ところで、特に燃焼開始の際に元ガス電磁弁を開切換すると、各燃焼領域に燃料ガスを供給切換するための能力切換用の各電磁弁に対し燃料ガスが供給可能となる。このとき、ある電磁弁が開故障状態(開状態のまま固着してしまい閉切換制御されても閉状態に戻らない故障状態)に万一陥っていると、そのまま燃料ガスが対応する燃焼領域に供給されてしまい、その燃焼領域から未着火のまま放出されてしまうおそれがあるため、対策が必要になる。
例えば、図8に示すように燃焼能力1段では第1電磁弁101を開弁して点火装置102で第1燃焼領域103に点火して燃焼領域103のみを燃焼作動させ、燃焼能力2段ではさらに第2電磁弁104を開弁して第1燃焼領域103から第2燃焼領域105に火移りさせて2つの燃焼領域103,105を共に燃焼作動させ、燃焼能力3段ではさらに第3電磁弁106を開弁して3つの燃焼領域103,105,107を共に燃焼作動させるというように、燃焼能力の燃焼段数切換制御を行う場合に、第3電磁弁106が開故障状態に陥っていると前記の問題が生じるおそれがある。すなわち、第3電磁弁106が開故障状態であれば第3燃焼領域107から燃料ガスが放出されるものの、第1燃焼領域103に点火して燃焼能力1段で燃焼作動させたとしても、第1燃焼領域103から第3燃焼領域107に直接には火移りしないことになる。かかる事情を考慮して、第1燃焼領域103だけで燃焼させる燃焼能力1段の場合であっても、次の手順を踏んで燃焼作動させることが考えられている。先ず、第1及び第2の両電磁弁101,104を共に開弁して点火装置で第1燃焼領域103に点火した後に、第1電磁弁101を閉弁して第1燃焼領域103を一旦消火し、第2燃焼領域105に確実に炎が有ることを炎検出装置108で確認した上で、再度、第1電磁弁101を開弁して第2燃焼領域105から火移りさせてから第2電磁弁104を閉弁させる、という複雑な手順を踏むことが考えられる。つまり、第3電磁弁106が開故障状態に万一陥っていたとしても、第2燃焼領域105の炎から第3燃焼領域107に火移りするようにしているのである。
反面、このような手順を踏んだ対策を行うと、燃焼開始時の制御が複雑化するだけでなく、燃焼量自体が複雑に変動してしまう結果、給湯初期に出湯特性の悪化を招くおそれが生じてしまうことになる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出湯特性の悪化を招くことなく、燃焼開始時に切換制御弁の開故障のおそれに伴う不都合の発生を未然に防止することができる燃焼装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、それぞれが1又は複数の燃焼バーナにより構成されて互いに独立して燃焼制御可能な複数の燃焼領域と、燃焼領域毎に燃料を個別供給切換可能に配設された複数の切換制御弁と、前記複数の燃焼領域の内から1又は2以上組み合わせて燃焼させることで複数段の燃焼能力が設定され、この燃焼能力の段数を目標燃焼量に応じて切換制御するための燃焼能力切換制御部とを備えている燃焼装置を対象にして次の技術的手段を講じた。
すなわち、特定の燃焼領域のみに点火可能な点火装置と、炎の有無を検出するための炎検出装置とを備え、前記燃焼領域として、第1切換制御弁の開弁により燃料供給を受けて単独燃焼することで最小燃焼段の燃焼能力1段での燃焼能力を発揮する第1燃焼領域と、第2切換制御弁の開弁により燃料供給を受けて前記点火装置により点火される第2燃焼領域と、第3切換制御弁の開弁により燃料供給を受けて燃焼しても前記炎検出装置による炎検出が不能な第3燃焼領域とを備え、かつ、これら第1〜第3の各燃焼領域を、隣接する両燃焼領域間で互いに火移り可能なように順に隣接して配置する構成とする。そして、前記燃焼能力切換制御部として、前記第1燃焼領域に加え前記第2燃焼領域を共に燃焼作動させることで燃焼能力2段での燃焼能力に増大させ、前記第1燃焼領域に加え第2及び第3の両燃焼領域を共に燃焼作動させることで燃焼能力3段での燃焼能力に増大させるように燃焼能力の段数切換制御を行う構成とし、かつ、燃焼開始時であって、目標燃焼量が前記燃焼能力1段であるときには、前記第2切換制御弁を開弁し前記点火装置により前記第2燃焼領域を点火する一方、前記第1切換制御弁を開弁して前記第1燃焼領域に火移りさせた後に、前記第2切換制御弁を閉弁することにより前記燃焼能力1段での燃焼を開始する構成とする。さらに、前記炎検出装置を、前記第1燃焼領域の炎、又は、前記第1及び第2の両燃焼領域の炎を検出可能に配設することとした(請求項1)。
本発明の場合、特に燃焼開始時において、第3切換制御弁に開故障が万一生じていて、閉弁制御しても開状態のままに固着していたとしても、未着火の生ガスがそのまま放出し続けるという不都合発生を回避することが可能となる。すなわち、燃焼開始時において、まずは第2燃焼領域を点火装置により点火するようにしているため、第3切換制御弁に開故障が発生していて隣接する第3燃焼領域から燃料の生ガスが放出したとしても、点火された第2燃焼領域から即座に火移りして第3燃焼領域も燃焼を開始させることが可能になる。このため、第3切換制御弁がたとえ開故障状態に陥っていたとしても、第3燃焼領域から生ガスが放出し続けるという事態の発生を未然に防止することが可能となる。つまり、燃焼開始時の点火制御において最小燃焼能力段である燃焼能力1段の第1燃焼領域を点火させるのではなくて、第2燃焼領域から先に点火するようにしているため、隣接する第3燃焼領域からの生ガス放出を回避することが可能となる。
本発明の燃焼装置において、第1燃焼領域を複数の燃焼バーナにより構成する一方、第2燃焼領域を、第1燃焼領域を構成する燃焼バーナよりも少ない数の燃焼バーナにより構成されたものとすることができる(請求項2)。このようにすることにより、特に燃焼開始時の目標燃焼量が最小燃焼能力段の1段である場合に、燃焼開始時における出湯の温度変動に伴う違和感をユーザーに与えることなく、安定した湯の使用を実現させることが可能となる。すなわち、燃焼開始時の目標燃焼量がたとえ最小燃焼能力段の1段(第1燃焼領域のみの燃焼)に対応するものであったとしても、点火装置による点火対象の第2燃焼領域が第1燃焼領域の燃焼バーナよりも少ない数の燃焼バーナで構成されているため、燃焼開始時に第1及び第2燃焼領域が共に燃焼状態になる時間が極僅かに存在したとしても、その燃焼量の相違や変動は目標燃焼量との対比において微小なものものとみなし得る。このため、特に燃焼開始時の目標燃焼量が最小燃焼能力1段に対応するものであったとしても、その燃焼開始時における出湯特性が大きく変動してしまうことを回避して安定した出湯特性を実現させることが可能となる。これにより、特に燃焼開始時の目標燃焼量が最小燃焼能力段の1段である場合に、出湯の温度変動に伴う違和感をユーザーに与えることなく、安定した湯の使用を実現させることが可能となる。一方、燃焼開始時の目標燃焼量が比較的大きな段数の燃焼能力に対応するものであっても、出湯初期の温度変動を可及的に抑えることで、同様にユーザーに違和感を与えることなく、安定した湯の使用を実現させることが可能となる。又、第2燃焼領域を1つの燃焼バーナにより構成されたものとすることができる(請求項3)。このように第2燃焼領域を最小数である1つの燃焼バーナにより構成することにより、燃焼開始時に第1及び第2燃焼領域が共に燃焼状態になる時間が極僅かに存在したとしても、その燃焼量の相違や変動は目標燃焼量との対比において殆ど無いものとみなし得る。この結果、前記の燃焼開始時における出湯特性が大きく変動してしまうことを回避して安定した出湯特性を実現させるという作用を最大化させ得ることになる。
又、本発明の燃焼装置において、燃焼能力切換制御部として、燃焼開始時に、第2切換制御弁を開弁し点火装置により第2燃焼領域を点火し、炎検出装置により第2燃焼領域での炎を検出した後に、第1切換制御弁を開弁して第1燃焼領域に火移りさせる構成とすることができる(請求項4)。つまり、まず第2燃焼領域の点火・燃焼、次に第1及び第2の両燃焼領域の燃焼、そして、第1燃焼領域のみの燃焼、というように切換制御するのである。その際、最初の第2燃焼領域の点火・燃焼を炎検出装置により確認した上で、第1燃焼領域へ火移りさせるようにしているため、第1燃焼領域の燃焼も確実に行い得ることになる。一方、本発明の燃焼装置において、燃焼能力切換制御部として、燃焼開始時に、第1及び第2切換制御弁を共に開弁し点火装置により第2燃焼領域を点火することにより第1及び第2燃焼領域を共に燃焼させた後に、第2切換制御弁を閉弁することにより燃焼能力1段での燃焼を開始させる構成とすることができる(請求項5)。つまり、まず第1及び第2の両燃焼領域を共に点火・燃焼させ、次に、第1燃焼領域の燃焼のみの燃焼というように切換制御するのである。この際、最終的に第1燃焼領域のみの燃焼状態を炎検出装置により検出するようにしているため、結果として、最初の第2燃焼領域の点火も、最後の第1燃焼領域のみの燃焼状態も、共に確実に確認した上で以後の燃焼作動を行い得ることになる。
さらに、本発明の燃焼装置において、燃焼領域として、第3燃焼領域に対し第2燃焼領域とは逆の側で隣接する他の燃焼領域を備えたものとすることができる(請求項6)。このようにすることにより、大規模な燃焼能力の燃焼装置に対しても本発明を適用することが可能となる。
以上、説明したように、本発明の燃焼装置によれば、特に燃焼開始時において、第3切換制御弁に開故障が万一生じていて、閉弁制御しても開状態のままに固着していたとしても、未着火の生ガスがそのまま放出し続けるという不都合発生を回避することが可能となる。すなわち、燃焼開始時において、まずは第2燃焼領域を点火装置により点火するようにしているため、第3切換制御弁に開故障が発生していて隣接する第3燃焼領域から燃料の生ガスが放出したとしても、点火された第2燃焼領域から即座に火移りして第3燃焼領域も燃焼を開始させることができるようになる。このため、第3切換制御弁がたとえ開故障状態に陥っていたとしても、第3燃焼領域から生ガスが放出し続けるという事態の発生を未然に防止することができるようになる。つまり、燃焼開始時の点火制御において最小燃焼能力段である燃焼能力1段の第1燃焼領域を点火させるのではなくて、第2燃焼領域から先に点火するようにしているため、隣接する第3燃焼領域からの生ガス放出を回避することができるようになる。
請求項2によれば、第1燃焼領域を複数の燃焼バーナにより構成する一方、第2燃焼領域を、第1燃焼領域を構成する燃焼バーナよりも少ない数の燃焼バーナにより構成されたものとすることにより、特に燃焼開始時の目標燃焼量が最小燃焼能力段の1段である場合に、燃焼開始時における出湯の温度変動に伴う違和感をユーザーに与えることなく、安定した湯の使用を実現させることができるようになる。すなわち、燃焼開始時の目標燃焼量がたとえ最小燃焼能力段の1段(第1燃焼領域のみの燃焼)に対応するものであったとしても、点火装置による点火対象の第2燃焼領域が第1燃焼領域の燃焼バーナよりも少ない数の燃焼バーナで構成されているため、燃焼開始時に第1及び第2燃焼領域が共に燃焼状態になる時間が極僅かに存在したとしても、その燃焼量の相違や変動は目標燃焼量との対比において微小なものとみなし得る。このため、特に燃焼開始時の目標燃焼量が最小燃焼能力1段に対応するものであったとしても、その燃焼開始時における出湯特性が大きく変動してしまうことを回避して安定した出湯特性を実現させることができる。これにより、特に燃焼開始時の目標燃焼量が最小燃焼能力段の1段である場合に、出湯の温度変動に伴う違和感をユーザーに与えることなく、安定した湯の使用を実現させることが可能となる。又、燃焼開始時の目標燃焼量が比較的大きな段数の燃焼能力に対応するものであっても、出湯初期の温度変動を可及的に抑えることで、同様にユーザーに違和感を与えることなく、安定した湯の使用を実現させることができる。さらに、請求項3によれば、第2燃焼領域を1つの燃焼バーナにより構成されたものとすること、つまり第2燃焼領域を最小数である1つの燃焼バーナにより構成することにより、燃焼開始時に第1及び第2燃焼領域が共に燃焼状態になる時間が極僅かに存在したとしても、その燃焼量の相違や変動は目標燃焼量との対比において殆ど無いものとみなすことができるようになる。この結果、前記の燃焼開始時における出湯特性が大きく変動してしまうことを回避して安定した出湯特性を実現させるという効果を最大化させることができる。
請求項4の燃焼装置によれば、燃焼能力切換制御部として、燃焼開始時に、第2切換制御弁を開弁し点火装置により第2燃焼領域を点火し、炎検出装置により第2燃焼領域での炎を検出した後に、第1切換制御弁を開弁して第1燃焼領域に火移りさせる構成とすることにより、本発明の燃焼開始時の点火制御を確実に行うことができる。つまり、まず第2燃焼領域の点火・燃焼、次に第1及び第2の両燃焼領域の燃焼、そして、第1燃焼領域のみの燃焼、というように切換制御するのである。この際、最初の第2燃焼領域の点火・燃焼を炎検出装置により確認した上で、第1燃焼領域へ火移りさせるようにしているため、第1燃焼領域の燃焼や、以後の燃焼作動を確実に行うことができるようになる。一方、請求項5の燃焼装置によれば、燃焼能力切換制御部として、燃焼開始時に、第1及び第2切換制御弁を共に開弁し点火装置により第2燃焼領域を点火することにより第1及び第2燃焼領域を共に燃焼させた後に、第2切換制御弁を閉弁することにより燃焼能力1段での燃焼を開始させる構成とすることにより、請求項4の燃焼装置と同様に本発明の燃焼開始時の点火制御を確実に行うことができる。つまり、まず第1及び第2の両燃焼領域を共に点火・燃焼させ、次に、第1燃焼領域の燃焼のみの燃焼というように切換制御するのである。この際、最終的に第1燃焼領域のみの燃焼状態を炎検出装置により検出するようにしているため、結果として、最初の第2燃焼領域の点火も、最後の第1燃焼領域のみの燃焼状態も、共に確実に確認した上で以後の燃焼作動を行うことができる。
さらに、請求項6の燃焼装置によれば、燃焼領域として、第3燃焼領域に対し第2燃焼領域とは逆の側で隣接する他の燃焼領域を備えたものとすることにより、大規模な燃焼能力の燃焼装置に対しても本発明を適用することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃焼装置を潜熱回収型の給湯装置に適用した場合を示す模式図である。この給湯装置は、図示省略のハウジング内に燃焼加熱用の缶体2が収容され、缶体2内に顕熱回収用の一次熱交換器3と、潜熱回収用の二次熱交換器4と、これらを燃焼加熱するための燃焼装置5とが配設される一方、缶体2の下側にはファンモータの回転作動により燃焼装置5に対し燃焼用空気を供給する送風ファン6が設けられて構成されたものである。なお、本実施形態では、給湯機能のみの単機能タイプの給湯装置を示すが、これに限らず、給湯機能に加えて、温水循環式暖房機能、風呂追い焚き機能、風呂湯張り機能のいずれか1以上の機能を併有する複合熱源機型に構成されたものに本発明の燃焼装置を適用することができる。あるいは、温水循環式暖房機能や、ふろ追焚機能等のいずれかのみの単機能タイプの熱源機にも、さらには、給湯装置以外にも、本発明の燃焼装置を適用することができる。又、潜熱回収型とは、燃焼ガスからの顕熱回収に加え燃焼排ガスから潜熱の回収をも行うことにより高効率化を図るものであり、少なくとも潜熱回収用の二次熱交換器4を備えたものであるが、このような潜熱回収を図る設備を有さないものであっても、もちろん、本発明の燃焼装置を適用することができる。
給湯装置の全体構成について、簡単に説明すると、加熱対象である水は入水管7を通して二次熱交換器4に対し先に通水されて予熱され、次いで、接続管8を通して一次熱交換器3に通水されるようになっている。この際に、燃焼装置5の燃焼作動により燃焼ガスが一次熱交換器3に先ず流れ、この燃焼ガスからの顕熱回収により一次熱交換器3では水が所定の設定温度まで加熱されて出湯管9に出湯される。次いで、一次熱交換器3を下から上に通過した後の排ガスが二次熱交換器4に対し流れ、この排ガスからの潜熱回収により二次熱交換器4では一次熱交換器3での加熱前に予熱され、二次熱交換器4を通過した後の燃焼排ガスが集合排気筒2aを通して外部に放出されるようになっている。出湯管9に出湯された湯は、例えば台所や洗面所等に給湯されるようになっている。一方、二次熱交換器4での潜熱回収の際に、燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮することにより強酸性のドレンが発生するため、このドレンをドレンパン10により集水し、例えば中和処理等を施した上で排水するようになっている。なお、一次熱交換器3及び二次熱交換器4としては、それぞれ、多数のフィンと、このフィンを貫通するチューブとからなるフィンアンドチューブ式に構成されたものを図示しているが、これに限らず、燃焼ガス又は排ガスと接触して熱交換し得るものであれば、他の形式の熱交換器を用いることができる。
燃焼装置5は、図2にも示すように、それぞれが1又は複数の燃焼バーナ51,51,…により構成されて互いに独立して燃焼制御可能な複数(図例では6つ)の燃焼領域F1〜F6を備えている。そして、各燃焼領域F1,F2,…,F6の内から1又は2以上組み合わせて燃焼させることで、燃焼能力(燃焼量)が複数段階(本実施形態では1〜6段)にわたり切換可能となっている。そして、例えばリモコン11aにユーザーが入力設定した設定温度に係る設定情報や、入水管7により入水される入水温度及び入水流量等の検出情報を受けて、コントローラ11の給湯制御部により目標燃焼量(必要号数)が演算され、コントローラ11の燃焼能力切換制御部により燃焼能力の段数が目標燃焼量に応じて切換制御されるようになっている。なお、図例の燃焼装置5は、大燃焼能力で燃焼可能なものを示しており、それに伴い、要求される目標燃焼量の範囲も最小〜最大までより幅広いものとなっている。以下、燃焼装置5について、詳細に説明する。
燃焼装置5は、缶体2の下側位置において左右方向の一側から他側にかけて並べられた複数本(図例では合計21本)の燃焼バーナ(燃焼管)51,51,…を備え、これら燃焼バーナ51,51,…が1以上の所定本数毎にグループ分けされ、グループ分けされた燃焼管51,51,…毎に切換制御弁である能力切換弁SV1,SV2,…,SV6により個別に燃料ガスが供給切換可能とされて、複数種類の燃焼領域F1〜F6が形成されている。例えば、図1又は図2の左右方向一端(右端)から他端(左端)に向けて順に、2本の燃焼管51,51により第1燃焼領域F1が形成され、1本の燃焼管51により第2燃焼領域F2が形成され、2本の燃焼管51,51により第3燃焼領域F3が形成され、4本の燃焼管51,51,…により第4燃焼領域F4が形成され、8本の燃焼管51,51,…により第5燃焼領域F5が形成され、そして、4本の燃焼管51,51,…により第6燃焼領域F6が形成されている。
燃料ガスの供給は、元ガス電磁弁SV0及びガス比例弁SVLを開けば能力切換弁SV1,SV2,…,SV5(SV6)に供給可能となり、いずれかの能力切換弁を開弁すれば対応する燃焼領域の各燃焼バーナ51に燃料ガスが供給されることになる。ここで、第6能力切換弁SV6は、第5能力切換弁SV5の下流側位置であって第5燃焼領域F5を構成する燃焼バーナ51,51,…との間の位置から分岐して第6燃焼領域F6に延びる分岐供給管に介装されている。ここで、念のために対応関係を説明しておくと、第1能力切換弁SV1が開弁されれば燃料ガスが第1燃焼領域F1に供給され、第2能力切換弁SV2が開弁されれば燃料ガスが第2燃焼領域F2に供給され、第3能力切換弁SV3が開弁されれば燃料ガスが第3燃焼領域F3に供給され、第4能力切換弁SV4が開弁されれば燃料ガスが第4燃焼領域F4に供給され、第5能力切換弁SV5が開弁されれば燃料ガスが第5燃焼領域F5に供給され、第5能力切換弁SV5が開弁された状態で第6能力切換弁SV6が開弁されれば燃料ガスが第6燃焼領域F6に供給されることになる。
以上の第1〜第6能力切換弁SV1〜SV6の開閉切換制御に基づく第1〜第6燃焼領域F1〜F6の燃焼作動を組み合わせることで、1段〜6段の燃焼能力が予め設定されている。すなわち、第1能力切換弁SV1を開弁して第1燃焼領域F1が燃焼した状態を燃焼能力1段と設定する(図3及び図4(b)参照)。第1及び第2能力切換弁SV1,SV2を共に開弁して第1及び第2燃焼領域F1,F2が燃焼した状態を燃焼能力2段と設定する(図3及び図4(a)参照)。第1〜第3能力切換弁SV1,SV2,SV3を開弁して第1〜第3燃焼領域F1,F2,F3が燃焼した状態を燃焼能力3段と設定する(図3及び図5(a)参照)。第1〜第4能力切換弁SV1,SV2,SV3,SV4を開弁して第1〜第4燃焼領域F1,F2,F3,F4が燃焼した状態を燃焼能力4段と設定する(図3及び図5(b)参照)。第1〜第5能力切換弁SV1,SV2,SV3,SV4,SV5を開弁して第1〜第5燃焼領域F1,F2,F3,F4,F5が燃焼した状態を燃焼能力5段と設定する(図3及び図6(a)参照)。そして、第1〜第6能力切換弁SV1,SV2,SV3,SV4,SV5,SV6を開弁して第1〜第6燃焼領域F1,F2,F3,F4,F5,F6の全てが燃焼した状態を燃焼能力6段と設定している(図3及び図6(b)参照)。
そして、第2燃焼領域F2を構成する燃焼バーナ51には、これに点火するための点火装置(例えばイグナイタ)12が配設されている。又、炎検出装置(例えばフレームロッド)13が第1燃焼領域F1と第2燃焼領域F2との境界近傍位置に配設され、炎検出装置13によって、第1燃焼領域F1の炎及び/又は第2燃焼領域F2の炎の存在が検出可能となっている。さらに、他の炎検出装置(例えばフレームロッド)14が第4燃焼領域F4と第5燃焼領域F5との境界近傍位置に配設され、炎検出装置14によって、第4燃焼領域F4の炎及び/又は第5燃焼領域F5の炎の存在が検出可能となっている。
コントローラ11の燃焼能力切換制御部は、前述のリモコン11aからの設定温度に係る設定情報、入水温度及び入水流量等の検出情報、並びに、目標燃焼量に係る情報に加えて、前記の炎検出装置13,14からの検出情報等に基づいて、燃焼能力の段数を切換制御するように構成されている。点火制御により燃焼を開始し、以後の燃焼能力の段数切換は1段−2段−3段−4段−5段−6段というように順に増大させるか、6段−5段−4段−3段−2段−1段というように順に低減させるか、によって行う。燃焼開始時の点火制御は、特に第3能力切換弁SV3に開故障発生のおそれを考慮して、次のように行う。すなわち、先ず、点火装置12を点火作動させて、第2能力切換弁SV2及び第1能力切換弁SV1を共に開弁制御する(図3参照)。すると、第2能力切換弁SV2が正常に作動していれば第2燃焼領域F2が燃焼され、又、第1能力切換弁SV1も正常に作動していれば前記の第2燃焼領域F2の点火に伴い第1燃焼領域F1に火移りして第1燃焼領域F1も燃焼開始する。つまり、第1及び第2燃焼領域F1,F2が共に燃焼作動する(図4(a)参照)。この後に、第2能力切換弁SV2を閉弁制御して第2燃焼領域F2を消火し、第1燃焼領域F1のみが燃焼している燃焼能力1段での燃焼状態にする(図4(b)参照)。この際に、第2能力切換弁SV2を閉弁制御した後、炎検出装置13からの検出情報により第1燃焼領域F1に炎が存在すること、つまり第1燃焼領域F1が燃焼していることを確認する。
燃焼開始時の点火制御として、前記のものに代えて次のようにすることもできる。すなわち、先ず、点火装置12を点火作動させて、第2能力切換弁SV2を開弁制御する(図3カッコ書き参照)。すると、第2能力切換弁SV2が正常に作動していれば第2燃焼領域F2が単独で燃焼される。この第2燃焼領域F2で燃焼していることを炎検出装置13で確認した上で、次に、第1能力切換弁SV1を開弁制御する。第1能力切換弁SV1が正常に作動していれば前記の第2燃焼領域F2から第1燃焼領域F1に火移りして第1燃焼領域F1も燃焼を開始し、第1及び第2燃焼領域F1,F2が共に燃焼作動することになる(図4(a)参照)。この後に、第2能力切換弁SV2を閉弁制御して第2燃焼領域F2を消火し、第1燃焼領域F1のみが燃焼している燃焼能力1段での燃焼状態にする(図4(b)参照)。この際に、前記と同様に、炎検出装置13からの検出情報により第1燃焼領域F1が燃焼していることを確認する。
そして、目標燃焼量が燃焼能力1段の燃焼量に対応するものであれば、このまま燃焼能力1段での燃焼を継続させることになる。目標燃焼量がより大きくて、例えば燃焼能力4段の燃焼量に対応するのであれば、前記の点火制御による燃焼開始に引き続き、燃焼能力1段−燃焼能力2段−燃焼能力3段−燃焼能力4段というように、燃焼能力を1段毎に増大させて燃焼能力4段の燃焼状態に切換制御することになる。つまり、火移りのための僅かな時間差の間隔を開けて第2能力切換弁SV2,第3能力切換弁SV3,第4能力切換弁と連続して順に開弁制御(開切換制御)することになる。もちろん、燃焼開始時の目標燃焼量が燃焼能力2段又は3段以上であれば、第2能力切換弁SV2の開弁制御及び点火装置12による点火作動制御して、炎検出装置13で炎検知により第2燃焼領域F2の燃焼を確認した上で、第1能力切換弁SV1、又は、第1及び第3能力切換弁SV1,SV3の開弁制御を行うようにすることもできる。
以上の燃焼能力切換制御の場合、特に燃焼開始時において、第3能力切換弁SV3に開故障が万一生じていて、閉弁制御(閉切換制御)しても開状態のままに固着していたとしても、元ガス電磁弁SV0の開切換に伴い、未着火の生ガスがそのまま放出し続けるという不都合発生を回避することができる。すなわち、前記の第1及び第2燃焼領域を同時燃焼作動させるという点火制御の場合でも、第2燃焼領域のみを単独燃焼させるという点火制御の場合でも、いずれの場合であっても、まずは第2燃焼領域F2が点火装置12により点火されるようになっているため、元ガス電磁弁SV0の開弁制御に伴い隣接する第3燃焼領域F3から燃料の生ガスが放出することになったとしても、点火された第2燃焼領域F2から即座に火移りして第3燃焼領域F3も燃焼を開始することになる(図7参照)。このため、第3能力切換弁SV3がたとえ開故障状態に陥っていたとしても、第3燃焼領域F3から生ガスが放出し続けるという事態の発生を未然に防止することができるようになる。つまり、燃焼開始時の点火制御において最小燃焼能力段である燃焼能力1段の第1燃焼領域F1を点火させるのではなくて、第2燃焼領域F2から先に点火するようにしているため、隣接する第3燃焼領域F3からの生ガス放出を回避することができる。
しかも、特に、燃焼開始時における目標燃焼量が最小燃焼能力段の1段である場合に、出湯初期の温度変動に伴う違和感をユーザーに与えることなく、安定した湯の使用を実現させることができる。すなわち、燃焼開始時の目標燃焼量がたとえ最小燃焼能力段の1段(燃焼領域F1のみの燃焼)に対応するものであったとしても、点火装置12による点火対象の第2燃焼領域F2が1本の燃焼バーナ51だけで構成されているため、燃焼開始時に第1及び第2燃焼領域F1,F2が共に燃焼状態になる時間が極僅かに存在したとしても、その燃焼量の相違や変動は目標燃焼量との対比において殆ど無いものとみなし得る。このため、特に燃焼開始時の目標燃焼量が最小燃焼能力1段に対応するものであったとしても、その燃焼開始時における出湯特性が大きく変動してしまうことを回避して安定した出湯特性を実現させることができる。これにより、特に目標燃焼量が最小燃焼能力段の1段である場合に、出湯の温度変動に伴う違和感をユーザーに与えることなく、安定した湯の使用を実現させることができるようになる。なお、燃焼開始時の目標燃焼量が比較的大きな段数の燃焼能力(例えば前記の4段等)に対応するものであっても、出湯初期の温度変動を可及的に抑えることで、同様にユーザーに違和感を与えることなく、安定した湯の使用を実現させることができる。
<他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態における燃焼領域の数(6つ)や、各燃焼領域を構成する燃焼バーナ51の本数、燃焼能力の段数(6段)等については例示であり、燃焼領域の数が3つ以上であれば、これら以外に設定することもできる。又、第2燃焼領域F2として1本の燃焼バーナ51で構成しているが、これに限らず、隣接する最小燃焼能力段を形成しかつ炎検出装置13により炎検出が可能な第1燃焼領域F1との対比において、2本以上とすることができる。つまり、第2燃焼領域F2を構成する燃焼バーナの本数は、第1燃焼領域F1を構成する燃焼バーナの本数より多くならない範囲で設定することができる。