以下、本発明の好適な一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、プリント機能、スキャン機能、及びコピー機能を有する、いわゆる複合機にについて説明する。以下の説明においては、複合機1が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向が定義され、筐体11の開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向が定義され、複合機1を手前側(正面)から見て左右方向が定義される。
複合機1に搭載されたプリンタ部10は、図1に示すように、第1給紙トレイ91、第2給紙トレイ92、排出トレイ5、記録部6、搬送装置7、及び制御部8などを有する。記録部6、搬送装置7、及び制御部8は、複合機1の筐体11内に収容されている。第1給紙トレイ91及び第2給紙トレイ92は、筐体11内の装着部20に装着される。筐体11内において、上方から下方に向けて記録部6、装着部20における第1給紙トレイ91が装着される第1部分21、装着部20における第2給紙トレイ92が装着される第2部分22の順で配置されている。なお、図1においては図示を省略しているが、記録部6よりも上方には、複合機1のスキャナ部2(図4参照)が配置されている。
第1給紙トレイ91及び第2給紙トレイ92は、いずれも複数の用紙9を積層状態で積載して収容することが可能なものである。以下の説明において、第1給紙トレイ91及び第2給紙トレイ92を区別しない場合には「給紙トレイ90」と称する。第1給紙トレイ91及び第2給紙トレイ92は、いずれも筐体11の正面に形成された開口13から前後方向に挿抜可能となっており、筐体11内の装着部20の第1部分21及び第2部分22にそれぞれ着脱自在に装着される。第1給紙トレイ91の前方側の上方には排出トレイ5が配置されており、排出トレイ5は第1給紙トレイ91と共に移動するようになっている。第1給紙トレイ91及び第2給紙トレイ92は、用紙9が積載される積載面91a、92aをそれぞれ有している。第1給紙トレイ91及び第2給紙トレイ92の後端部には、傾斜板91b、92bがそれぞれ設けられている。
ここで、装着部20の第1部分21及び第2部分22には、図2、3に示すような装着センサ40及び検出アーム41がそれぞれ設けられている。第1部分21及び第2部分22に設けられる装着センサ40及び検出アーム41の構成は同一であるので、第1部分に設けられるものについて説明する。装着センサ40は、第1給紙トレイ91が装着されている場合と引き抜かれている場合とで異なる位置をとる検出アーム41の変位を検知することで第1給紙トレイ91が装着されているか否かを検知し、その検出結果に応じた装着信号を出力する。検出アーム41は、左右方向に延びる支軸42に支持されており、支軸42を中心として左右方向と直交する面内で揺動可能となっている。装着センサ40は、検出アーム41の前端部の側方に配置されている。装着センサ40は、例えば反射型の光センサであり、検出アーム41の前端部と左右方向に関して対向する位置にあるときに出力信号がONとなる。
図3に示すように、検出アーム41の後端部には、前方に向いており、且つ、その上端が下端よりも前方に位置する傾斜面41aが形成されている。また、第1給紙トレイ91の側壁の前端部には、後方を向いており、且つ、その上端が下端よりも前方に位置する傾斜面91cが形成されている。図3(a)に示すように、給紙トレイ90が装着されているときには、検出アーム41の傾斜面41aと第1給紙トレイ91の傾斜面91cとが当接する。このとき、検出アーム41は水平な第1位置となる。装着センサ40は、第1位置にある検出アーム41の前端部の上方に位置している。すなわち、検出アーム41が第1位置にあるときは、装着センサ40の出力信号はOFFである。
検出アーム41の前端部には、下方に突き出た突起41bが形成されている。また、検出アーム41の前端部の下方には、バネ45が配置されている。検出アーム41が、図3(a)に示す第1位置にあるときには、検出アーム41の突起41bとバネ45とが当接し、検出アーム41の前端部に対してバネ45により上方に付勢力が加えられる。また、検出アーム41の重心は、支軸42よりも後方側にある。これにより、図3(b)に示すよう第1給紙トレイ91が引き抜かれ、検出アーム41の傾斜面41aと第1給紙トレイ91の傾斜面91cとが当接しなくなると、検出アーム41はバネ45の付勢力及びその自重により左回りに回動し、前端部が後端部よりも上方に位置する第2位置となる。このとき、検出アーム41の前端部が装着センサ40と左右方向に対向し、装着センサ40の出力信号がONとなる。
また、装着部20の第1部分21及び第2部分22には、給紙トレイ90に収容された用紙9の残量を検出し、その検出結果に応じた残量信号を出力する残量センサ47がそれぞれ設けられている。残量センサ47の構成は後述する。
図1に戻って、記録部6は、キャリッジ61と、記録ヘッド63と、駆動機構65(図4参照)とを有している。キャリッジ61は、2つのガイドレール67a、67bによって支持されている。2つのガイドレール67a、67bは、前後方向に互いに離隔して配置され、各々が左右方向に延設されている。キャリッジ61は、2つのガイドレール67a、67bを跨ぐようにして配置されている。また、駆動機構65は、キャリッジ駆動モータ31(図4参照)を有し、制御部8の制御により、キャリッジ61を2つのガイドレール67a、67bに沿って主走査方向である左右方向に往復移動させる。記録ヘッド63は、キャリッジ61に搭載されている。記録ヘッド63は、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインクを、下面のノズル面69に設けられたノズル(不図示)から吐出する。
搬送装置7は、2つの給紙ローラ50、搬送ローラ対71、排出ローラ対73、プラテン75、及びガイド部材16、17を含む。2つの給紙ローラ50は、装着部20の第1部分21に装着された状態の第1給紙トレイ91の上方、及び、装着部20の第2部分22に装着された状態の第2給紙トレイ92の上方にそれぞれ配置されており、給紙トレイ90内の用紙9を後方に向かって送り出すものである。
給紙ローラ50は、アーム51の一端部に回動可能に支持されている。アーム51の給紙ローラ50を支持している一端側とは反対の他端部は、筐体11に固定され左右方向に延びる支軸52に支持されており、支軸52を中心として左右方向と直交する面内で揺動可能となっている。アーム51は、図示しないトーションばねにより給紙ローラ50が給紙トレイ90に積載された用紙9を押圧する方向に付勢されており、給紙ローラ50は、給紙トレイ90に積載された用紙9のうちで最も上に位置する用紙9と接触するようになっている。したがって、給紙トレイ90における用紙9の残量が減少するにつれてアーム51が回動し、用紙9と給紙ローラ50との当接位置が下方に移動する。なお、給紙トレイ90に用紙9が積載されていないときは、給紙ローラ50は積載面91a、92aと接触する。また、給紙ローラ50は、給紙モータ33(図4参照)からの駆動力が付与されて回転する。
ここで、上述の給紙トレイ90に収容された用紙9の残量を検出する残量センサ47について説明する。残量センサ47は、給紙ローラ50を支持するアーム51及びアーム51を支持する支軸52にそれぞれ固定されており、内側及び外側に配置された図示しない2つの円筒部材を有している。残量センサ47は、アーム51の支軸52に対する角度位置に応じて抵抗値が変化する公知の可変抵抗器である。残量センサ47は、アーム51の揺動、すなわち、給紙ローラ50の上下方向の位置変動に応じて出力信号が変化する。
なお、本実施形態において、装着部20から給紙トレイ90を取り外す動作が行われるとき、給紙ローラ50は用紙9の残量に応じた位置から、一旦積載面91a、92aに当接する位置まで下降した後に上死点まで上昇してから下死点へと下降していく。そして、給紙トレイ90が装着部20から完全に取り外された状態であるときに、給紙ローラ50は下死点に位置し、残量センサ47から出力される残量信号は用紙残量がエンプティー又はそれよりも少ないことを示す。したがって、装着部20から給紙トレイ90が取り外す動作が行われたとき、残量センサ47から出力される残量信号は、用紙9の実際の残量の増減とは関係なく、用紙9が短時間のうちに減少、増加、減少したことを示す信号となる。逆に、装着部20に給紙トレイ90を装着する動作が行われたとき、残量センサ47から出力される残量信号は、用紙9の実際の残量の増減とは関係なく、用紙9が短時間のうちに増加、減少、増加したことを示す信号となる。
本実施形態において、装着部20から給紙トレイ90を取り外す動作が行われるとき、給紙ローラ50の変位によって残量信号が変化するよりも前に、装着センサ40の出力信号がOFFからONに変化する。逆に、装着部20に給紙トレイ90が装着される動作が行われるとき、給紙ローラ50の変位によって残量信号が変化し終わった後に、装着センサ40の出力信号がONからOFFに変化する。
搬送ローラ対71及び排出ローラ対73は前後方向に記録部6を挟んで配置されており、搬送ローラ対71は記録部6よりも後方に、排出ローラ対73は記録部6よりも前方に配置されている。前後方向における搬送ローラ対71の位置は、第1給紙トレイ91及び第2給紙トレイ92の後端よりも前方である。プラテン75は、記録部6の下方において記録部6のノズル面69と対向するように配置されている。
搬送ローラ対71は、搬送モータ35(図4参照)からの駆動力が付与されて回転する駆動ローラ71aと、駆動ローラ71aの回転に伴って連れ回る従動ローラ71bにより構成されている。排出ローラ対73は、搬送モータ35からの駆動力が付与されて回転する駆動ローラ73aと、駆動ローラ73aの回転に伴って連れ回る従動ローラ73bにより構成されている。
ガイド部材16、17は、筐体11の後方端部付近に配置されており、前後方向に所定間隔を隔てて互いに対向している。ガイド部材16、17の間は、第1給紙トレイ91及び第2給紙トレイ92から給紙された用紙9の搬送路となっている。ガイド部材16は、湾曲した板状部材であり、第1給紙トレイ91の後方側の端部近傍から搬送ローラ対71の近傍まで延びている。ガイド部材17は、第2給紙トレイ92の後方側の端部近傍から上方に向かって延びており、且つ、その上端部近傍が湾曲した板状部材である。ガイド部材17の第2給紙トレイ92側とは反対側の端は、搬送ローラ対71の近傍に位置している。
給紙ローラ50によって第1給紙トレイ91から後方に送り出された用紙9は、第1給紙トレイ91の後端部に設けられた傾斜板91bにより斜め上方に向かい、ガイド部材16、17の間を通って、搬送ローラ対71に挟持される位置に到達する。給紙ローラ50によって第2給紙トレイ92から後方に送り出された用紙9は、第2給紙トレイ92の後端部に設けられた傾斜板92bにより斜め上方に向かい、ガイド部材16、17の間を通って、搬送ローラ対71に挟持される位置に到達する。
給紙トレイ90から給紙されて搬送ローラ対71に挟持された用紙9は、搬送ローラ対71によって前方に搬送される。搬送ローラ対71によって前方に搬送された用紙9は、プラテン75によって支持された状態で、主走査方向に移動する記録ヘッド63のノズル(不図示)からインクが吐出されて画像が記録される。記録済みの用紙9は、排出ローラ対73によって前方に搬送されて、排出トレイ5に排出される。
制御部8は、複合機1全体の制御を司るものであり、図4に示すように、プリンタ部10のキャリッジ駆動モータ31、記録ヘッド63、給紙モータ33、搬送モータ35、装着センサ40、残量センサ47等が接続されている。また、制御部8には、スキャナ部2にかかる機器、複合機1に関する情報を表示するディスプレイ3、及びFAXインターフェース4も接続されている。FAXインターフェース4は電話回線に接続されており、複合機1はFAXインターフェース4を介してFAX通信により記録指令を受信可能である。さらに、制御部8には、外部装置であるPC100が接続されている。これにより、複合機1は、スキャナ部2で原稿を読み取ることによって取得されたデータに基づく記録指令、PC100から送信されたデータに基づく記録指令、及びFAX通信により取得されたデータに基づく記録指令の3種類の記録指令を受信可能である。
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)84、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)85などを含む。ROM82には、複合機1を制御するための制御プログラムや、各種設定、初期値等が記憶されている。RAM83は、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、あるいはデータを一時的に記憶する記憶領域として利用される。EEPROM84は、書き換え可能な不揮発性メモリである。これらが協働して、キャリッジ駆動モータ31、記録ヘッド63、給紙モータ33、及び搬送モータ35などの動作を制御する。
なお、図4では、CPU81及びASIC85を1つずつ図示しているが、制御部8は、CPU81を1つだけ含み、この1つのCPU81が必要な処理を一括して行うものであってもよいし、CPU81を複数含み、これら複数のCPU81が必要な処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部8は、ASIC85を1つだけ含み、この1つのASIC85が必要な処理を一括して行うものであってもよいし、ASIC85を複数含み、これら複数のASIC85が必要な処理を分担して行うものであってもよい。
制御部8は、用紙9が送り出された給紙トレイ90の残量センサ47から出力された残量信号を50msごとに取得し、前回取得した残量信号と比較して、給紙トレイ90に収容された用紙9の残量が変化したか否かを判定する残量変化判定処理を実行する。なお、残量センサ47から出力された残量信号は、不揮発性メモリであるEEPROM84に記憶される。したがって、電源投入後はじめて給紙トレイ90から用紙9が送り出されたときは、前回電源が切られる前に最後に残量センサ47から出力された残量信号と、今回用紙9を送り出した後に残量センサ47から出力された残量信号とを比較し、給紙トレイ90に収容された用紙9の残量が変化したか否かを判定する。
また、制御部8は、残量変化判定処理において用紙9の残量が変化したと判定された場合に、用紙9の残量が変化した期間において、用紙9の残量が変化した給紙トレイ90の装着部20に対する着脱(取り外し又は装着)があったか否かを、装着センサ40により出力された装着信号に基づいて判定する着脱判定処理を実行する。さらに、制御部8は、用紙9の残量が減少した期間において、用紙9の残量が変化したと判定された給紙トレイ90から供給された用紙9に対して記録部6が記録を行ったか否かを判定する記録判定処理を実行する。なお、用紙9の残量が変化した期間とは、残量変化判定処理において、比較する2つの残量信号のうちの先の残量信号を取得してから後の残量信号を取得するまでの期間である。
また、制御部8は、残量変化判定処理、着脱判定処置、及び記録判定処理での判定結果に基づいて、装着センサ40が故障しているか否かを判定する故障判定処理を実行する。具体的には、故障判定処理は、残量センサ47により出力された残量信号に基づいて用紙9の残量が増加したことを残量変化判定処理で検知した場合に、給紙トレイ90の着脱がなかったと着脱判定処理で判定したときは、装着センサ40が故障していると判定する。さらに、故障判定処理は、残量センサ47によって出力された残量信号に基づいて用紙9の残量が減少したことを残量変化判定処理で検知した場合に、給紙トレイ90の着脱がなかったと着脱判定処理で判定したときには、記録部6が給紙トレイ90から供給された用紙9に対して記録を行っていないと記録判定処理で判定されたことを条件として、装着センサ40が故障していると判定する。
また、制御部8は、故障判定処理において装着センサ40が故障していると判定すると、その旨がディスプレイ3に表示されるようにディスプレイ3を制御する報知処理を実行する。さらに、制御部8は、故障判定処理において装着センサ40が故障していると判定された場合、FAX通信により記録指令を受信したときは記録部6で画像の記録が行われるように制御し、読取原稿の記録指令またはPC100からの記録指令を受信したときは記録部6で画像の記録が行われないように制御する。
続いて、図5を参照しつつ、複合機1において実行される故障検知処理の一例について説明する。故障検知処理は、装着センサ40の故障を検知するための処理であり、複合機1の電源が入っている間中実行されている。故障検知処理は、2つの装着センサ40のそれぞれについて実行されるが、ここでは第1給紙トレイ91の装着センサ40に実行される故障検知処理について説明する。なお、本実施形態では、別ルーチンにおいて装着センサ40からの装着信号に基づいて第1給紙トレイ91の着脱が監視されており、第1給紙トレイ91が取り外されている期間は図5に示す故障検知処理は中断される。
まず、第1給紙トレイ91の残量センサ47が、第1給紙トレイ91に収容されている用紙9の残量の増加を検知したか否かを判断する(S1)。残量センサ47が用紙9の残量の増加を検知したと判断した場合には(S1:YES)、用紙9の残量が増加した期間において、装着センサ40が第1給紙トレイ91の着脱を検知したか否かを判断する(S2)。第1給紙トレイ91の着脱を検知した場合には(S2:YES)、S1に戻る。
具体的には、第1給紙トレイ91が一旦取り外されて用紙9が補充された場合、故障検知処理の再開後、中断直前に検出した残量と再開直後に検出した残量とを比較して、用紙残量が増加したか否かがS1において判断される。したがって、装着センサ40が故障していなければ、(S1:YES)→(S2:YES)の判断が行われる。
一方、第1給紙トレイ91の着脱を検知していない場合には(S2:NO)、後述するS7に進む。具体的には、装着センサ40が故障している場合には、故障検知処理を中断させることができないため、第1給紙トレイ91が装着される過程における給紙ローラ50の変位に起因して、用紙残量の増加が検知される。したがって、装着センサ40が故障していれば、(S1:YES)→(S2:NO)の判断が行われる。
一方、第1給紙トレイ91の残量センサ47が用紙9の残量の増加を検知していないと判断した場合には(S1:NO)、第1給紙トレイ91の残量センサ47が、第1給紙トレイ91に収容されている用紙9の残量の減少を検知したか否かを判断する(S3)。残量センサ47が用紙9の残量の減少を検知していないと判断した場合には(S3:NO)、S1に戻る。そして、残量センサ47が用紙9の残量の減少を検知したと判断した場合には(S3:YES)、用紙9の残量が減少した期間において、装着センサ40が第1給紙トレイ91の着脱を検知したか否かを判断する(S4)。第1給紙トレイ91の着脱を検知した場合には(S4:YES)、S1に戻る。
具体的には、第1給紙トレイ91が一旦取り外されて用紙9が取り除かれた場合、故障検知処理の再開後、中断直前に検出した残量と再開直後に検出した残量とを比較して、用紙残量が減少したか否かがS3において判断される。したがって、装着センサ40が故障していなければ、(S3:YES)→(S4:YES)の判断が行われる。
S4において、第1給紙トレイ91の着脱を検知していない場合には(S4:NO)、S5に進む。具体的には、装着センサ40が故障している場合には、故障検知処理を中断させることができないため、第1給紙トレイ91が取り外される過程における給紙ローラ50の変位に起因して、用紙残量の減少が検知される。したがって、装着センサ40が故障していれば、(S3:YES)→(S4:NO)の判断が行われる。
S5においては、用紙9の残量が減少した期間において、記録部6が記録を行ったか否かを判断する。記録部6が記録を行っていないと判断した場合には(S5:NO)、後述するS7に進む。一方、記録部6が記録を行ったと判断した場合には(S5:YES)、用紙9の残量が減少した期間において記録部6で行われた記録は、用紙9の残量の減少が検知された第1給紙トレイ91から供給された用紙9に対しての記録であったか否かを判断し(S6)、第1給紙トレイ91から供給された用紙9に対しての記録であった場合には(S6:YES)、S1に戻る。
そして、用紙9の残量の減少が検知された第1給紙トレイ91とは別の第2給紙トレイ92から供給された用紙9に対しての記録であった場合には(S6:NO)、第1給紙トレイ91の装着センサ40が故障していることを示す故障フラグを立て、且つ、図6に示すように、第1給紙トレイ91の装着センサ40が故障している旨のメッセージをディスプレイ3に表示して報知する(S7)。
次に、図7を参照しつつ、複合機1において実行される記録許可処理の一例について説明する。記録許可処理は、受信した記録指令を許可して記録を実行するか否かを判断するための処理であり、複合機1の電源が入っている間中実行されている。
まず、記録指令を受信したか否かを判断する(S11)。S11の処理は、記録指令を受信したと判断するまで繰り返し行われる。そして、記録指令を受信したと判断した場合には(S11:YES)、その記録指令を実行する場合に使用される用紙9を収容している給紙トレイ90の装着センサ40に装着センサ故障フラグが立っているか否かを判断する(S12)。
装着センサ故障フラグが立っていないと判断した場合には(S12:NO)、装着センサ40が出力する装着信号が装着部20に給紙トレイ90が装着されていること示しているか否かを判断する(S13)。S13の処理は、装着信号が装着部20に給紙トレイ90が装着されていることを示していると判断するまで繰り返し行われる。装着信号が装着部20に給紙トレイ90が装着されていることを示していると判断した場合には(S13:YES)、受信した記録指令を許可して記録を実行し(S14)、S11に戻る。
一方、装着センサ故障フラグが立っていると判断した場合には(S12:YES)、受信した記録指令がFAX通信により受信したもの否かを判断する(S15)。そして、FAX通信により受信した記録指令である場合には(S15:YES)、上述のS13の装着信号が装着部20に給紙トレイ90が装着されていることを示しているか否かの判断を省略して、上述のS14に進み、受信した記録指令を許可する。すなわち、装着センサ故障フラグが立っているときは、FAX通信により受信した記録指令は、装着センサ40から出力される装着信号の内容にかかわらず許可する。そして、FAX通信により受信した記録指令でない場合には(S15:NO)、受信した記録指令の実行を不許可とし(S16)、S11に戻る。
以上のように、本実施形態の複合機1は、給紙トレイ90が装着されているか否かを検知し、その検出結果に応じた装着信号を出力する装着センサ40と、給紙トレイ90に収容された用紙9の残量を検出し、その検出結果に応じた残量信号を出力する残量センサ47とを備えている。そして、制御部8は、残量センサ47から出力された残量信号を複数回取得し、給紙トレイ90に収容された用紙9の残量が変化したか否かを判定する残量変化判定処理と、残量変化判定処理において用紙9の残量が変化したと判定された場合に、用紙9の残量が変化した期間において、給紙トレイ90の装着部20に対する着脱があったか否かを装着センサ40により出力された装着信号に基づいて判定する着脱判定処理とを実行する。残量信号が変化する場合は残量センサ47が正常に動作している可能性が高いので、残量が変化した期間において給紙トレイ90の着脱があったか否かを判定することで、装着センサ40が故障しているか否かを検知できる可能性が高い。そのため、別途センサなどを用いることなく、装着センサ40の故障を高い信頼性で検知することができる。
また、本実施形態の複合機1では、制御部8は、残量センサ47により出力された残量信号に基づいて用紙9の残量が増加したことを残量変化判定処理で検知した場合に、給紙トレイ90の着脱がなかったと着脱判定処理で判定したときは、装着センサ40が故障していると判定する故障判定処理を実行する。したがって、用紙9の残量が増加しているにもかかわらず、給紙トレイ90の着脱がなかった場合には、装着センサ40が故障していると判定できる。
加えて、本実施形態の複合機1では、用紙9の残量が減少した期間において、給紙トレイ90から供給された用紙9に対して記録部6が記録を行ったか否かを判定する記録判定処理を実行する。そして、故障判定処理においては、残量センサ47によって出力された残量信号に基づいて用紙9の残量が減少したことを残量変化判定処理で検知した場合に、給紙トレイ90の着脱がなかったと着脱判定処理で判定したときには、記録部6が給紙トレイ90から供給された用紙9に対して記録を行っていないと記録判定処理で判定されたことを条件として、装着センサ40が故障していると判定する。したがって、用紙9の残量が減少しているにもかかわらず、給紙トレイ90の着脱がなく、記録判定処理において記録が行われていないと判定された場合に、装着センサ40が故障していると判定できる。
さらに、本実施形態の複合機1では、制御部8は、故障判定処理において装着センサ40が故障していると判定すると、その旨がディスプレイ3に表示されるようにディスプレイ3を制御する報知処理を実行する。したがって、装着センサ40の故障をユーザに報知することができる。
また、本実施形態の複合機1では、制御部8は、残量変化判定処理において用紙9の残量が増加も減少もせず変化しなかったと判定された場合には、装着センサ40が故障している旨を報知する報知処理を実行しない。したがって、残量センサ47がもし壊れた場合は残量の変化がないことになるが、その場合に誤って装着センサ40の故障と報知しないようにできる。
さらに、本実施形態の複合機1では、装着部20は、第1給紙トレイ91が装着される第1部分21と、第2給紙トレイ92が装着される第2部分22とを有している。そして、記録判定処理においては、第1給紙トレイ91及び第2給紙トレイ92のうち、用紙9の残量が変化した期間において、記録部6が残量の変化が検知された給紙トレイ90から供給された用紙9に対して記録を行ったか否かを判定する。装着部20に装着される給紙トレイ90が複数あるときには、用紙9の残量が減少し、且つ、給紙トレイ90の着脱がなかった場合に、記録判定処理において残量の変化が検知された給紙トレイ90から供給された用紙9に記録が行われていないと判定されることを条件に、装着センサ40が故障していると判定できる。
加えて、本実施形態の複合機1は、スキャナ部2で原稿を読み取ることによって取得されたデータに基づく記録指令、PC100から送信されたデータに基づく記録指令、及びFAX通信により取得されたデータに基づく記録指令を受信可能である。そして、制御部8は、故障判定処理において装着センサ40が故障していると判定された場合、FAX通信による記録指令を受信したときは記録部6で画像の記録が行われるように制御し、読取原稿の記録指令またはPC100からの記録指令を受信したときは記録部6で画像の記録が行われないように制御する。給紙トレイ90が装着部20に装着されていない状態で記録を実行しようとすると、用紙9を記録部6に供給するための搬送装置7に負担がかかり、不具合の原因となる。そこで、装着センサ40が故障している場合に、記録の重要度が高いFAX通信による記録指令を受信したときのみ記録を実行し、それ以外の記録指令を受信したときは記録を実行しないようにすることで、記録できないことによる不都合を最小限に抑えつつ、搬送装置7に不具合が生じるのを防ぐことができる。
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
すなわち、上述の実施形態では、残量変化判定処理において、50msごとの所定間隔で残量センサ47から出力された残量信号を取得する場合について説明したが、残量信号を取得するタイミングはこれに限られず、例えば、給紙トレイ90から用紙9が1枚又は複数枚である所定枚数送り出されるごとに残量信号を取得するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、故障判定処理は、残量変化判定処理で用紙9の残量が増加したことを検知した場合に、着脱判定処理で給紙トレイ90の着脱がなかったと判定したとき(第1の場合)と、残量変化判定処理で用紙9の残量が減少したことを検知した場合に、着脱判定処理で給紙トレイ90の着脱がなかったと判定し、且つ、記録判定処理で記録部6が給紙トレイ90から供給された用紙9に対して記録を行っていないと判定したとき(第2の場合)に、装着センサ40が故障していると判定する場合について説明した。しかしながら、故障判定処理では、上述の第1の場合及び第2の場合のいずれか一方の場合のみ装着センサ40が故障していると判定してもよい。なお、第1の場合にのみ装着センサ40が故障していると判定する場合には、記録判定処理は行われなくてもよい。
さらに、上述の実施形態では、故障判定処理において装着センサ40が故障していると判定すると、その旨がディスプレイ3に表示されるようにディスプレイ3を制御する報知処理を実行する場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、装着センサ40が故障している旨の報知は、ディスプレイ3への表示に限られず、たとえば音声等によってなされてもよい。また、装着センサ40が故障している旨の報知はなされなくてもよい。
加えて、上述の実施形態では、残量変化判定処理において用紙9の残量が変化しなかったと判定された場合には、装着センサ40が故障している旨を報知する報知処理を実行しない場合について説明したが、用紙9の残量が変化しなかったと判定された場合に報知処理が実行されてもよい。
さらに、上述の実施形態では、装着部20に2つの給紙トレイ90を装着できる場合について説明したが、装着部20に装着可能な給紙トレイ90の数はこれに限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。装着部20に装着される給紙トレイ90が1つである場合には、記録判定処理においては、記録部6が用紙9に対して記録を行ったか否かを判定する。
また、上述の実施形態では、故障判定処理において装着センサ40が故障していると判定された場合、FAX通信による記録指令を受信したときは記録部6で画像の記録が行われるように制御し、FAX通信による記録指令以外の記録指令を受信したときは記録部6で画像の記録が行われないように制御する場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、例えば、故障判定処理において装着センサ40が故障していると判定された場合に、装着センサ40からの出力される装着信号の内容にかかわらず、仮に、給紙トレイ90が装着部20に装着されていないこと示す装着信号が出力されていても、記録指令の種類によらず記録部6で画像の記録を行うようにしてもよい。これにより、装着センサ40が故障している場合に、装着部20に給紙トレイ90が装着されているにもかかわらず装着されていないと誤判定されて記録が実行できなくなるのを防ぐことができる。
加えて、上述の実施形態では、プリント機能、スキャン機能、及びコピー機能を有する複合機1に発明を適用した例について説明したが、スキャン機能やコピー機能を有さない各種記録装置にも本発明は適用可能である。