JP6533001B1 - 高リコピンケチャップの製造方法、高リコピンケチャップ、及びリコピンの高濃度化と粘度の適正化を両立する方法 - Google Patents

高リコピンケチャップの製造方法、高リコピンケチャップ、及びリコピンの高濃度化と粘度の適正化を両立する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リコピンの高濃度化と、粘度の適正化を両立する、ケチャップの提供。【解決手段】コールドブレイクトマト加工品のトマト量[A]とホットブレイクトマト加工品のトマト量[B]の関係が、0.473≦[B]/([A]+[B])≦0.946であるコールドブレイクトマト加工品を調合するケチャップ。【効果】リコピン濃度25mg/100g以上であり、かつ、粘度が15,000〜20,000mPa・sであるケチャップが得られる。【選択図】なし

Description

本発明が関係するのは、高リコピンケチャップの製造方法、及び高リコピンケチャップ
である。
近年、健康志向の高まりの下、人々が注目するのは、食品の機能性である。中でも野菜
は、様々な有用成分を豊富に含み、消費者の健康志向に応えるものである。野菜を効率的
に摂取する形態の一つは加工食品である。加工食品を例示すると、飲料、調味料、サプリ
メントなどである。
加工食品の一つとしてケチャップがある。ケチャップの主な原料は、トマト加工品であ
る。トマト加工品には、機能性成分の一つであるリコピンが豊富に含まれている。リコピ
ンが有するのは、強い抗酸化力であり、それによって、様々な疾病を予防することができ
るとされている。ケチャップは、リコピンの摂取源として有用である。そこで、市場に求
められているのは、リコピン濃度が高いケチャップである。
特許文献1が開示するのは、高リコピン含有ケチャップであり、その目的は、リコピン
を高濃度に含有しながら、幅広い塩分濃度の範囲で、香味の良いケチャップを得ることで
ある。当該ケチャップは、香気成分であるエステル類および/またはアルコール類を含有
することである。
特開2015−146800号公報
リコピン濃度の高いケチャップにおける課題は、リコピンの高濃度化と、粘度の適正化
の両立である。ケチャップは様々な用途に用いられる調味料であるが、それを特徴付けて
いる大きな要素に「粘度」がある。粘度は、ケチャップの見た目や味に大きく影響を与え
る要素である。そのため、「粘度」はケチャップを製造する上で留意すべき事項である。
一般的に、ケチャップの製造に用いるトマト加工品は、ホットブレイク処理されたもの
である。ホットブレイク処理については後述するが、ホットブレイク処理工程を経て製造
されたトマト加工品は、粘度が高く、離しょうも低いため、ケチャップの原料として適切
である。
ここで、ケチャップのリコピン濃度を高める方法は、トマトペーストの調合割合を高め
ることである。しかし、トマト加工品の調合割合を高めるとケチャップの粘度が非常に高
くなるという問題があった。粘度が高いと、製造工程における送液や充填が困難になった
り、使用時の汎用性が低下したりする。また、味覚・食感的にも従来のケチャップと大き
く異なり、重たい味となる。
つまり、リコピン濃度の高いケチャップにおける課題は、リコピンの高濃度化と、粘度
の適正化の両立である。
当該課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討し発見したのは、コールドブレイク
処理工程を経て製造されたトマト加工品を調合することである。より詳しくは、ホットブ
レイク処理されたトマト加工品とコールドブレイク処理されたトマト加工品を調合するこ
とである。コールドブレイク処理されたトマト加工品は、粘度が低く、離しょうも生じや
すいため、ジュース等の原料として用いられ、ケチャップの原料としては一般的に使われ
ない。
ケチャップの高リコピン濃度化において、ホットブレイク処理されたトマト加工品のみ
では粘度が高くなる。しかし、コールドブレイク処理されたトマト加工品を用いることで
、ホットブレイク処理されたトマト加工品を用いたときのように極端に粘度を上げること
なくリコピン濃度を上げることが可能となることを見出した。
さらに、コールドブレイク処理されたトマト加工品のみでは粘度が低くなりすぎる、と
いう事態も生じ得た。そこで、ホットブレイク処理されたトマト加工品とコールドブレイ
ク処理されたトマト加工品を用いることで、当該課題を解決することができることを見出
した。
本発明において、コールドブレイク処理されたトマト加工品由来のトマト量[A]とホ
ットブレイク処理されたトマト加工品のトマト量[B]との関係は、0.473≦[A]
/([A]+[B])≦0.946であることが好ましい。
本発明が可能にするのは、リコピン濃度が高く、かつ粘度が適正であるケチャップを得
ることである。
B型粘度と[A]/([A]+[B])との関係である。 離しょうと[A]/([A]+[B])との関係である。
<トマト加工品>
本発明の実施に係るケチャップ(以下、「本ケチャップ」という。)の製造において、
トマト加工品とは、加工されたトマトであり、例示すると、ダイストマト、トマト搾汁、
トマト濃縮汁、トマトパルプ等である。
トマト搾汁とは、トマトを破砕して搾汁し或いは裏ごしし、皮や種子等を除去して得ら
れるトマト搾汁、及び、これを濃縮したトマト濃縮汁を希釈還元したものを意味する。ト
マト搾汁は、トマト加工品品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)
で指定されたトマトジュースを含む概念であり、トマト濃縮汁は、トマト加工品品質表示
基準で指定されたトマトピューレ、トマトペースト及び濃縮トマト等を含む概念である。
これらは、さらに他の成分(例えば、少量の食塩や香辛料、食品添加物等)を含有してい
てもよい。
また、本明細書において、トマト搾汁、及びトマト濃縮汁とは、除パルプトマト汁を含
む概念であり、除パルプトマト汁とは、トマト搾汁に含まれる水不溶性固形分(トマトパ
ルプ)の一部又は全部を除去したもの、及びこれを濃縮したもの、並びに、トマト濃縮汁
に含まれる水不溶性固形分(トマトパルプ)の一部又は全部を除去したもの、及びこれら
を濃縮又は希釈還元したものである。
本明細書において、トマトパルプとは、トマト搾汁、又はトマト濃縮汁から、固液分離
を行う方法により、水溶性成分の一部又は全部を除去することで得られたものである。当
該固液分離の方法は、既知の方法で構わないが、遠心分離による方法であることが好まし
い。
<ホットブレイク処理とコールドブレイク処理>
トマト加工品を製造する上で、トマトを破砕した後、搾汁前に、予熱工程を経る。その
目的は、トマト組織を破壊軟化させ、搾汁を容易にするためである。この工程には、ホッ
トブレイク処理とコールドブレイク処理がある。ホットブレイク処理は破砕後、予熱工程
において70℃以上に加熱するか、トマトそのままを加熱後破砕することによって、トマ
ト細胞破壊と同時に働くペクチナーゼによる、トマト中ペクチンの分解を抑制するため、
酵素失活を行う方法である。コールドブレイク処理は、破砕後加熱しないか、しても70
℃未満の比較的低温で行なう方法であって、トマト中のペクチナーゼが働き、ペクチンが
分解される。上記作用により、ホットブレイク処理されたトマト加工品は、粘度が高く、
離しょうが少ないという特徴がある。一方、コールドブレイク処理されたトマト加工品は
、粘度が低く、離しょうが多いという特徴がある。
本明細書において、ホットブレイク処理工程を経て製造されたトマト加工品のことを、
「ホットブレイクトマト加工品」、又は「HBトマト加工品」という。同様に、コールド
ブレイク処理工程を経て製造されたトマト加工品のことを、「コールドブレイクトマト加
工品」、又は「CBトマト加工品」という。前記「トマト加工品」の部分を「トマト搾汁
」、「トマト濃縮汁」、「トマトペースト」、「トマトピューレ」、又は「トマトパルプ
」と置き換えて表現した場合も同様の意味とする。
<トマト加工品のリコピン濃度>
本発明の実施の形態に係るトマト加工品のリコピン濃度は、市場に流通しているもので
あれば特に限定されないが、ホットブレイクトマト加工品の1.0Brix当たりのリコ
ピン濃度は、1.8mg/100g以上2.6mg/100g未満であることが好ましい
。より好ましくは、2.0mg/100g以上2.4mg/100g未満である。また、
コールドブレイクトマト加工品の1.0Brix当たりのリコピン濃度は、1.8mg/
100g以上2.6mg/100g未満であることが好ましい。より好ましくは、2.0
mg/100g以上2.4mg/100g未満である。
<トマト量>
本発明の実施の形態に係るトマト量とは、トマト加工品をBrix4.5に調整した場
合における、トマト加工品の重量である。具体的には、100LのケチャップにおいてB
rix27.0のトマト加工品が10kg使用されていた場合、10kg×27.0/4
.5=60kgより、トマト量で60kgが100Lのケチャップに含まれることとする
ケチャップに含まれるコールドブレイクトマト加工品のトマト量[A](kg/100
L)、及びケチャップに含まれるホットブレイクトマト加工品のトマト量[B](kg/
100L)は特に限定されないが、[A]と[B]の関係が300≦[A]+[B]≦5
00であることが好ましい。より好ましくは、350≦[A]+[B]≦400、さらに
好ましくは、360≦[A]+[B]≦380である。[A]+[B]の値が300より
小さい場合、リコピン量が25mg%以下となり得る。また、[A]+[B]の値が大き
くなりすぎると、粘度が高くなりすぎる傾向がある。
また、[A]と[B]の関係が0.473≦[A]/([A]+[B])≦0.946
であることが好ましい。[A]/([A]+[B])は、ケチャップに含まれる全トマト
量の内の、コールドブレイクトマト加工品のトマト量を表し、この値が0.473より小
さい場合、粘度が高くなりすぎる傾向にあり、0.946より大きい場合、粘度が低くな
りすぎる、又は離しょうが大きくなる傾向にある。[A]と[B]のより好ましい関係は
、0.473≦[A]/([A]+[B])≦0.806であり、さらに好ましくは、0
.492≦[B]/([A]+[B])≦0.696である。
さらに、離しょう抑制の観点からは、[A]/([A]+[B])≦0.806である
ことが好ましい。より好ましくは、[A]/([A]+[B])≦0.696、さらに好
ましくは、[A]/([A]+[B])≦0.541である。
<野菜又は果物の加工品>
野菜加工品とは、加工された野菜(トマトを除く。)である。その原料を例示すると、
タマネギ、ニンジン、セロリ等である。これらのうち一種または二種以上は、組み合わせ
て調合される。
<調味料>
調味料とは、原料であって、料理の味を調えるものである。調味料を例示すると、砂糖
、食酢、しょうゆ、ウスターソース、塩、うま味調味料、酵母エキス、畜肉エキス、野菜
エキス等である。
<糖類>
本ケチャップに含有されるのは、糖類である。糖類は、ケチャップに甘味を付与する原
料である。糖類を例示すると、砂糖、ブドウ糖、ブドウ糖果糖液糖、等である。
<食酢>
本ケチャップに含有されるのは、食酢である。食酢は、ケチャップに酸味を付与する原
料である。食酢を例示すると、合成酢、及び穀物酢、果実酢等の醸造酢、等である。
<香辛料>
香辛料とは、調味料であって、辛味又は香気を付与するものをいう。香辛料を例示する
と、ニンニク、コショウ、シナモン、ナツメグ、サフラン、パセリ、ローズマリー、オレ
ガノ、山椒等、又はこれらの抽出物である。
<食品添加物>
本発明が排除しないのは、食品添加物の使用である。当該食品添加物を例示すると、甘
味料、酸味料、核酸類、香辛料抽出物、着色料、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤
、栄養強化剤、増粘剤等である。もっとも、不自然な甘味を回避するため、高甘味度甘味
料(例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア等)及
び糖アルコールは、極力、使用しない。また、本発明の具現化にあたり、その他の食品添
加物の使用を極力控えるのが好ましい。
<本ケチャップの製造方法>
本ケチャップの製造方法(以下、「本製法」という。)を主に構成するのは、調合工程
、均質化工程、殺菌工程、充填工程、密封工程、冷却工程である。これらの工程の一般的
な説明のために本願明細書が取り込むのは、「地域資源活用 食品加工総覧 第7巻 加
工品編(社団法人 農山漁村文化協会 発行)」の内容である。
<調整>
調整は、後述する調合工程において、調合する原材料の量を適切な量となるように調え
ることである。その目的は、本ケチャップの呈味、性状、色調、栄養成分濃度、リコピン
その他機能性成分濃度等を目標のものとするためである。当該調整は、調合工程の前、又
は調合工程と同時に行われる。
<調合>
調合工程は、複数の原材料を調合することで、ケチャップの基となる混合物質を製造す
る工程である。本ケチャップ製造における調合工程では、少なくとも、コールドブレイク
トマト加工品が調合される。コールドブレイクトマト加工品を調合する目的は、ケチャッ
プのリコピン濃度の高濃度化と粘度の適正化である。より好ましくは、上記コールドブレ
イクトマト加工品に加えて、ホットブレイクトマト加工品も調合する。ホットブレイクト
マト加工品を調合する目的は、ケチャップの粘度適正化と離しょう抑制である。上記に加
え、必要に応じて調合される原材料は、野菜加工品、調味料、香辛料である。
<均質化>
ケチャップは、必要に応じて均質化される。ケチャップを均質化する目的は、ケチャッ
プの粒子を均一化し、滑らかな性状を得ることである。均質化する方法は、公知の方法で
良く、均質化は複数回行っても良い。均質化を行う機器は、例えば、ホモジナイザー等で
ある。ホモジナイザーを用いる際の圧力は、0〜300kgf/uであることが好ましい
<殺菌、充填、冷却>
以上に加えて、本製法が適宜採用するのは、殺菌、充填及び冷却である。殺菌方法は、
公知の方法で良く、例えば、プレート式殺菌、チューブラー式殺菌方法等がある。冷却方
法は、公知の方法で良い。充填方法は、公知の方法でよい。ケチャップが充填される(詰
められる)容器は、公知の物で良く、例示すると、瓶、ポリエチレン製容器等である。
<本実施の形態に係るケチャップの概要>
本実施の形態に係るケチャップ(以下、「本ケチャップ」という。)が実現するのは、
リコピンの高濃度化と粘度の適正化である。さらには、好ましくは離しょう増大の抑制で
ある。その具体的な方法は、コールドブレイクトマト加工品を調合することである。好ま
しくは、コールドブレイクトマト加工品と、ホットブレイクトマト加工品を調合すること
である。
<ケチャップ>
本ケチャップとは、トマト加工品を主な原料として用い、これに糖類、食酢、食塩、及
び香辛料を加えて必要により加水して調整した物であって、必要に応じて、その他調味料
、タマネギ、ニンニク等を加えてもよい。また他の野菜又は果物の加工品、食品添加物な
どを加えてもよい。本ケチャップの中には、トマト加工品品質表示基準(平成23年9月
30日消費者庁告示第10号)において定められる、トマトケチャップ、トマトソース、
チリソース、が含まれる。好ましくは、本ケチャップはトマト加工品品質表示基準(平成
23年9月30日消費者庁告示第10号)において定められるトマトケチャップ、又はト
マトソースである。
<糖度(Brix)>
本ケチャップのBrixは、特に限定されないが、好ましくは、30.0以上40.0
以下である。また、Brixの測定方法は、公知の方法でよい。測定手段を例示すると、
光学屈折率計(NAR−3T ATAGO社製)である。
<リコピン濃度>
本発明の実施の形態に係る、リコピンとは、化学式C4050で表されるカロテノイ
ドの一種である。自然界には、トマトやスイカ、ニンジン等に多く含まれている。リコピ
ンを工業的に濃縮や精製したリコピン製剤も市場において販売されている。一般的なケチ
ャップにおいては、リコピンは10mg/100gから20mg/100g程度含まれて
いる。本実施の形態におけるケチャップにおいて、リコピン濃度は25mg/100g以
上50mg/100gであることが好ましい。より好ましくは30mg/100g以上4
0mg/100g以下である。食品添加物不使用の観点から、本実施の形態におけるケチ
ャップは、食品添加物としてリコピンを使用しないことが好ましい。
<粘度>
本ケチャップの粘度は、10,000〜20,000mPa・sであることが好ましい
。これより粘度が低いと、調味料としての保形性が悪くなり、これより粘度が高いと、重
たい呈味となる。一般に市場にトマトソース、トマトケチャップとして販売されているケ
チャップの粘度もこの程度である。より好ましくは15,000〜20,000mPa・
sに調整されていることが好ましい。B型粘度の測定方法は、公知の方法で良い。測定手
段を例示すると、TVB−10型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、20℃、回転
数を12rpmとし、開始後60秒後の条件である。
<離しょう>
ケチャップは調味料であるために一定期間保管することが考えられるが、保管中の経時
変化によって、「離しょう」が生じる。離しょうとは、固形分から分離した漿液のことで
あるが、見た目や、使用に影響を与える。そのため、「離しょう」はケチャップを作る上
で留意すべき事項である。
本発明の実施の形態に係る、離しょうとは、ケチャップの固形分からの分離した漿液の
ことである。本実施の形態において、固形分からの漿液分離を量化する方法として、ブロ
ッター試験紙を使った漿液分離評価法を参照した。(Gould W.A.他, 1992,Tomato Produ
ction Processing & Technology, 第3版, CTI Publications)。ブロッター試験紙の中
心に5.0gのケチャップを秤量した。10分後、ケチャップの外周部分から、試験紙に
水が滲み出した外周部分までの距離(cm)を測定した。低い値は漿液分離の程度が低い
ことを示す。
本発明の実施の形態に係るケチャップの離しょうは、7.0cm以下であることが好ま
しい。より好ましくは、5.0cm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、3.
0cm以下であることが好ましい。
本発明に係るケチャップを具現化したのは、実施例1乃至3である。これらの実施例に
よって、本発明に係る特許請求の範囲が限定されるものではない。
<リコピン濃度の測定>
本測定で採用したリコピンの測定方法は、HPLC法である。試料は公知の方法に基づ
いて、溶媒抽出を行い、フィルター濾過したものを検体とした。詳細な測定条件は、以下
のとおりである。
<HPLC装置構成>
オートサンプラー :SIL−10ADvp(SHIMADZU)
ポンプ :LC−10ADvp(SHIMADZU)
カラムオーブン :CTO−10Avp(SHIMADZU)
検出器 :SPD−10AVvp(SHIMADZU)
<測定条件>
カラム :ODS(REVERSE−PHASE C18)
(化学物質評価研究機構 L−Column
4.6mm×150mm)
移動相 :アセトニトリル:メタノール:テトラヒドロフラン混液
(55:40:5(v/v)
(α−トコフェロール50ppm含有)
流速 :1.5mL/min
検出波長 :453nm
カラム温度 :40℃
試料注入量 :10μL
分析時間 :20min
<B型粘度の測定>
TVB−10型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、回転数を12rpmとし、開
始後60秒後の条件で、粘度を測定した。使用したローターはM4で、測定時の温度は2
0℃であった。
<糖度(Brix)の測定>
本測定で採用した糖度(Brix)の測定器は、デジタル屈折計RX5000i(AT
AGO社製)である。測定時の品温は、20度であった。
<離しょうの測定>
No.65のろ紙(ADVANTEC社製)の中心に5.0gのケチャップを秤量した
。10分後、ケチャップの外周部分から、試験紙に水が滲み出した外周部分までの距離(
cm)を測定した。測定は4方向において行い、4数字の平均をもって測定値とした。
<トマト量>
トマト量は、トマト加工品をBrix4.5に調整した場合における、トマト加工品の
重量とした。ケチャップに含まれる、コールドブレイクトマト加工品のトマト量を[A]
(kg/100L)とし、ホットブレイクトマト加工品のトマト量を[B](kg/10
0L)とした。
<比較例1>
比較例1では、調合工程において、市販のホットブレイク処理されたトマトペースト(
Brix28.6、リコピン濃度61.2mg/100g、Brix1.0あたりのリコ
ピン濃度2.14mg/100g)、食塩、砂糖、醸造酢、ニンニク、香辛料を、表1に
示す分量で調合した。その後、ホモジナイザーを用いて、80kgf/uにて均質化処理
を行った。
<実施例1>
実施例1では、市販のコールドブレイク処理されたトマトペースト(Brix29.0
、リコピン濃度62.0mg/100g、Brix1.0あたりのリコピン濃度2.14
mg/100g)、及び比較例1で用いた原材料と同様のものを用いて、表1に示す分量
で調合した。その後、ホモジナイザー(三丸機械工業株式会社製、ECONIZER L
ABO−01)を用いて、80kgf/uにて均質化処理を行った。
<実施例2>
実施例2では、実施例1で用いた原材料と同様のものを用いて、表1に示す分量で調合
した。その後、ホモジナイザー(三丸機械工業株式会社製、ECONIZER LABO
−01)を用いて、80kgf/uにて均質化処理を行った。
<実施例3>
実施例3では、実施例1で用いた原材料と同様のものを用いて、表1に示す分量で調合
した。その後、その後、ホモジナイザー(三丸機械工業株式会社製、ECONIZER
LABO−01)を用いて、80kgf/uにて均質化処理を行った。
<比較例2>
比較例2では、調合工程において、実施例1〜3で使用したものと同様の市販のCB処
理されたトマトペースト(Brix29.0、リコピン濃度62.0mg/100g、B
rix1.0あたりのリコピン濃度2.14mg/100g)、食塩、砂糖、醸造酢、ニ
ンニク、香辛料を、表1に示す分量で調合した。その後、ホモジナイザー(三丸機械工業
株式会社製、ECONIZER LABO−01)を用いて、80kgf/uにて均質化
処理を行った。
<参考例1>
参考として、市販のトマトケチャップ(カゴメ株式会社製、品名:トマトケチャップ)
のリコピン濃度、及びB型粘度を測定した。
<参考例2>
参考として、市販のトマトケチャップ(日本デルモンテ株式会社販売、名称:トマトケ
チャップ)のリコピン濃度、及びB型粘度を測定した。
<参考例3>
参考として、市販のトマトケチャップ(ハインツ日本株式会社販売、名称:トマトケチ
ャップ)のリコピン濃度、及びB型粘度を測定した。
<参考例4>
参考として、市販のトマトケチャップ(株式会社ナガノトマト製、JAS規格に指定さ
れたトマトケチャップ)のリコピン濃度、及びB型粘度を測定した。
<評価方法>
本試験において、B型粘度が15,000mPa・s以上、20,000mPa・s以
下となる区分の評価を、粘度に関して「○」とした。それ以外の値については粘度に関し
て「×」とした。また、離しょうが7.0cm以下となる区分の評価を、離しょうに関し
て「○」とした。それ以外の値については、離しょうに関して「×」とした。
Figure 0006533001
<近似式を基にした本発明の範囲>
図1、及び2が示すのは、それぞれ、本試験の結果により算出された、B型粘度と[A
]/([A]+[B])との関係、及び離しょうと[A]/([A]+[B])との関係
であり、各関係の近似式を併せて示した。また、表2が示すのは、本試験に関して、B型
粘度が15,000〜20,000mPa・sのときの[A]/([A]+[B])であ
る。表3が示すのは、離しょう3.0〜7.0cmのときの[A]/([A]+[B])
である。各数値は、近似式により算出した値を用いた。
Figure 0006533001
Figure 0006533001
<まとめ>
以上の試験結果を考慮した結果、HB処理トマト加工品、及びCB処理トマト加工品を
用いることで、高リコピン濃度で、適切な粘度のケチャップを作製することができること
がわかった。また、好ましくは、0.473≦[A]/([A]+[B])≦0.946
であることが好ましいことがわかった。さらには、当該方法により、CBペーストを使用
することによる、離しょうの増大を抑制する効果があることもわかった。離しょう抑制の
観点からは、[A]/([A]+[B])が0.806以下、好ましくは、0.696以
下、さらに好ましくは、0.541以下であることがわかった。
本発明が有用な分野は、ケチャップのリコピン濃度を高め、かつ粘度を適正にする方法
、及びそれを用いたケチャップとその製造方法である。

Claims (13)

  1. リコピン濃度25mg/100g以上のケチャップの製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である:
    調合:ここで調合されるのは、少なくとも、コールドブレイクトマト加工品、及びホットブレイクトマト加工品であり、
    前記調合するコールドブレイクトマト加工品のトマト量[A](kg/100L)と前記調合するホットブレイクトマト加工品のトマト量[B](kg/100L)との関係は、
    0.473≦[A]/([A]+[B])≦0.946
    であり、
    当該トマト量の換算方法は、トマト加工品をBrix4.5に調整した場合におけるトマト加工品の重量である。
  2. 請求項1の製造方法であって、
    前記ケチャップの粘度は15,000〜20,000mPa・sである。
  3. 請求項1又は2のケチャップの製造方法であって、
    当該ケチャップに調合するコールドブレイクトマト加工品のトマト量[A](kg/100L)と当該ケチャップに調合するホットブレイクトマト加工品のトマト量[B](kg/100L)との関係は、
    300≦[A]+[B]≦500
    であり、
    当該トマト量の換算方法は、トマト加工品をBrix4.5に調整した場合におけるトマト加工品の重量である。
  4. 請求項1〜の何れかのケチャップの製造方法であって、
    当該ケチャップに調合されるコールドブレイクトマト加工品に含まれる1.0Brix当たりのリコピン濃度は、1.8mg/100g以上2.6mg/100g未満である。
  5. 請求項1〜4の何れかのケチャップの製造方法であって、
    当該ケチャップに調合されるホットブレイクトマト加工品に含まれる1.0Brix当たりのリコピン濃度は、1.8mg/100g以上2.6mg/100g未満である。
  6. リコピン濃度25mg/100g以上のケチャップであって、
    含有するのは、コールドブレイクトマト加工品、及びホットブレイクトマト加工品であり、
    当該ケチャップが含有するコールドブレイクトマト加工品のトマト量[A](kg/100L)と当該ケチャップが含有するホットブレイクトマト加工品のトマト量[B](kg/100L)との関係は、
    0.473≦[A]/([A]+[B])≦0.946
    であり、
    当該トマト量の換算方法は、トマト加工品をBrix4.5に調整した場合におけるトマト加工品の重量である。
  7. 請求項6のケチャップであって、
    当該ケチャップをB型粘度計で測定したときの粘度は、15,000〜20,000mPa・sである。
  8. 請求項6又は7のケチャップであって、
    当該ケチャップが含有するコールドブレイクトマト加工品のトマト量[A](kg/100L)と当該ケチャップが含有するホットブレイクトマト加工品のトマト量[B](kg/100L)との関係は、
    300≦[A]+[B]≦500
    であり、
    当該トマト量の換算方法は、トマト加工品をBrix4.5に調整した場合におけるトマト加工品の重量である。
  9. 請求項6〜8の何れかのケチャップであって、
    当該ケチャップに調合されるコールドブレイクトマト加工品に含まれる1.0Brix当たりのリコピン濃度は、1.8mg/100g以上2.6mg/100g未満である。
  10. 請求項6〜9の何れかのケチャップであって、
    当該ケチャップに調合されるホットブレイクトマト加工品に含まれる1.0Brix当たりのリコピン濃度は、1.8mg/100g以上2.6mg/100g未満である。
  11. 請求項6〜10の何れかのケチャップであって、
    当該ケチャップは、トマト加工品品質表示基準により規定される、トマトケチャップである。
  12. ケチャップにおけるリコピンの高濃度化と粘度適正化を両立する方法であって、
    それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である:
    調合:ここで調合されるのは、少なくとも、コールドブレイクトマト加工品、及びホットブレイクトマト加工品であり、
    前記調合するコールドブレイクトマト加工品のトマト量[A](kg/100L)と前記調合するホットブレイクトマト加工品のトマト量[B](kg/100L)との関係は、
    0.473≦[A]/([A]+[B])≦0.946
    であり、
    当該トマト量の換算方法は、トマト加工品をBrix4.5に調整した場合におけるトマト加工品の重量である。
  13. ケチャップにおけるリコピンの高濃度化と粘度適正化、及び離しょうの増大抑制をあわせて可能にする方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である:
    調合:ここで調合されるのは、少なくとも、コールドブレイクトマト加工品、及びホットブレイクトマト加工品であり、前記調合するコールドブレイクトマト加工品のトマト量[A](kg/100L)と前記調合するホットブレイクトマト加工品のトマト量[B](kg/100L)との関係は、
    0.473≦[A]/([A]+[B])≦0.806
    であり、
    当該トマト量の換算方法は、トマト加工品をBrix4.5に調整した場合におけるトマト加工品の重量である。
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