JP6520686B2 - 回転機制御装置 - Google Patents

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本開示は、回転機制御装置に関するものである。
従来から、3相回転機の制御方式として、直接トルク制御(DTC:Direct Torque Control)が提案されている。特許文献1には、永久磁石を備えていない回転機(誘導機)の直接トルク制御を用いた回転機制御装置の例が記載されている。特許文献2には、永久磁石を備える回転機(永久磁石同期機)の直接トルク制御を用いた回転機制御装置の例が記載されている。非特許文献1及び非特許文献2には、ベクトル制御に関連する技術が記載されている。
特開平8−80099号公報 特開2015−122928号公報
新中新二:「瞬時速度推定同伴の最小次元D因子磁束状態オブザーバを用いた誘導モータのセンサレスベクトル制御」、電気学会論文誌D、Vol.135、No.3、pp.299−307、(2015) 新中新二:「誘導モータのベクトル制御技術」、東京電機大学出版局、pp.154−158、(2015)
直接トルク制御では、指令磁束ベクトルの振幅(指令振幅)に誤差があると、制御精度が低下し、所望の運転ポイントからずれた運転ポイントで回転機が動作する。特許文献1の直接トルク制御の構成には、これらの問題を緩和する観点から改善の余地がある。特許文献2では、永久磁石を備えていない回転機の制御について言及されていない。
本開示は、前記従来の課題を解決するもので、回転子が永久磁石を備えない回転機を制御するときに、指令振幅の誤差を減少させることに適した回転機制御装置を提供することを目的とする。
すなわち、本開示は、
インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御装置であって、
前記回転機制御装置は、
前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定部と、
前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定部と、を備え、
前記指令振幅特定部は、第1内積を用いた第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を、第1振幅から、条件C1及び条件C2の少なくとも一方を成立させる第2振幅に修正し、
前記第1内積は、(i)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルの位相を角度θm進めたベクトルとの内積、(ii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相を角度θm遅らせたベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルとの内積、又は(iii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの2つのベクトルの位相を、推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相に対する前記3相回転機の電流ベクトルの位相の進み角が角度θm大きくなるように変化させた新たな2つのベクトルの内積であり、
前記条件C1は、前記第2振幅を前記指令振幅としたときにおける前記3相回転機の電流ベクトルの振幅に対する前記3相回転機のトルクの比率rmが前記第1振幅を前記指令振幅としたときにおける前記比率rmよりも大きいという条件であり、
前記条件C2は、前記第2振幅を前記指令振幅としたときにおける前記3相回転機の電力損失PLが前記第1振幅を前記指令振幅としたときにおける前記電力損失PLよりも小さいという条件である、回転機制御装置を提供する。
本開示に係る回転機制御装置は、回転子が永久磁石を備えない回転機を制御するときに、指令振幅の誤差を減少させることに適している。具体的に、上記の回転機制御装置によれば、角度θmを調節することにより、電流ベクトルの振幅に対するトルクの比率rmを大きくしたり、電力損失PLを小さくしたりすることができる。
3相回転機、インバータ及び回転機制御装置のブロック図 dq座標系を説明するための図 αβ座標系を説明するための図 実施の形態1に係る回転機制御装置のブロック図 指令磁束ベクトルの特定方法を説明するためのブロック図 指令磁束ベクトルの特定方法を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 実施の形態1における磁束ベクトルと電流ベクトルとを説明するための図 変形例1−3に係る回転機制御装置のブロック図 実施の形態2に係る回転機制御装置のブロック図 実施の形態2における磁束ベクトルと電流ベクトルとを説明するための図 実施の形態3の3相回転機、インバータ及び回転機制御装置のブロック図 実施の形態3に係る回転機制御装置のブロック図
本開示の第1態様は、
インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御装置であって、
前記回転機制御装置は、
前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定部と、
前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定部と、を備え、
前記指令振幅特定部は、第1内積を用いた第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を、第1振幅から、条件C1及び条件C2の少なくとも一方を成立させる第2振幅に修正し、
前記第1内積は、(i)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルの位相を角度θm進めたベクトルとの内積、(ii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相を角度θm遅らせたベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルとの内積、又は(iii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの2つのベクトルの位相を、推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相に対する前記3相回転機の電流ベクトルの位相の進み角が角度θm大きくなるように変化させた新たな2つのベクトルの内積であり、
前記条件C1は、前記第2振幅を前記指令振幅としたときにおける前記3相回転機の電流ベクトルの振幅に対する前記3相回転機のトルクの比率rmが前記第1振幅を前記指令振幅としたときにおける前記比率rmよりも大きいという条件であり、
前記条件C2は、前記第2振幅を前記指令振幅としたときにおける前記3相回転機の電力損失PLが前記第1振幅を前記指令振幅としたときにおける前記電力損失PLよりも小さいという条件である、回転機制御装置を提供する。
第1態様の回転機制御装置は、回転子が永久磁石を備えない回転機を制御するときに、指令振幅の誤差を減少させることに適している。指令振幅に誤差があった場合の誤差情報が第1内積から得られ、第1内積を用いたフィードバック制御によって指令振幅を修正できるためである。具体的に、上記の回転機制御装置によれば、角度θmを調節することにより、電流ベクトルの振幅に対するトルクの比率rmを大きくしたり、電力損失PLを小さくしたりすることができる。第1態様の回転機制御装置は、誘導機、同期リラクタンスモータ等の、回転子が永久磁石を備えない回転機の制御に利用できる。
本開示の第2態様は、第1態様に加え、
前記角度θmは、π/9rad以上7π/18rad以下である、回転機制御装置を提供する。
π/9rad以上7π/18rad以下(20deg以上70deg以下)は、第1態様の角度θmの具体例である。
本開示の第3態様は、
インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御装置であって、
前記回転機制御装置は、
前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定部と、
前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定部と、を備え、
前記指令振幅特定部は、第1内積を用いた第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を第1振幅から第2振幅に修正し、
前記第1内積は、(i)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルの位相を角度θm進めたベクトルとの内積、(ii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相を角度θm遅らせたベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルとの内積、又は(iii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの2つのベクトルの位相を、推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相に対する前記3相回転機の電流ベクトルの位相の進み角が角度θm大きくなるように変化させた新たな2つのベクトルの内積であり、
前記角度θmは、π/9rad以上7π/18rad以下である、回転機制御装置を提供する。
第3態様の回転機制御装置は、回転子が永久磁石を備えない回転機を制御するときに、指令振幅の誤差を減少させることに適している。指令振幅に誤差があった場合の誤差情報が第1内積から得られ、第1内積を用いたフィードバック制御によって指令振幅を修正することができるためである。具体的に、上記の回転機制御装置によれば、角度θmを調節することにより、所望の運転ポイントからのずれが小さい状態で、回転機を動作させることができる。π/9rad以上7π/18rad以下は、種々の運転を行うときの角度θmとして用いることができる角度であり、例えば、電流ベクトルの振幅に対するトルクの比率rmを大きくしたり電力損失PLを小さくしたりする場合に利用できる。第1態様の回転機制御装置は、誘導機、同期リラクタンスモータ等の、回転子が永久磁石を備えない回転機の制御に利用できる。
本開示の第4態様は、第1〜3態様のいずれか1つに加え、
(a)前記指令振幅特定部は、前記一次磁束ベクトルを用いて前記第1内積を特定し、前記3相回転機のインダクタンスL及び前記電流ベクトルから参照値を特定し、前記参照値と前記第1内積との偏差をゼロに近づける前記第1フィードバック制御を実行する、又は
(b)前記指令振幅特定部は、前記一次磁束ベクトル、前記3相回転機のインダクタンスL及び前記電流ベクトルから前記二次磁束ベクトルを推定し、前記二次磁束ベクトルを用いて前記第1内積を特定し、前記第1内積をゼロに近づける前記第1フィードバック制御を実行する、回転機制御装置を提供する。
ここで、前記インダクタンスLは、前記3相回転機のq軸インダクタンスLq、又は、(数1)で表される前記3相回転機の固定子総合漏れインダクタンスl1tである。L1は、前記3相回転機の固定子インダクタンスである。L2は、前記3相回転機の回転子インダクタンスである。Mは、前記3相回転機の相互インダクタンスである。
Figure 0006520686
第4態様の第1フィードバック制御は、第1〜3態様のいずれか1つの第1フィードバック制御の具体例である。
本開示の第5態様は、第1〜4態様のいずれか1つに加え、
前記回転機制御装置は、第1運転及び第2運転を含む複数の運転を行うことができ、
前記第1運転は、前記指令振幅特定部が前記第1フィードバック制御を行う運転であり、
前記第2運転は、前記指令振幅特定部が、前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと前記電流ベクトルとの内積を用いた第2フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を前記第1振幅から第3振幅に修正する運転である、回転機制御装置を提供する。
第5態様の回転機制御装置は、第1運転と第2運転とを行うことができる。第1運転は、回転子が永久磁石を備えない回転機を制御するときに、指令振幅の誤差を減少させることに適している。第2運転は、回転子が永久磁石を備える回転機を制御するときに、指令磁束の誤差を減少させることに適している。また、第1運転のためのアルゴリズムの一部を第2運転のためのアルゴリズムに流用すれば、第1運転と第2運転の両方を行うことができるにも関わらず、アルゴリズムを簡素にすることができる。このことは、マイクロコンピュータのプログラムメモリの節約につながったり、プログラムの信頼性向上につながったりする。
本開示の第6態様は、
インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御装置であって、
前記回転機制御装置は、
前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定部と、
前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定部と、を備え、
前記指令振幅特定部は、第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を、第1振幅から第2振幅に修正し、
(I)前記指令振幅特定部は、前記一次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの内積を特定し、前記電流ベクトルの振幅の2乗及び仮想インダクタンスL0の積である参照値を特定し、前記内積と前記参照値との偏差をゼロに近づける前記第1フィードバック制御を実行し、又は
(II)前記指令振幅特定部は、前記3相回転機の電流ベクトルに仮想インダクタンスL0を乗じたベクトルを前記一次磁束ベクトルから差し引くことによって仮想二次磁束ベクトルを特定し、前記仮想二次磁束ベクトルと前記電流ベクトルとの内積を特定し、前記内積がゼロになるように前記第1フィードバック制御を実行し、
前記仮想インダクタンスL0は、範囲R1及び範囲R2の少なくとも一方の範囲にあり、
前記範囲R1は、前記3相回転機の固定子総合漏れインダクタンスl1tと正規化相互インダクタンスMnの1/8倍との合計以上前記固定子総合漏れインダクタンスl1tと前記正規化相互インダクタンスMnの9/10倍との合計以下の範囲であり、
前記範囲R2は、前記3相回転機のd軸インダクタンスLdの1/8倍と前記3相回転機のq軸インダクタンスLqの7/8倍との合計以上前記d軸インダクタンスLdの1/2倍と前記q軸インダクタンスLqの1/2倍との合計以下の範囲である、回転機制御装置を提供する。
ここで、前記固定子総合漏れインダクタンスl1tは、(数2)で表される。L1は、前記3相回転機の固定子インダクタンスである。L2は、前記3相回転機の回転子インダクタンスである。Mは、前記3相回転機の相互インダクタンスである。Mnは、前記正規化相互インダクタンスである。
Figure 0006520686
第6態様によれば、第3態様と同様の効果を得ることができる。なお、範囲R1は、例えば、回転機が誘導機である場合の仮想インダクタンスL0の範囲である。範囲R2は、例えば、回転機が同期リラクタンスモータである場合の仮想インダクタンスL0の範囲である。
本開示の第7態様は、第1〜6態様のいずれか1つに加え、
前記指令振幅特定部は、前記第1フィードバック制御を実行することによって補正量を生成し、前記第1振幅に前記補正量を加算することによって前記第2振幅を生成する、回転機制御装置を提供する。
第7態様によれば、シンプルに第2振幅を生成することができる。
本開示の第8態様は、
インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御方法であって、
前記回転機制御方法は、
前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定ステップと、
前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定ステップと、を備え、
前記指令振幅特定ステップでは、第1内積を用いた第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を、第1振幅から、条件C1及び条件C2の少なくとも一方を成立させる第2振幅に修正し、
前記第1内積は、(i)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルの位相を角度θm進めたベクトルとの内積、(ii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相を角度θm遅らせたベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルとの内積、又は(iii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの2つのベクトルの位相を、推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相に対する前記3相回転機の電流ベクトルの位相の進み角が角度θm大きくなるように変化させた新たな2つのベクトルの内積であり、
前記条件C1は、前記第2振幅を前記指令振幅としたときにおける前記3相回転機の電流ベクトルの振幅に対する前記3相回転機のトルクの比率rmが前記第1振幅を前記指令振幅としたときにおける前記比率rmよりも大きいという条件であり、
前記条件C2は、前記第2振幅を前記指令振幅としたときにおける前記3相回転機の電力損失PLが前記第1振幅を前記指令振幅としたときにおける前記電力損失PLよりも小さいという条件である、回転機制御方法を提供する。
第8態様によれば、第1の態様の効果と同様の効果が得られる。
本開示の第9態様は、
インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御方法であって、
前記回転機制御方法は、
前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定ステップと、
前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定ステップと、を備え、
前記指令振幅特定ステップでは、第1内積を用いた第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を第1振幅から第2振幅に修正し、
前記第1内積は、(i)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルの位相を角度θm進めたベクトルとの内積、(ii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相を角度θm遅らせたベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルとの内積、又は(iii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの2つのベクトルの位相を、推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相に対する前記3相回転機の電流ベクトルの位相の進み角が角度θm大きくなるように変化させた新たな2つのベクトルの内積であり、
前記角度θmは、π/9rad以上7π/18rad以下である、回転機制御方法を提供する。
第9態様によれば、第3態様と同様の効果を得ることができる。
本開示の第10態様は、
インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御方法であって、
前記回転機制御方法は、
前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定ステップと、
前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定ステップと、を備え、
前記指令振幅特定ステップでは、第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を、第1振幅から第2振幅に修正し、
(I)前記指令振幅特定ステップでは、前記一次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの内積を特定し、前記電流ベクトルの振幅の2乗及び仮想インダクタンスL0の積である参照値を特定し、前記内積と前記参照値との偏差をゼロに近づける前記第1フィードバック制御を実行し、又は
(II)前記指令振幅特定ステップでは、前記3相回転機の電流ベクトルに仮想インダクタンスL0を乗じたベクトルを前記一次磁束ベクトルから差し引くことによって仮想二次磁束ベクトルを特定し、前記仮想二次磁束ベクトルと前記電流ベクトルとの内積を特定し、前記内積がゼロになるように前記第1フィードバック制御を実行し、
前記仮想インダクタンスL0は、範囲R1及び範囲R2の少なくとも一方の範囲にあり、
前記範囲R1は、前記3相回転機の固定子総合漏れインダクタンスl1tと正規化相互インダクタンスMnの1/8倍との合計以上前記固定子総合漏れインダクタンスl1tと前記正規化相互インダクタンスMnの9/10倍との合計以下の範囲であり、
前記範囲R2は、前記3相回転機のd軸インダクタンスLdの1/8倍と前記3相回転機のq軸インダクタンスLqの7/8倍との合計以上前記d軸インダクタンスLdの1/2倍と前記q軸インダクタンスLqの1/2倍との合計以下の範囲である、回転機制御方法を提供する。
ここで、前記固定子総合漏れインダクタンスl1tは、(数3)で表される。L1は、前記3相回転機の固定子インダクタンスである。L2は、前記3相回転機の回転子インダクタンスである。Mは、前記3相回転機の相互インダクタンスである。Mnは、前記正規化相互インダクタンスである。
Figure 0006520686
第10態様によれば、第6態様と同様の効果を得ることができる。
回転機制御装置に関する技術は、回転機制御方法に適用できる。回転機制御方法に関する技術は、回転機制御装置に適用できる。
本開示の第11態様は、第8〜10態様のいずれか1つの回転機制御方法を実行するための命令を含む、コンピュータプログラムを提供する。
本開示の第12態様は、第11態様のコンピュータプログラムが格納された、コンピュータによる読み取りが可能なメモリを提供する。
本開示の第13態様は、第11態様のコンピュータプログラムを実行するプロセッサを提供する。
本開示の第14態様は、
第11態様のコンピュータプログラムが格納された、コンピュータによる読み取りが可能なメモリと、
前記コンピュータプログラムを実行するプロセッサと、を備えた制御システムを提供する。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。以下の実施形態では、電流ベクトルの位相を変化させたベクトル(例えば式(2−15)のi#)を仮想電流ベクトルと称することがある。磁束ベクトルの位相を変化させたベクトル(例えば式(2−16)のψ2n #)を仮想磁束ベクトルと称することがある。仮想電流ベクトルと磁束ベクトルの内積、電流ベクトルと仮想磁束ベクトルとの内積、及び仮想電流ベクトルと仮想磁束ベクトルとの内積を第1内積と称することがある。また、位相操作をしていないベクトル同士の内積を第2内積と称することがある。
(実施の形態)
図1に示すように、本開示の各実施形態に係る回転機制御装置3,3z,103は、インバータ(電圧変換回路)2及び3相回転機1に接続されうる。
3相回転機1は、回転子と、固定子とを有している。回転子は、永久磁石を備えていない。固定子は、3相分の電機子巻線を有している。3相回転機1のU相に対応する電機子巻線をU相巻線と称することがある。3相回転機1のV相に対応する電機子巻線をV相巻線と称することがある。3相回転機1のW相に対応する電機子巻線をW相巻線と称することがある。3相回転機1は、磁気的突極性を有する回転機(例えば、同期リラクタンスモータ)であってもよく、磁気的突極性を有さない回転機(例えば、誘導機)であってもよい。
(インバータ2)
インバータ2は、具体的にはPWM(Pulse Width Modulation)インバータである。より具体的には、インバータ2は、直流電源と変換回路とを有している。直流電源は、直流電圧を出力する。変換回路は、PWM制御によって、直流電圧を電圧ベクトル(3相交流電圧)に変換する。インバータ2は、電圧ベクトルを3相回転機1に印加する。
以下では、dq座標系に基づいて回転機制御装置を説明することがある。また、αβ座標系に基づいて回転機制御装置を説明することもある。dq座標系及びαβ座標系は、二次元の直交座標系である。dq座標系及びαβ座標系について、図2A及び図2Bを用いて説明する。
図2Aに示すdq座標系は、回転座標系である。d軸及びq軸は、回転子磁束ベクトル(二次磁束ベクトル)の回転速度(回転数)と同じ速度で回転する。反時計回り方向が、位相の進み方向である。d軸は、回転子磁束ベクトル(二次磁束ベクトル)の方向に延びる軸として設定されている。q軸は、d軸を進み方向に90度回転させた軸として設定されている。U軸は、U相巻線に対応する。V軸は、V相巻線に対応する。W軸は、W相巻線に対応する。U軸、V軸及びW軸は、回転子が回転しても、回転しない。つまり、U軸、V軸及びW軸は、固定軸である。角度(位相)θは、U軸からみたd軸の進み角である。角度θは、回転子位置又は磁極位置とも称される。
回転数ω2nは、回転子の回転数を表す。回転数ωは、二次磁束ベクトルの回転数を表す。誘導機のような非同期機の場合は回転子回転数ω2nと回転数ωの間には差があり、すべり周波数と呼ばれる。同期リラクタンスモータ等の同期機では回転子回転数ω2nと回転数ωは等しい。本明細書では、特に断りが無い限り、角度は電気角を意味する。d軸とq軸との間の角度、角度θ、回転子回転数ω2n及び回転数ωは、電気角に基づいた値である。
図2Bに示すαβ座標系は、固定座標系である。α軸及びβ軸は、固定軸である。反時計回り方向が、位相の進み方向である。α軸は、U軸と同一方向に延びる軸として設定されている。β軸は、α軸を進み方向に90度回転させた軸として設定されている。
図1に示すように、回転機制御装置3,3z,103は、3相回転機1を流れる3相電流(電流ベクトル)iを検出する。回転機制御装置3,3z,103には、指令トルクT*が入力される。回転機制御装置3,3z,103は、3相電流iと指令トルクT*とを用いて、インバータ2を介して3相回転機1を制御する。以下、各実施形態の回転機制御装置を順に説明する。
(実施の形態1)
(回転機制御装置の構成)
図3は、実施の形態1の回転機制御装置3のブロック図である。図3に示すように、回転機制御装置3は、電流センサ5、3相2相座標変換部22、磁束推定部23、第1の磁束振幅指令演算部25、第2の磁束振幅指令演算部(加算部)31、磁束振幅指令補正量演算部32(以下、補正量演算部32と称することがある)、磁束指令演算部26、電圧指令演算部29及び2相3相座標変換部30を備えている。
回転機制御装置3の一部又は全部の要素は、DSP(Digital Signal Processor)又はマイクロコンピュータにおいて実行される制御アプリケーションによって提供されうる。DSP又はマイクロコンピュータは、コア、メモリ、A/D変換回路及び通信ポート等の周辺装置を含んでいてもよい。また、回転機制御装置3の一部又は全部の要素は、論理回路によって構成されていてもよい。
(回転機制御装置3による制御の概要)
以下、回転機制御装置3の動作の概要を説明する。電流センサ5によって、U相電流iu及びV相電流ivが検出される。U相電流iuは、3相電流iのU相成分である。V相電流ivは、3相電流iのV相成分である。3相2相座標変換部22によって、U相電流iu及びV相電流ivが、2相電流iαβに変換される。磁束推定部23によって、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ *とから、推定磁束ψαβと、推定磁束ψαβの位相θsとが求められる。つまり、磁束推定部23によって、電機子鎖交磁束(一次磁束ベクトル、又は、固定子磁束ベクトルとも称する)が推定される。補正量演算部32によって、2相電流iαβと推定磁束ψαβとから、磁束振幅指令補正量ΔψS(以下、補正量ΔψSと称することがある)が特定される。第1の磁束振幅指令演算部25によって、指令トルクT*から、第1振幅|ψS *|が特定される。第2の磁束振幅指令演算部31によって、第1振幅|ψS *|と、補正量ΔψSとの和である第2振幅|ψS **|が特定される。磁束指令演算部26によって、第2振幅|ψS **|と、位相θsとから、指令磁束ベクトルψαβ *が特定される。電圧指令演算部29によって、指令磁束ベクトルψαβ *と、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとから、指令2相電圧vαβ *が特定される。2相3相座標変換部30によって、指令2相電圧vαβ *が、指令3相電圧vuvw *に変換される。指令3相電圧vuvw *は、インバータ2に参照される。このような制御によって、3相回転機1は、一次磁束ベクトル及び回転機トルクが、指令磁束ベクトルψαβ *及び指令トルクT*に追従するように制御される。
本明細書では、2相電流iαβは、実際に3相回転機1を流れる電流ではなく、情報として伝達される電流値を意味する。同様に、指令2相電圧vαβ *、推定磁束ψαβ、補正量ΔψS、位相θs、推定トルクT、指令トルクT*、第1振幅|ψS *|、第2振幅|ψS **|、指令磁束ベクトルψαβ *及び指令3相電圧vuvw *も、情報として伝達される値を意味する。
次に、回転機制御装置3の詳細を説明する。
(電流センサ5)
電流センサ5は、3相電流iを検出する。本実施形態では、電流センサ5は、U相電流iu及びV相電流ivを検出する。電流センサ5は、U相電流iu及びV相電流ivを出力する。
(3相2相座標変換部22)
3相2相座標変換部22は、3相電流iを2相電流iαβに変換する。本実施形態では、3相2相座標変換部22は、U相電流iu及びV相電流ivを、α軸電流iα及びβ軸電流iβに変換する。α軸電流iα及びβ軸電流iβは、磁束推定部23、電圧指令演算部29及び補正量演算部32に与えられる。なお、U相及びV相の2相以外の組み合わせの2相の電流を測定するように電流センサ5が設けられていてもよい。この場合も、測定された電流に基づいてα軸電流iα及びβ軸電流iβが特定されるように、3相2相座標変換部22が構成されうる。
(磁束推定部23)
磁束推定部23は、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ *とから、電機子鎖交磁束を推定する。本実施形態では、磁束推定部23は、式(1−1)、(1−2)及び(1−3)を用いて、推定磁束ψαβ(推定磁束ψα,ψβ)及び推定磁束ψαβの位相θsを求める。式(1−1)及び(1−2)におけるRaは、3相回転機1の1相当たりの巻線抵抗である。右辺の積分は、基準時刻(t=0)から現時点までの時間積分を表す。ψα|t=0は、t=0における推定磁束ψαの値(初期値)である。ψβ|t=0は、t=0における推定磁束ψβの値(初期値)である。推定磁束ψαβは、電圧指令演算部29及び補正量演算部32に与えられる。位相θsは、磁束指令演算部26に与えられる。
Figure 0006520686
また、磁束推定部23は、指令2相電圧vαβ *に代えて、3相回転機1に印加されている電圧の検出値を3相2相変換させて得た2相電圧を用いて、推定磁束ψαβを求めてもよい。
(第1の磁束振幅指令演算部25)
第1の磁束振幅指令演算部25は、指令トルクT*から、指令磁束ベクトルの振幅(指令振幅)として、第1振幅|ψS *|を特定する。第1振幅|ψS *|はスカラーである。一例では、第1振幅|ψS *|は、回転機電流(3相回転機1を流れる電流)を最小とするためのものである。回転機トルク(3相回転機1のトルク)を目標値としつつ、回転機電流の値に対する回転機トルクの値の比率rmが最大となるように3相回転機を制御する制御は、最大トルク/電流(MTPA:Maximum Torque Per Ampere)制御として知られている。別例では、第1振幅|ψS *|は、3相回転機1の電力損失PLを小さくするためのものである。本実施形態では、第1の磁束振幅指令演算部25は、テーブルを用いて指令トルクT*から第1振幅|ψS *|を特定するように構成されている。第1の磁束振幅指令演算部25は、演算によって第1振幅|ψS *|を特定するように構成されていてもよい。
第1振幅|ψS *|は、3相回転機1が誘導機である場合には、式(1−4)を用いて特定できる。式(1−5)のaは、定数である。具体的に、式(1−4)でa=1とすれば、指令トルクT*から、最大トルク/電流制御を実行するための第1振幅|ψS *|を特定できる。また、式(1−4)のaを1以外の適切値に設定することによって、指令トルクT*から、3相回転機1における電力損失PL(鉄損、銅損等の損失の合計)を低減させるのに適した第1振幅|ψS *|を特定することもできる。第1振幅|ψS *|は、3相回転機1が同期リラクタンスモータである場合には、式(1−5)を用いて特定できる。具体的に、式(1−5)を用いれば、指令トルクT*から、最大トルク/電流制御を実行するための第1振幅|ψS *|を特定できる。なお、式(1−5)で得られる|ψS *|よりも小さい適切な|ψS *|が得られるように式(1−5)を改変することによって(例えば、式(1−5)の右辺の√T*に乗じる係数を小さくすることによって)、指令トルクT*から、3相回転機1における電力損失PL(銅損、鉄損等の損失の合計)を低減させるのに適した第1振幅|ψS *|を特定することもできる。当然ながら、変換テーブルを作成することもできる。式(1−4)及び(1−5)の詳細及び導出方法については後述する。
Figure 0006520686
(第2の磁束振幅指令演算部31)
上述のように指令トルクT*から第1振幅|ψS *|を特定する場合、第1振幅|ψS *|は各種インダクタンスMn、l1t、Ld、Lqに依存する。これらのインダクタンスは、定数であり、測定されうる値である。しかし、測定誤差等が原因で、第1の磁束振幅指令演算部25でこれらのインダクタンスとして与えられる値は、実際の値からずれていることがある。この場合には、第1振幅|ψS *|が、所望の値(例えば、回転機電流を最小としたり、電力損失を最小としたりするための値)からずれる。本実施形態では、この影響を緩和するために、第2の磁束振幅指令演算部31を設けている。すなわち、第2の磁束振幅指令演算部31は、指令振幅を第1振幅|ψS *|から第2振幅|ψS **|に修正する。本実施形態では、第2の磁束振幅指令演算部31は、第1振幅|ψS *|と、補正量ΔψSとから、磁束指令演算部26に与えるべき第2振幅|ψS **|を特定する加算部である。つまり、第2振幅|ψS **|は、第1振幅|ψS *|と補正量ΔψSとの和である。第2振幅|ψS **|はスカラーである。補正量ΔψSは、補正量演算部32によって特定された補正量である。補正量演算部32及び補正量ΔψSの詳細については後述する。なお、補正量演算部32から補正係数KSが出力され、第2の磁束振幅指令演算部31において第1振幅|ψS *|と補正係数KSとの積を特定し、その積を第2振幅|ψS **|とする構成も採用されうる。
(磁束指令演算部26)
磁束指令演算部26は、第2振幅|ψS **|と、位相θsとから、電機子鎖交磁束(一次磁束ベクトル)が追従するべき指令磁束ベクトルψαβ *を特定する。
図4Aに示す磁束指令演算部26aは、磁束指令演算部26の一例である。磁束指令演算部26aは、第2振幅|ψS **|と、位相θsと、トルク誤差ΔTとから、電機子鎖交磁束が追従するべき指令磁束ベクトルψαβ *を特定する。具体的に、磁束指令演算部26aは、位相補正量演算部38aと、加算部36と、ベクトル生成部37とを有している。トルク誤差ΔTは、図示していないトルク制御部で計算されて入力される。より具体的に、トルク制御部は、式(1−6)を用いてトルクを推定する(推定トルクTを求める)。式(1−6)のPnは、3相回転機1の極対数である。そして、トルク制御部は、推定トルクTと指令トルクT*との差であるトルク誤差ΔT(=T*−T)を求める。トルク制御部は、単独の演算部によって構成されていてもよく、複数の演算部によって構成されていてもよい。また、トルク制御部は、図3に示されている回転機制御装置3の要素(磁束推定部23、磁束演算部26等)に含まれていてもよい。位相補正量演算部38aは、ΔTをゼロに収束させるための比例積分制御によって、位相補正量ΔθS *を特定する。加算部36は、位相θSと位相補正量ΔθS *との合計θS *(=θS+ΔθS *)を求める。ベクトル生成部37は、第2振幅|ψS **|と合計θS *とから、指令磁束ベクトルψαβ *を特定する。具体的に、ベクトル生成部37は、式(1−7)及び(1−8)を用いて指令磁束ベクトルψαβ *を求める。指令磁束ベクトルψαβ *は、電圧指令演算部29に与えられる。
Figure 0006520686
本実施形態の回転機制御装置3は、トルク制御部を有している。しかし、回転機制御装置3は、トルク制御部を有していなくてもよい。その場合、磁束指令演算部26を、例えば図4Bに示すように構成することができる。図4Bに示す磁束指令演算部26bは、図4Aの位相補正量演算部38aに代えて、位相補正量演算部38bを有している。位相補正量演算部38bは、回転数指令ω*に制御周期(サンプリング周期)Tsを乗ずることによって、位相補正量Δθs *を特定することができる。このようにすれば、一次磁束ベクトルの回転数が、回転数指令ω*に追従する。つまり、磁束指令演算部26bによれば、シンプルな構成で、一次磁束ベクトル(固定子磁束ベクトル)の回転数及び二次磁束ベクトル(回転子磁束ベクトル)の回転数ωを制御することができる(3相回転機1が同期リラクタンスモータである場合には、一次磁束ベクトルと二次磁束ベクトルとは同期しておりこれらの回転数は回転子回転数に等しく、3相回転機1が誘導機である場合には、一次磁束ベクトルの回転数と二次磁束ベクトルの回転数ωとは等しく、これらの回転数と回転子回転数との間には相関がある(回転数ωと回転子回転数との間にはすべり周波数の差がある))。
なお、磁束指令演算部26bを採用する場合には、指令トルクT*を用いることなく3相回転機1を制御可能な回転機制御装置3を構成することができる。すなわち、指令トルクT*を用いることなく第1振幅|ψS *|を特定できるように、第1の磁束振幅指令演算部25を構成することができる。具体的に、一次磁束ベクトルの回転数に対して3相回転機1のトルクが一意に定まる等、運転ポイントが分かっている場合がある。このような場合には、一次磁束ベクトルの回転数と、その回転数を得るための一次磁束ベクトルの振幅との関係も概ね分かっているということになる。このため、その振幅を第1振幅|ψS *|として出力するように第1の磁束振幅指令演算部25を構成することができる。より具体的に、第1の磁束振幅指令演算部25として、回転数指令ω*から第1振幅|ψS *|を特定する近似式又はルックアップテーブルを用いることができる。また、一次磁束ベクトルの回転数と3相回転機1のトルクとの関係を事前の測定などを通じて把握することもできる。このようにすれば、同様の近似式又はルックアップテーブルを設けることができる。また、第1振幅|ψS *|は、3相回転機1の定常運転時において、第2の磁束振幅指令演算部31で補正され得るため、第1振幅|ψS *|は定数であってもよい。
(電圧指令演算部29)
電圧指令演算部29は、指令磁束ベクトルψαβ *と推定磁束ψαβとの差と、2相電流iαβとから、指令2相電圧vαβ *(指令α軸電圧vα *及び指令β軸電圧vβ *)を特定する。本実施形態では、電圧指令演算部29は、式(1−9)を用いて、指令2相電圧vαβ *を求める。式(1−9)におけるTsは、制御周期(サンプリング周期)である。なお、3相回転機1が高速回転しているときは、巻線抵抗Raに基づく電圧降下が非常に小さい。このため、電圧指令演算部29は、式(1−9)の右辺第2項を無視して、指令磁束ベクトルψαβ *と推定磁束ψαβとの差から、指令2相電圧vαβ *を特定するように構成されていてもよい。指令2相電圧vαβ *は、2相3相座標変換部30に与えられる。
Figure 0006520686
(2相3相座標変換部30)
2相3相座標変換部30は、指令2相電圧vαβ *を、指令3相電圧vuvw *に変換する。その後、指令3相電圧vuvw *に対応する電圧ベクトルが、インバータ2によって生成され、3相回転機1に印加される。
(補正量演算部32)
補正量演算部32は、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとから、第2の磁束振幅指令演算部(加算部)31に与えるべき補正量ΔψSを特定する。補正量ΔψSはスカラーである。補正量演算部32は、第2振幅|ψS **|が磁束指令演算部26に与えられたときに3相回転機1を流れる電流が、第2振幅|ψS **|に代えて第1振幅|ψS *|が磁束指令演算部26に与えられたときに3相回転機1を流れる電流を下回るように構成されうる。本実施形態では回転機トルクは指令トルクT*に追従するため、補正量演算部32は、第2振幅|ψS **|が磁束指令演算部26に与えられたときにおける回転機電流の振幅に対する回転機トルクの比率rmが、第2振幅|ψS **|に代えて第1振幅|ψS *|が磁束指令演算部26に与えられたときにおける比率rmを上回るように構成されうるということになる。また、補正量演算部32は、第2振幅|ψS **|が磁束指令演算部26に与えられたときにおける3相回転機1の電力損失PLが、第2振幅|ψS **|に代えて第1振幅|ψS *|が磁束指令演算部26に与えられたときにおける電力損失PLを下回るように構成されうる。補正量ΔψSは、推定磁束ψαβと2相電流iαβとを用いて計算される内積を用いたフィードバック制御によって特定される。
図5Aに、補正量演算部32の一例である補正量演算部32aのブロック図を示す。補正量演算部32aは、ベクトル回転部40aと、二次磁束推定部39aと、内積演算部33と、内積指令演算部34aと、制御部(積分器)35とを有している。ベクトル回転部40aは、2相電流iαβの位相を角度θm進ませた仮想2相電流(仮想電流ベクトル)iαβ #を演算する。角度θmの例はゼロよりも大きくπ/2radよりも小さい角度であり、角度θmの具体例はπ/9rad以上7π/18rad以下である。二次磁束推定部39aは、推定磁束(推定一次磁束)ψαβと2相電流iαβとから二次磁束ベクトルを推定する(推定二次磁束ψ2nを求める)。内積演算部33は、推定二次磁束ψ2nと仮想2相電流iαβ #との内積(第1内積)を演算する。内積指令演算部34aは、参照値A(本実施形態ではゼロ)を出力する。積分器35は、第1内積と参照値Aとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。
推定二次磁束ψ2nは、推定磁束(推定一次磁束)ψαβと2相電流iαβとから式(1−10)で演算することができる。補正量演算部32a全体の動作は、式(1−11)によって表現できる。1/cos(θm)(ψ2nα(iα−aiβ)+ψ2nβ(aiα+iβ))は、推定二次磁束ψ2nと2相電流iαβを角度θm進ませた仮想2相電流iαβ #との第1内積である。aの例は0よりも大きい値であり、aの具体例は0.5以上√6以下である。式(1−11)の0は参照値Aである。C(s)は、積分器35の動作を表す数式である。C(s)は、式(1−12)で表される。kiは積分ゲインである。sは、ラプラス演算子である。
Figure 0006520686
第1の磁束振幅指令演算部25、補正量演算部32a及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令振幅特定部Aと称することができる。本実施形態では、指令振幅特定部Aは、第1内積を用いた第1フィードバック制御を実行することによって、指令振幅を、第1振幅|ψS *|から、条件C1及び条件C2の少なくとも一方を成立させる第2振幅|ψS **|に修正する。第1内積は、推定された二次磁束ベクトル(推定二次磁束ψ2n)と、3相回転機1の電流ベクトルの位相を角度θm進めたベクトル(仮想2相電流iαβ #)との内積である。条件C1は、第2振幅|ψS **|を指令振幅としたときにおける3相回転機1の電流ベクトルの振幅に対する3相回転機1のトルクの比率rmが第1振幅|ψS *|を指令振幅としたときにおける比率rmよりも大きいという条件である。条件C2は、第2振幅を指令振幅としたときにおける3相回転機1の電力損失PLが第1振幅を指令振幅としたときにおける電力損失PLよりも小さいという条件である。このような第1フィードバック制御によれば、トルク/電流(=比率rm)を向上させたり、電力損失PLを低下させたりすることができる。回転機制御装置3は、誘導機、同期リラクタンスモータ等の磁石を備えない回転機の制御に好適に利用できる。
指令振幅特定部Aは、具体的には、一次磁束ベクトル(推定一次磁束ψαβ)、3相回転機1のインダクタンスL及び電流ベクトルから二次磁束ベクトル(推定二次磁束)ψ2nを推定する。より具体的には、指令振幅特定部Aは、3相回転機1のインダクタンスLを電流ベクトル(2相電流)iαβに乗じたベクトルLiαβを一次磁束ベクトル(推定一次磁束ψαβ)から差し引くことによって、二次磁束ベクトル(推定二次磁束)ψ2nを推定する。次に、指令振幅特定部Aは、二次磁束ベクトルを用いて第1内積を特定する。次に、指令振幅特定部Aは、第1内積をゼロに近づける第1フィードバック制御を実行する。インダクタンスLは、3相回転機1のq軸インダクタンスLq、又は、3相回転機1の固定子総合漏れインダクタンスl1t=L1−M2/L2である。L1は、3相回転機1の固定子インダクタンスである。L2は、3相回転機1の回転子インダクタンスである。Mは、3相回転機1の相互インダクタンスである。
また、指令振幅特定部Aは、第1フィードバック制御を実行することによって補正量ΔψSを生成し、第1振幅|ψS *|に補正量ΔψSを加算することによって第2振幅|ψS **|を生成する。このように、本実施形態によれば、シンプルに第2振幅|ψS **|を生成することができる。
<制御の原理について>
トルク/電流(=比率rm)を向上させたり、電力損失PLを低減させたりすることができる原理について説明する。なお、以下の説明において、電流ベクトルiとiαβ、電圧ベクトルvとvαβ、固定子鎖交磁束ベクトル(一次磁束ベクトル)ψsとψαβはそれぞれ同一ベクトルである。以下では、αβ座標における説明でiαβ、vαβ、ψαβという表記を使用し、一般座標(より具体的には、任意の速度wrで回転するγδ一般座標)又はdq座標における説明で、i、v、ψsという表記を使用する。例えば、図6を用いた説明ではdq座標を用いて電流ベクトルが説明されているため、図6では電流ベクトルをiと表記している。また、式(2−1)及び(2−2)はγδ一般座標に基づいたものであるため、固定子電圧をvと表記し、固定子電流をiと表記している。なお、<制御の原理について>の項目の理解には、非特許文献1が役立つので参照されたい。
[誘導機の制御の原理]
以下の説明では、3相回転機1が磁気的突極性を有しない誘導機であるものとする。誘導機の一般座標系(より具体的には、任意の速度wrで回転するγδ一般座標系)での数学モデルは非特許文献1より式(2−1)、(2−2)、(2−3)で表され、ψ2nd=Mnid、ψ2nq=0を考慮すると、dq座標系では式(2−5)、(2−6)、(2−7)のように表せる。また、式(2−4A)及び式(2−4B)の関係が成り立つ。Mは相互インダクタンス、L1は固定子インダクタンス、L2は回転子インダクタンス、Raは固定子抵抗、R2は回転子抵抗、Mnは正規化相互インダクタンス、R2nは正規化回転子抵抗、l1tは固定子総合漏れインダクタンス、W2は回転子逆時定数(回転子時定数の逆数)、ψ2は回転子磁束(二次磁束)、ψ2nは正規化回転子磁束(正規化二次磁束)、vは固定子電圧、iは固定子電流、ω1は固定子磁束回転速度、ω2nは回転子速度、Npは極対数、Tはトルク、Iは2×2単位行列、Jは2×2交代行列であり、D(s,wr)はD因子であり、sは微分演算子d/dtである。
Figure 0006520686
(最大トルク/電流制御への適用)
トルク/電流が最大になるのは、式(2−9)が最大のときであり、id=iqのときである。
Figure 0006520686
電流と磁束のベクトル図は、図6のようになる。id=iqのとき電流ベクトルiと二次磁束ベクトルψ2nとの間はπ/4radになるので、電流ベクトルiよりもπ/4rad進んだ仮想電流ベクトルi#と二次磁束ベクトルψ2nとの内積(第1内積)はゼロになる。つまり、角度θmをπ/4radとすれば、第1内積はゼロになる。このことを利用して、第1内積をゼロにするように第1内積をフィードバックして磁束制御することによって、トルク/電流(=比率rm)が最大になるように制御することができる。すなわち、同一トルクを得るための電流を最小にすることができ、固定子(一次)銅損の低減が図れ、高効率な運転が可能となる。図6のベクトル図等から理解されるように、3相回転機1が誘導機である場合には、式(1−10)のインダクタンスLとして固定子総合漏れインダクタンスl1tを採用すれば、銅損の低減が図れ、高効率な運転が可能となる。
(二次銅損を含めた銅損を最小化する制御への適用)
上述のようにid=iqとして最大トルク/電流制御を実施すれば、同一トルクを得るための一次電流を最小にすることができるので、一次側の銅損は最小になる。永久磁石同期モータ、同期リラクタンスモータ等の二次銅損のないモータでは、トルク/電流が最大になる動作点と銅損が最小が最小になる動作点とは一致する。しかし、誘導機のように、二次電流による二次側の銅損(二次銅損)が存在する場合、トルク/電流(=比率rm)が最大になる動作点と銅損が最小になる動作点とは一致しない(トルク/電流を最大にする場合に比べて、銅損を最小にした方が、高効率となる)。二次銅損を考慮した銅損が最小となるように、誘導機を制御することもできる。すなわち、二次銅損を考慮した銅損の最小化を図るためのd軸電流とq軸電流の関係は、非特許文献2で開示されているように式(2−10)で表される。従って、角度θmをπ/4radの代わりに式(2−11)とし、前述のように、電流ベクトルiよりも角度θm(π/4radよりも大きい)進んだ仮想電流ベクトルi#と二次磁束ベクトルψ2nとの第1内積をゼロにするように、第1内積をフィードバックして磁束制御することによって、銅損(一次銅損+二次銅損)が最小になるように制御することができる。
Figure 0006520686
(鉄損と一次銅損の合計を最小化する制御への適用)
また、鉄損を考慮した電力損失PLが最小となるように、誘導機を制御することもできる。すなわち、d軸電流を小さくすることによって、二次磁束ベクトルの振幅を小さくすればよい。これにより、一次磁束ベクトルの振幅も小さくなり、固定子鉄損も小さくなる。
誘導機のトルクTと一次磁束ベクトルの振幅|ψS|との関係式について説明する。一次磁束ベクトルの振幅|ψS|は式(2−12)で計算できる。式(2−7)と式(2−10)を用いて式(2−12)のd軸電流とq軸電流を消去すると、式(2−13)のトルクTと一次磁束の振幅|ψS|との関係式が得られる。式(2−13)のaは式(2−14)で得られる定数である。Tを指令トルクT*に、|ψS|を第1振幅|ψS *|にそれぞれ置き換えることで、指令トルクT*と第1振幅|ψS *|との関係式である式(1−4)が導かれる。
Figure 0006520686
式(1−4)及び(2−14)のa及びθmについて、さらに説明する。上述の説明から明らかであるように、式(1−4)は、一次銅損と二次銅損の合計を最小化する制御(銅損最小化制御)のための、第1振幅|ψS *|と指令トルクT*との関係式である。最大トルク/電流制御は、二次銅損がゼロであるとみなした場合の銅損最小化制御であると言える。二次銅損をゼロとみなすことは、式(2−14)の正規化回転子抵抗R2nをゼロとみなることに対応する。すなわち、最大トルク/電流制御を行う場合、aを1とし、角度θmを45degとすればよい。
二次銅損をゼロとみなさない場合、正規化回転子抵抗R2nは正の値をとるため、aは1よりも大きい値となり、π/4radよりも大きい角度となる。例えば、正規化回転子抵抗R2nが固定子抵抗Raの5倍である場合、aは√6となり、角度θmは約68degとなる。
上述のように、鉄損を低下させるには、二次磁束ベクトル(回転子磁束ベクトル)ψ2の振幅を小さくすればよく、そのためにはd軸電流idを小さくすればよい。例えば、二次磁束ベクトルψ2の振幅を約0.7倍に抑えるためにd軸電流idを約0.7倍にすることができ、d軸電流idの低下によるトルク低下を避けるためにq軸電流iqを約1.4倍にできる。この場合、q軸電流iqはd軸電流idの2倍となるので、θm=tan-1(id/iq)から、角度θmは約26.6degとなる。また、式(2−14)からaは約0.5となる。
以上の説明から、aは、例えば0.5以上√6以下の範囲にできることが分かる。また、角度θmは、例えば20deg以上70deg以下(π/9rad以上7π/18rad以下)の範囲にできることが分かる。
仮想電流ベクトルi#は、式(2−15)で得られる。式(2−15)は、3相回転機1が誘導機である場合のみならず、同期リラクタンスモータである場合にも利用できる。
Figure 0006520686
なお、電流ベクトルiと二次磁束ベクトルψ2nよりも角度θm遅れた仮想磁束ベクトルψ2n #との内積は、電流ベクトルiよりも角度θm進んだ仮想電流ベクトルi#と二次磁束ベクトルψ2nとの内積と等価である。このため、第1内積として、後者の内積を用いてもよい(変形例1−2A参照)。仮想磁束ベクトルψ2n #は、式(2−16)で得られる。式(2−16)は、3相回転機1が誘導機である場合のみならず、同期リラクタンスモータである場合にも利用できる。
Figure 0006520686
[同期リラクタンスモータの制御の原理]
次に、3相回転機1が磁気的突極性を有する同期リラクタンスモータである場合について説明する。同期リラクタンスモータの数学モデルは、式(2−17)、(2−18)で表される。
Figure 0006520686
トルク/電流が最大になるのは、式(2−20)が最大のときであり、id=iqのときである。
Figure 0006520686
電流と磁束のベクトル図は、図6のl1tをLqに置換したものと同じになる。従って、誘導機の場合と同様に、id=iqのとき電流ベクトルiと二次磁束ベクトルψ2nとの間は45deg(π/4rad)になるので、電流ベクトルiよりも45deg進んだ仮想電流ベクトルi#と二次磁束ベクトルψ2nとの内積(第1内積)はゼロになる。すなわち、第1内積をゼロにするように第1内積をフィードバックして磁束制御することによって、トルク/電流が最大になるように制御することができる。このようにして、同一トルクを得るための電流を最小にすることができる。また、上述のように、3相同期機1が同期リラクタンスモータの場合は、トルク/電流(=比率rm)が最大となる動作ポイントと銅損が最小となる動作ポイントは等しい。このため、式(1−10)のインダクタンスLとしてq軸インダクタンスLqを採用すれば、トルク/電流が最大となり、銅損が最小になる。これにより、高効率な運転が可能となる。
同期リラクタンスモータのトルクTと一次磁束ベクトルの振幅|ψS|との関係式について説明する。id=iqのときには、式(2−18)と式(2−21)を用いてd軸電流とq軸電流を消去すると、式(2−22)のトルクTと一次磁束の振幅|ψS|との関係式が得られる。Tを指令トルクT*に、|ψS|を第1振幅|ψS *|にそれぞれ置き換えることで、指令トルクT*と第1振幅|ψS *|との関係式である式(1−5)が導かれる。
Figure 0006520686
なお、3相回転機1が同期リラクタンスモータである場合にも、鉄損を考慮した制御を行うことができる。すなわち、トルクを同一に維持しつつ鉄損を低下させるべき場合には、3相回転機1が誘導機である場合と同様、例えば、d軸電流idを約0.7倍にするとともにq軸電流iqを約1.4倍にすることができる。θm=tan-1(id/iq)から、角度θmは約26.6degとなる。この計算により、角度θmの下限は、約20degにできることが分かる。
本実施形態の回転機制御装置3について説明した事項は、モータ制御装置としても、発電機制御装置としても適用できる。両方の場合において、制御の態様は実質的に同じであるためである。この点は、後述の実施形態及び変形例においても同様である。
(変形例1−1)
実施の形態1では、推定二次磁束ψ2nと仮想2相電流iαβ #との第1内積を利用したが、推定二次磁束ψ2nの代わりに推定一次磁束ψαβを用い、推定一次磁束ψαβと仮想2相電流iαβ #との第1内積を利用してもよい。具体的には、式(2−23)を用いて補正量ΔψSを演算してもよい。第1内積1/cos(θm)(ψα(iα−aiβ)+ψβ(aiα+iβ))と、3相回転機1のインダクタンスL及び回転機電流から特定された参照値Bとの偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。本変形例では、第1内積1/cos(θm)(ψα(iα−aiβ)+ψβ(aiα+iβ))と、1/cos(θm)と3相回転機1のインダクタンスLと回転機電流の振幅の2乗との積L(iα 2+iβ 2)/cos(θm)と、の偏差がゼロに近づくように、第1フィードバック制御を実行する。式(2−23)は、式(1−11)と等価である(式(1−10)を式(1−11)に代入して変形すれば得られる)。従って、変形例1−1によれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。
Figure 0006520686
変形例1−1では、補正量演算部32は、式(2−23)の計算を行う。変形例1−1の補正量演算部32を、補正量演算部32bと称する。補正量演算部32bのブロック図を、図5Bに示す。補正量演算部32bは、ベクトル回転部40bと、内積演算部33と、内積指令演算部34bと、制御部(積分器)35とを有している。ベクトル回転部40bは、2相電流iαβを角度θm進ませた仮想2相電流(仮想電流ベクトル)iαβ #を演算する。内積演算部33は、推定一次磁束ψαβと仮想2相電流iαβ #との内積(第1内積)を演算する。内積指令演算部34bは、参照値Bを出力する。参照値Bは、1/cos(θm)とLと(iα 2+iβ 2)との積である。積分器35は、第1内積と参照値Bとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。
第1の磁束振幅指令演算部25、補正量演算部32b及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令振幅特定部Bと称することができる。変形例1−1では、指令振幅特定部Bは、第1内積を用いた第1フィードバック制御を実行することによって、指令振幅を、第1振幅|ψS *|から、条件C1及び条件C2の少なくとも一方を成立させる第2振幅|ψS **|に修正する。第1内積は、推定された一次磁束ベクトル(推定一次磁束ψαβ)と、3相回転機1の電流ベクトルの位相を角度θm進めたベクトル(仮想2相電流iαβ #)との内積である。
指令振幅特定部Bは、具体的には、一次磁束ベクトル(推定一次磁束ψαβ)を用いて第1内積を特定し、3相回転機1のインダクタンスL及び電流ベクトルから参照値Bを特定する。その後、参照値Bと第1内積との偏差をゼロに近づける第1フィードバック制御を実行する。
(変形例1−2A)
電流ベクトルの位相を角度θm進ませる代わりに、一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルの位相を角度θm遅らせて、第1内積を演算してもよい。つまり、第1内積は、推定された一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルの位相を角度θm遅らせたベクトルと、3相回転機1の電流ベクトルとの内積であってもよい。具体的には、式(2−24)又は式(2−25)を用いて補正量ΔψSを演算してもよい。式(2−24)及び式(2−25)は、式(1−11)及び式(2−23)と等価である。従って、このようにしても、実施の形態1及び変形例1−1と同様の効果が得られる。
Figure 0006520686
変形例1−2Aでは、補正量演算部32は、式(2−24)又は式(2−25)の計算を行う。式(2−24)の計算を行う場合の変形例1−2Aの補正量演算部32を、補正量演算部32cと称する。式(2−25)の計算を行う場合の変形例1−2Aの補正量演算部32を、補正量演算部32dと称する。
補正量演算部32cのブロック図を、図5Cに示す。補正量演算部32cは、仮想二次磁束推定部39cと、内積演算部33と、内積指令演算部34cと、制御部(積分器)35とを有している。仮想二次磁束推定部39cは、推定磁束(推定一次磁束)ψαβと2相電流iαβとから仮想磁束ベクトルψ2n #を推定する(なお、推定に2相電流iαβを用いることは式(1−10)から理解される)。仮想磁束ベクトルψ2n #は、二次磁束ベクトルψ2nの位相を角度θm遅らせたベクトルである。内積演算部33は、仮想磁束ベクトルψ2n #と2相電流iαβとの内積(第1内積)を演算する。内積指令演算部34cは、参照値Cを出力する。参照値Cは、ゼロである。積分器35は、第1内積と参照値Cとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。
第1の磁束振幅指令演算部25、補正量演算部32c及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令振幅特定部Cと称することができる。指令振幅特定部Cは、一次磁束ベクトル(推定一次磁束ψαβ)、3相回転機1のインダクタンスL及び電流ベクトル(2相電流)iαβから二次磁束ベクトル(推定二次磁束)ψ2nを推定する(式(1−10)参照)。より具体的には、指令振幅特定部Cは、3相回転機1のインダクタンスLを電流ベクトルに乗じたベクトルLiαβを一次磁束ベクトル(推定一次磁束ψαβ)から差し引くことによって、二次磁束ベクトル(推定二次磁束)ψ2nを推定する。次に、指令振幅特定部Cは、二次磁束ベクトルを用いて第1内積を特定する。次に、指令振幅特定部は、第1内積をゼロに近づける第1フィードバック制御を実行する。
補正量演算部32dのブロック図を、図5Dに示す。補正量演算部32dは、ベクトル回転部40dと、内積演算部33と、内積指令演算部34dと、制御部(積分器)35とを有している。ベクトル回転部40dは、推定磁束(推定一次磁束)ψαβの位相を角度θm遅らせた仮想一次磁束ベクトルψαβ #を演算する。内積演算部33は、仮想一次磁束ベクトルψαβ #と2相電流iαβとの内積(第1内積)を演算する。内積指令演算部34d、参照値Dを出力する。参照値Dは、1/cos(θm)とLと(iα 2+iβ 2)との積である。積分器35は、第1内積と参照値Dとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。
第1の磁束振幅指令演算部25、補正量演算部32d及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令振幅特定部Dと称することができる。指令振幅特定部Dは、一次磁束ベクトル(推定一次磁束ψαβ)を用いて第1内積を特定し、3相回転機1のインダクタンスL及び電流ベクトル(2相電流iαβ)から参照値Dを特定する。その後、参照値Dと第1内積との偏差をゼロに近づける第1フィードバック制御を実行する。
(変形例1−2B)
また、数式及びブロック図を用いた説明は省略するが、第1内積は、推定された一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルと3相回転機1の電流ベクトルとの2つのベクトルの位相を、推定された一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルの位相に対する3相回転機1の電流ベクトルの位相の進み角が角度θm大きくなるように変化させた新たな2つのベクトルの内積であってもよい。このような第1内積も、実施の形態1、変形例1−1及び変形例1−2Aで説明した第1内積と等価であるためである。すなわち、変形例1−2Bによれば、実施の形態1、変形例1−1及び変形例1−2Aと同様の効果が得られる。例えば、推定された一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルの位相をπ/8rad遅らせたベクトルと、3相回転機1の電流ベクトルの位相をπ/8rad進めたベクトルとの内積を第1内積とすれば、最大トルク/電流制御を行うことができる。また、前者の位相の遅れ量を大きくしたり後者の位相の進み量を大きくしたりすることによって、二次銅損を含めた銅損を小さくする制御を行うこともできる。また、前者の位相の遅れ量を小さくしたり後者の位相の進み量を小さくしたりすることによって、鉄損を含めた電力損失を小さくする制御を行うこともできる。
(変形例1−3)
実施の形態1では、一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するような構成としたが、二次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するような構成としてもよい。変形例1−3では、後者の構成が採用されている。以下、変形例1−3の回転機制御装置3zを、図7を参照しながら説明する。変形例1−3では、実施の形態1と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略することがある。なお、変形例1−3の理解には、特許文献2の第2の実施形態が参考になる。
回転機制御装置3zは、図3の磁束推定部23、第1の磁束振幅指令演算部25、第2の磁束振幅指令演算部31、磁束振幅指令補正量演算部(補正量演算部)32、磁束指令演算部26及び電圧指令演算部29に代えて、磁束推定部23z、第1の磁束振幅指令演算部25z、第2の磁束振幅指令演算部31z、磁束振幅指令補正量演算部(補正量演算部)32z、磁束指令演算部26z及び電圧指令演算部29zを有している。
(磁束推定部23z)
磁束推定部23zは、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ *とから、二次磁束ベクトルを推定する(推定二次磁束ψ2nを求める)。本変形例では、磁束推定部23zは、式(1−1Z)、(1−2Z)及び(1−3Z)を用いて、推定二次磁束ψ2n(推定磁束ψ2nα,ψ2nβ)及び推定二次磁束ψ2nの位相θ2nsを求める。式(1−1Z)及び(1−2Z)におけるRaは、3相回転機1の1相当たりの巻線抵抗である。右辺の積分は、基準時刻(t=0)から現時点までの時間積分を表す。Lは、実施の形態1で説明したインダクタンスLと同じである。ψ2nα|t=0は、t=0における推定磁束ψ2nαの値(初期値)である。ψ2nβ|t=0は、t=0における推定磁束ψ2nβの値(初期値)である。推定磁束ψ2nは、電圧指令演算部29z及び補正量演算部32zに与えられる。位相θ2nsは、磁束指令演算部26zに与えられる。
Figure 0006520686
(第1の磁束振幅指令演算部25z)
第1の磁束振幅指令演算部25zは、指令トルクT*から指令磁束ベクトルの振幅(指令振幅)である第1振幅|ψ2nS *|を特定する。第1振幅|ψ2nS *|はスカラーである。一例では、第1振幅|ψ2nS *|は定数である。適切な定数は、事前の測定などによって設定され得る。
(第2の磁束振幅指令演算部31z)
第2の磁束振幅指令演算部31zは、指令振幅を第1振幅|ψ2nS *|から第2振幅|ψ2nS **|に修正する。変形例1−3における第2の磁束振幅指令演算部31zは、第1振幅|ψS *|に代えて第1振幅|ψ2nS *|を用い、第2振幅|ψS **|に代えて第2振幅|ψ2nS **|を特定する点以外は、第2の磁束振幅指令演算部31と同様に動作する。
(磁束指令演算部26z)
磁束指令演算部26zは、第2振幅|ψ2nS **|と、位相θ2nsとから、二次磁束ベクトルが追従するべき指令磁束ベクトルψ2n *を特定する。変形例1−3における磁束指令演算部26zは、第2振幅|ψS **|に代えて第2振幅|ψ2ns **|を用い、指令磁束ベクトルψαβ *に代えて指令磁束ベクトルψ2n *を特定する点以外は、磁束指令演算部26と同様に動作する。磁束指令演算部26zは、磁束指令演算部26a及び26bと同様に、指令磁束ベクトルを特定する過程で位相補正量Δθs *を特定する。
(電圧指令演算部29z)
電圧指令演算部29zは、指令磁束ベクトルψ2n *と推定二次磁束ψ2nとの差と、位相補正量Δθs *と、2相電流iαβとから、指令2相電圧vαβ *(指令α軸電圧vα *及び指令β軸電圧vβ *)を特定する。具体的には、電圧指令演算部29zは、式(1−9Z)を用いて、指令2相電圧vαβ *を求める。式(1−9Z)におけるTsは、制御周期(サンプリング周期)である。Lは、実施の形態1で説明したインダクタンスLと同じである。Jは、式(2−4B)のJと同じである。なお、3相回転機1が高速回転しているときは、巻線抵抗Raに基づく電圧降下が非常に小さい。このため、電圧指令演算部29zは、式(1−9Z)の右辺第3項を無視して、指令2相電圧vαβ *を特定するように構成されていてもよい。指令2相電圧v2n *は、2相3相座標変換部30に与えられる。
Figure 0006520686
(補正量演算部32z)
補正量演算部32zは、推定二次磁束ψ2nと、2相電流iαβとから、第2の磁束振幅指令演算部(加算部)31に与えるべき補正量ΔψSを特定する。補正量ΔψSはスカラーである。補正量演算部32zは、具体的には、式(1−11)又は式(2−24)と同じ式を用いて、補正量ΔψSを特定する。
変形例1−3のように二次磁束を制御した場合も、実施の形態1と同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2の回転機制御装置103のブロック図である。図8において、図3と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略することがある。図8に示すように、回転機制御装置103は、図3の補正量演算部32に代えて、補正量演算部132を備えている。
(補正量演算部132)
補正量演算部132は、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとから、第2の磁束振幅指令演算部(加算部)31に与えるべき補正量ΔψSを特定する。補正量ΔψSはスカラーである。補正量ΔψSは、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとの内積を用いたフィードバック制御によって特定される。
図5Eに、補正量演算部132の一例である補正量演算部132eのブロック図を示す。補正量演算部132eは、仮想二次磁束推定部139eと、内積演算部33と、内積指令演算部134eと、制御部(積分器)35とを有している。仮想二次磁束推定部139eは、推定磁束(推定一次磁束)ψαβと2相電流iαβとから仮想二次磁束を推定する(推定仮想二次磁束ψ2mを求める)。内積演算部33は、推定仮想二次磁束ψ2mと2相電流iαβとの内積(第2内積)を演算する。内積指令演算部134eは、参照値E(ゼロ)を出力する。積分器35は、第2内積と参照値Eとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。
推定仮想二次磁束ψ2mは、推定一次磁束ψαβと2相電流iαβとから式(3−10)で演算することができる。補正量演算部132e全体の動作は、式(3−11)によって表現できる。ψ2mαα+ψ2mββは、推定仮想二次磁束ψ2mと2相電流iαβとの第2内積である。0は参照値Eである。C(s)は、積分器35の動作を表す数式である。C(s)は、式(1−12)と同じである。
Figure 0006520686
第1の磁束振幅指令演算部25、補正量演算部132e及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令振幅特定部Eと称することができる。指令振幅特定部Eは、3相回転機1の電流ベクトル(2相電流iαβ)に仮想インダクタンスL0を乗じたベクトルを一次磁束ベクトル(推定一次磁束ψαβ)から差し引くことによって仮想二次磁束ベクトル(推定仮想二次磁束ψ2m)を特定し、仮想二次磁束ベクトルと電流ベクトルとの内積(第2内積ψ2mαα+ψ2mββ)を特定し、内積がゼロになるように第1フィードバック制御を実行する。仮想インダクタンスL0は、範囲R1及び範囲R2の少なくとも一方の範囲にある。範囲R1は、固定子総合漏れインダクタンスl1tと正規化相互インダクタンスMnの1/8倍との合計以上固定子総合漏れインダクタンスl1tと正規化相互インダクタンスMnの9/10倍との合計以下の範囲である。範囲R2は、3相回転機1のd軸インダクタンスLdの1/8倍と3相回転機1のq軸インダクタンスLqの7/8倍との合計以上d軸インダクタンスLdの1/2倍とq軸インダクタンスLqの1/2倍との合計以下の範囲である。固定子総合漏れインダクタンスl1tは、式(3−12)で表される。L1は、3相回転機1の固定子インダクタンスである。L2は、3相回転機1の回転子インダクタンスである。Mは、3相回転機1の相互インダクタンスである。Mnは、正規化相互インダクタンスである。仮想インダクタンスL0の詳細については後述する。
Figure 0006520686
また、指令振幅特定部Eは、第1フィードバック制御を実行することによって補正量ΔψSを生成し、第1振幅|ψS *|に補正量ΔψSを加算することによって第2振幅|ψS **|を生成する。
(dmqm座標系について)
図9に示すように、d軸から角度θm遅れた軸をdm軸、q軸から角度θm遅れた軸をqm軸とするdmqm座標系を考える。一次磁束ψsのdm軸成分を仮想二次磁束ψ2mとし、更に、仮想インダクタンスL0を用いて一次磁束ψsのqm軸成分をL0iで表すこととする。
このようにすると、3相回転機1が誘導機の場合の二次磁束の関係式である式(2−8)を用いると、仮想インダクタンスL0は式(3−13)となる。なお、式(3−14)のl1tqmは、図6のl1tiに対応する。3相回転機1が同期リラクタンスモータの場合は、二次磁束の関係式である式(2−19)を用いると、id=iqのとき、仮想インダクタンスL0は式(3−15)となる。
Figure 0006520686
逆に言うと、式(3−13)又は式(3−15)のL0を採用し、式(3−10)を用いて求めた推定仮想二次磁束ψ2mと2相電流iαβとの第2内積がゼロの場合、式(2−10)又はid=iqが成り立ち、銅損が最小になる。従って、推定仮想二次磁束ψ2mと2相電流iαβとの第2内積をゼロにするように第2内積をフィードバックして磁束制御することによって、銅損が最小になって高効率な運転が可能となる。
3相回転機1が誘導機である場合のL0の範囲について説明する。実施の形態1で説明したように、角度θmがπ/4rad(45deg)であるとき、最大トルク/電流制御を行うことができる。つまり、L0=l1t+Mn/2であるときに、最大トルク/電流制御を行うことができる(式(3−13)にθm=π/4を代入すればよい)。また、実施の形態1で説明したように、鉄損を考慮しつつ電力損失PLを小さくするためには、角度θmを例えば20deg程度まで小さくすればよい。つまり、L0を例えばl1t+Mn/8程度まで小さくすればよい。また、二次銅損を含めた銅損を小さくするためには、角度θmを例えば70deg程度まで大きくすればよい。つまり、L0を例えばl1t+9Mn/10程度まで大きくすればよい。すなわち、L0の具体例は、l1t+Mn/8以上l1t+9Mn/10以下である。こうして、上記範囲R1が導き出される。
3相回転機1が同期リラクタンスモータである場合のL0の範囲についてさらに説明する。式(3−15)に従いL0=(Ld+Lq)/2とすれば、最大トルク/電流制御を行うことができる。また、トルクを同一に維持しつつ鉄損を低下させるべき場合には、実施の形態1で説明したように、角度θmを例えば20deg程度まで小さくすることができる。つまり、3相回転機1が誘導機である場合と同様である。ここで、l1tがLqに対応し、MnがLd−Lqに対応することを考慮すると、L0の下限の例がl1t+Mn/8であることから、L0の下限の例がLd/8+7Lq/8と言えることが分かる。すなわち、L0の具体例は、Ld/8+7Lq/8以上(Ld+Lq)/2以下である。こうして、上記範囲R2が導き出される。
実施の形態2では、磁束の位相操作をしていない。しかし、図6のベクトル図と図9のベクトル図との対比から理解されるように、実施の形態2によれば、磁束の位相を遅らせて得られる情報と同様の情報を得ることができる。すなわち、実施の形態2は、実施の形態1の技術的思想と同様の技術的思想に基づいたものであると言える。
(変形例2−1)
実施の形態2では、推定仮想二次磁束ψ2mと2相電流iαβの第2内積を利用したが、推定仮想二次磁束の代わりに推定一次磁束ψαβを用い、推定一次磁束ψαβと2相電流iαβとの第2内積を利用してもよい。具体的には、式(3−17)を用いて補正量ΔψSを演算してもよい。第2内積ψαα+ψβαと、実施の形態2で説明した仮想インダクタンスL0及び回転機電流から特定された参照値Fとの偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。変形例2−1では、第2内積ψαα+ψβαと、仮想インダクタンスL0と回転機電流の振幅の2乗との積L0(iα 2+iβ 2)と、の偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。式(3−17)は、式(3−11)と等価である。従って、変形例2−1によれば、実施の形態2と同様の効果が得られる。
Figure 0006520686
変形例2−1では、補正量演算部132は、式(3−17)の計算を行う。変形例1−1の補正量演算部132を、補正量演算部132fと称する。補正量演算部132fのブロック図を、図5Fに示す。補正量演算部132fは、内積演算部33と、内積指令演算部134fと、制御部(積分器)35とを有している。内積演算部33は、推定一次磁束ψαβと2相電流iαβとの内積(第2内積)を演算する。内積指令演算部134fは、参照値Fを出力する。参照値Fは、仮想インダクタンスL0と(iα 2+iβ 2)との積である。積分器35は、第2内積と参照値Fとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。
第1の磁束振幅指令演算部25、補正量演算部132f及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令振幅特定部Fと称することができる。指令振幅特定部Fは、一次磁束ベクトル(推定一次磁束ψαβ)と3相回転機1の電流ベクトル(2相電流iαβ)との内積ψαα+ψββを特定し、電流ベクトルの振幅の2乗及び仮想インダクタンスL0の積である参照値Fを特定し、内積ψαα+ψββと参照値Fとの偏差をゼロに近づける第1フィードバック制御を実行する。
(実施の形態3)
以下、実施の形態3について説明する。なお、実施の形態3の説明では、上述の実施の形態又は変形例と同じ構成要素に同じ符号を用い、説明を省略することがある。
図10に示すように、実施の形態3の回転機制御装置203は、インバータ(電圧変換回路)2及び3相回転機201に接続されうる。
回転機制御装置203は、3相回転機201が3相回転機1と同じ回転機である場合も、3相回転機201が回転子に永久磁石が備えられたものである場合も、3相回転機201を制御することができる。なお、回転子に永久磁石が備えられている3相回転機201の例は、SPMSM(Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)、IPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)等の永久磁石同期モータである。
回転機制御装置203は、図11に示すブロック図に基づいて3相回転機201を制御する。図11に示すように、回転機制御装置203は、図3の第1の磁束振幅指令演算部25、磁束指令演算部26及び磁束振幅指令補正量演算部(補正量演算部)32に代えて、第1の磁束振幅指令演算部225、磁束指令演算部226及び磁束振幅指令補正量演算部(補正量演算部)232を備えている。
(第1の磁束振幅指令演算部225)
3相回転機201が3相回転機1と同じ回転機である場合、第1の磁束振幅指令演算部225の動作は、第1の磁束振幅指令演算部25の動作と同じである。
3相回転機201が回転子に永久磁石が備えられたものである場合、第1の磁束振幅指令演算部225は、以下のようにして指令トルクT*から指令磁束としての第1振幅|ψS *|を特定する。一例では、第1振幅|ψS *|は回転機電流を最小とするため(最大トルク/電流制御を行うため)のものであり、第1の磁束振幅指令演算部225は、テーブルを用いて指令トルクT*から第1振幅|ψS *|を特定する。第1の磁束振幅指令演算部225は、演算によって第1振幅|ψS *|を特定するように構成されていてもよい。
3相回転機201が回転子に永久磁石が備えられたものである場合において最大トルク/電流制御を実行する場合の第1振幅|ψS *|の特定方法は、以下の説明によって当業者に理解される。3相回転機201として使用されている永久磁石を備えた回転機が磁気的突極性を有さない回転機である場合、電機子鎖交磁束(一次磁束ベクトル)の振幅|ψS|及び回転機トルクTは、式(4−1)及び(4−2)で概算される。|ψa0|は、3相回転機201における永久磁石が作る磁石磁束の振幅として与えられた定数である。以下の説明では、|ψa0|を磁束パラメータと称することがある。Lは、3相回転機201の電機子巻線の一相当たりのインダクタンスである。iqはq軸電流である。Pnは、回転機の極対数である。式(4−1)及び(4−2)から、式(4−3)が導かれる。Tを指令トルクT*に、|ψS|を第1振幅|ψS *|にそれぞれ置き換えることで、指令トルクT*と第1振幅|ψS *|との関係式が導かれる。この関係式を用いれば、指令トルクT*から第1振幅|ψS *|を求めることができる。当然ながら、変換テーブルを作成することもできる。
Figure 0006520686
3相回転機201として使用されている永久磁石を備えた回転機が磁気的突極性を有さない回転機である場合、電機子鎖交磁束の振幅|ψS|及び回転機トルクTは、式(4−4)及び(4−5)で概算される。Ldは、d軸インダクタンスである。Lqは、q軸インダクタンスである。idはd軸電流である。d軸電流id及びq軸電流iqは、式(4−6)の関係を概ね満たす。式(4−4)、(4−5)及び(4−6)によって、変数id,iqを用いることなく回転機トルクTから電機子鎖交磁束の振幅|ψS|を特定可能な変換テーブルが得られる。Tを指令トルクT*に、|ψS|を第1振幅|ψS *|にそれぞれ置き換えれば、指令トルクT*から第1振幅|ψS *|を特定することができる。
Figure 0006520686
(磁束指令演算部226)
3相回転機201が3相回転機1と同じ回転機である場合、磁束指令演算部226は、磁束指令演算部26と同様に、第2振幅|ψS **|と、位相θsとから指令磁束ベクトルψαβ *を特定する。3相回転機201が回転子に永久磁石が備えられたものである場合、磁束指令演算部226は、後述の第3振幅|ψS **|と、位相θsとから指令磁束ベクトルψαβ *を特定する。第2振幅|ψS **|に代えて第3振幅|ψS **|を用いる点を除き、3相回転機201が回転子に永久磁石が備えられたものである場合の磁束指令演算部226の動作は、3相回転機201が3相回転機1と同じ回転機である場合の磁束指令演算部226の動作と同じである。なお、本明細書では、第2振幅と第3振幅の両方に|ψS **|という文字を付しているが、このことは、第2振幅と第3振幅とが必ずしも同じものであることを表さない。
(補正量演算部232)
補正量演算部232は、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとから、第2の磁束振幅指令演算部(加算部)31に与えるべき補正量ΔψSを特定する。補正量ΔψSはスカラーである。
3相回転機201が3相回転機1と同じ回転機である場合、補正量演算部232は、式(1−10)〜(1−12)に従って動作する。
3相回転機201が回転子に永久磁石が備えられたものである場合、補正量演算部232は、特許文献2で開示されている方法と同様に第2の磁束振幅指令演算部(加算部)31に与えるべき補正量ΔψSを特定する。具体的には、式(4−10)で二次磁束ベクトルψpを推定し、式(4−11)を用いて補正量ΔψSを特定する。式(4−11)の内積の部分は、推定磁束ベクトル(二次磁束ベクトル)ψpと、2相電流iαβとの第2内積である。Lは、実施の形態1で説明したインダクタンスLと同じである。なお、式(4−10)において、Lとiαとの積は、α軸電流iαが作る磁束である。Lとiβとの積は、β軸電流iαが作る磁束である。式(4−10)は、2相電流iαβが作る磁束を推定磁束ψαβから引くことによって、永久磁石の磁石磁束を推定する(推定磁石磁束を求める)式である。推定磁束ベクトル(二次磁束ベクトル)ψp(ψ,ψ)は、推定磁石磁束ψpと称することもできる。
Figure 0006520686
実施の形態3の補正量演算部232を、補正量演算部232gと称する。補正量演算部232gのブロック図を、図5Gに示す。補正量演算部232gは、ベクトル回転部240gと、二次磁束推定部239gと、内積演算部33と、内積指令演算部234gと、制御部(積分器)35とを有している。
本実施形態では、3相回転機201が3相回転機1と同じ回転機である場合、回転機制御装置203は、第1運転を行う。第1運転において、ベクトル回転部240gは、2相電流iαβの位相を角度θm進ませた仮想2相電流(仮想電流ベクトル)iαβ #を演算する。二次磁束推定部239gは、推定磁束(推定一次磁束)ψαβと2相電流iαβとから二次磁束ベクトルを推定する(推定二次磁束ψ2nを求める)。内積演算部33は、推定二次磁束ψ2nと仮想2相電流iαβ #との内積(第1内積)を演算する。内積指令演算部234gは、参照値G(本実施形態ではゼロ)を出力する。積分器35は、第1内積と参照値Gとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。要するに、3相回転機201が3相回転機1と同じ回転機である場合、補正量演算部232gの各構成要素は、図5Aに示す補正量演算部32の各構成要素と同じ動作を行う。つまり、補正量演算部232gは、第1の磁束振幅指令演算部225及び第2の磁束振幅指令演算部31と協働して、実施の形態1で説明した第1フィードバック制御を行う。
本実施形態では、3相回転機201が回転子に永久磁石が備えられたものである場合、回転機制御装置203は、第2運転を行う。第2運転において、ベクトル回転部240gは動作しない。つまり、内積演算部33に、仮想電流ベクトルiαβ #ではなく2相電流iαβが入力される。二次磁束推定部239gは、推定磁束(推定一次磁束)ψαβと2相電流iαβとから二次磁束ベクトルψpを推定する。内積演算部33は、二次磁束ベクトルψpと2相電流iαβとの内積(第2内積)を演算する。内積指令演算部234gは、参照値Gを出力する。参照値Gは、ゼロである。積分器35は、第2内積と参照値Gとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。このようにして、補正量演算部232gは、第1の磁束振幅指令演算部225及び第2の磁束振幅指令演算部31と協働して、式(4−10)及び(4−11)に基づく第2フィードバック制御を実行する。
第1の磁束振幅指令演算部225、補正量演算部232g及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令振幅特定部Gと称することができる。実施の形態3の回転機制御装置203は、第1運転及び第2運転を含む複数の運転を行うことができる。第1運転は、指令振幅特定部Gが第1フィードバック制御(実施の形態1参照)を行う運転である。第2運転は、指令振幅特定部Gが、二次磁束ベクトルψpと電流ベクトル(2相電流iαβ)との内積を用いた第2フィードバック制御を実行することによって、指令振幅を第1振幅|ψS *|から第3振幅|ψS **|に修正する運転である。具体的に、指令振幅特定部Gは、第2運転において、第2フィードバック制御を実行することによって補正量ΔψSを生成し、第1振幅|ψS *|に補正量ΔψSを加算することによって第3振幅|ψS **|を生成する。
このように、回転機制御装置203は、第1運転のみならず、第2運転を行うことができる。第1運転は、回転子が永久磁石を備えない回転機を制御するときに、指令振幅の誤差を減少させることに適している。第2運転は、回転子が永久磁石を備える回転機を制御するときに、指令磁束の誤差を減少させることに適している。また、第1運転のためのアルゴリズムの一部を第2運転のためのアルゴリズムに流用すれば、第1運転と第2運転の両方を行うことができるにも関わらず、アルゴリズムを簡素にすることができる。このことは、マイクロコンピュータのプログラムメモリの節約につながったり、プログラムの信頼性向上につながったりする。
なお、第1運転と第2運転とは、例えば手動で切り替えればよい。
(変形例3−1)
図5Gに示す補正量演算部232gに代えて、図5Hに示す補正量演算部232hを用いてもよい。補正量演算部232hは、ベクトル回転部240hと、内積演算部33と、内積指令演算部234hと、制御部(積分器)35とを有している。
本変形例では、3相回転機201が3相回転機1と同じ回転機である場合、回転機制御装置203は、第1運転を行う。第1運転において、ベクトル回転部240hは、推定磁束(推定一次磁束)ψαβの位相を角度θm遅らせた仮想一次磁束ベクトルψαβ #を演算する。内積演算部33は、仮想一次磁束ベクトルψαβ #と2相電流iαβとの内積(第1内積)を演算する。内積指令演算部234hは、参照値Gを出力する。参照値Gは、1/cos(θm)とLと(iα 2+iβ 2)との積である。積分器35は、第1内積と参照値Gとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。要するに、3相回転機201が3相回転機1と同じ回転機である場合、補正量演算部232hの各構成要素は、図5Dに示す補正量演算部32dの各構成要素と同じ動作を行う。すなわち、補正量演算部232hは、式(2−25)の計算を行う。換言すると、補正量演算部232hは、第1の磁束振幅指令演算部225及び第2の磁束振幅指令演算部31と協働して、変形例1−2Aで説明した第1フィードバック制御を行う。
本変形例では、3相回転機201の回転子に永久磁石が備えられている場合、回転機制御装置203は、第2運転を行う。第2運転において、ベクトル回転部240hは動作しない。つまり、内積演算部33に、仮想一次磁束ベクトルψαβ #ではなく推定磁束ψαβが入力される。内積演算部33は、推定磁束ψαβと2相電流iαβとの内積(第2内積)を演算する。内積指令演算部234hは、参照値Hを出力する。参照値Hは、Lと(iα 2+iβ 2)との積である。積分器35は、第2内積と参照値Hとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。このようにして、補正量演算部232hは、第1の磁束振幅指令演算部225及び第2の磁束振幅指令演算部31と協働して、式(4−25)に基づく第2フィードバック制御を実行する。式(4−25)は、式(4−11)と等価である。従って、このようにしても、実施の形態3と同様の効果が得られる。
Figure 0006520686
第1の磁束振幅指令演算部225、補正量演算部232h及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令振幅特定部Hと称することができる。変形例3−1の回転機制御装置203は、第1運転及び第2運転を含む複数の運転を行うことができる。第1運転は、指令振幅特定部Hが第1フィードバック制御を行う運転である。第2運転は、指令振幅特定部Hが、一次磁束ベクトル(推定磁束ψαβ)と電流ベクトル(2相電流iαβ)との内積を用いた第2フィードバック制御を実行することによって、指令振幅を第1振幅から第3振幅に修正する運転である。具体的に、指令振幅特定部Hは、第2運転において、第2フィードバック制御を実行することによって補正量ΔψSを生成し、第1振幅|ψS *|に補正量ΔψSを加算することによって第3振幅|ψS **|を生成する。
1,201 3相回転機
2 インバータ
3,3z,103,203 回転機制御装置
5 電流センサ
22 3相2相座標変換部
23,23z 磁束推定部
25,25z,225 第1の磁束振幅指令演算部
26,26a,26b,26z,226 磁束指令演算部
29,29z 電圧指令演算部
30 2相3相座標変換部
31,31z (第2の)磁束振幅指令演算部
32,32a,32b,32c,32d,132,132e,132f,232,232g,232h 磁束振幅指令補正量演算部
33 内積演算部
34a,34b,34c,34d,134e,134f,234g,234h 内積指令演算部
35 制御部
36 加算部
37 ベクトル生成部
38a,38b 位相補正量演算部
39a,239g 二次磁束推定部
39c,139e 仮想二次磁束推定部
40a,40b,40d,240h ベクトル回転部

Claims (7)

  1. インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御装置であって、
    前記回転機制御装置は、
    前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定部と、
    前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定部と、を備え、
    前記指令振幅特定部は、第1内積を用いた第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を、第1振幅から、条件C1及び条件C2の少なくとも一方を成立させる第2振幅に修正し、
    前記第1内積は、(i)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルの位相を角度θm進めたベクトルとの内積、(ii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相を角度θm遅らせたベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルとの内積、又は(iii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの2つのベクトルの位相を、推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相に対する前記3相回転機の電流ベクトルの位相の進み角が角度θm大きくなるように変化させた新たな2つのベクトルの内積であり、
    前記条件C1は、前記第2振幅を前記指令振幅としたときにおける前記3相回転機の電流ベクトルの振幅に対する前記3相回転機のトルクの比率rmが前記第1振幅を前記指令振幅としたときにおける前記比率rmよりも大きいという条件であり、
    前記条件C2は、前記第2振幅を前記指令振幅としたときにおける前記3相回転機の電力損失PLが前記第1振幅を前記指令振幅としたときにおける前記電力損失PLよりも小さいという条件である、回転機制御装置。
  2. 前記角度θmは、π/9rad以上7π/18rad以下である、請求項1に記載の回転機制御装置。
  3. インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御装置であって、
    前記回転機制御装置は、
    前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定部と、
    前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定部と、を備え、
    前記指令振幅特定部は、第1内積を用いた第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を第1振幅から第2振幅に修正し、
    前記第1内積は、(i)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルの位相を角度θm進めたベクトルとの内積、(ii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相を角度θm遅らせたベクトルと、前記3相回転機の電流ベクトルとの内積、又は(iii)推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの2つのベクトルの位相を、推定された前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルの位相に対する前記3相回転機の電流ベクトルの位相の進み角が角度θm大きくなるように変化させた新たな2つのベクトルの内積であり、
    前記角度θmは、π/9rad以上7π/18rad以下である、回転機制御装置。
  4. (a)前記指令振幅特定部は、前記一次磁束ベクトルを用いて前記第1内積を特定し、前記3相回転機のインダクタンスL及び前記電流ベクトルから参照値を特定し、前記参照値と前記第1内積との偏差をゼロに近づける前記第1フィードバック制御を実行する、又は
    (b)前記指令振幅特定部は、前記一次磁束ベクトル、前記3相回転機のインダクタンスL及び前記電流ベクトルから前記二次磁束ベクトルを推定し、前記二次磁束ベクトルを用いて前記第1内積を特定し、前記第1内積をゼロに近づける前記第1フィードバック制御を実行する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
    ここで、前記インダクタンスLは、前記3相回転機のq軸インダクタンスLq、又は、(数1)で表される前記3相回転機の固定子総合漏れインダクタンスl1tである。L1は、前記3相回転機の固定子インダクタンスである。L2は、前記3相回転機の回転子インダクタンスである。Mは、前記3相回転機の相互インダクタンスである。
    Figure 0006520686
  5. 前記回転機制御装置は、第1運転及び第2運転を含む複数の運転を行うことができ、
    前記第1運転は、前記指令振幅特定部が前記第1フィードバック制御を行う運転であり、
    前記第2運転は、前記指令振幅特定部が、前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルと前記電流ベクトルとの内積を用いた第2フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を前記第1振幅から第3振幅に修正する運転である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
  6. インバータを用いて3相回転機に電圧ベクトルを印加し、前記3相回転機の一次磁束ベクトル又は二次磁束ベクトルを指令磁束ベクトルに追従させる回転機制御装置であって、
    前記回転機制御装置は、
    前記一次磁束ベクトル又は前記二次磁束ベクトルを推定する磁束推定部と、
    前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定部と、を備え、
    前記指令振幅特定部は、第1フィードバック制御を実行することによって、前記指令振幅を、第1振幅から第2振幅に修正し、
    (I)前記指令振幅特定部は、前記一次磁束ベクトルと前記3相回転機の電流ベクトルとの内積を特定し、前記電流ベクトルの振幅の2乗及び仮想インダクタンスL0の積である参照値を特定し、前記内積と前記参照値との偏差をゼロに近づける前記第1フィードバック制御を実行し、又は
    (II)前記指令振幅特定部は、前記3相回転機の電流ベクトルに仮想インダクタンスL0を乗じたベクトルを前記一次磁束ベクトルから差し引くことによって仮想二次磁束ベクトルを特定し、前記仮想二次磁束ベクトルと前記電流ベクトルとの内積を特定し、前記内積がゼロになるように前記第1フィードバック制御を実行し、
    前記仮想インダクタンスL0は、範囲R1及び範囲R2の少なくとも一方の範囲にあり、
    前記範囲R1は、前記3相回転機の固定子総合漏れインダクタンスl1tと正規化相互インダクタンスMnの1/8倍との合計以上前記固定子総合漏れインダクタンスl1tと前記正規化相互インダクタンスMnの9/10倍との合計以下の範囲であり、
    前記範囲R2は、前記3相回転機のd軸インダクタンスLdの1/8倍と前記3相回転機のq軸インダクタンスLqの7/8倍との合計以上前記d軸インダクタンスLdの1/2倍と前記q軸インダクタンスLqの1/2倍との合計以下の範囲である、回転機制御装置。
    ここで、前記固定子総合漏れインダクタンスl1tは、(数2)で表される。L1は、前記3相回転機の固定子インダクタンスである。L2は、前記3相回転機の回転子インダクタンスである。Mは、前記3相回転機の相互インダクタンスである。Mnは、前記正規化相互インダクタンスである。
    Figure 0006520686
  7. 前記指令振幅特定部は、前記第1フィードバック制御を実行することによって補正量を生成し、前記第1振幅に前記補正量を加算することによって前記第2振幅を生成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
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