。
特開平11−79748号公報 特開平8−273692号公報 特開2002−187720号公報
特許文献1〜3においては、三酸化バナジウム、四酸化バナジウム等の酸化バナジウムを生成した後、オキシ水酸化バナジウム又は混合バナジウム電解液を製造するので、製造工程が煩雑になる。また、高純度のオキシ水酸化バナジウム又は混合バナジウム電解液を得ることが困難である。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、高純度のオキシ水酸化バナジウム及びバナジウム電解液を容易に製造できる製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るオキシ水酸化バナジウムの製造方法は、
5価バナジウムを含有する水溶液に、前記5価バナジウムを還元する還元剤を添加して、4価バナジウムを含有する水溶液を生成する還元工程と、
前記4価バナジウムを含有する水溶液にアルカリ性物質を添加して、オキシ水酸化バナジウムを沈殿させる沈殿工程と、を含む。
本発明の第2の観点に係るバナジウム電解液の製造方法は、
5価バナジウムを含有する水溶液に、前記5価バナジウムを還元する還元剤を添加して、4価バナジウムを含有する水溶液を生成する還元工程と、
前記4価バナジウムを含有する水溶液にアルカリ性物質を添加して、オキシ水酸化バナジウムを沈殿させる沈殿工程と、
前記オキシ水酸化バナジウムを硫酸水溶液に溶解して、バナジウム電解液を生成する溶解工程と、を含む。
本発明によれば、高純度のオキシ水酸化バナジウム及びバナジウム電解液を容易に製造できる。
本発明の実施の形態1に係るオキシ水酸化バナジウムの製造方法のフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る還元工程のフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係るバナジウム電解液の製造方法のフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る還元工程のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態に係るオキシ水酸化バナジウム及びバナジウム電解液の製造方法について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1、2を参照して、本発明の実施の形態1に係るオキシ水酸化バナジウムの製造方法を説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るオキシ水酸化バナジウムの製造方法は、出発原料を燃焼残渣として、5価バナジウムを含有する水溶液を生成する5価バナジウム溶液生成工程(S10)と、5価バナジウムを4価バナジウムに還元する還元工程(S20)と、オキシ水酸化バナジウムを沈殿させる沈殿工程(S30)とを含む。
ここで、燃焼残渣は、重質油を燃焼させるボイラ、火力発電所等において生じる燃焼飛灰、重質油をガス化する炉において生じるカーボンスラッジ、重質油の熱分解において生じる石油コークス煤等である。燃焼飛灰は、燃料に含まれていたバナジウム、鉄等の金属を含有する灰と炭素とを含む。カーボンスラッジは、バナジウム灰、炭素等を含む。石油コークス煤は、バナジウム、ニッケル等の金属と炭素とを含む。
また、本明細書においては、5価バナジウムは、バナジウムの価数が5価であるバナジウム化合物イオン又はバナジウムイオンを意味する。5価バナジウムを含有する水溶液は、メタバナジン酸イオン(VO )、ペルバナジルイオン(VO )等を含有する。4価バナジウムは、バナジウムの価数が4価であるバナジウム化合物イオン又はバナジウムイオンを意味する。4価バナジウムを含有する水溶液は、例えば、バナジルイオン(VO2+)を含有する。3価バナジウムは、バナジウムの価数が3価であるバナジウム化合物イオン又はバナジウムイオンを意味する。
まず、燃焼残渣から5価バナジウムを含有する水溶液を生成する5価バナジウム溶液生成工程(S10)を説明する。
5価バナジウム溶液生成工程(S10)においては、まず、出発原料となる燃焼残渣を準備する。出発原料となる燃焼残渣は、乾燥した状態で、20重量%以上の炭素と1重量%以上のバナジウムを含有するものが好ましい。また、燃焼残渣は、乾燥され、粉砕されているものが好ましい。なお、炭素の量は、例えば、規格分析法(JIS M8813)に準拠した測定方法により測定される。また、バナジウム、鉄等の金属成分、無機成分の量は、高周波誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分析、蛍光X線分析により測定される。
次に、出発原料となる燃焼残渣を熱処理することによって、揮発成分(炭素成分等)を除去し、燃焼残渣を減容する。熱処理における雰囲気温度は、500℃以上が好ましい。
減容化された燃焼残渣と水又はアルカリ水溶液とを混合して、減容化された燃焼残渣に含まれる水溶性のバナジウム化合物を水又はアルカリ水溶液に溶解させる。これにより、5価バナジウム(VO 、VO 等)を含有する水溶液が生成される。アルカリ水溶液は、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等である。水又はアルカリ水溶液の温度は、20℃以上90℃以下が好ましい。
水又はアルカリ水溶液に溶解しない燃焼残渣の成分を除くために、得られた5価バナジウムを含有する水溶液は濾過される。
次に、図2を参照して、5価バナジウムを4価バナジウムに還元する還元工程(S20)を説明する。
還元工程(S20)においては、まず、5価バナジウム溶液生成工程(S10)により得られた5価バナジウムを含有する水溶液に硫酸を加えて、水溶液のpHを1.5以上4.0以下に調整する。これにより、ジオキシ硫酸バナジウム(V)((VOSO)水溶液が得られる。なお、本工程における水溶液のpHは、沈殿工程(S30)における水溶液のpHの調整を容易にするために、1.8以上2.2以下に調整することが好ましい。
次に、ジオキシ硫酸バナジウム(V)水溶液に還元剤を添加し、4価バナジウムを含有する水溶液、すなわちオキシ硫酸バナジウム(IV)(VOSO)水溶液を生成すると共に、副生成物である硫黄を沈殿させる。これにより、高純度の4価バナジウムを含有する水溶液を得ることができる。
還元工程(S20)における還元剤は、硫化水素ナトリウム(NaSH)、硫化ナトリウム(NaS)、硫化アンモニウム((NHS)、硫化鉄(II)(FeS)等の金属硫化物、金属多硫化物等の硫化物還元剤である。
ここで、還元工程(S20)における還元剤の添加量を説明する。還元剤の添加量は、5価バナジウムを含有する水溶液における5価バナジウムの物質量(mol)に対して、0より大きく0.5倍モル未満が好ましい。
還元剤、例えば硫化水素ナトリウムの添加量が0.5倍モル未満の場合、反応式(I):2(VOSO+2NaHS+3HSO→4VOSO+NaSO+2S+2HOに示す反応が速やかに進行し、高純度のオキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液を得ることができる。一方、硫化水素ナトリウムの添加量が0.5倍モル以上の場合、反応式(II):2NaHS+HSO→NaSO+2HSに示す反応と、反応式(III):2VOSO+2NaHS+2HSO4→V(SO+NaSO4+4HOに示す、反応速度が反応式(II)の反応速度より遅い反応とが進行し、3価バナジウムと共に人体に有害な硫化水素ガスが発生することが見出された。
したがって、還元工程(S20)における還元剤の添加量は、5価バナジウムの物質量に対して、0より大きく0.5倍モル未満が好ましい。また、オキシ硫酸バナジウム(IV)を高収率で得る観点から、還元剤の添加量は、5価バナジウムの物質量に対して0.4倍モル以上0.5倍モル未満がさらに好ましい。
副生成物である硫黄は、4価バナジウムを含有する水溶液を濾過して除かれる。なお、還元剤を添加する場合に、還元剤と共に硫酸を加えて、水溶液のpHを1.5以上4.0以下に調整することが好ましい。また、還元剤は、複数回に分けて添加されてもよい。
最後に、オキシ水酸化バナジウムを沈殿させる沈殿工程(S30)を説明する。
沈殿工程(S30)においては、還元工程(S20)により得られた4価バナジウムを含有する水溶液にアルカリ性物質を加えて、水溶液のpHを4.2以上6以下に調整し、オキシ水酸化バナジウムを沈殿させる。これにより、高純度のオキシ水酸化バナジウムを得ることができる。ここで、アルカリ性物質は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム(KOH)等の水酸化物又はこれらの水溶液、アンモニア、アルカリ金属の炭酸塩等である。
沈殿したオキシ水酸化バナジウムは、濾別され、純粋洗浄、弱酸性水による洗浄等により不純物を除かれる。弱酸性水は、例えば、pHが3〜6の硫酸水溶液である。
以上のように、本実施の形態におけるオキシ水酸化バナジウムの製造方法においては、水溶液に含まれる5価バナジウムを4価バナジウムに還元し、4価バナジウムを含有する水溶液からオキシ水酸化バナジウムを沈殿させるので、酸化バナジウムを生成させず、簡易な工程で、容易に高純度のオキシ水酸化バナジウムを得ることができる。また、還元工程(S20)における還元剤の添加量を、5価バナジウムの物質量に対して、0より大きく0.5倍モル未満にすることによって、硫化水素を発生させず、さらに容易に高純度のオキシ水酸化バナジウムを得ることができる。
(実施の形態2)
図3を参照して、本発明の実施の形態2に係るバナジウム電解液の製造方法を説明する。
本実施の形態におけるバナジウム電解液の製造方法は、図3に示すように、5価バナジウムを含有する水溶液を生成する5価バナジウム溶液生成工程(S10)と、5価バナジウムを4価バナジウムに還元する還元工程(S20)と、オキシ水酸化バナジウムを沈殿させる沈殿工程(S30)と、オキシ水酸化バナジウムを硫酸に溶解する溶解工程(S40)とを含む。5価バナジウム溶液生成工程(S10)と還元工程(S20)と沈殿工程(S30)は、実施の形態1における各工程と同様の工程である。ここでは、オキシ水酸化バナジウムを硫酸に溶解させる溶解工程(S40)を説明する。
溶解工程(S40)においては、沈殿工程(S30)により得られたオキシ水酸化バナジウムを硫酸に溶解させる。これにより、高純度のオキシ硫酸バナジウム(IV)溶液、すなわちバナジウム電解液が得られる。オキシ硫酸バナジウム(IV)溶液におけるバナジウムの濃度は、例えば1.6mol/lである。また、オキシ硫酸バナジウム(IV)溶液における硫酸イオンの濃度は、例えば4.5mol/lである。
さらに、得られたオキシ硫酸バナジウム(IV)溶液を電解還元することによって、例えば、硫酸バナジウム(III)(V(SO)とオキシ硫酸バナジウム(IV)の物質量の比率が1:2の混合バナジウム電解液を生成できる。
以上のように、沈殿工程(S30)により得られたオキシ水酸化バナジウムから、高純度のバナジウム電解液と混合バナジウム電解液とを得ることができる。
(実施の形態3)
実施の形態1の還元工程(S20)においては、5価バナジウムを含有する水溶液のpHを調整した後に、還元剤を添加した。還元工程(S20)においては、図4に示すように、5価バナジウムを含有する水溶液に還元剤を添加した後に、水溶液のpHを調整してもよい。
具体的には、まず、5価バナジウム溶液生成工程(S10)により得られた5価バナジウムを含有する水溶液に還元剤を添加する。還元剤は、実施の形態1と同様に、硫化水素ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化アンモニウム、硫化鉄(II)等の金属硫化物、金属多硫化物等の硫化物還元剤である。また、還元剤の添加量は、実施の形態1と同様に、5価バナジウムの物質量に対して、0より大きく0.5倍モル未満が好ましく、0.4倍モル以上0.5倍モル未満がさらに好ましい。還元剤の添加量を、5価バナジウムの物質量に対して、0より大きく0.5倍モル未満にすることによって、硫化水素を発生させず、5価バナジウムを4価バナジウムに還元できる。
次に、還元剤が添加された5価バナジウムを含有する水溶液に硫酸を加えて、水溶液のpHを1.5以上4.0以下に調整する。これにより、実施の形態1と同様に、オキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液を生成すると共に、副生成物である硫黄を沈殿させることができる。なお、水溶液のpHは、実施の形態1と同様に、1.8以上2.2以下に調整することが好ましい。
以上のように、本実施の形態の還元工程(S20)では、還元剤を添加した後に硫酸を加えて、オキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液を生成するので、より容易に、高純度の4価バナジウムを含有する水溶液を生成できる。また、還元剤の添加量を、5価バナジウムの物質量に対して、0より大きく0.5倍モル未満にすることによって、硫化水素を発生させず、5価バナジウムを4価バナジウムに還元できる。
以上、本発明における複数の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、5価バナジウムを含有する水溶液は、バナジウムを含有する鉱石(バナダイト)又は廃触媒から生成されてもよい。廃触媒は、例えば、廃棄された五酸化バナジウムを含有する脱硫触媒である。また、5価バナジウムを含有する水溶液は、市販されている五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)等から生成されてもよい。例えば、メタバナジン酸アンモニウムを水酸化ナトリウム水溶液に溶解させることによって、5価バナジウムを含有する水溶液を生成してもよい。
5価バナジウムを含有する水溶液にアンモニウム塩を加えて、メタバナジン酸アンモニウムを晶析させ、濾別し、濾別したメタバナジン酸アンモニウムをアルカリ水溶液に溶解させることによって、5価バナジウムを含有する水溶液を精製してもよい。また、5価バナジウムを含有する水溶液は、再結晶によって精製されてもよい。
還元工程(S20)における還元剤は、硫化物還元剤に限らず、シュウ酸((COOH))、ヒドラジン(N)、亜硫酸(HSO)等であってもよい。
沈殿工程(S30)により得られたオキシ水酸化バナジウムを、酸素を含む雰囲気、400℃〜600℃で熱処理することにより、高純度の五酸化バナジウムを生成することもできる。生成された五酸化バナジウムは、例えば、脱硫触媒として使用される。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例においては、石油コークス煤から高純度のバナジウム電解液を製造した。また、還元工程(S20)において、5価バナジウムを含有する水溶液のpHを調整した後、還元剤を添加した。
まず、出発原料として石油コークス媒を準備し、5価バナジウム溶液生成工程(S10)を行った。準備した石油コークス煤の組成は、蛍光X線分析によると、硫黄:9.98重量%、バナジウム:2.05重量%、ケイ素:1.97重量%、ニッケル:0.91重量%、鉄:0.87重量%、アルミ:0.84重量%、マグネシウム:0.82重量%、カルシウム:0.30重量%であった。
本実施例では、電気炉を使用して石油コークス煤を熱処理し、石油コークス煤を減容した。熱処理時間は2時間、処理温度は700℃である。熱処理終了後、減容された燃焼残渣を回収した。減容された燃焼残渣の組成は、蛍光X線分析によると、バナジウム:9.19重量%、ケイ素:8.23重量%、硫黄:7.71重量%、マグネシウム4.67重量%、ニッケル:4.34重量%、鉄:3.91重量%、アルミ:3.76重量%、カルシウム:1.80重量%、カリウム:0.32重量%、モリブデン:0.29重量%、リン:0.19重量%、マンガン:0.18重量%であった。
次に、濃度35%の水酸化ナトリウム水溶液500mlに、減容された燃焼残渣151.7gを加えた後、その水溶液を100℃で1時間、撹拌した。得られた水溶液を濾過して残渣を除き、残渣を洗浄した水と合わせて、5価バナジウムを含有する水溶液1027mlを得た。
得られた5価バナジウムを含有する水溶液に対して、硫酸アンモニウム鉄(II)アンモニウム溶液で電位差滴定を行った。また、得られた5価バナジウムを含有する水溶液をICP発光分析により分析した。その結果、得られた5価バナジウムを含有する水溶液におけるバナジウムの濃度は、0.192mol/l(0.97重量%)であった。また、得られた5価バナジウムを含有する水溶液における不純物として、ケイ素:0.44重量%、モリブデン:0.03重量%、アルミニウム:0.01重量%が検出された。
次に、還元工程(S20)を行った。
まず、5価バナジウム溶液生成工程(S10)により得られた5価バナジウムを含有する水溶液に、硫酸を加えて、5価バナジウムを含有する水溶液のpHを1.5に調整した。
次に、5.44gの硫化水素ナトリウム・n水和物(0.071mol)を溶解した硫化水素ナトリウム水溶液100mlを、pHを1.5に調整した5価バナジウムを含有する水溶液に添加した。さらに、硫化水素ナトリウム水溶液を添加した水溶液に硫酸を加えて、水溶液のpHを2.0に調整し、硫黄を沈殿させた。硫黄が沈殿した水溶液を濾過し、オキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液を得た。ここで、硫化水素の発生は見られなかった。硫化水素ナトリウムは二電子還元剤であり、本実施例における硫化水素ナトリウムの添加量は5価バナジウムの物質量に対して0.5倍モル未満となっている。
次に、沈殿工程(S30)を行った。
還元工程により得られたオキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液に、濃度48%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、水溶液のpHを5.1に調整し、オキシ水酸化バナジウムを沈殿させた。オキシ水酸化バナジウムが沈殿した水溶液からオキシ水酸化バナジウムを濾別した。濾別したオキシ水酸化バナジウムを1.5lの純水で洗浄した後、風乾した。
最後に、溶解工程(S40)を行った。
沈殿工程により得られたオキシ水酸化バナジウムを、濃度70%の硫酸に加えて攪拌し、50mlのオキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液(すなわち、4価バナジウム電解液)を得た。得られたオキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液に対して電位差滴定を行い、4価バナジウムの濃度を求めた。また、得られたオキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液をイオンクロマトグラフィー分析により分析した。その結果、4価バナジウムの濃度は1.78mol/l、硫酸濃度は4.54mol/lであった。なお、不純物として、アルミニウム:0.01重量%、ナトリウム:0.01重量%、ケイ素:0.01重量%が検出された。
以上のように、高純度のオキシ水酸化バナジウムとバナジウム電解液とを、容易に製造できた。また、還元工程(S20)において、硫化水素の発生は見られなかった。なお、還元工程(S20)において、硫化水素ナトリウム・n水和物の添加量を本実施例より少なくした場合にも、硫化水素の発生は見られず、高純度のオキシ水酸化バナジウムとバナジウム電解液とを得ることができた。
(実施例2)
本実施例においては、メタバナジン酸アンモニウムから高純度のバナジウム電解液を製造した。また、還元工程(S20)において、5価バナジウムを含有する水溶液に還元剤を添加した後、水溶液のpHを調整した。
まず、出発原料として、市販のメタバナジン酸アンモニウムを準備し、5価バナジウム溶液生成工程(S10)を行った。
準備したメタバナジン酸アンモニウム10.49g(0.0897mol)を純水100mlに分散させた後、濃度48%の水酸化ナトリウム10mlを加えて、メタバナジン酸アンモニウムを溶解させた。これにより、5価バナジウムを含有する水溶液を生成した。生成した5価バナジウムを含有する水溶液のpHは、12.8であった。
生成した5価バナジウムを含有する水溶液に空気を吹き込み、60℃で、2時間攪拌して、水溶液中のアンモニアを除いた。その結果、5価バナジウムを含有する水溶液におけるアンモニウムイオン濃度は、アンモニウムイオン濃度計での測定によると、6mg/lとなった。
次に、還元工程(S20)を行った。
まず、アンモニアを除いた5価バナジウムを含有する水溶液に、硫化水素ナトリウム・n水和物3.45g(0.0448mol)を加え、水溶液に硫化水素ナトリウムを溶解させた。次に、硫化水素ナトリウムを溶解させた水溶液に硫酸を加え、水溶液のpHを1.8に調整した。その結果、水溶液は4価バナジウムの青色を呈しており、4価バナジウムを含有する水溶液が得られた。ここで、硫化水素の発生は見られなかった。また、硫化水素ナトリウムの添加量は5価バナジウムの物質量に対して0.5倍モル未満となっている。
最後に、4価バナジウムを含有する水溶液を濾過し、沈殿した硫黄を除いた。
次に、沈殿工程(S30)を行った。
硫黄を除いた4価バナジウムを含有する水溶液に、濃度48%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、水溶液のpHを4.8に調整し、オキシ水酸化バナジウムを沈殿させた。得られたオキシ水酸化バナジウムを濾別した。濾別したオキシ水酸化バナジウムを純水、pHが2.4の硫酸水溶液の順で洗浄した。
最後に、溶解工程(S40)を行った。
沈殿工程により得られたオキシ水酸化バナジウムを、濃度70%の硫酸に加えて攪拌し、62mlのオキシ水酸化バナジウム水溶液(4価バナジウム電解液)を得た。得られたオキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液に対して電位差滴定を行い、4価バナジウムの濃度を求めた。また、得られたオキシ硫酸バナジウム(IV)水溶液をイオンクロマトグラフィー分析により分析した。その結果、4価バナジウムの濃度は1.25mol/l、硫酸濃度は3.51mol/lであった。なお、不純物として、アルミニウム:6mg/l、ナトリウム:6mg/l、ケイ素:10mg/lが検出された。
以上のように、高純度のオキシ水酸化バナジウムとバナジウム電解液とを、容易に製造できた。また、還元工程(S20)において、硫化水素の発生は見られなかった。なお、還元工程(S20)において、硫化水素ナトリウム・n水和物の添加量を本実施例より少なくした場合にも、硫化水素の発生は見られず、高純度のオキシ水酸化バナジウムとバナジウム電解液とを得ることができた。
S10 5価バナジウム溶液生成工程
S20 還元工程
S30 沈殿工程
S40 溶解工程

Claims (5)

  1. 5価バナジウムを含有する水溶液に、前記5価バナジウムを還元する硫化物還元剤を、前記5価バナジウムの物質量に対して0.5倍モル未満添加して、4価バナジウムを含有する水溶液を生成する還元工程と、
    前記4価バナジウムを含有する水溶液にアルカリ性物質を添加して、水酸化バナジウムを沈殿させる沈殿工程と、を含む、
    オキシ水酸化バナジウムの製造方法。
  2. 前記5価バナジウムがジオキシ硫酸バナジウム(V)である、
    請求項1に記載のオキシ水酸化バナジウムの製造方法。
  3. 前記還元工程では、前記5価バナジウムを含有する水溶液のpHを1.5以上4.0以下に調整した後、前記硫化物還元剤を添加して、前記4価バナジウムを含有する水溶液を生成する、
    請求項1又は2に記載のオキシ水酸化バナジウムの製造方法。
  4. 前記還元工程では、前記5価バナジウムを含有する水溶液に前記硫化物還元剤を添加した後、pHを1.5以上4.0以下に調整して、前記4価バナジウムを含有する水溶液を生成する、
    請求項1又は2に記載のオキシ水酸化バナジウムの製造方法。
  5. 5価バナジウムを含有する水溶液に、前記5価バナジウムを還元する硫化物還元剤を、前記5価バナジウムの物質量に対して0.5倍モル未満添加して、4価バナジウムを含有する水溶液を生成する還元工程と、
    前記4価バナジウムを含有する水溶液にアルカリ性物質を添加して、オキシ水酸化バナジウムを沈殿させる沈殿工程と、
    前記オキシ水酸化バナジウムを硫酸水溶液に溶解して、バナジウム電解液を生成する溶解工程と、を含む、
    バナジウム電解液の製造方法。
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