以下、建築工法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、図1,2に示す建築材料の一例としての建築材料1a(「第1建築材料」に相当する)、および図3,4に示す建築材料の他の一例としての建築材料1b(「他の建築材料」および「第2建築材料」に相当する:以下、建築材料1a,1bを区別しないときには「建築材料1」ともいう)の構成について説明する。建築材料1は、建築物(一例として、図12に示す建築物の駆体100)を建築するための建築材料であって、板状材料を厚み方向に複数積層して構成されている。一例として、建築材料1aは、図1に示すように、2枚の板状材料11a(図5参照)と、1枚の板状材料11b(同図参照)を厚み方向(図1に示す矢印Zの方向)に積層して構成されている。また、建築材料1bは、図3に示すように、2枚の板状材料11c(図6参照)と、1枚の板状材料11d(同図参照:以下、板状材料11a〜11dを区別しないときには「板状材料11」ともいう)を厚み方向(図3に示す矢印Zの方向)に積層して構成されている。
また、建築材料1a,1bは、建築材料1aにおける各板状材料11a,11bの各端部12a,12b(図5参照)にそれぞれ形成された第1嵌合部13a,13b(同図参照)と、建築材料1bにおける板状材料11c,11dの端部12c,12d(図6参照:以下、端部12a〜12dを区別しないときには「端部12」ともいう)にそれぞれ形成された第1嵌合部13c,13d(同図参照:以下、第1嵌合部13a〜13dを区別しないときには「第1嵌合部13」ともいう)とを嵌合させることによって互いに連結することが可能に構成されている。
ここで、各第1嵌合部13は、建築材料1aにおける板状材料11の端部12と建築材料1bにおける板状材料11の端部12とを厚み方向から嵌め合い可能で、かつ嵌合状態(図10に示す状態)において各板状材料11の板面に平行な方向(同図に示す矢印Xの方向、矢印Yの方向、およびこれらを合成した方向:以下「板面方向」ともいう)であって互いに離反する向きでの各板状材料11の移動を規制可能に構成されている。具体的には、各第1嵌合部13は、図5,6に示すように蟻継ぎ部を有して構成されている。
また、この建築材料1では、板状材料11の第1嵌合部13と、その板状材料11に隣接して積層されている他の板状材料11の第1嵌合部13とが平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように各第1嵌合部13の形成位置が規定されている。
具体的には、建築材料1aでは、図1に示すように、板状材料11bの第1嵌合部13bが板状材料11aの第1嵌合部13aよりも同図における右側(先端部側)に突出しており、互いに隣接する板状材料11a,11bにおける第1嵌合部13a,13bが平面視状態において(同図に示す矢印Z1の向きに建築材料1aを視認したときに)、互いに重ならない部位に位置するように第1嵌合部13a,13bの形成位置が規定されている。
また、建築材料1bでは、図3に示すように、板状材料11cの第1嵌合部13cが板状材料11bの第1嵌合部13dよりも同図における左側(先端部側)に突出しており、互いに隣接する板状材料11c,11dにおける第1嵌合部13c,13dが平面視状態において(同図に示す矢印Z1の向きに建築材料1bを視認したときに)、互いに重ならない部位に位置するように第1嵌合部13c,13d形成位置が規定されている。
また、この建築材料1では、各板状材料11が、図7に示す板状パーツ21a〜21i(以下、区別しないときには「板状パーツ21」ともいう)の各端部22にそれぞれ形成されている第2嵌合部23同士を嵌合させることによって複数の板状パーツ21を連結して構成されている。具体的には、建築材料1aは、図5に示すように、板状パーツ21a〜21c(図7も参照)を連結して構成され、板状材料11bは、板状パーツ21d〜21g(同図も参照)を連結して構成されている。また、板状材料11cは、図6に示すように、板状パーツ21a〜21c,21h(図7も参照)を連結して構成され、板状材料11dは、板状パーツ21d〜21f,21i(同図も参照)を連結して構成されている。
ここで、各第2嵌合部23は、各板状パーツ21の各端部22同士を厚み方向(図5,6における紙面手前側から奥側に向かう方向)から嵌め合い可能で、かつ嵌合状態(両図に示す状態)において各板状パーツ21の板面(図5,6の紙面)に平行な方向(板面方向)であって互いに離反する向きでの各板状パーツ21の移動を規制可能に構成されている。具体的には、第2嵌合部23は、図7に示すように蟻継ぎ部を有して構成されている。
また、この建築材料1では、各板状材料11を構成する各板状パーツ21の第2嵌合部23と、その板状材料11に隣接して積層されている他の板状材料11を構成する各板状パーツ21の第2嵌合部23とが平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように各第2嵌合部23の形成位置が規定されている。
具体的には、建築材料1aでは、図2に示すように、板状材料11aを構成する板状パーツ21a〜21cの第2嵌合部23が、板状材料11bを構成する板状パーツ21d〜21gの第2嵌合部23とは平面視状態(同図では正面視状態)において互いに重ならない部位に位置するように各第2嵌合部23の形成位置が規定されている。
また、建築材料1bでは、図4に示すように、板状材料11cを構成する板状パーツ21a〜21c,21hの第2嵌合部23が、板状材料11dを構成する板状パーツ21d〜21f,21iの第2嵌合部23とは平面視状態(同図では正面視状態)において、互いに重ならない部位に位置するように各第2嵌合部23の形成位置が規定されている。
次に、建築材料1の作製方法について、図面を参照して説明する。
まず、一例として、厚みが12mmの合板を切り抜いて、図7に示す板状パーツ21a〜21iを作製する。次いで、板状パーツ21a〜21iを連結して板状材料11a〜11dを作製する。具体的には、板状材料11aを作製するときには、板状パーツ21aの端部22(図7における上部の端部22)と板状パーツ21bの端部22(同図における下部の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせる。この際に、板状パーツ21a,21bの各第2嵌合部23同士が嵌合し、板面方向であって互いに離反する向きでの板状パーツ21a,21bの移動が規制される。
続いて、図7に示す板状パーツ21cの端部22(同図における左下部の端部22)と板状パーツ21bの端部22(同図における上部の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせる。この際に、板状パーツ21b,21cの各第2嵌合部23同士が嵌合し、板面方向であって互いに離反する向きでの板状パーツ21b,21cの移動が規制される。これにより、板状材料11a(図5参照)が作製される。
また、板状材料11b(図5参照)を作製するときには、図7に示す板状パーツ21dの端部22(同図における上部の端部22)と板状パーツ21eの端部22(同図における下部の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせて、板状パーツ21d,21eの各第2嵌合部23同士を嵌合させる。次いで、同図に示す板状パーツ21eの端部22(同図における上部の端部22)と板状パーツ21fの端部22(同図における下部の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせて板状パーツ21e,21fの各第2嵌合部23同士を嵌合させる。続いて、同図に示す板状パーツ21eの端部22(同図における上部の端部22)および板状パーツ21fの端部22(同図における右側の端部22)と板状パーツ21gの端部22(同図における左側の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせて板状パーツ21e,21f,21gの各第2嵌合部23同士を嵌合させる。この際に、板面方向であって互いに離反する向きでの板状パーツ21d〜21gの移動が規制される。これにより、板状材料11b(図5参照)が作製される。
さらに、板状材料11c(図6参照)を作製するときには、図7に示す板状パーツ21aの端部22(同図における上部の端部22)と板状パーツ21bの端部22(同図における下部の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせて、板状パーツ21a,21bの各第2嵌合部23同士を嵌合させる。次いで、同図に示す板状パーツ21bの端部22(同図における上部の端部22)と板状パーツ21cの端部22(同図における下部の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせて板状パーツ21b,21cの各第2嵌合部23同士を嵌合させる。続いて、同図に示す板状パーツ21cの端部22(同図における左側の端部22)と板状パーツ21hの端部22(同図における右側の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせて板状パーツ21c,21hの各第2嵌合部23同士を嵌合させる。この際に、板面方向であって互いに離反する向きでの板状パーツ21a〜21c,21hの移動が規制される。これにより、板状材料11c(図6参照)が作製される。
また、板状材料11d(図6参照)を作製するときには、図7に示す板状パーツ21dの端部22(同図における上部の端部22)と板状パーツ21eの端部22(同図における下部の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせて、板状パーツ21d,21eの各第2嵌合部23同士を嵌合させる。次いで、同図に示す板状パーツ21eの端部22(同図における上部の端部22)と板状パーツ21fの端部22(同図における下部の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせて板状パーツ21e,21fの各第2嵌合部23同士を嵌合させる。続いて、同図に示す板状パーツ21eの端部22(同図における上部の端部22)および板状パーツ21fの端部22(同図における左側の端部22)と板状パーツ21iの端部22(同図における右側の端部22)とを厚み方向に嵌め合わせて板状パーツ21e,21f,21iの各第2嵌合部23同士を嵌合させる。この際に、板面方向であって互いに離反する向きでの板状パーツ21d〜21f,21iの移動が規制される。これにより、板状材料11d(図6参照)が作製される。
次いで、上記のようにして作製した各板状材料11を積層して建築材料1を作製する。具体的には、建築材料1aを作製するときには、図5に示すように、1枚の板状材料11bを2枚の板状材料11aで挟み込むようにして各板状材料11を積層する。この場合、各板状材料11の間に接着剤を塗布し、接着剤が固化するまで積層した各板状材料11をクランプで固定し、接着剤が固化して各板状材料11が固定された後にクランプを取り外す。これにより、建築材料1aが作製される。なお、接着剤に代えて、または接着剤と共にネジやボルトを用いて積層した各板状材料11を固定することもでき、このときには、クランプによる固定を省略することができる。
また、建築材料1bを作製するときには、図6に示すように、1枚の板状材料11dを2枚の板状材料11cで挟み込むようにして各板状材料11を積層する。この際に、建築材料1a,1bを連結するときのために(この点については後述する)、図8に示すように、2枚の板状材料11cのうちのいずれか一方における板状パーツ21hを取り外した状態で各板状材料11を積層する。また、上記したように、接着剤、ネジおよびボルトを用いて積層した各板状材料11を固定する。これにより、建築材料1bが作製される。
次に、建築材料1a,1bを用いて駆体100を建築する建築工法について、図面を参照して説明する。まず、駆体100を建築する現場に駆体100を構成する材料を搬入する。この場合、材料としては、上記した建築材料1a,1bの他に、土台61、桁62、母屋63(いずれも図12参照)などに用いる木材や、図外の屋根材や壁材などが含まれる。
続いて、建築材料1a,1bを連結して、図10に示すように、柱材と梁材とを一体にした形状(アーチ状)の建築材料ユニット50(建築材料の他の一例)を作製する。具体的には、図8に示すように、建築材料1aにおける板状材料11aの第1嵌合部13aと建築材料1bにおける板状材料11c(板状パーツ21hを取り外していない板状材料11c)の第1嵌合部13cとを嵌合させると共に、建築材料1aにおける板状材料11bの第1嵌合部13bと建築材料1bにおける板状材料11dの第1嵌合部13dとを嵌合させる。
次いで、図9に示すように、建築材料1bにおける一方の板状材料11cから取り外している板状パーツ21hの第1嵌合部13cと建築材料1aにおける板状材料11aの第1嵌合部13aとを嵌合させると共に、板状パーツ21hを取り外している板状材料11cを構成する板状パーツ21cの第2嵌合部23と板状パーツ21hの第2嵌合部23とを嵌合させる。この場合、建築材料1aの板状材料11aと建築材料1bの板状材料11cとの間、建築材料1aの板状材料11bと建築材料1bの板状材料11dとの間、および板状材料11b,11dと板状パーツ21hとの間(つまり、これらが重なり合う部分)に接着剤を塗布し、接着剤が固化するまで重なり合う部分をクランプで固定し、接着剤が固化した後にクランプを取り外す。なお、接着剤に代えて、または接着剤と共にネジやボルトを用いて重なり合う部分を固定することもでき、このときには、クランプによる固定を省略することができる。これにより、図10に示すように、建築材料ユニット50が作製される。この場合、建築材料1a,1bの各第1嵌合部13が蟻継ぎ部を有して構成されているため、板面方向であって互いに離反する向きでの建築材料1a,1b同士の移動が確実に規制される。
続いて、同様にして建築材料ユニット50を複数作製する。次いで、一例として、図11に示すように、複数(例えば、4つ)の建築材料ユニット50を等間隔に設置する。続いて、図12に示すように、各建築材料ユニット50の下部に土台61を取り付けると共に、各建築材料ユニット50の上部に桁62および母屋63を取り付ける。以上により、駆体100が完成する。
この場合、建築材料1a,1bを用いて作製した建築材料ユニット50では、上記したように、板面方向への各板状材料11同士の移動が規制される。つまり、建築材料1a,1bを用いて作製した建築材料ユニット50では、長さ方向の引っ張り力や、長さ方向に直交する方向の荷重(例えば、水平方向に配置された建築材料1に対して加わる垂直方向の荷重)等の外力が建築材料ユニット50に作用したとしても、建築材料1a,1b同士(板状材料11同士)が離反することなく、嵌合した第1嵌合部13自体がこれらの外力に対抗する(外力を支える)ことが可能となっている。このため、この建築材料ユニット50を用いて建築した駆体100では、十分な強度を確保することが可能となっている。なお、駆体100の強度をさらに高めるために、図外の筋交いを取り付けてもよい。その後、駆体100に図外の屋根材や壁材を取り付けて、建築物を完成させる。
このように、この建築材料1では、建築材料1における板状材料11の端部12と他の建築材料1における板状材料11の端部12とを厚み方向に嵌め合い可能で、かつ嵌合状態において各板状材料11の板面方向であって互いに離反する向きでの各板状材料11の移動を規制可能に各第1嵌合部13が構成されている。また、この建築工法では、このように構成された建築材料1における各板状材料11の各該第1嵌合部13同士を嵌合させることによって各建築材料1を連結させて駆体100を建築する。このため、この建築材料1および建築工法によれば、各板状材料11の第1嵌合部13同士を嵌合させて2つの建築材料1を連結することで、長さ方向の引っ張り力や長さ方向に直交する方向の荷重等の外力が建築材料1に作用したとしても、各建築材料1同士(板状材料11同士)が離反することなく、嵌合した第1嵌合部13自体によってこれらの外力に対抗する(外力を支える)ことができる。このため、この建築材料1および建築工法によれば、この建築材料1を用いて建築した駆体100の十分な強度を確実に確保することができる。
また、この建築材料1では、板状材料11の第1嵌合部13、およびその板状材料11に隣接して積層されている他の板状材料11の第1嵌合部13が平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように各第1嵌合部13の形成位置が規定されている。また、この建築工法では、このように第1嵌合部13の形成位置が規定された建築材料1を用いて駆体100を建築する。このため、この建築材料1および建築工法によれば、各板状材料11の第1嵌合部13同士が嵌合している嵌合部分に対して、各板状材料11の板面に垂直でかつ隣接して積層されている他の板状材料11側に向かう外力が加わったとしても、隣接して積層されている他の板状材料11における第1嵌合部13の形成部位以外の非嵌合部分によってその外力が支えられて(嵌合部分に2枚の板状材料11の各非嵌合部分が隣接しているときには、嵌合部分が各非嵌合部分によって挟み込まれて)、外力の向きへの嵌合部分の移動(変位)を確実に規制することができる。したがって、この建築材料1および建築工法によれば、このような外力が建築材料1に加わったとしても、この外力によって第1嵌合部13同士の嵌合が解除される事態を確実に防止することができる結果、この建築材料1を用いて建築した駆体100の十分な強度をより確実に確保することができる。
また、この建築材料1では、複数の板状パーツ21の端部22に形成された第2嵌合部23同士を嵌合させることによって各板状パーツ21を連結して板状材料11が構成され、各板状パーツ21の各端部22同士を厚み方向に嵌め合い可能で、かつ嵌合状態において各板状パーツ21の板面方向であって互いに離反する向きでの移動を規制可能に第2嵌合部23が構成されている。また、この建築工法では、第2嵌合部23がこのように構成された建築材料1を用いて駆体100を建築する。このため、この建築材料1および建築工法によれば、長尺の建築材料1を構成する長尺の板状材料11を複数の板状パーツ21を連結して構成することができ、かつその長尺の板状材料11の十分な強度を確実に確保することができる。
また、この建築材料1では、板状材料11を構成する各板状パーツ21の第2嵌合部23、およびその板状材料11に隣接して積層されている他の板状材料11を構成する各板状パーツ21の第2嵌合部23が平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように第2嵌合部23の形成位置が規定されている。また、この建築工法では、このように第2嵌合部23の形成位置が規定された建築材料1を用いて駆体100を建築する。このため、この建築材料1および建築工法によれば、各板状パーツ21の第2嵌合部23同士が嵌合している嵌合部分に対して、各板状パーツ21の板面に垂直でかつ隣接して積層されている他の板状材料11側に向かう外力が加わったとしても、隣接して積層されている他の板状材料11の板状パーツ21における第2嵌合部23の形成部位以外の非嵌合部分によってその外力が支えられて(嵌合部分に2枚の板状材料11の各非嵌合部分が隣接しているときには、嵌合部分が各非嵌合部分によって挟み込まれて)、外力の向きへの嵌合部分の移動(変位)を確実に規制することができる。したがって、この建築材料1および建築工法によれば、このような外力が建築材料1に加わったとしても、この外力によって第2嵌合部23同士の嵌合が解除される事態を確実に防止することができる結果、この建築材料1を用いて建築した駆体100の十分な強度をより確実に確保することができる。
また、このおよび建築工法では、積層状態の建築材料1aにおける厚み方向の中央に位置する板状材料11の第1嵌合部13と、両側部に位置する2つの板状材料のいずれか一方における少なくとも第1嵌合部を含む部分が積層されていない状態の建築材料1bにおける厚み方向の中央に位置する板状材料11の第1嵌合部13とを嵌合させた後に、建築材料1a,1bにおける未嵌合の第1嵌合部13同士を嵌合させて各建築材料1a,1bを連結させる。このため、この建築工法によれば、3枚の板状材料11で構成されて、厚み方向の中央に位置する板状材料11の第1嵌合部13が、他の2つの板状材料11の第1嵌合部13よりも突出する建築材料1aと、3枚の板状材料11で構成されて、厚み方向の両側部に位置する2つの板状材料11の第1嵌合部13が、厚み方向の中央に位置する板状材料11の第1嵌合部13よりも突出する建築材料1bとを容易に連結させることができる。
なお、建築材料および建築工法は、上記した構成および工法に限定されない。例えば、3枚の板状材料11を積層して建築材料1を構成する例について上記したが、板状材料11の数は3枚に限定されず、2枚または4枚以上の任意の数の板状材料11を積層して建築材料1を構成することができる。
また、上記したように3枚の板状材料11で構成した建築材料1a,1bを上記した建築方法で連結して建築材料ユニット50を作製し、この建築材料ユニット50(複数連結した建築材料1)をさらに複数積層して建築材料(建築材料ユニット)を作製することもできる。
また、一例として、厚みが12mmの合板を用いて板状材料11を作製した例について上記したが、板状材料11に用いる材料はこれに限定されず、任意に変更することができる。例えば、厚みが24mmの合板を用いることもできるし、12mmよりも薄い合板を用いることもできる。また、合板以外の材料として、無垢板や樹脂製の板を用いることもできる。
また、建築材料1a,1bを連結してアーチ状(柱材と梁材とを一体にした形状)の建築材料ユニット50を作製し、その建築材料ユニット50を用いて駆体100を建築する例について上記したが、複数の板状材料11を積層して構成した各種形状の建築材料1を連結して、例えば、トラス構造を有する複雑な構成の駆体100を建築することもでき、この場合においても、十分な強度を確保することができる。
また、隣接する各板状材料11における各第1嵌合部13の形成位置が、平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように建築材料1を構成した例について上記したが、各第1嵌合部13の形成位置を平面視状態において互いに重なる部位に位置するように建築材料1を構成することもできる。
また、隣接する各板状材料11における各第2嵌合部23の形成位置が、平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように建築材料1を構成した例について上記したが、各第2嵌合部23の形成位置を平面視状態において互いに重なる部位に位置するように建築材料1を構成することもできる。また、複数の板状パーツ21を連結して構成した板状材料11を積層して建築材料1を構成した例について上記したが、1枚の部材で形成した板状材料11を積層して建築材料1を構成することもできる。
また、建築材料1bを作製する際に、2枚の板状材料11cのうちの一方の板状材料11cから板状パーツ21hを取り外しておく例について上記したが、2枚の板状材料11cの双方から板状パーツ21hを取り外しておくこともできる。また、板状パーツ21hに加えて他の板状パーツ21を一方または双方の板状材料11cから取り外しておくこともできる。
また、建築物の駆体100を建築する際に建築材料1を用いる例について上記したが、駆体100以外の建築物の建築に用いる各種の部材(例えば、根太や基礎)に建築材料を用いることもできる。
また、蟻継ぎ部を有して第1嵌合部13および第2嵌合部23を構成した例について上記したが、蟻継ぎ部に代えて、または蟻継ぎ部と共に、鎌継ぎ部を有して第1嵌合部13および第2嵌合部23を構成することもできる。
次に、建築材料の他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記した実施の形態における構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付して、上記した実施の形態において説明した内容と同じ内容については重複する説明を省略する。
まず、図13に示す建築材料の他の一例としての建築材料3aの構成について説明する。建築材料3aは、建築物(上記した駆体100(図12参照)と同様の建築物)を建築するための建築材料であって、図14〜図17に示す4枚(3枚以上の一例)の板状材料31a〜31dを厚み方向(図13における紙面手前側と紙面奥側とを結ぶ方向)に積層して構成されている。
また、建築材料3aは、建築材料の他の一例としての建築材料3b(図19参照:以下、建築材料3a,3bを区別しないときには「建築材料3」ともいう)と互いに連結することが可能に構成されている。具体的には、図14〜図17に示すように、板状材料31a〜31dの各端部32a〜32dには、第1嵌合部33a〜33dが形成されている。また、図20〜図23に示すように、建築材料3bを構成する4枚(3枚以上の一例)の板状材料31e〜31hの各端部32e〜32hには、第1嵌合部33e〜33hが形成されている。そして、第1嵌合部33a〜33dと第1嵌合部33e〜33hとをそれぞれ嵌合させることにより、図24に示すように、建築材料3a,3bが互いに連結されて、建築材料ユニット70(建築材料の他の一例)が構成される。なお、以下の説明において、板状材料31a〜31hを区別しないときには「板状材料31」ともいい、端部32a〜32hを区別しないときには「端部32」ともいい、第1嵌合部33a〜33hを区別しないときには「第1嵌合部33」ともいう。
この場合、各第1嵌合部33は、蟻継ぎ部を有して、建築材料3aにおける板状材料31の端部32と建築材料3bにおける板状材料31の端部32とを厚み方向から嵌め合い可能で、かつ嵌合状態において各板状材料31の板面に平行な方向であって互いに離反する向きでの各板状材料31の移動を規制可能に構成されている。なお、蟻継ぎ部に代えて、または蟻継ぎ部と共に、鎌継ぎ部を有して第1嵌合部33を構成することもできる。
また、この建築材料3では、図24に示すように、すべての板状材料31における各第1嵌合部33のすべてが、平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように各第1嵌合部33の形成位置が規定されている。
また、この建築材料3では、各板状材料31が、図14〜図16および図20,22,23に示す板状パーツ41a〜41q(以下、区別しないときには「板状パーツ41」ともいう)の各端部42にそれぞれ形成されている第2嵌合部43同士を嵌合させることによって複数の板状パーツ41を連結して構成されている。
また、各第2嵌合部43は、蟻継ぎ部を有して、各板状パーツ41の各端部42同士を厚み方向から嵌め合い可能で、かつ嵌合状態において各板状パーツ41の板面に平行な方向であって互いに離反する向きでの各板状パーツ41の移動を規制可能に構成されている。なお、蟻継ぎ部に代えて、または蟻継ぎ部と共に、鎌継ぎ部を有して第2嵌合部43を構成することもできる。
また、この建築材料3では、図13,19に示すように、すべての板状材料31における各第2嵌合部43のすべてが、平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように各第2嵌合部43の形成位置が規定されている。
また、建築材料3aは、図13に示すように、支持部材51を備えている。この場合、支持部材51は、複数の板状パーツ41(複数の材料)を連結して構成した板状材料31よりも、長さ方向(図13に示す引っ張り力F2の作用方向であって、図13,18における左右方向)の引っ張り力に対して高い剛性(耐破断性)を有する材料で構成されている。この建築材料3aでは、一例として、鉄製の1本の棒材(丸棒)で支持部材51が構成されている。また、支持部材51は、図18に示すように、両端部52に雄ねじが形成され、図13に示すように、引っ張り力F2の作用方向(同図における左右方向)に沿って配設されると共に、板状材料31に両端部52が貫通された状態で、ナット61およびワッシャ62を用いて、両端部52が板状材料31に固定されている。なお、支持部材51を複数本配設した構成を採用することもできる。また、長さ方向の引っ張り力に対する剛性が板状材料31よりも高い材料である限り、上記した材料(鉄製の棒材)以外の各種の材料で支持部材51を構成することができる。例えば、鉄等の金属製の複数の棒材をターンバックル等を用いて連結したり、溶接によって接合したりして支持部材51を構成することができる。また、金属製のリング状材料を鎖状に連結して支持部材51を構成することもできる。さらに、長さ方向(引っ張り力F2の作用方向)の途中に継ぎ目のない各種木材、具体的には、無垢の木材や、長さ方向の途中に継ぎ目のない板材を複数積層した木材を用いることもできる。
また、各板状材料31の厚みを薄く形成したり、積層する板状材料31の数を減じたりすることで、建築材料3aの全体の厚みが薄くなり、板状材料31に支持部材51の両端部52を貫通させることが困難なときには、図25,26に示すように、引寄せ金物(ホールダウン金物)63をボルト64およびナット61で固定し、その引寄せ金物63に支持部材51の両端部52をナット61で固定することもできる。
この建築材料3aによれば、引っ張り力F2の作用方向に沿って配設されると共に板状材料31に両端部52が固定された支持部材51を備えたことにより、各板状材料31の長さ方向(図13における左右方向)に作用する引っ張り力F2を支えることができる。ここで、板状材料31のように複数の板状パーツ41を連結して構成した部材では、例えば、同図に示すように、板状材料31の長さ方向に対して下向きで直交する荷重F1が加わったときには、第2嵌合部43の上部を支点として、板状材料31における第2嵌合部43よりも右側の部分を左回り(反時計回り)に回動させ、板状材料31における第2嵌合部43よりも左側の部分を右回り(時計回り)に回動させるようなモーメントが生じ、このモーメントが板状材料31を長さ方向(同図における左右方向)に引っ張る引っ張り力F2として板状材料31に作用することがある。この場合、第2嵌合部43に大きな引っ張り力F2が加わったときには、第2嵌合部43に破壊が生じて板状材料31が第2嵌合部43の形成部位で折れ曲がるおそれがある。これに対して、支持部材51を備えたこの建築材料3aによれば、板状材料31に対して下向きに荷重F1が加わったとしても、各板状材料31の長さ方向に作用する引っ張り力F2を支持部材51によって支えることができるため、板状材料31が折れ曲がる事態を確実に防止することができる。したがって、この建築材料3aを建築物の梁や母屋として使用することで、積雪等によって建築物の屋根に大きな荷重F1が加わったとしても、その荷重F1に十分耐え得る建築物を建築することができる。
また、建築材料3a,3bでは、建築材料3a,3bを構成する4枚(3枚以上)の板状材料31における各第1嵌合部33のすべてが平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように各第1嵌合部33の形成位置が規定されている。このため、この建築材料3a,3bによれば、各板状材料31の第1嵌合部33同士が嵌合している嵌合部分に対して、各板状材料31の板面に垂直な方向に外力が加わったとしても、他の板状材料31における第1嵌合部33の形成部位以外の非嵌合部分によってその外力が支えられて、外力の向きへの嵌合部分の移動(変位)を確実に規制することができる。したがって、この建築材料3a,3bによれば、このような外力によって第1嵌合部33同士の嵌合が解除される事態をより確実に防止することができる結果、この建築材料3a,3bを用いて建築した建築物の強度をさらに高めることができる。
また、建築材料3a,3bでは、建築材料3a,3bにおける4枚(3枚以上)の板状材料31を構成する各板状パーツ41の第2嵌合部43のすべてが平面視状態において互いに重ならない部位に位置するように各第2嵌合部43の形成位置が規定されている。このため、この建築材料3a,3bによれば、各板状パーツ41の第2嵌合部43同士が嵌合している嵌合部分に対して、各板状パーツ41の板面に垂直な方向に外力が加わったとしても、他の板状材料31の板状パーツ41における第2嵌合部43の形成部位以外の非嵌合部分によってその外力が支えられて、外力の向きへの嵌合部分の移動(変位)を確実に規制することができる。したがって、この建築材料3a,3bによれば、このような外力によって第2嵌合部43同士の嵌合が解除される事態を確実に防止することができる結果、この建築材料3a,3bを用いて建築した建築物の強度を一層高めることができる。