以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態に係る交換用熱源ユニットUは、図1等に示すように、筐体Kとともに加熱調理装置Xを構成するものである。ここで、本実施形態に係る加熱調理装置Xは、調理現場等において導入されている既設の加熱調理装置のうち少なくとも筐体Kを再利用したものであり、この筐体Kの内部に交換用熱源ユニットUをセットしたものである。以下では、加熱調理装置の一例である連続炊飯装置(以下「炊飯装置X」と略す)に、本実施形態に係る交換用熱源ユニットUを適用した場合について説明する。なお、図1は筐体K及び交換用熱源ユニットUを備えた加熱調理装置Xを一部省略して示す側面図であり、図1に示す矢印A方向を正面とする。
筐体Kは、図1及び図2(図2は筐体Kのみを図1に対応させて一部省略して示す図である)等に示すように、床面に設置された機枠Fと、機枠Fの上方に配置される上方カバーCと、機枠Fの外周(機枠Fの側方、正面及び背面)に配置される外周カバー(図示省略)とを備えたものである。そして、この筐体Kの機枠Fには、図示しないが例えば火口が形成されたガス管等からなる直火型ガスバーナを用いて構成された加熱部が元々取り付けられており、このような筐体K及び加熱部を備えた既設の炊飯装置は、内部に所定量の米及び水を収容した状態で蓋封されている炊飯釜R(後出の図8参照)を、加熱部の配置領域である加熱搬送領域A1を通過するように所定の搬送方向R1に沿って搬送しながら、炊飯釜Rを加熱部で加熱して飯炊処理を実行するものである。なお、加熱搬送領域A1の上流端から下流端に向かう炊飯釜Rの搬送方向R1は、筐体Kの長手方向と一致しており、炊飯釜Rを筐体Kの長手方向に沿って搬送する搬送手段(図示省略)は、筐体Kの内部(例えば機枠Fや上方カバーCの適宜箇所)に設けられている。
このような筐体Kは、上述の通り既設の炊飯装置に適用されているものであり、本実施形態では、上述の直火型ガスバーナで炊飯する場合よりも熱効率が高く、ガス消費量も節減可能なガス赤外線バーナを備えた炊飯装置Xに仕様変更するに際して、既設の炊飯装置全体を撤去して新たな炊飯装置を導入するのではなく、既設の炊飯装置のうち少なくとも筐体Kをそのまま再利用し、この筐体Kに取り付けられていた直火型ガスバーナ及びそれに付帯する部品や支持機構を取り外して形成されるスペースに、本実施形態に係る交換用熱源ユニットUを設置可能に構成している。すなわち、本実施形態に係る炊飯装置X(加熱調理装置)は、既設の炊飯装置の筐体Kと、筐体K内に新たに交換して設置した交換用熱源ユニットUとを備えたものである。
筐体Kの機枠Fは、図2等に示すように、アジャスタ機能を有する接地部が下端部に設けられた左右一対の縦フレーム材F1を筐体Kの長手方向(炊飯釜Rの搬送方向R1)に所定ピッチで配置し、筐体Kの長手方向に隣接する縦フレーム材F1同士、或いは筐体Kの短手方向に対向する左右一対の縦フレーム材F1同士をそれぞれ適宜の横フレーム材F2で連結したフレーム構造体である。なお、筐体Kの長手方向に隣接する縦フレーム材F1同士を連結する横フレーム材と、筐体Kの短手方向に対向する左右一対の縦フレーム材F1同士を連結する横フレーム材は、それぞれ寸法や形状が異なるものであるが、図中では何れの横フレーム材にも同じ符号「F2」を付している。本実施形態では、筐体Kの長手方向に隣接する縦フレーム材F1同士を連結する横フレーム材F2を、縦フレーム材F1の上端部と一致又は略一致する高さ位置と、縦フレーム材F1の下端部よりも所定寸法上方となる高さ位置(床面から所定寸法上方に離間した高さ位置)にそれぞれ配置している(図2等参照)。
交換用熱源ユニットUは、図3〜図8等に示すように、ガス赤外線バーナで構成した加熱部1と、加熱部1(以下、ガス赤外線バーナ1と称す)を支持する自立可能な架台2とをユニット化して備えたものである。本実施形態では、複数のガス赤外線バーナ1を共通の架台2に着脱可能に取り付けている。
架台2は、図3乃至図5(図3は交換用熱源ユニットUの側面図を模式的に示したものであり、図4、図5はそれぞれ図3の矢印UA方向、矢印UB方向から見た交換用熱源ユニットUの模式図である)に示すように、各加熱部1を着脱可能に取り付けた上架台3と、上架台3を支持する下架台4とを備えたものである。つまり、本実施形態の架台2は、高さ方向に並ぶ2つの架台要素(上架台3、下架台4)を用いて構成されたものである。
上架台3は、複数のフレーム材を略直方体状に組み付けた上架台主フレーム構造体31を備え、この上架台主フレーム構造体31の上端部に、ガス赤外線バーナ1を着脱可能に取り付けるためのガス赤外線バーナ固定部32を、ガス赤外線バーナ1の並列方向に沿って所定ピッチで設けている(図5参照、図5では便宜上、上架台3に単一のガス赤外線バーナ1を取り付けた状態を示している)。また、上架台主フレーム構造体31には、ガス赤外線バーナ固定部32に両端部を取り付けて固定したガス赤外線バーナ1を下方から支持可能なガス赤外線バーナ載置部33を、ガス赤外線バーナ1の並列方向に沿って所定ピッチで設けている。なお、本実施形態の交換用熱源ユニットUは、筐体Kのサイズや調理内容等によって、上架台3自体に取り付けるガス赤外線バーナ1の数や配置を変更することが可能である。
下架台4は、複数のフレーム材を略直方体状に組み付けた下架台主フレーム構造体41と、下架台主フレーム構造体41の四隅近傍に設けたアジャスタ機能を有する接地脚部42とを備えたものである。本実施形態では、下架台4の平面形状を上架台3の平面形状よりも一回り小さく設定している。また、本実施形態の交換用熱源用ユニットUは、架台2を筐体Kに固定する架台固定手段43を設けている。本実施形態では、下架台4を構成する下架台主フレーム構造体41に架台固定手段43を設けている。具体的には、筐体Kの機枠Fを構成するフレーム材の一部を高さ方向に挟持する上挟持部43a及び下挟持部43bによって架台固定手段43を構成している(図3及び図4参照)。以下では、架台固定手段43によって挟持される機枠Fのフレーム材を挟持対象フレーム材F4と称す。上挟持部43aは、下架台主フレーム構造体41に設けたピンPに係合可能な高さ方向に延伸する長孔h(ガイド孔)を有し、長孔hにピンPを係合させた状態で昇降移動可能なものである。下挟持部43bは、上挟持部43aに対して高さ方向に接離動作可能なものであり、本実施形態では、上挟持部43aに保持されて先端部を下挟持部43bのネジ孔に螺合させたネジNを締め付けたり、緩めることで、上挟持部43aに対する下挟持部43bの高さ位置を調整可能に構成している。そして、図8に示すように、上挟持部43aの高さ位置を、この上挟持部43aが挟持対象フレーム材F4に上方から当たる位置に調整した状態で、ネジNを締め付けて下挟持部43bを挟持対象フレーム材F4の下方から上挟持部43aに近付ける方向に移動させることで挟持対象フレーム材F4を、これら上挟持部43a及び下挟持部43bによって高さ方向に挟み込むことができる。なお、下挟持部43bは、上挟持部43aから完全に離脱させることもでき、上挟持部43aの高さ位置を調整する時点(挟持対象フレーム材F4に対して上方から当たる位置に上挟持部43aの高さ位置を調整する時点)までは、下挟持部43bを上挟持部43aから離脱させておくことで、上挟持部43aの高さ位置調整処理をスムーズに行うことができる。なお、図5では、架台固定手段43を含む下架台4を省略している。
本実施形態の交換用熱源ユニットUは、上架台3と下架台4との間に、上架台3を下架台4に対して所定の方向へスライド移動させることによって、上架台3を下架台4上の所定の支持固定位置(S)と、加熱部1を筐体Kの外部に露出させる露出位置(図示省略)との間でスライド移動可能に構成したスライド機構5を設けている(図3及び図4参照)。
スライド移動機構5は、上架台3に設けた転動部51と、下架台4に設けたレール52とを用いて構成したものである。ローラ等から構成される転動部51は、上架台主フレーム構造体31の底面に設けた転動部保持用フレーム材53に転動可能に保持されている。レール52は、下架台主フレーム構造体41の上端部に設けられ、このレール52に沿って、転動部51が案内されながら転動することで、上架台3を下架台4上の所定の支持固定位置(S)と露出位置との間でスライド移動可能に構成している。露出位置は、図示していないものの加熱部1の一部又は全部が筐体Kの外部に露出可能な位置であればよい。また、本実施形態では、下架台4に対する上架台3のスライド移動処理時に作業者が把持可能なハンドルHを上架台主フレーム構造体31に設けている(図5及び架台2を一部省略して示す図6参照、なお、図3、図4及び図8では便宜上ハンドルHを省略している)。
加熱部を構成するガス赤外線バーナ1は、図7(同図(a)はガス赤外線バーナ1の長手方向に平行な平面で切断した断面図であり、同図(b)、(c)は同図(a)の矢印1A方向、矢印1B方向から見た図である)に示すように、セラミックス等からなり多数の炎口が成形され且つガスによって燃焼する平面視長尺状の燃焼板11(炎口板)を備えたものである。本実施形態のガス赤外線バーナ1は、内部空間に混合室を形成し且つ燃焼板11を上方開口部に取り付けた混合室ケース12と、内部空間が混合室ケース12の混合室に連通している略円筒形状の混合管13とを備えている。
混合管13は、上流側にエアダンパ部14を有し、このエアダンパ部14の側壁に開口度が調整可能な空気吸入口を設け、空気吸入口から吸入される空気と、エアダンパ部14の中心部に設けたノズル15から供給されるガスとをその内部で混合させて混合気体を生成し、これを混合室ケース12の混合室内に供給するものである。
混合室ケース12は、細長い樋形状をなし、底面中央部分に混合管13の下流端が連結される連結孔を形成したものである。混合室ケース12の内部空間には、均圧板16を配設し、均圧板16の長手方向略中央部分の下面に仕切板17を溶接等により固着している。なお、均圧板16は、混合室ケース12の底面に設けた均圧板固定部にネジを用いて固定されている
本実施形態に係る交換用熱源ユニットUは、このような構成を有するガス赤外線バーナ1を上架台3に複数取り付けたものである。本実施形態では、例えば7本のガス赤外線バーナ1を同じ向き(長手方向の向きを揃えた姿勢)で上架台3に取り付けている。ガス赤外線バーナ1の取付処理は、混合室ケース12の長手方向両端部を、上架台主フレーム構造体31の上端部に設けたガス赤外線バーナ固定部32に固定する処理で行うことができる。この取付状態では、混合室ケース12の下向き面のうち長手方向に沿った縁部周辺が、上架台主フレーム構造体31にガス赤外線バーナ1の並列方向に沿って所定ピッチで設けたガス赤外線バーナ載置部33に載置した状態で支持され、ガス赤外線バーナ1の良好な支持状態及び取付状態が維持される。各ガス赤外線バーナ1の所定箇所(例えば炊飯釜Rの搬送方向R1上流側の所定箇所)には、自動着火機構18を設け(図7参照)、燃焼板11の上方にメッシュ状の焼き網19(保護網)を適宜の固定具によって固定している。なお、焼き網19(保護網)は、燃焼板11全体を上方から被覆し得るサイズであるが、図7(b)では、便宜上焼き網19の一部(燃焼板11を長手寸法に2等分した領域の一方の領域に相当する焼き網19)を省略している。
次に、このような本実施形態に係る交換用熱源ユニットUを、既設の炊飯装置Xの筐体K内に設置する手順について説明する。
先ず、既設の炊飯装置Xのうち筐体Kの外周カバー及び上方カバーCを機枠Fから取り外し、機枠Fに取り付けられている例えば火口が形成されたガス管等からなる直火型ガスバーナや、直火型ガスバーナを支持したり、直火型ガスバーナを機枠に固定するための各種パーツ等を機枠Fから取り外す。なお、ガス管を含む直火型ガスバーナや、その付帯物(ガス管の支持・固定パーツ等)は、故障時やメンテナンス時のことを考慮して、機枠Fに着脱可能に取り付けられているため、機枠Fからこれらパーツを取り外す作業自体はスムーズに行うことが可能である。
次いで、機枠Fのうち直火型ガスバーナやその付帯物を取り外して形成されるスペースに本実施形態に係る交換用熱源ユニットUを設置する。具体的には、交換用熱源ユニットUを機枠Fの一方のサイド(図1の紙面手前側)から機枠F内のスペースに設置する。ここで、本実施形態おける機枠Fは、長手横フレーム材F2のうち最も下方に配置される長手横フレーム材F2の取付位置を、床面から所定寸法上方寄りの位置に設定している。これにより、機枠Fの一方のサイドに形成される開口部であって且つ交換用熱源ユニットUを取り付ける際に交換用熱源ユニットUを通過させる開口部(ユニット通過開口部F5)の高さ寸法が、交換用熱源ユニットU全体の高さ寸法よりも小さくなっている(図1参照)。そのため、本実施形態では、交換用熱源ユニットUのうち、ユニット通過開口部F5の高さ寸法よりも小さい高さ寸法に設定している下架台4のみを、ユニット通過開口部F5から機枠Fの内部に設置するようにしている。したがって、交換用熱源ユニットUの設置作業時には、予め上架台3と下架台4とを相互に分離させておく。
そして、自立可能な下架台4を機枠Fのユニット通過開口部F5から機枠Fの内部に設置し、下架台4に設けた架台固定手段43によって下架台4を筐体Kの機枠Fに固定する。下架台4を機枠Fに固定する処理は、架台固定手段43を構成する上挟持部43a及び下挟持部43bを相互に一旦離脱させた状態で、下架台4を機枠F内の所定位置に設置し、上挟持部43aに形成した長孔h(ガイド孔)を、機枠Fに設けたピンPに係合させた状態で上挟持部43aを、機枠Fの挟持対象フレーム材F4に上方から当たる位置まで降下させて位置調整して、次いで、ネジNを締め付けて下挟持部43bを挟持対象フレーム材F4の下方から上挟持部43aに近付ける方向に上昇移動させて、挟持対象フレーム材F4を上挟持部43aと下挟持部43bで挟み込む処理によって行うことができる。
続いて、上架台3をユニット通過開口部F5から機枠Fの内部に挿入して設置する。この処理は、上架台3を持ち上げて上架台3の少なくとも挿入方向奥方側の部分を下架台4上に仮置きし、上架台3と下架台4との間に設けたスライド移動機構5を利用して上架台3を下架台4上の所定の支持固定位置(S)までスライド移動させる処理で実現できる。本実施形態では、レール52の一部に、転動部51の下端近傍領域が嵌まり込む凹部を形成し、凹部に転動部51が嵌まる位置まで上架台3を下架台4に対してスライド移動させることで、それ以上同一方向への移動を規制して上架台3を支持固定位置(S)に留めることができるように設定している。
さらに、本実施形態では、上架台主フレーム構造体31のうち挿入方向手前側の枠材にハンドルHを設けているため、上架台3を下架台4に一旦載せ置いた時点以降は、作業者がハンドルHを掴んで上架台3を移動させたい方向に向かって操作力(上架台3をユニット通過開口部F5から機枠Fの内部に設置する際には、ハンドルHを掴んで上架台3を作業者からみて奥方へ押す操作力)を付与することで、スムーズに作業を進めることができる。
そして、上架台3を下架台4上の支持固定位置(S)にセッティングすることで、交換用熱源ユニットUの各ガス赤外線バーナ1が、加熱対象物である炊飯釜Rの加熱搬送領域A1における底面に配置されることになる。本実施形態では、交換用熱源ユニットUの各ガス赤外線バーナ1の長手方向が、加熱搬送領域A1における炊飯釜Rの搬送方向R1と一致するように設定している。また、本実施形態の交換用熱源ユニットUは、図8に示すように、ガス赤外線バーナ1により加熱されて輻射熱を放射する輻射板6を備えている。本実施形態の輻射板6は、架台2に着脱可能に取り付けることができるものであり、搬送方向R1に沿って搬送される炊飯釜Rの両サイドの位置にそれぞれ配置される。各輻射板6は、下端部を架台2の上端部に適宜の手段で保持されている。本実施形態では、各輻射板6の上端部を、機枠Fの一部、具体的には、機枠Fのうち縦フレーム材F1よりも炊飯釜Rに近い位置(縦フレーム材F1よりも炊飯釜Rの加熱搬送領域A1幅方向中央に寄った位置)に配置されるフレーム材F6に適宜の手段で保持可能に構成している。なお、このフレーム材F6は、炊飯釜Rの両側面部のうち上端部から側方に突出している取手部Raを支持した状態で炊飯釜Rを搬送方向R1に搬送する図示しない搬送手段(例えばチェーン部)に関連付けて設けられるものであり、輻射板6を取り付けるための専用フレーム材ではない。
本実施形態に係る炊飯装置Xは、図1及び図1の要部拡大図である図9に示すように、筐体Kの加熱搬送領域A1に複数の交換用熱源ユニットUを上述の手順で炊飯釜Rの搬送方向R1に沿って並べて取り付けている。さらにまた、本実施形態の炊飯装置Xは、炊飯釜Rの加熱搬送領域A1のうち交換用熱源ユニットUを配置することができない領域に、サブ交換用熱源ユニットU11を取付可能に構成している。
サブ交換用熱源ユニットU1は、交換用熱源ユニットUと同一の加熱部であるガス赤外線バーナ1を一又は複数備えたものである。本実施形態では、例えば2つのガス赤外線バーナ1を、サブバーナ取付部に同じ向きで並べて取り付け、このサブバーナ取付部を筐体Kの機枠F(具体的には縦フレーム材F1)にサブバーナ固定部7を用いて固定している。本実施形態では、サブ交換用熱源ユニットU1の各ガス赤外線バーナ1の長手方向が、加熱搬送領域A1における炊飯釜Rの搬送方向R1と直交するように設定している。本実施形態の炊飯装置Xは、図9及び図10(図10は、筐体K内における交換用熱源ユニットU及びサブ交換用熱源ユニットU1の配置状態を示す図である)に示すように、加熱搬送領域A1の上流端近傍部分、中間部分、下流端近傍部分にそれぞれサブ交換用熱源ユニットU1を配置し、加熱搬送領域A1の底面に、例えばガス赤外線バーナ1単体の平面寸法に相当するような比較的大きな隙間が生じない程度にサブ交換用熱源ユニットU1及び複数の交換用熱源ユニットUを敷き詰めている。なお、本実施形態では、サブ交換用熱源ユニットU1の配置箇所に応じてサブバーナ取付部やサブバーナ固定部7のサイズや形状を異ならせているが、加熱搬送領域A1の面積や機枠Fの構造等によっては全て共通のサブバーナ取付部やサブバーナ固定部を適用することも可能である。また、本実施形態の炊飯装置Xは、サブ交換用熱源ユニットU1を配置した領域を通過する炊飯釜Rの両側方にも輻射板6を配置することが可能である。
以上の手順によって、交換用熱源ユニットU及びサブ交換用熱源ユニットU1を、既設の炊飯装置Xの機枠Fを再利用して取り付けることができる。本実施形態の炊飯装置Xは、各ユニット(交換用熱源ユニットU、サブ交換用熱源ユニットU1)のガス赤外線バーナ1のうち混合管13の上流端に設けたノズル15に、それぞれ図示しないガス供給管を接続して、ユニット単位或いはガス赤外線バーナ1単位でガス供給の有無やガス供給量、ガス供給時間を調整可能に設定している。本実施形態では、炊飯装置Xの電源オン・オフや加熱加減、加熱時間等を調整・設定可能な各操作部(ボタンやスイッチ等)を纏めて配置した操作ボックスBを筐体Kの所定箇所に配置している(図1参照)。
交換用熱源ユニットU及びサブ交換用熱源ユニットU1を、既設の炊飯装置Xの機枠Fに取り付けた後に、外周カバー及び上方カバーCを機枠Fに取り付けると、筐体K内に交換用熱源ユニットU及びサブ交換用熱源ユニットU1を設置した炊飯装置Xになる。なお、本実施形態では、交換用熱源ユニットU及びサブ交換用熱源ユニットU1の全てを共通または個別の外周カバーで被覆することで、交換用熱源ユニットU及びサブ交換用熱源ユニットU1が炊飯装置Xの外部(少なくとも側方)に露出しないように設定している。
次に、このような炊飯装置Xの使用方法及び作用について説明する。
本実施形態に係る炊飯装置Xは、加熱搬送領域A1の上流に、炊飯釜Rを加熱搬送領域A1まで搬送する加熱前搬送領域A2を備えたものであり、この加熱前搬送領域A2の上流端に搬入(投入)された炊飯釜Rを加熱搬送領域A1まで搬送する(図1参照)。次いで、本実施形態の炊飯装置Xは、加熱搬送領域A1の上流端近傍まで搬送した時点で、炊飯釜Rの両側面部に設けた取手部Ra(図8参照)を図示しない搬送手段で支持し、以降はこの支持状態を維持したまま炊飯釜Rを搬送手段で搬送方向R1に沿って搬送し、加熱搬送領域A1全域を通過させる。なお、この搬送手段は、既設の炊飯装置Xに付帯しているものであり、交換用熱源ユニットUの交換に伴って新たに設けたものではない。
そして、加熱搬送領域A1に配置された交換用熱源ユニットU及びサブ交換用熱源ユニットU1の各ガス赤外線バーナ1は、作業者の所定の操作によって、ノズル15を介して混合管13内にガスが供給されると共に、エアダンパ部14の空気吸入口を適量開口させて、混合管13内に空気が吸入される。すると、混合管13内に供給されたガスと空気は、混合管13内で混合されて混合気体となり混合管13から混合室内に分流供給され、燃焼板11の多数の炎口から上方に噴出される。この混合気体が自動着火機構18で着火されて燃焼し、燃焼板11が赤熱してその表面から赤外線を輻射する。これによりガス赤外線バーナ1が燃焼状態となり、ガス赤外線バーナ1の上方を通過する炊飯釜Rを加熱し、さらに、炊飯釜Rの両側面部近傍に配置した輻射板6が、ガス赤外線バーナ1により加熱されて輻射熱を放射することにより、炊飯釜Rを側方からも加熱することができる。なお、加熱搬送領域A1に配置された交換用熱源ユニットU及びサブ交換用熱源ユニットU1の各ガス赤外線バーナ1は、炊飯釜Rを搬送する前の時点で予熱させておく必要がある。
ここで、ガス赤外線バーナ1は、供給ガスに対して二次空気の供給を必要としないものであるため、安定した加熱状態を持続することができ、米の炊きあがり具合が外気温に影響されず、しかも、熱量が少量のため、良好な作業環境を確保することができる。加えて、ガス赤外線バーナ1は、直火型ガスバーナよりも燃焼効率が高いため、ガスの使用量(ガス消費量)を抑制することが可能である。
さらに、本実施形態では、輻射板6を加熱対象物である炊飯釜Rの周囲空間を狭く制限するように配置していることによって、例えば冬期の場合に冷気が加熱対象物の周囲空間に流入する事態を防止・抑制することができ、熱効率をより一層高めることができ、加熱状態の安定化を図ることが可能である。
したがって、このようなガス赤外線バーナ1及び輻射板6を加熱搬送領域A1に配置した本実施体の炊飯装置Xは、加熱搬送領域A1を通過する炊飯釜Rを高効率で加熱し続けることができ、安定した炊飯処理を実行することができる。なお、本実施形態の炊飯装置Xは、加熱搬送領域A1の下流端に到達した炊飯釜Rを搬送手段によってそのまま上方へ移動させて、その高さ位置を維持した状態で炊飯釜Rを、加熱搬送領域A1を搬送する場合とは逆方向に筐体K内を搬送することで蒸らし処理を実行することが可能であり、蒸らし処理を終えた炊飯釜Rごと、或いは炊飯釜R内の炊き上がった飯を次工程へ供給可能に構成している。
このように、本実施形態に係る交換用熱源ユニットUは、ガス赤外線バーナ1と、ガス赤外線バーナ1を支持する架台2とをユニット化して備え、既設の炊飯装置X(加熱調理装置X)の筐体K内に設置した状態で、炊飯釜R(加熱対象物)をガス赤外線バーナ1によって加熱可能に構成されているため、既設の加熱調理装置全体を撤去して新たな加熱調理装置に入れ替える場合と比較して、既設の加熱調理装置の筐体Kを有効利用することにより、コストの削減及び入替作業の小規模化、ひいては入替作業時間の短縮化を図ることができる。
そして、本実施形態に係る交換用熱源ユニットUが、加熱部をガス赤外線バーナ1で構成していることによって、上述した種々の作用効果を奏し、さらにまた、ガス赤外線バーナ1を支持する自立可能な架台2をユニット化していることによって、例えば既設の加熱調理装置のうち既設の加熱部とこの加熱部を支持する部品(架台)や加熱部に付帯する部品(ガス管)を撤去することで形成される筐体K内のスペースに、本実施形態に係る交換用熱源ユニットUを自立させた状態で設置することが可能になる。
特に、本実施形態に係る交換用熱源ユニットUは、架台2として、少なくとも加熱部1を着脱可能に取り付けた上架台3と、上架台3を支持する下架台4とを備えたものを適用し、上架台3と下架台4との間に、上架台3を下架台4に対して所定の方向へスライド移動させることによって、上架台3を下架台4上の所定の支持固定位置(S)と、加熱部1を筐体Kの外部に露出させる露出位置との間でスライド移動可能に構成したスライド機構5を設けたものであるため、架台2全体を一挙に筐体K内に設置することが困難な場合であっても、上架台3と下架台4とを分離させた状態で、先ず下架台4を筐体K内に設置し、次いで、加熱部1を取り付けた上架台3をスライド機構5を利用して下架台4上の所定の支持固定位置(S)にまで移動させることで、筐体K内にこの交換用熱源ユニットUをセッティングする作業をスムーズ且つ適切に行うことができる。さらにまた、上架台3に着脱可能に取り付けたガス赤外線バーナ1の一部または全体を保守点検・交換する場合には、スライド機構5を利用して上架台3を支持固定位置(S)から露出位置にまでスムーズに移動させて保守点検・交換作業を行うことができ、これらの作業後に、上架台3を露出位置から支持固定位置(S)までスライド機構5を利用してスムーズに移動させることができる。
本実施形態では、スライド機構5を、上架台3に設けた転動部51と、下架台4に設けられ転動部51が走行可能なレール52とを用いた構成しているため、簡素な構造でありながら下架台4に対する上架台3のスムーズなスライド移動を実現することができる。
加えて、本実施形態の交換用熱源ユニットUは、ガス赤外線バーナ1を架台2に着脱可能に構成しているため、交換が必要なガス赤外線バーナ1を個別に取り替えることができ、好適である。
また、本実施形態では、ガス赤外線バーナ1の数及び配置を変更可能に構成した交換用熱源ユニットUを適用しているため、既設の加熱調理装置の筐体Kのサイズや調理内容等によって、ガス赤外線バーナ1の数や配置を適宜変更することで適切に対応することができる。
さらにまた、本実施形態に係る交換用熱源ユニットUは、ガス赤外線バーナ1により加熱されて輻射熱を放射する輻射板6を備えたものであるため、熱効率をより一層向上させることができ、加熱対象物である炊飯釜Rを、ガス赤外線バーナ1の配置箇所以外の方向からも加熱することができとともに、炊飯釜Rの周囲空間を狭める位置に輻射板6を配置することで、炊飯釜Rの周囲空間に冷気が流入し難い環境を確保することができ、安定した良好な加熱状態を実現することが可能である。
また、本発明に係る加熱調理装置Xは、上述した構成を有する複数の交換用熱源ユニットUと、内部に交換用熱源ユニットUを設置した筐体Kとを備えているため、交換用熱源ユニットUによる上述の作用効果を奏するとともに、筐体Kのサイズ等に応じて、交換用熱源ユニットUの数や配置を変更することで種々のサイズの加熱調理装置Xを実現することができる。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、長尺形状のガス赤外線バーナを備えた交換用熱源ユニットを適用し、計7本のガス赤外線バーナをその長手方向が同一方向を向く姿勢で並列するように架台に取り付けた態様を例示したが、ガス赤外線バーナの数や取付姿勢、或いは形状は適宜変更することができる。したがって、ガス赤外線バーナを放射状や直線状、曲線状に並ぶように架台に取り付ける態様を採用することも可能である。また、上述した実施形態のように各ガス赤外線バーナの長手方向を揃えて架台に取り付けた交換用熱源ユニットを適用する場合、ガス赤外線バーナの長手方向が加熱搬送領域における加熱対象物の搬送方向と直交するように、交換用熱源ユニットを筐体内に設置するようにしてもよい。
また、本発明に係る交換用熱源ユニットは、1本のガス赤外線バーナを架台に取り付けたものであっても構わない。
本発明に係る交換用熱源ユニットは、加熱部を電磁誘導加熱ヒータ(IHヒータ)で構成したものでよい。電磁誘導加熱ヒータもまたガス赤外線バーナと同様に、従来の直火型ガスバーナよりも優れた省エネを図ることができ、外気温に影響されることなく安定した加熱状態を維持することができる。交換用熱源ユニットが備える電磁誘導加熱ヒータの数や形状、架台に対する取付姿勢も、ガス赤外線バーナと同様に適宜変更可能に構成すれば、既設の加熱調理装置の筐体サイズや調理内容等に応じた適切な交換用熱源ユニットとなる。
また、上架台と下架台との間に設けるスライド機構は、下架台に設けた転動部と、上架台に設けられ転動部が走行可能なレールとを用いて構成することも可能である。転動部及びレールに代えて、または加えて別の部品や機構を用いてスライド機構を構成することもできる。
上述の実施形態では、架台を相互に分離可能な2つの架台要素(上架台、下架台)によって構成した態様を例示したが、筐体側の条件(交換用熱源ユニットを取り付ける際に交換用熱源ユニットを通過させる筐体側の開口部(ユニット通過開口部)の開口寸法等)によっては、常に単体で取扱い可能な架台(複数の架台要素に分離不能な架台)であったり、相互に分離可能な3以上の架台要素からなる架台とすることも可能である。
また、本発明に係る加熱調理装置は、上述の業務用連続炊飯装置に限定されず、食品等の目的物を加熱して調理する装置であればどのようなものであってもよい。そして加熱して調理する内容によって、本発明に係る交換用熱源ユニットが加熱する対象物(加熱対象物)も当然変更することになり、加熱用途も、焼く、煮る、蒸す、揚げる、炒める、茹でる、これら何れであっても構わない。
加熱部は、自動点火機能を有するものであることが好ましいが、自動点火機能はなく、手動で点火可能なものであってもよい。
また、業務用の加熱調理装置に限らず家庭用の加熱調理装置であっても構わない。
さらには、本発明の交換用熱源ユニットを、例えば災害時等における炊き出し用の熱源ユニットや、避難所等での一時的・緊急的な熱源ユニットとして利用することも可能である。例えば架台の接地脚部に車輪を取り付けて交換用熱源ユニット単体で熱源として使用可能とすれば、緊急時に加熱調理装置から交換用熱源ユニットのみを持ち出して一時的・緊急的な熱源ユニットとして利用することが可能である。
また、本発明の加熱調理装置は、サブ交換用熱部ユニットを筐体内に取り付けていないものであってもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。