図1は、本発明の実施例にかかる医療レポート作成支援システム1の構成を示す図である。医療レポート作成支援システム1は内視鏡検査のレポート作成業務を支援するためのシステムであり、内視鏡システム10、管理システム20およびレポート処理装置30を備え、それらはLAN(ローカルエリアネットワーク)などのネットワーク2によって相互接続されている。レポート処理装置30はたとえばパーソナルコンピュータなどの端末装置であって、画面出力可能に表示装置60と接続されるが、レポート処理装置30は表示装置と一体となったラップトップコンピュータであってもよく、また携帯型タブレットであってもよい。またレポート処理装置30は、端末装置およびサーバから構成されてもよい。
管理システム20は、内視鏡検査のオーダ情報や検査情報を管理する管理装置22と、内視鏡システム10により撮影された検査画像を記録する検査画像記録部24を備える。管理装置22は、患者の検査オーダを記憶するオーダ記憶部と、患者の検査情報を記憶する検査情報記憶部を有して構成される。検査情報記憶部は、レポート処理装置30において医師により作成された添付画像付き医療レポートを検査情報として記憶してもよい。
検査画像記録部24は、内視鏡システム10により撮影された検査画像を検査ごとにまとめて記録する。したがって一つの同じ検査で撮影された複数の検査画像は、その検査オーダを特定する情報(以下、検査IDとも呼ぶ)に紐づけられて検査画像記録部24に記録される。検査画像記録部24は、大容量のHDD(ハードディスクドライブ)で構成されてもよく、またフラッシュメモリで構成されてもよい。レポート処理装置30は、管理システム20にアクセスして、検査画像記録部24に記録された検査画像を表示装置60に表示できる。特に医師がレポートを作成する際には、その検査IDに紐づけられて検査画像記録部24に記録されている全ての検査画像のサムネイルがレポート処理装置30に読み出され、医師がレポートに添付する検査画像を選択できるように、サムネイル一覧が表示装置60に表示されることが好ましい。
内視鏡システム10は、内視鏡12、内視鏡処理装置14および表示装置16を備える。内視鏡12は患者の体内に挿入され、医師が内視鏡12のレリーズスイッチを押したタイミングで体内の静止画像が撮影される。内視鏡12は、固体撮像素子(たとえばCCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサ)および信号処理回路を備える。固体撮像素子は入射光を電気信号に変換し、信号処理回路は、固体撮像素子により光電変換された画像データに対して、A/D変換、ノイズ除去などの信号処理を施して、内視鏡処理装置14に出力する。
内視鏡処理装置14は、内視鏡システム10全体を統括的に制御する。内視鏡処理装置14の一つの重要な役割は、内視鏡12により撮影された検査画像を管理システム20に送信して、検査画像記録部24に記録させることであり、もう一つの重要な役割は、内視鏡12により取得されている映像を表示装置16にリアルタイムで表示させることにある。前者の役割において、内視鏡処理装置14は検査画像に、検査オーダに対応する検査IDをメタデータとして付加する。検査画像記録部24は、内視鏡12により撮影された内視鏡画像データを受け取り、検査ごとにまとめて蓄積する。
レポート処理装置30は、管理システム20と協働して、医師によるレポート作成を支援する機能をもつ。レポート処理装置30には、キーボードやマウスなどのユーザインタフェースが接続されている。レポート処理装置30は、表示装置60に検査画像やレポート作成に関する画面を表示させ、医師は表示画面を見ながら、ユーザインタフェースを操作してレポートを完成させる。レポート処理装置30は、入力受付部32、画像取得部34、添付画像選択画面生成部36、レポート入力画面生成部38、拡大画像表示画面生成部40、描画アイテム表示部42、テキスト表示部44、診断用語抽出部46、診断用語(データベース)DB48、連携処理部50および登録処理部52を備えて構成される。入力受付部32は、医師によるユーザインタフェースの操作入力を受け付ける。
これらの構成はハードウエア的には、任意のプロセッサ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。また上記したようにレポート処理装置30は端末装置であってよいが、端末装置およびサーバから構成されてもよく、したがって図1においてレポート処理装置30の構成として示す各機能は、端末装置以外の装置によって実現されてよい。
医師は内視鏡検査を終了すると、レポート処理装置30に接続されたユーザインタフェースを操作して検査レポートを作成する。検査レポートの作成開始前、表示装置60には、実施済み検査の一覧が表示される。この実施済み検査一覧には、患者名、患者ID、検査日時、検査種別などの検査情報がリスト表示され、医師は、レポート作成の対象となる検査を選択する。医師が実施済みの検査一覧のなかから、医療レポートを作成する検査を選択すると、入力受付部32が検査の選択入力を受け付け、画像取得部34が、検査画像記録部24から、選択された検査の検査IDに紐付けられている検査画像のサムネイルを取得する。これにより表示装置60には、検査画像のサムネイル一覧画面が表示される。
図2は、添付画像選択画面の一例を示す。画像取得部34が、検査IDに紐付けられている全ての検査画像のサムネイルを取得し、添付画像選択画面生成部36が、サムネイル表示領域72に、検査画像のサムネイル一覧を含む添付画像選択画面を生成して、表示装置60に表示させる。なお検査画像記録部24がサムネイルを有していない場合には、画像取得部34が全ての検査画像を取得して、添付画像選択画面生成部36が、検査画像を縮小したサムネイルを生成して、サムネイル表示領域72にサムネイルを表示してもよい。添付画像選択画面は、記録画像タブ70aが選択された状態で表示装置60に表示される。医師はスクロールバー76を操作することで、サムネイル表示領域72に全てのサムネイルをスクロール表示させることができる。
各サムネイルにはチェックボックス74が設けられ、医師が、マウスポインタをチェックボックス74に配置して右クリックすると、当該サムネイルがレポートの添付画像として選択される。なお医師は、マウスポインタをサムネイル上に配置して右クリックすると、当該サムネイルを拡大表示させることができ、医師は拡大表示された検査画像を観て、レポートに添付するべきか判断してよい。
図3は、添付画像選択画面の一例を示す。図3では、医師が、いくつかの添付画像を選択し、画像番号4のチェックボックス74aと、画像番号6のチェックボックス74bに、選択したことを示すマークが表示されている。ここで登録ボタン78が操作されると、登録処理部52が、選択したサムネイルの検査画像を、レポートの添付画像として登録する。医師は添付画像選択画面において添付画像を選択した後、レポートタブ70bを選択して、診断結果を入力するための選択肢を含むレポート入力画面を表示装置60に表示させる。
図4は、レポート入力画面の一例を示す。レポートタブ70bが選択されると、レポート入力画面生成部38が、医師が診断結果を入力するためのレポート入力画面を生成して、表示装置60に表示させる。レポート入力画面は、2つの領域で構成され、左側に添付画像のサムネイルを表示する添付画像表示領域80が、右側に医師が診断結果を入力するための選択肢を含む診断領域100が配置される。この例では、4枚の検査画像が添付画像として選択されており、それぞれの添付画像のサムネイル82a〜82dが添付画像表示領域80に表示されている。
診断領域100は、診断対象を選択するための診断対象選択領域102と、診断結果を入力するための診断結果入力領域104から構成される。診断対象選択領域102は、レポート入力するべき項目を選択する領域であり、医師は、診断対象選択領域102において「観察範囲」および「診断項目」のそれぞれに含まれる項目を選択すると、選択した項目に応じた診断結果入力領域104が表示される。診断結果入力領域104においては、診断対象に関する診断結果の選択肢が表示され、医師は、該当する選択肢のチェックボックスにチェックマークを入れることで、診断結果を入力する。医師は、診断対象選択領域102において、観察範囲として「食道」「胃」「十二指腸」のそれぞれを選択し、各観察範囲に対する診断結果を診断結果入力領域104に入力する。全ての診断結果を入力後、登録ボタン106が操作されると、登録処理部52が、入力した診断結果をレポートに登録する。登録したレポートの診断結果は、添付画像とともに管理システム20の検査画像記録部24に記録されてよい。このようにして医師はレポートを作成する。
実施例のレポート処理装置30は、添付画像に、医師がコメントを付加できる機能を有する。医師が添付画像のサムネイル82を選択すると、拡大画像表示画面生成部40が、選択されたサムネイル82を拡大した検査画像を含み、且つ検査画像に対するコメントの入力を可能とする検査画像表示画面を生成し、表示装置60に表示させる。以下、医師がサムネイル82aを選択した場合について説明する。
図5は、検査画像表示画面の一例を示す。拡大画像表示画面生成部40は、選択したサムネイル82aを拡大した検査画像84aを含み、且つ検査画像84aに対するコメントを入力するためのコメント入力欄88を含む検査画像表示画面を生成する。検査画像表示画面において、医師は検査画像84aの細部を観察する。そのため、検査画像84aを表示するための検査画像表示領域83は、可能な限り大きく設けることが好ましい。なお検査画像84aは、倍率選択領域90における倍率を変更することで、検査画像表示領域83内で拡大または縮小表示される。医師は、撮影部位が見えにくいなど、より詳細を観察したい場合に、表示倍率を上げて検査画像84aを拡大表示する。
検査画像表示画面において、検査画像表示領域83以外の領域85に、図4に示す診断領域100を形成できると、医師は、検査画像84aを観察しながら、その観察した結果を診断結果入力領域104に入力できるため、理想的である。しかしながら検査画像表示画面は、検査画像84を拡大表示するための画面であるため、検査画像表示領域83を可能な限り大きくとって、医師が漏れなく検査画像84を観察できることが必要である。そのため領域85に診断領域100を形成することは物理的なスペース上の制約から難しい。特に表示装置60のディスプレイサイズが小さい場合や、画面アスペクト比(横縦比)が4:3の表示装置60が使用されている場合には、領域85を大きくとることができず、必然的に狭い領域となる。
そこで実施例の検査画像表示画面においては、領域85を、医師が、添付画像に関するコメントを入力可能な領域として形成する。医師はコメント入力欄88に、キーボードを用いてテキストを入力できる。医師がキーボードから入力した文字は、テキスト表示部44によりコメント入力欄88に表示される。医師が入力する文字列は、検査画像84aに対するコメントであり、検査画像84aに含まれる部位を診断した結果でもある。医師は、観察範囲選択欄86において観察範囲を選択し、コメント入力欄88にコメントを入力すると、切替指示領域92における矢印を選択して、別の添付画像を表示させて、画像診断を続ける。
なお観察範囲選択欄86は、観察範囲を選択するための領域であり、下矢印ボタンが選択されると、観察範囲の選択肢がプルダウンメニューで表示される。この例では、検査項目が上部内視鏡検査(一般)であるため(図4参照)、上部内視鏡検査の観察範囲である「食道」、「胃」、「十二指腸」の選択肢が表示される。医師は観察範囲選択欄86で、検査画像84aの観察範囲を選択する。なお観察範囲選択欄86は、初期状態では、どの観察範囲も選択していない状態にあり、したがって医師がプルダウンメニューで観察範囲を選択しなければ、当該検査画像84aに対する観察範囲が選択されない。
登録ボタン94は、医師が検査画像84に対して入力された情報を、検査画像84の付加情報として登録するためのボタンである。登録ボタン94が操作されると、登録処理部52は、入力された情報を、検査画像84の付加情報として登録する。なお観察範囲選択欄86において観察範囲が入力されていなければ、観察範囲は付加情報として登録されておらず、またコメント入力欄88にコメントが入力されていなければ、付加情報としてコメントは登録されない。つまり観察範囲選択欄86およびコメント入力欄88に対する入力は、医師の任意であって、必ず入力しなければならないというものではない。
図6は、検査画像表示画面の一例を示す。この検査画像表示画面においては、観察範囲選択欄86において「胃」が選択され、コメント入力欄88に「体下部に10mm大のポリープを認める。経過観察が必要。」とするコメントが、テキスト入力されている。医師は検査画像84aに対する入力を終えると、切替指示領域92を操作してレポートに添付する別の検査画像を検査画像表示領域83に表示させ、当該別の検査画像の観察範囲を選択し、検査画像に対するコメントを入力する。医師が全ての添付画像を確認して登録ボタン94を操作すると、選択した観察範囲および入力したコメントが、各画像の付加情報(メタデータ)として登録処理部52により登録される。
終了ボタン96は、検査画像の拡大表示を終了するためのボタンである。終了ボタン96が操作されると、検査画像の拡大表示が終了し、レポート入力画面が表示装置60に表示される。
登録処理部52が登録した付加情報は、個々の添付画像に対する情報であるが、異常部位の観察結果を表現するものでもあるため、高い情報利用価値を有する。そこで実施例のレポート処理装置30においては、検査画像の付加情報を、レポート入力情報として活用する。
登録処理部52により検査画像に対して観察範囲およびコメントが付加情報として登録されると、診断用語抽出部46は、検査画像表示画面において検査画像に対して入力され登録されたコメントを文章解析して、コメントに含まれる語句を特定する。語句は、ひとまとまりの言葉であり、1つまたは2以上の単語から構成される。文章解析処理は、既存のアプリケーションソフトにより実現されてよい。たとえばコメントが日本語で入力されている場合、日本語はひらがな、カタカナ、漢字やアルファベット等が一文字ずつ並ぶ構造になっている。そのため診断用語抽出部46は、入力文字列を形態素解析により単語に切り分ける。なおコメントが英語や独語で入力されている場合には、単語間にスペースが存在するため、診断用語抽出部46は、スペースにより単語を切り分ければよい。また診断用語抽出部46は、構文解析を行って、各単語の係り受けを特定して、係り受けを踏まえたひとまとまりの言葉(語句)を特定する。
図6に示す例では、検査画像84aに対して「体下部に10mm大のポリープを認める。経過観察が必要。」のコメントが登録されている。最初に診断用語抽出部46は、この文字列を形態素解析により、以下のように単語に切り分ける。
「体下部」「に」「10」「mm」「大」「の」「ポリープ」「を」「認める」「経過観察」「が」「必要」
診断用語抽出部46は、このように切り分けた単語から、前後の係り受けにもとづいて、以下のような、ひとまとまりの言葉(語句)を特定する。
「体下部」「10mm」「ポリープ」「認める」「経過観察」「必要」
このように形態素解析および構文解析を行った後、診断用語抽出部46は、コメントに含まれていた語句が、診断結果データベース(DB)48に登録されている診断結果に相当するものであるか判定する。上記したように検査画像84aに対しては観察範囲が「胃」であることを示す情報が付加されており、診断用語抽出部46は、文章解析して抽出した語句が「胃」に関する語句であることを前提として、診断用語DB48に登録されている診断結果の選択肢を探索する。
診断用語DB48は、診断結果入力領域104(図4参照)において診断対象に関する診断結果の選択肢(診断用語)として示される項目を含んでいる。図4に示す診断結果入力領域104に関して言えば、診断用語DB48は、胃の部位名として「全体」「穹窿部」「噴門部」「体部」「体上部」「体中部」「体下部」「角部」「前庭部」「幽門前」「幽門輪」「吻合部」を診断結果の選択肢として登録しており、(ポリープの)大きさとして「大」「中」「小」「<5mm」「5−10mm」「11−20mm」「>20mm」を診断結果の選択肢として登録しており、周在性として「1/4周性」「1/4〜1/2周性」「1/2〜3/4周性」「3/4周性〜4/4周性」「全周性」を診断結果の選択肢として登録している。
なお図4に示す診断結果入力領域104は、診断対象選択領域102において観察範囲として「胃」が選択され、診断項目として「詳細部位・大きさ」が選択されたときに表示される項目を示すに過ぎない。診断用語DB48は、全ての観察範囲、および全ての診断項目に関する診断結果の選択肢を登録している。
診断用語抽出部46は、診断用語DB48に登録されている診断結果の選択肢(診断用語)のうち、コメントに含まれる語句に該当する診断結果を抽出する。ここで、コメントに含まれる語句は「体下部」「10mm」「ポリープ」「認める」「経過観察」「必要」であり、これらの語句に該当する診断結果は、上記の例で言えば、以下のものがあげられる。
・コメントの「体下部」に該当する診断結果(診断用語)「体下部」
・コメントの「10mm」に該当する診断結果(診断用語)「5−10mm」
診断用語抽出部46は、コメントに含まれる語句と、診断用語DB48に登録されている診断用語との完全一致または部分一致を判定する機能を有し、さらに登録されている診断用語が範囲を示す場合に、コメントに含まれる語句が、診断用語の範囲内に含まれるか判定する機能も有する。コメントの「体下部」と診断用語の「体下部」とは、完全一致判定機能により一致することが判定され、コメントの「10mm」と診断用語の「5−10mm」は、範囲判定機能により範囲に含まれることが判定される。なお診断用語抽出部46は、コメントに含まれる語句と、診断用語DB48に登録されている診断用語とが類似しているか判定する機能を有してもよい。診断用語抽出部46は、以上のような判定機能を有することで、コメントに含まれる語句が、登録されている診断結果の選択肢に相当するか判断する。
以上のようにして診断用語抽出部46は、診断用語DB48に登録されている診断用語のうち、コメントに含まれる語句に該当する診断用語を特定することで、医師が患部の状態を診断した診断結果を抽出する。連携処理部50は、診断用語抽出部46により抽出された診断結果を、レポート入力画面に反映する連携処理を実行する。つまり診断用語抽出部46が、コメントとして登録された文字列から、レポート入力画面に入力可能な診断結果を抽出すると、連携処理部50が、抽出された診断結果を、レポート入力画面に反映して、医師によるレポート入力を支援する処理を実行する。
図7は、診断結果入力領域104のチェックボックスにマーク108が付された状態を示す。連携処理部50は、診断用語抽出部46による診断結果の抽出処理を受けて、該当する診断結果のチェックボックスに、マーク108を付加する。診断用語抽出部46による抽出処理は、図6に示す登録ボタン94が操作されて、入力されたコメント(文字列)が検査画像84に対して登録された時点で自動的に実行され、したがって図6に示す検査画像表示画面から、レポート入力画面に画面遷移する際には、図7に示すように、抽出された診断結果が反映された状態で、すなわち該当する診断結果のチェックボックスにマーク108が付加された状態で、レポート入力画面が表示される。これにより医師は、検査画像84に対して行った診断内容と同じ内容を、診断結果入力領域104で再度入力する必要がなくなり、レポート作成の効率が高められる。
図7に示す診断結果入力領域104において、連携処理部50により自動入力されたマーク108は、あくまでも診断入力の候補としての位置づけであり、レポート入力として登録されたものではない。医師が登録ボタン106を操作することで、登録処理部52が、診断結果としてレポートに登録することになる。なお診断結果入力領域104には、詳細な診断結果を入力するために、非常に多くの選択肢が表示されている。そのため医師がチェックボックスを選択する際には、間違えないように細心の注意を払う必要があるが、実施例のように予めチェックボックスにマーク108が付加されていれば、医師は、その付加された選択肢を確認すればよいため、誤入力の可能性を低減できるとともに、入力漏れも防止できる。
図7には示していないが、たとえば診断対象選択領域102における「診断項目」で「存在所見」が選択されると、診断結果入力領域104には、「腫瘤」「静脈瘤」「ポリープ」などの存在診断候補が表示されるが、上記したように、コメントに「ポリープ」が含まれていることが判定されていれば、「ポリープ」のチェックボックスにマーク108が既に付された状態で、診断結果入力領域104が表示されることになる。
図8は、検査画像表示画面の一例を示す。この検査画像表示画面においては、観察範囲選択欄86において「胃」が選択され、検査画像表示領域83において、検査画像84a上に、生検用に患部組織を採取したことを示す生検マーク110が付加されている。生検マーク110は描画アイテムの一種であり、医師が検査画像84a上でマウスなどのポインティングデバイスを操作して、検査画像84a中の処置箇所をポイントすると、描画アイテム表示部42が、そのポイントに生検マーク110を表示する。
描画アイテム表示部42が生検マーク110を表示すると、医師は、その近傍に、コメントを入力できるようになる。この例では、コメント112として「生検実施。体下部に10mm大のポリープ。」と入力した例が示される。検査画像表示領域83に入力されたコメントも、コメント入力欄88に入力されたコメントと同じ扱いであり、登録ボタン94が操作されることで、コメント112は、検査画像84aの付加情報として登録される。コメント112が付加情報として登録されると、上記したように、診断用語抽出部46によりコメント112に含まれる語句が、診断用語DB48に記録されている診断用語と比較されて、連携処理部50が、レポート入力画面に反映する処理を実行する。
なおコメント112には、「生検」という語句が含まれている。内視鏡検査において患部組織の一部を採取して、同一施設または別施設の生検部門に検査を依頼する際には、生検依頼通知書を印刷して、生検部門に送ったり、または電子的に依頼書を送信する。そこで診断用語抽出部46は、入力されたコメントに「生検」の語句を抽出すると、レポート入力画面生成部38が、レポート入力画面を生成する際に、所定のボタンないしはマークを表示させるようにして、医師に、生検依頼を行う必要があることを通知してもよい。
図9は、診断領域100に生検依頼マーク114が付された状態を示す。医師は、生検依頼マーク114を見ることで、生検依頼通知書を発行する必要があることを認識する。なお生検依頼マーク114はボタン形式で表示されて、医師が生検依頼マーク114を操作すると、自動的に生検依頼通知書が印刷されたり、または所定の生検部門に、生検依頼通知がメール送信されたりしてもよい。
なお診断対象選択領域102における「診断項目」で「存在所見」が選択された場合に、診断結果入力領域104に含まれる「ポリープ」にマーク108が自動的に付加されることを説明したが、診断対象選択領域102における「診断項目」で「質的診断」が選択されると、診断結果入力領域104には、「腺腫性ポリープ」「過形成ポリープ」「ポリープ(非腫瘍性)」などの質的診断候補が表示される。診断用語抽出部46が、コメントに「ポリープ」が含まれていることを判定しても、連携処理部50は、かかる質的診断候補のいずれに該当するかまで特定できないため、連携処理部50は、質的診断候補を医師に提示して、候補の中から選択させるための選択ウィンドウを表示装置60に表示させてもよい。
図10は、表示画面に重畳表示される候補選択ウィンドウの一例を示す。診断用語DB48において、「腺腫性ポリープ」「過形成ポリープ」「ポリープ(非腫瘍性)」は、診断用語「ポリープ」に関連づけて記録されており、コメントから「ポリープ」という語句が抽出されると、診断用語抽出部46が、「腺腫性ポリープ」「過形成ポリープ」「ポリープ(非腫瘍性)」を、「ポリープ」に関連する質的診断結果の候補項目として抽出する。これにより連携処理部50は、抽出された候補を、レポート入力画面上に、選択可能に表示する。この候補選択ウィンドウ120においては、未入力候補として提示される各ポリープ種類の左に配置されたチェック領域を選択することで、1つの候補が選択され、入力ボタン122が操作されると、レポート入力画面の診断結果入力領域104において、連携処理部50により、選択した候補のチェックボックスのマーク108が付加されて表示される。
図6に示す例では、観察範囲選択欄86において「胃」が選択されていることで、診断用語抽出部46は、コメント入力欄88に入力されたコメントに含まれる語句が、胃に関するものであることを前提に、診断用語DB48に記録されている診断結果を探索した。なお観察範囲選択欄86への入力は医師の任意であるため、観察範囲選択欄86で観察範囲が選択されていないこともある。この場合、診断用語抽出部46は、コメントに「胃」が含まれていれば、観察範囲が「胃」であることを特定して、診断用語DB48に記録されている診断結果を探索してもよい。
一方、観察範囲選択欄86において観察範囲が選択されておらず、またコメントに観察範囲を示す語句が含まれていない場合、診断用語抽出部46は、観察範囲を特定することができない。診断結果は観察範囲毎に入力されるため、観察範囲を特定できなければ、「10mm」「ポリープ」などの語句を、レポート入力に利用することができない。
そこで診断用語抽出部46は、コメントが入力された検査画像84の観察範囲を特定できない場合に、医師に検査画像の観察範囲の選択を促すメッセージウィンドウを生成して、表示装置60に表示させる。
図11は、メッセージウィンドウの一例を示す。このメッセージウィンドウにおいて、医師が「はい」を選択すると、拡大画像表示画面生成部40は、登録コメントの観察範囲を特定できなかった検査画像を表示装置60に表示させる。検査画像表示画面において、医師が観察範囲選択欄86において観察範囲を選択し、登録ボタン94が操作されると、診断用語抽出部46は、コメントから抽出した語句に該当する診断結果の選択肢を診断用語DB48から抽出し、連携処理部50が、レポート入力画面に反映する。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
図7において、連携処理部50により、「体下部」と「5−10mm」のチェックボックスにマーク108が付加された状態を示した。これは医師が「体下部に10mm大のポリープを認める。」との文字列を入力したことで、連携処理部50が、レポート入力画面における該当するチェックボックスにマーク108を自動付加したものである。しかしながら、医師が入力した文字列に間違いがある場合、自動付加したマーク108も誤りであることになる。
医師は、診断結果入力領域104に自動付加されたマーク108を確認して、誤っていることを認識した場合、チェックボックスに自動付加されたマーク108を外し、正しいチェックボックスにマーク108を付加する。たとえば、実際のポリープの大きさが「12mm」であった場合には、医師は、「11−20mm」のチェックボックスにマーク108を付加し、「5−10mm」のチェックボックスに付加されたマーク108を外す。
連携処理部50は、「5−10mm」のマーク108が外されたことを検出すると、「5−10mm」のマーク108を付加する際の要因となったコメントを特定する。この場合、図6(または図8)に示すように、検査画像84aに対して入力されたコメントに「10mm」の語句が含まれていたことにより、診断用語抽出部46が、「5−10mm」の診断結果を抽出している。そのため連携処理部50は、自動入力した診断結果、すなわち連携処理部50がレポート入力画面に反映した診断結果が修正された場合に、拡大画像表示画面生成部40に対して、検査画像84aを含む検査画像表示画面を生成させるように指示する。これにより拡大画像表示画面生成部40は、検査画像84aおよび入力コメントを含む検査画像表示画面を表示装置60に表示させ、医師は、コメント入力欄88の入力コメントの間違い、つまり「10mm」を「12mm」に正す機会を与えられる。このように連携処理部50は、医師による診断結果の修正処理から、コメントの入力間違いを検出することができ、より正確なレポートの作成支援を実現できる。