JP6436570B2 - トマト調味料 - Google Patents
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本実施の形態に係るトマト調味料(以下、「本トマト調味料」という。)が実現するのは、自然な甘さ及びエネルギーの低減の両立である。その具体的な方法は、スクロース、グルコース及びフルクトースの含有割合の調整であり、より具体的には、トマトペーストに代えて、トマトパルプ及び砂糖とすることである。本発明に係るトマト調味料の用途は、料理であって、その喫食温度が50℃以上であり、概ね、60℃程度である。
本トマト調味料に含有される主な糖は、具体的には、グルコース、フルクトース、及びスクロースである。これらの糖のうち約60℃における甘味度が最も高いのは、スクロースである(日本化学会編、季刊 化学総説No.40 味とにおいの分子認識、52頁、図1を参照)。本トマト調味料が使用されるのは、加熱された料理である。加熱された料理の温度は、50℃以上であり、概ね、60℃程度である。以上の知見から導かれる本トマト調味料の仕様は、次のとおりである。
本トマト調味料の熱量(エネルギー)を決める要素は、原材料の配合である。本トマト調味料の熱量は、111乃至131kcal/100gである。当該熱量は、好ましくは、122kcal/100g以上である。ここで、熱量(エネルギー)の求め方を開示するのは、日本食品標準成分表2010である。具体的には、可食部100g当たりのタンパク質、脂質及び炭水化物等の量に各成分のエネルギー換算係数を乗じて算出する。
本トマト調味料の主な原材料は、トマト加工材料、野菜加工材料、調味料及び香辛料である。これらの原材料の詳細は、次のとおりである。
トマト加工材料とは、加工されたトマトであり、例示すると、ダイストマト、トマトの搾汁、濃縮トマト(トマトピューレー及びトマトペースト)、トマトパルプ等である。
トマトパルプとは、トマト加工材料であって、そのグルコース及びフルクトースの一部又は全部が除かれたものをいう。トマトパルプの製造方法を構成するのは、固液分離である。固液分離を例示すると、遠心分離、膜分離、振動ふるい等である。トマトの搾汁又は濃縮トマトを還元してなる液(広義のトマトジュース)が固液分離されると、それによって得られるのは、トマトパルプ及び液部である。これらのうち糖濃度が相対的に高いのは、液部である。言い換えると、トマトパルプの糖濃度は、相対的に低い。トマトパルプに比してトマトペーストの糖濃度が高いのは、トマトジュースの濃縮品だからである。つまり、トマトパルプを使用する利点は、糖質を減らしつつ、トマトの特徴(色、粘度、性状等)を確保できる点である。
野菜加工材料とは、加工された野菜(トマトを除く。)である。その原料を例示すると、タマネギ、ニンジン、セロリ等である。これらのうち一種または二種以上は、組み合わせて配合される。
調味料とは、材料であって、料理の味を調えるものである。調味料を例示すると、砂糖、食用酢、しょうゆ、ウスターソース、塩、うま味調味料、酵母エキス、畜肉エキス、野菜エキス等である。
本トマト調味料に含有されるのは、砂糖であって、そのスクロース濃度が高いものである。スクロース濃度の目安は、97%以上である。そのような高スクロースの砂糖を例示すると、黒砂糖、和三盆糖、車糖、上白糖、三温糖、ざらめ糖、グラニュー糖、白ざら糖、中ざら糖、加工糖である。
香辛料とは、調味料であって、辛味又は香気を付与するものをいう。香辛料を例示すると、ニンニク、コショウ、シナモン、ナツメグ、サフラン、パセリ、ローズマリー、オレガノ、山椒等である。
本発明が排除しないのは、食品添加物の使用である。当該食品添加物を例示すると、甘味料、酸味料、香辛料抽出物、着色料、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤、栄養強化剤、増粘剤等である。もっとも、不自然な甘味を回避するため、高甘味度甘味料(例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア等)及び糖アルコールは、極力、使用しない。また、本発明の具現化にあたり、その他の食品添加物の使用を極力控えるべきなのは、言うまでもない。
本トマト調味料の製造方法(以下、「本製法」という。)を主に構成するのは、調合工程、均質化工程、殺菌工程、充填工程、密封工程、冷却工程である。これらの工程の一般的な説明のために本願明細書が取り込むのは、「地域資源活用 食品加工総覧 第7巻 加工品編(社団法人 農山漁村文化協会 発行)」の内容である。
近年、最終製品及び中間製品は、別々に製造されることもある(いわゆる分業化)。その観点から、本製法が排除しないのは、既成の原材料の使用である。具体的には、エネルギー低減組成物を構成するのは、トマトパルプ及び砂糖であり、その使用によって減らせるのは、トマト加工品に対するトマトペーストの使用量である。
実施例1における調合工程では、トマトペースト(Brix28乃至30)、トマトパルプ、食塩、砂糖、液糖、醸造酢、タマネギ、ニンニク、香辛料を調合する。各原材料を配合した量は、表1のとおりである。特に、トマトペーストの配合量は31.5%(w/v)であり、トマトパルプの配合量は、5%(w/v)であり、砂糖の配合量は2.6%(w/v)である。
実施例2において調合した原材料は、実施例1のものと同様である。各原材料を配合した量は、表1のとおりである。特に、トマトペーストの配合量は26.3%(w/v)であり、トマトパルプの配合量は、12.5%(w/v)であり、砂糖の配合量は6.4%(w/v)である。
実施例3において調合した原材料は、実施例1のものと同様である。各原材料を配合した量は、表1のとおりである。特に、トマトペーストの配合量は17.5%(w/v)であり、トマトパルプの配合量は、25%(w/v)であり、砂糖の配合量は12.8%(w/v)である。
実施例4において調合した原材料は、実施例1のものと同様である。各原材料を配合した量は、表1のとおりである。特に、トマトペーストの配合量は8.8%(w/v)であり、トマトパルプの配合量は、37.5%(w/v)であり、砂糖の配合量は19.3%(w/v)である。
実施例5において調合した原材料は、実施例1のものと同様である。各原材料を配合した量は、表1のとおりである。特に、トマトペーストの配合量は3.5%(w/v)であり、トマトパルプの配合量は、45%(w/v)であり、砂糖の配合量は23.1%(w/v)である。
実施例6において調合した原材料は、実施例1のものと同様である。各原材料を配合した量は、表1のとおりである。特に、トマトペーストの配合量は0%(w/v)であり、トマトパルプの配合量は、50%(w/v)であり、砂糖の配合量は25.7%(w/v)である。
比較例1において調合したのは、トマトペースト、食塩、砂糖、液糖、醸造酢、タマネギ、ニンニク、香辛料である。他方、トマトパルプは、配合しなかった。各原材料を配合した量は、表1のとおりである。比較例1の品質は市販のトマトケチャップと同等である。
各サンプルを作製した手順は、次のとおりである。(1)醸造酢以外の各原材料を加水して調合した。(2)調合された原材料を70℃まで加熱した。(3)醸造酢を加え、ホモジナイザー(小型三連式ホモジナイザー HOMOGENIZER H3−1D 三丸機械工業株式会社製)を用いて均質化した。ホモジナイザーの圧力は26MPaであった。以上の手順で得られた各トマト調味料のBrixを測定した結果は、表1のとおりである。各サンプルのエネルギー値は前述のとおり算出により得られ、表1のとおりであった。
本測定で採用したBrixの測定器は、屈折計(NAR−3T ATAGO社製)である。
実施例1乃至6並びに比較例1を官能評価するにあたり、評価した項目は、甘さである。甘さとは、甘味であって、サンプルを口に入れた時から飲みこんだ後まで感じられる一連の甘味である。各項目の評価において採用したのは、評点法である。評価基準は、比較例1(対照サンプル)と同じものを2点として、以下のとおりである。
1点:対照とほぼ同じ
0点:対照とわずかに異なる
−1点:対照と異なる
−2点:対照と全く異なる
評価者は、専門パネラー7名であった。各サンプルは60℃に保温した状態で評価を実施した。評価結果は、表1のとおりである。
Claims (7)
- トマト調味料であって、
当該トマト調味料の原材料は、少なくとも、トマトパルプ、及び砂糖であり、
前記トマトパルプの含有割合は、1.00乃至50.0%(w/v)であり、
前記トマト調味料の糖重量比(グルコース+フルクトース)/スクロースは、1.17乃至7.00であり、
当該グルコースと当該フルクトースとの和の重量割合は、30.0%(w/v)以下である。 - 請求項1のトマト調味料であって、
前記糖重量比は、5.13以下である。 - 請求項1又は2のトマト調味料であって、
前記スクロースの重量割合は、4.5%(w/v)以上である。 - 請求項1又は2の何れかのトマト調味料であって、
前記スクロースの重量割合は、5.8%(w/v)以上である。 - 請求項1乃至4の何れかのトマト調味料であって、
その用途は、料理であって、その喫食温度が50℃以上である。 - 請求項1乃至5の何れかのトマト調味料であって、
前記砂糖は、黒砂糖、和三盆糖、車糖、上白糖、三温糖、ざらめ糖、グラニュー糖、白ざら糖、中ざら糖、及び加工糖のうち1種又は2以上である。 - 請求項1乃至6の何れかのトマト調味料は、トマトケチャップである。
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