JP6637705B2 - 相分離構造膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2種以上の液晶性側鎖を有する高分子からなる相分離膜構造膜及びその製造方法に関する。特には、膜面垂直方向に対して、組成配列が制御され、膜面垂直方向に対して異なる2種以上の液晶性側鎖を有する高分子が積層されてなる相分離構造膜及びその製造方法に関する。
低分子液晶においては、一般に、同じ液晶相、たとえばスメクチック液晶同士やネマチック液晶同士を混和した場合、任意の割合で相溶し、均一な一つの液晶相を形成することが、経験的に知られている。一方で、高分子液晶においては、二種類以上の異種ブレンドを検討した例は極めて少なく、混和の結果、二つ以上の液晶相に分離するのか、一つの均一な相溶液晶相を形成するのかに言及した例は知られていない。
また、液晶に限らず、高分子膜全般において多元成分の自己組織化手法により、ナノメートルオーダーで膜面垂直方向の組成分析、配列制御を報告した例も知られていない。
本発明者らは、ブロック共重合体を用いたミクロ相分離構造膜の製造方法について開示している(特開平2004−124088号公報、特開2009−57519号公報)が、これらの特許文献に開示された方法は、ナノメートルオーダーで膜面垂直方向の組成分析、配列制御を報告したものではなかった。
特開平2004−124088号公報 特開2009−57519号公報
上述のように、ミクロ相分離構造膜の製造方法については種々の文献に開示があるが、いずれも、ナノメートルオーダーで膜面垂直方向の配列制御がなされたものではなかった。そこで、本発明は、膜面垂直方向に対して、組成配列が制御され、膜面垂直方向に対して異なる共重合体が積層されてなるミクロ相分離構造膜及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、液晶性側鎖を有する高分子、特に液晶性メソゲン基側鎖を有する高分子(以下、SLCPともいう)の多元ブレンド薄膜において、等方転移温度が異なる液晶メソゲン鎖を含む2種以上のブロック共重合体が相溶せず、任意の数の相を、膜面の垂直方向に沿って一意配列で積層し得ることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、2種以上のSLCPが積層されてなる相分離構造膜であって、上記2種以上のSLCPの等方転移温度が異なることを特徴とする相分離構造膜を提供する。
本発明の相分離構造膜としては、基板上に形成されているものが挙げられ、基板側から他方の面に向かうに従って、上記2種以上のSLCPの等方転移温度が段階的に高くなっているものが挙げられる。
上記SLCPは、スチルベンゼン構造、アゾベンゼン構造、カルコン構造、又はそれらの組み合わせを含むものが好ましい。
上記高分子としては、下記一般式(1)、(2)又は(3)のいずれかで表わされる構造を有するものが挙げられる。
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
また、上記SLCPとしては、上記液晶性側鎖と、該液晶性側鎖と非相溶な親水性ポリマー成分とを有するブロック共重合体を用いてもよい。
上記親水性ポリマー成分としては、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、又は親水性側鎖を有するポリ(アクリレート)、親水性側鎖を有するポリ(メタクリレート)であり、上記疎水性ポリマー成分がメソゲン側鎖、長鎖アルキル側鎖又は疎水性側鎖を有するポリ(アクリレート)又はポリ(メタクリレート)、ポリ(スチレン)、又はビニルポリマーが挙げられる。
上記ブロック共重合体としては、下記一般式(4)で表わされるブロック共重合体が挙げられる。
(式中、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表し、Xはハロゲン原子であり、aは0〜20の整数であり、Rは下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基であり、q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
上記SLCPの少なくとも1種は、親水性ポリマー成分と、該親水性ポリマー成分と非相溶な液晶性メソゲン側鎖とが、求核性官能基と反応し得る構造を含む連結部を介して結合してなるトリブロック共重合体であってもよい。
上記トリブロック共重合体としては、下記一般式(5)で表わされるものが挙げられる。
(式中、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表し、rは1〜30の整数を表し、Xはハロゲン原子であり、Rは求核性官能基と反応し得る構造を表わし、Rは下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基であり、aは0〜20の整数であり、q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
一般式(5)におけるRとしては、下記式のいずれかで表わされるものが挙げられる。
上記トリブロック共重合体としては、下記一般式(6)で表わされるものが挙げられる。
(式中、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表し、rは1〜30の整数を表し、Xはハロゲン原子であり、Rは求核性官能基と反応し得る構造を表わし、Rは下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基であり、aは0〜20の整数であり、q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
一般式(6)におけるRとしては、下記式のいずれかで表わされるものが挙げられる。
また、本発明は、等方転移温度が異なる2種以上の液晶性側鎖を有する高分子を、該液晶性側鎖を有する高分子が溶解可能な溶媒に溶解し、液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を調製する工程;上記液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を基板表面に塗布する工程;上記液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度のうち、最も高い等方転移温度よりも高い温度でアニーリングする工程:及び上記液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度のうち、最も低い等方転移温度よりも低い温度まで冷却する工程を有することを特徴とする相分離構造膜の製造方法を提供する。
上記アニーリングは、上記最も高い等方転移温度よりも10℃以上高い温度で実施されることが好ましい。
上記基板としては、疎水性物質からなる基板、又は表面を疎水化処理した基板が挙げられる。
上記方法においては、基板表面に塗布された液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を、低い極性相と接触させて加熱処理を施して上記溶媒を蒸発させてもよい。
上記加熱処理に加え、電場又は磁場の印加、基板表面の配向処理を施してもよい。
本発明の相分離構造膜の製造方法においては、本発明の相分離構造膜を構成する液晶性側鎖を有する高分子を使用することができる。
本発明によれば、膜面垂直方向に対して、組成配列が制御され、膜面垂直方向に対して異なる共重合体が積層されてなる相分離構造膜を得ることができる。また、本発明の方法は、単独重合体のSLCPに限らず、親水性ポリマー(例えばPEO)とSLCPのジブロック共重合体や、親水性ポリマー・機能性ポリマー・SLCPのトリブロック共重合体への応用も可能である。
特に、PEO−SLCPジブロック共重合体の薄膜(膜厚〜2mm)は、SLCP側鎖メソゲンのホメオトロピック配向に駆動される空気界面からのグレイン成長により、直径2〜20nm、アスペクト比〜100にも及ぶ、特異な垂直貫通PEOシリンダーアレイ構造を形成する(最も一般的なPS−PMMAでは膜厚50nm以上になるとシリンダーの垂直性が失われる)。最近この相分離膜において、相界面を自在に官能基修飾する手法が本発明者らによって発明されている。これに本発明による階層配列制御を組み合わせると、薄膜を垂直貫通するシリンダーによって定義される一軸上に、任意官能基を任意配列で配置することが可能となる。これにより、例えば複数触媒サイトをシリンダーに沿って、一意配列に配置することで、フロー系での連続反応を触媒可能なナノリアクターや、レドックス応答を示す官能基を酸化還元電位順に配列させることで整流機能を発現させるなど、高度な機能設計が期待される。
2種以上のブロック共重合体が積層されてなるミクロ相分離構造膜の製造工程を示す図である。 DSCの結果を示す図である。 DSCの結果を示す図である。 得られたミクロ相分離二層膜について、四酸化ルテニウムでPEOドメインを選択染色したものを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す写真である。 得られたミクロ相分離二層膜について、四酸化ルテニウムでPEOドメインを選択染色したものを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す写真である。 元素分析マッピングをEDX(エネルギー分散型X線分光法)により行った結果を示す。 斜角度入射X線小角散乱実験(GI−SAXS)の結果を示す。 TOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)を用いて行った分析の結果を示す。 得られたミクロ相分離三層膜について、四酸化ルテニウムでPEOドメインを選択染色したものを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す写真である。
ポリマー主鎖骨格の側鎖に、長いメチレンスペーサー(一般的に(−CH−);n>4)を介してメソゲン基が導入され、かつ該メソゲン基にノルマルブチル基などのアルキル末端基が付与されたSLCPの多くは、室温でスメクチック液晶相をとり、膜厚2μm以下の薄膜とすると、積層構造を形成する。ここで、メソゲン基としてはスチルベン構造、アゾベンゼン構造、カルコン構造などが挙げられる。
上記SLCPは以下二点の際立った特徴を有する。
(1)SLCPは、それが有するメソゲン基の種類に応じて、高温融解状態からの冷却過程における液晶転移温度(等方転移温度、等方−スメクチック転移)が大きく異なる。例えば、主鎖にメタクリレート骨格、C11のメチレンスペーサー、末端基としてノルマルブチル基を有するSLCPでは、メソゲン基の構造に応じて、等方転移温度は、スチルベンの場合は170℃、アゾベンゼンの場合は120℃、カルコンの場合は60℃程度にそれぞれ等方転移温度を示す。
(1)等方転移温度より高い温度からの冷却過程において、等方転移温度を下回ると、はじめに第一層目の液晶相が薄膜の空気界面に析出し、側鎖メソゲン基はホメオトロピック(垂直)配向する。第二層目以降は、一層目の液晶相の直下に同じくホメオトロピック配向し、以下、空気側から基板側に向けて、液晶レイヤーが積層することを本発明者らは見いだした。
上記の性質に着目し、以下に説明するように、その多元ブレンド薄膜において、膜面垂直方向の積層配列(組成分布)を一意に制御可能と期待される。
以下、本発明の相分離構造膜について説明する。
本発明の相分離構造膜は、2種以上の液晶性側鎖を有する高分子が積層されてなる相分離構造膜であって、上記2種以上の液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度が異なることを特徴とする。
本発明の相分離構造膜は、2種以上の液晶性側鎖を有する高分子が積層されてなる。すなわち、本発明の相分離構造膜は、複数種の液晶性側鎖を有する高分子を含むものであり、ブロック共重合体の種類だけ積層構造が形成される。実用上、本発明の相分離構造膜は、2〜5種の液晶性側鎖を有する高分子を含み、2〜5層の積層構造を有しているものであると好ましい。
上記液晶性側鎖を有する高分子としては、スチルベンゼン構造、アゾベンゼン構造、カルコン構造、又はそれらの組み合わせを含むものが挙げられる。
また、上記高分子としては、下記一般式(1)、(2)又は(3)のいずれかで表わされる構造を有するものであってもよい。
上記式において、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。
すなわち、本発明の相分離構造膜を構成する液晶性側鎖を有する高分子は、上記式(1)、(2)又は(3)で表される側鎖を有する高分子化合物であってもよく、又は、上記式(1)、(2)及び(3)で表わされる側鎖をランダムに含む高分子化合物であってもよいが、本発明において使用される液晶性側鎖を有する高分子は、それぞれが非相溶性であり、等方転移温度が異なるものである。
上記液晶性側鎖を有する高分子としては、上記液晶性側鎖と、該液晶性側鎖と非相溶な親水性ポリマー成分とを有するブロック共重合体を使用してもよい。このようなブロック共重合体の例については後述するが、本発明においては、それぞれの液晶性メソゲン側鎖の等方転移温度が異なっている。上述したように、例えば、主鎖にメタクリレート骨格、C11のメチレンスペーサー、末端基としてノルマルブチル基を有するSLCPでは、メソゲン基の構造に応じて、等方転移温度は、スチルベンの場合は170℃、アゾベンゼンの場合は120℃、カルコンの場合は60℃程度にそれぞれ等方転移温度を示す。これらの記載は例示であり、本発明においては、上記以外のブロック共重合体も使用可能である。本発明においては、それぞれの液晶性メソゲン側鎖の等方転移温度が異なるものを使用するが、それぞれの液晶性メソゲン側鎖の等方転移温度の差は5℃以上あることが好ましく、その差は10〜100℃程度であることが更に好ましい。等方転移温度の差が上記より小さいと、本発明のマクロ相分離積層膜の製造に際し、層間での組成分離が完全ではなくなると考えられる。
本発明の相分離構造膜は、好ましくは基板上に形成され、基板側から他方の面に向かうに従って、上記2種以上の液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度が、段階的に高くなっている。
次に、本発明の相分離構造膜を構成するブロック共重合体を例示して説明する。なおこのように、互いのセグメントが非相溶なブロックからなる共重合体は、親水性ポリマー成分と、液晶性側鎖成分とが互いを排斥する結果、数ナノメートルから数十ナノメートル程度の規則構造を形成する。以下、ミクロ相分離構造膜とも言う。本発明のミクロ層分離構造膜を構成する液晶性側鎖を有する高分子は、上記液晶性側鎖と、該液晶性側鎖と非相溶な親水性ポリマー成分とを有するブロック共重合体である。なお、本発明において使用される高分子を構成する親水性ポリマー成分と液晶性側鎖とはお互いに非相溶なものである。本明細書において、親水性ポリマー成分と液晶性側鎖とが非相溶とは、高分子鎖同士が分子鎖レベルで混じり合わないことを意味し、互いの成分をブレンドした際に、それぞれの成分のガラス転移温度が、ブレンドしない成分のガラス転移温度と同じ温度で、独立に観測されることを意味する。
また、本発明のミクロ相分離構造膜を構成する2種以上の高分子は、それぞれが非相溶性であることが好ましい。
一般に、2種類以上の単独重合体を混合すると、均一に混合することは稀であり、異なる単独重合体同士が反発する結果、同種の単独重合体同士が凝集して相分離を起こす。ブロック共重合体においても同様の相分離を起こすが、異なる単独重合体に由来するブロック鎖が分子内で化学的に結合しているため、相の大きさは大きくなることができず、ブロック共重合体の大きさと同程度となる。このようなブロック共重合体の相分離は、ミクロ相分離と呼ばれ、数nm〜100nm程度のドメイン(相領域)が形成される。ミクロ相分離したドメインの形状は、ブロック共重合体の重合度、各ブロック鎖の化学的性質、及び各ブロック鎖の体積分率等に大きく依存する。
上記ブロック共重合体においては、親水性ポリマー成分及び液晶性側鎖の分子量分布(Mw/Mn)は、通常は1.3以下である。この分子量分布が1.3を超えると、シリンダー径やシリンダー間距離に分布が見られたり、シリンダーの充填構造が規則的でなくなったり、さらにはシリンダーアレイ構造そのものが形成されなくなる場合がある。分子量分布(Mw/Mn)とは、通常はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GC)法によって測定したポリエチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値を意味するものとする。
上記ブロック共重合体の分子量は、好ましくは5000〜100000であり、更に好ましくは10000〜50000である。 上記親水性ポリマー成分としては、例えばポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、又は親水性側鎖を有するポリ(アクリレート)、親水性側鎖を有するポリ(メタクリレート)等が挙げられる。
メソゲン側鎖とは、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を1つ以上有するものが挙げられる。
E−(Y1−F)n−Y2−G
(式中、E、F及びGは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルであり、を表わし、Y1及びY2は、同一であっても異なっていてもよく、単結合、−CH2CH2−、−CH2O− 、−OCH2− 、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O− 、 −OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−N=N−、−CH=CH−C(=O)O−又は−OC(=O)−CH=CH−を表わし、nは、0〜3の整数である。)
本発明のミクロ相分離構造膜を構成するブロック共重合体におけるメソゲン側鎖としては、スチルベンゼン構造、アゾベンゼン構造、カルコン構造が挙げられ、またそれらをランダムに組み合わせた構造であってもよい。上述したような条件では、スチルベンゼン構造、アゾベンゼン構造、カルコン構造は、それぞれ異なる等方転移温度を有し、かつそれらの等方転移温度の差は十分に大きく、本発明において有用である。また、
上記メソゲン側鎖としては、下記一般式(1)、(2)又は(3)のいずれかで表わされる構造を有するものが挙げられる。
一般式(1)〜(3)において、Rは水素又は炭素数1〜22のアルキル基であり、好ましくは炭素数4〜12のアルキル基である。
本発明のミクロ相分離構造膜を構成するブロック共重合体の親水性ポリマー成分の重合度は、ミクロ相分離構造を好適に形成する点から、5以上であることが好ましく、10以上であることが更に好ましい。また、親水性ポリマー成分の重合度は、溶解性の点から、500以下であることが好ましく、50以下であることが更に好ましい。なお、親水性ポリマー成分の重合度は、NMR測定又はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により測定することができる。
また、本発明の液晶性メソゲン側鎖の重合度は、親水性ポリマー成分との相溶性の点から、5以上であることが好ましく、10以上であることが更に好ましい。また、液晶性メソゲン側鎖の重合度は、溶融時の粘度の点から、500以下であることが好ましく、50以下であることが更に好ましい。なお、液晶性メソゲン側鎖の重合度は、NMR測定又はGPC測定により測定することができる。
本発明のブロック共重合体中の親水性ポリマー成分の体積分率については特に制限はないが、ミクロ相分離構造を好適に形成する点から、好ましくは0.01〜0.5であり、更に好ましくは0.05〜0.3である。
本発明のミクロ相分離構造膜を構成するブロック共重合体の具体例について以下に説明する。ブロック共重合体としては、より高い再現性でミクロ相分離構造を形成できる点から、下記式(4)で表わされるブロック共重合体が好ましく用いられる。
一般式(4)において、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表わし、好ましくは10〜50の整数である。また、一般式(4)において、Xはハロゲン原子である。すなわち、Xは臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等である。また、一般式(1)において、aは0〜20の整数であり、好ましくは6〜12の整数である。Rとしては、例えば下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基が挙げられる。q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)〜(3)において、Rは水素又は炭素数1〜22のアルキル基であり、好ましくは炭素数4〜12のアルキル基である。
本発明のミクロ相分離構造膜においては、上記2種以上のブロック共重合体の少なくとも1種が、親水性ポリマー成分と、該親水性ポリマー成分と非相溶な液晶性メソゲン側鎖とが、求核性官能基と反応し得る構造を含む連結部を介して結合してなるトリブロック共重合体であってもよい。
このようなトリブロック共重合体を用いることにより、相分離界面に機能性官能基を導入することが可能となる。
このようなトリブロック共重合体としては、例えば、下記一般式(5)で表わされるものが挙げられる。
一般式(5)において、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表わし、好ましくは10〜50の整数である。また、rは1〜30の整数を表し、好ましくは1〜15の整数である。また、一般式(5)において、Xはハロゲン原子である。すなわち、Xは臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等である。また、一般式(5)において、Rとしては、例えば上記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基が挙げられる。また、aは0〜20の整数であり、好ましくは6〜12の整数である。q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、求核性官能基と反応し得る構造を意味し、求核性官能基と反応し得る構造であればどのような構造のものでもよいが、例えば、以下に示すものが挙げられる。
また、上記トリブロック共重合体としては、下記一般式(6)で表わされるものであってもよい。
一般式(6)において、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表わし、好ましくは10〜50の整数である。また、一般式(6)において、Xはハロゲン原子である。すなわち、Xは臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等である。また、一般式(6)において、Rとしては、例えば上記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基が挙げられる。aは0〜20の整数であり、好ましくは6〜12の整数である。q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、求核性官能基と反応し得る構造を意味し、求核性官能基と反応し得る構造であればどのような構造のものでもよいが、例えば、以下に示すものが挙げられる。

上記液晶性側鎖を有する高分子、ブロック共重合体の製造方法に特に制限はないが、得られるブロック共重合体の分子量及び構造を制御できるという点、並びに、反応性基を有する構成単位を有する共重合体を容易に製造できるという点から、原子移動ラジカル重合法(ATRP)を用いて製造することが好ましい。
原子移動ラジカル重合 は、有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される。
これらの方法によると、一般的に非常に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いブロック共重合体を得ることができ、また、分子量は、用いるモノマーと開示剤の仕込み時の比率によって自由に制御することが可能である。
ATRP法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、上述した、親水性ポリマー成分の片末端側に、上述したような、連結部を含む構造単位を結合した化合物をハロゲン化したものが用いられる。すなわち、本発明において用いられるブロック共重合体に含まれる、反応性基を有する構成単位としては、ATRP法において、重合開始点となり得る構造を有することができる。
また、ATRP法においては、原子移動ラジカル重合 の触媒として用いられる遷移金属Xの錯体としては、周期律表第8族、9族、10族、または11族の遷移金属(X)を中心金属とする金属錯体を触媒を用いる。このうち、好ましいものとして、一価および0価の銅、二価のルテニウム、二価の鉄または二価のニッケルの錯体を挙げることができる。これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。
一価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などがあげられる。その中でも塩化第一銅、臭化第一銅が、重合の制御の観点から好ましい。また、二価のルテニウムとしては、クメンジクロロルテニウムダイマーやトリスジクロライドトリフェニルフォスフィンルテニウム等が挙げられる。
一価の銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、トリオクチルアミン、トリエチルアミン、2,2’−ビピリジル、その誘導体(例えば4,4’−ジノリル−2,2’−ビピリジル、4,4’−ジ(5−ノリル)−2,2’−ビピリジルなど)などの2,2’−ビピリジル系化合物、1,10−フェナントロリン、その誘導体(例えば4,7−ジノリル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジノリル−1,10−フェナントロリンなど)などの1,10−フェナントロリン系化合物、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを配位子として添加しても良い。
また、ATRP法は、無溶媒(塊状重合)又は、種々の溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒などをあげることができ、これらは単独で又は二種以上を混合して用いることができる。溶媒としては、ジクロロベンゼン、アニソール等を用いることが好ましい。
また、ATRP法は、通常、室温20〜120℃程度の温度で実施することができ、20〜120℃程度の温度で実施することが好ましい。重合温度が上記温度よりも低いと、反応系の粘度が高くなり過ぎ反応速度が低くなりすぎる場合があり、上記温度を超えると、安価な重合溶媒を用いることができなくなる。
ATRP法によってブロック共重合体を製造する方法としては、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法等が挙げられる。これらの方法は、目的に応じて使い分けることができるが、重合工程の簡便性の点から、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として、次のブロックを重合する方法が好ましい。
次に、本発明の相分離構造膜の製造方法について説明する。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、 等方転移温度が異なる2種以上の液晶性側鎖を有する高分子を、該液晶性側鎖を有する高分子が溶解可能な溶媒に溶解し、液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を調製する工程;
上記液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を基板表面に塗布する工程;
上記液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度のうち、最も高い等方転移温度よりも高い温度でアニーリングする工程:及び
上記液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度のうち、最も低い等方転移温度よりも低い温度まで冷却する工程を有することを特徴とする。
本発明の相分離構造膜の製造方法において使用される液晶性側鎖を有する高分子としては、上記本発明の相分離構造膜について説明した、ブロック共重合体、トリブロック共重合体を使用することができる。
本発明の相分離構造膜の製造方法においては、2種以上の液晶性側鎖を有する高分子を使用するが、それぞれの液晶性メソゲン側鎖の等方転移温度が異なるものを使用する。それぞれの液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度の差は5℃以上あることが好ましく、その差は10〜100℃程度であることが更に好ましい。等方転移温度の差が上記より小さいと、本発明の相分離構造膜の製造に際し、相分離積層膜の製造に際し、相間での組成分離が完全ではなくなると考えられる。

液晶性側鎖を有する高分子を溶解可能な溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、四塩化炭素、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、二塩化エチレン、塩化メチル等が挙げられる。用いられる溶媒としては、ブロック共重合体を溶解し得るものであれば、上記のものに制限されない。また、溶液中の液晶性側鎖を有する高分子の濃度は、重合体全量の濃度として、0.1〜5質量%程度とする。また、液晶性側鎖を有する高分子が溶解し難い場合には、撹拌、加熱等の操作を行ってもよい。本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法においては、2種以上の液晶性側鎖を有する高分子を上記溶媒に溶解するが、2種以上の液晶性側鎖を有する高分子を上記溶媒に同時に混合して溶解してもよく、また、2種以上の液晶性側鎖を有する高分子を別個に上記溶媒に溶解して、それぞれの液晶性側鎖を有する高分子溶液を得、それらを混合してもよい。
次いで、液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を基板表面に塗布する。基板としては、疎水性物質からなる基板や表面を疎水化処理した基板が好ましく用いられる。例えばポリエステル、ポリイミド、雲母板、シリコンウエハ、石英板、ガラス板等の基板や、これらの基板表面をカーボン蒸着処理やシリル化処理等の疎水化処理を施した基板が好ましく用いられる。この時に用いられる基板の厚みには特に制限はない。
液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を基板表面に塗布する方法としては、特に制限はないが、例えばキャスト又はスピンコート等の方法によって実施することができる。また、塗布量については、特に制限はないが、通常は、基板1cm2当たり0.002〜0.1ml程度が好ましい。
次いで、上記液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度のうち、最も高い等方転移温度よりも高い温度でアニーリングを行なう。アニーリングの温度は、ブロック共重合体を構成する液晶性メソゲン側鎖の等方転移温度のうち、最も高い等方転移温度よりも10℃以上高い温度が好ましく、20℃以上高い温度がより好ましい。また、アニーリングの上限温度は 250℃である。アニーリングを実施する時間に特に制限はないが、10分〜2時間程度である。
次いで、上記ブロック共重合体を構成する液晶性メソゲン側鎖の等方転移温度のうち、最も低い等方転移温度よりも低い温度まで冷却する。冷却は徐々に行うことが好ましく、この時の冷却速度は、一分間で0.5℃〜10℃程度が好ましい。本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法によれば、 本発明によれば、膜面垂直方向に対して、組成配列が制御され、膜面垂直方向に対して異なるSLCPが積層されてなるマクロ相分離積層膜を得ることができる。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法により、2種以上のブロック共重合体が積層されてなるミクロ相分離構造膜の製造工程について、図1を用いて説明する。
上述したように、例えば、主鎖にメタクリレート骨格、C11のメチレンスペーサー、末端基としてノルマルブチル基を有するSLCPでは、メソゲン基の構造に応じて、等方転移温度は、スチルベンの場合は170℃、アゾベンゼンの場合は120℃、カルコンの場合は60℃程度にそれぞれ等方転移温度を示す。
図1においては、スチルベン構造を有するブロック共重合体、アゾベンゼン構造を有するブロック共重合体、及びカルコン構造を有するブロック共重合体を用いてミクロ相分離構造膜を製造する場合について説明する。図1において使用する、スチルベン構造を有するブロック共重合体、アゾベンゼン構造を有するブロック共重合体、及びカルコン構造を有するブロック共重合体の構造式を、それぞれ以下の式(7)、(8)及び(9)に示す。
上記式(7)、(8)及び(9)で示すブロック共重合体の液晶メソゲン側鎖の等方転移温度は、それぞれ170℃、120℃及び70℃である。図1に示すように、上記式(7)、(8)及び(9)で表わされるブロック共重合体をCHClに溶解し、得られた溶液を基板にスピンコート法により塗布し、170℃より高い温度(例えば、200℃)でアニーリングを行う。その後、基板を徐々に冷却する。図1の右上に示すように、基板の温度が150℃になった時点で、液晶メソゲン側鎖の等方転移温度が150℃よりも高い、式(7)で表わされる、スチルベン構造を有するブロック共重合体の液晶メソゲン側鎖が薄膜の空気界面に析出し、液晶メソゲン側鎖はホメオトロピック(垂直)配向する。温度が150℃まで低下した時点では、式(8)で表わされるブロック共重合体及び式(9)で表わされるブロック共重合体は、溶解した状態のままである。
その後、基板の温度を更に低下させていき、温度が110℃になった時の状態を図1の右下に示す。温度が、式(8)で表わされるブロック共重合体の液晶メソゲン側鎖の等方転移温度より低い100℃になったため、式(8)で表わされるアゾベンゼン構造を有するブロック共重合体の液晶メソゲン側鎖がホメオトロピック(垂直)配向する。この時点では、式(9)で表わされるブロック共重合体は溶解した状態のままである。
その後、基板の温度を更に低下させ、温度が室温(約20℃)になった時の状態を図1の左下に示す。温度が、式(9)で表わされるブロック共重合体の液晶メソゲン側鎖の等方転移温度より低い20℃になったため、式(9)で表わされるカルコン構造を有するブロック共重合体の液晶メソゲン側鎖がホメオトロピック(垂直)配向する。
このように、アニーリング後に温度を下げることにより、等方転移温度が高い液晶メソゲン側鎖を有するブロック共重合体が、空気界面に析出し、液晶性メソゲン側鎖がホメオトロピック(垂直)配向し、液晶性メソゲン側鎖の等方転移温度の高い順に、順次、ブロック共重合体が基板側に向けて積層する。得られたミクロ相分離構造膜は、基板側に向かうに従って、ブロック共重合体を構成する液晶性メソゲン側鎖の等方転移温度が段階的に高くなっている積層体が得られる。
図1においては、3種類のブロック共重合体を用いた例を示したが、本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法においては、ブロック共重合体は、2種類以上用いることができ、4種類以上であってもよい。また、上記例においては、液晶性メソゲン側鎖が、スチルベン構造、アゾベンゼン構造、又はカルコン構造を有するブロック共重合体を使用したが、上記いずれかの液晶性メソゲン側鎖が2種以上ランダムに重合したブロック共重合体を使用することもでき、又は、他の液晶性メソゲン側鎖を有するブロック共重合体を使用してもよい。
次に、ブロック共重合体として、親水性ポリマー成分と、該親水性ポリマー成分と非相溶な液晶性メソゲン側鎖とが、求核性官能基と反応し得る構造を含む連結部を介して結合してなるトリブロック共重合体を用いる場合について説明する。本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法においては、2種以上のブロック共重合体のうちの少なくとも1種を上記ブロック共重合体として用いることができる。本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法においては、上記トリブロック共重合体を用いることにより、相分離界面に求核性官能基と反応し得る構造(求電子性官能基)が配置され、次いで、この求電子性官能基を求核性官能基と機能性官能基とを有する化合物と反応させることにより、ミクロ相分離構造膜の相分離界面に機能性官能基を結合させることが可能となる。
求核性官能基としては、例えば、アミノ基、チオール基、等が挙げられる。また、機能性官能基としては、例えば、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボン酸基、イミダゾール基、ニトリル基、スルホン酸基等が挙げられ、得られたナノ多孔質膜の用途によって、適宜選択することができる。したがって、求核性官能基と機能性官能基とを有する化合物としては、例えば、アミノ基とニトリル基とを同一分子中に有する化合物を使用することができ、このような化合物としては、3−アミノプロピルニトリル等が挙げられる。
求核性官能基と機能性官能基とを有する化合物との反応は以下のように実施することができる。pH7.4程度にに調整されたリン酸緩衝液中に、求核性官能基と機能性官能基とを有する化合物を、濃度が100mMになるように溶解して調整した水溶液に、前記方法により得られた相分離膜を浸漬し、12時間静置することで反応が完結し、界面の機能化が行われる。
一般式(5)で表わされるトリブロックを用いた場合の上記反応について、以下に模式的に示す。
上記式において、R’は機能性官能基である。
上記反応が起こり、ミクロ相分離構造膜を構成するブロック共重合体は以下のような構造を有するものとなる。
式中、R及びR’は上述した通りである。
一般式(6)で表わされるトリブロックを用いた場合の上記反応について、以下に模式的に示す。
上記式において、R’は機能性官能基である。
上記反応が起こり、ミクロ相分離構造膜を構成するブロック共重合体は以下のような構造を有するものとなる。
一般式(6)で表わされるブロック共重合体を用いた場合、求核性官能基と機能性官能基とを有する化合物と反応させることにより、ミクロ相分離構造膜が空孔化することとなる。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法によれば、相分離界面に、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボン酸基等の異なる複数機能性官能基を、膜面垂直方向に沿って任意の特定配列に制御して導入することができる。これらの複数官能基を特定配列で相分離界面に配置することは、従来の方法ではできなかったものであり、この点は、本発明者らにより初めて見いだされたことである。
上記に示したように、ミクロ相分離構造膜を、求核性官能基と機能性官能基とを有する化合物と反応させることにより(又はその後、ミクロ相分離構造膜を空孔化することにより)、ミクロ相分離構造膜の親水性ポリマー成分部分が空孔化して多孔質構造となるとともに、相分離界面に上記機能性官能基が結合し、得られたナノ多孔質構造体は、フロー型(透過型)のナノリアクターや、化学選択的分離膜、ボトムアップ的ナノ構造構築に向けたテンプレート等の機能性材料として使用することができる。このような機能性材料としては、アミノ基、イミダゾール基、カルボン酸基、水酸基等複数の官能基を同時に導入することも可能である。多くの酵素の活性サイトでは、この4つの官能基の二つ、ないし三つが協奏的に生理化学反応を触媒することを考慮すると、本手法により、人工的に酵素反応を模倣したフロー型のナノリアクター(シリンダーを水溶性の原料が透過する際に、壁面に配置された官能基のもつ触媒能力によって、生成物へと変換される)として利用することができる。
ニトリル基やアルキルジフェニルホスフィン基を導入した場合、遷移金属や金属粒子を界面に担持することができる。この場合、遷移金属が触媒する多様な反応を行うことができるナノリアクターとしての機能が期待できる。
ターゲットとなる基質と特異的に相互作用する官能基を配置することで、化学選択的分離膜としての応用が可能である。
界面にカルボン酸やアミン等イオン性官能基を配置させた場合、これら官能基の近傍でのみ炭酸カルシウムの結晶成長やシリカゲルのゲル化が促進され、結果シリンダー状もしくは中空筒状の無機物ナノ規則構造物が得られると期待される。このような微細造形におけるテンプレートとしての優位性も高いと考えられる。
本発明によれば、薄膜を垂直貫通するシリンダーによって定義される一軸上に、任意官能基を任意配列で配置することが可能となる。これにより、例えば複数触媒サイトをシリンダーに沿って、一意配列に配置することで、フロー系での連続反応を触媒可能なナノリアクターや、レドックス応答を示す官能基を酸化還元電位順に配列させることで整流機能を発現させるなど、高度な機能設計が期待される。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1
以下の方法により、式(7)により表される液晶性ブロック共重合体を製造した。アルゴン雰囲気下、片末端メトキシポリエチレングリコール(MeO−PEO114OH) 10g、及びトリエチルアミン(0.6g)を塩化メチレン(200mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、α-Bromoisobutyryl bromide(1.17g)を投入し、室温で24時間撹拌を行った。次いで、反応溶液を撹拌したエーテル(1000mL)にゆっくりと滴下し、生成物を沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧下に乾燥することによって、MeO−PEO114-Br(ポリエチレンオキシ−α−メトキシ−ω−2-ブロモ-イソブチレート)10gを得た。
次いで得られたMeO−PEO114-Br(54mg)に、液晶性メタクリル酸エステルモノマー(StbMA)(294mg)、二臭化銅(0.11mg)、Tris(2-pyridylmethyl)amine (0.29mg)、銀線一片を加え、アニソール(1.2mL)とジメチルホルムアミド(0.4mL)の混合溶媒中で、60℃、20時間攪拌した。反応後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下させ、生じた沈殿をろ別、真空乾燥させることで、ジブロック共重合体(PEO114−PStbMA60(SEC;M=27800,M/M=1.13))290mgを得た。
実施例2
液晶性メタクリル酸エステルモノマー(StbMA)に代え、液晶性メタクリル酸エステルモノマー(AzMA)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、ジブロック共重合体PEO114−PAzMA55(SEC;M=26000,M/M=1.11))(上記式(8)で表わされるブロック共重合体)を得た。
実施例3
液晶性メタクリル酸エステルモノマー(StbMA)に代え、液晶性メタクリル酸エステルモノマー(ChalMA)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、ジブロック共重合体PEO114−PChalMA60(SEC;M=28700,M/M=1.18)) (上記式(9)で表わされるブロック共重合体)を得た。
実施例4
液晶性メタクリル酸エステルモノマー(StbMA)に代え、液晶性メタクリル酸エステルモノマー(StbMA)と液晶性メタクリル酸エステルモノマー(AzMA)の30:26混合物を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、ジブロック共重合体PEO114−(PStbMA30-ran-PAzMA26)(SEC;M=27500,M/M=1.14))を得た。
実施例5
実施例1、実施例2及び実施例3で得られたブロック共重合体PEO114−PStbMA60とPEO114−PAzMA55、PEO114−PChalMA60をクロロホルム中に溶解させ、DSC(示差走査熱量測定)のアルミ製試料パンの上に滴下した。これを真空乾燥し、クロロホルムを除去することで、1:1:1ブレンドサンプルを作製し、同様にDSC測定を行った。また、それぞれのブロック共重合体を、1:1:1の混合比でクロロホルム中に溶解させ、DSC(示差走査熱量測定)のアルミ製試料パンの上に滴下した。これを真空乾燥し、クロロホルムを除去することで、1:1:1ブレンドサンプルを作製し、DSC測定を行った。200℃からの冷却プロファイルを図2に示す。スチルベン、アゾベンゼン、カルコンの相転移温度は170℃、118℃、65℃に観測されたが、その1:1:1ブレンドサンプルにおいても、それぞれの成分が別々に、単独サンプルと同じ温度で転移し、非相溶性が確認された。
実施例6
実施例1で得られたブロック共重合体PEO114−PStbMA60、実施例2で得られたPEO114−PAzMA55、実施例4で得られたPEO114−(PStbMA30 -ran-PAzMA26)をクロロホルム中に溶解させ、DSC(示差走査熱量測定)のアルミ製試料パンの上に滴下した。これを真空乾燥し、クロロホルムを除去することで、1:1:1ブレンドサンプルを作製し、同様にDSC測定を行った。また、それぞれのブロック共重合体を、1:1:1の混合比でクロロホルム中に溶解させ、DSC(示差走査熱量測定)のアルミ製試料パンの上に滴下した。これを真空乾燥し、クロロホルムを除去することで、1:1:1ブレンドサンプルを作製し、DSC測定を行った。200度からの冷却プロファイルを図3に示す。スチルベン、スチルベン-アゾベンゼンランダム共重合体、アゾベンゼンの相転移温度は170℃、141℃、118℃に観測されたが、その1:1:1ブレンドサンプルにおいても、それぞれの成分が別々に、単独サンプルと同じ温度で転移し、非相溶性が確認された。
実施例7
実施例1で得られたブロック共重合体PEO114−PStbMA60と、実施例2で得られたPEO114−PAzMA55を1:1の混合比で、3重量%の濃度になるように1,1,2-トリクロロエタンに溶解し、ポリエチレンテレフタレート基板およびシリコンウェーハ上にスピンコート(1000rpm、30秒)により展開した。次いで、190℃の温度で2時間熱処理を行い、約6時間かけて室温まで放冷することで、相分離二層膜を得た。
実施例8
実施例7で得られたミクロ相分離二層膜について、四酸化ルテニウムでPEOドメインを選択染色したものを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。結果を図4Aに示す。また、拡大図を図4B、図4Cに示す。得られたミクロ相分離構造膜は、垂直貫通シリンダーアレイ構造を有することが確認された。さらに、基板側のアゾベンゼン層と空気側のスチルベン層でルテニウムによる染色効率が異なるため、二層構造に起因する明確なコントラストが確認された。
実施例9
実施例7で得られたミクロ相分離二層膜について、四酸化ルテニウムでPEOドメインを選択染色したものを走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察し、その元素分析マッピングをEDX(エネルギー分散型X線分光法)により行った。結果を図5に示す。水色のラインに沿って元素分析を行った。各測定点における窒素濃度を数字で示している(NDは検出不能を意味する)。基板側のアゾベンゼン層と空気側のスチルベン層で窒素濃度に明確なコントラストが見られた。窒素原子はアゾベンゼン構造中にのみ含まれることを考えると、基板側の相を構成するブロック共重合体はPEO114−PAzMA55であり、空気側の相を構成するブロック共重合体はPEO114−PStbMA60であることがわかる。
実施例10
実施例7で得られたSi基板上のミクロ相分離二層膜について、ホットステージ上で温度可変の斜角度入射X線小角散乱実験(GI−SAXS)を行った。図6左側にX線光子計数型検出器による二次元イメージを、右側にその垂直方向(アウトプレーン)スリットプロファイルを示す。190℃では、スチルベン、アゾベンゼン両等方転移温度を上回るため、層構造は確認されない。150℃まで冷却すると、スチルベンの等方相―液晶相転移温度を下回るため、スチルベン液相層構造に由来する回折ピークが現れる。このピークのq値から計算される層間隔は、3.56nmとなり、これはスチルベン特有の層間隔である。更に110℃まで冷却すると、アゾベンゼンの等方相―液晶相転移温度を下回り、アゾベンゼンの層構造に由来する新たな回折ピークが現れる。この結果は、スチルベンとアゾベンゼンが等方転移温度の高い順に析出し、二層構造を形成したことを強く示唆するものである。
実施例11
実施例7で得られたSi基板上のミクロ相分離二層膜について、TOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)を用いて、100μm四方の面積に対し、垂直方向の組成分析を行った。図7に結果を示す。基板に用いたシリコン、およびアゾベンゼンに特有の窒素を含有するフラグメントについて、エッチング時間に対する検出強度をプロットした。まず、Siのピーク(Calcd; 27.9769, obsd;27.9764)から、エッチングは115秒で基板に一部到達し、145秒では100μmの解析範囲におけるすべての点で基板に到達したことが分かる。このSi検出強度の傾斜は、TOF-SIMS試料台に基板を貼り付ける際生じる、水平面からの微小な傾きに由来するものと考えられる。一方で、アゾベンゼンに由来するフラグメント(C+N; 26.0064(obsd.), 2C+N; 38.0049(obsd.), 6C+4H+N; 90.0422(obsd.) )は、エッチング時間60秒までは非常に検出強度は低く、90秒以降ではその強度が50〜100倍まだ向上する。このことから、エッチング時間60秒まではスチルベン層を、90秒以降はアゾベンゼン層をエッチングしていることが分かり、スチルベン-アゾベンゼン二層構造が確認された。また60秒から90秒まで、アゾベンゼンフラグメントの検出強度に傾斜があるが、シリコン検出強度の傾斜と同じエッチング時間幅(30秒)で観測されたことを考慮すると、この傾斜はサンプルの水平面からの微小な傾きに由来するものであり、スチルベン−アゾベンゼンの組成傾斜は極めて急峻なものであると結論できる。
実施例12
実施例1で得られたブロック共重合体PEO114−PStbMA60、実施例2で得られたPEO114−PAzMA55、及び実施例4で得られたPEO114−(PStbMA30 -ran-PAzMA26)を1:1:1の混合比で、3重量%の濃度になるように1,1,2-トリクロロエタンに溶解し、ポリエチレンテレフタレート基板およびシリコンウェーハ上にスピンコート(1000rpm、30秒)により展開した。次いで、190℃の温度で2時間熱処理を行い、約6時間かけて室温まで放冷することで、相分離三層膜を得た。
実施例13
実施例12で得られたミクロ相分離二層膜について、四酸化ルテニウムでPEOドメインを選択染色したものを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。結果を図8に示す。得られたミクロ相分離構造膜は、垂直貫通シリンダーアレイ構造を有することが確認された。さらに、基板側のアゾベンゼン層と、中間のアゾベンゼンスチルベン混合層、空気側のスチルベン層でルテニウムによる染色効率が異なるため、三層構造に起因する明確なコントラストが確認された。
上記実施例より、異種SLCP同士は相溶せず、その等方転移温度の高い順に空気外面側から積層していき、多層構造を形成することが確認された。更に、異種メソゲン基を有する複数モノマーをランダム共重合することにより得られるSLCPは、単一メソゲンを有するSLCPとは異なる新たな温度に等方転移を示し、かつその等方転移温度は異種メソゲン基のブレンド比に応じて制御可能であることが見出された。これにより、任意の数の層を、膜面垂直方向に沿って一意に配列させることが可能となった。上記実施例はSLCPとPEOのジブロック共重合体で検討されたが、SLCP単独重合体のあるいは、SLCPとPEOの間に機能性ブロックを挿入したトリブロック共重合体であっても、同様に積層配列を制御可能であることは明らかである。

Claims (26)

  1. 基板上に、2種以上の液晶性側鎖を有する高分子が積層されてなる相分離構造膜であって、
    上記2種以上の液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度が異なっており、基板側から他方の面に向かうに従って、上記2種以上の液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度が段階的に高くなっている、相分離構造膜。
  2. 上記高分子が、スチルベンゼン構造、アゾベンゼン構造、カルコン構造、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の相分離構造膜。
  3. 上記高分子が、下記一般式(1)、(2)又は(3)のいずれかで表わされる構造を有する、請求項1又は2に記載の相分離構造膜。
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
  4. 上記液晶性側鎖を有する高分子が、上記液晶性側鎖と、該液晶性側鎖と非相溶な親水性ポリマー成分とを有するブロック共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項記載の相分離構造膜。
  5. 上記親水性ポリマー成分が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、又は親水性側鎖を有するポリ(アクリレート)、親水性側鎖を有するポリ(メタクリレート)であり、上記疎水性ポリマー成分がメソゲン側鎖、長鎖アルキル側鎖又は疎水性側鎖を有するポリ(アクリレート)又はポリ(メタクリレート)、ポリ(スチレン)、又はビニルポリマーである、請求項4に記載の相分離構造膜。
  6. 上記ブロック共重合体が、下記一般式(4)で表わされるブロック共重合体を含む、請求項4に記載の相分離構造膜膜。
    (式中、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表し、Xはハロゲン原子であり、aは0〜20の整数であり、Rは下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基であり、q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
  7. 上記液晶性側鎖を有する高分子の少なくとも1種が、親水性ポリマー成分と、該親水性ポリマー成分と非相溶な液晶性メソゲン側鎖とが、求核性官能基と反応し得る構造を含む連結部を介して結合してなるトリブロック共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の相分離構造膜。
  8. 上記トリブロック共重合体が、下記一般式(5)で表わされる、請求項7記載の相分離構造膜膜。
    (式中、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表し、rは1〜30の整数を表し、Xはハロゲン原子であり、Rは求核性官能基と反応し得る構造を表わし、Rは下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基であり、aは0〜20の整数であり、q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
  9. 一般式(5)におけるRが、下記式のいずれかで表わされる、請求項8記載の相分離構造膜。
  10. 上記トリブロック共重合体が、下記一般式(6)で表わされる、請求項7記載の相分離構造膜膜。
    (式中、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表し、Xはハロゲン原子であり、Rは求核性官能基と反応し得る構造を表わし、Rは下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基であり、aは0〜20の整数であり、q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
  11. 一般式(6)におけるRが、下記式のいずれかで表わされる、請求項10記載の相分離構造膜。
  12. 等方転移温度が異なる2種以上の液晶性側鎖を有する高分子を、該液晶性側鎖を有する高分子が溶解可能な溶媒に溶解し、液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を調製する工程;
    上記液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を基板表面に塗布する工程;
    上記液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度のうち、最も高い等方転移温度よりも高い温度でアニーリングする工程:及び
    上記液晶性側鎖を有する高分子の等方転移温度のうち、最も低い等方転移温度よりも低い温度まで冷却する工程を有することを特徴とする相分離構造膜の製造方法。
  13. 上記液晶性側鎖を有する高分子が、スチルベンゼン構造、アゾベンゼン構造、カルコン構造、又はそれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の相分離構造膜の製造方法。
  14. 上記液晶性側鎖を有する高分子が、下記一般式(1)、(2)又は(3)のいずれかで表わされる構造を有する、請求項12又は13に記載の相分離構造膜の製造方法。
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
  15. 上記アニーリングが、上記最も高い等方転移温度よりも10℃以上高い温度で実施される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の相分離構造膜の製造方法。
  16. 上記基板が、疎水性物質からなる基板、又は表面を疎水化処理した基板である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の相分離構造膜の製造方法。
  17. 基板表面に塗布された液晶性側鎖を有する高分子混合溶液を、低い極性相と接触させて加熱処理を施して上記溶媒を蒸発させる、請求項12〜16のいずれか1項に記載の相分離構造膜の製造方法。
  18. 上記加熱処理に加え、電場又は磁場の印加、基板表面の配向処理を施す、請求項17に記載の相分離構造膜の製造方法。
  19. 上記液晶性側鎖を有する高分子が、上記液晶性側鎖と、該液晶性側鎖と非相溶な親水性ポリマー成分とを有するブロック共重合体である、請求項12〜18のいずれか1項に記載の相分離構造膜の製造方法。
  20. 上記親水性ポリマー成分が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、又は親水性側鎖を有するポリ(アクリレート)、親水性側鎖を有するポリ(メタクリレート)であり、上記疎水性ポリマー成分がメソゲン側鎖、長鎖アルキル側鎖又は疎水性側鎖を有するポリ(アクリレート)又はポリ(メタクリレート)、ポリ(スチレン)、又はビニルポリマーである、請求項19に記載の相分離構造膜の製造方法。
  21. 上記液晶性側鎖を有する高分子が、下記一般式(4)で表わされるブロック共重合体を含む、請求項19又は20に記載の相分離構造膜膜の製造方法。
    (式中、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表し、Xはハロゲン原子であり、aは0〜20の整数であり、Rは下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基であり、q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
  22. 上記2種以上の液晶性側鎖を有する高分子の少なくとも1種が、親水性ポリマー成分と、該親水性ポリマー成分と非相溶な液晶性メソゲン側鎖とが、求核性官能基と反応し得る構造を含む連結部を介して結合してなるトリブロック共重合体である、請求項12〜18のいずれか1項に記載の相分離構造膜の製造方法。
  23. 上記トリブロック共重合体が、下記一般式(5)で表わされる、請求項22に記載の相分離構造膜膜の製造方法。
    (式中、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表し、rは1〜30の整数を表し、Xはハロゲン原子であり、Rは求核性官能基と反応し得る構造を表わし、Rは下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基であり、aは0〜20の整数であり、q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
  24. 一般式(5)におけるRが、下記式のいずれかで表わされる、請求項23記載の相分離構造膜の製造方法。
  25. 上記トリブロック共重合体が、下記一般式(6)で表わされる、請求項22に記載の相分離構造膜膜の製造方法。
    (式中、p及びqは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5〜500の整数を表し、rは1〜30の整数を表し、Xはハロゲン原子であり、 求核性官能基と反応し得る構造を表わし、Rは下記一般式(1)、(2)又は(3)で表わされる置換基であり、aは0〜20の整数であり、q個のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜22のアルキル基である。)
  26. 一般式(6)におけるRが、下記式のいずれかで表わされる、請求項25記載の相分離構造膜の製造方法。


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