JP6779272B2 - リコピン風味抑制方法、高リコピン含有ケチャップ及びその製造方法 - Google Patents

リコピン風味抑制方法、高リコピン含有ケチャップ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明が関係するのは、リコピン風味抑制方法、高リコピンケ含有チャップ及びその製造方法である。
近年、健康志向の高まりの下、人々が注目するのは、食品の機能性である。中でも野菜は、様々な有用成分を豊富に含み、消費者の健康志向に応えるものである。野菜を効率的に摂取する形態の一つは加工食品である。加工食品を例示すると、飲料、調味料、サプリメントなどである。
加工食品の一つとしてケチャップがある。ケチャップの主な原料は、トマト加工品である。トマト加工品には、機能性成分の一つであるリコピンが豊富に含まれている。リコピンが有するのは、強い抗酸化力であり、それによって、様々な疾病を予防することができるとされている。ケチャップは、リコピンの摂取源として有用である。そこで、市場に求められているのは、リコピン濃度が高いケチャップである。
特許文献1が開示するのは、高リコピン含有ケチャップであり、その目的は、リコピンを高濃度に含有しながら、幅広い塩分濃度の範囲で、香味の良いケチャップを得ることである。当該ケチャップは、香気成分であるエステル類および/またはアルコール類を含有することである。
特開2015−146800号公報
本発明が解決しようとする課題は、高リコピン含有ケチャップにおけるリコピンの風味を抑制することである。ケチャップが含有するのは、前述のとおり、リコピンである。リコピン濃度を高くすることで、リコピン由来のムレ臭、油脂臭が感じられ、不快な官能特性を有する。
上記課題に対して、本願発明者が試行錯誤の上見出したのは、高リコピン含有ケチャップにおいて、オイゲノール(Eugenol)を含有させることである。好ましくは、特定のリコピン濃度のケチャップにおいて、オイゲノールを特定量含有させることである。この観点から本願発明者が完成させた発明は、次のとおりである。
本発明に係るリコピン風味抑制方法を構成するのは、少なくとも、調整である。すなわち、高リコピン含有ケチャップにおいて、そのオイゲノール含有量は、調整されて、6.60ppm以上となる。より好ましくは、次のとおりである。当該オイゲノール含有量は、6.60ppm以上8.58ppm以下である。当該トマト含有飲料において、そのリコピン含有量は、25mg/100g以上である。
本発明に係るケチャップが含有するのは、少なくとも、リコピン及びオイゲノールである。当該ケチャップにおけるリコピンの含有量は、25mg/100g以上50mg/100g以下である。当該オイゲノール含有量は、6.60ppm以上である。より好ましくは、次のとおりである。当該トマト含有飲料において、当該オイゲノール含有量は、6.60ppm以上8.58ppm以下である。
本発明に係る高リコピンケチャップの製造方法を構成するのは、少なくとも、調合である。すなわち、オイゲノール又はそれを含有する食品が調合されて得られるのは、ケチャップである。当該ケチャップにおいて、そのリコピン含有量は、25mg/100g以上50mg/100g以下である。当該ケチャップにおいて、そのオイゲノール含有量は、6.60ppm以上である。より好ましくは、次のとおりである。当該製法において、当該オイゲノール含有量は、6.60ppm以上8.58ppm以下である。
本発明が可能にするのは、高リコピン含有ケチャップにおいて、リコピン風味を抑制することである。
当該作用は明らかではないが、オイゲノールの特徴にその理由があるものと推測される。オイゲノールは別の嗅覚受容体の活性化を阻害するアンタゴニストとして働くことが知られている。また、オイゲノールを原料とした成分には皮脂の臭いに対する抑制効果が知られている。そのような観点から、高リコピンケチャップにおける、リコピンに由来するムレ臭、油脂臭といった感覚を、オイゲノールが抑制したものと推測される。
<本実施の形態に係るケチャップの概要>
本実施の形態に係るケチャップ(以下、「本ケチャップ」という。)が実現するのは、高リコピン含有ケチャップにおけるリコピン風味の抑制である。その具体的な方法は、オイゲノールを特定量含有させることである。
<ケチャップ>
本ケチャップとは、トマト加工品を主な原料として用い、これに糖類、食酢、及び食塩を加えて必要により加水して調整した物であって、必要に応じて、香辛料、その他調味料、タマネギ、ニンニク等を加えてもよい。また他の野菜又は果物の加工品、食品添加物などを加えてもよい。本ケチャップの中には、トマト加工品品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)において定められる、トマトケチャップ、トマトソース、チリソース、が含まれる。好ましくは、本ケチャップはトマト加工品品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)において定められるトマトケチャップ、又はトマトソースである。
<糖度(Brix)>
本ケチャップのBrixは、特に限定されないが、好ましくは、30.0以上40.0以下である。より好ましくは、30.0以上35.0以下である。また、Brixの測定方法は、公知の方法でよい。測定手段を例示すると、光学屈折率計(NAR−3T ATAGO社製)である。
<塩分>
本ケチャップにおける塩分は、0.5〜5.0重量%であることが好ましく、0.5〜4.0重量%であることがより好ましく、0.5〜2.5重量%であることがさらに好ましく、1.5〜2.0重量%であることが一層好ましい。
一般的なトマトケチャップの塩分は2.4〜3.6重量%である。塩分摂取量の低下の観点から、塩分は低い方が好ましいが、塩分を低くすることで、リコピン由来のリコピン臭が感じやすくなる。本ケチャップにおいては、オイゲノールを特定量含有させることで、塩分が低くても、リコピン由来のリコピン臭を抑制することが可能となる。当該観点から、前記塩分であることが好ましい。塩分の測定方法は既知の方法で良い。例を挙げると、モール法である。
<酸度>
本ケチャップにおける酸度は、特に限定されないが、一般的なトマトケチャップにおける酸度が1.0〜1.7程度であることから、同様の範囲であることが好ましい。より好ましくは、1.2〜1.5である。酸度は、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を用いた電位差滴定法によりpHが8.1になった際の水酸化ナトリウム標準液使用量を基に算出される、クエン酸換算での濃度(%)を意味する。
<リコピン濃度>
本発明の実施の形態に係る、リコピンとは、英語表記ではLycopeneと表され、化学式C4050で表されるカロテノイドの一種である。自然界には、トマトやスイカ、ニンジン等に多く含まれている。リコピンを工業的に濃縮や精製したリコピン製剤も市場において販売されている。一般的なトマトケチャップにおいては、リコピンは10mg/100gから20mg/100g程度含まれている。本実施の形態におけるケチャップにおいて、リコピン濃度は25mg/100g以上50mg/100mlであることが好ましい。より好ましくは30mg/100g以上40mg/100g以下である。さらに好ましくは、30mg/100g以上35mg/100g以下である。また好ましくは、30mg/100g以上33.1mg/100g以下である。食品添加物不使用の観点から、本実施の形態におけるケチャップは、食品添加物としてのリコピンを使用しないことが好ましい。
<本ケチャップにおけるリコピン風味>
当該不快味が感じられるのは、前述のとおり、本ケチャップのリコピン含有量が25mg/100g以上の場合である。リコピンが呈するのは、ムレ臭、又は油脂様臭として表される風味である。そのようなリコピン風味は、喫食しにくさの要因の一つである。リコピンの風味に関する技術的知見として、本明細書が取り込むのは、特開2015−146800号公報である。
<本ケチャップのオイゲノール含有量>
本ケチャップのオイゲノール含有量は、6.60ppm以上であり、好ましくは、6.60ppm以上8.58ppm以下である。本ケチャップにおいて、オイゲノール含有量が6.60ppm以上であれば、リコピン風味が抑制される。オイゲノールの測定手段は、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS法)である。
<オイゲノール及びそれを含有する食品>
オイゲノールは、広く知られた食品香料である。また、オイゲノールは、天然成分でもある。すなわち、オイゲノールが含まれるのは、様々な植物(野菜や果実等)であり、例示すると、クローブ、オールスパイス、タラゴン等である。オイゲノールが呈するのは、クローブ様のスパイシー香気である。オイゲノールを含む食品とは、食品であって、当該成分を添加した場合と同様の効果を有するものをいう。例示すると、前記クローブ、オールスパイス等の香辛料であり、これらを単一で用いても良いし、二以上組み合わせて用いてもよい。
<トマト加工原料>
本ケチャップの製造において、トマト加工原料とは、加工されたトマトであり、例示すると、ダイストマト、トマトの搾汁、トマトパルプ等である。
トマト搾汁とは、トマトを破砕して搾汁し或いは裏ごしし、皮や種子等を除去して得られるトマト搾汁、及び、これらを濃縮したもの(濃縮トマト)を意味し(これらを希釈還元したものも含まれる)、JAS規格で指定されたトマトジュース、トマトピューレ、トマトペースト及び濃縮トマト等を含む。これらは、さらに他の成分(例えば、少量の食塩や香辛料、食品添加物等)を含有していてもよい。
また、本明細書において、トマト搾汁とは、除パルプトマト汁を含む概念であり、除パルプトマト汁とは、トマト搾汁に含まれる水不溶性固形分(トマトパルプ)の一部又は全部を除去したもの、及びこれを濃縮したもの、並びに、濃縮トマトに含まれる水不溶性固形分(トマトパルプ)の一部又は全部を除去したもの、及びこれらを濃縮又は希釈還元したものである。
<トマト加工品のリコピン濃度>
本発明の実施の形態に係るトマト加工品のリコピン濃度は、市場に流通しているものであれば特に限定されないが、トマト加工原料の1.0Brix当たりのリコピン濃度は、2.0mg/100g以上2.6mg/100g未満であることが好ましい。
<トマト量>
本発明の実施の形態に係るトマト量とは、トマト加工品をBrix4.5に調整した場合における、トマト加工原料の重量である。具体的には、100kgのケチャップにおいてBrix27.0のトマト加工品が10kg使用されていた場合、10kg×27.0/4.5=60kgより、トマト量で60kgが100kgのケチャップに含まれることとする。
ケチャップに含まれるトマト加工原料のトマト量[A](kg/100kg)、は特に限定されないが、[A]は300≦[A]≦500であることが好ましい。より好ましくは、350≦[A]≦400、さらに好ましくは、360≦[A]≦380である。[A]の値が300より小さい場合、リコピン量が25mg%以下となり得る。また、[A]の値が大きくなりすぎると、粘度が高くなりすぎる傾向がある。
<野菜又は果物の加工品>
野菜加工品とは、加工された野菜(トマトを除く。)である。その原料を例示すると、タマネギ、ニンジン、セロリ等である。これらのうち一種または二種以上は、組み合わせて配合される。
<調味料>
調味料とは、原料であって、料理の味を調えるものである。調味料を例示すると、砂糖、食酢、しょうゆ、ウスターソース、塩、うま味調味料、酵母エキス、畜肉エキス、野菜エキス等である。
<糖類>
本ケチャップに含有されるのは、糖類である。糖類は、ケチャップに甘味を付与する原料である。糖類を例示すると、砂糖、ブドウ糖、ブドウ糖果糖液糖、等である。
<食酢>
本ケチャップに含有されるのは、食酢である。食酢は、ケチャップに酸味を付与する原料である。食酢を例示すると、合成酢、及び穀物酢、果実酢等の醸造酢、等である。
<香辛料>
香辛料とは、調味料であって、辛味又は香気を付与するものをいう。香辛料を例示すると、ニンニク、コショウ、シナモン、ナツメグ、サフラン、パセリ、ローズマリー、オレガノ、クローブ、オールスパイス、山椒等、又はこれらの抽出物である。ここで用いる香辛料中に、香気成分としてオイゲノールが含まれていても良い。
<食品添加物>
本発明が排除しないのは、食品添加物の使用である。当該食品添加物を例示すると、甘味料、酸味料、核酸類、香辛料抽出物、着色料、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤、栄養強化剤、増粘剤等である。もっとも、不自然な甘味を回避するため、高甘味度甘味料(例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア等)及び糖アルコールは、極力、使用しない。また、本発明の具現化にあたり、その他の食品添加物の使用を極力控えるのが好ましい。
<本ケチャップの製造方法>
本ケチャップの製造方法(以下、「本製法」という。)を主に構成するのは、調合工程、均質化工程、殺菌工程、充填工程、密封工程、冷却工程である。これらの工程の一般的な説明のために本願明細書が取り込むのは、「地域資源活用 食品加工総覧 第7巻 加工品編(社団法人 農山漁村文化協会 発行)」の内容である。
<調合、及び調整>
本製法を主に構成するのは、調合工程である。調合工程は、複数の原材料を配合することで、ケチャップの基となる混合物質を製造する工程である。本ケチャップ製造における調合工程では、トマト加工原材料に加えて、少なくとも、オイゲノール又はオイゲノール含有飲食品が配合される。オイゲノール又はオイゲノール含有飲食品を配合する目的は、リコピンの風味抑制である。本ケチャップのオイゲノール含有量を調整して6.60ppm以上とし、より好ましくは、6.60ppm以上8.58ppm以下とする。上記に加え、必要に応じて配合される原材料は、野菜加工品、調味料、香辛料である。
<均質化>
ケチャップは、必要に応じて均質化される。ケチャップを均質化する目的は、ケチャップの粒子を均一化し、滑らかな性状を得ることである。均質化する方法は、公知の方法で良く、均質化は複数回行っても良い。均質化を行う機器は、例えば、ホモジナイザー等である。ホモジナイザーを用いる際の圧力は、0〜300kgf/uであることが好ましい。
<殺菌、充填、冷却>
以上に加えて、本製法が適宜採用するのは、殺菌、充填及び冷却である。殺菌方法は、公知の方法で良く、例えば、プレート式殺菌、チューブラー式殺菌方法等がある。冷却方法は、公知の方法で良い。充填方法は、公知の方法でよい。ケチャップが充填される(詰められる)容器は、公知の物で良く、例示すると、瓶、ポリエチレン製容器等である。
<試験例1、及び2>
試験例1、及び試験例2では、調合工程において、市販のトマトペースト(Brix26.8、リコピン54.1mg/100g)、食塩、砂糖、及び醸造酢を表1に示す分量で配合し、水で加水して、撹拌、混合した。その後95℃達温となるように加熱殺菌した。
<試験例3〜6>
試験例3〜6では、試験例2のケチャップに、オイゲノール濃度がそれぞれ、0.66(試験例3)、4.36(試験例4)、6.60(試験例5)、及び8.58ppm(試験例6)となるように、オイゲノール標準品(和光純薬社製)を添加し、各オイゲノール濃度のケチャップを得た。
<試験例7〜10>
試験例7〜10では、試験例2のケチャップに、メチルオイゲノール(Methyl Eugenol)濃度がそれぞれ、1.39(試験例7)、2.10(試験例8)、3.15(試験例9)、及び6.00ppm(試験例10)となるように、メチルオイゲノール標準品(東京化成工業社製)を添加し、各メチルオイゲノール濃度のケチャップを得た。
<試験例11〜14>
試験例11〜14では、試験例2のケチャップに、リナルール(Linalool)濃度がそれぞれ、1.4(試験例11)、9.2(試験例12)、14.0(試験例13)、及び18.0ppb(試験例14)となるように、リナルール標準品(東京化成工業社製)を添加し、各リナルール濃度のケチャップを得た。
<糖度の測定>
本測定で採用した糖度(Brix)の測定器は、デジタル屈折計RX5000i(ATAGO社製)である。測定時の品温は、20度であった。
<塩分>
本測定で採用した塩分の測定法は、モール法である。指示薬として5%クロム酸カリウム溶液0.5mlを加え、0.1mol/L硝酸銀溶液で滴定する。終点は、試験液の色が微橙色になる点とした。
<リコピンの測定>
本測定で採用したリコピンの測定方法は、HPLC法である。試料は公知の方法に基づいて、溶媒抽出を行い、フィルター濾過したものを検体とした。詳細な測定条件は、以下のとおりである。
<HPLC装置構成>
オートサンプラー :SIL−10ADvp(SHIMADZU)
ポンプ :LC−10ADvp(SHIMADZU)
カラムオーブン :CTO−10Avp(SHIMADZU)
検出器 :SPD−10AVvp(SHIMADZU)
<測定条件>
カラム :ODS(REVERSE−PHASE C18)
(化学物質評価研究機構 L−Column
4.6mm×150mm)
移動相 :アセトニトリル:メタノール:テトラヒドロフラン混液
(55:40:5(v/v)
(α−トコフェロール50ppm含有)
流速 :1.5mL/min
検出波長 :453nm
カラム温度 :40℃
試料注入量 :10μL
分析時間 :20min
<オイゲノールの測定>
本ケチャップにおけるオイゲノールの含有量を測定する方法として採用できるのは、ガスクロマトグラフィー質量分析法である。スターバー抽出法(SBSE法)で試料を前処理した後、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC−MS)により当該成分を検出することができる。詳細な前処理条件、測定条件は以下の方法が挙げられる。
<前処理条件>
前処理方法 :ダイナミックヘッドスペース法
試料採取量 :5g
希釈倍率 :10倍
内部標準物質 :1000ppm1,2−ジクロロベンゼン溶液を10μL添加
インキュベーションタイム:10min
パージ条件 :6min(10ml/min)
ドライ条件:18min(50ml/min)
<TDU(加熱脱着ユニット)条件>
TDU :40℃→720℃/min→240℃(3min)
CIS :10℃→12℃/sec→240℃(20min)
<GC−MS条件>
GC :Agilent Technologies 7890A
MS :Agilent Technologies 5975C
注入口 :溶媒ベントモード
ライナー :Tenax TA充填
カラム :J&W DB−WAX
(60m×250μm×0.50μm)
オーブン温度 :40℃(3min)→10℃/min→
240℃(17min)
測定モード :Scanモード
定量イオン質量 :m/z164
<官能評価>
試験例1と試験例2を比較した際、リコピン風味を強く感じる区分、すなわち、リコピン含有量が高い試験例2を選択できた者をリコピン風味識別能力のあるパネリストとして選定した。本評価は、選定した7名のパネリストによる3点識別法で行い、試験例2を比較対照として、試験例3〜6、試験例7〜10、並びに試験例11〜14それぞれについて、リコピン風味の有意差の有無を検証した。リコピン風味抑制効果があるか否かの評価は、2項選択法により行った。リコピン風味抑制効果は、選定した7名のパネリストの評価結果をもって、有意差検定(危険率5%)により行うものとした。
<官能評価結果>
表2乃至表4は、それぞれ評価区分1(試験例3乃至6、対照:試験例2)、評価区分2(試験例7乃至10、対照:試験例2)、評価区分3(試験例11乃至14、対照:試験例2)における官能評価試験により、ケチャップのオイゲノールによるリコピン風味の抑制効果を検証したものである。表2の結果より、リコピン含有量33.1mg/100gのトマト含有飲料において、オイゲノール含有量が6.60〜8.58ppmであった場合に危険率5%で有意にリコピン風味を抑制できることを確認できた。一方、表3、及び表4の結果より、メチルオイゲノール、及びリナルールに関しては、それぞれ6.0ppm以下、及び18.0ppb以下(いずれも、それぞれの香気成分の香気閾値以上の範囲を含む)において、リコピンの風味抑制効果は見られなかった。
Figure 0006779272
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Figure 0006779272
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<考察>
試験例3乃至6の結果より、オイゲノールがリコピン風味抑制に効果があることが確認できた。特に、オイゲノール濃度6.60〜8.80ppmにおいて効果があることがわかった。一方、メチルオイゲノール、リナルールに関しては、閾値以上の濃度を含有する場合にも、リコピン風味の抑制効果は見られなかった。以上を踏まえると、リコピン風味を抑制するために重要なのは、オイゲノールが有する特徴であることがわかった。
本発明が産業上利用可能な分野は、ケチャップの製造及び販売である。

Claims (4)

  1. リコピン濃度25mg/100g以上50mg/100g以下であり、かつ、塩分0.5〜2.5重量%のケチャップにおける、リコピン風味抑制方法であって、それを構成するのは、少なくとも以下である:
    調整:ここで調整されるのは、ケチャップのオイゲノール含有量であり、前記ケチャップのオイゲノール含有量は、6.60ppm以上である
  2. ケチャップであって、
    当該ケチャップのリコピン含有量は、25mg/100g以上50mg/100g以下であり、
    当該ケチャップの塩分は、0.5〜2.5重量%であり、かつ、
    当該ケチャップのオイゲノール含有量は、6.60ppm以上である。
  3. 請求項のケチャップであって、
    前記ケチャップは、容器詰である。
  4. ケチャップの製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも以下である:
    調合:ここで調合されるのは、少なくとも、トマト加工原料、並びにオイゲノール又はそれを含有する食品であり、それによって得られるケチャップのリコピン含有量が25mg/100g以上50mg/100g以下であり、塩分が0.5〜2.5重量%であり、かつ、オイゲノール含有量が6.60ppm以上である。
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