JP6521909B2 - 車両用アームレストの取付構造 - Google Patents

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本発明は、車両用アームレストをドアトリムに取り付ける構造の改良に関する。
車両のドアトリムに取り付けられているアームレストは、アームレスト芯材と、このアームレスト芯材の上面に取り付けられたクッション材と、上記アームレスト芯材及び上記クッション材を被覆する表皮材とを備えている。
特許文献1には、上記アームレストの長手方向に間隔をおいた複数箇所で、アームレスト芯材をドアトリムのほぼ垂直をなす起立壁に移動不能に締結する構造が開示されている。具体的には、アームレスト芯材に、ドアトリムに向かって車幅方向に突出する複数のボス部が形成されており、このボス部をドアトリムの起立壁の締結穴に差し込み、ボス部の先端部を溶融し、その拡径された先端部をドアトリムの締結穴の周縁に溶着している。
特許5493507号公報
アームレストは、乗員が腕を載せた時に安定して支持するため、下方への荷重に対する剛性を高めることが求められている。
特許文献1では、アームレストをドアトリムの起立壁に対して溶着締結部でのみ連結している。下方への荷重に対する剛性を高めようとすると、溶着締結部の数を増やす必要があるが、この溶着締結部の増加は、アームレストおよびドアトリムの横荷重に対する剛性の増大をも伴うため、側突時の衝突エネルギーを良好に吸収できなくなる。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、アームレスト芯材と、このアームレスト芯材の上面に取り付けられたクッション材と、上記アームレスト芯材及び上記クッション材を被覆する表皮材とを備えた車両用アームレストを、ドアトリムに取り付ける構造において、
上記アームレスト芯材を上記ドアトリムに対して移動不能に締結する締結部が、上記アームレストの長手方向に間隔をおいて複数配置され、さらに、上記締結部から上記アームレストの長手方向に離間した位置に、上記アームレスト芯材を上記ドアトリムに対して車幅方向に移動可能に上下方向に移動不能に支持する支持部が配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、アームレスト芯材をドアトリムに対して移動不能に締結する締結部の他に、アームレスト芯材をドアトリムに対して車幅方向に移動可能に上下方向に移動不能に支持する支持部を加えたので、同数の締結部だけで取り付ける場合に比べて上下方向の荷重に対する剛性を高めることができるにも拘わらず、横荷重に対する剛性を高めずに済む。
好ましくは、上記支持部は、上記ドアトリムと上記アームレスト芯材の一方に形成され他方に向かって車幅方向に突出する嵌合凸部と、上記ドアトリムと上記アームレスト本体の上記他方に形成され上記嵌合凸部を受け入れる嵌合凹部とを有している。
好ましくは、上記支持部が上記アームレストの長手方向に間隔をおいて複数設けられ、上記アームレスト芯材に上記支持部の上記嵌合凸部が形成され、上記ドアトリムに上記支持部の嵌合凹部としての嵌合穴が形成され、上記締結部は、上記アームレスト芯材に形成され上記ドアトリムに向かって車幅方向に突出するボス部と、上記ドアトリムに形成され上記ボス部が嵌め込まれる締結穴とを有し、このボス部の先端部が上記締結穴の周縁部に溶着固定されている。
好ましくは、上記表皮材の周縁部には引掛穴が形成されており、少なくとも上記複数の嵌合凸部に上記引掛穴が引っ掛けられている。
上記構成によれば、表皮材の装着作業を効率良く行うことができる。
本発明によれば、横荷重に対する剛性を高めることなく上下方向の剛性を高めることができるので、乗員が腕を載せた時に安定して支持できるとともに、側突時の衝撃エネルギーの良好な吸収機能を確保することができる。
本発明の一実施形態に係る車両用アームレストを取り付けたドアトリムを室内側から見た正面図である。 (A)は同アームレストの拡大平面図、(B)は同アームレストの拡大正面図である。 同アームレストを車室外側において下方から見た斜視図である。 同アームレストのドアトリムへの取付構造を示す断面図であり、図2(A)におけるIVーIV矢視断面図に対応する。 同アームレストのドアトリムへの取付構造を示す断面図であり、図2(A)におけるVーV矢視断面図に対応する。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。理解を容易にするため、図1〜図3において車両の前後方向を示し、図4、図5において車幅方向における車室側、車室外側を示す。
図1に示すように、ドアトリム1の室内側にはアームレスト2が取り付けられている。ドアトリム1は、主要構成部材として、アッパートリム、ミドルトリム、ロアトリムを備えている。
アームレスト2は車両の前後方向に延びており、図2に示すように、後側の幅広部2aと前側の幅狭部2bとを有している。
図4、図5に示すように、アームレスト2は、樹脂製射出成形品からなるアームレスト芯材10と、クッション材20と、表皮30とを備えている。図3に示すように、アームレスト芯材10は後側の幅広部10aと前側の幅狭部10bとを有しており、この幅広部10aの上に上記クッション材20が載っている。表皮30は、アームレスト芯材10とクッション材20の上面および周面を全域にわたって覆っている。
図3に示すように、アームレスト芯材10の幅広部10aにおける車室外側の縁部の下面には、複数(本実施形態では3つ)のボス部11が車両前後方向(アームレスト2の長手方向)に間隔をおいて形成されている。このボス部11は円筒形状をなし、車室外側の縁部から、車両幅方向において車室外に向かって突出している。
さらにアームレスト芯材10の幅広部10aにおける車室外側の縁部の下面には、複数(本実施形態では2つ)の嵌合凸部12が車両前後方向(アームレスト2の長手方向)に間隔をおいて形成されている。嵌合凸部12は上記ボス部11から離間し、隣り合うボス部11間に配置されている。
上記嵌合凸部12は水平な板形状をなし、上記ボス部11と同様に、車室外側の縁部から車両幅方向において車室外に向かって突出している。
さらにアームレスト芯材10の幅広部10aの下面には、下方に突出する固定突起13が形成され、幅広部10aにおける車室側の縁部の下面には、下方に突出する位置決め突起14が形成されている。アームレスト芯材10の幅狭部10bと、幅広部10aにおいて幅狭部10bに近接した部位の下面にも、下方に突出する固定突起15が形成されている。
上記アームレスト芯材10は、図4、図5に示すようにドアトリム1におけるミドルトリム40に連結されている。ミドルトリム40はほぼ垂直に起立した壁をなしており、上記ボス部11に対応して3つの締結穴41が形成され、上記嵌合凸部12に対応して2つの嵌合穴42(嵌合凹部)が形成されている。
アームレスト2をミドルトリム40に近づけることにより、アームレスト芯材10のボス部11がミドルトリム40の締結穴41に嵌り、嵌合凸部12が嵌合穴42に嵌る。
次に、ボス部11の先端部を溶融することにより、その拡径された先端部11aがミドルトリム40の締結穴41の周縁部に溶着され、締結部Tが得られる。この締結部Tでは、アームレスト芯材10はミドルトリム40に対して、ボス部11の径方向(上下方向および車両の前後方向)のみならず、車幅方向にも移動不能に固定されている。
上記嵌合凸部12と嵌合穴42の嵌合により、支持部Sが得られる。この支持部Sにおいて、アームレスト芯材10は上下方向、車両の前後方向に移動不能であるが、車両幅方向に移動可能である。そのため、下方への荷重に対する剛性を高めることができ、乗員の腕を安定して支持できるが、横荷重に対する剛性を高めないので、側突時の衝突エネルギーの吸収機能を確保できる。
なお、上記アームレスト芯材10の固定突起13は、ロアトリム50(図4、図5参照)との溶着固定に用いられ、位置決め突起14はロアトリム50に対する位置決めのために用いられる。また、幅狭部10bの固定突起15は、プルハンドル部材(図示しない)との溶着固定に用いられる。
本実施形態では、図4、図5に示すように、表皮30の周縁部に複数の引掛穴31が形成されて、これら引掛穴31が、アームレスト芯材10の幅広部10aのミドルトリム40側の縁で、ボス部11、嵌合凸部12に引っ掛けられ、幅広部10aの反対側の縁で、位置決め突起14に引っ掛けられている。そのため、表皮30の装着の作業性を向上させることができる。
表皮30の周縁部の他の部位では、表皮の周縁部に取り付けられたU字形の引掛部材をアームレスト芯材10に引っ掛けたり、タッカー止め、接着等によりアームレスト芯材10に取り付けられている。
本発明は上記実施形態に制約されず、さらに種々の態様が可能である。
アームレスト芯材に嵌合凹部を形成し、ドアトリムに嵌合凸部を形成してもよい。
アームレストの幅狭部はなくてもよい。
本発明は、車両アームレストのドアトリムへの取付構造に適用できる。
1 ドアトリム
2 アームレスト
10 アームレスト芯材
11 ボス部
11a ボス部の先端拡径部
12 嵌合凸部
20 クッション材
30 表皮
41 締付穴
42 嵌合穴(嵌合凹部)
T 締結部
S 支持部

Claims (3)

  1. アームレスト芯材と、このアームレスト芯材の上面に取り付けられたクッション材と、上記アームレスト芯材及び上記クッション材を被覆する表皮材とを備えた車両用アームレストを、ドアトリムに取り付ける構造において、
    上記アームレスト芯材を上記ドアトリムに対して移動不能に締結する締結部が、上記アームレストの長手方向に間隔をおいて複数配置され、
    さらに、上記締結部から上記アームレストの長手方向に離間した位置に、上記アームレスト芯材を上記ドアトリムに対して車幅方向に移動可能に上下方向に移動不能に支持する支持部が配置されており、
    上記支持部は、上記アームレスト芯材に形成され上記ドアトリムに向かって車幅方向に突出する嵌合凸部と、上記ドアトリムに形成され上記嵌合凸部を車幅方向に移動可能に受け入れる嵌合穴とを有し、
    上記締結部は、上記アームレスト芯材に形成され上記ドアトリムに向かって車幅方向に突出するボス部と、上記ドアトリムに形成され上記ボス部が嵌め込まれる締結穴とを有し、このボス部の先端部が上記締結穴の周縁部に溶着固定されていることを特徴とする車両用アームレストの取付構造。
  2. 上記支持部が上記アームレストの長手方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用アームレストの取付構造。
  3. 上記表皮材の周縁部には引掛穴が形成されており、少なくとも上記複数の支持部の嵌合凸部に上記引掛穴が引っ掛けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用アームレストの取付構造。
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