JP6524704B2 - 遷移金属錯体を含有するブロック共重合体 - Google Patents
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本開示に係るブロック共重合体は、親水性ポリマー成分と疎水性ポリマー成分とが連結部を介して結合しており、前記親水性ポリマー成分が、ポリエチレンオキサイドを含み、前記疎水性ポリマー成分が、メソゲン側鎖を有するポリ(メタ)アクリレートを含み、前記連結部が、下記式(1)で表される構造を含む。
R2はメソゲン側鎖を有するポリ(メタ)アクリレートを含む疎水性ポリマー成分であり、Mは遷移金属であり、Xは単座配位子であり、pは2又は3である。]
本開示に係るブロック共重合体の親水性ポリマー成分は、ポリエチレンオキサイドを含む。一又は複数の実施形態において、該親水性ポリマー成分は、ポリエチレンオキサイドからなっていてもよい。
CH3(OCH2CH2)nO− (3)
式(3)において、nは、5〜500が好ましく、40〜200がより好ましい。
本開示に係るブロック共重合体の疎水性ポリマー成分は、適当な溶媒に溶解した後に温度変化により相分離するような親水性ポリマー成分との組み合わせの点から、メソゲン側鎖を有するポリ(メタ)アクリレートが好ましい。一又は複数の実施形態において、該疎水性ポリマー成分は、メソゲン側鎖を有するポリ(メタ)アクリレートからなっていてもよい。本開示において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。
E−(Y1−F)n−Y2−G (4)
式(4)において、E、F及びGは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、及びピリミジン−2,5−ジイルからなる群から選ばれるものであり、Y1及びY2は、同一であっても異なっていてもよく、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH2)4−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−N=N−、−CH=CH−C(=O)O−、及び−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選ばれ、nは、0〜3の整数である。
本開示に係るブロック共重合体は、一又は複数の実施形態において、下記式で表される。下記式において、n、m、a、M、X、p、X’、R3,及びR6は、それぞれ上述のとおりである。
本開示は、他の態様において、本開示に係るブロック共重合体と溶媒とを含むポリマー溶液に関する。該ポリマー溶液は、一又は複数の実施形態において、ミクロ相分離構造膜の製造に使用できる。該溶媒としては、ブロック共重合体を溶解可能なものを使用でき、一又は複数の実施形態において、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、四塩化炭素、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、二塩化エチレン、塩化メチル等が挙げられる。ポリマー溶液中におけるブロック共重合体の含有量としては、ミクロ相分離構造膜を製造する観点から、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5.0質量%とすることが挙げられる。本開示に係るポリマー溶液は、基材に塗布してアニールすることで、疎水性ポリマー成分のマトリックスに親水性ポリマー成分のシリンダー構造を備え、該シリンダー構造の周囲に該遷移金属錯体が配置されたミクロ相分離構造膜を得ることができる。
本開示に係るブロック共重合体、あるいは本開示に係るポリマー溶液を用いて得られるミクロ相分離構造膜は、一又は複数の実施形態において、金属を含有する構成単位と2種類の絶縁相とからなる相分離構造を有する。2種類の絶縁相とは、疎水性ポリマー成分のマトリックスと該マトリックス中の親水性ポリマー成分のシリンダー構造である。該シリンダー構造は、一又は複数の実施形態において、マトリックス内で高度に配向され、さらなる一又は複数の実施形態において、マトリックス内で膜表面に対して垂直方向に配向する。本開示に係るブロック共重合体の遷移金属は、一又は複数の実施形態において、該シリンダー構造の周囲に配置される。
ミクロ相分離構造膜は、一又は複数の実施形態において、本開示に係るポリマー溶液を基板表面に塗布し溶媒を除去することを含む。塗布後の膜をアニールすることで、簡単にミクロ相分離構造膜を得ることができる。一又は複数の実施形態において、ミクロ相分離構造膜の製造方法は、下記工程を含みうる。
本開示に係るポリマー溶液、又は、本開示に係るブロック共重合体を溶媒に溶解してポリマー溶液を調製する工程。
該ポリマー溶液を基板表面に塗布する工程。及び
該ポリマー溶液の溶媒を蒸発させてミクロ相分離構造を形成する工程。
本開示に係るポリマー溶液、又は、本開示に係るブロック共重合体を溶媒に溶解してポリマー溶液を調製する工程。
該ポリマー溶液を液体に滴下する工程。
該ポリマー溶液の溶媒を蒸発させて得られる液体面展開膜を、疎水性物質からなる基板、又は表面を疎水化処理した基板に写し取る工程。及び、
上記基板を加熱処理して上記溶媒を蒸発させる工程。
を受けるものではない。
フラスコにN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド1.77g(8.61mmol)、N,N'−ジメチルアミノピリジン146mg(1.20mmol)、脱水ジクロロメタン130mLを量り取り、室温で撹拌した。PEO122−OH5.22g(893μmol)を脱水ジクロロメタン20mLに溶解させ、反応容器に添加した。次いで、6−クロロニコチン酸1.38g(8.75mmol)を脱水テトラヒドロフラン43mLに溶解させ、反応容器へ投入した。窒素雰囲気下、60℃で還流しながら19時間撹拌後、反応溶液をろ過後、エバポレータを用いて溶媒を留去した。白色固体をクロロホルム/ジエチルエーテルで再沈殿後、エタノール中で再結晶し精製した。析出した固体を回収、真空乾燥して白色固体を得た。
収量5.12g(856μmol、収率96%)
アルゴン雰囲気下で、上記で合成した化合物A 3.59g(432μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)48.6mg(42.0μmol)、トリメチルシリルアセチレン624mg(6.35mmol)、脱水トリエチルアミン12mLを量り取り、混合した。ヨウ化銅15mg(78.9μmol)を脱水テトラヒドロフラン70.9gに溶解させ、反応容器へ添加した。40℃オイルバス中で93時間撹拌後、エバポレータを用いて溶媒を留去した。残留固体にジクロロメタンを適量加え、カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ジクロロメタン)により銅−パラジウム錯体を除去した。エバポレータを用いて溶媒を留去した後、クロロホルム/ジエチルエーテルで再沈殿およびエタノール中で再結晶を行った。析出した固体を回収、真空乾燥して黄白色の固体を得た。
収量1.98g(328μmol、収率76%)
アルゴン雰囲気下、試験管に11−(4−((E)−(4−butylstyryl)phenoxy)undecyl methacrylate(mCC)2.00g(3.95mmol)、(3−azidopropyl)bromoisobutyrate(APBIB)20.5mg(82.0μmol)、塩化銅(I)16mg(152μmol)、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン44μL(162μmol)、脱水テトラヒドロフラン2.70gを投入し、60℃オイルバス中で22時間撹拌させた。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、クロロホルム)にて触媒を留去後、ヘキサンおよびメタノールで洗浄した。クロロホルム/ヘキサン中で再沈殿後、析出した固体を回収、真空乾燥して白色固体を得た。
収量1.79g(収率90%、Mn 30000、Mw 37000、Mw/Mn 1.24)
アルゴン雰囲気下、上記で合成した化合物B 540mg(89.2μmol)、化合物C 805mg(26.7μmol)、フッ化テトラブチルアンモニウム126mg(400μmol)を脱水ジクロロメタン10.6gに溶解させた。次いで、臭化銅(I)15mg(105μmol)、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレント
リアミン15mg(87μmol)を脱水ジクロロメタン9.3gに溶解させ、反応容器へ添加した。35℃オイルバス中で69時間撹拌後、カラムクロマトグラフィー(アルミナ、テトラヒドロフラン)により銅錯体を除去し、エバポレータを用いて溶媒を留去した。残留固体をメタノールで洗浄後、クロロホルム/メタノール中で再沈殿を行った。析出した固体を回収、真空乾燥して黄白色の固体を得た。
収量729mg(20.1μmol、収率75%)
アルゴン雰囲気下、上記で合成した化合物D 111mg(3.07μmol)、レニウムペンタカルボニルクロリド 8.2mg(20.2μmol)を脱水トルエン13.0gに溶解させ、105℃オイルバス中で17時間撹拌した。エバポレータを用いて溶媒を留去し、クロロホルム/アセトン中で再沈殿を行った。析出した固体を回収、真空乾燥して茶色固体を得た。
収量87mg(2.38μmol、収率78%)
Ru錯体を導入したブロックコポリマー(化合物F)の合成
水トルエン63.6gに溶解させ、70℃オイルバス中で24時間撹拌した。2,2−ビピリジン806mg(516μmol)を脱水トルエン28.9gに溶解させ、反応溶液中に添加し、110℃オイルバス中で22時間還流させた。次いで、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム267mg(689μmol)を脱水クロロホルム19.7gに溶解させ、反応溶液に添加し、30℃オイルバス中で22時間撹拌した。イオン交換水100mLを投入し、反応をクエンチした。反応溶液をクロロホルムで抽出し、イオン交換水:飽和食塩水(vol比=1:1)で洗浄し、有機層に硫酸ナトリウムを加えて脱水させた。エバポレータを用いて溶媒を留去後、ヘキサンおよびメタノールで洗浄、次いでクロロホルム/メタノール中で再沈殿を行い、精製した。析出した固体を回収、真空乾燥して赤黒色固体(化合物F)を得た。
収量265mg(7.33μmol、収率52%)
Siウェハ上に製膜後の(表面)相分離構造評価
実施例(化合物E)および比較例(化合物F)のブロック共重合体の2wt%クロロホルム溶液を調製し、Siウェハ上に2000rpm、30秒間の条件でスピンコート塗布した。その後、真空下にて190℃、3時間の加熱処理(アニーリング処理)を行い、ミクロ相分離構造膜を得た。形成した膜をエスアイアイ・ナノテクノロジー社製Nano NaviII(E−sweep)を用いて以下の測定条件にて相分離構造を評価
した。
測定温度:室温
共振周波数:250〜390kHz
測定モード:タッピングモード
リガク社製NANO−Viewer(MicroMax−007HF)を用いてAFM評価用に作製した膜の斜入射X線小角散乱(GI−SAXS)分析を行った。得られる2次元SAXSパターンから1次元SAXSプロファイルを取得し、1次ピークに対する高次ピークの相対比を算出した。
一方、比較例で得られたRu錯体を含む高分子薄膜においては、AFM観察においてドットパターンの規則性が乱れており(図2)、またSAXS分析においても垂直シリンダー構造を示す関係は得られず、垂直シリンダー構造でないことが確認できた。
Claims (9)
- 親水性ポリマー成分と疎水性ポリマー成分とが連結部を介して結合したブロック共重合体であって、
前記親水性ポリマー成分が、ポリエチレンオキサイドを含み、
前記疎水性ポリマー成分が、メソゲン側鎖を有するポリ(メタ)アクリレートを含み、
前記連結部が、下記式(1)で表される構造を含む、
ブロック共重合体。
- 下記式(2)で表される、請求項1記載のブロック共重合体。
R2はメソゲン側鎖を有するポリ(メタ)アクリレートを含む疎水性ポリマー成分であり、Mは遷移金属であり、Xは単座配位子であり、pは2又は3である。] - Mが、レニウム、オスミウム、イリジウム、タングステン、ルテニウム、ロジウム、モリブデン、鉄、コバルト、及びクロムからなる群から選択される遷移金属である、請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
- Xが、ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、アンモニア、ピリジン、及びトリフェニルホスフィンからなる群から選択される単座配位子である、請求項1ないし3のいずれかに記載のブロック共重合体。
- 請求項1から4のいずれかに記載のブロック共重合体及び溶媒を含む、ミクロ相分離構造膜を製造するためのポリマー溶液。
- 前記ミクロ相分離構造膜が、金属を含有する構成単位と2種類の絶縁相とからなる相分離構造を有するものである、請求項5記載のポリマー溶液。
- 前記ミクロ相分離構造膜が、前記疎水性ポリマー成分のマトリックスと、前記マトリックス内で膜表面に対して垂直方向に配向した前記親水性ポリマー成分のシリンダー構造と、前記シリンダー構造の周囲に配置された金属とを含む、請求項5又は6に記載のポリマー溶液。
- 請求項5から7のいずれかに記載のポリマー溶液を使用して作製される、ミクロ相分離構造膜。
- 請求項5から7のいずれかに記載のポリマー溶液を基板表面に塗布すること、及び、溶媒を除去することを含む、ミクロ相分離構造膜の製造方法。
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