JP2007260062A - 医用画像情報の処理装置および確認作業支援プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】モダリティにより生成された医用画像情報の内容を確認する作業を支援し、確認作業を行う撮影技師の負担を軽減する。
【解決手段】医用画像情報が医用画像とその医用画像の付帯情報により構成されているときに、その医用画像情報の確認作業に用いる情報処理装置に、被写体の撮影方向を付帯情報に含まれる撮影方向の情報に基づいて判別する処理(S101,S102)と、被写体の撮影方向を医用画像が保持する情報に基づいて判別する処理(S103,104)と、2つの判別結果を照合することにより、医用画像が取得されたときに被写体の撮影方向として設定された撮影方向と、取得された医用画像が実際に表している被写体の撮影方向との不一致を検出する処理(S105)を行う手段を設け、撮影方向の不一致の検出を自動で行う。
【選択図】図4
【解決手段】医用画像情報が医用画像とその医用画像の付帯情報により構成されているときに、その医用画像情報の確認作業に用いる情報処理装置に、被写体の撮影方向を付帯情報に含まれる撮影方向の情報に基づいて判別する処理(S101,S102)と、被写体の撮影方向を医用画像が保持する情報に基づいて判別する処理(S103,104)と、2つの判別結果を照合することにより、医用画像が取得されたときに被写体の撮影方向として設定された撮影方向と、取得された医用画像が実際に表している被写体の撮影方向との不一致を検出する処理(S105)を行う手段を設け、撮影方向の不一致の検出を自動で行う。
【選択図】図4
Description
本発明は、医用画像情報の確認作業を支援する機能を備えた情報処理装置と、汎用のコンピュータをそのような情報処理装置として機能させるためのプログラムに関する。
病院や診療所では、放射線撮影などにより得られた画像をモニタに表示し、画像の観察(読影)により病変の有無や病変部の状態を判断する画像診断が行われている。画像診断は、診断に用いる画像が、患者のどの部位をどの方向から撮影した画像であるかを正しく認識した上で行う必要がある。しかし、撮影により得られる画像の中には、例えば撮影部位の左側面の画像と右側面の画像のように方向を混同しやすい画像もある。このため、撮影業務を行う技師は、通常、撮影により得られた画像をモニタに表示して撮影部位と撮影方向を確認し、方向を判別しやすいように表示様式を整えてから、診断を行う医師に画像を提供している。例えば、左側面の画像はモニタ画面の左側に、右側面の画像はモニタ画面の右側に表示されるように表示様式を設定しておけば、診断を行う医師はモニタに表示されている各画像が撮影部位をいずれの方向から撮影した画像であるかを、瞬時に把握することができる。
上記方法は、画像診断を行う医師にとっては都合がよいが、撮影方向の確認および表示様式を整える作業を行う技師の負担は少なくなかった。このため、技師が行う画像の確認作業を何らかの形で支援する機能の提供が強く望まれていた。そこで出願人は、この要望に応えるべく、被写体の種別を示すマーク(以下、被写体種別マーク)を画像中の種別に応じた位置に配し、検出された被写体種別マークの位置に基づいて被写体の種別を自動的に判別する方法を提案した(特許文献1参照)。マーク形状の識別に基づく判別ではマークが変形してしまった場合に判別精度が低下するが、マークの位置は大きく変化することがないので、特許文献1の方法によれば、撮影部位や撮影方向を高い精度で判別することができる。
特開2004−254918号公報
しかし、撮影装置にセットされた記録シートが表裏逆であったり、記録シートから画像を読み取るときに記録シートの裏側から画像が読み取られたりすると、記録シート上で左上に配されていた被写体種別マークが、デジタル画像データでは画像の右上に配されることとなる。撮影装置や読取装置に、記録シートが90度あるいは180度回転した状態でセットされてしまったときも同様に、生成されたデジタル画像データでは、本来あるべき位置と異なる位置に被写体種別マークが配されることとなる。特許文献1の方法は、マークの位置が変化しないことを前提としているため、マークが本来あるべき位置にない場合には自動判別を正しく行うことができない。このため、依然として技師による目視確認に依存するところは少なくなく、作業負担のさらなる軽減が望まれている。
本発明は、撮影方向を自動判別したときに、その結果に問題がないかどうかを自動的に検証する機能を設けることにより、技師が自ら対応する必要がある場合に限り対応すればよい環境を用意し、これにより、これまで以上に技師の作業負担を軽減するものである。
本発明の医用画像情報処理装置は、医用画像とその医用画像の付帯情報により構成された医用画像情報を取り扱う医用画像情報処理装置であって、以下に説明する第1判別手段、第2判別手段および検出手段を備えることを特徴とするものである。
第1判別手段は、被写体の撮影方向を、前記付帯情報に含まれる撮影方向の情報に基づいて判別する手段であり、第2判別手段は、被写体の撮影方向を、前記医用画像が保持する情報に基づいて判別する手段である。被写体の撮影方向は、通常、撮影時に放射線が照射される被写体の面(例えば正面、左側面、右側面、背面など)により区別される。
医用画像情報を構成する付帯情報は、医用画像が生成された後その医用画像に付与され医用画像とともにセットで取り扱われる情報である。一般にタグ情報もしくはヘッダ情報などと称されている情報が、これに相当する。付帯情報として付与される情報には、撮影を行う技師が撮影時に設定する情報のほか、撮影を依頼した医師により設定され検査オーダシステムを介して撮影装置に転送される情報もある。付帯情報は、医用画像の画像処理において利用されたり、医用画像がモニタ画面に出力されるときに、共に画面に表示されたりする。
医用画像が保持する情報とは、医用画像の一部を構成する情報であり、何らかの画像処理を施さない限り医用画像と分離して取り扱うことができない情報を意味する。例えば、前述した被写体種別マークは、マーク自体が医用画像の一部であるので、医用画像が保持する情報に相当する。医用画像が被写体種別マークを含むものである場合、第2判別手段は、そのマークに基づいて被写体の撮影方向を判別することができる。撮影方向を形状により表しているマークであれば、マークの形状を識別し、識別された形状に基づいて撮影方向を判別する。あるいは、撮影方向を配置位置により表しているマークであれば、画像中のマークを探索し、マークが検出された位置に基づいて撮影方向を判別する。なお、被写体種別マークは、文字、数字、記号その他どのようなものであってもよいが、目視により識別でき且つコンピュータによる自動識別が容易なものとすることが好ましい。
また、医用画像が保持する情報の他の例としては、医用画像の濃度に係る情報がある。濃度に係る情報とは、例えば濃度ヒストグラムや濃度プロファイルである。医用画像の濃度ヒストグラムや濃度プロファイルは撮影部位や撮影方向によって異なる特徴を示すことが知られている。よって、第2判別手段により、医用画像の濃度ヒストグラムや濃度プロファイルを生成することとすれば、その濃度ヒストグラムや濃度プロファイルに基づいて被写体の撮影方向を判別することができる。
検出手段は、第1判別手段により判別された撮影方向を第2判別手段により判別された撮影方向と照合することにより、医用画像が取得されたときに被写体の撮影方向として設定された撮影方向と、取得された医用画像が実際に表している被写体の撮影方向との不一致を検出する。検出手段による不一致の検出は、撮影時もしくは読取時の記録シートのセットのしかたに問題があったか、もしくは付帯情報を入力するときに入力誤りがあったことを意味する。
また、上記医用画像情報処理装置は、不一致が検出された際に画面表示または音声により警告する警告手段か、医用画像を回転または反転させることで不一致を矯正する手段の、少なくとも一方を備えていることが望ましい。不一致の矯正は自動で行ってもよいし、処理途中の画像を装置のオペレータ(技師)に確認させながら矯正を行ってもよい。例えば、不一致が検出された際に、まず不一致が検出されたことを通知する警告メッセージを出力し、オペレータから反転あるいは回転の指示が入力された場合に、指示された処理を実行するというように、対話的に処理を進めるとよい。
以上に説明した医用画像情報処理装置の各機能は、汎用のコンピュータに本発明の確認作業支援プログラムを実装することによっても提供できる。本発明の確認作業支援プログラムは、医用画像とその医用画像の付帯情報により構成された医用画像情報の確認作業を支援するためのプログラムであって、コンピュータに、被写体の撮影方向を、前記付帯情報に含まれる撮影方向の情報に基づいて判別する第1判別処理と、被写体の撮影方向を、前記医用画像が保持する情報に基づいて判別する第2判別処理と、第1判別処理において判別された撮影方向を第2判別処理において判別された撮影方向と照合することにより、前記医用画像が取得されたときに前記被写体の撮影方向として設定された撮影方向と、取得された医用画像が実際に表している被写体の撮影方向との不一致を検出する検出処理とを実行させることを特徴とするものである。
本発明の医用画像情報処理装置および確認作業支援プログラムによれば、医用画像が取得されたときの被写体の撮影方向が、その医用画像情報を構成する付帯情報に基づいて判別され、さらにその医用画像情報を構成する医用画像が保持する情報に基づいても判別され、いずれかの情報に誤りがあった場合には2つの判別結果の照合により付帯情報もしくは医用画像のいずれかに問題があることが自動的に検出される。このため、医用画像情報の確認を行う技師の負担が軽減され、確認作業の効率が向上し、診断を行う医師に良質な医用画像情報を迅速に提供できるようになる。
医用画像情報を生成する装置(以下、モダリティ)は、大別すると、撮影により得られる情報から直ちに画像データを生成して出力するタイプのものと、撮影により得られる情報を記録シートに記録し、その記録シートに記録された情報を読み取って画像データを生成して出力するタイプのものがある。撮影業務を行う技師は、モダリティのタイプに拘わらず生成されたすべての画像の内容を確認するが、内容確認の負担が比較的大きいのは後者のタイプのモダリティにより生成された医用画像情報である。特に、撮影装置と記録シートの読取装置が別個の装置である場合、装置間で記録シートを移動する際にシートの装填あるいは挿入方向を誤る可能性があるため、慎重に画像を確認する必要がある。そこで、以下の説明では、そのようなモダリティにより生成された医用画像情報を取り扱う場合を例示しながら説明する。
図1に左手正面(甲側)の撮影の様子を例示する。手の撮影は、通常、撮影台1の上にカセッテ2に装填された記録シート3を配し、その上に被写体である手4を載せ、被写体上方に配置されたX線管球5により手4に放射線を照射して行う。記録シート3としては、X線フィルムや、放射線エネルギーを蓄積する輝尽性蛍光体シートが知られている。
撮影の際には、記録シート3の縁部に放射線を透過しない重金属性(例えば、鉛性)のマーク部材が置かれる。これにより、マーク部材と同じ形状のマークが被写体の画像とともに記録シート3に記録される。マーク部材の形状およびマーク部材が配置される位置は、撮影部位や撮影方向によって異なる。本実施形態では、マーク部材の形状は、図2(a)〜(d)に例示するように、長方形の枠内に部位を示す記号を記した形状とする。手足や乳房のように、左右2つある部位については、記号の一部に左右を示すL,Rの文字を含めるものとする。また、マーク部材は、被写体を正面から撮影するときには画像の左上(図2(a))、右側面から撮影するときには画像の右上(図2(b))、背面から撮影するときには画像の右下(図2(c))、左側面から撮影するときには画像の左下(図2(d))に配置するものとする。
図3に示す処理装置6は、本発明の医用画像情報処理装置の一実施形態に相当する装置で、図3(a)は装置の概観図、図3(b)は装置の機能を概念的に示した図である。この処理装置6は、挿入口7から挿入された記録シート3から放射線画像を読み取ってデジタル画像データを生成する読取部61と、そのデジタル画像データに付帯情報を付与して医用画像情報を生成する情報生成部62を備えている。また処理装置6には、キーボード8とモニタ9が接続されている。
読取部61は、記録シート3に記録されている放射線画像を光学的に読取って画像データを生成する。例えば、記録シート3が輝尽性蛍光体シートの場合には、励起光を記録シート3に照射して蓄積されているエネルギーに応じた輝尽発光光を生じせしめ、その輝尽発光光を光電変換により電気信号に換え、その電気信号に基づいて各画素の値が数値で表現された画像データを構成する。
情報生成部62は、キーボード8からの入力やモニタ9への出力を制御しながら医用画像情報の生成に必要な情報を収集し、医用画像情報を生成する。詳細には、情報生成部62は、医用画像に関する各種設定を受け付ける設定手段621、設定された情報と読取部が生成した画像データから診断用の医用画像情報を生成する医用画像情報生成手段622、装置のオペレータに生成された医用画像情報を確認させ必要に応じて医用画像を矯正する確認作業支援手段623を備える。本実施形態では、設定手段621、医用画像情報生成手段622および確認作業支援手段623は、処理装置6に組み込まれた設定プログラム、医用画像情報生成プログラムおよび確認作業支援プログラムにより実現される。正確には、処理装置6が備えるCPU(図示せず)が、各プログラムにおいて規定された処理を実行することにより実現される。
以下、設定手段621の処理について説明する。撮影時に設定される情報としては、患者の情報(患者ID、氏名、年齢、性別など)、撮影日時の情報、被写体に関する情報(部位、撮影方向など)、撮影条件(放射線量など)の情報などがある。設定手段621は、モニタ9に設定画面を表示し、これらの情報の設定入力をキーボード8から受け付ける。
設定手段621は、入力を簡単にするための機能も提供する。例えば、過去に入力された患者情報は設定手段621の機能により装置内部の患者情報データベースに記憶される。このため、過去に設定を行ったことがある患者については、オペレータは患者IDを入力するだけでよい。患者IDが入力されると、設定手段621の機能によりデータベースに登録されている他の患者情報が自動的に読み出されて設定される。
また、被写体の部位、撮影方向、撮影条件などは、キー入力しなくても、予め登録されている項目が撮影メニューとしてモニタ9の画面に一覧表示されるので、表示された項目の中から所望の項目を選択するだけで簡単に設定を行うことができる。なお、撮影メニューの項目の中には、「左手正面」、「左手側面」など記録シートごとに選択する項目のほか、「腰椎6方向」など複数シート分の設定を一括して行う項目も用意されている。
医用画像情報生成手段622は、読取部61により生成された画像データと、設定画面において設定された情報とを対応づけ、医用画像と付帯情報とからなる医用画像情報を生成する。付帯情報の中には、撮影メニューにおいて選択された項目も含まれ、その中には例えば「左手正面」、「左手背面」、「左手左側面」、「左手右側面」といった撮影方向の情報も含まれる。なお、本実施形態では、医用画像情報のフォーマットは、DICOM規格に準拠するものとする。
図4は、図3(b)の確認作業支援手段623により実行される処理の一例を示すフローチャートである。確認作業支援手段623は、表示要求があった医用画像情報、すなわち確認の対象となる医用画像情報を構成する付帯情報の中から撮影方向を示す情報を探索して参照する(S101)。そして、参照した情報に基づいて撮影方向を判別する(S102)。次に、その医用画像情報を構成する画像データを作業用メモリに記憶せしめ、その画像データに対し図2の被写体種別マークを検出するための探索処理を施す(S103)。そして、検出された被写体種別マークの位置に基づいて、撮影方向を判別する(S104)。続いて、ステップS102における判別結果と、ステップS104における判別結果とを照合する(S105)。
照合の結果が一致しなかった場合には、確認作業支援手段623は、図5に例示するように、付帯情報10と医用画像11を画面に表示した上で、不一致を警告するとともに修正の要否を問い合わせるメッセージ12を表示する(S106)。また、メッセージとともに「反転する」、「回転する」または「いいえ」を選択するための操作ボタン13も表示する。この際、メッセージの表示とともに、スピーカから警告音を出力したり、上記メッセージを音声として出力したりしてもよい。
続いて、確認作業支援手段623は操作ボタン13による操作入力を受け付ける(S107)。「反転する」または「回転する」のボタンが操作されたときには、表示中の医用画像を反転もしくは回転により矯正してから再表示し(S108)、再び修正要否を問い合わせるメッセージと、修正要否について回答するための操作ボタン13を表示する(S109)。以降、「いいえ」のボタンが選択されるまで、ステップS107〜S109の処理を繰り返す。
ステップS105において照合の結果が一致したとき、およびステップS107において「いいえ」ボタンが選択されたときには、確認作業支援手段623は、すべての付帯情報と医用画像をモニタ9の画面に表示して、オペレータに最終確認を促す(S110)。ステップS110において確認が済んだことを示す操作入力が検出されると、医用画像情報に含まれる医用画像が作業用メモリに記憶されている画像に更新され、確認済みの医用画像情報が保存される(S111)。この際、付帯情報の1つとして、確認済みであることを示す情報を付加してもよい。
図6に、左手正面の撮影で、正しいシート操作が行われたときに生成される医用画像を例示する。また、図7(a)および図7(b)に、誤ったシート操作が行われたときに生成される医用画像を例示する。図7(a)は、記録シート3をカセッテに装填する際に、あるいは処理装置6の挿入口7に挿入する際に、裏返しに装填あるいは挿入してしまった場合に生成される医用画像を示している。図に示すように、シートが裏返しに挿入されると、本来左上にあるべきマークは右上に配されることとなる。このため、ステップS102では撮影方向は左手正面と判別されるが、ステップS104では撮影方向は左手右側面と判別される。ステップS105における照合の結果は不一致となるので、ステップS106において図5に例示したメッセージが出力される。ステップS107において「反転する」ボタンの操作が検出されれば、ステップS108において、画像が反転される。これにより、図7(a)に示す医用画像は図6に示す医用画像と同じ画像に矯正される。
また、図7(b)は、記録シート3を右回りに90度回転させた状態でカセッテや挿入口に装填してしまった場合に生成される医用画像を示した図である。この場合も、本来左上にあるべきマークは右上に配されることとなる。このため、ステップS102では撮影方向は左手正面と判別されるが、ステップS104では撮影方向は左手右側面と判別される。この場合も、ステップS105における照合の結果は不一致となるので、ステップS106において図5に例示したメッセージが出力される。ステップS107において「回転する」ボタンの操作が検出されれば、ステップS108において、画像が右回りに90度回転され、ステップS109において、さらなる修正の要否を問うメッセージが出力される。図7(b)の医用画像は、回転の操作が3回行われると、図6に示す医用画像と同じ画像に矯正される。
本実施形態の情報処理装置6によれば、シート操作の誤りにより医用画像と医用画像の付帯情報との間に不整合が生じてしまった場合に、その旨を通知して警告するメッセージが出力される。また、簡単なボタン操作により医用画像を反転あるいは回転させることで、不整合を矯正することもできる。このため、画像の確認を行う技師は、警告があったときに特に慎重に画像を確認すればよく、従来に比べ技師による確認作業の負担は大幅に軽減される。
ここで、上記実施形態は、被写体識別マークの位置に基づいて撮影方向を判別するものであるが、撮影方向を、医用画像の濃度に基づいて判別する形態も考えられる。一般に、放射線画像では、横軸を濃度、縦軸をその濃度の出現頻度とする濃度ヒストグラムを作成した場合、その濃度ヒストグラムの形状は撮影方向によって異なることが知られている。例えば、胸部や腹部を側面から撮影した場合には、正面や背面から撮影した場合よりも、放射線が直接記録シートに照射される領域(素抜け領域)が広くなる。このため、図8に示すように、側面画像のヒストグラムでは、素抜け領域の濃度に相当する濃度に対する値が、正面画像などのヒストグラムに比べて大きくなる。よって、濃度ヒストグラムを生成し、そのヒストグラムを解析して適切な特徴量を抽出すれば、その特徴量に基づいて撮影方向を判別することができる。例えば、濃度が所定の閾値を超える画素の累積出現頻度を特徴量として求め、求められた値が所定値以上であれば側面画像、所定値以下であれば正面または背面画像と判断する方法などが考えられる。
また、撮影方向は、濃度プロファイルによっても判別することができる。例えば、手の画像の場合、親指と人差し指の間の間隔は、親指以外の4本の指の間の間隔よりも広い。よって、5本の指を横切る線上の画素を対象にして濃度プロファイルを作成した場合、図9に例示するように、指の間隔が濃度プロファイルの形状に現れ、これにより正しい向きの画像と判定した画像とを判別することができる。あるいは、濃度プロファイルの形状から5本の指を識別できなければ、その画像は90度〜270度回転した状態の画像と判断することができる。
また、例えば、下腿骨のように太い脛骨と細い腓骨からなる部位の場合には、骨の太さが濃度プロファイルの形状に現れるので、これにより撮影方向を判別することができる。
さらには、例えば、頭部、胸部、腹部の画像のように、正面や背面の画像は左右対称であるが、側面の画像は左右対称にならない画像の場合も、濃度プロファイルの形状の対称/非対称によって、正面および背面画像と側面画像とを区別することができる。
図10は、濃度に係る情報に基づいて撮影方向を判別する形態における確認作業支援手段623の処理を示すフローチャートである。確認作業支援手段623は、表示要求があった医用画像情報、すなわち確認作業の対象となる医用画像情報を構成する付帯情報の中から撮影方向を示す情報を探索して参照する(S201)。そして、参照した情報に基づいて撮影方向を判別する(S202)。次に、その医用画像情報を構成する画像データを作業用メモリに記憶せしめ、画像データを構成する各画素値を参照することにより濃度ヒストグラムを生成する(S203)。さらに、ステップS201において参照した被写体(部位)の情報に基づいて濃度ヒストグラムから抽出すべき特徴量を決定して、その特徴量を抽出し、ステップS201において参照した被写体(部位)の情報と抽出したヒストグラムの特徴量とに基づいて、撮影方向を推定する(S204)。
さらにステップS201において参照した撮影方向の情報に基づいて濃度プロファイルを作成する範囲を決定し、決定した範囲の濃度プロファイルを生成する(S205)。そして、ステップS201において参照した撮影方向の情報と作成した濃度プロファイルの特徴量と、さらにはステップS204において推定した撮影方向とに基づいて、撮影方向を判別する(S206)。続いて、ステップS202における判別結果と、ステップS206における判別結果とを照合する(S207)。以降のステップS208〜S213までの処理は、図3のステップS106〜S111の処理と同じであるため、説明を省略する。
なお、濃度ヒストグラムおよび濃度プロファイルから抽出される特徴量は、1つの特徴量のみでは必ずしも正確に被写体の撮影方向を判別できるとは限らないが、複数の特徴量を組み合わせることにより、少なくとも付帯情報との不一致を検出するのに十分な程度には撮影方向を判別(分類)することができる。判別に使用する特徴量の組み合わせは、サンプル画像を使った学習を行って求めることが望ましい。
濃度ヒストグラムや濃度プロファイルを用いて撮影方向を判別する方法は、被写体種別マークの位置に基づいて判別を行う方法に比べれば計算量が多くなるものの、マークの形状やマークを付与する位置に依存しないため、マークが配されていない画像でも撮影方向の自動判別を行うことができる。
また、マークの形状や記録位置は、病院やシステムによって異なるため、マークによる判別では、病院の技師がマークの形状や位置を装置に登録する必要がある。しかし、撮影方向と濃度ヒストグラムや濃度プロファイルの関係は普遍であるため、濃度ヒストグラムや濃度プロファイルに基づく判別機能は予め装置に組み込んでおくことができ、登録のために病院関係者の手を煩わせることがない。
以上、確認作業支援手段623の処理として2種類の処理を例示したが、図4の処理と図10の処理を組み合わせた処理、すなわちマークと濃度の2種類の情報に基づいて撮影方向を判別する形態も考えられることは言うまでもない。自動判別の精度が優先される場合には、2つの処理を組み合わせることで判別の精度を高めることができる。
なお、上記実施形態はいずれも、確認作業支援の1つとして不一致を矯正する機能を提供するものであるが、撮影方向の不一致を矯正する機能は提供せず、単に不一致を警告するだけでもよい。
また、上記各実施形態では、オペレータに修正要否の問い合わせを行った上で画像を反転したり回転したりしているが、マークの形状や濃度に係る情報に基づいて画像の状態を正確に判別できた場合には、問い合わせを行うことなく直ちに反転あるいは回転の処理を実行するようにしてもよい。例えば、図2に例示したマークのように、左右上下に非対称な形状の被写体種別マークが画像に配されている場合には、マークの形状を正確に識別することができれば、その形状に基づいて反転あるいは回転の要否を判断することができる。よって、マークの位置のみならず形状をも正確に識別できたときには修正要否をオペレータに問い合わせることなく反転あるいは回転処理を実行し、マーク形状の崩れなどにより形状の識別ができなかったときのみ修正要否をオペレータに問い合わせるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、不一致の警告をモニタ画面にメッセージを表示することにより行っているが、画面には確認の対象となる医用画像情報のみを表示し、不一致の警告を音声のみによって行う形態も考えられる。モニタ画面が小さく表示スペースが限られている場合など、音声のみによる警告のほうが好ましい場合もある。
確認作業支援手段623により確認、更新された医用画像情報については、その後、前述したように表示様式を整えるための処理が施され、この処理により画像診断を行うときの表示様式を規定する定義データが生成される。そして、確認済みの医用画像情報は、その表示様式の定義データとともに、診断を行う医師によって利用される。
図11に、確認済みの医用画像情報を利用するシステムの一例を示す。図に示すように、このシステムは、画像生成モダリティ14と、確認用ワークステーション15と、サーバ16および医師用ワークステーション17を備える。これらの装置は、ネットワーク18を介して互いに通信可能な状態となっている。
上記実施形態において例示した処理装置6は、画像生成モダリティ14と確認用ワークステーション15の機能を兼ね備えたものであるが、CT(Computed Tomography)やMR(Magnetic Resonance)のように撮影、設定、画像生成の機能が一体化された装置の場合には、画像の確認は、確認用ワークステーション15を用いて行われる。確認用ワークステーションは、汎用のワークステーションに前述の確認作業支援プログラムを組み込んだものとすればよい。
上記構成において確認用ワークステーション15(画像生成モダリティとの兼用装置を含む)により確認された医用画像情報は、ネットワーク18を介してサーバ16に転送され、大容量ストレージ19にファイリングされる。さらに、サーバ16は、ファイリングされた画像情報を医師用ワークステーション17からの要求に応じて提供する。
本発明は、図11に例示したシステムのように、多種類のモダリティにより生成された多数の医用画像情報に対し、正確かつ迅速に確認を行わなければならない環境において、特に大きな効果を発揮する。
1 撮影台、2 カセッテ、3 記録シート、4 被写体(左手)、5 X線管球、
6 医用画像情報処理装置、7 挿入口、8 キーボード、9 モニタ、
10 付帯情報、11 医用画像、12 警告メッセージ、13 操作ボタン、
14 画像生成モダリティ、15 確認用ワークステーション 16 サーバ、
17 医師用ワークステーション、18 ネットワーク、19 大容量ストレージ
6 医用画像情報処理装置、7 挿入口、8 キーボード、9 モニタ、
10 付帯情報、11 医用画像、12 警告メッセージ、13 操作ボタン、
14 画像生成モダリティ、15 確認用ワークステーション 16 サーバ、
17 医師用ワークステーション、18 ネットワーク、19 大容量ストレージ
Claims (6)
- 医用画像と該医用画像の付帯情報により構成された医用画像情報を取り扱う医用画像情報処理装置であって、
被写体の撮影方向を、前記付帯情報に含まれる撮影方向の情報に基づいて判別する第1判別手段と、
前記被写体の撮影方向を、前記医用画像が保持する情報に基づいて判別する第2判別手段と、
前記第1判別手段により判別された撮影方向を前記第2判別手段により判別された撮影方向と照合することにより、前記医用画像が取得されたときに前記被写体の撮影方向として設定された撮影方向と、取得された医用画像が実際に表している被写体の撮影方向との不一致を検出する検出手段とを備えることを特徴とする医用画像情報処理装置。 - 前記検出手段により前記撮影方向の不一致が検出されたときに、該不一致を画面表示および/または音声により警告する警告手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の医用画像情報処理装置。
- 前記検出手段により前記撮影方向の不一致が検出されたときに、前記医用画像が実際に表している被写体の撮影方向を、該医用画像を反転および/または回転させることにより、前記医用画像が取得されたときに前記被写体の撮影方向として設定された撮影方向と一致させる矯正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の医用画像情報処理装置。
- 前記医用画像が保持する情報は、前記医用画像に含まれる被写体種別マークであり、
前記第2判別手段は、前記被写体種別マークに基づいて前記被写体の撮影方向を判別することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の医用画像情報処理装置。 - 前記医用画像が保持する情報は、該医用画像の濃度に係る情報であり、
前記第2判別手段は、前記医用画像の濃度ヒストグラムおよび/または濃度プロファイルを生成し、該濃度ヒストグラムおよび/または濃度プロファイルに基づいて前記被写体の撮影方向を判別することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の医用画像情報処理装置。 - 医用画像と該医用画像の付帯情報により構成された医用画像情報の確認作業を支援するためのプログラムであって、コンピュータに、
被写体の撮影方向を、前記付帯情報に含まれる撮影方向の情報に基づいて判別する第1判別処理と、
前記被写体の撮影方向を、前記医用画像が保持する情報に基づいて判別する第2判別処理と、
前記第1判別処理において判別された撮影方向を前記第2判別処理において判別された撮影方向と照合することにより、前記医用画像が取得されたときに前記被写体の撮影方向として設定された撮影方向と、取得された医用画像が実際に表している被写体の撮影方向との不一致を検出する検出処理とを実行させることを特徴とする医用画像情報の確認作業支援プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006087742A JP2007260062A (ja) | 2006-03-28 | 2006-03-28 | 医用画像情報の処理装置および確認作業支援プログラム |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007260062A true JP2007260062A (ja) | 2007-10-11 |
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JP2006087742A Withdrawn JP2007260062A (ja) | 2006-03-28 | 2006-03-28 | 医用画像情報の処理装置および確認作業支援プログラム |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010188042A (ja) * | 2009-02-20 | 2010-09-02 | Konica Minolta Medical & Graphic Inc | 医用画像処理装置及びプログラム |
JP2010194086A (ja) * | 2009-02-25 | 2010-09-09 | Konica Minolta Medical & Graphic Inc | 医用画像表示装置及びプログラム |
JP2016029987A (ja) * | 2014-07-25 | 2016-03-07 | キヤノン株式会社 | 放射線撮像装置および放射線撮像システム |
-
2006
- 2006-03-28 JP JP2006087742A patent/JP2007260062A/ja not_active Withdrawn
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