以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係る後処理装置を適用した画像形成システムの全体の概要を示す構成図である。
<画像形成システムの全体の構成>
画像形成システム100は、図1に示されるように、記録媒体の一例としての記録用紙5に画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1によって画像が形成された記録用紙5に他の用紙を合流する合紙処理や折り処理、穿孔処理、あるいは綴じ処理等の後処理を施す後処理装置2を備えている。後処理装置2は、表紙や裏表紙、あるいはインデックス用紙等を供給するインターポーザーと呼ばれる用紙供給装置7や、記録用紙5に対して2つ折り、C折りと呼ばれる内3つ折り、Z折りと呼ばれる外3つ折り、あるいは4つ折りなどの折り処理を施す折り装置8と、穿孔処理や綴じ処理、あるいは折り処理等の後処理を施すフィニッシャー9を有している。
画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。画像形成装置1は、原稿の画像を読み取る画像読取装置3と、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを用いて画像を形成する画像出力装置4とを備えている。
画像出力装置4は、画像データに基づいて記録用紙5に画像(未定着画像)を形成する画像形成手段の一例としての電子写真方式による画像形成部6を備えている。この画像形成部6は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を給紙する給紙装置50とを備えている。また、画像出力装置2は、画像形成部6でトナー像が形成された記録用紙5を加熱して定着する定着装置40を有している。図中の4aは画像出力装置4の筐体を示し、この筐体4aは支持構成部材、外装カバー等で構成されている。
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これら4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、筐体4aの内部空間において等しい間隔を隔てて一列に並べた状態となるよう配置されている。
各作像装置10は、図2に示されるように、回転する像保持体の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16等である。
中間転写装置20は、図1及び図2に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内周から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜26と、ベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27とで構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール24は張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25,26は中間転写ベルト21の走行位置を保持する従動ロールとして構成されている。
二次転写装置30は、図2に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロール31を備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール31又は中間転写装置20の支持ロール23には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
定着装置40は、表面温度が所要の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるドラム形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転するドラム形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部になる。
給紙装置50は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の作像装置10(Y,M,C,K)の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、筐体4aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。なお、給紙装置50が供給する記録用紙5のサイズや種類等は、用紙収容体51に設けられた図示しない検知手段により検知されるか、又は画像形成装置1の図示しないユーザーインターフェイスによって指定され、後述する後処理装置2の制御装置931へ記録用紙5に関するサイズや種類等の情報が送られる。
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やコート紙等の厚紙、トレーシングペーパー等の薄紙などが挙げられる。
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数(又は単数)の用紙搬送ロール対54,55や図示しない搬送ガイド等で構成される給紙搬送路56が設けられている。用紙搬送ロール対55は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、画像出力装置4の筺体4aに形成される用紙の排出口には、定着装置40から送り出される定着後の記録用紙5を筐体4aの上方に設けられた用紙排出部57に用紙排出ロール対58により排出するための湾曲した第1の排出用搬送路59と、記録用紙5を後処理装置2へ用紙排出ロール対60,61により排出するための湾曲した湾曲部62aを有する第2の排出用搬送路62とが設けられている。
また、定着装置40と用紙排出ロール対60との間には、用紙搬送路を切り替える切替ゲート63を備えている。用紙排出ロール対60は、その回転方向が正転方向(排出方向)と逆転方向に切り替え可能となっている。記録用紙5の両面に画像を形成する場合には、片面に画像が形成された記録用紙5の後端が切替ゲート63を通過した後、用紙排出ロール対60の回転方向を正転方向(排出方向)から逆転方向に切り替える。用紙排出ロール対60によって逆転方向に搬送される記録用紙5は、切替ゲート63によって搬送経路が切り替えられ、略鉛直方向に沿うように配置された両面用搬送手段の一例としての両面用搬送装置64へと搬送される。両面用搬送装置64は、表裏を反転させた状態で記録用紙5を用紙搬送ロール対55へと搬送する用紙搬送ロール対65と、図示しない搬送ガイド等から構成される両面用搬送経路66を備えている。
尚、図2中、符号67は手差しトレイを示しており、手差しトレイ67から給紙される記録用紙5は、用紙搬送ロール対68を介して用紙搬送ロール対55へ搬送される。
また、図2中符号145(Y,M,C,K)は、紙面に直交する方向に沿って複数配列され、対応する現像装置14(Y,M,C,K)に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容した現像剤収容容器の一例としてのトナーカートリッジをそれぞれ示している。
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する動作について説明する。
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロールからそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は、次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対55が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
二次転写位置においては、二次転写装置30の二次転写ロール31が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール31から剥離された後に定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出ロール対58により、例えば、本体4aの上部に設置された第1の用紙排出部57に排出される。
また、記録用紙5の両面に画像を形成するときは、片面に画像が形成された記録用紙5を切替ゲート63により用紙搬送路を切り替えて用紙排出ロール対60によって用紙排出部62へ一旦搬送し、用紙排出ロール対60が記録用紙5の後端を保持している間に当該用紙排出ロール対60の回転方向を逆転方向に切り替える。用紙排出ロール対60により逆転方向に搬送される記録用紙5は、用紙搬送ロール対65を備えた両面用搬送装置64の両面用搬送経路66を介して表裏が反転された状態で用紙搬送ロール対55へと搬送される。用紙搬送ロール対55は、記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給し、記録用紙5の裏面に画像を形成し、用紙排出ロール対58によって本体4aの上方に設置された用紙排出部57に排出する。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
<後処理装置の構成>
図1は後処理装置を示す概略構成図である。
後処理装置2は、図1に示されるように、用紙供給装置7と、折り装置8と、フィニッシャー9とを備えている。
用紙供給装置7は、画像形成装置1から排出された記録用紙5を下流側に配置された折り装置8へ搬送する用紙搬送路71を備えている。また、折り装置8は、用紙供給装置7から排出された記録用紙5を下流側に配置されたフィニッシャー9へ搬送する用紙搬送路81を備えている。
フィニッシャー9は、図1に示されるように、装置本体900の左側面に記録用紙5を導入する導入口901が設けられているとともに、当該導入口901の内側には、記録用紙5を搬送するための搬送ローラ対902が配置されている。
搬送ローラ対902の下流側には、搬送ローラ対902によって搬送される記録用紙5に対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッド91が配置されている。液滴吐出ヘッド91としては、インクジェットプリンタに使用されるインクジェットプリントヘッドがそのまま用いられる。ただし、液滴吐出ヘッド91に供給される液体は、インクジェットプリンタに使用されるインクではなく、少なくとも水を含む液体である。液体の組成は、水のみから構成しても良いが、水以外に、浸透剤、乾燥防止剤、PH調整剤、防腐剤、防かび剤などを含むことが望ましい。
液滴吐出ヘッド91は、図1に示されるように、記録用紙5の搬送方向と交差する方向(図面に直交する方向)に図示しない駆動手段によって移動可能に設けられている。液滴吐出ヘッド91には、当該液滴吐出ヘッド91に搭載された又はフィニッシャー側に配置された図示しないタンクから少なくとも水を含む液体が供給される。なお、搬送ローラ対902の下流側であって且つ液滴吐出ヘッド91より上流側には、記録用紙5の先端を検知する用紙センサ92が設けられている。
液滴吐出ヘッド91の下流側は、用紙搬送路が上方と下方の2つに分岐している。用紙搬送路のうち、上方に分岐した用紙搬送路904は、更に記録用紙5をそのまま装置本体900の上部に設けられた排出トレイ905上に排出するための用紙搬送ロール対906を有する用紙搬送路907と、記録用紙5の端部を綴じる綴じ処理を施した後、オフセットキャッチトレイ908上に排出するための用紙搬送ロール対909を有する用紙搬送路910とに分岐している。用紙搬送路910へと搬送された記録用紙5は、パドル911やタンパー912等によって紙揃え用トレイ913上に整列された後、エッジを綴じるステープラー914により綴じ処理が施されて、紙揃え用トレイ913から離間する方向に移動可能に配置された排出ロール915によりオフセットキャッチトレイ908上に排出される。なお、オフセットキャッチトレイ908は、排出するシート束の数が増えるにつれて自動的に下方に移動するように構成されている。
一方、下方に分岐した用紙搬送路916の下方には、図1に示されるように、複数枚の記録用紙5からなる1セットのシートを中綴じ製本するため、複数枚の記録用紙5を縦型に紙揃えする紙揃え用のトレイ917が、鉛直方向に対して斜めに若干傾斜した状態で配設されている。また、用紙搬送路916にも、記録用紙5を搬送するための搬送ロール対918が適宜配設されている。さらに、用紙搬送路916の下端部には、記録用紙5を整列した状態で搬送するためのパドル付きの搬送ローラ対919が設けられている。なお、下方に分岐した用紙搬送路916は、上方に分岐した用紙搬送路904とバイパス用の通路904aを介して直接接続されている。さらに、縦型の紙揃え用トレイ917の下端部には、記録用紙5の先端部(下端部)を所定の位置に位置決めするエンドガイド920が、上下方向に沿って移動可能に配置されているとともに、記録用紙5の下端部を整列させるためのパドル921が設けられている。また、紙揃え用のトレイ917の上端部には、紙揃え用のトレイ917上に整列される記録用紙5の搬送方向と交差する幅方向の端部を揃えるタンパー922が両側に設けられている。
紙揃え用のトレイ917には、紙揃え用トレイ917上に整列された複数枚の記録用紙5に対して、中綴じを行う中綴じ用のサドルステープラ923が配置されている。また、サドルステープラ923の上部には、中綴じされた複数枚の記録用紙5に対して、中折り処理を行う折りナイフ924と中折り用の複数組の折りロール対925からなる折り手段の一例としての中折り装置926が配設されている。折りナイフ924は、駆動手段927により紙揃え用トレイ917に対して交差する方向に沿って出没可能に駆動される。そして、中折り装置926により中折り処理が施された複数枚の記録用紙5は、排出ローラ対928によって排出用搬送路929を介してシートスタック装置930上に順次排出される。
フィニッシャー9は、画像形成装置1の図示しない主制御装置と接続された変更手段としての機能を備えた制御装置931を備えている。制御装置931には、画像形成装置1の主制御装置からフィニッシャー9において後処理が施される記録用紙5に関する用紙情報が入力される。記録用紙5に関する用紙情報としては、記録用紙5のサイズや種類(材質)、記録用紙5に対して実行される後処理の内容、さらには中折り装置926により折り処理が施される複数枚の記録用紙5からなる1組の用紙束のうち、何枚目の用紙であるかの位置情報などを含んでいる。
<後処理装置の動作>
次に、この実施の形態1に係る後処理装置2の動作について説明する。
後処理装置2は、図1に示されるように、画像出力装置4により画像が形成された記録用紙5を複数枚重ねて中央部を綴じた後に折るか、又は折りのみの中折り処理などの後処理を行う場合、画像出力装置4から第2の排出用搬送路62を介して排出された記録用紙5を、用紙供給装置7及び折り装置8の内部を通してフィニッシャー9の内部へと搬送する。
フィニッシャー9は、図3(a)に示されるように、導入口901から搬送ローラ対902により搬送される記録用紙5の先端を、搬送ローラ対902の下流側に配置された用紙センサ92により検知し、用紙センサ92が記録用紙5を検知してから予め定められた時間が経過した後に記録用紙5を所要の停止位置で停止させる。
制御装置931は、図3(b)に示されるように、記録用紙5を所要の停止位置で停止させると、液滴吐出ヘッド91を図示しない駆動手段により記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った幅方向に沿って移動させて、図4(a)に示されるように、液滴吐出ヘッド91から記録用紙5に向けて液滴Dを吐出させて記録用紙5の1ライン分を加湿する。
次に、制御装置931は、記録用紙5の1ライン分の加湿を行った後、図3(c)に示されるように、搬送ローラ対902により記録用紙5を1ライン分だけ移動させ、液滴吐出ヘッド91によって次の1ライン分を加湿する。
その際、液滴吐出ヘッド91は、図4(c)に示されるように、液滴Dを記録用紙5の表面に対して吐出し、紙の繊維からなる普通紙等の記録用紙5を所要の加湿領域93にわたり加湿する。液滴吐出ヘッド91が吐出する液滴Dは、例えば、1pl(ピコリットル)に設定される。この場合、液滴吐出ヘッド91に付着した液滴D(ドット)の直径は、例えば、12.4μm程度、液滴Dの間隔は、2.64μm程度となる。なお、液滴吐出ヘッド91が突出する液滴Dは、画像を形成するものではなく、記録用紙5を加湿するものであるため、液滴吐出ヘッド91が突出する液滴Dの直径や間隔に高い精度は要求されない。
ただし、この実施の形態では、液滴吐出ヘッド91のインクジェット方式のプリントヘッドを使用しているため、液滴吐出ヘッド91が突出する液滴Dの直径や間隔を高い精度で制御することが可能である。
このようにして、記録用紙5は、所要のライン数分に対応した加湿領域93が用紙の長手方向及び幅方向に沿って加湿される。加湿された記録用紙5は、図1に示されるように、用紙搬送路916を介して紙揃え用トレイ917へと搬送される。
その後、2枚目以降の記録用紙5が液滴吐出ヘッド91によって加湿され、所要枚数(N枚)の記録用紙5が用紙搬送路916を介して紙揃え用トレイ917へと順次搬送される。
なお、図5に示されるように、液滴吐出ヘッド91として、記録用紙5の全幅にわたり配置されたライン型の液滴吐出ヘッドを用いて良い。
この場合、ライン型の液滴吐出ヘッド91は、図5に示されるように、記録用紙5の1ラインにわたり一度に液滴を突出して加湿することができる。そのため、ライン型の液滴吐出ヘッド91を用いた場合には、記録用紙5を停止させずに搬送しながら液滴を突出して加湿することができる。よって、この場合には、後処理に要する時間が短縮される。
ところで、液滴吐出ヘッド91によって記録用紙5の幅方向に沿った加湿される加湿領域93は、例えば、次のように制御装置931によって制御される。
制御装置931は、画像形成装置1から送られてくる記録用紙5に関する情報に基づいて、フィニッシャー9に送られてくる記録用紙5が、折り処理を行うN枚からなる複数の記録用紙5のうち何枚目の記録用紙5であるか、記録用紙5の搬送方向及び幅方向のサイズ(長さ)、記録用紙5が普通紙か厚紙、あるいは薄紙か等の材質などを判別する。
制御装置931は、図6に示されるように、画像形成装置1から記録用紙5のサイズ情報94を取得すると、当該記録用紙5のサイズ情報94に基づいて液滴吐出ヘッド91を記録用紙5の幅方向に沿った端部から予め定められた距離Y(mm)だけ内側に設定された待機位置で待機させる。その後、液滴吐出ヘッド91は、予め定められたタイミングで図示しない駆動手段によって駆動され、記録用紙5の幅方向に沿って移動し、記録用紙5に液滴を塗布して加湿する。
また、液滴吐出ヘッド91は、図6に示されるように、記録用紙5の幅方向に沿った中央部に設定された待機位置で待機するように構成しても良い。その後、液滴吐出ヘッド91は、一方の端部に移動した後、他方の端部へ向けて移動し、再度一方の端部に移動するように往復移動することで、記録用紙5を加湿するように構成しても良い。
制御装置931は、図7に示されるように、記録用紙5が折り処理を行うN枚(図示例では、N=5)からなる複数の記録用紙5のうち何枚目の用紙であるかを示す情報に基づいて、記録用紙5の中心線に対して用紙の長さ方向に沿って加湿を行う加湿領域の長さを切り替えるよう制御する。このとき、制御装置931は、例えば、記録用紙5が1枚目から2枚目、3枚目等になるにしたがって、加湿範囲が次第に広くなるように、且つ加湿量が次第に少なくなるように設定される。制御装置931は、記録用紙5が折り装置926に到達してから、折り装置926によって折り処理が施されるまでの時間に応じて、液滴吐出ヘッド91による液滴の吐出量、つまり加湿量を次第に少なくなるように制御する。
フィニッシャー9に搬送されてきた記録用紙5がN枚からなる1組の記録用紙5のうち、1枚目の記録用紙5の場合には、図8(a)に示されるように、例えば、記録用紙5の長さ方向に沿った中心位置を基準にして、最も短い長さZmmにわたり液滴吐出ヘッド91によって加湿される。また、液滴吐出ヘッド91による加湿幅Wは、記録用紙5の幅よりも狭い一定の値に設定されている。尚、液滴吐出ヘッド91による加湿幅Wは、記録用紙5の全幅と等しい値に設定しても勿論よい。
同様に、2枚目以降の記録用紙5の場合には、1枚目の記録用紙5の加湿領域93の外側に、1枚目の記録用紙5と同じ長さZ及び幅Wにわたる加湿領域932だけ加湿される。
また、制御装置931は、図8(b)に示されるように、記録用紙5が折り処理を行うN枚(図示例では、N=5)からなる複数の記録用紙5のうち何枚目の用紙であるかを示す情報に基づいて、記録用紙5の枚数に応じて加湿領域93を変化させるように制御しても良い。
制御装置931は、複数の記録用紙5のうち何枚目の用紙であるかを示す情報に基づいて、記録用紙5が何枚目かに応じて加湿領域93を次のように変更するように構成することができる。
いま、図9に示されるように、折り装置926の折りナイフ924の厚さをt1mm(例えば、0.5mm)、記録用紙5の厚さをt2mm(例えば、0.1mm)とし、記録用紙5の折曲部5aの断面形状を円弧で近似した場合には、1枚目の記録用紙5の長手方向に沿った加湿領域931の長さは、例えば、(0.5/2)*π=0.25π=0.785mm≒0.8mmに設定される。
また、2枚目以降の記録用紙5の場合には、図9に示されるように、加湿領域93の長さが順次長くなるように設定される。同様に、2枚目の記録用紙5の長手方向に沿った加湿領域93の長さは、(0.25+0.1)*π=0.35π=1.099mm≒1.0mmに設定される。さらに、3枚目の記録用紙5の長手方向に沿った加湿領域93の長さは、(0.25+0.1+0.1)*π=0.45π=1.413mm≒1.4mmに設定される。
上記の如く液滴吐出ヘッド91により加湿された記録用紙5は、図1に示されるように、用紙搬送路904を介して紙揃え用トレイ917へと搬送されて整列した状態とされる。このとき、1枚目の記録用紙5は、紙揃え用トレイ917側に位置し、最終(N枚目)の記録用紙5は、最上部である表面側に位置している。
次に、折り装置926は、図10に示されるように、駆動装置927によって折りナイフ924を複数枚の記録用紙5からなる記録用紙5の束の中央部を押圧するように突出させ、複数枚の記録用紙5を一度に折り曲げるとともに、記録用紙5の折曲部を一対の折りロール925によって挟持した状態で搬送することにより、複数枚の記録用紙5の中央部を2つに折る折り処理が施される。一対の折りロール925は、所要の圧力で互いに圧接されている。
このとき、複数枚の記録用紙5は、中折り装置926による折り処理に先立ってサドルステープラ923により中央部が複数個所にわたり綴じられている。
その際、複数枚の記録用紙5は、液滴吐出ヘッド91により加湿されて剛性が低下しており、折り処理が容易かつ精度良く行われる。また、外周側に位置する記録用紙5ほど加湿領域93が広くなるように設定されているため、外側に位置する記録用紙5をも容易かつ精度良く折ることができる。