しかしながら、上記した従来の精米設備では、利用客が糠を持ち帰る場合、既に所定量の糠が溜められている糠取出用タンクから順次、糠を排出する構造(すなわち、以前に別の利用客などが精米して溜められた糠を持ち帰る構造)である。したがって、利用客自身が持ち込んで精米した糠については、糠取出用タンクに溜められた糠の上に積層されたり、糠回収容器に回収されたりするだけであり、利用客自身が持ち込んで精米した糠を持って帰ることはできなかった。また、糠取出用タンク内が長期間にわたって清掃されなかったり排出されなかったりした場合には、糠取出用タンク内の糠が古くなって、不衛生となる恐れがあった。
本発明は上記課題を解決するもので、利用客自身が精米することで発生した糠を持って帰ることが可能な精米設備を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の精米設備は、精米機と、精米機で発生した糠を空気とともに吸引して送る送風機と、利用客が糠を取出可能な糠取出部と、前記糠取出部へ送られる糠以外の糠を回収する糠回収部と、前記糠取出部が下流に接続される取出用糠排出口と、前記糠回収部が下流に接続される排気ダクトとを有し、糠を含んだ空気を前記糠回収部側と前記糠取出部側とに選択して切り換えて送る糠流路切換装置と、前記糠流路切換装置に設けられた取出用糠排出口を開閉する切換板を有する出口開閉装置と、を備え、前記糠流路切換装置が、糠を含んだ空気が導入される筒状部と、筒状部の下方に続いて設けられ、下方ほど細くなって下端部の取出用糠排出口に続く円錐部と、内部の空気を排出させる前記排気ダクトと、を有する糠流路切換サイクロンで構成され、前記排気ダクトが、筒状部を貫通して下方に延ばされ、前記排気ダクトの先端部が、前記円錐部の傾斜面および底面の少なくとも一方に近接して配置されていることを特徴とする。
この構成において、切換板が取出用糠排出口を閉じている状態で、精米機や送風機が稼働されると、糠を含んだ空気が、糠流路切換装置である糠流路切換サイクロンに導入される。糠流路切換サイクロンでは、取出用糠排出口が閉じられているため、糠が、排気ダクトおよび糠回収用流路を介して糠回収部に送られて回収される。この場合に、排気ダクトが、筒状部を貫通して下方に延ばされ、排気ダクトの先端部が、円錐部の傾斜面および底面の少なくとも一方に近接して配置されているため、糠流路切換サイクロン内に糠が残ることなく排気ダクトで吸引されて、糠回収部に送られる。
一方、取出用糠排出口が開けられている状態で、精米機や送風機が稼働されると、糠を含んだ空気が、糠流路切換装置である糠流路切換サイクロンに導入され、糠流路切換サイクロンに導入された糠が、取出用糠排出口を介して糠取出部に送り出され、利用客はこの糠を取り出し可能である。この場合に、切換板が取出用糠排出口を閉じている状態では、糠は糠流路切換サイクロンに残っていないため、利用客は、利用客自身で持ち込んで精米した糠を持ち帰ることができる。
また、本発明の精米設備は、前記排気ダクトの先端部が、前記円錐部の下半部に対応する位置まで下方に延ばされていることを特徴とする。この構成により、糠流路切換サイクロンに前回精米処理して発生した糠が残ることを最小限に抑えることができる。すなわち、前記排気ダクトの先端部が、前記円錐部の上半部に対応する位置までしか下方に延ばされていない場合には、前記円錐部の下半部に糠が残る恐れがあるが、このようなことを防止することができる。
また、本発明の精米設備は、前記排気ダクトの先端部と前記円錐部の傾斜面との離間距離が、前記排気ダクトの先端部と前記円錐部の底面との離間距離よりも小さいことを特徴とする。この構成により、糠流路切換サイクロンの内部に糠が残ることをより確実に防止することができる。
また、本発明の精米設備は、前記糠取出部に、糠を排出する糠取出用サイクロンが設けられ、前記取出用糠排出口に続く糠取出用流路が、前記糠取出用サイクロンに接続されていることを特徴とする。この構成により、精米時に発生する糠が、利用客が糠を取出可能な糠取出部に送られる際には、糠が、糠流路切換サイクロンと糠取出用サイクロンとの2つのサイクロンを通して送られることとなり、例え、精米時に利用客が糠取出部から糠を取り出そうとした場合でも、糠取出部からの糠を含んだ空気の吹き出しを抑えることができる。
また、本発明の精米設備は、前記糠取出部に、利用客が出入り自在の客室に開口可能な糠取出口と、糠取出袋を着脱可能な袋係止部とが設けられ、前記糠取出部の下部に、前記糠取出部内に排出されながら、袋係止部に取付けられた取出用袋に収容されなかった糠を回収する取出部糠回収箱が設けられ、前記糠取出用サイクロンに設けられた排気ダクトから排出された空気を取出部糠回収箱へ送る流路が、糠取出部における客室に連通する領域とは仕切られて配設されていることを特徴とする。
この構成により、利用客が持ち込んで精米して発生した糠を、袋係止部に取付けられた取出用袋に回収して良好に取り出すことができる。また、取出用袋に回収した糠が満杯になるなどして、糠取出部内への排出できなくなった状態で糠取出口が開けられても、糠取出用サイクロンに設けられた排気ダクトから排出された空気は、糠取出部における客室に連通する領域とは仕切られて配設されている流路を通して、取出部糠回収箱に回収することができ、糠を含んだ空気が客室に吹出すことを防止したり、吹き出す勢いを最小限に抑えたりすることができる。
また、本発明の精米設備は、前記糠取出部に、利用客が出入り自在の客室に開口可能な糠取出口と、糠取出部内に下方に延びる糠シュートと、糠シュートに取り付けられて糠取出袋を着脱可能な袋係止部とが設けられ、前記糠シュートの糠排出部は、利用客が臨む前面部と左右の側面部とは覆われている一方、背面側は糠取出部内空間に繋がるように開放され、前記糠取出部の下部に、前記糠取出部内に排出されながら、袋係止部に取付けられた取出用袋に収容されなかった糠を回収する取出部糠回収箱が設けられていることを特徴とする。
この構成により、糠シュートの糠排出部の背面側は糠取出部内空間に繋がるように開放されているため、袋係止部に取付けられた取出用袋に回収した糠が満杯になりそうな場合でも、糠が利用者側に吹出すことを防止しながら、糠を、糠シュートの糠排出部の背面側の開放部分を通して、取出部糠回収箱に回収することができる。
本発明によれば、糠を含んだ空気が送られて流路を切り換える糠流路切換装置を糠流路切換サイクロンで構成し、糠流路切換サイクロンに設けられている排気ダクトを、筒状部を貫通して下方に延ばし、前記排気ダクトの先端部を、前記円錐部の傾斜面および底面の少なくとも一方に近接して配置することにより、糠が糠回収部に回収される際には、糠流路切換装置である糠流路切換サイクロンに糠が残らない。したがって、利用客は、利用客自身で持ち込んで精米した糠を持ち帰ることができる。また、これにより、糠流路切換サイクロン内に古い糠が溜まったり、不衛生となったりすることがなく、常に精米した直後の糠を持ち帰ることができる。また、精米時にだけ、発生した糠を取り出すことができるため、利用者以外の人が、溜まっている糠を持ち帰ることを防止することもできる。さらに、糠流路切換装置がサイクロン(糠流路切換サイクロン)で構成されているため、万一、精米機および送風機の稼働中に糠回収部を利用客などが開けた場合でも、糠回収部から吹出す空気の勢いを弱めることができ、使い勝手の良い精米設備を実現できる。
また、排気ダクトの先端部が、前記円錐部の下半部に対応する位置まで下方に延ばされていることにより、糠流路切換サイクロンに前回精米処理して発生した糠が残ることを最小限に抑えることができる。また、排気ダクトの先端部と円錐部の傾斜面との離間距離が、排気ダクトの先端部と円錐部の底面との離間距離よりも小さいように配置することにより、糠流路切換サイクロンの内部に糠が残ることをより確実に防止することができる。
また、糠取出部に、糠を排出する糠取出用サイクロンが設けられ、取出用糠排出口に続く糠取出用流路が、前記糠取出用サイクロンに接続されていることにより、精米時に発生する糠が糠取出部に送られる際には、糠が、糠流路切換サイクロンと糠取出用サイクロンとの2つのサイクロンを通して送られることとなり、例え、精米時に利用客が糠取出部から糠を取り出そうとした場合でも、糠取出部からの糠を含んだ空気の吹き出しを抑えることができ、これによっても使い勝手の良い精米設備を実現できる。
また、糠取出部に、利用客が出入り自在の客室に開口可能な糠取出口と、糠取出袋を着脱可能な袋係止部とを設け、前記糠取出部の下部に糠を回収する取出部糠回収箱を設け、前記糠取出用サイクロンに設けられた排気ダクトから排出された空気を取出部糠回収箱へ送る流路を、糠取出部における客室に連通する領域とは仕切ることにより、取出用袋に回収した糠が満杯になるなどして、糠取出部内への排出できなくなった状態で糠取出口が開けられても、糠取出用サイクロンに設けられた排気ダクトから排出された空気は、糠取出部における客室に連通する領域とは仕切られて配設されている流路を通して、取出部糠回収箱に回収することができ、糠を含んだ空気が客室に吹出すことを防止したり、吹出す勢いを最小限に抑えたりすることができ、使い勝手の良い糠取出し構造を実現できる。
また、糠取出部に、糠取出部内に下方に延びる糠シュートと、糠シュートに取り付けられて糠取出袋を着脱可能な袋係止部とを設け、前記糠シュートの糠排出部を、利用客が臨む前面部と左右の側面部とは覆う一方で、背面側は開放させることにより、袋係止部に取付けられた取出用袋に回収した糠が満杯になりそうな場合でも、糠が利用者側に吹き出すことを防止しながら、糠を、糠シュートの糠排出部の背面側の開放部分を通して、取出部糠回収箱に回収することができて、便利である。
以下、本発明の実施の形態に係る精米設備について、図面を用いて説明する。
図1〜図3における1は本発明の実施の形態に係る精米設備であり、この精米設備1は、コイン(硬貨などの貨幣)を投入することにより自動的に精米作業を行ういわゆるコイン式の精米設備1である。図2、図3に示すように、精米設備1の建屋2内には、利用客などが自由に出入りできる客室4と、精米機7などが配設されて利用客が出入りできない機械室3とが設けられ、これらの客室4と機械室3とが仕切壁5で仕切られている。
図3に示すように、客室4に臨む箇所には精米対象となる玄米を投入する投入ホッパ6が設けられている。投入ホッパ6に投入された玄米は、玄米搬送装置(被処理米搬送装置)9によって、機械室3内に設置された精米機7へ供給される。精米機7の下方には、精米された米を精米機7から客室4内へ排出して溜めて利用客が取出可能とされた白米ホッパ8が設けられている。
図1〜図3などに示すように、この精米設備1では、精米時に、精米機7から発生した糠を客室4側に取出し可能な状態で回収して持ち帰りできるよう構成されている。具体的な構成を以下に説明する。機械室3において、精米機7には、精米機7が精米時に発生する糠を空気とともに吸引して下流側へ送り出す送風機11が吸引流路12を介して接続されている。また、機械室3には、利用客が糠を取出可能な糠取出部40と、糠取出部40へ送り出される以外の糠を回収する糠回収部60と、糠を含んだ空気を糠回収部60と糠取出部40とに選択して切り換えて送る糠流路切換装置と、この糠流路切換装置に設けられている取出用糠排出口23を開閉する切換板31を有する出口開閉装置30と、が設けられている。そして、前記糠流路切換装置が糠流路切換サイクロン20により構成されている。
図4、図5などに示すように、糠流路切換サイクロン20は、送風機11の吹出口に接続された送風流路13に接続されて糠を含んだ空気が導入される筒状部21と、筒状部21の下方に続いて設けられ、下方ほど細くなって下端部の取出用糠排出口23に続く円錐部22と、内部の空気を排出させる排気ダクト24と、を有する。また、取出用糠排出口23を開閉する切換板31を有する出口開閉装置30が糠流路切換サイクロン20の下端部に取り付けられている。図1〜図3などに示すように、取出用糠排出口23には、出口開閉装置30の切換板31が出退する箇所および糠取出用流路41を介して、糠取出部40側に接続されている。排気ダクト24は、その上端部が、糠回収用流路61を介して、糠回収部60に接続されている。糠回収部60には、糠回収用流路61に接続された糠回収用サイクロン62と、この糠回収用サイクロン62から排出される糠が収容される糠回収容器(いわゆるフレコンバック)63とが設けられている。なお、この実施の形態では、糠流路切換サイクロン20の筒状部21は直径が一定な直筒形状とされているが、これに限るものではない。
図5などに示すように、糠流路切換サイクロン20の排気ダクト24は、筒状部21を貫通して下方に延ばされている。そして、排気ダクト24の先端部(下端部)が、円錐部22の傾斜面22aおよび円錐部22の底面22b(取出用糠排出口23に相当する箇所)の少なくとも一方に近接して配置されている。この実施の形態では、排気ダクト24の先端部(下端部)が、円錐部22の傾斜面22aに近接させて配設され、排気ダクト24の先端部が、円錐部22の下半部(円錐部22を高さ方向に2分した場合の下部領域)に対応する位置まで下方に延ばされている。また、排気ダクト24の直径が円錐部22の底面22b(取出用糠排出口23)の直径よりも若干大きく、排気ダクト24の先端部と円錐部22の傾斜面22aとの離間距離Aが、排気ダクト24の先端部と円錐部22の底面22bとの離間距離Bよりも小さくなるよう配置されている。
なお、この実施の形態では、例えば、糠流路切換サイクロン20の円錐部22の底面22bに相当する箇所全体が取出用糠排出口23とされているが、これに限るものではなく、円錐部22の底面22bの一部である中央寄り領域だけが取出用糠排出口23とされていてもよい。
図4〜図6などに示すように、出口開閉装置30は、取出用糠排出口23に対応する大きさの孔31aが切換板31に形成されており、この切換板31が、支持枠34、駆動源32、伸縮支持アーム33を介して横方向に出退自在とされている。また、切換板31の出退位置近傍箇所には、切換板31の出退位置を検知する位置センサ(例えば、リミットスイッチなどからなる)35A、35Bが設けられて、切換板31による開度が制御されている。また、駆動源32は、コイン(硬貨)が投入されて、客室4に臨んで設けられた糠取出用ボタンスイッチ(糠取出指示手段)36が押された場合のみ、図示しない制御部により、切換板31の孔31aが、取出用糠排出口23に一致するように駆動される。図2、図4、図5などに示すように、取出用糠排出口23に対応する箇所の下方には、糠取出用流路41が設けられている。
図1〜図3、図7などに示すように、糠取出部40には、客室4につながる前面部のみ開口部が形成された四角箱状に囲まれた糠取出室42と、この糠取出室42の上面部にその下端部が繋がれた状態で取付けられて糠(詳しくは糠を含む空気)を排出する糠取出用サイクロン43と、糠取出用サイクロン43の下端部出口から糠取出部40の糠取出室42内に下方に延びる糠シュート44と、糠シュート44の両側面にそれぞれ取り付けられて、利用者が持参した糠取出袋Cを着脱可能な袋係止部45などが設けられている。糠取出室42の前面開口部が、利用客が出入り自在の客室4に開放可能な糠取出口46とされ、この糠取出口46は、通常時(糠取出時以外)は、開閉可能な糠取出扉51で閉じられている。
図8、図9に示すように、糠シュート44の糠が排出される糠排出部は、利用客が臨む前面部44aと左右の側面部44b、44cとは略長方形状に覆われている一方、背面側は糠取出部40(糠取出室42)内空間に繋がるように開放されている。なお、この実施の形態では、糠シュート44が設けられている箇所には、糠取出用サイクロン43の下端部に続くように下方に延びる排出ダクト47が取り付けられている。
図1、図2などに示すように、糠取出部40の下部(すなわち、糠取出室42の下方)に、糠取出部40(糠取出室42)内に排出されながら、袋係止部45に取付けられた取出用袋Cに収容されなかった糠を回収する取出部糠回収箱48が設けられている。取出部糠回収箱48の上面には、金網49が取り付けられ、取出部糠回収箱48内に落ちた糠を外部の者などが持ち帰ることはできないようになっている。
図7に示すように、糠取出部40に設けられている糠取出用サイクロン43にも内部の空気を排出する排気ダクト43aが設けられている。この排気ダクト43aは一般的なサイクロンのように、糠取出用サイクロン43の上面部(筒状部)に接続されているだけである(排気ダクト43aが糠取出用サイクロン43の下部の円錐部まで突入されてはいない)。この糠取出用サイクロン43の排気ダクト43aには、排気ダクト43aから排出された空気を取出部糠回収箱48へ送る送り流路50A、50Bが接続されている。下流側の送り流路50Bは、糠取出室42を上下に貫通しており、送り流路50Bと、糠取出部40における客室4に連通する領域とは仕切られて(この実施の形態では、平面視して角形に仕切られている)配設されて、取出部糠回収箱48へ連通されている。
上記構成において、利用客によりコイン(硬貨)が入れられた状態で投入ホッパ6に玄米が投入されると精米機7や送風機11などが稼働されて精米作業が行われる。この際、精米機7では糠が発生して、糠は空気とともに吸引流路12を通して送風機11により吸引されて、送付流路13から糠流路切換装置としての糠流路切換サイクロン20に導入される。
この場合に、コイン(硬貨)が入れられて、精米動作が可能な状態では、糠取出用ボタンスイッチ(糠取出指示手段)36が押されているかどうかが制御部で検知される。利用者が糠を持って帰る意思がないなどして、糠取出用ボタンスイッチ(糠取出指示手段)36が押されない場合には、出口開閉装置30の切換板31が取出用糠排出口23を閉じた姿勢とされる。
糠流路切換サイクロン20では、取出用糠排出口23が閉じられているため、糠が、排気ダクト24および糠回収用流路61を介して糠回収部60に送られて回収される。この場合に、糠流路切換サイクロン20の排気ダクト24が、筒状部21を貫通して下方に延ばされ、排気ダクト24の先端部が、円錐部22の傾斜面22aに近接して配置されているため、糠流路切換サイクロン20内に糠が残ることなく排気ダクト24で吸引されて、糠回収部60に送られる。
一方、利用者が糠を持って帰る意思があり、精米時に、糠取出用ボタンスイッチ36が利用者などにより押された場合には、出口開閉装置30の切換板31が取出用糠排出口23に切換板31の孔31aが一致する位置まで移動される。
これにより、糠流路切換サイクロン20の取出用糠排出口23が開けられている状態で、精米機7や送風機11が稼働されると、糠流路切換サイクロン20に導入された糠が、取出用糠排出口23および糠取出流路41を介して糠取出部40に送り出される。したがって、予め、糠取出室42の袋係止部45に利用者が糠を持ち帰る糠取出袋Cを引っかけておくことにより、糠取出部40の糠取出サイクロン43を介して糠取出袋Cが排出され、利用客はこの糠を取り出し可能である。この場合に、切換板31が取出用糠排出口23を閉じている状態では、糠は糠流路切換サイクロン20に残っていないため、利用客は、利用客自身で持ち込んで精米した糠を持ち帰ることができる。
また、これにより、糠流路切換サイクロン20内に古い糠が溜まったり、不衛生となったりすることがなく、利用者は常に精米した直後の糠を持ち帰ることができる。また、精米時にだけ、発生した糠を取り出すことができるため、利用者以外の人が、溜まっている糠を持ち帰ることを防止することができる。さらに、糠流路切換装置がサイクロン(糠流路切換サイクロン20)で構成されているため、万一、精米機7および送風機11の稼働中に糠回収室42の糠取出扉51を利用客などが開けた場合でも、糠回収室42から吹出す空気の勢いを弱めることができ、使い勝手の良い精米設備1を実現できる。
また、上記構成によれば、糠流路切換サイクロン20の排気ダクト24の先端部(下端部)が、円錐部22の下半部に対応する位置まで下方に延ばされていることにより、糠流路切換サイクロン20に前回精米処理して発生した糠が残ることを最小限に抑えることができる。すなわち、排気ダクト24の先端部が、円錐部22の上半部に対応する位置までしか下方に延ばされていない場合には、取出用糠排出口23が閉じられている状態でも、排気ダクト24の吸引力が糠流路切換サイクロン20の底部近傍箇所まで達し難くなり、円錐部22の下半部に糠が残る恐れがあるが、このようなことを防止することができる。
また、上記構成によれば、図5に示すように、糠流路切換サイクロン20における排気ダクト24の先端部と円錐部22の傾斜面22aとの離間距離Aが、排気ダクト24の先端部と円錐部22の底面22bとの離間距離Bよりも小さいように配置している。この構成により、排気ダクト24により吸気する領域が糠流路切換サイクロン20の底面22bの全域にわたり、糠流路切換サイクロン20の内部に糠が残ることをより確実に防止することができて、信頼性を向上させることができる。
なお、必ずしも、糠流路切換サイクロン20における排気ダクト24の先端部と円錐部22の傾斜面22aとの離間距離Aが、排気ダクト24の先端部と円錐部22の底面22bとの離間距離Bよりも小さいように配置すると好適であるが、必ずしも、これに限るものではない。すなわち、例えば、糠流路切換サイクロン20の排気ダクト24の直径と底面(円錐部22の底面22b)との直径が同様である場合には、排気ダクト24の先端部が、円錐部22の底面22bおよび底面22bの両方に近接して配置してもよい。但し、図10に示すように、糠流路切換サイクロン20の排気ダクト24の直径が底面(円錐部22の底面22b)の直径よりも小さい場合には、場合によっては、糠流路切換サイクロン20における円錐部22の底面22bにおける外周部に、排気ダクト24の吸引力が達しなかったり不十分となったりして、糠dが残る恐れがある。したがって、このような場合には、送風機11の出力を大きくしたり、糠流路切換サイクロン20や排気ダクト24の寸法を工夫したりするなどすることが望ましい。
また、上記構成によれば、糠取出部40に、糠を排出する糠取出用サイクロン43を設け、この糠取出用サイクロン43を取出用糠排出口23に続く糠取出用流路41に接続している。これにより、精米時に発生する糠が糠取出部40に送られる際には、糠が、糠流路切換サイクロン20と糠取出用サイクロン43との2つのサイクロンを通して送られることとなる。したがって、例え、精米時に利用客が糠取出部40(糠取出室42)から糠を取り出そうとした場合でも、糠取出部40(糠取出室42)からの糠を含んだ空気の吹き出しを抑えることができ、これによっても使い勝手の良い精米設備1を実現でき、さらに信頼性を向上させることができる。
また、上記構成によれば、糠取出部40に、糠取出部40内に下方に延びる糠シュート44と、糠シュート44に取り付けられて糠取出袋Cを着脱可能な袋係止部45とを設け、糠シュート44の糠を排出する部分を、利用客が臨む前面部44aと左右の側面部44b、44cとは覆う一方で、背面側は開放させている。これにより、袋係止部45に取付けられた取出用袋Cに回収した糠が満杯になりそうな場合でも、糠が利用者側に吹き出すことを防止しながら、糠を、糠シュート44の糠排出部の背面側の開放部分を通して、取出部糠回収箱48に回収することができて、便利である。
また、上記構成によれば、糠取出用サイクロン43に設けられた排気ダクト43aから排出された空気を取出部糠回収箱48へ送る流路を、糠取出部40(糠取出室42)における客室4に連通する領域とは仕切っている。これにより、取出用袋Cに回収した糠が満杯になるなどして、糠取出部40内への排出できなくなった状態で万一、糠取出口46が開けられても、糠取出用サイクロン43に設けられた排気ダクト43aから排出された空気は、糠取出部40における客室4に連通する領域とは仕切られて配設されている送り流路50Bを通して、取出部糠回収箱48に回収することができ、糠を含んだ空気が客室4に吹出すことを防止したり、吹出す勢いを最小限に抑えたりすることができ、使い勝手の良い糠取出し構造1を実現できる。