図1は、本発明が適用される建設機械としてのショベルを示す側面図である。ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。作業要素としてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン11等の動力源及びコントローラ30等が搭載される。
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部としての制御装置である。本実施例では、コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUに実行させて各種機能を実現する。
図2は、図1のショベルに搭載される油圧回路の構成例を示す概略図である。本実施例では、油圧回路は、主に、第1ポンプ14L、第2ポンプ14R、回生用油圧モータ14A、コントロールバルブ17、第1アキュムレータ85L、第2アキュムレータ85H、及び油圧アクチュエータを含む。油圧アクチュエータは、主に、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、及び旋回用油圧モータ21を含む。また、油圧アクチュエータは、左側走行用油圧モータ(図示せず。)及び右側走行用油圧モータ(図示せず。)を含んでいてもよい。
ブームシリンダ7は、ブーム4を昇降させる油圧シリンダであり、ボトム側油室とロッド側油室との間には再生弁7aが接続され、ボトム側油室側には保持弁7bが設置される。また、アームシリンダ8は、アーム5を開閉させる油圧シリンダであり、ボトム側油室とロッド側油室との間には再生弁8aが接続され、ロッド側油室側には保持弁8bが設置される。また、バケットシリンダ9は、バケット6を開閉させる油圧シリンダであり、ボトム側油室とロッド側油室との間には再生弁9aが接続される。再生弁7a、8a、9aは何れもコントロールバルブ17の外部に設置され、例えば、関連する油圧シリンダに隣接して設置される。
旋回用油圧モータ21は、上部旋回体3を旋回させる油圧モータであり、ポート21L、21Rがそれぞれリリーフ弁22L、22Rを介して作動油タンクTに接続され、シャトル弁22Sを介して切替弁22Gに接続され、且つ、チェック弁23L、23Rを介して作動油タンクTに接続される。
リリーフ弁22Lは、ポート21L側の圧力が所定のリリーフ圧に達した場合に開き、ポート21L側の作動油を作動油タンクTに排出する。また、リリーフ弁22Rは、ポート21R側の圧力が所定のリリーフ圧に達した場合に開き、ポート21R側の作動油を作動油タンクTに排出する。
シャトル弁22Sは、ポート21L側及びポート21R側のうちの圧力が高い方の作動油を切替弁22Gに供給する。
切替弁22Gは、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁であり、旋回用油圧モータ21(シャトル弁22S)と第2アキュムレータ85Hとの間の連通・遮断を切り替え可能な2ポート2位置の電磁弁である。具体的には、切替弁22Gは、第1位置にある場合に旋回用油圧モータ21と第2アキュムレータ85Hとの間を連通させ、第2位置にある場合にその連通を遮断する。
チェック弁23Lは、ポート21L側の圧力が反対側の圧力より低くなった場合に開き、作動油タンクT又は第1アキュムレータ85Lからポート21L側に作動油を補給する。チェック弁23Rは、ポート21R側の圧力が反対側の圧力より低くなった場合に開き、作動油タンクT又は第1アキュムレータ85Lからポート21R側に作動油を補給する。このように、チェック弁23L、23Rは、旋回用油圧モータ21の制動時に吸い込み側ポートに作動油を補給する補給機構を構成する。
第1ポンプ14Lは、作動油タンクTから作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプであり、本実施例では斜板式可変容量型油圧ポンプである。また、第1ポンプ14Lはレギュレータ(図示せず。)に接続される。レギュレータは、コントローラ30からの指令に応じて第1ポンプ14Lの斜板傾転角を変更して第1ポンプ14Lの押し退け容積(1回転当たりの吐出量)を制御する。第2ポンプ14Rについても同様である。
回生用油圧モータ14Aは、油圧アクチュエータから流出する作動油が有するエネルギを回生してエンジンをアシストする油圧モータであり、本実施例では斜板式可変容量型油圧モータである。なお、回生用油圧モータ14Aは、油圧ポンプ(第3ポンプ)としても機能し得る。
回生用油圧モータ14Aは、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rと同様にレギュレータに接続される。レギュレータは、コントローラ30からの指令に応じて回生用油圧モータ14Aの斜板傾転角を変更して回生用油圧モータ14Aの押し退け容積を制御する。また、レギュレータは、回生用油圧モータ14Aの押し退け容積(斜板傾転角)をゼロに設定可能であってもよい。作動油を消費(吸い込み及び吐出)することなく回転できるようにするためであり、また、回生用油圧モータ14Aを通過する作動油の流れを遮断できるようにするためである。
回生用油圧モータ14Aの下流(吐出側)にはチェック弁88を介して第1アキュムレータ85L、切替弁86、及びリリーフ弁90が配置される。
第1アキュムレータ85Lは、回生用油圧モータ14Aが吐出する作動油を蓄積する油圧装置である。本実施例では、第1アキュムレータ85Lは、切替弁86により作動油の放出が制御される。また、第1アキュムレータ85Lの使用圧力は、作動油タンクTの作動油の圧力よりも高く、例えば、0.2〜5MPaの範囲内とされる。旋回減速時における旋回用油圧モータ21の吸い込み側ポートに確実に作動油を補給してキャビテーションの発生を防止できるようにするためである。
切替弁86はコントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、切替弁86は、第1アキュムレータ85Lと旋回用油圧モータ21との間の連通・遮断を切り替え可能な2ポート2位置の電磁弁である。具体的には、切替弁86は、第1位置にある場合に第1アキュムレータ85Lと旋回用油圧モータ21との間を連通させ、第2位置にある場合にその連通を遮断する。
チェック弁88は回生用油圧モータ14Aの吐出側ポートに流入する作動油の流れを遮断する。本実施例では、チェック弁88は第1アキュムレータ85Lから回生用油圧モータ14Aへの作動油の流れを遮断する。
リリーフ弁90は、回生用油圧モータ14Aの吐出側の圧力(第1アキュムレータ85Lにおける作動油の圧力)が所定のリリーフ圧に達した場合に開き、その吐出側の作動油を作動油タンクに排出する。
回生用油圧モータ14Aの上流(吸い込み側)には切替弁87を介して第2アキュムレータ85Hが配置される。また、回生用油圧モータ14Aの上流(吸い込み側)はチェック弁89を介して作動油タンクTにも接続される。
第2アキュムレータ85Hは、旋回用油圧モータ21から流出する作動油を蓄積する油圧装置である。本実施例では、第2アキュムレータ85Hは、切替弁22Gにより作動油の蓄積が制御され、且つ、切替弁87により作動油の放出が制御される。また、第2アキュムレータ85Hの使用圧力は、第1アキュムレータ85Lの使用圧力よりも高く、例えば、15〜30MPaの範囲内とされる。第1アキュムレータ85Lの使用圧力と第2アキュムレータ85Hの使用圧力との圧力差が大きいほど回生用油圧モータ14Aによるアシスト力を大きくできるためである。但し、第2アキュムレータ85Hの使用圧力はリリーフ弁22L、22Rのリリーフ圧より低い。
切替弁87はコントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、切替弁87は、第2アキュムレータ85Hと回生用油圧モータ14Aとの間の連通・遮断を切り替え可能な2ポート2位置の電磁弁である。具体的には、切替弁87は、第1位置にある場合に第2アキュムレータ85Hと回生用油圧モータ14Aとの間を連通させ、第2位置にある場合にその連通を遮断する。
チェック弁89は作動油タンクTに流出する作動油の流れを遮断する。本実施例では、チェック弁89は第2アキュムレータ85Hから回生用油圧モータ14Aへ流れる作動油の一部が作動油タンクTに流出するのを防止する。なお、チェック弁89は、回生用油圧モータ14Aが第3ポンプとして機能する場合には、作動油タンクTから第3ポンプへの作動油の流れを遮断しない。
以上の構成により、旋回用油圧モータ21の吐出側ポート、シャトル弁22S、切替弁22G、第2アキュムレータ85H、切替弁87、回生用油圧モータ14A、チェック弁88、第1アキュムレータ85L、切替弁86、チェック弁23L、23R、及び、旋回用油圧モータ21の吸い込み側ポートを繋ぐ旋回回生回路は一方向流れの閉ループを形成する。
また、本実施例では、第1ポンプ14L、第2ポンプ14R、及び回生用油圧モータ14Aは、それぞれの駆動軸が機械的に連結される。具体的には、それぞれの駆動軸は、変速機13を介して所定の変速比でエンジン11の出力軸に連結される。そのため、エンジン回転数が一定であれば、それぞれの回転数も一定となる。但し、第1ポンプ14L、第2ポンプ14R、及び回生用油圧モータ14Aは、エンジン回転数が一定であっても回転数を変更できるよう、無段変速機等を介してエンジン11に接続されてもよい。
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。また、コントロールバルブ17は、主に、可変ロードチェック弁51〜53、合流弁55、統一ブリードオフ弁56L、56R、及び流量制御弁170〜173を含む。
流量制御弁170〜173は、油圧アクチュエータに流出入する作動油の向き及び流量を制御する弁である。本実施例では、流量制御弁170〜173のそれぞれは、対応する操作レバー等の操作装置(図示せず。)が生成するパイロット圧を左右何れかのパイロットポートで受けて動作する4ポート3位置のスプール弁である。操作装置は、操作量(操作角度)に応じて生成したパイロット圧を、操作方向に対応する側のパイロットポートに作用させる。
具体的には、流量制御弁170は、旋回用油圧モータ21に流出入する作動油の向き及び流量を制御するスプール弁であり、流量制御弁171は、アームシリンダ8に流出入する作動油の向き及び流量を制御するスプール弁である。
また、流量制御弁172は、ブームシリンダ7に流出入する作動油の向き及び流量を制御するスプール弁であり、流量制御弁173は、バケットシリンダ9に流出入する作動油の向き及び流量を制御するスプール弁である。
可変ロードチェック弁51〜53は、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、可変ロードチェック弁51〜53は、流量制御弁171〜173のそれぞれと第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rのうちの少なくとも一方との間の連通・遮断を切り替え可能な2ポート2位置の電磁弁である。なお、可変ロードチェック弁51〜53は、第1位置において、ポンプ側に戻る作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。具体的には、可変ロードチェック弁51は、第1位置にある場合に流量制御弁171と第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rのうちの少なくとも一方との間を連通させ、第2位置にある場合にその連通を遮断する。可変ロードチェック弁52及び可変ロードチェック弁53についても同様である。
合流弁55は、合流切替部の一例であり、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、合流弁55は、第1ポンプ14Lが吐出する作動油(以下、「第1作動油」とする。)と第2ポンプ14Rが吐出する作動油(以下、「第2作動油」とする。)とを合流させるか否かを切り替え可能な2ポート2位置の電磁弁である。具体的には、合流弁55は、第1位置にある場合に第1作動油と第2作動油とを合流させ、第2位置にある場合に第1作動油と第2作動油とを合流させないようにする。
統一ブリードオフ弁56L、56Rは、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、統一ブリードオフ弁56Lは、第1作動油の作動油タンクTへの排出量を制御可能な2ポート2位置の電磁弁である。統一ブリードオフ弁56Rについても同様である。この構成により、統一ブリードオフ弁56L、56Rは、流量制御弁170〜173のうちの関連する流量制御弁の合成開口を実現できる。具体的には、合流弁55が第2位置にある場合に、統一ブリードオフ弁56Lは流量制御弁170及び流量制御弁171の合成開口を実現でき、統一ブリードオフ弁56Rは流量制御弁172及び流量制御弁173の合成開口を実現できる。また、統一ブリードオフ弁56Lは、第1位置にある場合にコントローラ30からの指令に応じてその合成開口の開口面積を調整する可変絞りとして機能し、第2位置にある場合にその合成開口を遮断する。統一ブリードオフ弁56Rについても同様である。
なお、可変ロードチェック弁51〜53、合流弁55、及び統一ブリードオフ弁56L、56Rのそれぞれは、パイロット圧駆動のスプール弁であってもよい。
次に、図3を参照し、旋回加速時における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図3の太実線は回生用油圧モータ14A及び旋回用油圧モータ21のそれぞれの吸い込み側に流入する作動油の流れを示す。また、太点線は回生用油圧モータ14A及び旋回用油圧モータ21のそれぞれの吐出側から流出する作動油の流れを示す。
コントローラ30は、操作装置が生成するパイロット圧を検出する操作圧センサ(図示せず。)等の操作検出部の出力に基づいてショベルに対する操作者の操作内容を判断する。
そして、コントローラ30は、旋回操作が行われたと判断すると、旋回操作レバーの操作量に応じて第1作動油を流量制御弁170に供給する。流量制御弁170は、旋回操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて右位置に移動し、第1作動油を旋回用油圧モータ21の吸い込み側ポート21Rに流入させる。また、旋回用油圧モータ21の吐出側ポート21Lから流出する作動油を作動油タンクTに排出する。
また、コントローラ30は、ネガティブコントロール制御、ポジティブコントロール制御、ロードセンシング制御、馬力制御等のポンプ吐出量制御に基づき、旋回操作レバーの操作量に対応する第1ポンプ14Lの吐出量指令値を決定する。そして、コントローラ30は、対応するレギュレータを制御して第1ポンプ14Lの吐出量が指令値通りとなるように制御する。
また、コントローラ30は、切替弁87に対して指令を出力し、切替弁87を第1位置に切り替える。また、回生用油圧モータ14Aに対して指令を出力し、回生用油圧モータ14Aの回転速度がエンジン11のアシストに適した回転速度となるように回生用油圧モータ14Aの斜板傾転角を調整する。切替弁87が第1位置に切り替えられると、第2アキュムレータ85Hは、回生用油圧モータ14Aに向けて作動油を放出する。回生用油圧モータ14Aは、第2アキュムレータ85Hから放出された作動油を受けて回転し、且つ、吐出側ポートから第1アキュムレータ85Lに向けて作動油を流出させる。第1アキュムレータ85Lは回生用油圧モータ14Aから流出する作動油を蓄積する。このように、コントローラ30は、第2アキュムレータ85Hに蓄積された作動油を回生用油圧モータ14Aの回転動力に用いることでエンジン11をアシストでき、エンジン負荷を低減できる。
なお、コントローラ30は、第2アキュムレータ85Hに作動油が十分に蓄積されていない場合、切替弁87を第2位置で維持したまま、回生用油圧モータ14Aを第3ポンプとして機能させてもよい。この場合、第3ポンプとしての回生用油圧モータ14Aは、エンジン11によって回転駆動され、作動油タンクTから吸い込んだ作動油を第1アキュムレータ85Lに向けて吐出する。第1アキュムレータ85Lは回生用油圧モータ14Aが吐出する作動油を蓄積する。なお、第1アキュムレータ85Lは旋回加速時にリリーフ弁22L、22Rから流出する作動油を蓄積してもよい。この場合、第1アキュムレータ85Lは、不図示の管路及び切替弁を経由してリリーフ弁22L、22Rの下流に接続される。
また、コントローラ30は、エンジン負荷が大きい旋回加速時ばかりでなく、旋回加速時以外の任意のタイミングで切替弁87を第1位置に切り替えて回生用油圧モータ14Aを回転させることでエンジン11をアシストしてもよい。
次に、図4を参照し、旋回減速時における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図4の太実線は旋回用油圧モータ21の吸い込み側に流入する作動油の流れを示す。また、太点線は旋回用油圧モータ21の吐出側から流出する作動油の流れを示す。
コントローラ30は、旋回操作が中止されたと判断すると、流量制御弁170を中立位置に戻す。中立位置に戻った流量制御弁170は、旋回用油圧モータ21と第1ポンプ14Lとの間の連通を遮断する。そのため、旋回用油圧モータ21の吐出側ポート21Lの作動油の圧力は増大する。上部旋回体3の慣性によって旋回用油圧モータ21の回転(吐出側ポート21Lからの作動油の吐出)が継続され且つ作動油タンクTへの流出が遮断されて吐出側ポート21Lの作動油が圧縮されるためである。
このとき、コントローラ30は、切替弁22Gに対して指令を出力し、切替弁22Gを第1位置に切り替える。切替弁22Gが第1位置に切り替えられると、吐出側ポート21Lの作動油は第2アキュムレータ85Hに向かって流出する。そして、第2アキュムレータ85Hは旋回用油圧モータ21から流出する作動油を蓄積する。
一方、旋回用油圧モータ21の吸い込み側ポート21Rの作動油の圧力は低下する。上部旋回体3の慣性によって旋回用油圧モータ21の回転(吸い込み側ポート21Lへの作動油の吸い込み)が継続され且つ第1ポンプ14Lからの流入が遮断されて吸い込み側ポート21Rの作動油が不足するためである。
このとき、コントローラ30は、切替弁86に対して指令を出力し、切替弁86を第1位置に切り替える。切替弁86が第1位置に切り替えられると、第1アキュムレータ85Lは旋回用油圧モータ21の吸い込み側ポート21Rに向けて作動油を放出する。そのため、第1アキュムレータ85Lは、吸い込み側ポート21Rでのキャビテーションの発生を防止できる。なお、第1アキュムレータ85Lが放出するよりも多くの流量が吸い込み側ポート21Rで必要とされる場合には作動油タンクTからの作動油が追加的に補給されてもよい。この場合、作動油タンクTからの作動油はチェック弁91を通って吸い込み側ポート21Rに流入する。また、チェック弁91は第1アキュムレータ85Lから作動油タンクTへの作動油の流れを遮断する。
なお、上述の実施例において第2アキュムレータ85Hは省略されてもよい。この場合、コントローラ30は、旋回減速時に切替弁22G、切替弁87、及び回生用油圧モータ14Aに対して指令を出力する。そして、切替弁22G及び切替弁87を第1位置に切り替え、且つ、回生用油圧モータ14Aの回転速度がエンジン11のアシストに適した回転速度となるように回生用油圧モータ14Aの斜板傾転角を調整する。切替弁22G及び切替弁87が第1位置に切り替えられると、旋回用油圧モータ21の吐出側ポートから流出する作動油は、シャトル弁22S、切替弁22G、及び切替弁87を通って回生用油圧モータ14Aの吸い込み側に流入する。回生用油圧モータ14Aは、旋回用油圧モータ21の吐出側から流出する作動油を受けて回転することでエンジン11をアシストする。そして、吐出側から第1アキュムレータ85Lに向けて作動油を流出させ、その作動油を第1アキュムレータ85Lに蓄積させる。このようにして、コントローラ30は、第2アキュムレータ85Hが省略された場合であっても、旋回減速時に旋回用油圧モータ21から流出する作動油の油圧エネルギをエンジンアシストトルクとして回生した上で、その作動油を第1アキュムレータ85Lに蓄積できる。
以上の構成により、図2の油圧回路は、旋回減速時に旋回用油圧モータ21から流出する作動油を第2アキュムレータ85Hに蓄積した後、任意のタイミングでその蓄積した作動油を回生用油圧モータ14Aに向けて放出できる。そのため、回生用油圧モータ14Aは、エンジン負荷が大きい場合等、任意のタイミングで回生エネルギを再使用してエンジン11をアシストでき、ショベルの運動性能を向上させることができる。
また、図2の油圧回路は、回生用油圧モータ14Aの下流に第1アキュムレータ85Lを配置しているため、回生用油圧モータ14Aで回生エネルギを再使用したときの作動油で第1アキュムレータ85Lを充填できる。また、旋回回生回路が一方向流れの閉ループを形成しているため、リーク等によってその閉ループから出た分の作動油を補うだけで旋回回生回路を機能させることができ、エンジン出力をほとんど使わずに旋回回生回路を継続的に機能させることができる。そのため、エンジン出力の他への割り当てのために第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの出力を一時的に低減させる必要がなく、その一時的な低減を実現するための機能要素を用意する必要もない。
また、図2の油圧回路は、回生用油圧モータ14Aの下流に第1アキュムレータ85Lを配置しているため、第1アキュムレータ85Lの開閉弁として回生用油圧モータ14Aを機能させることができる。
次に、図5を参照し、図1のショベルに搭載される油圧回路の別の構成例について説明する。図5の油圧回路は、主に、アームシリンダ8に流出入する作動油の向き及び流量が2つの流量制御弁171A、171Bによって制御される点、ブームシリンダ7のボトム側油室に流出入する作動油の流量が2つの流量制御弁172A、172Bによって制御される点、合流切替部が合流弁ではなく可変ロードチェック弁によって構成される点(合流弁が省略される点)で、図2の油圧回路と異なるがその他の点で共通する。そのため、共通点の説明を省略しながら、相違点を詳細に説明する。
流量制御弁171A、171Bは、アームシリンダ8に流出入する作動油の向き及び流量を制御する弁であり、図2の流量制御弁171に対応する。具体的には、流量制御弁171Aは、第1作動油をアームシリンダ8に供給し、流量制御弁171Bは、第2作動油をアームシリンダ8に供給する。したがって、アームシリンダ8には、第1作動油と第2作動油とが同時に流入し得る。
流量制御弁172Aは、ブームシリンダ7に流出入する作動油の向き及び流量を制御する弁であり、図2の流量制御弁172に対応する。
流量制御弁172Bは、ブーム上げ操作が行われた場合に、ブームシリンダ7のボトム側油室に第1作動油を流入させる弁であり、ブーム下げ操作が行われた場合には、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を第1作動油に合流させることができる。
流量制御弁173は、バケットシリンダ9に流出入する作動油の向き及び流量を制御する弁であり、図2の流量制御弁173に対応する。
可変ロードチェック弁50、51A、51B、52A、52B、53は、流量制御弁170、171A、171B、172A、172B、173のそれぞれと第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rのうちの少なくとも一方との間の連通・遮断を切り替え可能な2ポート2位置の弁である。これら6つの可変ロードチェック弁は、それぞれが連動して動作することで合流切替部としての機能を果たし、図2の合流弁55の機能を実現できる。そのため、図5の油圧回路では図2の合流弁55が省略される。
統一ブリードオフ弁56L、56Rは、第1作動油の作動油タンクTへの排出量を制御可能な2ポート2位置の弁であり、図2の統一ブリードオフ弁56L、56Rに対応する。
なお、図5の6つの流量制御弁は何れも6ポート3位置のスプール弁であり、図2の流量制御弁と違い、センターバイパスポートを有する。そのため、図5の統一ブリードオフ弁56Lは流量制御弁171Aの下流に配置され、統一ブリードオフ弁56Rは流量制御弁171Bの下流に配置される。
切替弁62Aは、ブームシリンダ7から排出される作動油を回生用油圧モータ14Aの吸い込み側に流入させるか否かを切り替え可能な3ポート3位置の弁である。具体的には、切替弁62Aは、第1位置(左位置)にある場合にブームシリンダ7のボトム側油室と回生用油圧モータ14Aの吸い込み側との間を連通させ、第2位置(右位置)にある場合にブームシリンダ7のロッド側油室と回生用油圧モータ14Aの吸い込み側との間を連通させ、第3位置(中立位置)にある場合にそれらの間の連通を遮断する。
切替弁62Bは、ブームシリンダ7のロッド側油室から排出される作動油を作動油タンクTに排出するか否かを切り替え可能な2ポート2位置の可変リリーフ弁である。具体的には、切替弁62Bは、第1位置にある場合にブームシリンダ7のロッド側油室と作動油タンクTとの間を連通し、第2位置にある場合にその連通を遮断する。なお、切替弁62Bは、第1位置において、作動油タンクTからの作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。
切替弁62Cは、ブームシリンダ7のボトム側油室から排出される作動油を作動油タンクTに排出するか否かを切り替え可能な2ポート2位置の可変リリーフ弁である。具体的には、切替弁62Cは、第1位置にある場合にブームシリンダ7のボトム側油室と作動油タンクTとの間を連通し、第2位置にある場合にその連通を遮断する。なお、切替弁62Cは、第1位置において、作動油タンクTからの作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。
次に、図6を参照し、ブーム下げ操作時における図5の油圧回路の状態を説明する。なお、図6の太実線はブームシリンダ7のロッド側油室に流入する作動油の流れを示す。また、太点線はブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の流れを示す。
コントローラ30は、例えば、ブーム下げ操作が行われたと判断すると、可変ロードチェック弁52A及び切替弁62Aを第1位置に切り替える。流量制御弁172Aは、ブーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて右位置に移動し、第2作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させる。また、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を切替弁62A経由で回生用油圧モータ14Aの吸い込み側に流入させる。なお、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を再生弁7a経由でロッド側油室に再生してもよい。
また、図5の油圧回路は、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等のブームシリンダ7以外の他の油圧アクチュエータから流出する作動油を回生用油圧モータ14Aの吸い込み側に流入させる構成であってもよい。
このように、図5の油圧回路は、図2の油圧回路による効果に加え、ブーム下げ操作時にブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を回生用油圧モータ14Aの吸い込み側に供給できるという追加的な効果を有する。
また、図5の油圧回路は、図2の油圧回路と同様、回生用油圧モータ14Aの下流に第1アキュムレータ85Lを配置しているため、回生用油圧モータ14Aで回生エネルギを再使用したときの作動油で第1アキュムレータ85Lを充填できる。また、旋回回生回路が一方向流れの閉ループを形成しているため、リーク等によってその閉ループから出た分の作動油をブームシリンダ7からの作動油で補うだけで旋回回生回路を機能させることができ、エンジン出力を使わずに旋回回生回路を継続的に機能させることができる。そのため、エンジン出力の他への割り当てのために第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの出力を一時的に低減させる必要がなく、その一時的な低減を実現するための機能要素を用意する必要もない。
また、図5の油圧回路は、図2の油圧回路と同様、回生用油圧モータ14Aの下流に第1アキュムレータ85Lを配置しているため、第1アキュムレータ85Lの開閉弁として回生用油圧モータ14Aを機能させることができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。