JP5900106B2 - 塩味増強組成物 - Google Patents

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本発明は、飲食品等の塩味を増強することのできる組成物、およびその利用に関するものである。
食塩の主成分である塩化ナトリウムは、必須ミネラルであるナトリウム源として、ヒトの生命維持に不可欠な物質である。食塩は、塩味(salty taste)の付与を始めとする種々の用途で飲食品に利用されている。しかしながら、食塩の過剰摂取は、諸説あるものの高血圧、腎臓病、心臓病等の疾病を引き起こすリスクを高めると考えられている。そのため、健康面から、食塩摂取量、特にナトリウム摂取量を低減することが重要視されている。
食塩摂取量は、例えば、飲食品を製造する際の食塩の使用量を減らすこと(減塩)により低減できる。しかしながら、減塩時には、塩味の不足により満足感が低下するという問題が生ずる。そのため、食塩の使用量を低減しても飲食品の塩味や満足感を損なわない減塩技術の開発が強く求められている。
減塩技術としては、例えば、それ自体が塩味を呈する化合物(食塩代替物質)で食塩の一部を代替する方法が挙げられる。食塩代替物質としては、例えば、塩化カリウム等のカリウム塩、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、アミノ酸の塩酸塩、塩基性アミノ酸からなるペプチド類が知られている。しかしながら、これら食塩代替物質には、通常、苦味等の不快な呈味を示すという欠点があり、消費者のニーズにあった減塩技術には到達していない。
また、減塩技術としては、例えば、塩味を増強する化合物を用いる方法が挙げられる。例えば、古くから、有機酸類は塩味の増強作用を有することが知られている。また、例えば、アルギニンは塩味の増強作用を有することが知られている。そのような化合物を利用した技術として、例えば、特許文献1には、グルコン酸のアルカリ金属塩を含有する減塩醤油が開示されている。また、特許文献2には、塩味増強組成物が開示されており、その成分としてアルギニン等の塩基性アミノ酸とグルコン酸ナトリウム等を利用できること、および、pH調整に乳酸等の酸を利用できることが記載されている。また、特許文献3には、減塩調味料が開示されており、その成分としてアルギニン等の塩基性アミノ酸、グルコン酸ナトリウム等のナトリウム塩、および乳酸等の酸味料等を利用できることが記載されている。
しかしながら、いずれの文献にも、アルギニン、グルコン酸ナトリウム、および乳酸の3成分を特に選択して配合することは記載されていない。また、特許文献2においては、アルギニン等の塩基性アミノ酸とグルコン酸ナトリウムそれぞれの配合濃度については言及されているが、乳酸等の酸の配合濃度については開示されていない。また、特許文献3においては、アルギニン等の塩基性アミノ酸と乳酸等の酸味料それぞれの配合濃度については言及されているが、グルコン酸ナトリウムの配合濃度については開示されていない。すなわち、アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を特定の比率で配合する減塩技術については知られていない。
また、上記のような技術のいずれも、減塩時の塩味の不足と満足感の低下を十分に改善できていなかった。
国際公開98/020754 特開2011−062171 特開2011−045247
本発明は、食塩の使用量を低減しても飲食品の塩味や満足感を損なわない減塩技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を特定の比率で配合することで、飲食品の塩味を増強することができ、減塩時の塩味の不足と満足感の低下を改善できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を原料に添加することを特徴とする、塩味の増強された飲食品の製造方法であって、
前記乳酸および/またはその塩が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜2.5倍量添加され、
前記グルコン酸および/またはその塩が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜5倍量添加される、方法。
[2]
前記アルギニンおよび/またはその塩が、前記飲食品中の該アルギニンおよび/またはその塩の濃度が0.001〜5.0%となるように添加される、前記方法。
[3]
前記グルコン酸および/またはその塩がフリー体のグルコン酸である、前記方法。
[4]
さらに保型剤を原料に添加することを特徴とし、
前記保型剤が、糖アルコール類、糖類、アルギン酸、アルギン酸塩、ゼラチン、増粘剤、および食物繊維から選択される化合物であり、
前記飲食品が固形状の飲食品である、前記方法。
[5]
前記保型剤が、固形化前の飲食品中の該保型剤濃度が0.01%〜10%となるように添加される、前記方法。
[6]
前記保型剤が、ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、マルトース、ラクトース、アルギン酸ナトリウム、およびゼラチンから選択される化合物である、前記方法。
[7]
前記固形状の飲食品が凍結乾燥スープであることを特徴とする、前記方法。
[8]
アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を原料に添加することを特徴とする、飲食品の塩味を増強する方法であって、
前記乳酸および/またはその塩が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.0
5〜2.5倍量添加され、
前記グルコン酸および/またはその塩が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜5倍量添加される、方法。
[9]
前記アルギニンおよび/またはその塩が、前記飲食品中の該アルギニンおよび/またはその塩の濃度が0.001〜5.0%となるように添加される、前記方法。
[10]
前記グルコン酸および/またはその塩がフリー体のグルコン酸である、前記方法。
[11]
さらに保型剤を原料に添加することを特徴とし、
前記保型剤が、糖アルコール類、糖類、アルギン酸、アルギン酸塩、ゼラチン、増粘剤、および食物繊維から選択される化合物であり、
前記飲食品が固形状の飲食品である、前記方法。
[12]
前記保型剤が、固形化前の飲食品中の該保型剤濃度が0.01%〜10%となるように添加される、前記方法。
[13]
前記保型剤が、ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、マルトース、ラクトース、アルギン酸ナトリウム、およびゼラチンから選択される化合物である、前記方法。
[14]
前記固形状の飲食品が凍結乾燥スープであることを特徴とする、前記方法。
[15]
アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を含む、塩味増強組成物であって、
前記乳酸および/またはその塩が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜2.5倍量含まれ、
前記グルコン酸および/またはその塩が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜5倍量含まれる、組成物。
[16]
飲食品中の前記アルギニンおよび/またはその塩の濃度が0.001〜5.0%となるように飲食品に添加される、前記組成物。
[17]
さらに塩化ナトリウムを含む、前記組成物。
本発明により、飲食品の塩味を増強することができ、減塩時の塩味の不足と満足感の低下を改善できる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、アミノ酸およびアミノ酸誘導体は、特記しない限りいずれもL−体である。また、本発明において、濃度は、特記しない限り質量を基準とする濃度である。すなわち、例えば、「%」は特記しない限り「質量%」を、「ppm」は特記しない限り「質量ppm」を示す。また、本発明において、ある成分の「喫食時の濃度」とは、当該成分を含む飲食品を喫食する際の、当該飲食品における当該成分の濃度をいう。
<1>本発明の塩味増強組成物
本発明においては、アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を特定の比率で原料に配合することで、飲食品の塩
味を増強することができる。すなわち、本発明は、アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を特定の比率で含む塩味増強組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう)を提供する。なお、以下、「アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩」を総称して「有効成分」ともいう。
本発明において、「アルギニン」、「乳酸」、「グルコン酸」は、特記しない限り、いずれもフリー体のものを示す。
すなわち、本発明において、「アルギニンおよび/またはその塩」、「乳酸および/またはその塩」、「グルコン酸および/またはその塩」は、いずれも、フリー体もしくはその塩、またはそれらの混合物であってよい。
塩は、経口摂取可能なものであれば特に制限されない。例えば、カルボキシル基等の酸性基に対する塩としては、具体的には、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。また、例えば、アミノ基等の塩基性基に対する塩としては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸との塩、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デカン酸、テオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩が挙げられる。なお、塩としては、1種の塩を用いてもよく、2種またはそれ以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
各有効成分は、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。各有効成分の製造は、例えば、公知の手法により行うことができる。具体的には、例えば、各有効成分は、当該有効成分の生産能を有する微生物を培養し、培養液から当該有効成分を回収することで製造することができる。また、例えば、各有効成分は、農水畜産物の加工・抽出物から回収することで製造することができる。
各有効成分は、精製されたものであってもよく、そうでなくてもよい。例えば、各有効成分としては、当該有効成分を含有する素材を用いてもよい。各有効成分を含有する素材として、具体的には、例えば、当該有効成分の生産能を有する微生物を培養して得られた培養物や培養上清等の発酵生産物、および農水畜産物の加工・抽出物が挙げられる。
本発明の組成物は、上記有効成分を含む。本発明の組成物は、上記有効成分のみからなるものであってもよく、その他の成分を含むものであってもよい。
「その他の成分」は、経口摂取可能なものであれば特に制限されず、例えば、調味料や飲食品に配合して利用されるものを利用できる。
「その他の成分」として、具体的には、例えば、砂糖、蜂蜜、メープルシロップ、スクロース、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、異性化糖、オリゴ糖等の糖類;ソルビトール、還元麦芽糖(マルチトール)、キシリトール、エリスリトール、トレハロース等の糖アルコール類;天然または人工甘味料;食塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類;塩味を呈する化合物;酢酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸類およびその塩;グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸類およびその塩;イノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸等の核酸類およびその塩;食物繊維、pH緩衝剤、香料、食用油、エタ
ノール、水が挙げられる。塩については、上述の有効成分の塩の記載が準用できる。これらの成分は、単独で、あるいは任意の組み合わせで利用されてよい。
本発明は、その他の任意の減塩技術と組み合わせてもよい。例えば、本発明の組成物は、それ自体が塩味を呈する化合物を含んでいてもよい。それ自体が塩味を呈する化合物としては、塩化ナトリウムに加えて、例えば、塩化カリウム等のカリウム塩、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、グリシンエチルエステル塩酸塩やリジン塩酸塩等のアミノ酸の塩酸塩、オルニチルタウリン、オルニチル−β−アラニン、グリシルリジン等のペプチド類が挙げられる(特許文献2)。また、例えば、本発明の組成物は、塩味を増強する化合物を含んでいてもよい。塩味を増強する化合物としては、例えば、有機酸類やそれらの塩が挙げられる。
本発明の組成物が塩化ナトリウムを含む場合、本発明の組成物は、塩味組成物として利用されてよい。ここでいう「塩味組成物」とは、それ自体が塩味を呈し、飲食品に塩味を付与できる組成物である。
本発明の組成物において、「乳酸および/またはその塩」は、重量で、「アルギニンおよび/またはその塩」の0.05〜2.5倍量、好ましくは、0.05〜0.5倍量含まれる。また、本発明の組成物において、「グルコン酸および/またはその塩」は、重量で、「アルギニンおよび/またはその塩」の0.05〜5倍量、好ましくは0.05〜3倍量、より好ましくは0.05〜1倍量含まれる。
本発明の組成物における各有効成分の濃度は、本発明の組成物を利用して飲食品の塩味を増強できる限り特に制限されず、本発明の組成物の飲食品またはその原料への添加量等の諸条件に応じて適宜設定することができる。本発明の組成物における有効成分の総濃度は、特に制限されないが、例えば、0.01%以上、0.1%以上、または1%以上であってよい。また、本発明の組成物における有効成分の総濃度は、特に制限されないが、例えば、100%以下、10%以下、または1%以下であってよい。
本発明の組成物における「アルギニンおよび/またはその塩」の濃度は、例えば、喫食時の「アルギニンおよび/またはその塩」の濃度が、好ましくは0.001〜5.0%、より好ましくは0.01〜1.0%、更に好ましくは0.01〜0.1%となるような濃度であってよい。また、本発明の組成物における「アルギニンおよび/またはその塩」の濃度は、例えば、喫食時の「アルギニンおよび/またはその塩」の濃度が、喫食時の塩化ナトリウム濃度の好ましくは0.001〜10倍、より好ましくは0.01〜1倍、更に好ましくは0.01〜0.1倍となるような濃度であってよい。
本発明の組成物における「乳酸および/またはその塩」の濃度は、例えば、喫食時の「乳酸および/またはその塩」の濃度が、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.001〜5%、更に好ましくは0.002〜0.5%となるような濃度であってよい。また、本発明の組成物における「乳酸および/またはその塩」の濃度は、例えば、喫食時の「乳酸および/またはその塩」の濃度が、喫食時の塩化ナトリウム濃度の好ましくは0.001〜10倍、より好ましくは0.002〜1倍、更に好ましくは0.005〜0.1倍となるような濃度であってよい。
本発明の組成物における「グルコン酸および/またはその塩」の濃度は、例えば、喫食時の「グルコン酸および/またはその塩」の濃度が、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.001〜5%、更に好ましくは0.002〜0.5%となるような濃度であってよい。また、本発明の組成物における「グルコン酸および/またはその塩」の濃度は、例えば、喫食時の「グルコン酸および/またはその塩」の濃度が、喫食時の塩化ナ
トリウム濃度の好ましくは0.001〜10倍、より好ましくは0.002〜1倍、更に好ましくは0.005〜0.1倍となるような濃度であってよい。
本発明の組成物の形態は特に制限されず、例えば、粉末状、顆粒状、液状、ペースト状、キューブ状等のいかなる形態であってもよい。
また、本発明の組成物に含まれる各成分(すなわち、有効成分および必要によりその他の成分)は、互いに混合されて本発明の組成物に含まれていてもよく、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、本発明の組成物に含まれていてもよい。例えば、本発明の組成物は、「アルギニンおよび/またはその塩」、「乳酸および/またはその塩」、および「グルコン酸および/またはその塩」を、それぞれ別個に含むものであってもよい。本発明の組成物を添加して製造された飲食品中で有効成分が共存していれば喫食時に有効成分の併用効果が得られる。
<2>本発明の飲食品の製造方法
本発明においては、アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を特定の比率で原料に配合することで、飲食品の塩味を増強することができる。すなわち、本発明の方法の一態様は、アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を特定の比率で原料に添加することを特徴とする、飲食品の塩味を増強する方法である。また、本発明の方法の他の態様は、アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を特定の比率で原料に添加することを特徴とする、塩味の増強された飲食品の製造方法である。本発明の方法により、アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにグルコン酸および/またはその塩を特定の比率で含有する、塩味の増強された飲食品が得られる。なお、本発明の方法により得られる塩味の増強された飲食品を「本発明の飲食品」ともいう。
本発明の飲食品は、有効成分を添加すること以外は、通常の飲食品と同様の原料を用い、同様の方法によって製造することができる。すなわち、例えば、調味料や飲食品に配合して利用されるものを原料として利用できる。
有効成分の添加は、飲食品の製造工程のいずれの段階で行われてもよい。すなわち、有効成分は、飲食品の原料に添加されてもよく、製造途中の飲食品に添加されてもよく、製造された飲食品に添加されてもよい。本発明において、上記のように飲食品の製造の際に有効成分を添加することを、「有効成分を原料に添加する」、「有効成分を飲食品に添加する」、または「有効成分を飲食品またはその原料に添加する」という場合がある。本発明において、「有効成分を原料に添加する」、「有効成分を飲食品に添加する」、または「有効成分を飲食品またはその原料に添加する」という場合の「原料」、「飲食品」、または「飲食品またはその原料」には、「飲食品の原料」、「製造途中の飲食品」、および「製造された飲食品」のいずれもが含まれるものとする。有効成分は、1回添加されてもよく、2またはそれ以上の回数に分けて添加されてもよい。また、有効成分は、全て同時に原料に添加されてもよいし、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、原料に添加されてもよい。
なお、有効成分は、有効成分を含む本発明の組成物を原料に添加することで、原料に添加されてもよい。本発明の組成物が有効成分をそれぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に含む場合には、有効成分は、全て同時に原料に添加されてもよいし、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、原料に添加されてもよい。
本発明の方法において、「乳酸および/またはその塩」は、重量で、「アルギニンおよ
び/またはその塩」の0.05〜2.5倍量、好ましくは0.05〜0.5倍量添加される。また、本発明の方法において、「グルコン酸および/またはその塩」は、重量で、「アルギニンおよび/またはその塩」の0.05〜5倍量、好ましくは0.05〜3倍量、より好ましくは0.05〜1倍量添加される。本発明の方法において、各有効成分の添加量は、上記例示した喫食時の各有効成分の濃度を参考に設定されてよい。
なお、本発明の方法においては、有効成分の一部がもともと飲食品またはその原料に含まれている場合、当該有効成分の一部を飲食品またはその原料に添加せずに本発明の飲食品を製造してもよい。その場合、本発明の飲食品は、「乳酸および/またはその塩」を、重量で、「アルギニンおよび/またはその塩」の0.05〜2.5倍量、好ましくは0.05〜0.5倍量含有し、「グルコン酸および/またはその塩」を、重量で、「アルギニンおよび/またはその塩」の0.05〜5倍量、好ましくは0.05〜3倍量、より好ましくは0.05〜1倍量含有するように製造されればよい。
飲食品としては、塩味を有する限り特に制限されず、あらゆる飲食品が包含される。飲食品としては、例えば、例えば、鮭フレーク、辛子明太子、塩タラコ、焼魚、干物、塩辛、魚肉ソーセージ、かまぼこ、煮魚、佃煮、缶詰等の水産加工食品;ポテトチップス、ポテトスナック、コーンスナック、小麦スナック、煎餅、あられ等のスナック菓子;うどんつゆ、そばつゆ、ソーメンつゆ、ラーメンスープ、ちゃんぽんスープ、パスタソース等の麺類のつゆ;おにぎり、ピラフ、チャーハン、混ぜご飯、雑炊、お茶漬け等の米飯調理品;春巻き、シュウマイ、餃子、カレー、煮物、揚げ物等の調理食品;ハンバーグ、ソーセージ、ハム、チーズ等の畜産加工品;キムチ、漬物等の野菜加工品;醤油、ソース、ドレッシング、味噌、マヨネーズ、トマトケチャップ等の調味料;卵入りスープ、ワカメ入りスープ、ふかひれ入りスープ、中華風スープ、コンソメスープ、カレー風味スープ、お吸い物、味噌汁、ポタージュスープ等のスープ類が挙げられる。
飲食品は、固形状の飲食品であってもよく、そうでなくてもよい。固形状の飲食品は、本来固形状であるものであってもよく、本来固形状でないものを固形状に調製したものであってもよい。固形状の飲食品としては、上記例示した飲食品の内の固形状のものや、上記例示した飲食品を固形状に調製したものが挙げられる。例えば、上記例示した飲食品を乾燥させることにより固形状の飲食品を調製できる。乾燥は、例えば、公知の手法により行うことができる。そのような手法として、具体的には、例えば、凍結乾燥が挙げられる。すなわち、例えば、上記例示したスープ類は、凍結乾燥スープであってもよい。凍結乾燥は、例えば、公知の手法により行うことができる。
また、飲食品の製造時には保型剤を配合してもよい。飲食品が固形状の飲食品である場合、保型剤を配合することにより、保型性を維持することができる。保型剤としては、例えば、糖類、糖アルコール類、アルギン酸、アルギン酸塩、ゼラチン、増粘剤、食物繊維が挙げられる。それらの中では、糖類、糖アルコール類、アルギン酸塩、ゼラチンが好ましい。アルギン酸塩については上述した塩の記載を準用でき、アルギン酸塩としては、例えば、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。糖として、具体的には、例えば、マルトースやラクトースが挙げられる。糖アルコールとして、具体的には、例えば、ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖(マルチトール)、キシリトール、エリスリトール、トレハロースが挙げられる。増粘剤として、具体的には、例えば、カラギナン、グアガムが挙げられる。
保型剤の添加量は、飲食品の種類や保型剤の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。例えば、保型剤の添加量は、固形化前、例えば凍結乾燥前の飲食品における当該保型剤濃度が0.01〜10.0%、好ましくは0.1〜5.0%となるような添加量であってよい。また、保型剤の添加量は、固形状の飲食品、例えば、凍結乾燥等により固形化された
後の飲食品における当該保型剤濃度が0.05〜30.9%、好ましくは0.4〜18.3%となるような添加量であってよい。
本発明の飲食品は、塩化ナトリウムを含有するように製造される。例えば、塩化ナトリウムを添加して本発明の飲食品を製造してもよいし、食塩や醤油等の塩化ナトリウムを含有する素材を添加して本発明の飲食品を製造してもよい。
また、本発明の飲食品は、減塩の飲食品であってよい。「減塩の飲食品」とは、通常より塩化ナトリウム濃度が低い飲食品をいう。「減塩の飲食品」としては、例えば、上記例示した飲食品を通常より塩化ナトリウム濃度が低くなるように製造したものが挙げられる。
また、本発明の飲食品は、その他の任意の減塩技術と組み合わせて製造されたものであってもよい。例えば、本発明の飲食品は、それ自体が塩味を呈する化合物を含んでいてもよく、塩味を増強する化合物を含んでいてもよい。
以下、本発明の方法の一例として、凍結乾燥スープの製造法について説明する。
まず、所望のスープ用の原料を配合しスープを調製する。スープは、例えば、液状やペースト状に調製されればよく、固形物を含んでいてもよい。原料としては、一般に、具材、澱粉類、増粘多糖類、粉乳類、穀粉、野菜・果実パウダー、調味料、香辛料、賦形剤、食用油脂、水、牛乳等から選択されるものが用いられる。
具材として、具体的には、例えば、卵、わかめ、ふかひれ、コーン、キノコ、ネギ、豆腐が挙げられる。澱粉類として、具体的には、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦粉澱粉が挙げられる。澱粉は、未加工のものであってもよく、加工されたものであってもよい。澱粉は、各種架橋澱粉やα化澱粉であってもよい。増粘多糖類として、具体的には、例えば、グアガムやキサンタンガムが挙げられる。粉乳類として、具体的には、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、チーズパウダー、粉末油脂等の粉乳代替品(クリーミングパウダー)が挙げられる。穀粉として、具体的には、例えば、コーンパウダー、小麦粉等の穀物を粉砕し乾燥して得られる粉末が挙げられる。野菜・果実パウダーとして、具体的には、例えば、たまねぎ、にんじん、ピーマン、ネギ、セロリ、白菜、かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、トマト、りんご、イチゴ、桃、マンゴー、バナナ等の野菜・果実類を粉砕し乾燥して得られる粉末が挙げられる。また、野菜・果実パウダーには、これらの野菜・果実類の抽出物を乾燥して得られるエキス粉末や、これらの野菜・果実類の搾汁を乾燥して得られるジュース粉末も含まれる。調味料として、具体的には、例えば、砂糖、食塩、うま味調味料、畜肉エキス、魚介エキスが挙げられる。香辛料として、具体的には、例えば、コショウ、ナツメグ、シナモンが挙げられる。賦形剤として、具体的には、例えば、デキストリン、マルトース、ラクトースが挙げられる。食用油脂として、具体的には、例えば、コーン油、大豆油、菜種油、パーム油等の植物性油脂、ラード、チキンファット、バターオイル等の動物性油脂、それらの水素添加油脂が挙げられる。これらの原料に、本発明の有効成分を配合すればよい。また、これらの原料に、必要に応じて、上述した保型剤を配合することができる。
次に、調製したスープをブロック状型枠トレーに充填し、これを冷凍庫で凍結させ、ブロック状の凍結スープを真空凍結乾燥機内の乾燥室に供給し、真空凍結乾燥を行うことで、凍結乾燥スープが得られる。
凍結乾燥の条件は、スープの種類や形状等の諸条件に応じて適宜設定することができる。例えば、縦20〜40mm、横40〜60mm、厚み20〜30mmの直方体状の凍結乾燥された卵スープを製造する場合、乾燥時間は15〜20時間強であってよい。また、例えば、型枠トレーは、凍結乾燥スープの所望の形状に応じた形状を有するものに適宜変更できる。型枠トレーは、例えば、底部が平坦なものであってもよく、そうでなくてもよい。例えば、底部に凸部を設けた型枠トレーを利用することで、凍結乾燥に要する時間を短縮できる(特許第4042394号)。
上記凍結乾燥スープの製造に関する記載は、凍結乾燥スープ以外の凍結乾燥飲食品を製造する場合にも準用することができる。
本発明は以下の実施例によって、更に具体的に説明されるが、これらはいかなる意味でも本発明を限定するものと解してはならない。
実験例1:アルギニンと各種有機酸の併用による塩味増強効果
本実験例では、アルギニンに各種有機酸を添加して塩味増強効果を評価し、アルギニンとの併用時に良好な塩味増強効果を示す有機酸を選定した。
(1)評価方法
市販たまごスープ(凍結乾燥品;通常は160ml/食でお湯を注いで喫食する;クノール食品製)に200ml/食でお湯を注ぎ、ネットで具材を除去し、喫食NaCl濃度が0.70g/100gと通常よりも低減されたたまごスープを調製し、ネガティブコントロールとした。
ネガティブコントロールに0.17g/100gのNaClを添加し、喫食NaCl濃度を0.87%としたものをポジティブコントロールとした。なお、ポジティブコントロールの喫食NaCl濃度は、現行食塩品(上記市販たまごスープに160ml/食でお湯を注いだもの)の喫食NaCl濃度と同等である。
また、ネガティブコントロールに、アルギニン(Arg)を喫食Arg濃度が0.02%となるように添加し、サンプルS1を調製した。また、有機酸含有サンプルとして、サンプルS1に各有機酸を喫食有機酸濃度が0.02%となるように添加したものと、pHがポジティブコントロールと同程度となるように添加したものを調製した(サンプルS2〜14)。ただし、グルコン酸については、喫食濃度が0.02%となるように添加した際のpHがポジティブコントロールと同程度であったため、喫食濃度が0.02%のサンプルのみを調製した。
各サンプルの「塩味の強さ」と「異風味の強さ」について、専門パネル2名により官能評価を実施した。「塩味の強さ」に関しては、ネガティブコントロールの塩味の強さを「−:変化なし」、ポジティブコントロールの塩味の強さを「+++++:現行食塩品と同等」とし、「−」〜「+++++」の6段階で評価を行った。「異風味の強さ」に関しては、有機酸由来の酸味の強さおよびアルギニン由来の苦味の強さを「+++++:非常に強い」〜「±:言葉にできないが何か変化を感じる」、「−;無し」として7段階で評価を行った。
(2)結果
結果を表1に示す。アルギニンの喫食濃度を0.02%に固定したとき、異味をほとんど生ずることなく塩味増強効果を示したのは乳酸とグルコン酸であった。また、特に、pHが現行食塩品と同等である場合に、異味が生じず好ましかった。
Figure 0005900106
実験例2:アルギニンと乳酸の併用による塩味増強効果
本実験例では、アルギニンおよび乳酸を種々の濃度で併用し、塩味増強効果を評価した。
(1)評価方法
実験例1と同様の手順でネガティブコントロールおよびポジティブコントロールを調製した。また、ネガティブコントロールに、アルギニンおよび乳酸を表2に示す喫食濃度となるように添加し、サンプルS1〜S15を調製した。
各サンプルの「塩味の強さ」と「異風味の強さ」について、専門パネル2名により実験例1と同様の基準で官能評価を実施した。
(2)結果
結果を表2に示す。アルギニンと乳酸を併用する場合、両成分の濃度比(乳酸濃度/Arg濃度)が0.25〜1の範囲で好ましい結果が、0.43〜1の範囲で特に好ましい結果が得られた。また、アルギニンの濃度が0.1%を越えると後味にやや苦味を生じるため、スープではアルギニンの濃度が0.1%以下であるのが好ましいと考えられた。
Figure 0005900106
実験例3:アルギニンとグルコン酸の併用による塩味増強効果
本実験例では、アルギニンおよびグルコン酸を種々の濃度で併用し、塩味増強効果を評価した。
(1)評価方法
実験例1と同様の手順でネガティブコントロールおよびポジティブコントロールを調製した。また、ネガティブコントロールに、アルギニンおよびグルコン酸を表3に示す喫食濃度となるように添加し、サンプルS1〜S10を調製した。
各サンプルの「塩味の強さ」と「異風味の強さ」について、専門パネル2名により実験
例1と同様の基準で官能評価を実施した。
(2)結果
結果を表3に示す。アルギニンとグルコン酸を併用する場合、両成分の濃度比(グルコン酸濃度/Arg濃度)が0.25〜5の範囲で好ましい結果が、0.5〜1の範囲で特に好ましい結果が得られた。
Figure 0005900106
実験例4:アルギニン、乳酸、およびグルコン酸の併用による塩味増強効果
本実験例では、アルギニン、乳酸、およびグルコン酸を種々の濃度で併用し、塩味増強効果を評価した。
(1)評価方法
実験例1と同様の手順でネガティブコントロールおよびポジティブコントロールを調製した。また、ネガティブコントロールに、アルギニンを喫食Arg濃度が0.02%となるように添加し、さらに、乳酸およびグルコン酸を表4に示す喫食濃度となるように添加し、サンプルS1〜S23を調製した。
各サンプルの「塩味の強さ」と「異風味の強さ」について、専門パネル2名により実験例1と同様の基準で官能評価を実施した。
(2)結果
結果を表4に示す。アルギニン、乳酸、およびグルコン酸の3成分を併用した場合、アルギニンと乳酸のみを併用した場合およびアルギニンとグルコン酸のみを併用した場合と比較して、塩味が強く感じられた。3成分を併用する場合、アルギニンに対する乳酸の濃度比(乳酸濃度/Arg濃度)が0.05〜2.5、アルギニンに対するグルコン酸の濃度比(グルコン酸濃度/Arg濃度)が0.05〜5の範囲(すなわち、アルギニン:乳酸:グルコン酸=1:X:Y(0.05≦X≦2.5、0.05≦Y≦5))で好ましい結果が得られた。また、アルギニンに対する乳酸の濃度比(乳酸濃度/Arg濃度)が0.05〜0.5、アルギニンに対するグルコン酸の濃度比(グルコン酸濃度/Arg濃度)が0.05〜1の範囲(すなわち、アルギニン:乳酸:グルコン酸=1:X:Y(0.05≦X≦0.5、0.05≦Y≦1))で特に好ましい結果が得られた。
Figure 0005900106
実験例5:グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、およびグルコン酸カリウムの塩味増強効果の比較
本実験例では、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、およびグルコン酸カリウムのそれぞれを、アルギニンおよび乳酸と併用し、塩味増強効果を評価した。
(1)評価方法
実験例1と同様の手順でネガティブコントロールおよびポジティブコントロールを調製した。また、ネガティブコントロールに、アルギニンを喫食Arg濃度が0.02%となるように添加し、さらに、乳酸、ならびにグルコン酸、グルコン酸ナトリウム、およびグルコン酸カリウムのそれぞれを表5に示す喫食濃度となるように添加し、サンプルS1〜S9を調製した。
各サンプルの「塩味の強さ」と「異風味の強さ」について、専門パネル2名により実験例1と同様の基準で官能評価を実施した。
(2)結果
グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、およびグルコン酸カリウムのいずれをアルギニンおよび乳酸と併用した場合にも塩味の増強効果が認められた。また、グルコン酸をアルギニンおよび乳酸と併用した場合、グルコン酸の塩をアルギニンおよび乳酸と併用した場合と比較して、塩カドが強く、塩味が強く感じられた。
Figure 0005900106
実験例6:ソルビトールが凍結乾燥スープの保型性に与える影響の評価
(1)サンプルの調製
表6に示した配合に従って、D−ソルビトールを種々の濃度で含有するタマゴスープを調製し、凍結乾燥により凍結乾燥タマゴスープブロックサンプルを得た。
Figure 0005900106
(2)保型性の評価
保型性を定量的に測定するため、上記で得られた各サンプルを、錠剤摩損度試験器((有)システムステージ東京製)を用いて、25rpmで4分間の試験に供した。その後、各サンプルの残存部重量(粉化・崩壊していない本体部の重量)を計量し、試験前重量と比較することで摩損度を計算し、保型性を評価した。
(3)結果
結果を表7に示す。D−ソルビトールを含有しないサンプルは40.3%摩損したのに対して、D−ソルビトールを1.5%〜4.5%含有するサンプルではいずれのD−ソルビトール濃度においても摩損が抑制され、D−ソルビトールが凍結乾燥スープの保型性を高めることが明らかとなった。
Figure 0005900106
実験例7:各種化合物が凍結乾燥スープの保型性に与える影響の評価
(1)サンプルの調製
表6に示した配合のソルビトールを表8に記載の化合物に置き換えてタマゴスープを調製し、凍結乾燥により凍結乾燥タマゴスープブロックサンプルを得た。各化合物の配合濃度は表8の通りである。
Figure 0005900106
(2)保型性の評価
実験例6と同様の手順で各サンプルの保型性を評価した。
(3)結果
結果を表9に示す。糖類、糖アルコール類、アルギン酸ナトリウム、ゼラチンを含有するサンプルでは、D−ソルビトールを含有するサンプルと同等の保型性が認められた。また、増粘剤、食物繊維にはD−ソルビトールほどではないが保型性向上効果が認められた。一方、シクロデキストリン、ペクチン、寒天には保型性向上効果が認められなかった。
Figure 0005900106

Claims (15)

  1. アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにフリー体のグルコン酸を原料に添加することを特徴とする、塩味の増強された飲食品の製造方法であって、
    前記乳酸および/またはその塩が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜2.5倍量添加され、
    前記フリー体のグルコン酸が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜5倍量添加される、方法。
  2. 前記アルギニンおよび/またはその塩が、前記飲食品中の該アルギニンおよび/またはその塩の濃度が0.001〜5.0%となるように添加される、請求項1に記載の方法。
  3. さらに保型剤を原料に添加することを特徴とし、
    前記保型剤が、糖アルコール類、糖類、アルギン酸、アルギン酸塩、ゼラチン、増粘剤、および食物繊維から選択される化合物であり、
    前記飲食品が固形状の飲食品である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記保型剤が、固形化前の飲食品中の該保型剤濃度が0.01%〜10%となるように添加される、請求項に記載の方法。
  5. 前記保型剤が、ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、マルトース、ラクトース、アルギン酸ナトリウム、およびゼラチンから選択される化合物である、請求項またはに記載の方法。
  6. 前記固形状の飲食品が凍結乾燥スープであることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の方法。
  7. アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにフリー体のグルコン酸を原料に添加することを特徴とする、飲食品の塩味を増強する方法であって、
    前記乳酸および/またはその塩が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜2.5倍量添加され、
    前記フリー体のグルコン酸が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜5倍量添加される、方法。
  8. 前記アルギニンおよび/またはその塩が、前記飲食品中の該アルギニンおよび/またはその塩の濃度が0.001〜5.0%となるように添加される、請求項に記載の方法。
  9. さらに保型剤を原料に添加することを特徴とし、
    前記保型剤が、糖アルコール類、糖類、アルギン酸、アルギン酸塩、ゼラチン、増粘剤、および食物繊維から選択される化合物であり、
    前記飲食品が固形状の飲食品である、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記保型剤が、固形化前の飲食品中の該保型剤濃度が0.01%〜10%となるように添加される、請求項に記載の方法。
  11. 前記保型剤が、ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、マルトース、ラクトース、アルギン酸ナトリウム、およびゼラチンから選択される化合物である、請求項または10に記載の方法。
  12. 前記固形状の飲食品が凍結乾燥スープであることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. アルギニンおよび/またはその塩、乳酸および/またはその塩、並びにフリー体のグルコン酸を含む、塩味増強組成物であって、
    前記乳酸および/またはその塩が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜2.5倍量含まれ、
    前記フリー体のグルコン酸が、重量で、アルギニンおよび/またはその塩の0.05〜5倍量含まれる、組成物。
  14. 飲食品中の前記アルギニンおよび/またはその塩の濃度が0.001〜5.0%となるように飲食品に添加される、請求項13に記載の組成物。
  15. さらに塩化ナトリウムを含む、請求項13または14に記載の組成物。
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