JP6531234B1 - ウイルス不活性化剤、ノロウイルス不活性化剤及び衛生資材 - Google Patents

ウイルス不活性化剤、ノロウイルス不活性化剤及び衛生資材 Download PDF

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Abstract

【課題】 タンパク質汚れ存在下でも充分なウイルス不活性化効果を示すウイルス不活性化剤を提供する。【解決手段】 エタノールと、アミノ酸と、アルカリ剤とを含むことを特徴とするウイルス不活性化剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、ウイルス不活性化剤、ノロウイルス不活性化剤及び衛生資材に関する。
ウイルスには、エンベロープを有するエンベロープウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)や、エンベロープを有さないノンエンベロープウイルス(例えば、ノロウイルス)が存在している。
これらのウイルスの中には、ヒトに感染するものもあり、感染予防のために従来からウイルス不活性化剤が用いられていた。
近年、ノロウイルス(ヒトノロウイルス)による感染性胃腸炎あるいは食中毒の発生が一年を通じて多発しており、特に11〜3月が発生のピークとなっている。ノロウイルスは、カリシウイルス科、ノロウイルス属に分類されるエンベロープを持たないRNAウイルス(以下、「ノロウイルス等」と記載する)であり、アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、熱、酸性(胃酸等)、又は、乾燥等に対して強い抵抗力を有する。潜伏期間は1〜2日であると考えられており、嘔気、嘔吐、下痢の主症状が出るが、腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋痛、咽頭痛、倦怠感等を伴うこともある。
ノロウイルス等の感染経路の一つとして経口感染が知られており、ノロウイルス等に汚染された食物や水等を経口摂取することにより感染が成立する。
そのため、飲食店、給食施設、工場など食品を調理加工する場においては、食物や水等がノロウイルス等に汚染されないようにすることが求められている。
ノロウイルス等による汚染を防ぐ手段として、食物、食器、調理台、調理器具等のノロウイルスを不活性化する方法がある。
ノロウイルス等を完全に不活性化させる方法としては、加熱処理が知られている。
しかし、飲食店、給食施設、工場など食品を調理加工する場において、常に、食器、調理台、調理器具等を加熱処理することは現実的でなく、食物の種類によっては加熱処理により風味が損なわれてしまう場合がある。つまり、加熱処理は、飲食店、給食施設、工場など食品を調理加工する場において、ノロウイルス等を不活性化する方法として適していなかった。
また、ノロウイルス等を不活性化させる方法として、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム等)を用いる方法も知られている。しかし、塩素系漂白剤は、金属に対する腐食作用、皮膚等に対する刺激作用、衣類に対する漂白作用等がある。そのため、その使用が制限されるという欠点があり、特に、人体に対する安全性への配慮から作業者の手指、食器、調理台、調理器具等にこれらの薬剤類を用いることは適当とはいえず、まして食物に直接触れさせることも適当とはいえなかった。
そのため、人体に対し安全であり、ノロウイルス等を不活性化できる方法が望まれていた。
ヒトノロウイルスは、培養細胞を用いても増殖させることができない。
そのため、ヒトノロウイルスの不活性化に対する各種消毒剤等の消毒効果の検証には、代替ウイルスとしてネコカリシウイルス(FCV)やマウスノロウイルス(MNV)が広く用いられている。FCV及びMNVは、形態的特徴やゲノムの構造から、ヒトノロウイルスに近縁なウイルスであることが明らかにされている。
例えば、非特許文献1には、エタノールを主成分とした中性または酸性のウイルス不活性化剤を用いたFCV及びMNVの不活性化試験が記載されている。
非特許文献1に記載されたウイルス不活性化剤は、実験室レベルでの試験において、FCV及びMNVにある程度効果を示す。
しかし、このようなウイルス不活性化剤を、実際に飲食店、給食施設、工場などで使用する場合、充分なウイルス不活性化効果を示せなかった。
このようにウイルス不活性化剤の効果が充分に発揮されない原因は、環境中の汚れ、特にタンパク質汚れであると考えられた。
環境中のタンパク質汚れは、ウイルスの周囲に付着することになる。ウイルスの周囲のタンパク質汚れは、ウイルスの保護膜のように働き、エタノール及びその他の不活性化成分がウイルスと接触することを阻害すると考えられる。
そのため、非特許文献1に記載されたようなウイルス不活性化剤は、その効果を充分に発揮できなくなると考えられる。
また、非特許文献1に記載されたウイルス不活性化剤は、酸性であるので、使用時の金属腐食性が問題となることがあった。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、タンパク質汚れ存在下でも充分なウイルス不活性化効果を示すウイルス不活性化剤を提供することである。
すなわち、本発明のウイルス不活性化剤は、エタノールと、アミノ酸と、アルカリ剤とを含むことを特徴とする。
本発明のウイルス不活性化剤はエタノールを含む。
ウイルスにエタノールを接触させることにより、ウイルスを不活性化することができる。
本発明のウイルス不活性化剤は、アミノ酸及びアルカリ剤を含む。
アミノ酸の分子内の窒素原子の非共有電子対は、アルカリ剤との相乗効果によってウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。
このような作用により、ウイルスを不活性化することができると考えられる。
また、アルカリ剤により、ウイルス不活性化剤を中性〜弱アルカリ性に調整しやすくなる。
本発明のウイルス不活性剤では、上記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン(スレオニン)、システイン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、シスチン、テアニン、タウリン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アルギニングルタミン酸塩、リシンアスパラギン酸塩及びリシングルタミン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
これらのアミノ酸は、アルカリ剤との相乗効果によってウイルスを不活性化するのに適している。
また、本発明のウイルス不活性化剤では、上記アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
これらのアミノ酸は塩基性アミノ酸である。塩基性アミノ酸は、分子内に複数の窒素原子を有する。そのため、アルカリ剤との相乗効果によるウイルスの膜構造の変化を、より効果的に起こすことができる。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記アルカリ剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩及びリン酸三塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。また、上記アルカリ剤は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。
これらのアルカリ剤は、ウイルス不活性化効果を向上させることができる。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記ウイルス不活性化剤中の上記エタノールの質量濃度は、8.05〜85.70重量%であることが望ましい。
ウイルス不活性化剤中のエタノールの質量濃度が8.05重量%未満であると、エタノールの質量濃度が低いので、エタノールが含まれることによるウイルス不活性化効果が発揮されにくくなる。
ウイルス不活性化剤中のエタノールの質量濃度が85.70重量%を超えると、ウイルス不活性化剤中のエタノールの質量濃度が高すぎ、引火しやすくなる。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記ウイルス不活性化剤中の上記アミノ酸の質量濃度は、0.05〜5.00重量%であることが望ましい。
ウイルス不活性化剤中のアミノ酸の質量濃度が、0.05重量%未満であると、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
ウイルス不活性化剤中のアミノ酸の質量濃度が、5.00重量%を超えると、保管中にアミノ酸が析出しやすくなる。また、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果の向上が上限に近づき経済的でない。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記ウイルス不活性化剤中の上記アルカリ剤の質量濃度は、0.05〜10.00重量%であることが望ましい。
ウイルス不活性化剤中のアルカリ剤の質量濃度が、0.05重量%未満であると、アルカリ剤を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
ウイルス不活性化剤中のアルカリ剤の質量濃度が、10.00重量%を超えると、pHが強アルカリ性になりやすく、また、保管中にアルカリ剤が析出しやすくなり、扱いにくくなる。
本発明のウイルス不活性化剤は、さらに酸剤を含むことが望ましい。また、上記酸剤としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
ウイルス不活性化剤が酸剤を含むことで、ウイルス不活性化効果がさらに向上する。また、酸剤を用いることにより、ウイルス不活性化剤のpHを調整することができる。
上記ウイルス不活性化剤中の上記酸剤の質量濃度は、0.001〜2.00重量%であることが望ましい。
ウイルス不活性化剤中の酸剤の質量濃度が、0.001重量%未満であると、酸剤の質量濃度が低すぎ、エタノールのウイルス不活性化効果を充分に増強させにくくなる。
ウイルス不活性化剤中の酸剤の質量濃度が、2.00重量%を超えると、酸剤の質量濃度が高すぎ、ウイルス不活性化剤を噴霧等した際に、べとつきやすくなり、また、酸剤の析出が生じやすくなる。また、pHが低くなりやすく身体に使用した際、又は、身体に付着した際に刺激性が現れる。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記ウイルス不活性化剤のpHは、8〜12であることが望ましい。
ノロウイルス等には、エタノールを含み、かつ、中性〜アルカリ性のウイルス不活性化剤に対し耐性を示すものも存在する(例えば、ネコカリシウイルス等)。
そのため、一般的に、ウイルス不活性化剤は酸性の状態で使用されることになる。
しかし、ウイルス不活性化剤が酸性であると、皮膚刺激性が強いという問題がある。
本発明のウイルス不活性化剤は、アミノ酸を含むのでpHが8〜12であっても、充分なウイルス不活性化効果を示す。また、ウイルス不活性化剤の皮膚刺激性が充分に低減されている。
本発明のノロウイルス不活性化剤は、上記本発明のウイルス不活性化剤からなることを特徴とする。
上記本発明のウイルス不活性化剤は、ノロウイルス等に対して高いウイルス不活性化効果を示す。
本発明の衛生資材は、上記本発明のウイルス不活性化剤、又は、上記本発明のノロウイルス不活性化剤を含むことを特徴とする。
本発明のウイルス不活性化剤又はノロウイルス不活性化剤は、ウイルス不活性化効果を示すので、このようなウイルス不活性化剤を含む本発明の衛生資材を用いることにより、ウイルス感染を防ぐことができる。
本発明のウイルス不活性化剤は、アミノ酸及びアルカリ剤を含む。
アミノ酸の分子内の窒素原子の非共有電子対は、アルカリ剤との相乗効果によってウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。
このような作用により、ウイルスを不活性化することができると考えられる。
以下、本発明のウイルス不活性化剤について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明のウイルス不活性化剤は、エタノールと、アミノ酸と、アルカリ剤とを含むことを特徴とする。
本発明のウイルス不活性化剤は、エタノールを含む。
ウイルスにエタノールを接触させることにより、ウイルスを不活性化することができる。
本発明のウイルス不活性化剤では、ウイルス不活性化剤中のエタノールの質量濃度は、8.05〜85.70重量%であることが望ましく、24.69〜74.70重量%であることがより望ましく、33.38〜60.00重量%であることがさらに望ましい。
ウイルス不活性化剤中のエタノールの質量濃度が8.05重量%未満であると、エタノールの質量濃度が低いので、エタノールが含まれることによるウイルス不活性化効果が発揮されにくくなる。
ウイルス不活性化剤中のエタノールの質量濃度が85.70重量%を超えると、ウイルス不活性化剤中のエタノールの質量濃度が高すぎ、引火しやすくなる。
本発明のウイルス不活性化剤は、アミノ酸及びアルカリ剤を含む。
アミノ酸の分子内の窒素原子の非共有電子対は、アルカリ剤との相乗効果によってウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。
このような作用により、ウイルスを不活性化することができると考えられる。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン(スレオニン)、システイン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、シスチン、テアニン、タウリン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アルギニングルタミン酸塩、リシンアスパラギン酸塩及びリシングルタミン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
これらのアミノ酸は、アルカリ剤との相乗効果によってウイルスを不活性化するのに適している。
また、本発明のウイルス不活性化剤では、上記アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
これらのアミノ酸は塩基性アミノ酸である。塩基性アミノ酸は、分子内に複数の窒素原子を有する。そのため、アルカリ剤との相乗効果によるウイルスの膜構造の変化を、より効果的に起こすことができる。
なお、本発明のウイルス不活性化剤を製造する際に、アミノ酸は、アミノ酸塩の態様で使用してもよい。特に、アミノ酸塩を構成するアミノ酸が塩基性アミノ酸である場合、アミノ酸塩は塩酸塩であることが望ましい。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記ウイルス不活性化剤中の上記アミノ酸の質量濃度は、0.05〜5.00重量%であることが望ましく、0.05〜3.00重量%であることがより望ましく、0.10〜2.00重量%であることがさらに望ましい。
ウイルス不活性化剤中のアミノ酸の質量濃度が、0.05重量%未満であると、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
ウイルス不活性化剤中のアミノ酸の質量濃度が、5.00重量%を超えると、使用時にアミノ酸が析出しやすくなる。また、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果の向上が上限に近づき経済的でない。
本発明のウイルス不活性化剤は、アルカリ剤を含む。アルカリ剤により、ウイルス不活性化剤を中性〜弱アルカリ性に調整しやすくなる。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記アルカリ剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、リン酸三塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
また、上記アルカリ剤は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。
上記アルカリ剤の内、特に望ましいものは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸三カリウムである。
これらのアルカリ剤は、ウイルス不活性化効果を向上させることができる。
なお、本発明のウイルス不活性化剤では、これらアルカリ剤を1種類だけ含んでいてもよく、複数種類含んでいてもよい。
なお、アルカリ剤が、炭酸塩や炭酸水素塩であると、ウイルス不活性化剤に含まれているアミノ酸の作用により、これらのアルカリ剤がエタノールへ溶けやすくなる。そのため、本発明のウイルス不活性化剤の溶解性及び低温安定性が向上する。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記ウイルス不活性化剤中の上記アルカリ剤の質量濃度は、0.05〜10.00重量%であることが望ましく、0.10〜5.00重量%であることがより望ましく、0.10〜3.00重量%であることがさらに望ましく、0.20〜2.00重量%であることがよりさらに望ましい。
ウイルス不活性化剤中のアルカリ剤の質量濃度が、0.05重量%未満であると、アルカリ剤を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
ウイルス不活性化剤中のアルカリ剤の質量濃度が、10.00重量%を超えると、pHが強アルカリ性になりやすく、また、使用時にアルカリ剤が析出しやすくなり、扱いにくくなる。
本発明のウイルス不活性化剤では、上記ウイルス不活性化剤のpHは、8〜12であることが望ましく、8〜11であることがより望ましい。
ノロウイルス等には、エタノールを含み、かつ、中性〜アルカリ性のウイルス不活性化剤に対し耐性を示すものも存在する(例えば、ネコカリシウイルス等)。
そのため、一般的に、ウイルス不活性化剤は酸性の状態で使用されることになる。
しかし、ウイルス不活性化剤が酸性であると、皮膚刺激性が強いという問題がある。
本発明のウイルス不活性化剤は、アミノ酸を含むのでpHが8〜12であっても、充分なウイルス不活性化効果を示す。また、ウイルス不活性化剤の皮膚刺激性が充分に低減されている。
本発明のウイルス不活性化剤は、さらに酸剤を含むことが望ましい。また、上記酸剤としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
ウイルス不活性化剤が酸剤を含むことで、ウイルス不活性化効果がさらに向上する。また、酸剤を用いることにより、ウイルス不活性化剤のpHを調整することができる。
なお、本発明のウイルス不活性化剤では、これら酸剤を1種類だけ含んでいてもよく、複数種類含んでいてもよい。
上記ウイルス不活性化剤中の上記酸剤の質量濃度は、0.001〜2.00重量%であることが望ましく、0.01〜1.00重量%であることがより望ましい。
ウイルス不活性化剤中の酸剤の質量濃度が、0.001重量%未満であると、酸剤の質量濃度が低すぎ、エタノールのウイルス不活性化効果を充分に増強させにくくなる。
ウイルス不活性化剤中の酸剤の質量濃度が、2.00重量%を超えると、酸剤の質量濃度が高すぎ、ウイルス不活性化剤を噴霧等した際に、べとつきやすくなり、また、酸剤の析出が生じやすくなる。また、pHが低くなりやすく身体に使用した際、又は、身体に付着した際に刺激性が現れる。
本発明のウイルス不活性化剤は、さらに無機塩を含んでいてもよい。
このような無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等が挙げられる。
ウイルス不活性化剤がこれらの無機塩を含むと、ウイルスの周囲のタンパク質汚れを塩溶又は塩析させることができ、エタノールをウイルスに接触させやすくなる。
その結果ウイルス不活性化効果を向上させることができる。
なお、本発明のウイルス不活性化剤は、これらの無機塩を1種類だけ含んでいてもよく、複数種類含んでいてもよい。
本発明のウイルス不活性化剤は、さらに凝集剤を含んでいてもよい。
凝集剤としては、ポリグルタミン酸及びその塩等が挙げられる。
凝集剤は、環境中のタンパク質汚れを凝集させることができ、タンパク質汚れをウイルスの周囲から分離させることができる。
ウイルスの周囲からタンパク質汚れが分離されると、エタノールとウイルスとが直接接触する。そのため、エタノールの作用が発揮されるのでウイルスが不活性化されることになる。
本発明のウイルス不活性化剤は、さらに界面活性剤を含んでいてもよい。
ウイルス不活性化剤が界面活性剤を含むと、汚れ等を洗浄する洗浄剤としても用いることができる。
なお、本発明のウイルス不活性化剤では、これら界面活性剤を1種類だけ含んでいてもよく、複数種類含んでいてもよい。
界面活性剤としては、脂肪酸エステル等を用いてもよい。
また、脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセリン脂肪酸エステルであってもよく、ポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。例えば、モノグリセリンカプリル酸エステル、モノグリセリンカプリン酸エステル、モノグリセリンラウリン酸エステル、ジグリセリンカプリル酸エステル、ヘキサグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンラウリン酸エステル等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖べヘン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノ脂肪酸エステルであってもよく、ソルビタンジ脂肪酸エステルであってもよく、ソルビタントリ脂肪酸エステルであってもよい。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等であってもよい。
本発明のウイルス不活性化剤は、さらにウイルス不活性化効果を有する化合物を含んでいてもよい。
このような化合物としては、例えば、緑茶抽出物、紫茶抽出物、マキベリー抽出物、ブドウ抽出物、カンカニクジュヨウ抽出物、月見草種子抽出物、ウーロン茶抽出物、ピーナツ種皮抽出物、ビルベリー抽出物、ヒバマタ科の海藻から抽出された海藻抽出物等の天然物抽出物が挙げられる。
また、本発明のウイルス不活性化剤には、上記の成分以外に保湿剤、エモリエント剤、香料、色素、陽イオン界面活性剤、増粘剤、消炎剤等を含んでいてもよい。
本発明のウイルス不活性化剤は、インフルエンザウイルス等のエンベロープウイルスや、ノロウイルス等のノンエンベロープウイルスに対してウイルス不活性化効果を示す。
特に、本発明のウイルス不活性化剤は、ノロウイルスに対して高いウイルス不活性化効果を示す。
そのため、本発明のウイルス不活性化剤は、ノロウイルス不活性剤として使用することが望ましい。
なお、本明細書において、「ノロウイルス不活性化剤」とは、ネコカリシウイルス、マウスノロウイルス及びヒトノロウイルスからなる群から選択される少なくとも1種のウイルスに対して使用されるウイルス不活性化剤を意味する。
本発明のウイルス不活性化剤は、ネコカリシウイルスを試験ウイルスとした下記タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定において、作用時間1分におけるウイルス感染力価(対数)の値が、作用時間0分におけるウイルス感染力価(対数)の値より2.0以上減少していることが望ましく、4.0以上減少していることがより望ましい。
本発明のウイルス不活性化剤が、このようなウイルス不活性化効果を奏すると、カリシウイルス科ウイルスの感染を防止することができる。
(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)
(1)ネコカリシウイルスを、ネコ腎由来株化細胞であるCRFK細胞(ATCC CCL−94)に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、ネコカリシウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをOPTI−MEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とする。
(4)ウイルス不活性化剤と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、OPTI−MEM培地で100倍希釈することにより、ウイルス不活性化剤のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液をウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液とする。
(5)OPTI−MEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、OPTI−MEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液をウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液とする。
(6)ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液、ウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、OPTI−MEM培地により10倍段階希釈する。CRFK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加える。
(7)ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液及びウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたCRFK細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養する。
(8)培養したCRFK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、ウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とする。
本発明のウイルス不活性化剤は、マウスノロウイルスを試験ウイルスとした下記タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定において、作用時間1分におけるウイルス感染力価(対数)の値が、作用時間0分におけるウイルス感染力価(対数)の値より2.0以上減少していることが望ましく、4.0以上減少していることがより望ましい。
本発明のウイルス不活性化剤が、このようなウイルス不活性化効果を奏すると、カリシウイルス科ウイルスの感染を防止することができる。
(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)
(1)マウスノロウイルスを、マウスのマクロファージ由来細胞株であるRAW 264.7細胞(ATCC TIB−71)に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、マウスノロウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをDMEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とする。
(4)ウイルス不活性化剤と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、ウイルス不活性化剤のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液をウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液とする。
(5)10%牛胎児血清含有DMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液をウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液とする。
(6)ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液及びウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、10%牛胎児血清含有DMEM培地により、10倍段階希釈する。1ウェルにRAW 264.7細胞を50μLずつ分注した96wellマイクロプレートに、各段階希釈液を50μLずつ加える。
(7)ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液及びウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたRAW 264.7細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養する。
(8)培養したRAW 264.7細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、ウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とする。
本発明のウイルス不活性化剤は、インフルエンザウイルスを試験ウイルスとした下記タンパク質汚れなし時インフルエンザウイルス感染力価測定において、作用時間1分におけるウイルス感染力価(対数)の値が、作用時間0分におけるウイルス感染力価(対数)の値より2.0以上小さいことが望ましく、4.0以上小さいことがより望ましい。
本発明のウイルス不活性化剤が、このようなウイルス不活性化効果を奏すると、インフルエンザウイルスの感染を防止することができる。
(タンパク質汚れなし時インフルエンザウイルス感染力価測定)
(1)インフルエンザウイルスを、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)次に、得られた培養細胞破砕液を遠心分離し、上清をウイルス溶液とする。
(4)ウイルス不活性化剤と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)で100倍希釈することにより、ウイルス不活性化剤のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液をウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液とする。
(5)トリプシン含有EMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、トリプシン含有EMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液をウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液とする。
(6)ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液、ウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、トリプシン含有EMEM培地により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加えた。
(7)ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液及びウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたMDCK細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養する。
(8)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、ウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とする。
次に、本発明のウイルス不活性化剤、及び、本発明のノロウイルス不活性化剤の用途を説明する。
本発明のウイルス不活性化剤、又は、本発明のノロウイルス不活性化剤は、手洗い液、中性洗剤、消臭剤に加えてもよい。
本発明のウイルス不活性化剤、又は、本発明のノロウイルス不活性化剤を含む手洗い液、洗浄剤、消臭剤等は、ポンプボトルやスプレーボトルに詰められていてもよい。
また衛生資材に用いてもよい。このような衛生資材は、本発明の衛生資材でもある。
本発明の衛生資材は、上記本発明のウイルス不活性化剤、又は、上記本発明のノロウイルス不活性化剤を含むことを特徴とする。
本発明のウイルス不活性化剤は、ウイルス不活性化効果を奏するので、このようなウイルス不活性化剤を含む衛生資材を用いることにより、ウイルス感染を防ぐことができる。
本発明の衛生資材は、特に限定されるものではないが、例えば、マスク、使い捨て手袋、使い捨て布巾、ティッシュペーパー、ウエットティッシュ等があげられる。
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
エタノールが50.00重量%、アルギニンが0.75重量%、炭酸水素ナトリウムが0.50重量%、クエン酸が0.50重量%、グリセリン脂肪酸エステルが0.10重量%、ショ糖脂肪酸エステルが0.10重量%となるようにこれら化合物と、水とを混合して実施例1に係るウイルス不活性化剤を作製した。
(実施例2〜18)及び(比較例1〜7)
ウイルス不活性化剤の材料の種類及び割合を表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施例2〜18及び比較例1〜7に係るウイルス不活性化剤を作製した。
なお、表1中「%」は重量%を意味する。
Figure 0006531234
Figure 0006531234
(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)
ウイルス不活性化剤として、実施例1〜17及び比較例1〜6に係るウイルス不活性化剤を用い、上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1及び表2に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
(タンパク質汚れなし時ネコカリシウイルス感染力価測定)
ウイルス不活性化剤として、実施例1〜17及び比較例1〜6に係るウイルス不活性化剤を用い、上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)の(3)工程において、10%肉エキスを混合せず、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清をウイルス溶液とした以外は、上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)と同様にタンパク質汚れなし時ネコカリシウイルス感染力価測定を行った。
作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)の評価基準と同様である。結果を表1及び表2に示す。
(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)
ウイルス不活性化剤として、実施例1〜17及び比較例1〜6に係るウイルス不活性化剤を用い、上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1及び表2に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
(タンパク質汚れなし時マウスノロウイルス感染力価測定)
ウイルス不活性化剤として、実施例1〜17及び比較例1〜6に係るウイルス不活性化剤を用い、上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)の(3)工程において、10%肉エキスを混合せず、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清をウイルス溶液とした以外は、上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)と同様にタンパク質汚れなし時マウスノロウイルス感染力価測定を行った。
作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)の評価基準と同様である。結果を表1及び表2に示す。
(タンパク質汚れなし時インフルエンザウイルス感染力価測定)
ウイルス不活性化剤として、実施例1〜18及び比較例1〜7に係るウイルス不活性化剤を用い、上記(タンパク質汚れなし時インフルエンザウイルス感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1及び表2に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
(溶解性試験及び低温安定性)
アルカリ剤として、炭酸塩又は炭酸水素塩が用いられた実施例1〜4、6、7、9〜11及び14〜16に係るウイルス不活性化剤、並びに、比較例1及び2に係るウイルス不活性化剤について、溶解性試験及び低温安定性試験を行った。これらの評価手順は以下の通りである。結果を表3に示す。
溶解性試験:各ウイルス不活性化剤の材料を混合して、20℃、500rpmで5分攪拌後、各ウイルス不活性化剤の状態を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
A:完全にアルカリ剤が溶解していた。
B:アルカリ剤が完全に溶解しておらず、底に残留していた。
低温安定性試験:各ウイルス不活性化剤を調合し、−7℃、24時間静置した後、各ウイルス不活性化剤の状態を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
A:完全にアルカリ剤が溶解していた。
B:アルカリ剤が析出していた。
Figure 0006531234

Claims (14)

  1. エタノールと、アミノ酸と、アルカリ剤とを含むことを特徴とするウイルス不活性化剤。
  2. 前記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン(スレオニン)、システイン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、シスチン、テアニン、タウリン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アルギニングルタミン酸塩、リシンアスパラギン酸塩及びリシングルタミン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のウイルス不活性化剤。
  3. 前記アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のウイルス不活性化剤。
  4. 前記アルカリ剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩及びリン酸三塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のウイルス不活性化剤。
  5. 前記アルカリ剤は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩である請求項4に記載のウイルス不活性化剤。
  6. 前記ウイルス不活性化剤中の前記エタノールの質量濃度は、8.05〜85.70重量%である請求項1〜5のいずれかに記載のウイルス不活性化剤。
  7. 前記ウイルス不活性化剤中の前記アミノ酸の質量濃度は、0.05〜5.00重量%である請求項1〜6のいずれかに記載のウイルス不活性化剤。
  8. 前記ウイルス不活性化剤中の前記アルカリ剤の質量濃度は、0.05〜10.00重量%である請求項1〜7のいずれかに記載のウイルス不活性化剤。
  9. さらに酸剤を含む請求項1〜8のいずれかに記載のウイルス不活性化剤。
  10. 前記酸剤は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種である請求項9に記載のウイルス不活性化剤。
  11. 前記ウイルス不活性化剤中の前記酸剤の質量濃度は、0.001〜2.00重量%である請求項9又は10に記載のウイルス不活性化剤。
  12. 前記ウイルス不活性化剤のpHは、8〜12である請求項1〜11のいずれかに記載のウイルス不活性化剤。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載されたウイルス不活性化剤からなることを特徴とするノロウイルス不活性化剤。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載のウイルス不活性化剤、又は、請求項13に記載のノロウイルス不活性化剤を含むことを特徴とする衛生資材。
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