JP6524962B2 - フッ素樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体製造の際に使用するフッ素樹脂成形品の製造方法に関するものである。
フッ素樹脂は優れた耐熱性、耐薬品性等を備え、さらに低摩耗性、非粘着性の性質を持ち合わせているため化学工業、電子工業分野で多用されている。フッ素樹脂の中でもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)は半導体分野において様々な部品や工程に用いられており、欠かせない材料のひとつである。
微量金属元素分析に用いられるPTFEは、原料体を加圧・焼成した成型品を切削加工し、好みの形状に加工成形して用いられるが、切削加工時の金属汚染のため、金属汚染除去洗浄を施す必要がある。また、PTFEは焼成後の成型品内部に微細な空間を有しており、その空間に閉じ込められた金属汚染の影響で、金属汚染除去後の成形品表面から金属不純物の溶出が起き、この溶出した金属不純物が、微量金属元素の分析にあたり、分析値のばらつきや、バックグラウンドレベルの変動の要因となるという問題があった。なお、金属汚染除去洗浄に関する従来技術としては、例えば、下記の特許文献に記載されているものが挙げられる。
特許文献1は樹脂表面平滑化による汚染防止策であるものの、樹脂内部からの溶出不純物や汚染後の不純物除去には言及していない。また、特許文献2は薬液に浸漬させた超音波洗浄法であり、この方法ではPTFE表面の金属不純物の溶出はできてもPTFEの多孔質内部からの不純物溶出の防止はできない。
そこで、金属汚染除去後の成形品表面からの金属不純物の溶出を防止する方法として、特許文献3では、表面平滑化によるフッ素樹脂の汚染防止方法が提案されており、この特許文献3には、樹脂表面加熱による表面溶融により、樹脂表面の平滑化を行う方法が示されている。また、成形されたフッ素樹脂の表面を溶融する表面溶融工程を有するフッ素樹脂成形品の製造方法(特許文献4)や、PTFEの焼成体から切削により作製された焼成PTFEシートの少なくとも表面部分を無荷重下に該焼成PTFEの融点以上の温度に加熱する、焼成PTFEの平滑化方法(特許文献5)も提案されている。
一方、特許文献6のように、フッ素樹脂成形品に対して、超音波を印加しつつ強アルカリ洗浄する方法や、特許文献7のように、超音波印加のジェット水によってフッ素樹脂成形品を洗浄する方法も提案されている。
特開平8−245723号公報 特開2011−194380号公報 特開平7−1302号公報 特開2011−140147号公報 特開平11−35709号公報 特開平4−175350号公報 特開2015−073947号公報
上述のように、化学分析で使用するPTFEは、原料を加圧・焼成した成型品を切削加工等により好みの形状に加工しているが、焼成後の成型品内部の微細な空間に加工成形時の金属汚染等が閉じ込められ、それらが溶出することにより、分析値のばらつきや、バックグラウンドレベルの変動の要因となるという問題があった。これらを防止するためには、PTFE表面の平滑化及び溶融加工により樹脂中の微細な空間を消滅させることが有効であり、これによりPTFE内部からの不純物溶出を防止できる。
しかしながら、特許文献3の樹脂表面の平滑化方法においては、樹脂加熱時に発生する気泡については言及されていない。また、溶融加工時に発生する気泡が破裂した時に生じる孔があると、その場所に不純物が捉えられ、新たな不純物汚染の要因になってしまうという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、内部からの不純物の溶出が防止されるとともに表面への不純物の付着が低減され、高感度な微量金属元素分析等に好適に用いることができるフッ素樹脂成形品を製造することができるフッ素樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、成形されたフッ素樹脂を準備した後に、該成形されたフッ素樹脂の表面に対して超音波を印加しつつ溶融して平滑化する表面改質処理を施すフッ素樹脂成形品の製造方法を提供する。
このようなフッ素樹脂成形品の製造方法であれば、内部からの不純物の溶出が防止されるとともに表面への不純物の付着が低減され、高感度な微量金属元素分析等に好適に用いることができるフッ素樹脂成形品を製造することができる。
このとき、前記表面改質処理において、前記成形されたフッ素樹脂の表面を、280℃〜380℃で溶融することが好ましい。
表面の溶融温度を280℃以上とすれば、内部からの不純物溶出が十分に防止されたフッ素樹脂成形品を製造できる。また、表面の溶融温度を380℃以下とすれば、樹脂自体の変質の恐れもなく、表面に発生する気泡の量は、超音波の印加により十分に消すことができる量となり、表面が十分に平滑化されたフッ素樹脂成形品を製造できる。
またこのとき、前記表面改質処理において、前記印加する超音波の周波数を、20kHz〜40kHzとすることが好ましい。
印加する超音波の周波数が20kHz以上であれば、溶融面で振動が共振しないため溶融面が波立つことはなく、表面が荒れる現象が発生する恐れはない。また、印加する超音波の周波数が40kHz以下であれば、発生した気泡を十分に破裂させることができる。
またこのとき、前記フッ素樹脂を、ポリテトラフルオロエチレンとすることが好ましい。
本発明のフッ素樹脂成形品の製造方法では、フッ素樹脂を、微量金属元素分析等で頻繁に用いられているポリテトラフルオロエチレンとすることができる。
またこのとき、前記表面改質処理の後に、前記表面を平滑化されたフッ素樹脂成形品を1回以上洗浄する洗浄処理を施すことが好ましい。
このように、表面を平滑化されたフッ素樹脂に洗浄処理を施すことにより、表面に付着した金属不純物を容易に除去することができる。
本発明のフッ素樹脂成形品の製造方法であれば、内部からの不純物の溶出が防止され、かつ、外部からの不純物付着が低減されたフッ素樹脂成形品を製造することが可能となる。また、本発明の製造方法で製造されたフッ素樹脂成形品(例えばPTFE容器)を用いて化学分析を行うことにより、高感度な金属不純物の微量分析が可能となる。
本発明のフッ素樹脂成形品の製造方法の実施態様の一例を示すフロー図である。 フッ素樹脂成形体の洗浄処理の一例を示すフロー図である。 実施例1におけるフッ素樹脂成形品からの不純物溶出濃度を示した図である。 実施例1におけるフッ素樹脂成形品に残留した不純物の濃度を示した図である。 比較例1におけるフッ素樹脂成形品からの不純物溶出濃度を示した図である。 比較例1におけるフッ素樹脂成形品に残留した不純物の濃度を示した図である。 比較例2におけるフッ素樹脂成形品からの不純物溶出濃度を示した図である。 比較例2におけるフッ素樹脂成形品に残留した不純物の濃度を示した図である。 比較例3におけるフッ素樹脂成形品からの不純物溶出濃度を示した図である。 比較例3におけるフッ素樹脂成形品に残留した不純物の濃度を示した図である。
上述のように、内部からの不純物の溶出が防止されるとともに表面への不純物の付着が低減され、高感度な微量金属元素分析等に好適に用いることができるフッ素樹脂成形品を製造することができるフッ素樹脂成形品の製造方法が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、溶融加工時に発生した気泡を溶融段階で消滅させることにより、溶融加工時に発生する気泡が閉じ込められたり、表面で破裂して孔が生じることを防止できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、成形されたフッ素樹脂を準備した後に、該成形されたフッ素樹脂の表面に対して超音波を印加しつつ溶融して平滑化する表面改質処理を施すフッ素樹脂成形品の製造方法である。
以下、本発明について図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1(a)に示すように、本発明の製造方法では、まず、成形されたフッ素樹脂1(フッ素樹脂成形体)を準備する。フッ素樹脂としては、特に限定されず、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等とすることができ、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
ここで、成形されたフッ素樹脂1の表面に付着している不純物を除去するために、洗浄を行ってもよい。このとき行う洗浄としては、特に限定されず、例えば図2(a)に示すように、成形されたフッ素樹脂1を、洗浄容器2内の薬液3に浸して、120℃に加熱したホットプレート4上で1時間洗浄を行う。この薬液3としては、フッ酸(50wt%)、硝酸(61wt%)、塩酸(35wt%)、超純水を容量比1:1:1:2で混合した溶液とすることができる。そして、洗浄後は、図2(b)に示すように、水洗容器5内の純水6に浸して水洗を行う。
次に、成形されたフッ素樹脂の表面に対して表面改質処理を施す(図1(b)、(c))。ここでは、成形されたフッ素樹脂の表面を溶融し、溶融された表面に対して超音波を印加する場合の一例を挙げて説明を行うが、これに限定されない。
まず、図1(b)に示すように、成形されたフッ素樹脂1の表面を例えば赤外線ランプ7で溶融する。このように成形されたフッ素樹脂の表面を溶融することで、成形されたフッ素樹脂の表面に残留する微細な孔を消滅させることができる。これにより、得られるフッ素樹脂成形品内部からの不純物の溶出を防止することができる。
ここで、表面を溶融する温度が高くなるほど成形されたフッ素樹脂の表面の溶融深さは深くなる。即ち、成形されたフッ素樹脂の表面の溶融深さは温度により異なるため、温度を必要に応じて自由に選択することができる。成形されたフッ素樹脂の表面を溶融する温度としては、280℃〜380℃が好ましい。表面の溶融温度を280℃以上とすれば、内部からの不純物溶出が十分に防止されたフッ素樹脂成形品を製造できる。また、表面の溶融温度を380℃以下とすれば、樹脂自体にダメージを与えることがないし、表面に発生する気泡の量は、超音波の印加により十分に消すことができる量となり、表面が十分に平滑化されたフッ素樹脂成形品を製造できる。
次に、成形されたフッ素樹脂1の溶融された表面8に対して超音波を印加する。超音波を印加する方法としては、特に限定されず、例えば図1(c)に示すように、超音波プローブ9を用いて溶融された表面8に超音波を照射する。このように、溶融された表面に超音波を印加することで、溶融時に発生した気泡を消滅させるとともに溶融された表面を平滑化することができる。
このとき、印加する超音波の周波数としては、特に限定されないが、20kHz〜40kHzが好ましい。印加する超音波の周波数が20kHz以上であれば、溶融面で振動が共振しないため溶融面が波立つことはなく、表面が荒れる現象が発生する恐れはない。また、印加する超音波の周波数が40kHz以下であれば、発生した気泡を十分に破裂させることができる。
表面の気泡を消滅させた後は、図1(d)に示すように、成形されたフッ素樹脂1を自然放冷により室温程度まで冷却する。これにより、表面を平滑化されたフッ素樹脂10(表面改質されたフッ素樹脂成形品)を得ることができる。
このような表面改質処理の後に、表面を平滑化されたフッ素樹脂10を1回以上洗浄する洗浄処理を施すことが好ましい。洗浄処理としては、例えば上記したような図2に示した洗浄と同様の洗浄処理を行うことができる。このように、表面を平滑化されたフッ素樹脂に洗浄処理を施すことにより、表面に付着した金属不純物を容易に除去することができる。
以上のような、本発明の製造方法により、フッ素樹脂成形品を製造する。本発明のフッ素樹脂成形品の製造方法であれば、表面が緻密なものへと改質されたフッ素樹脂成形品を製造することが可能となり、製造されたフッ素樹脂成形品は、内部からの不純物の溶出を防止することが可能なものとなり、かつ、表面に付着した不純物も容易に除去することが可能なものとなる。
なお、本発明において、表面改質処理の後に、表面を平滑化されたフッ素樹脂を1回以上洗浄する洗浄処理を施すことが好ましい理由は、以下のような実験例により得られた知見による。
(実験例1)
特開平8−245723号公報の実施例1の記載に従って、超精密加工及び加圧処理による樹脂表面の平滑化処理のみを行ったPTFE成形品を作製した。作製したPTFE成形品を、フッ酸(50wt%)、硝酸(61wt%)、塩酸(35wt%)、超純水を容量比1:1:1:2で混合した薬液に浸し、ホットプレートで120℃、1時間洗浄を行い、洗浄後は純水による水洗を行った(図2(a),(b))。このような樹脂表面の金属汚染除去洗浄を繰り返し4回行い、各洗浄回数毎に洗浄によって溶出された金属不純物(Fe,Cr,Ni,Cu)の量を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006524962
表1に示されるように、樹脂表面の平滑化処理を行っただけでは、樹脂内部から金属不純物が溶出してくるため、洗浄を繰り返しても十分な洗浄効果が得られなかった。
(実験例2)
特開平7−1302号公報の実施例1の記載に従って、研磨の摩擦熱による表面溶融処理を行ったPTFE成形品を作製した。作製したPTFE成形品に対して、実験例1と同様の条件で洗浄を繰り返し4回行い、各洗浄回数毎に洗浄によって溶出された金属不純物(Fe,Cr,Ni,Cu)の量を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0006524962
表2に示されるように、樹脂表面の溶融層が均質化又は平滑化されていないと、溶融層に入り込んだ金属不純物が除去されにくくなるため、金属不純物を十分に除去するためには、洗浄回数を増やすか、洗浄時間を延ばす必要があった。ただし、実験例2では、樹脂内部からの金属不純物の溶出は防止できた。
(実験例3)
成形されたフッ素樹脂として、PTFE成形体(通常切削仕上げでRa=1200nm程度)を準備した(図1(a))。このPTFE成形体の表面に付着している不純物を除去するため、フッ酸(50wt%)、硝酸(61wt%)、塩酸(35wt%)、超純水を容量比1:1:1:2で混合した薬液にPTFE成形体を浸し、ホットプレートで120℃、1時間洗浄を行い、洗浄後は純水による水洗を行った(図2(a),(b))。この処理を数回繰り返して成形工程起因の不純物を除去した。
続いて、PTFE成形体の内側の表面に対して赤外線ランプによる加熱を行い、およそ340℃でPTFE成形体の表面を溶融した(図1(b))。また、溶融した際に発生した気泡を消去するため、超音波プローブを用いて超音波を溶融面に印加した(図1(c))。ここでは、印加する超音波の周波数を30kHz、印加時間を1cm当たり10秒とした。気泡を消去したことを確認した後、自然放冷により室温程度まで冷却し、表面改質されたPTFE成形品を得た(図1(d))。
表3に示すように、この表面改質されたPTFE成形体に対して、実験例1と同様の条件で洗浄を繰り返し4回行い、各洗浄回数毎に洗浄によって溶出された金属不純物(Fe,Cr,Ni,Cu)の量を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0006524962
本発明のフッ素樹脂成形品の製造方法で得られたフッ素樹脂成形品であれば、超音波照射により樹脂溶融面の気泡が消去されるため、樹脂溶融面が均質化及び平滑化される。このため、表3に示されるように、1回の金属汚染除去洗浄で金属不純物を十分に除去できた。このように、本発明のフッ素樹脂成形品の製造方法は、製造されたフッ素樹脂成形品への金属不純物の再付着防止に効果が大きいことが明らかとなった。また、洗浄回数を増やすことにより、溶出する金属不純物の量が実験例1,2よりも少なくなることから、内部からの金属不純物の溶出も十分に防止できていることが分かった。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、成形されたフッ素樹脂として、PTFE成形体(通常切削仕上げでRa=1200nm程度)を準備した(図1(a))。このPTFE成形体の表面に付着している不純物を除去するため、フッ酸(50wt%)、硝酸(61wt%)、塩酸(35wt%)、超純水を容量比1:1:1:2で混合した薬液にPTFE成形体を浸し、ホットプレートで120℃、1時間洗浄を行い、洗浄後は純水による水洗を行った(図2(a),(b))。この処理を3回繰り返して成形工程起因の不純物を除去した。
続いて、PTFE成形体の内側の表面に対して赤外線ランプによる加熱を行い、およそ340℃でPTFE成形体の表面を溶融した(図1(b))。また、溶融した際に発生した気泡を消去するため、超音波プローブを用いて超音波を溶融面に印加した(図1(c))。ここでは、印加する超音波の周波数を30kHz、印加時間を1cm当たり10秒とした。気泡を消去したことを確認した後、自然放冷により室温程度まで冷却し、表面改質されたPTFE成形品を得た(図1(d))。
次に、表面改質されたPTFE成形品をフッ酸(50wt%)、硝酸(61wt%)、塩酸(35wt%)、純水を容量比1:1:1:2で混合した薬液に浸し、ホットプレートで120℃、1時間洗浄を行う操作を3回繰り返し、PTFE成形体の表面に付着している不純物を十分に除去してPTFE成形品を得た後、TAMAPURE−AA−100フッ酸38%、TAMAPURE−AA−100硝酸68%、超純水を容量比1:1:3で混合した溶液に室温で12時間浸漬させ、PTFE成形品の表面改質加工面からの不純物溶出量をICP−MSで測定した。その結果を表4、図3に示す。なお、図3は表4をグラフ化したものである。
Figure 0006524962
また、PTFE成形品の表面改質加工面に付着した不純物の除去効果を調べた。ここでは、Al、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Znをそれぞれ1μg/ml含む5%濃度の硝酸溶液をPTFE成形品の表面改質加工面に室温で1時間浸漬させ、これらの不純物を加工面に付着させた。その後、超純水による水洗を5分間行い、加工面に付着した不純物を除去した後、TAMAPURE−AA−100フッ酸38%、TAMAPURE−AA−100硝酸68%、超純水を容量比1:1:3で混合した溶液に浸漬させ、水洗により除去できなかった残留不純物を抽出し、ICP−MSで測定した。その結果を表5、図4に示す。なお、図4は表5をグラフ化したものである。
Figure 0006524962
表4及び図3に示すように、PTFE成形品の表面改質加工面からの不純物溶出量は全体的に少なく、PTFE成形品内部からの溶出を抑制できていることが分かった。また、表5及び図4に示すように、PTFE成形品の表面改質加工面に付着して残留する不純物の量も大幅に低減できることが分かった。
(比較例1)
PTFE成形体(通常切削仕上げでRa=1200nm程度)を準備し、実施例1と同様の条件で、このPTFE成形体の表面に付着している不純物を除去する洗浄を行い(図2(a),(b))、PTFE成形品を得た。
この後、TAMAPURE−AA−100フッ酸38%、TAMAPURE−AA−100硝酸68%、超純水を容量比1:1:3で混合した溶液に室温で12時間浸漬させ、PTFE成形品の通常切削加工面からの溶出不純物量をICP−MSで測定した。その結果を表6、図5に示す。なお、図5は表6をグラフ化したものである。
Figure 0006524962
また、PTFE成形品の通常切削加工面に付着した不純物の除去効果を調べた。ここでは、Al、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Znをそれぞれ1μg/ml含む5%濃度の硝酸溶液をPTFE成形品の通常切削加工面に室温で1時間浸漬させ、これらの不純物を加工面に付着させた。その後、超純水による水洗を5分間行い、加工面に付着した不純物を除去した後、TAMAPURE−AA−100フッ酸38%、TAMAPURE−AA−100硝酸68%、超純水を容量比1:1:3で混合した溶液に浸漬させ、水洗により除去できなかった残留不純物を抽出し、ICP−MSで測定した。その結果を表7、図6に示す。なお、図6は表7をグラフ化したものである。
Figure 0006524962
表6及び図5に示されるように、PTFE成形品の通常切削加工面からの不純物溶出量は全体的に多く、PTFE成形品内部から不純物が溶出していることが分かった。また、表7及び図6に示されるように、PTFE成形品の通常切削加工面に付着して残留する不純物の量も全体的に多く、表面粗さが大きいほど加工面に付着して残留する不純物の量が増えることが示された。
(比較例2)
精密切削加工を行った(切削加工面の粗さをRa=200nm程度で仕上げた)PTFE成形体を準備し、実施例1と同様の条件で、このPTFE成形体の表面に付着している不純物を除去する洗浄を行い(図2(a),(b))、PTFE成形品を得た。
この後、TAMAPURE−AA−100フッ酸38%、TAMAPURE−AA−100硝酸68%、超純水を容量比1:1:3で混合した溶液に室温で12時間浸漬させ、PTFE成形品の精密切削加工面からの溶出不純物量をICP−MSで測定した。その結果を表8、図7に示す。なお、図7は表8をグラフ化したものである。
Figure 0006524962
また、PTFE成形品の精密切削加工面に付着した不純物の除去効果を調べた。ここでは、Al、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Znをそれぞれ1μg/ml含む5%濃度の硝酸溶液をPTFE成形品の精密切削加工面に室温で1時間浸漬させ、これらの不純物を加工面に付着させた。その後、超純水による水洗を5分間行い、加工面に付着した不純物を除去した後、TAMAPURE−AA−100フッ酸38%、TAMAPURE−AA−100硝酸68%、超純水を容量比1:1:3で混合した溶液に浸漬させ、水洗により除去できなかった残留不純物を抽出し、ICP−MSで測定した。その結果を表9、図8に示す。なお、図8は表9をグラフ化したものである。
Figure 0006524962
表8及び図7に示されるように、PTFE成形品の精密切削加工面からの不純物溶出量は、比較例1のPTFE成形品の通常切削加工面からの溶出量に比べれば少ないが、実施例1のPTFE成形品の表面改質加工面からの溶出量に比べれば多いことが分かった。また、表9及び図8に示されるように、PTFE成形品の精密切削加工面に付着して残留する不純物の量は実施例1と同等であり、表面加工粗さが不純物の残留量に大きく関係していることが分かった。
(比較例3)
PTFE成形体(通常切削仕上げでRa=1200nm程度)を準備し、実施例1と同様の条件で、このPTFE成形体の表面に付着している不純物を除去する洗浄を行った(図2(a),(b))。
続いて、得られたPTFE成形体の内側の表面に対して赤外線ランプによる加熱を行い、およそ340℃でPTFE成形体の表面を溶融した(図1(b))。その後、超音波の印加(図1(c))は行わず、発生した気泡を消去することなく自然放冷により室温程度まで冷却させた(図1(d))。
この後、TAMAPURE−AA−100フッ酸38%、TAMAPURE−AA−100硝酸68%、超純水を容量比1:1:3で混合した溶液に室温で12時間浸漬させ、PTFE成形品の溶融加工面からの溶出不純物量をICP−MSで測定した。その結果を表10、図9に示す。なお、図9は表10をグラフ化したものである。
Figure 0006524962
また、PTFE成形品の溶融加工面に付着した不純物の除去効果を調べた。ここでは、Al、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Znをそれぞれ1μg/ml含む5%濃度の硝酸溶液をPTFE成形品の溶融加工面に室温で1時間浸漬させ、これらの不純物を加工面に付着させた。その後、超純水による水洗を5分間行い、加工面に付着した不純物を除去した後、TAMAPURE−AA−100フッ酸38%、TAMAPURE−AA−100硝酸68%、超純水を容量比1:1:3で混合した溶液に浸漬させ、水洗により除去できなかった残留不純物を抽出し、ICP−MSで測定した。その結果を表11、図10に示す。なお、図10は表11をグラフ化したものである。
Figure 0006524962
表10及び図9に示されるように、超音波の印加を行わなかったPTFE成形品の溶融加工面からの不純物溶出量は、実施例1のPTFE成形品の表面改質加工面からの溶出量と同等であり、不純物溶出量は少なかった。また、表11及び図10に示されるように、超音波の印加を行わなかったPTFE成形品の溶融加工面に付着して残留する不純物の付着量は、比較例1より少ないものの、実施例1と比べ多いことが分かった。これは気泡により加工表面の凹凸が増え、それにより表面粗さが悪化したことによると考えられる。
以上のように、加工面からの不純物溶出量と加工面に付着した不純物の除去効果を調べた結果、実施例1や比較例3のように溶融を行った加工面では、PTFE成形品の内部からの不純物溶出を防止できることが分かった。また、加工面の平滑さは不純物付着量の低減に効果が大きいことが分かった。従って、本発明のフッ素樹脂成形品の製造方法のように、フッ素樹脂成形体の表面を溶融するとともに、超音波を印加して気泡を消去し表面を平滑にする表面改質処理を行うことで、製造されたフッ素樹脂成形品の内部からの不純物溶出と外部からの不純物付着を防止できることが明らかとなった。
(実施例2)
次に、PTFE成形体の表面の溶融温度と溶融深さとの関係を調べた。ここでは、実施例1と同様の条件でPTFE成形体の準備と洗浄を行い、その後、PTFE成形体の内側の表面に対して赤外線ランプによる加熱を行う際、表面の溶融温度を280℃〜380℃の範囲で変更し、溶融深さを調べた。その結果を表12に示す。
Figure 0006524962
表12に示されるように、PTFE成形体の表面の溶融温度を280℃〜380℃としたところ、PTFE成形体の表面の溶融深さは0.8mm〜2.7mmの範囲になることが分かった。このことから、表面の溶融温度を280℃以上とすれば、内部からの不純物溶出が十分に防止されたフッ素樹脂成形品を製造できることが分かった。また、表面の溶融温度を380℃以下とすれば、表面に発生する気泡の量は、超音波の印加により十分に消すことができる量となり、表面が十分に平滑化されたPTFE成形体を製造できることが分かった。
(実施例3)
さらに、印加する超音波の周波数とPTFE成形体の溶融面の状態との関係を調べた。ここでは、実施例1と同様の条件でPTFE成形体の準備、洗浄、及び溶融を行い、その後、超音波プローブを用いて溶融面に超音波を印加する際、印加する超音波の周波数を15kHz〜45kHzの範囲で変更し、溶融面の状態を観察した。溶融面の状態については、溶融面の気泡が少し消えたものを「気泡が少し消えた」、溶融面の気泡が全て消えたものを「気泡は全て消えた」、溶融面の気泡が全て消え、かつ、溶融した表面が十分に平滑化されていたものを「良好」とする基準で評価を行い、その評価結果を表13に示した。
Figure 0006524962
表13に示されるように、印加する超音波の周波数を15kHz〜45kHzとした場合、溶融面の気泡を消すことができた。また、印加する超音波の周波数が20kHz以上であれば、溶融面で振動が共振しないため溶融面が波立つことはなく、表面が荒れる現象が発生する恐れはないことが分かった。また、印加する超音波の周波数が40kHz以下であれば、発生した気泡を十分に破裂させることができることが分かった。このことから、印加する超音波の周波数は20kHz〜40kHzとすることが最適であることが分かった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…成形されたフッ素樹脂(フッ素樹脂成形体)、 2…洗浄容器、
3…薬液、 4…ホットプレート、 5…水洗容器、 6…純水、
7…赤外線ランプ、 8…溶融された表面、 9…超音波プローブ、
10…表面を平滑化されたフッ素樹脂(表面改質されたフッ素樹脂成形品)。

Claims (5)

  1. 成形されたフッ素樹脂を準備した後に、該成形されたフッ素樹脂の表面に対して加熱を行って溶融し、該溶融面に超音波を印加して気泡を消去する表面改質処理を施すことを特徴とするフッ素樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記表面改質処理において、前記成形されたフッ素樹脂の表面を、280℃〜380℃で溶融することを特徴とする請求項1に記載のフッ素樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記表面改質処理において、前記印加する超音波の周波数を、20kHz〜40kHzとすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフッ素樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記フッ素樹脂を、ポリテトラフルオロエチレンとすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフッ素樹脂成形品の製造方法。
  5. 前記表面改質処理の後に、前記表面を平滑化されたフッ素樹脂成形品を1回以上洗浄する洗浄処理を施すことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のフッ素樹脂成形品の製造方法。
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