ところで、前述した従来の半田付け装置(作業システム)に用いられる搬送装置は、複数のワークホルダがある間隔をもって連続的に設けられたコンベアベルトを移動させることにより各ワークホルダに保持されたワーク(被搬送物)が搬送される構造となっている。このため、1つのワークの動きを停止させたい事情(例えば、半田付け作業を行う)が生じた場合、他の全てのワークの動きを停止させなければならず、複数の被搬送物の効率的に搬送することができない。
また、複数の作業位置が直列的に配置された作業システムに前述したような搬送装置を適用する場合、1つの作業位置においてワークに対する作業が行われている状況では、他の作業位置にワークを搬送することができず、複数のワークに対して効率的に作業を行うことができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の被搬送物を効率的に搬送することのできる搬送装置を提供するものである。
また、本発明は、作業対象となる複数のワークに対して効率よく作業を行うことのできる作業システム、具体的には、半田付け作業の対象となる基板に対して効率よく半田付け作業を行うことのできる半田付けシステムを提供するものである。
本発明に係る搬送装置は、投入部と取出し部との間に設置され、複数の停留スポットが設定されている搬送路と、前記搬送路上を摺動するスライダを有し、被搬送物の前記投入部での搭載及び搭載された被搬送物の前記取出し部での取出しが可能であって、前記搬送路上を前記スライダが摺動することにより当該搬送路上での往復動可能なキャリッジユニットと、前記複数の停留スポットのそれぞれに対応して設けられ、停留スポットに停止したキャリッジユニット上の搭載位置と前記搬送路上のキャリッジユニットの移動を妨げることのない退避位置との間で前記キャリッジユニットに搭載された被搬送物を往復動させる往復機構とを有する構成となる。
このような構成により、1つの被搬送物を停止させたい事情が生じた場合、搬送路上において当該被搬送物を搭載して移動するキャリッジユニットを停留スポットで停止させて、そのキャリッジユニットに搭載された被搬送物を往復機構により退避位置におくことができる。この状態では、他の被搬送物を搭載したキャリッジユニットは、前記退避位置にある被搬送物に妨げられることなく搬送路を移動することができる。
本発明に係る搬送装置において、前記往復機構は、前記搭載位置と該搭載位置の上方に設定された前記退避位置との間で前記キャリッジユニットに搭載された前記被搬送物を昇降動させる昇降機構を含む構成とすることができる。
このような構成により、停止させたい事情が生じた被搬送物を、停留スポットにおいて、昇降機構によってキャリッジユニット上の載置位置の上方に設定された退避位置におくことができる。このように、被搬送物が搬送路の上方に退避するようになるので、搬送装置の平面的な占有面積を小さくすることができる。
本発明に係る搬送装置において、前記昇降機構は、前記停留スポットにおいて前記搬送路を挟み、該停留スポットに停止したキャリッジユニットの被搬送物の載置面より低い位置に支持面を有する2つの支持プレートと、前記2つの支持プレートを同期させて昇降動させる機構とを有する構成とすることができる。
このような構成により、停留スポットにおいて、キャリッジユニットに搭載された被搬送物を、搬送路を挟む2つの支持プレートによって支持した状態で昇降動させることができる。
本発明に係る搬送装置において、前記複数の停留スポットのそれぞれに対応する前記退避位置は、作業ロボットが当該退避位置にある被搬送物に対して所定の作業を行う作業位置である構成とすることができる。
このような構成により、1つの被搬送物を作業位置(退避位置)に退避させて、作業ロボットがその被搬送物に対して所定の作業を行っている間、他の被搬送物を搭載したキャリッジユニットは、搬送路上を、前記作業中の前記被搬送物に妨げられることなく移動することができる。
本発明に係る作業システムは、投入部と取出し部との間に複数の作業ブースが直列的に配置された作業システムであって、前記投入部と前記取出し部との間において前記複数の作業ブースを通して作業対象のワークを搬送する搬送装置と、前記複数の作業ブースのそれぞれに設けられた作業ロボットとを有し、前記搬送装置は、前記投入部と前記取出し部との間において前記複数の作業ブースを通るように設置された搬送路と、前記搬送路上を摺動するスライダを有し、ワークの前記投入部での搭載及び搭載されたワークの前記取出し部での取出しが可能であって、前記搬送路上を前記スライダが摺動することにより当該搬送路上での往復動可能なキャリッジユニットと、前記複数の作業ブースのそれぞれにおける搬送路の部分に設定される停留スポットに対して設けられ、前記停留スポットに停止したキャリッジユニットの搭載位置と前記搬送路上のキャリッジユニットの移動を妨げることのない作業位置との間で前記キャリッジユニットに搭載されたワークを往復動させるワーク往復機構とを有し、前記複数の作業ブースのそれぞれにおいて、前記ワーク往復機構によって前記作業位置におかれたワークに対して前記作業ロボットが所定の作業を行うようにした構成となる。
このような構成により、搬送路上においてワークを搭載して移動するキャリッジユニットを1つの作業ブースにおける停留スポットに停止させて、そのキャリッジユニットに搭載されたワークを往復機構により作業位置におくことができる。そして、前記作業ブースにおいて作業位置におかれた前記ワークに対して作業ロボットが所定の作業を行っている間、他のワークを搭載したキャリッジユニットは、前記作業ブースにおいて作業中のワークに妨げられることなく、搬送路上を他の作業ブースに移動することができる。更に、当該他の作業ブースにおいて、作業位置におかれた前記他のワークに対して作業ロボットが所定の作業を行うことができる。
本発明に係る作業システムにおいて、前記ワーク往復機構は、前記搭載位置と該搭載位置の上方に設定された前記作業位置との間で前記キャリッジユニットに搭載された前記ワークを昇降動させるワーク昇降機構を含む構成とすることできる。
このような構成により、作業の対象となるワークを、各作業ブースの停留スポットにおいて、キャリッジユニット上の載置位置の上方に設定された作業位置におくことができる。このように、作業の対象となるワークが搬送路の上方に退避するようになるので、各作業ブース内における搬送装置の部分の平面的な占有面積を小さくすることができる。
本発明に係る作業システムにおいて、前記複数の作業ブースは、着脱自在に連結されており、前記搬送路は、前記複数の作業ブースのそれぞれに設けられたブース内搬送路部分と、隣接する2つの作業ブース内のブース内搬送路部分を連結する連結搬送路部分とを含む構成とすることができる。
このような構成により、ワークに対して行うべき作業の内容に応じて、連結すべき作業ブースの数を変えることができる。そして、連結する作業ブースの数が変化しても、隣接する作業ブースのブース内搬送路部分を連結搬送路部分によって連結することにより、全ての作業ブースを通るように搬送路を構成することができる。従って、作業システムの規模を作業の内容に応じてフレキシブルに変化させることができる。
本発明に係る半田付けシステムは、投入部と取出し部との間に複数の作業ブースが直列的に配置された半田付けシステムであって、前記投入部と前記取出し部との間において前記複数の作業ブースを通して半田付け作業の対象となる基板を搬送する搬送装置と、前記複数の作業ブースのそれぞれに設けられた半田付けロボットとを有し、前記搬送装置は、前記投入部と前記取出し部との間において前記複数の作業ブースを通るように設置された搬送路と、前記搬送路上を摺動するスライダを有し、基板を着脱自在に保持する保持器の前記投入部での搭載及び搭載された保持器からの基板の前記取出し部での取出しが可能であって、前記搬送路上を前記スライダが摺動することにより当該搬送路上での往復動可能なキャリッジユニットと、前記複数の作業ブースのそれぞれにおける搬送路の部分に設定される停留スポットに対応して設けられ、前記停留スポットに停止したキャリッジユニット上の搭載位置と前記搬送路上のキャリッジユニットの移動を妨げることのない作業位置との間で前記キャリッジユニットに搭載された保持器を往復動させるワーク往復機構とを有し、前記複数の作業ブースのそれぞれにおいて、前記ワーク往復機構によって前記作業位置におかれた前記保持器に保持された基板に対して前記半田付けロボットが所定の半田付け作業を行うように構成される。
このような構成により、搬送路上において半田付け作業の対象となる基板を保持した保持器を搭載して移動するキャリッジユニットを1つの作業ブースにおける停留スポットに停止させ、そのキャリッジユニットに搭載された保持器を往復機構により作業位置におくことができる。そして、前記作業ブースにおいて作業位置におかれた前記保持器に保持された基板に対して半田付けロボットが所定の半田付け作業を行っている間、他の基板を保持した保持器を搭載したキャリッジユニットは、前記作業ブースにおいて半田付け作業中の基板を保持した保持器に妨げられることなく、搬送路上を他の作業ブースに移動することができる。更に、当該他の作業ブースにおいて、作業位置におかれた保持器に保持された他の基板に対して半田付けロボットが所定の半田付け作業を行うことができる。
本発明に係る半田付けシステムにおいて、前記ワーク往復機構は、前記搭載位置と該搭載位置の上方に設定された前記作業位置との間で前記キャリッジユニットに搭載された前記保持器を昇降動させるワーク昇降機構を含む構成とすることができる。
このような構成により、半田付け作業の対象となる基板を保持した保持器を、各作業ブースの停留スポットにおいて、キャリッジユニット上の載置位置の上方に設定された作業位置におくことができる。このように、半田付け作業の対象となる基板を保持した保持器が搬送路の上方に退避するようになるので、各作業ブース内における搬送装置の部分の平面的な占有面積を小さくすることができる。
本発明に係る半田付けシステムにおいて、前記ワーク昇降機構は、前記停留スポットにおいて搬送路を挟み、該停留スポットに停止したキャリッジユニットの保持器の載置面より低い位置に支持面を有する2つの支持プレートと、前記2つの支持プレートを同期させて昇降動させる機構を有するとすることができる。
また、本発明に係る半田付けシステムにおいて、前記複数の作業ブースは、着脱自在に連結されており、前記搬送路は、前記複数の作業ブースのそれぞれに設けられたブース内搬送路部分と、隣接する2つの作業ブース内のブース内搬送部分を連結する連結搬送路部分とを含む構成とすることができる。
このような構成により、基板に対して行うべき半田付け作業の内容に応じて、連結すべき作業ブースの数を変えることができる。そして、連結する作業ブースの数が変化しても、隣接する作業ブースのブース内搬送路部分を連結搬送路部分によって連結することにより、全ての作業ブースを通るように搬送路を構成することができる。従って、半田付けシステムの規模を半田付け作業の内容に応じてフレキシブルに変化させることができる。
本発明に係る搬送装置によれば、停留スポットにおいて、キャリッジユニットに搭載された被搬送物を往復機構により退避位置におき、他の被搬送物を搭載したキャリッジユニットを、前記退避位置にある被搬送物に妨げられることなく搬送路を移動させることができるので、複数の被搬送物を効率的に搬送することができる。
また、本発明に係る作業システムによれば、作業ブースの停留スポットにおいて、キャリッジユニットに搭載されたワークを往復機構により作業位置におき、その作業位置におかれた前記ワークに対して作業ロボットが所定の作業を行っている間、他のワークを搭載したキャリッジユニットを、前記作業ブースにおいて作業中のワークに妨げられることなく、搬送路上を他の作業ブースに移動させることができるので、作業対象となる複数のワークに対して効率的に作業を行うことができる。
更に、本発明に係る半田付けシステムによれば、作業ブースの停留スポットにおいて、キャリッジユニットに搭載された保持器を往復機構により作業位置におき、その作業位置におかれた前記保持器に保持された基板に対して半田付けロボットが所定の半田付け作業を行っている間、他の基板を保持した保持器を搭載したキャリッジユニットを、前記作業ブースにおいて半田付け作業中の基板を保持した保持器に妨げられることなく、搬送路上を他の作業ブースに移動することができるので、半田付け作業の対象となる複数の基板に対して効率的に半田付け作業を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
本発明の実施の一形態にかかる半田付けシステム(作業システム)は、図1、図2A及び図2Bに示すように構成される。図1は半田付けシステムの外観を示す外観正面図である。また、図2Aは半田付けシステムの基本的な構造例を示す正面図であり、図2Bは半田付けシステムの基本的な構造例を示す平面図である。
図1、図2A及び図2Bにおいて、この半田付けシステム10は、投入ブース11(投入部)、3つの作業ブース12、13、14、及び取出しブース15(取出し部)を有している。投入ブース11、作業ブース12、13、14及び投入ブース15は直列的に配置され、それらは着脱自在に連結されている。半田付けシステム10には、投入ブース11から取出しブース15に至るまで半田付け作業の対象となる基板Wを保持する保持器30(被搬送物)を搬送する搬送装置50が設けられている。
搬送装置50は、投入ブース11から取出しブース15に至るまで3つの作業ブース12、13、14を通るように設置された搬送路51と、搬送路51上に往復動可能に設けられたキャリッジユニット55とを有している。なお、図2A及び図2Bでは、搬送路51上に4つのキャリッジユニット55が示されているが、これは、搬送路51上でのキャリッジユニット55の移動例を示すもので、4つのキャリッジユニット55が実際に搬送路51上を同時的に移動していることを示しているものではない。搬送路51上には、例えば、後述するように、投入ブース11で基板Wを保持した保持器30を受け取っていずれかの作業ブース12〜14に搬送すること、また、いずれかの作業ブース12〜14で半田付け作業済みの基板Wを保持した保持器30を受け取って取出しブース15に搬送することを行うために、2つのキャリッジユニット55を搬送路51上で移動させることができる。
キャリッジユニット55は、図3及び図4に示すように、搬送路51に摺動自在に設けられたスライダ55aと、スライダ55aの上面に設けられたトレイ55bとによって構成さている。スライダ55a内に設けられた可動子(図示略)と搬送路51内に設けられた固定子(図示略)とによってリニアモータが構成され、搬送装置50全体がリニアコンベアとして機能している(例えば、ヤマハ発動機社製のリニアコンベアモジュールLCM−Xを利用することができる)。前記リニアモータによってスライダ55aが搬送路51上を摺動することによりキャリッジユニット55が搬送路51上を往復動する。キャリッジユニット55には基板Wを保持した保持器30(被搬送物)を搭載するこができ、キャリッジユニット55が搬送路51上を移動することにより、キャリッジユニット55に搭載された保持器30(基板W)が搬送路51に沿って搬送される。
各作業ブース12、13、14における搬送路51の部分の所定位置には、停留スポットPs1、Ps2、Ps3が設定されている(図2A、図2B参照)。そして、前述した搬送装置50は、更に、各作業ブース12、13、14における停留スポットPs1、Ps2、Ps3に対応して設けられたワーク昇降機構52、53、54(ワーク往復機構)を有している。このワーク昇降機構52(53、54)は、キャリッジユニット55に搭載された保持器30を、図3に示す停留スポットPs1、Ps2、Ps3に停止したキャリッジユニット55(トレイ55b)上の搭載位置S1と、図4に示すように、搬送路51上のキャリッジユニット55の移動を妨げることのない、前記搭載位置S1の上方に設定された作業位置S2(退避位置)との間で昇降動(往復動)させる。
ワーク昇降機構52(53、54)は、図3及び図4に示すように、搬送路51を挟んで配置された2つの支持プレート521a(531a、541a)、521b(531b、541b)と、一方の支持プレート521a(531a、541a)を昇降動させるシリンダユニット522a(532a、542a)と、他方の支持プレート521b(531b、541b)を昇降動させるシリンダユニット522b(532b、542b)とを有している。2つのシリンダユニット522a(532b、542b)、522b(532b、542b)は、制御装置(図示略)による制御のもと、2つの支持プレート521a(531a、541a)、521b(531b、541b)を同期させて昇降動させる。
2つの支持プレート521a(531a、541a)、521b(531b、541b)の支持面(上面)は、通常状態において、図3に示すように、停留スポットPs1(Ps2、Ps3)に停止したキャリッジユニット55(トレイ55b)の保持器30の載置面(搭載位置S1)より低い位置にある。シリンダユニット522a(532a、542a)、522b(532b、542b)のロッドの進出動作により支持プレート521a(531a、541a)、521b(531b、541b)が上昇する。その過程で、キャリッジユニット55に搭載された保持器30の対向する縁部分が2つの支持プレート521a(531a、541a)、521b(531b、541b)によって支持されて、保持器30がキャリッジユニット55から離れて上昇し、図4に示すように、作業位置S2に達する。
一方、図4に示すように、作業位置S2にて保持器30を支持する2つの支持プレート521a(531a、541a)、521b(531b、541b)は、シリンダユニット522a(532a、542a)、522b(532b、542b)のロッドの後退動作により下降する。その過程で、2つの支持プレート521a(531a、541a)、521b(531b、541b)に支持された保持器30が下降する。そして、保持器30は、図3に示すように、載置位置S1に達すると、停留スポットPs1(Ps2、Ps3)に停止しているキャリッジユニット55(トレイ55b)に載置される。その後、シリンダユニット522a(532a、542a)、522b(532b、542b)の動作により更に下降する2つの支持プレート521a(531a、541a)、521b(531b、541b)は、図3に示すように、前記載置位置S1より低い初期状態の位置まで下降して停止する。
次に、図2A及び図2Bとともに図5を参照するに、各作業ブース12(13、14)には半田付けロボット120(130、140)(作業ロボット)が設けられている。半田付けロボット120(130、140)は、各作業ブース12(13、14)内において搬送路51の上方に配置されている。半田付けロボット120(130、140)は、半田ゴテやワイヤ状半田の供給ノズル等を搭載した半田ヘッドユニット121(131、141)と、搬送路51の延びる方向と同じ方向に延びるX方向レール122(132、142)と、水平にかつX方向レール122(132、142)の延びる方向に直交する方向に延びる2つのY方向レール123a(133a、143a)、123b(133b、143b)と、半田ヘッドユニット121(131、141)を垂直方向の上下動及びその垂直方向を軸とした回転動をさせるヘッド駆動機構124(134、144)とを有している。半田ヘッドユニット121(131、141)及びヘッド駆動機構124(134、144)は、一体的となって、X方向レール122(132、142)に往復動自在に支持されている。X方向レール122(132、142)の一端部は、一方のY方向レール123a(133a、143a)に摺動自在に支持されており、X方向レール122(132、142)の他端部は、他方のY方向レール123b(133b、143b)に摺動自在に支持されている。このように2つのY方向レール123a(133a、143a)、123b(133b、143b)に両端部が摺動自在に支持されるX方向レール122(132、142)に更に往復動自在に支持される半田ヘッドユニット121(131、141)及びヘッド駆動機構124(134、144)は、一体的となって、水平面(X−Y平面)に平行に移動することが可能である。
なお、図2A、図2B及び図5において、X方向レール122(132、142)の駆動機構の図示は省略されている。
半田付け作業の対象となる基板Wを保持する保持器30は、特許第5864808号の保持装置と同様の機構により基板Wを保持する構造となっており、図3及び図4に示すように、基板Wをセットするためのセット台31と、セット台31にセットされた基板W及びその基板Wに搭載された半田付け前の電子部品を多数の押えピンで保持するピン保持器32(ピン保持機構)とから構成されている。
図2A及び図2Bに示すように、投入ブース11には、搬送路51の部分の所定位置に設定された投入スポットPinにおいてキャリッジユニット55に基板Wを保持した保持器30を搭載させるための投入ロボット110が設けられている。この投入ブース11では、例えば、基板Wがセットされたセット台31がキャリッジユニット55上に載置され、投入ロボット110が、ピン保持器32をキャリッジユニット55上のセット台31に結合させる。そして、投入ロボット110は、ピン保持器32と基板Wがセットされたセット台31とが一体となった保持器30を反転させて多数のピンにより基板W及び電子部品が押さえられた状態にしてその多数のピンの動きを規制する(ピンの固定)。このようにして、多数のピンにより基板Wが保持された保持器30が投入ロボット110によりキャリッジユニット55に載置される。
また、取出しブース15には、搬送路51の部分の所定位置に設定された取出しスポットPoutにおいてキャリッジユニット55から保持器30に保持された半田付け作業済みの基板Wを取り出すための取出しロボット150が設けられている。取出しロボット150は、キャリッジユニット55に搭載された保持器30からピン保持器32に基板Wを保持させた状態でセット台31を取り外すための第1ロボット151と、ピン保持器32に保持された状態の基板Wを取り出す第2ロボット152とによって構成される。なお、第2ロボット152によってピン保持器32から取り出された半田付け作業済みの基板Wは、他の機構(図示略)によって、所定のトレイ(図示略)に収納される。
着脱自在に連結される3つの作業ブース12、13、14のそれぞれは、前述したように半田付けロボット120(130、140)を備えるとともに、図5に示すように、搬送路51の一部を構成するブース内搬送路部分51a(12)(51a(13)、51a(14))が設けられている。隣接する2つの作業ブース、例えば、連結された作業ブース12と作業ブース13とにおいては、図6に示すように、作業ブース12のブース内搬送路部分51a(12)と作業ブース13のブース内搬送路部分51a(13)とが連結搬送路部分51b(12−13)を介して連結している。
なお、図示されてはいないが、投入ブース11及び取出しブース15においても、作業ブース12、13、14と同様に、ブース内搬送路部分が設けられている。そして、連結される作業ブース12と投入ブース11とにおいて、作業ブース12のブース内搬送路部分51a(12)(図6参照)と投入ブース11のブース内搬送路部分とが連結搬送路部分51b(IN−12)(図6参照)を介して連結される。また、連結される作業ブース13と作業ブース14とにおいても、作業ブース13のブース内搬送路部分51a(13)と作業ブース14のブース内搬送路部分とが連結搬送路部分51b(13−14)(図6参照)を介して連結され、更に、連結される作業ブース14と取出しブース15とにおいても、作業ブース14のブース内搬送路部分と取出しブース15のブース内搬送路部分とが連結搬送路部分を介して連結される。
前述したように、投入ブース11から取出しブース15に至るまで3つの作業ブース12、13、14を通るように設置された搬送路51は、各ブース11〜15に設けられたブース内搬送路部分と、連結されて隣接する2つのブースのブース内搬送路部分を連結する連結搬送路部分とによって構成される。これら複数の搬送路部分によって構成される搬送路51内には一連の固定子が配列された状態になり、搬送路51のリニアモータの機能が維持される。
なお、前述した半田付けシステム10において、投入ブース11に設けられた投入ロボット110、各作業ブース12、13、14に設けられた半田付けロボット120、130、140及び昇降機構52、53、54、及び取出しブース15に設けられた取出しロボット150(第1ロボット151、第2ロボット152)、更に、搬送装置50(リニアコンベア)は、各種センサ(図示略)からの信号を利用して、図示外の制御装置により所定のプログラムに従って制御される。
上述したように構成される半田付けシステム10では、前記制御装置の制御のもと、例えば、次のようして基板Wに対する半田付け作業が行われる。
投入ブース11において、投入ロボット110によって、搬送路51上の投入スポットPinにあるキャリッジユニット55に基板Wを保持した保持器30が搭載される。すると、保持器30を搭載したキャリッジユニット55は搬送路51上を移動して、例えば、作業ブース12の停留スポットPs1で停止する。ここで、昇降機構52により、キャリッジユニット55に搭載された保持器30が、キャリッジユニット55上の搭載位置S1(図3参照)から、その上方の作業位置S2(図4参照)まで上昇させられる。保持器30が作業位置S2に維持された状態で、半田付けロボット120が動作して、半田ヘッドユニット121が、保持器30に保持された基板W上に位置付けられる。そして、その半田ヘッドユニット121が、水平動、上下動、回転動を行ないながら前記基板Wに対する半田付け作業、具体的には、前記基板Wに配置された各電子部品に対する半田付け作業を行う。
例えば、前述したように作業ブース12において基板Wに対する半田付け作業が行われている際に、空状態で停留スポットPs1に停止しているキャリッジユニット55は、搬送路51上を投入ブース11に戻り待機する。そして、投入ブース11で待機するキャリッジユニット55は、後述するように、取出しブース15でキャリッジユニット55に搭載された保持器30に保持される半田付け作業済みの基板を取り出す際に、投入ブース11から取出しブース15に移動する。
前述したように作業ブース12で保持器30に保持された基板Wに対する半田付け作業が行われている状況で、投入ブース11の投入スポットPinにおいてキャリッジユニット55に基板Wを保持した保持器30が搭載されると、そのキャリッジユニット55は、移動を開始して、図4に示すように作業位置S2にある半田付け作業中の基板Wを保持した保持器30に妨げられることなく、作業ブース12を通過し、隣接する作業ブース13まで移動する。作業ブース13では、キャリッジユニット55は、停留スポットPs2で停止し、ここで、昇降機構53により、キャリッジユニット55に搭載された保持器30が、搭載位置S1(図3参照)から作業位置S2まで上昇させられる。そして、作業ブース13において、半田付けロボット130が、作業位置S2にある保持器30に保持された基板Wに対して、前述した作業ブース12の半田付けロボット120と同様に、半田付け作業を行う。
作業ブース13において基板Wに対する半田付け作業が行われている際に、空状態で停留スポットPs2に停止していたキャリッジユニット55は、搬送路51上を投入ブース11に向けて移動し、図4に示すように作業位置S2にある半田付け作業中の基板Wを保持した保持器30に妨げられることなく、作業ブース12を通過して投入ブース11に戻って待機し、前述したように、所定のタイミングで取出しブース15に移動する。
作業ブース12において基板Wに対する半田付け作業が終了すると、例えば、取出しブース15に待機していた空状態のキャリッジユニット55は、搬送路51上を投入ブース11に向けて移動して、作業ブース14を通過し、更に、図4に示すように作業位置S2にある半田付け作業中の基板Wを保持した保持器30に妨げられることなく、作業ブース13を通過して作業ブース12に至る。作業ブース12に至ったキャリッジユニット55は、停留スポットPs1で停止する。その後、昇降機構52によって作業位置S2(図4参照)にある保持器30が下降させられ、その保持器30は、搭載位置S1(図3参照)において停留スポットPs1で停止しているキャリッジユニット55に搭載される。作業ブース12において半田付け作業済みの基板Wを保持した保持器30を搭載したキャリッジユニット55は、搬送路51上を取出しブース15に向かって移動を開始する。
この取出しブース15に向かって移動を開始したキャリッジユニット55は、図4に示すように作業位置S2にある半田付け作業中の基板Wを保持した保持器30に妨げられることなく、作業ブース13を通過し、更に、作業ブース14を通過して取出しブース15に至る。取出しブース15では、取出しスポットPoutにおいて、取出しロボット150がキャリッジユニット55に搭載された保持器30から半田付け作業済みの基板Wを取出す。この半田付け作業済みの基板Wの取出しは、例えば、次のようにして行われる。
キャリッジユニット55に搭載された保持器30から第1ロボット151がセット台31を取り外し、その後、第2ロボット152がピン保持器32に保持された半田付け作業済みの基板Wを取り出す。そして、例えば、前述したように投入ブース11に待機していたキャリッジユニット55が搬送路51を取出しブース15まで移動し、第1ロボット151が取り外したセット台31をそのキャリッジユニット55に搭載させる。そして、セット台31を搭載したキャリッジユニット55とピン保持ユニット32を搭載したキャリッジユニット55の2台のキャリッジユニット55が並んで取出しブース15から投入ブース11に向けて移動する。その際、半田付け作業が行われている作業ブース13を、図4に示すように作業位置S2にある半田付け作業中の基板Wを保持した保持器30に妨げられることなく、通過する。
上記のようにして2つのキャリッジユニット55が投入ブース11に戻ると、一方のキャリッジユニット55に搭載されたセット台31に半田付け作業を行うべき基板Wがセットされる。また、他方のキャリッジユニット55に搭載されたピン保持器32が投入ロボット110によってもち上げられ、その状態で、ピン保持器32を搭載していたキャリッジユニット55は、例えば、空状態で搬送路51を取出しブース15まで移動し、取出しブース15において、前述したように半田付け作業が終了した基板Wを保持する保持器30の受取りのために待機する状態になる。一方、基板Wがセットされたセット台31を搭載するキャリッジユニット55は、投入スポットPinに位置付けられ、投入ロボット110により、ピン保持器32がキャリッジユニット55上のセット台31に結合される。そして、投入ロボット110により、ピン保持器32と基板Wがセットされたセット台31とが一体となった保持器30が反転されて多数のピンにより基板W及び電子部品が固定される。このようにして多数のピンにより基板Wが保持された保持器30が投入ロボット110により投入スポットPinに位置付けられたキャリッジユニット55に載置される。その後、保持器30が搭載されたキャリッジユニット55は、半田付け作業の行なわれていない作業ブースに向けて移動する。
上述した半田付けシステムでは、搬送路51上において基板Wを保持した保持器30を搭載して移動するキャリッジユニット55を1つの作業ブース(例えば、作業ブース12)における停留スポットPs1に停止させ、そのキャリッジユニット55に搭載された保持器30を、昇降機構52により停留スポットPs1に停止したキャリッジユニット55上の載置位置S1(図3参照)より上方に設定された作業位置S2(図4参照)におくことができる。そして、その作業ブース(12)において、作業位置S2におかれた保持器30に保持される基板Wに対して半田付けロボット120が所定の半田付け作業を行っている間、他の基板Wを保持したキャリッジユニット55は、その作業ブース(12)において半田付け作業中の基板Wを保持した保持器30に妨げられることなく、搬送路51上を他の作業ブースに移動することができ、更に、当該他の作業ブースにおいて、昇降機構によって作業位置S2におかれた保持器30に保持された他の基板Wに対して半田付けロボットが所定の半田付け作業を行うことができる。
また、他の作業ブースにおいて半田付け作業が終了した基板Wを搭載した保持器30を受け取ったキャリッジユニット55は、前記半田付け作業中の基板Wを保持した保持器30に妨げられることなく、搬送路51上を取出しブース15に向けて移動することができ、更に、取出しブース15において、取出しロボット150によってそのキャリッジユニット55に搭載された保持器30から半田付け作業済みの基板Wを取り出すことができる。更に、また、空状態のキャリッジユニット55は、投入ブース11と取出しブース15との間で、前記半田付け作業中の基板Wを保持した保持器30に妨げられることなく、搬送路51上を自由に移動することができる。
従って、本発明の実施の形態に係る半田付けシステムによれば、上述したように、基板Wを保持する保持器30を搭載している、していないに係らず、搬送路51上を移動するキャリッジユニット55は、半田付け作業中の基板Wを保持した保持器30に妨げられることなく、その半田付け作業が行われている作業ブースを通過することができるので、半田付け作業の対象となる複数の基板Wに対して効率的に半田付け作業を行うことができる。
また、上述した半田付けシステムに用いられる搬送装置50によれば、各作業ブース12、13、14の作業位置S2(退避位置)にある保持器30(被搬送物鵜)に妨げられることなく、基板Wを保持した被搬送物としての保持器30を搭載するキャリッジユニット55を搬送路51上で移動させることができるので、基板Wを保持した複数の保持器30(被搬送物)を直列的に配置される複数の作業ブース12、13、14に効率的に搬送することができる。
また、上述した半田付けシステム10によれば、複数の作業ブース12、13、14が着脱自在に結合した構造となっているので、基板Wに対して行うべき半田付け作業の内容に応じて、結合すべき作業ブースの数を変えることができる。そして、連結するする作業ブースの数が変化しても、隣接する作業ブースのブース内搬送路部分を連結搬送路部分によって連結することにより、全ての作業ブースを通るように新たな搬送路を構成することができる。従って、半田付けシステムの規模を半田付け作業の内容に応じてフレキシブルに変化させることができる。
例えば、図1、図2A及び図2Bに示す構造の半田付けシステム10から、作業ブース14を取り除くことにより、図7A及び図7Bに示すように、投入ブース11、作業ブース12、13、及び取出しブース15が直列的に配置された新たな半田付けシステムを容易に構成することができる。
上述した半田付けシステム10では、各作業ブース12、13、14では、半田付けロボット120、130、140が同じ内容の半田付け作業を行うものであったが、それら複数の作業ロボット120、130、140が異なる内容の半田付け作業を行うものであってもよい。
また、搬送装置50はリニアコンベアの機能を有するものであったが、これに限定されず、他の機構、例えば、搬送ベルトを用いる機構により搬送装置50を構成することもできる。
上述した半田付けシステム10では、作業位置S2(退避位置:図4参照)は、キャリッジユニット55上の搭載位置S1(図3参照)の上方に設定されるものであったが、これに限定されず、搬送路51上の他のキャリッジユニット55の移動を妨げなければ、他の位置、例えば、キャリッジユニット55上の載置位置S1の側方や斜め上方に設定してもよい。往復機構は、キャリッジユニット55上の載置位置S1と設定された作業意位置S2との位置的関係に応じて適宜構成することができる。
前述した例では、半田付け作業を行う作業システムの例(半田付けシステム)であったが、これに限定される、複数の作業ブースにおいて他の作業を行う作業システムであってもよい。
被搬送物に対して特に作業を行わずに、その被搬送物を複数の箇所で一時的に退避させながら複数の被搬送物を搬送するシステムとして上述した搬送装置50を利用することができる。
なお、上述した半田付けシステム10における投入ブース11は、例えば、図8に示すように構成することができる。
図8において、この投入ブース11には、搬送路51において前後方向に並ぶ2つの投入スポット、第1投入スポットPin1及び第2投入スポットPin2が設定されている。第1投入スポットPin1の上流側に基板中継ロボット40が設置されている。この半田付けシステム10による半田付け工程の前の工程では、種々の電子部品が基板に装着されており(手作業での装着でも、機器による自動装着のいずれでもよい)、その電子部品が装着された基板は、前工程排出コンベア60によって、この半田付けシステム10に向けて搬送される。投入ブース11内に設置される基板中継ロボット40は、前工程排出コンベア60から電子部品が装着された基板Wを引き受けて、半田付けの対象となるその基板Wを投入ブース11内に取り込むものである。
基板中継ロボット40は、図8とともに、図9A、図9B、図9Cに示すように構成される。
基板中継ロボット40は、前工程排出コンベア60からの基板Wを引き受けて搬送する中継コンベアユニット41と、中継コンベアユニット41をホーム位置Poと、ホーム位置Poより上方に設定される所定の中継位置Paとの間で昇降動させるコンベア昇降ユニット42とを有している。中継コンベアユニット41は、平行に配置された2つのコンベア411a、411b、一方のコンベア411aを駆動させる駆動部412a(駆動源としてのモータを含む)、他方のコンベア411bを駆動させるための駆動部412b(駆動源としてのモータを含む)を有している。なお、2つのコンベア411a、411bが同期して動作するように、対応する2つの駆動部412a、412bが制御される。また、中継コンベアユニット41は、2つのコンベア411a、411bの間隔a(図9B、図9C参照)を調整する調整機構(詳細図示略)を有している。調整ハンドル414の正逆の回転操作に従った調整機構の動作により、2つのコンベア411a、411bの間隔aを増減させる(調整する)ことができる。このような調整機構により、種々の幅の基板Wを中継コンベアユニット41によって引き受けることができる。前述したように2つのコンベア411a、411b、それらに対応する2つの駆動部412a、412及び調整機構を有する中継コンベアユニット41は、第1支持プレート410上に構成される。第1支持プレート410の四隅から下方に向けて4つのスライドバー413a、413b、413c、413d(図9A〜図9Cにおいて図示略)が突出している。
コンベア昇降ユニット42は、駆動機構シリンダ421と、駆動機構シリンダ421により進退動させられるロッド422とを有している。ロッド422の先端部には中継コンベアユニット41が構成される第1支持プレート410の中央部が固定されている。コンベア昇降ユニット42の駆動機構シリンダ421は、投入ブース11の筐体パネル70に、それを貫通するように固定されている。筐体パネル70と中継コンベアユニット41が構成される第1支持プレート410との間に第2支持プレート420が配置されている。駆動機構シリンダ421は第2支持プレート420の中央部を貫通し、第2支持プレート420がその駆動機構シリンダ421に固定されている。
第2支持プレート420の四隅には、第1支持プレート410の4隅から下方に突出するスライドバー413a、413b、413c、413d(図9A〜図9Cにおいて図示略)に対応するように、スリーブ状の直動軸受423a、423b、423c、423d(図9A〜図9Cにおいて図示略)が設けられている。そして、第1支持プレート410の各スライドバー413a、413b、413c、413は、第2支持プレート420の対応する直動軸受423a、423b、423c、423dに摺動自在に嵌まり込んでいる。
上述したような構成により、駆動機構シリンダ421の動作によってロッド422が進退動すると、ロッド422の先端部に固定された第1支持プレート410が、4つのスライドバー413〜413dが第2支持プレート420の4つの直動軸受423a〜423dによって案内されることにより、水平状態を維持しつつ昇降動(上下動)する。即ち、第1支持プレート410に構成された中継コンベアユニット41が昇降動する。具体的には、図9A、図9Bに示すように、ホーム位置Poにある中継コンベアユニット41(2つのコンベア411a、411b)は、駆動機構シリンダ421の動作によってロッド422が進出すると、図10A、図10Bに示すように、ホーム位置Poより上方向に設定された中継位置Paに上昇動する。一方、図10A、図10Bに示すように中継位置Paにある中継コンベアユニット41(2つのコンベアユニット411a、411b)は、駆動機構シリンダ421の動作によってロッド422が後退すると、図9A、図9Bに示すように、ホーム位置Poに下降動する。
図8に戻って、投入ブース11において、前述した基板中継ロボット40及び第1投入スポットPinの上方部には、基板Wを搬送する基板搬送ロボット20が設けられている。この基板搬送ロボット20は、基板中継ロボット40の2つのコンベア411a、411bによって支持される基板Wを、第1投入スポットPin1に位置するキャリッジユニット55に搭載されたセット台31まで搬送する。基板搬送ロボット20は、基板中継ロボット40と第1投入スポットPin1の並び方向、即ち、搬送路51の延びる方向と平行な方向に延びるレール21と、レール21に往復動自在に支持される駆動ユニット22と、駆動ユニット22によって上下方向に駆動される吸着ヘッド23とを有している。
なお、基板中継ロボット40及び基板搬送ロボット20それぞれの動作は、図示外の制御装置によって、各種ティーチング情報に基づいたプログラムに従って制御される。
上述した構成の投入ブース11では、前記制御装置の制御のもと、次のようにして、電子部品が搭載された基板Wの投入動作が行われる。
図8に示すように、基板中継ロボット40の中継コンベアユニット41がホーム位置Poにある状態において、前工程排出コンベア60にて搬送される基板Wが所定位置に達すると、コンベア昇降ユニット42により中継コンベアユニット41は、図11に示すように、中継位置Paまで上昇する。中継位置Paでは、前工程排出コンベア60の搬送面の高さ位置と、中継コンベアユニット41における2つのコンベア411a、411bの搬送面の高さ位置とが同じになる。なお、中継位置Paの位置情報(例えば、ホーム位置Poとの高さの差分)は予め、ティーチング情報として前記制御部に提供されている。この状態で、前工程排出コンベア60によって搬送される基板Wは、中継コンベアユニット41(2つのコンベア411a、411b)に移り、投入ブース11に取り込まれる。そして、基板Wは、引き続き中継コンベアユニット41(2つのコンベア411a、411b)によって搬送される。
中継コンベアユニット41によって搬送される基板Wが所定の位置に達すると、中継コンベアユニット41の動作が停止され、図12に示すように、コンベア昇降ユニット42により中継コンベアユニット41はホーム位置Poまで下降する。すると、図12に示すように、基板搬送ロボット20の駆動ユニット22がレール21上を基板Wの真上まで移動し、吸着ユニット23を基板Wまで下降させる。これにより、中継コンベアユニット11上の基板Wが吸着ユニット23に吸着される。
なお、この状態において、既に、第1投入スポットPin1には、保持器30のピン保持器32から分離されたセット台31を搭載したキャリッジユニット55が位置しており、また、ピン保持器32が投入ロボット110によって把持されている(図12参照)。
その後、基板搬送ロボット20の駆動ユニット22は、図13に示すように、レール21上を第1投入スポットPin1の上方まで移動する。そして、駆動ユニット22が基板Wを吸着した吸着ユニット23を、基板Wがキャリッジユニット55に搭載されたセット台31に達するまで下降させる。基板Wがセット台31に達すると、吸着ユニット23の吸着作用が停止され、基板Wが、電子部品が装着された部品装着面を上方に向けた姿勢にて、セット台31にセットされる。
そして、第2投入スポットPin2にあるキャリッジユニット55が、作業スポットのいずれかに半田付け作業が終了した基板Wを保持する保持器30を受けとるために、第2投入スポットPin2から退避した後、基板Wがセットされたセット台31を搭載するキャリッジユニット55が第2投入スポットPin2まで移動する。その後、前述した投入ブース11での動作と同様に、投入ロボット110が、ピン保持器32をキャリッジユニット55上のセット台31に結合させる。そして、投入ロボット110は、ピン保持器32と基板Wがセットされたセット台31とが一体となった保持器30を反転させて多数のピンにより基板W及び電子部品が押さえられた状態にしてその多数のピンの動きを規制する(ピンの固定)。このようにして、多数のピンにより基板Wが保持された保持器30が投入ロボット110によりキャリッジユニット55に載置される。そして、そのキャリッジユニット55は、作業ブースのいずれかに、基板Wの半田付け作業を行わせるために移動する。
上述したような投入ブース11によれば、半田付けの対象となる基板Wを、手作業でセット台31にセットすることなく、前工程から継続して自動的にセット台31にセットすることができるので、当該半田付けシステム10において、効率的な半田付け動作を行なうことができる。
また、ティーチング情報によって、中継コンベアユニット41が位置付けられる中継位置Paを自由に変更することができるので、前工程(部品装着工程)の構成に応じて、前工程排出コンベア60の高さが種々変わったとしても、容易に対応することができる。従って、半田付けシステム10を前工程に対してフレキシブルに対応させることができる。
以上、本発明の実施の形態及び各部の変形例を説明したが、この実施の形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。