JP6101831B1 - 塩味増強剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 飲食物の食味や食感に与える影響が小さく、比較的多量に使用することができ、効果的に塩味を増強することができる塩味増強剤およびこれを用いた減塩された飲食物の製造方法を提供する。【解決手段】 エリスリトールを有効成分とする塩味増強剤およびこれを用いた減塩された飲食物の製造方法。本発明に係る塩味増強剤によれば、飲食物の食味や食感を損なうことなく、塩味を効果的に増強することができる。また、本発明に係る減塩された飲食物の製造方法によれば、減塩前と同等あるいはそれ以上の塩味が感じられる減塩された飲食物を製造することができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、エリスリトールを有効成分とする塩味増強剤およびこれを用いる減塩飲食物の製造方法に関する。
近年、塩化ナトリウムの摂取量を減らして高血圧等の生活習慣病を予防するため、塩化ナトリウムの含有量を低減させた飲食物(減塩飲食物)への需要が高まっている。しかしながら、減塩前と同様の調理法、ないし、減塩前と同様の調味料や食材の配合において、塩化ナトリウムの添加量を減らして製造した減塩飲食物は、多くの場合、全体的な味のバランスが崩れ、減塩前の当該飲食物の味と比較して物足りなさを生じる。
そこで、従来、減塩飲食物における塩味を補填するため、塩味を呈する化合物である塩化カリウムを食塩代替物として用いる方法が行われている。また、特許文献1には、黒麹および黄麹の分解液を有効成分とする塩味増強剤が、特許文献2には、γ−アミノ酪酸と、有機酸および/またはその塩とを添加することを特徴とする飲食品の塩味増強方法が、特許文献3には、トレハロースを有効成分とする塩味増強剤が、それぞれ開示されている。
特開平2−53456号公報 特許第4128892号公報 特許第3549366号公報
しかしながら、塩化カリウムを食塩代替物として用いる方法は、塩化カリウムが呈する収斂味により飲食物の食味を低下させてしまうという課題がある。また、特許文献1の塩味増強剤は、麹発酵物特有の風味や味を飲食物に与えてしまい、食材本来の味を損なう、あるいは、減塩前と同様の味を再現できないという課題がある。特許文献2に記載の塩味増強方法もまた、γ−アミノ酪酸および有機酸に由来する特有の風味や味を飲食物に与えてしまうという課題がある。一方、特許文献3に記載の塩味増強剤が有効成分とするトレハロースは、飲食物の食味に与える影響は小さいものの、口溶けが悪いため、飲食物の食感に悪影響を与えるという課題がある。さらに、これらの塩味増強方法や塩味増強剤では、食味や食感に影響を与える懸念から、当該有効成分の添加量を控えざるを得ず、十分な塩味増強効果を得ることができない場合がある。以上のことから、飲食物の食味や食感に与える影響が小さく、効果的に塩味を増強することができる塩味増強剤が求められていた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、飲食物の食味や食感に与える影響が小さく、比較的多量に使用することができ、効果的に塩味を増強することができる塩味増強剤およびこれを用いた減塩飲食物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、エリスリトールが、飲食物の食味や食感にほとんど影響を与えることなく、顕著な塩味増強効果を発揮することを見出した。そこで、この知見に基づいて、下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係る塩味増強剤は、エリスリトールを有効成分とする。
(2)本発明に係る塩味増強剤は、減塩された飲食物に用いることができる。
(3)本発明に係る塩味増強剤は、減塩され、かつ塩化カリウムが添加された飲食物に用いることができる。
(4)本発明に係る塩味増強剤は、飲食物において、塩化ナトリウム1重量部に対しエリスリトールが0.05重量部以上3.75重量部以下の濃度で用いられることが好ましい。
(5)本発明に係る減塩された飲食物の製造方法は、本発明の塩味増強剤を飲食物材料に添加する工程を有する。
本発明に係る塩味増強剤によれば、飲食物の食味や食感を損なうことなく、塩味を効果的に増強することができる。また、本発明に係る減塩された飲食物の製造方法によれば、減塩前と同等あるいはそれ以上の塩味が感じられる減塩された飲食物を製造することができる。
以下、本発明に係る塩味増強剤および減塩された飲食物の製造方法について詳細に説明する。本発明において「減塩する」とは、飲食物において、塩化ナトリウムの含有量を低減させることをいう。また、「減塩された飲食物(減塩飲食物)」とは、「『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』、文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会、2015年12月25日公表」または「『会社別・製品別 市販加工食品成分表(改定第8版)』、香川芳子監修、女子栄養大学出版部、2005年12月」に記載の同種の飲食物の塩化ナトリウム含有量と比較して、塩化ナトリウムの含有量が小さい飲食物をいう。
本発明に係る塩味増強剤は、エリスリトールを有効成分とする。エリスリトールはエリトリトールとも呼ばれ、下記の化学式で表される糖アルコールであり、化学名は1,2,3,4−Butaneterolである。
本発明において、エリスリトールは、グルコースなどを炭素源としてエリスリトール生産菌を培養して生産させ、これを精製して得ることができる。ここで、エリスリトール生産菌としては、例えば、トリゴノプシス属またはカンジダ属に属する微生物(特公昭47−41549号公報)、トルロプシス属、ハンゼヌラ属、ピヒア属またはデバリオミセス属に属する微生物(特公昭51−21072号公報)、モニリエラ属に属する微生物(特開昭60−110295号公報、特開平10−215887)、オーレオバシデュウム属に属する微生物(特公昭63−9831号公報)、イエロビア属に属する微生物(特開平10−215887号公報)などを挙げることができ、培養条件は、各菌に適した通常の条件で行うことができる。また、エリスリトールの精製は、菌体分離、クロマトグラフィーによるエリスリトールの分取、脱塩、脱色、晶析、結晶分解および乾燥の工程を常法に従って行うことができる。また、本発明においては、市販のエリスリトールを用いることもできる。
本発明の塩味増強剤は、後述する実施例5〜7に示すように、飲食物の製造過程で飲食物材料に添加して用いることができる。本発明の塩味増強剤が有効成分とするエリスリトールは、塩味を増強するとともに甘味を付与するため、砂糖などの甘味料の一部をエリスリトールに置き換えて用いることができる。また、飲食物に添加する方法や添加するタイミングも、砂糖などの甘味料と同様に扱うことができる。
本発明の塩味増強剤の飲食物における添加量は特に限定されないが、例えば、飲食物における最終濃度が、塩化ナトリウム1重量部に対しエリスリトールが0.05重量部以上3.75重量部以下の濃度となるように添加して用いられることが好ましい。後述する実施例2および実施例5に示すように、当該濃度においては、特に高い塩味増強効果を得ることができる。
本発明の塩味増強剤は、後述する実施例1〜7に示すように、顕著な塩味増強効果を有するため、減塩された飲食物に用いることができる。また、本発明の塩味増強剤は、後述する実施例4に示すように、塩味を増強するとともに塩化カリウムに由来する収斂味(苦味、えぐ味、渋味)を抑制できるため、塩化カリウムが添加された、減塩された飲食物に用いることもできる。
最後に、本発明は、減塩された飲食物の製造方法を提供する。本発明に係る減塩された飲食物の製造方法は、本発明の塩味増強剤を飲食物材料に添加する工程を有する。なお、本製造方法において、上述した本発明の塩味増強剤と同じまたは相当する発明特定事項については、再度の説明を省略する。
以下、本発明に係る塩味増強剤および減塩された飲食物の製造方法について、各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。また、以下の実施例において、エリスリトールは「エリスリトール50M」(白色粉末、物産フードサイエンス社)を用いた。
<実施例1>単糖アルコールの塩味増強効果の検討
(1)試料の調製
試料として、2%(w/w)塩化ナトリウム水溶液(2%NaCl水溶液)、ならびに、2%NaCl水溶液に最終濃度が1%(w/w)となるようにエリスリトール、ソルビトール(「ソルビトールSG」(白色粉末、物産フードサイエンス社))、キシリトール(「キシリトール」(白色粉末、物産フードサイエンス社))およびマンニトール(「マンニトール」(白色粉末、物産フードサイエンス社))をそれぞれ添加した水溶液(2%NaCl+1%ERT水溶液、2%NaCl+1%SOR水溶液、2%NaCl+1%XYL水溶液および2%NaCl+1%MAN水溶液)を用意した。すなわち、各試料における単糖アルコールの添加量は、塩化ナトリウム1重量部に対して単糖アルコールが0または0.5重量部の添加量である。
(2)官能試験
五味(甘味、酸味、塩味、苦味および旨味)識別試験を行い、塩味を含む四味以上を識別できた19人の被験者をパネリスト候補として選定した。これらのパネリスト候補のうち11人をパネリストとして、本実施例1(1)の試料の塩味について官能試験を行い、塩味の強さ(塩味強度)を点数で表した。塩味強度の点数化は、2%NaCl水溶液の塩味強度を比較対照(3点)として、次の7段階の塩味強度のいずれに該当するかを各パネリストが判断し、各段階に割り当てられた得点で3.00点から足し引きすることにより行った。
塩味強度:非常に強い(+3点)、強い(+2点)、やや強い(+1点)、同等(±0点)、やや弱い(−1点)、弱い(−2点)、非常に弱い(−3点)。
その後、試料ごとに、全パネリストによる採点結果の平均値を求めた。その結果を表1に示す。
表1に示すように、塩味強度は、2%NaCl水溶液の3.00点に対して、2%NaCl+1%ERT水溶液は4.09点、2%NaCl+1%SOR水溶液は3.09点、2%NaCl+1%XYL水溶液は3.27点、2%NaCl+1%MAN水溶液は3.18点であった。すなわち、2%NaCl水溶液と比較して、2%NaCl+1%ERT水溶液、2%NaCl+1%SOR水溶液、2%NaCl+1%MAN水溶液、2%NaCl+1%XYL水溶液および2%NaCl+1%MAN水溶液で塩味強度が大きく、特に、2%NaCl+1%ERT水溶液で塩味強度が顕著に大きかった。また、2%NaCl+1%ERT水溶液のみが、2%NaCl水溶液と比較して有意差があった。この結果から、エリスリトールは顕著な塩味増強効果を有することが明かになった。
<実施例2>エリスリトールの添加量の検討
試料として、2%NaCl水溶液、および、2%NaCl水溶液に最終濃度が0.1〜1.25%(w/w)となるようにエリスリトールを添加した水溶液(2%NaCl+0.1〜1.25%ERT水溶液)を用意した。すなわち、各試料におけるエリスリトールの添加量は、塩化ナトリウム1重量部に対してエリスリトールが0〜0.63重量部の添加量である。これらの試料の塩味について、実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは11人に換えて15人とした。その結果を表2に示す。
表2に示すように、塩味強度は、2%NaCl水溶液の3.00点に対して、2%NaCl+0.1%ERT水溶液は3.87点、2%NaCl+0.5%ERT水溶液は3.53点、2%NaCl+0.75%ERT水溶液は3.36点、2%NaCl+1%ERT水溶液は3.87点、2%NaCl+1.25%ERT水溶液は3.73点であった。すなわち、2%NaCl+0.1%ERT水溶液、2%NaCl+0.5%ERT水溶液、2%NaCl+0.75%ERT水溶液、2%NaCl+1%ERT水溶液および2%NaCl+1.25%ERT水溶液のいずれにおいても、2%NaCl水溶液と比較して塩味強度が顕著に大きかった。この結果から、エリスリトールは、塩化ナトリウム1重量部に対してエリスリトールが0.05重量部以上の添加量で顕著な塩味増強効果を奏することが明かになった。
<実施例3>減塩した場合の塩味増強効果の検討
試料として、2%NaCl水溶液、2.2%(w/w)塩化ナトリウム水溶液(2.2%NaCl水溶液)および2%NaCl+1%ERT水溶液を用意した。これらの試料の塩味について、実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは11人に換えて9人とした。その結果を表3に示す。
表3に示すように、塩味強度は、2%NaCl水溶液の3.00点に対して、2.2%NaCl水溶液では4.44点であり、2%NaCl+1%ERT水溶液では4.22点であった。すなわち、2.2%NaCl水溶液と2%NaCl+1.0%ERT水溶液とは、いずれも2%NaCl水溶液よりも塩味強度が大きかった。また、2.2%NaCl水溶液と2%NaCl+1.0%ERT水溶液とは、塩味強度が同等であった。
この結果から、2.2%NaCl水溶液から2%NaCl水溶液へと、9.1%({(2.2−2)/2.2}×100≒9.1%)減塩した場合は塩味強度が大きく低下するところ、エリスリトールを添加することにより、減塩前と同等の塩味強度が得られることが明らかになった。すなわち、エリスリトールを用いることにより、減塩前と同等の塩味が感じられる減塩飲食物を製造できることが明かになった。
<実施例4>減塩した場合の塩味増強効果および収斂味抑制効果の検討
試料として、2%NaCl水溶液、1.7%(w/w)塩化ナトリウム水溶液に最終濃度が0.3%(w/w)になるよう塩化カリウムを添加した水溶液(1.7%NaCl+0.3%KCl水溶液)、および、1.7%NaCl+0.3%KCl水溶液に最終濃度が1〜1.5%(w/w)になるようエリスリトールを添加した水溶液(1.7%NaCl+0.3%KCl+1〜1.5%ERT水溶液)を用意した。すなわち、各試料におけるエリスリトールの添加量は、塩化ナトリウム1重量部に対してエリスリトールが0〜0.88重量部の添加量である。これらの試料の塩味および収斂味について、実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは11人に換えて19人とした。また、収斂味の強さ(収斂味強度)の点数化は、1.7%NaCl+0.3%KCl水溶液の収斂味強度を比較対照(3点)として、次の7段階の収斂味強度のいずれに該当するかを各パネリストが判断し、各段階に割り当てられた得点で3点から足し引きすることにより行った。
収斂味強度:非常に強い(+3点)、強い(+2点)、やや強い(+1点)、同等(±0点)、やや弱い(−1点)、弱い(−2点)、非常に弱い(−3点)。その結果を表4に示す。
表4に示すように、塩味強度は、2%NaCl水溶液の3.00点に対して、1.7%NaCl+0.3%KCl水溶液では2.63点であり、1.7%NaCl+0.3%KCl+1.0%ERT水溶液では3.09点、1.7%NaCl+0.3%KCl+1.5%ERT水溶液では3.28点であった。すなわち、1.7%NaCl+0.3%KCl+1〜1.5%ERT水溶液はいずれも、2%NaCl水溶液および1.7%NaCl+0.3%KCl水溶液よりも塩味強度が大きかった。
また、収斂味強度は、1.7%NaCl+0.3%KCl水溶液の3.00点に対して、1.7%NaCl+0.3%KCl+1.0%ERT水溶液では2.00点、1.7%NaCl+0.3%KCl+1.5%ERT水溶液では2.50点であった。すなわち、1.7%NaCl+0.3%KCl+1〜1.5%ERT水溶液はいずれも、1.7%NaCl+0.3%KCl水溶液よりも収斂味強度が小さかった。
この結果から、2%NaCl水溶液から1.7%NaCl水溶液へと、15%({(2−1.7)/2}×100=15%)減塩した場合は、塩化カリウムを添加したとしても塩味強度が大きく低下するところ、エリスリトールを添加することにより、減塩前と同等以上の塩味強度が得られることが明らかになった。さらに、塩化カリウムを添加すると収斂味が生じるところ、エリスリトールを添加することにより、収斂味を抑制できることが明らかになった。すなわち、エリスリトールを用いることにより、減塩前と同等の塩味が感じられ、かつ塩化カリウムに由来する収斂味が抑制された減塩飲食物を製造できることが明かになった。
<実施例5>「焼き肉のたれ」における塩味増強効果の検討
塩化ナトリウムを5.3%(w/w)含む「焼き肉のたれ」を調製し、これを試料1とした。また、試料1と比較して、塩化ナトリウムの含有量を4.8%(w/w)に低減させるとともに、塩化ナトリウム1重量部に対して0.63〜4.38重量部のエリスリトールを添加した「焼き肉のたれ」を調製し、これを試料2〜8とした。続いて、試料1の塩味強度を比較対照(3点)として、各試料の塩味について、実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは11人に換えて5人とした。各試料の配合および官能試験の結果を表5に示す。
表5に示すように、塩味強度は、試料1の3.00点に対して、試料2では4.20点、試料3では4.40点、試料4では4.60点、試料5では4.40点、試料6では3.40点、試料7では3.20点、試料8では2.20点であった。すなわち、塩味強度は、試料1と比較して試料2〜7では大きく、試料8では小さかった。
この結果から、5.3%(w/w)から4.8%(w/w)へと、9.4%({(5.3−4.8)/5.3}×100≒9.4%)減塩した焼き肉のたれにおいて、塩化ナトリウム1重量部に対してエリスリトールが3.75重量部以下の添加量でエリスリトールを添加することにより、減塩前と同等以上の塩味強度が得られることが明らかになった。すなわち、エリスリトールを用いることにより、減塩前と同等以上の塩味が感じられる減塩した焼き肉のたれを製造できることが明かになった。
<実施例6>「浅漬けのもと」における塩味増強効果の検討
塩化ナトリウムを8.31%(w/w)含む「浅漬けのもと」を調製し、これを試料1とした。また、試料1と比較して、塩化ナトリウムの含有量を6.81%(w/w)に減じるとともに、塩化ナトリウム1重量部に対して0.59重量部のエリスリトールを添加した「浅漬けのもと」を調製し、これを試料2とした。続いて、試料1の塩味強度を比較対照(3点)として、各試料の塩味について、実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは11人に換えて9人とした。各試料の配合ならびに官能試験の結果を表6に示す。
表6に示すように、塩味強度は、試料1の3.00点に対して、試料2では3.11点であり、試料2の方が試料1よりも塩味強度が大きかった。この結果から、8.31%(w/w)から6.81%(w/w)へと、18.1%({(8.31−6.81)/8.31}×100≒18.1%)減塩した浅漬けのもとにおいて、エリスリトールを添加することにより、減塩前と同等以上の塩味強度が得られることが明らかになった。すなわち、エリスリトールを用いることにより、減塩前と同等以上の塩味が感じられる減塩した浅漬けのもとを製造できることが明かになった。
<実施例7>「めんつゆ」における塩味増強効果の検討
塩化ナトリウムを3.19%(w/w)含む「めんつゆ」を調製し、これを試料1とした。また、試料1と比較して、塩化ナトリウムの含有量を2.86%(w/w)に減じるとともに、塩化ナトリウム1重量部に対して0.17重量部のエリスリトールを添加した「めんつゆ」を調製し、これを試料2とした。続いて、各試料の塩味について、試料1の塩味強度を比較対照(3点)として、実施例1(2)に記載の方法により官能試験を行った。ただし、パネリストは11人に換えて7人とした。試料1および2の配合ならびに官能試験の結果を表7に示す。
表7に示すように、塩味強度は、試料1の3.00点に対して、試料2では2.86点であり、試料1と試料2とで塩味強度は同等であった。この結果から、3.19%(w/w)から2.86%(w/w)へと、10.3%({(3.19−2.86)/3.19}×100≒10.3%)減塩しためんつゆにおいて、エリスリトールを添加することにより、減塩前と同等の塩味強度が得られることが明らかになった。すなわち、エリスリトールを用いることにより、減塩前と同等の塩味が感じられる減塩しためんつゆを製造できることが明かになった。

Claims (5)

  1. エリスリトールを有効成分とする塩味増強剤。
  2. 減塩された飲食物に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の塩味増強剤。
  3. 減塩された飲食物が、減塩され、かつ塩化カリウムが添加された飲食物である、請求項2に記載の塩味増強剤。
  4. 飲食物において塩化ナトリウム1重量部に対しエリスリトールが0.05重量部以上3.75重量部以下の濃度で用いられることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の塩味増強剤。
  5. 飲食物において塩化ナトリウム1重量部に対しエリスリトールが0.05重量部以上3.75重量部以下の濃度となるように、エリスリトールを有効成分とする塩味増強剤を飲食物材料に添加する工程を有する、減塩された飲食物の製造方法。
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