JP6525354B2 - 電源平滑用のコンデンサ回路 - Google Patents
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Description
従って,この直流電源電圧Vbが印加される半導体素子の耐圧は,特定高電圧Vpp以上のものが使用され,電力半導体素子においてはこの程度の耐圧には特段の問題はない。しかし,電源平滑用のアルミ電解コンデンサについては,その静電容量と耐圧との積によってコンデンサの大きさ寸法が著しく変化し,工夫を要する課題となっている。
従って,ロードダンプ電圧以下の高耐圧のバックアップコンデンサC1・C2を,高電圧で充電しておくことにより,小さな静電容量で大きな静電エネルギーを蓄積しておくことができるようになっている。
(1)従来技術の課題の説明
前記の特許文献1による電源回路装置では,バックアップコンデンサC1・C2が第2昇圧回路12を介して高圧充電されているので,バッテリ電圧の低下状態においても十分なバックアップエネルギーを充電しておくことができて,小形のコンデンサを用いて比較的長時間の電源瞬断異常に対応することができる特徴がある。
しかしながら,バックアップコンデンサC1・C2にロードダンプ電圧が印可されないようにするためには第2昇圧回路12による電圧制限機能が必要となり,昇圧回路を必要としない電源平滑用のコンデンサとしては大型・高価となる問題点がある。
しかしながら,点火回路5及びバックアップコンデンサ4bにロードダンプ電圧が印可されないようにするためには昇圧回路3を用いる必要があり,昇圧回路を必要としない電源平滑用のコンデンサとしては大型・高価となる問題点がある。
この発明は,電源電圧の脈動変動を抑制して,その平均電圧を上昇させることを目的とした電源平滑用のコンデンサに対し,ロードダンプ電圧或いはジャンプスタート電圧による異常高電圧が印可されないようにして,小型・安価なコンデンサを使用することができる簡易なコンデンサ回路を提供することである。
充放電開閉素子を介して前記第1コンデンサと並列接続されている。
また,第1コンデンサの充電電圧が低下すると,第2コンデンサによる充電電荷が充放電開閉素子の逆導通によって放電され,内部寄生ダイオードに依存しない放電を行うことにより,出力電圧の低下を抑制することができる効果がある。
なお,充放電開閉素子は通常運転中は常時閉路していて,負荷電流の一部となるリップル電流が流れるものであって消費電力は小さく,小形安価なトランジスタを使用することができるものである。
また,第1コンデンサの充電電圧が低下しても,第2コンデンサから上流電源側に対する放電は充電制御素子の内部寄生ダイオードの順方向電圧の範囲で逆流が阻止されて,第2コンデンサに対する充電電荷をもれなく負荷回路に供給して,負荷電圧を安定化させることができるとともに,充電制御回路以降の下流回路素子の耐圧を低く設定することができる効果がある。
なお,充電制御素子のゲート回路に接続される通電駆動トランジスタと通電制御トランジスタとは,どちらが上流又は下流位置に直列接続されてもよいものである。
(1)構成及び作用・動作の詳細な説明
まず,この発明の実施の形態1によるコンデンサ回路を含む車載電子制御装置の全体回路ブロック図である図1と,図1のものの逆流防止回路の第1形態と第2形態を示す回路図である図2Aと図2Bについて,その構成と作用・動作を詳細に説明する。
図1において,車載電子制御装置100AはマイクロプロセッサCPUを含む演算制御回路170を主体として構成されている。
車載電子制御装置100Aには,負極端子が車体のグランド回路GNDに接続されている車載バッテリ101から,電源スイッチ102と等価配線抵抗120を有する接続配線を介して直流電源電圧Vbが印加されているとともに,車載電子制御装置100A内の入出力中継回路180Aを介して,車載の入力センサ群103と電気負荷群104が接続されている。
なお,電気負荷群104には様々なものがあるが,この実施形態においては補機駆動用の電源リレー,或いは警報表示機器などの軽負荷を想定したものとなっていて,入出力中継回路180Aにはコンデンサ回路110Aの第2コンデンサ140Aを介さないで,直流電源電圧Vbが直接印加されている。
しかしながら,後述の逆流防止回路200Xが接続されていないときは,第2コンデンサ回路140Aはこの入出力中継回路180Aに対しても有効となるものである。
なお,演算制御回路170の主体要素であるマイクロプロセッサCPUは,その電源電圧が例えばDC4V以下になると自動的に制御動作を停止するようになっている。
ここで,DC12V系の車載バッテリ101の出力電圧は通常は最小電圧Vmin=DC8Vから最大電圧Vmax=DC16Vが想定されるのに対し,エンジン始動時の低速回転時にはクランク角度位置に応動して,最低電圧V00=DC4〜8Vの脈動電圧を想定する必要がある。
また,車載バッテリ101の電圧異常時に補助バッテリを直列接続したエンジン始動を行ったときにはジャンプスタート電圧としてVpp=DC24Vを想定し,バッテリ端子外れによって一時的に充電発電機の出力電圧が上昇するロードダンプ電圧としてはVpp=DC30Vを想定する必要がある。
また,第2コンデンサ140Aは例えばDC25Vの耐圧を有する導電性高分子ハイブリッド型アルミ電解コンデンサであり,この第2コンデンサ140Aには充放電開閉素子130Aが直列接続され,その直列回路は第1コンデンサ111Aに対して並列接続されている。
従って,点線で図示した後述の逆流防止回路200Xを設けていないときには,直流電源電圧Vbと平滑電源電圧Vbaは同じで電圧となっていて,第1及び第2コンデンサは断続負荷電流によって変動する等価配線抵抗120による電圧降下の変動を抑制するものとなっている。
充放電開閉素子130Aは内部寄生ダイオード130dを有するPチャネル型の電界効果型トランジスタであり,そのソース端子は第1コンデンサ111Aの正極端子に接続され,ドレーン端子は第2コンデンサ140Aの正極端子に接続されている。
この通電制御トランジスタ133はNPN接合型トランジスタであり,ベース回路に設けられた通電駆動抵抗134を介して比較判定回路150から通電駆動されるとともに,ベース端子とエミッタ端子との間には開路安定抵抗135が接続されている。
比較制御部となる比較判定回路150の正側入力端子には,基準電圧発生回路151が発生する比較基準電圧Vbcが印加され,負側入力端子には第1コンデンサ111Aの両端に接続された第1分圧抵抗152と第2分圧抵抗153による分圧電圧が比較入力抵抗154を介して印加されている。
これにより,第1コンデンサ111Aの両端電圧が,最大電圧Vmaxを超過したときには比較判定回路150の出力が論理レベル「L」となって,通電駆動抵抗134に対する出力を停止して充放電開閉素子130Aが開路され。第2コンデンサ140Aには最大電圧Vmaxを超過する高電圧は印可されないようになっている。
その結果,第1コンデンサ111Aの充電電圧が第2コンデンサ140Aの充電電圧よりも高いときには,充放電開閉素子130Aが順方向(内部寄生ダイオード130dの通電方向とは反対の方向)に導通して第2コンデンサ140Aに充電電流が流れ,第1コンデンサ111Aの充電電圧が第2コンデンサ140Aの充電電圧よりも低いときには,充放電開閉素子130Aが逆方向(内部寄生ダイオード130dの通電方向と同じ方向)に導通して第2コンデンサ140Aの放電電流が流れるようになっている。
従って,充放電開閉素子130Aの閉路電圧は微小であり,第1コンデンサ111Aと第2コンデンサ140Aは互いに並列接続された一体のコンデンサとして機能することになる。
但し,第2コンデンサ140Aの耐圧は第1コンデンサ111Aの耐圧よりも低く設定することができるので,小形のコンデンサによって同じ静電容量を得ることができるものである。
逆流防止素子201xのソース端子とゲート端子との間には分圧ゲート抵抗202と電圧制限素子203とが並列接続され,このゲート端子とグランド回路GNDとの間には駆動抵抗204を介して通電駆動トランジスタ205が接続されている。
この通電駆動トランジスタ205はNPN接合型トランジスタであり,ベース回路に設けられたベース抵抗206を介して通電方向判定回路208から通電駆動されるとともに,ベース端子とエミッタ端子との間には開路安定抵抗207が接続されている。
通電方向判定回路208の正側入力端子は,逆流防止素子201xのドレーン端子に接続され,負側入力端子はソース端子に接続されている。
但し,第1コンデンサ111Aの両端電圧が最大電圧Vmaxを超過していると,図1における充放電開閉素子130Aが開路して,第2コンデンサ140Aへの充電は禁止されているので,逆流防止素子201xの内部寄生ダイオード201dから第2コンデンサ140Aに充電電流が流れることはないが,定電圧電源回路160の耐圧は高くしておく必要がある。
一方,図1における第1コンデンサ111Aの正極端子に接続されている逆流防止素子201xのドレーン端子側の電位が,ソース端子側の電位よりも低いときには通電方向判定回路208の出力が論理レベル「L」となって,通電駆動トランジスタ205と逆流防止素子201xが消勢開路されて,第2コンデンサ140Aから第1コンデンサ110Aへの逆流放電は行えないようになっている。
これにより,車載バッテリ101自体に電圧変動が発生しているときに,第2コンデンサ140Aから電源側への逆放電が発生せず,第2コンデンサ140Aの電圧低下を抑制して平滑特性が向上することになる。
即ち,逆流防止素子201yは逆流防止素子201xのソース端子とドレーン端子を入れ替えて接続しただけのものであって,その他は同じ回路構成となっており,図1における逆流防止回路200Xを図2Bにおける逆流防止回路200Yに置換えても同等の機能を持つことになる。
但し,第2コンデンサ140A側の充電電圧が第1コンデンサ側の充電電圧よりも高くて,その差分値が内部寄生ダイオード201dの順方向電圧よりも大きくなると,逆流防止回路200Yの場合には第2コンデンサ140A側から第1コンデンサ側への放電が行われることになる。
しかし,電源平滑コンデンサの役割として,例えば±0.5Vの電源電圧変動を半減し
て±0.25V程度にすることを狙いとしている場合には,どちらの回路形式であって
もよいことになる。
図3において,車載バッテリ101から前述したコンデンサ回路110Aを介して平滑電源電圧Vbaが給電される定電圧電源回路160は,縦続接続された前段定電圧回路160aと後段定電圧回路160bによって構成されている。
前段定電圧回路160aにおいて,前段開閉素子60aはソース端子に平滑電源電圧Vbaが印加され,そのドレーン端子は誘導素子61aを介して中段コンデンサ62aの正極端子に接続されて,中間電圧Vaを発生するPチャネル型の電界効果型トランジスタであり,このドレーン端子とグランド回路GNDとの間には転流ダイオード63aが接続されている。
前段開閉素子60aのゲート端子とグランド回路GND間に接続された断続制御回路64aは,目標電圧発生回路65aが発生する目標中段電圧Vaaと,中段コンデンサ62aの両端に接続された中段分圧抵抗66a・67aによる分圧電圧とを比較して,中段コンデンサ62aの両端電圧が例えばDC8Vの目標中間電圧Vaと等しくなる関係に前段開閉素子60aのゲート回路を断続するパルス幅変調方式の負帰還制御回路である。
このリニア制御回路64bは,目標電圧発生回路65bが発生する目標後段電圧Vccと,後段コンデンサ62bの両端に接続された後段分圧抵抗66b・67bによる分圧電圧とを比較して,後段コンデンサ62bの両端電圧が例えばDC5Vの目標安定化電圧Vcと等しくなる関係に後段開閉素子60bのベース電流を連続制御する負帰還制御回路である。
このように構成された定電圧電源回路160において,直流電源電圧Vbが低下して,中段電圧Vaに略等しくなっているときには,第2コンデンサ140Aによって電源電圧の脈動振幅を抑制しておくことによって,断続制御回路64aによる負帰還制御の安定性に効果がある。
また,直流電源電圧Vbが更に異常低下してDC4〜6Vで脈動しているときには,前段開閉素子60aのみならず,後段開閉素子60bも連続通電状態となっているが,後段開閉素子60bとして接合型トランジスタを使用しておくと,後段コンデンサ62bの充電電荷が上流側へ逆流放電することがなく,後段開閉素子60bとして電界効果型トランジスタを使用した場合であっても,逆流防止回路200Xがあれば後段コンデンサ62bの充電電荷が上流側へ逆流放電することがなく,最小電圧DC4Vを維持することができることになる。
以上の説明で明らかなとおり,この発明の実施の形態1による電源平滑用のコンデンサ回路は,車載電気負荷に対して給電する車載電子制御装置100Aに内蔵されて,車載バッテリ101から得られるグランド回路GNDに対する電位である直流電源電圧Vbの変動を抑制する電源平滑用のコンデンサ回路110Aであって,前記コンデンサ回路110Aは,第1コンデンサ111Aと第2コンデンサ140A及び比較制御部に応動する充放電開閉素子130Aを包含し,前記第1コンデンサ111Aには,前記車載バッテリ101から等価配線抵抗120を介して前記直流電源電圧Vbが印加され,この直流電源電圧Vbは通常状態において最小電圧Vminから最大電圧Vmaxの間で変動するとともに,前記車載バッテリ101の電圧異常時に補助バッテリを直列接続したエンジン始動を行うジャンプスタート電圧,又は,バッテリ端子外れによって一時的に充電発電機の出力電圧が上昇するロードダンプ電圧による特定高電圧Vppが印加されて,前記第1コンデンサ111Aの耐圧は前記特定高電圧Vpp以上となっており,前記第2コンデンサ140Aは,内部寄生ダイオード130dを包含した電界効果型トランジスタである前記充放電開閉素子130Aを介して前記第1コンデンサ111Aと並列接続されている。
以上のとおり,この発明の請求項2に関連し,充放電開閉素子は,第2コンデンサの上流位置に接続されたPチャネル型の電界効果型トランジスタとなっている。
従って,昇圧回路を必要とせず,簡単なゲート駆動回路によって充放電開閉素子を正逆両方向に導通駆動して,閉路駆動時の充放電開閉素子の電圧降下を抑制することができる特徴がある。
従って,第1コンデンサ側から第2コンデンサ側に充電された電荷は,第1コンデンサとこれに繋がる車載バッテリ及びその他の電気負荷側へ放電することがなく,第1コンデンサ側の電圧が低下したときに,第2コンデンサに繋がる電気負荷に対する電圧低下を抑制することができる特徴がある。
なお,逆流防止素子に含まれる内部寄生ダイオードの通電方向は,第2コンデンサから第1コンデンサへの放電電流を阻止する方向とするのが順当であるが,仮に逆方向の接続となっていても,第2コンデンサの充電電圧と第1コンデンサの充電電圧との差分値が,内部寄生ダイオードの両端降下電圧よりも小さいときには同等の効果が得られるものであ
る。
従って,簡易な比較判定回路を用いて,第2コンデンサに対する過大電圧の印加が防止され,第2コンデンサの耐圧を下げて大きな静電容量のコンデンサを適用して,電源平滑特性を向上することができる特徴がある。
なお,複数の電気負荷に対してそれぞれに電源平滑コンデンサを設ける場合においては,第1コンデンサと比較判定回路を共用して,充放電開閉素子と第2コンデンサを個別に設けることが可能となるものである。
(1)構成及び作用・動作の詳細な説明
次に,この発明の実施の形態2によるコンデンサ回路を含む車載電子制御装置の全体回路ブロック図である図4と,図4のものの負荷回路の一部である定電流制御回路の回路ブロック図である図5について,図1のものとの相違点を中心にしてその構成と作用・動作を詳細に説明する。
なお,各図において,同一符号は同一又は相当部分を示している。
図4において,車載電子制御装置100BはマイクロプロセッサCPUを含む演算制御回路170を主体として構成されている。
車載電子制御装置100Bには,負極端子が車体のグランド回路GNDに接続されている車載バッテリ101から,電源スイッチ102と等価配線抵抗120を有する接続配線を介して直流電源電圧Vbが印加されているとともに,車載電子制御装置100B内の入出力中継回路180Bを介して,車載の入力センサ群103と電気負荷群104が接続されている。
なお,電気負荷群104には様々なものがあるが,この実施形態においては自動変速機におけるリニアソレノイドに対する定電流制御回路190Bを包含している。
コンデンサ回路110Bは,例えばDC35Vの耐圧を有する非個体アルミ電解コンデンサである第1コンデンサ111Bと,例えばDC25Vの耐圧を有する導電性高分子ハイブリッド型アルミ電解コンデンサである第2コンデンサ140Bと,この第2コンデンサ140Bの下流に直列接続されたNチャネル型の電界効果型トランジスタである充放電開閉素子130Bとを備え,第2コンデンサ140Bと充放電開閉素子130Bとの直列回路は第1コンデンサ111Bに対して並列接続されている。
従って,点線で図示した前述の逆流防止回路200Xを設けていないときには,直流電源電圧Vbと平滑電源電圧Vbbは同じで電圧となっていて,第1及び第2コンデンサは断続負荷電流によって変動する等価配線抵抗120による電圧降下の変動を抑制するものとなっている。
内部寄生ダイオード130dを有する充放電開閉素子130Bのゲート端子は,マイクロプロセッサCPUが発生する閉路指令信号Vonによって通電駆動抵抗134を介して閉路駆動され,そのゲート端子とソース端子との間には開路安定抵抗135が並列接続されている。
そして,このマイクロプロセッサCPUは,監視電圧Vmnのデジタル変換値と比較基準電圧Vbcのデジタル値とを比較して,第1コンデンサ111Bの両端電圧が最大電圧Vmax以下であるときに閉路指令となる閉路指令信号Vonが発生するようになっている。
なお,マイクロプロセッサCPUが不作動であるときには,閉路指令信号Vonは安定化電源電圧Vcとグランド回路GNDに対して高抵抗で接続された不確定な中間電圧となっているが,通電駆動抵抗134の上流又は下流端子を開路安定抵抗135を介してグランド回路GNDに接続しておくことによって充放電開閉素子130Bを開路状態に維持しておくようになっている。
一方,第1コンデンサ111Bの両端電圧が,最大電圧Vmax以下であるときには閉路指令信号Vonが論理レベル「H」となって,通電駆動抵抗134を介して充放電開閉素子130Bが閉路駆動されるようになっている。
その結果,第1コンデンサ111Bの充電電圧が第2コンデンサ140Bの充電電圧よりも高いときには,充放電開閉素子130Bが順方向(内部寄生ダイオード130dの通電方向とは反対の方向)に導通して第2コンデンサ140Bに充電電流が流れ,第1コンデンサ111Bの充電電圧が第2コンデンサ140Bの充電電圧よりも低いときには,充放電開閉素子130Bが逆方向(内部寄生ダイオード130dの通電方向と同じ方向)に導通して第2コンデンサ140Bの放電電流が流れるようになっている。
但し,第2コンデンサ140Bの耐圧は第1コンデンサ111Bの耐圧よりも低く設定することができるので,小形のコンデンサによって同じ静電容量を得ることができるものであることは図1のものと同様である。
図4のものの変形形態として,図2A又は図2Bで前述した逆流防止回路200X・200Yを付加した場合には,車載バッテリ101の発生電圧が脈動増大したとき充電された第2コンデンサ140Bの充電電荷が,脈動減少したときに車載バッテリ101側に逆流放出されることがなく,直流電源電圧Vbよりも安定した平滑電源電圧Vbbが得られるようになるものである。
なお,車載バッテリ101の接続極性を誤ったときの異常発生を防止するために,電源スイッチ102が逆流防止素子を内蔵している場合には,コンデンサ回路110Bやコンデンサ回路110A内の逆流防止回路200Xがなくても車載バッテリ101への逆流放電は発生しないことになる。
しかし,コンデンサ回路110A内に逆流防止回路200Xを設けておくと,第2コンデンサ140A(図1参照)からコンデンサ回路110B内の第1コンデンサ111Bや第2コンデンサ140Bへ放電する経路が断たれ,コンデンサ回路110A内の平滑電源電圧Vbaを安定化させることができることになる。
図5において,車載バッテリ101から前述したコンデンサ回路110Bを介して平滑電源電圧Vbbが給電される定電流制御回路190Bは,自動変速機における複数の変速段選択電磁弁を駆動する第1〜第3リニアソレノイド109a〜109cに対して,それぞれに可変一定の励磁電流を供給する第1〜第3負帰還回路99a〜99cを備えている。
なお,自動車の自動変速機では複数の変速段を選択するために3〜5個の比例電磁弁が使用され,この内の1個又は複数個の比例電磁コイル(リニアソレノイド)は様々な目標平均電流によって同時に通電制御されて,可変の目標平均電流を中心とした所定のディザ(Dither)振幅電流が重畳されていて,このデイザ電流は被駆動体に静止摩擦抵抗が発生しないように微振動を付与しておくために,所定周期の増減電流を付与しておくためのものである。
また,120℃の高温環境で,比例電磁コイル自体の温度上昇40℃を加算した160℃の負荷抵抗において,最低電圧DC6Vでも正常動作するように設計された比例電磁コイルの場合,−40℃の低温環境で比例電磁コイル自体の温度上昇10℃を加算した−30℃の負荷抵抗においては,DC4.2Vでも最大電流が流れる低抵抗となっており,この状態でDC16Vが印可されて,最大電流の20%の目標平均電流を得ようとした場合には,4.2×20/16=5.1%の電圧に制御する必要がある。
ここに,例えば最大電流の±5%のデイザ振幅電流を加算するためには,脈動変動が小さな安定した電源電圧が必要となり,コンデンサ回路110Bが効果的に利用される用途の事例を示したものとなっている。
以上の説明で明らかなとおり,この発明の実施の形態2による電源平滑用のコンデンサ回路は,車載電気負荷に対して給電する車載電子制御装置100Bに内蔵されて,車載バッテリ101から得られるグランド回路GNDに対する電位である直流電源電圧Vbの変動を抑制する電源平滑用のコンデンサ回路110Bであって,前記コンデンサ回路110Bは,第1コンデンサ111Bと第2コンデンサ140B及び比較制御部に応動する充放電開閉素子130Bを包含し,前記第1コンデンサ111Bには,前記車載バッテリ101から等価配線抵抗120を介して前記直流電源電圧Vbが印加され,この直流電源電圧Vbは通常状態において最小電圧Vminから最大電圧Vmaxの間で変動するとともに,前記車載バッテリ101の電圧異常時に補助バッテリを直列接続したエンジン始動を行うジャンプスタート電圧,又は,バッテリ端子外れによって一時的に充電発電機の出力電圧が上昇するロードダンプ電圧による特定高電圧Vppが印加されて,前記第1コンデンサ111Bの耐圧は前記特定高電圧Vpp以上となっており,前記第2コンデンサ140Bは,内部寄生ダイオード130dを包含した電界効果型トランジスタである前記充放電開閉素子130Bを介して前記第1コンデンサ111Bと並列接続されている。
以上のとおり,この発明の請求項3に関連し,充放電開閉素子は,第2コンデンサの下流位置に接続されたNチャネル型の電界効果型トランジスタとなっている。
従って,昇圧回路を必要とせず,簡単なゲート駆動回路によって充放電開閉素子を正逆両方向に導通駆動して,閉路駆動時の充放電開閉素子の電圧降下を抑制することができる特徴がある。
従って,第1コンデンサ側から第2コンデンサ側に充電された電荷は,第1コンデンサとこれに繋がる車載バッテリ及びその他の電気負荷側へ放電することがなく,第1コンデンサ側の電圧が低下したときに,第2コンデンサに繋がる電気負荷に対する電圧低下を抑制することができる特徴がある。
なお,逆流防止素子に含まれる内部寄生ダイオードの通電方向は,第2コンデンサから第1コンデンサへの放電電流を阻止する方向とするのが順当であるが,仮に逆方向の接続となっていても,第2コンデンサの充電電圧と第1コンデンサの充電電圧との差分値が,内部寄生ダイオードの両端降下電圧よりも小さいときには同等の効果が得られるものである。
従って,簡易なソフトウエア手段を用いて,第2コンデンサに対する過大電圧の印加が防止され,第2コンデンサの耐圧を下げて大きな静電容量のコンデンサを適用して,電源平滑特性を向上することができる特徴がある。
なお,複数の電気負荷に対してそれぞれに電源平滑コンデンサを設ける場合においては,第1コンデンサと演算制御回路を共用して,充放電開閉素子と第2コンデンサを個別に設けることが可能となるものである。
(1)構成及び作用・動作の詳細な説明
次に,この発明の実施の形態3によるコンデンサ回路を含む車載電子制御装置の全体回路ブロック図である図6と,図6のものの充電制御回路の回路ブロック図である図7について,図1のものとの相違点を中心にしてその構成と作用・動作を詳細に説明する。
なお,各図において,同一符号は同一又は相当部分を示している。
図6において,車載電子制御装置100CはマイクロプロセッサCPUを含む演算制御回路170を主体として構成されている。
車載電子制御装置100Cには,負極端子が車体のグランド回路GNDに接続されている車載バッテリ101から,電源スイッチ102と等価配線抵抗120を有する接続配線を介して直流電源電圧Vbが印加されているとともに,車載電子制御装置100C内の入出力中継回路180Cを介して,車載の入力センサ群103と電気負荷群104が接続されている。
なお,電気負荷群104には様々なものがあるが,この実施形態においては燃料噴射用電磁弁に対する昇圧制御回路190Cを包含している。
コンデンサ回路110Cは,例えばDC35Vの耐圧を有する非個体アルミ電解コンデンサである第1コンデンサ111Cと,例えばDC25Vの耐圧を有する導電性高分子ハイブリッド型アルミ電解コンデンサである第2コンデンサ140Cと,この第2コンデンサ140Cと第1コンデンサ111Cとの間に接続されたPチャネル型の電界効果型トランジスタである後述の充電制御回路230とを備えている。
マイクロプロセッサCPUは,制御プログラム及び比較基準電圧Vbcを格納したプログラムメモリPGMと,多チャンネルAD変換器ADCを備え,この多チャンネルAD変換器ADCには,第1コンデンサ111Cの両端に接続された第1及び第2分圧抵抗152・153による分圧電圧が監視電圧Vmnとして入力されている。
なお,マイクロプロセッサCPUが不作動であるときには,閉路指令信号Vonは安定化電源電圧Vcとグランド回路GNDに対して高抵抗で接続された不確定な中間電圧となっているが,通電駆動抵抗134の上流又は下流端子を開路安定抵抗135を介してグランド回路GNDに接続しておくことによって通電制御トランジスタ133を開路状態に維持しておくようになっている。
一方,第1コンデンサ111Cの両端電圧が,最大電圧Vmax以下であるときには閉路指令信号Vonが論理レベル「H」となって,通電駆動抵抗134を介して充電制御回路230が閉路駆動されるようになっている。
その結果,第1コンデンサ111Cの充電電圧が第2コンデンサ140Cの充電電圧よりも高いときには,後述の充電制御回路230が順方向(内部寄生ダイオード130dの通電方向とは反対の方向)に導通して第2コンデンサ140Cに充電電流が流れ,第1コンデンサ111Cの充電電圧が第2コンデンサ140Cの充電電圧よりも低いときには充電制御回路230が開路して,第2コンデンサ140Cの充電電荷は下流の負荷回路には放電するが,その電圧差が内部寄生ダイオード231dの順方向電圧以下であるときには上流回路には放電しないようになっている。
充電制御素子231のソース端子とゲート端子との間には分圧ゲート抵抗202と電圧制限素子203とが並列接続され,このゲート端子とグランド回路GNDとの間には駆動抵抗204を介して通電駆動トランジスタ205が接続されている。
この通電駆動トランジスタ205はNPN接合型トランジスタであり,ベース回路に設けられたベース抵抗206を介して通電方向判定回路208から通電駆動されるとともに,ベース端子とエミッタ端子との間には開路安定抵抗207が接続されている。
通電方向判定回路208の正側入力端子は,充電制御素子231のソース端子に接続され,負側入力端子はドレーン端子に接続されている。
従って,図6における第1コンデンサ111Cの正極端子に接続されている充電制御素子231のソース端子側の電位が,ドレーン端子側の電位よりも高いときには通電方向判定回路208の出力が論理レベル「H」となって,ベース抵抗206と通電駆動トランジスタ205とを介して充電制御素子231が閉路駆動されて,第1コンデンサ111Cから第2コンデンサ140Cへの充電が可能となっている。
ついて,その構成と作用・動作を詳細に説明する。
図8において,車載バッテリ101から前述したコンデンサ回路110Cを介して平滑電源電圧Vbbが給電される昇圧制御回路190Cは,昇圧開閉素子92によって断続励磁されて,充電ダイオード94を介して昇圧コンデンサ90を充電する昇圧用誘導素子91を備えている。
この昇圧用誘導素子91には,昇圧開閉素子92が閉路したときに電流検出抵抗93を介してグランド回路GNDに接続されて励磁電流が流れ,昇圧開閉素子92が開路したときに高電圧を発生して充電ダイオード94を介して昇圧コンデンサ90を充電し,複数回の昇圧開閉素子92の断続動作によって昇圧コンデンサ90の充電電圧が,所定の昇圧電圧Vhとなるように充電されるようになっている。
そして,この昇圧電圧は図示しない複数の燃料噴射用電磁弁に順次分配給電されて電磁
弁の急速動作を行うようになっている。
しかし,昇圧コンデンサ90の両端電圧が目標とする昇圧電圧Vhに到達するまでの期間においては,開閉時間制限回路97が発生する開閉断続信号によって昇圧開閉素子92を断続駆動するようになっていて,その閉路時間は閉路制限時間Tonに制限され,開路時間は第1の開路制限時間T1によって制限されている。
但し,昇圧開閉素子92が閉路駆動されてから閉路制限時間Tonが経過するまでに,電流検出抵抗93によって検出された励磁電流が,所定の上限電流Ipに達したときには,閉路制限時間Tonを待たないでこの時点で昇圧開閉素子92は開路され,第2の開路制限時間T2(>T1)を置いて再閉路するようになっている。
その結果,車載バッテリ101の出力電圧が異常低下しているときには,昇圧用誘導素子91に対する励磁電流が上限電流Ipに到達するのを待たないで断続動作を行い,開路時間も短くしておくことによって低速エンジン回転速度で異常低電圧時における燃料噴射を可能としているものである。
これは,始動電動機によるエンジンの始動中において,エンジンが自立回転する前の低速回転時におけるバッテリ電圧の異常低下を想定した,昇圧制御回路側での改善策となっている。
また,図6におけるコンデンサ回路110Cに代わって,図1又は図4で示されたコンデンサ回路110A・110Bにおいて,逆流防止回路200Xを使用しなかった場合には,第2コンデンサ側から第1コンデンサ側に逆流することは防止できないが,第1コンデンサ及び第2コンデンサによる電源平滑機能によって,高速エンジン回転速度領域における平滑電源電圧Vbbが上昇し,これによって1回の燃料噴射期間において複数回の燃料噴射を行う分割噴射性能を向上させることができるものである。
以上の説明で明らかなとおり,この発明の実施の形態3による電源平滑用のコンデンサ回路は,車載電気負荷に対して給電する車載電子制御装置100Cに内蔵されて,車載バッテリ101から得られるグランド回路GNDに対する電位である直流電源電圧Vbの変動を抑制する電源平滑用のコンデンサ回路110Cであって,前記コンデンサ回路110Cは,第1コンデンサ111Cと第2コンデンサ140C及び比較制御部と通電方向判定回路208とに応動する充電制御回路230を包含し,前記第1コンデンサ111Cには,前記車載バッテリ101から等価配線抵抗120を介して前記直流電源電圧Vbが印加され,この直流電源電圧Vbは通常状態において最小電圧Vminから最大電圧Vmaxの間で変動するとともに,前記車載バッテリ101の電圧異常時に補助バッテリを直列接続したエンジン始動を行うジャンプスタート電圧,又は,バッテリ端子外れによって一時的に充電発電機の出力電圧が上昇するロードダンプ電圧による特定高電圧Vppが印加されて,前記第1コンデンサ111Cの耐圧は前記特定高電圧Vpp以上となっており,前記第2コンデンサ140Cは,前記充電制御回路230を構成するPチャネル型の電界効果型トランジスタである充電制御素子231を介して前記第1コンデンサ111C側から充電され,前記比較制御部は,前記第1コンデンサ111Cの両端電圧が,前記最大電圧Vmaxを超過したときに通電駆動抵抗134に対する出力を停止して,通電制御トランジスタ133を介して前記充電制御素子231が開路される演算制御回路170となっている。
従って,簡易なソフトウエア手段を用いて,第2コンデンサに対する過大電圧の印加が防止され,第2コンデンサの耐圧を下げて大きな静電容量のコンデンサを適用して,電源平滑特性を向上することができる特徴がある。
なお,複数の電気負荷に対してそれぞれに電源平滑コンデンサを設ける場合においては,第1コンデンサと演算制御回路を共用して,充電制御回路と第2コンデンサを個別に設けることが可能となるものである。
以上のとおり,この発明の請求項10に関連し,第1コンデンサは安価で高耐圧品が揃う一般のアルミ電解コンデンサを使用し,第2コンデンサは等価直列抵抗が小さくで高周波特性に優れた導電性高分子ハイブリッド型アルミ電界コンデンサを使用している。
従って,いずれのコンデンサもオープン故障モードであって,協調補完を行ってノイズ電圧の発生を抑制することができる特徴がある。
これは,実施の形態1から4の全てについて同様である。
(1)構成及び作用・動作の詳細な説明
次に,この発明の実施の形態4によるコンデンサ回路を含む車載電子制御装置の全体回路ブロック図である図9とについて,図6のものとの相違点を中心にしてその構成と作用・動作を詳細に説明する。
なお,各図において,同一符号は同一又は相当部分を示している。
図9において,車載電子制御装置100DはマイクロプロセッサCPUを含む演算制御回路170を主体として構成されている。
車載電子制御装置100Dには,負極端子が車体のグランド回路GNDに接続されている車載バッテリ101から,電源スイッチ102と等価配線抵抗120を有する接続配線を介して直流電源電圧Vbが印加されているとともに,車載電子制御装置100D内の入出力中継回路180Cを介して,車載の入力センサ群103と電気負荷群104が接続されている。
なお,電気負荷群104には様々なものがあるが,この実施形態においては実施の形態3と同様に燃料噴射用電磁弁に対する昇圧制御回路190Cを包含している。
コンデンサ回路110Dは,例えばDC35Vの耐圧を有する非個体アルミ電解コンデンサである第1コンデンサ111Dと,例えばDC25Vの耐圧を有する導電性高分子ハイブリッド型アルミ電解コンデンサである第2コンデンサ140Da・140Dbと,この第2コンデンサ140Da・140Dbと第1コンデンサ111Dとの間に接続されたPチャネル型の電界効果型トランジスタである充電制御回路230a・230bとを備えている。
この充電制御回路230a・230bは,いずれも図7で前述した充電制御回路230と同等のものであって,そのゲート回路には通電制御トランジスタ133a・133bが追加接続されている。
比較制御部となる比較判定回路150の正側入力端子には,基準電圧発生回路151が発生する比較基準電圧Vbcが印加され,負側入力端子には第1コンデンサ111Dの両端に接続された第1分圧抵抗152と第2分圧抵抗153による分圧電圧が比較入力抵抗154を介して印加されている。
これにより,第1コンデンサ111Dの両端電圧が,最大電圧Vmaxを超過したときには比較判定回路150の出力が論理レベル「L」となって,通電駆動抵抗134a・134bに対する出力を停止して充電制御回路230a・230b内の充電制御素子231が開路され。第2コンデンサ140Da・140Dbには最大電圧Vmaxを超過する高電圧は印可されないようになっている。
その結果,第1コンデンサ111Dの充電電圧が第2コンデンサ140Da・140Dbの充電電圧よりも高いときには,充電制御素子231が順方向(内部寄生ダイオード231dの通電方向とは反対の方向)に導通して第2コンデンサ140Da・140Dbに充電電流が流れ,第1コンデンサ111Dの充電電圧が第2コンデンサ140Da・140Dbの充電電圧よりも低いときには,その差電圧が内部寄生ダイオード231dの順方向電圧以下であるときであれば第2コンデンサ140Da・140Db側から第1コンデンサ111D側への逆流放電は発生しないようになっている。
また,複数の電気負荷に対して大容量の電源平滑コンデンサを共用することも可能であるが,大容量電気負荷と小容量電気負荷が混在して,小容量電気負荷の電源電圧変動を厳しく抑制したい場合には,それぞれの電気負荷に対して個別に電源平滑コンデンサを設けたほうが有利となるものである。
しかしながら,電源電圧の変動要因には,高頻度に断続制御される負荷電流と電源配線におけるインダクタンス成分による電圧降下の発生に起因する第1要因と,エンジン始動時に発生する比較的低周波の電源電圧自体の脈動に起因する第2要因とがあり,この第2要因を重視する用途では平滑コンデンサの充電電荷が電源側に放電しないための逆流防止
の概念を付加するのが望ましい。
そして,実施の形態1・2では,点線で示された逆流防止回路200Xがこれに相当し,実施の形態3・4では,高圧遮断機能と逆流防止機能を兼用した充電制御回路230;230a・230bが使用されている。
以上の説明で明らかなとおり,この発明の実施の形態4による電源平滑用のコンデンサ回路は,車載電気負荷に対して給電する車載電子制御装置100Dに内蔵されて,車載バッテリ101から得られるグランド回路GNDに対する電位である直流電源電圧Vbの変動を抑制する電源平滑用のコンデンサ回路110Dであって,前記コンデンサ回路110Dは,第1コンデンサ111Dと第2コンデンサ140Da・140Db及び比較制御部と通電方向判定回路208とに応動する充電制御回路230a・230bを包含し,前記第1コンデンサ111Dには,前記車載バッテリ101から等価配線抵抗120を介して前記直流電源電圧Vbが印加され,この直流電源電圧Vbは通常状態において最小電圧Vminから最大電圧Vmaxの間で変動するとともに,前記車載バッテリ101の電圧異常時に補助バッテリを直列接続したエンジン始動を行うジャンプスタート電圧,又は,バッテリ端子外れによって一時的に充電発電機の出力電圧が上昇するロードダンプ電圧による特定高電圧Vppが印加されて,前記第1コンデンサ111Dの耐圧は前記特定高電圧Vpp以上となっており,前記第2コンデンサ140Da・140Dbは,前記充電制御回路230a・230bを構成するPチャネル型の電界効果型トランジスタである充電制御素子231を介して前記第1コンデンサ111D側から充電され,前記比較制御部は,前記第1コンデンサ111Dの両端電圧が,前記最大電圧Vmaxを超過したときに通電駆動抵抗134a・134bに対する出力を停止して,通電制御トランジスタ133a・133bを介して前記充電制御素子231が開路される比較判定回路150となっている。
従って,簡易な比較判定回路を用いて,第2コンデンサに対する過大電圧の印加が防止され,第2コンデンサの耐圧を下げて大きな静電容量のコンデンサを適用して,電源平滑特性を向上することができる特徴がある。
なお,複数の電気負荷に対してそれぞれに電源平滑コンデンサを設ける場合においては,第1コンデンサと比較判定回路を共用して,充電制御素子と第2コンデンサを個別に設けることが可能となるものである。
Claims (10)
- 車載電気負荷に対して給電する車載電子制御装置に内蔵されて,車載バッテリから得られるグランド回路GNDに対する電位である直流電源電圧Vbの変動を抑制する電源平滑用のコンデンサ回路であって,
前記コンデンサ回路は,第1コンデンサと第2コンデンサ及び比較制御部に応動する充放電開閉素子を包含し,
前記第1コンデンサには,前記車載バッテリから等価配線抵抗を介して前記直流電源電圧Vbが印加され,この直流電源電圧Vbは通常状態において最小電圧Vminから最大電圧Vmaxの間で変動するとともに,前記車載バッテリの電圧異常時に補助バッテリを直列接続したエンジン始動を行うジャンプスタート電圧,又は,バッテリ端子外れによって一時的に充電発電機の出力電圧が上昇するロードダンプ電圧による特定高電圧Vppが印加されて,前記第1コンデンサの耐圧は前記特定高電圧Vpp以上となっており,
前記第2コンデンサは,内部寄生ダイオードを包含した電界効果型トランジスタである前記充放電開閉素子を介して前記第1コンデンサと並列接続されており,
前記比較制御部は,前記第1コンデンサの両端電圧が,前記最大電圧Vmaxを超過したときに通電駆動抵抗に対する出力を停止して,前記充放電開閉素子が開路される比較判定回路又は演算制御回路であり,
前記第2コンデンサの耐圧は,前記比較制御部の判定閾値電圧以上であって,前記特定高電圧Vpp未満であるとともに,その静電容量は前記第1コンデンサの静電容量以上の値となっており,
前記充放電開閉素子が開路しているときには,前記第2コンデンサに対する充電電流は遮断されるが,
前記充放電開閉素子が閉路駆動されていて,前記第1コンデンサの充電電圧が前記第2コンデンサの充電電圧よりも高いときには,前記充放電開閉素子が前記内部寄生ダイオードの導通方向とは反対方向となる順方向に導通して,前記第2コンデンサに対する充電電流が流れ,
前記充放電開閉素子が閉路駆動されていて,前記第1コンデンサの充電電圧が前記第2コンデンサの充電電圧よりも低いときには,前記充放電開閉素子が前記内部寄生ダイオードの導通方向と同一方向となる逆方向に導通して,前記第2コンデンサからの放電電流が負荷回路に流れる接続関係となっている電源平滑用のコンデンサ回路。 - 前記充放電開閉素子は,前記第2コンデンサの正極端子に接続されたPチャネル型の電界効果型トランジスタであって,そのソース端子は前記第1コンデンサの正極端子に接続されているとともに,そのゲート端子は駆動ゲート抵抗と通電制御トランジスタを介して前記第2コンデンサの負極端子と前記グランド回路GNDに接続されている
請求項1に記載の電源平滑用のコンデンサ回路。 - 前記第2コンデンサの正極端子は,前記第1コンデンサの正極端子に接続されているとともに,前記充放電開閉素子は,そのドレーン端子が前記第2コンデンサの負極端子に接続されたNチャネル型の電界効果型トランジスタであって,そのソース端子は前記グランド回路GNDに接続され,
前記充放電開閉素子のゲート端子とソース端子間には,通電駆動抵抗を介して閉路指令信号Vonが印加される
請求項1に記載の電源平滑用のコンデンサ回路。 - 前記第1コンデンサと,これに対する並列回路を構成する前記充放電開閉素子と前記第2コンデンサとの直列回路との間には逆流防止回路が直列接続され,
前記逆流防止回路は,Pチャネル型の電界効果型トランジスタである逆流防止素子を備え,
前記逆流防止素子のソース端子及びドレーン端子のどちらか一方は,前記第1コンデンサの正極端子に接続され,他方の端子は前記充放電開閉素子と前記第2コンデンサとの直列回路の上流側に接続され,
前記逆流防止素子のゲート端子と前記グランド回路GNDとの間には,駆動抵抗を介して通電駆動トランジスタが接続され,
前記通電駆動トランジスタは,前記第1コンデンサの正極端子に接続された前記逆流防止素子の一方の端子の電位が,他方の端子の電位よりも高いときに通電駆動指令を発生する通電方向判定回路の比較出力信号によって閉路駆動される
請求項1から3のいずれか1項に記載の電源平滑用のコンデンサ回路。 - 前記比較判定回路では,基準電圧発生回路が発生する比較基準電圧Vbcと,前記第1コンデンサの両端に接続された第1及び第2分圧抵抗による分圧電圧とを比較して,前記第1コンデンサの両端電圧が前記最大電圧Vmaxを超過したときに開路判定出力を発生し,前記充放電開閉素子は,前記開路判定出力に応動して消勢開路されて,前記第2コンデンサに対する充電が禁止される
請求項1から4のいずれか1項に記載の電源平滑用のコンデンサ回路。 - 前記演算制御回路は,演算処理用のマイクロプロセッサCPUと,制御プログラム及び比較基準電圧Vbcを格納したプログラムメモリPGMと,多チャンネルAD変換器ADCを備え,
前記多チャンネルAD変換器ADCには,前記第1コンデンサの両端に接続された第1及び第2分圧抵抗による分圧電圧が監視電圧Vmnとして入力されており,
前記マイクロプロセッサCPUでは,前記監視電圧Vmnのデジタル変換値と前記比較基準電圧Vbcのデジタル値とを比較して,前記第1コンデンサの両端電圧が前記最大電圧Vmax以下であるときに閉路指令となる閉路指令信号Vonが発生し,
前記充放電開閉素子は,前記閉路指令信号Vonに応動して閉路駆動されて,前記第2コンデンサに対する充電電流が流れるものであり,
前記マイクロプロセッサCPUが不作動であるときには,前記閉路指令信号Vonが不確定とならないように,前記通電駆動抵抗の上流又は下流端子を前記グランド回路GNDに接続する開路安定抵抗が設けられている
請求項1から4のいずれか1項に記載の電源平滑用のコンデンサ回路。 - 車載電気負荷に対して給電する車載電子制御装置に内蔵されて,車載バッテリから得られるグランド回路GNDに対する電位である直流電源電圧Vbの変動を抑制する電源平滑用のコンデンサ回路であって,
前記コンデンサ回路は,第1コンデンサと第2コンデンサ及び比較制御部と通電方向判定回路とに応動する充電制御素子を包含し,
前記第1コンデンサには,前記車載バッテリから等価配線抵抗を介して前記直流電源電圧Vbが印加され,この直流電源電圧Vbは通常状態において最小電圧Vminから最大電圧Vmaxの間で変動するとともに,前記車載バッテリの電圧異常時に補助バッテリを直列接続したエンジン始動を行うジャンプスタート電圧,又は,バッテリ端子外れによって一時的に充電発電機の出力電圧が上昇するロードダンプ電圧による特定高電圧Vppが印加されて,前記第1コンデンサの耐圧は前記特定高電圧Vpp以上となっており,
前記第2コンデンサは,前記充電制御素子を構成するPチャネル型の電界効果型トランジスタである充電制御素子を介して前記第1コンデンサ側から充電され,
前記比較制御部は,前記第1コンデンサの両端電圧が,前記最大電圧Vmaxを超過したときに通電駆動抵抗に対する出力を停止して,通電制御トランジスタを介して前記充電制御素子が開路される比較判定回路又は演算制御回路であり,
前記充電制御素子のゲート端子と前記グランド回路GNDとの間には,駆動抵抗を介して通電駆動トランジスタが接続され,
前記通電方向判定回路は,前記第1コンデンサの正極端子に接続された前記充電制御素子のソース端子の電位が,ドレーン端子の電位よりも高いときに前記通電駆動トランジスタを介して前記充電制御素子が閉路駆動される比較回路であって,前記通電駆動トランジスタと前記通電制御トランジスタとは互いに直列接続されており,
前記第2コンデンサの耐圧は,前記比較制御部の判定閾値電圧以上であって,前記特定高電圧Vpp未満であるとともに,その静電容量は前記第1コンデンサの静電容量以上の値となっており,
前記第1コンデンサの充電電圧が前記最大電圧Vmax以下であって,その充電電圧が前記第2コンデンサの充電電圧よりも高いときには,前記充電制御素子が閉路駆動されていて,前記第2コンデンサに対する充電電流が流れ,
前記第1コンデンサの充電電圧が前記第2コンデンサの充電電圧よりも低いときには,前記充電制御素子が消勢開路されていて,その差電圧が前記充電制御素子の内部寄生ダイオードの順方向電圧以下の範囲であるときには,前記第2コンデンサの前記第1コンデンサに対する放電は禁止され,前記第2コンデンサからの放電電流が負荷回路に流れる接続関係となっている電源平滑用のコンデンサ回路。 - 前記比較判定回路では,基準電圧発生回路が発生する比較基準電圧Vbcと,前記第1コンデンサの両端に接続された第1及び第2分圧抵抗による分圧電圧とを比較して,前記第1コンデンサの両端電圧が前記最大電圧Vmaxを超過したときに開路判定出力を発生し,前記充電制御素子は,前記開路判定出力に応動して消勢開路されて,前記第2コンデンサに対する充電が禁止される
請求項7に記載の電源平滑用のコンデンサ回路。 - 前記演算制御回路は,演算処理用のマイクロプロセッサCPUと,制御プログラム及び比較基準電圧Vbcを格納したプログラムメモリPGMと,多チャンネルAD変換器ADCを備え,
前記多チャンネルAD変換器ADCには,前記第1コンデンサの両端に接続された第1及び第2分圧抵抗による分圧電圧が監視電圧Vmnとして入力されており,
前記マイクロプロセッサCPUでは,前記監視電圧Vmnのデジタル変換値と前記比較基準電圧Vbcのデジタル値とを比較して,前記第1コンデンサの両端電圧が前記最大電圧Vmax以下であるときに閉路指令となる閉路指令信号Vonが発生し,
前記充電制御素子は,前記閉路指令信号Vonに応動して閉路駆動されて,前記第2コンデンサに対する充電電流が流れるものであり,
前記マイクロプロセッサCPUが不作動であるときには,前記閉路指令信号Vonが不確定とならないように,前記通電駆動抵抗の上流又は下流端子を前記グランド回路GNDに接続する開路安定抵抗が設けられている
請求項7に記載の電源平滑用のコンデンサ回路。 - 前記第1コンデンサは非個体アルミ電解コンデンサであり,
前記第2コンデンサは,導電性高分子ハイブリッド型アルミ電界コンデンサである
請求項1から9のいずれか1項に記載の電源平滑用のコンデンサ回路。
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