JP6520170B2 - 液体供給装置、及び液体供給方法 - Google Patents

液体供給装置、及び液体供給方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録装置などの液体供給装置、及びその液体供給方法に関する。
例えばインクジェット記録装置において、液体吐出ヘッドに付属させた第1タンク(またはサブタンク)内の液体に気体が混入すると、液体の吐出不良(または印字不良)などの不具合が引き起こされることがある。
このため、上記第1タンク内の液体に混入した気体を、液体とともにポンプにより吸引し、第2タンク(例えばインクカートリッジ)まで回収することで、上記第1タンク内の気体を除去するようにしたインクジェット記録装置が知られている(特許文献1参照)。このインクジェット記録装置においては、第1タンクと第2タンクとの間に循環流路を設け、その流路中にポンプを設け、そのポンプの吸引力により第1タンク内の気体を第2タンクに送っている。
特開2005−193623号公報
ところが、上記の気体除去方法を例えばカラー印刷可能なインクジェット記録装置に適用すると、上記第1タンク内に設けられる複数の液体貯留室に対応して、複数のポンプを各流路中に設ける必要が生じる。その結果、記録装置のポンプ数が増大して機構が複雑化し、記録装置の小型化及び低コスト化が困難になることも考えられる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、特にポンプを要することなく、液体吐出ヘッドに付属する第1タンクに、それよりも容積が大きい第2タンクから液体を送ることができる液体供給装置、及び液体供給方法を提供することにある。本発明の他の一つの目的は、第1タンクと第2タンクとの間の流路中に特にポンプを設けることなく、液体吐出ヘッドに付属する第1タンク内の気体を除去することができる液体供給装置、及び液体供給方法を提供することにある。
(1) 本発明の一実施形態に係る液体供給装置は、第1方向及び当該第1方向と逆向きの第2方向に移動可能なキャリッジと、上記キャリッジに搭載され、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、上記キャリッジに搭載され、上記液体吐出ヘッドに供給するための液体を貯留する第1貯留室を有する第1タンクと、上記第1貯留室より容積の大きい第2貯留室を有する第2タンクと、上記第1タンクと上記第2タンクとに接続されており、上記第1貯留室と上記第2貯留室とを連通する可撓性を有する第1チューブと、上記第1タンクと上記第2タンクとに接続されており、上記第1貯留室と上記第2貯留室とを連通する可撓性を有する第2チューブと、上記キャリッジをガイドに沿って上記第1方向及び上記第2方向に駆動する駆動部と、上記第1チューブに設けられ、上記第2貯留室から上記第1貯留室へ向かう流体の流れを許容し、かつ上記第1貯留室から上記第2貯留室へ向かう流体の流れを制限する第1逆止弁と、を備える。
上記構成においては、キャリッジの上記第1方向または上記第2方向の移動の際に、その加減速により、第1タンクに接続された第1チューブ及び第2チューブ内の液体(チューブ内に液体が存在しないときは気体)に慣性力が働く。第2チューブにおいては、その慣性力により、上記第2貯留室から上記第1貯留室へ向かう方向と、第1貯留室から第2貯留室へ向かう方向の両方への液体もしくは気体の流れが起こり得る。しかし、第1チューブにおいては、上記第1逆止弁の動作により、第2貯留室から第1貯留室へ向かう液体もしくは気体の流れだけが許容され、第1貯留室から第2貯留室へ向かう液体もしくは気体の流れは制限される。このとき、第1貯留室が第1チューブ及び第2チューブ以外で外部と連通していなければ、第2チューブから第1貯留室に進入した液体もしくは気体は、再び第1貯留室から第2チューブへ出ていくことになり、総体的に言えば、第2チューブにおいて、第2貯留室から第1貯留室へ向かう液体もしくは気体の流れも制限されることになる。
以上の結果、総体的に言えば、第1チューブを通して第2タンクから第1ダンクに液体を送り、第2チューブを通して第1タンクから第2タンクに液体を戻すような循環動作が行われる。したがって、特にポンプを要することなく、第2タンクから第1タンクに液体を送ることができる。なお、循環される液体の一部は吐出ヘッドから外部に吐出することもできる。また、上記循環動作により、第1貯留室内の気体を例えば液体とともに第2貯留室に送ることができる。その結果、第1タンクと第2タンクとの間の流路中(例えば第2チューブの途中)に特にポンプを設けることなく、第1タンク内の気体を除去することもできる。
(2) 好ましくは、該液体供給装置においては、上記第2チューブは、上記第1貯留室の上部において開口する。
上記構成によれば、第1貯留室内で上方に溜まる気体(例えば空気)を、第2チューブを通して第2貯留室に送ることが容易になる。したがって、第1タンク内の気体を効果的に除去することができる。
(3) 好ましくは、該液体供給装置においては、上記第1逆止弁は、静止状態の流体に対して開弁し、かつ上記第1貯留室から上記第2貯留室に向かって流体が流れるときにだけ流体の流れを制限するものである。
ところで、液体供給装置においては、イニシャルパージが行われることがある。イニシャルパージとは、液体供給装置の使用初期状態で第1貯留室内、第1チューブ内、及び第2チューブ内に気体しか存在しないときに、第1貯留室内の気体を外部に吸引排出する圧力により、第2タンクから第1タンクに液体を送る処理である。上記構成によれば、第1逆止弁が静止状態の流体に対して開弁し、かつ上記第1貯留室から上記第2貯留室に向かって流体が流れるときにだけ流体の流れを制限するタイプ(以下、常開型という)であるので、次に示す第2逆止弁が第2チューブに設けられていない場合にも、イニシャルパージにより第1チューブ内の気体を第1貯留室に移動させることが容易になる。これにより、イニシャルパージにより第1チューブを液体で満たすことが容易になる。
例えば第1逆止弁が第1貯留室から第2貯留室へ向かう液体の流れを常に阻止する常閉型であれば、弁体がスプリングなどにより閉弁方向に付勢される。このために、次に示す第2逆止弁が第2チューブに設けられていない場合には、液体供給装置の使用初期状態においてイニシャルパージを行っても、主に第2チューブを通して第2タンクから第1タンクへ液体が移動してしまい、第1チューブを液体で満たすことが困難となってしまう。なお、イニシャルパージは、長期間使用されていなかった液体供給装置の起動直後などで第1貯留室内や第1チューブ内に比較的に多量の気体が存在するときに行ってもよい。以上の通り、第1逆止弁が常開型であれば、次に示す第2逆止弁がなく、第1逆止弁だけを設けた構成であっても、液体供給装置の使用初期状態や起動直後などに第1チューブを通して迅速に第2貯留室から第1貯留室に液体を送ることができる。したがって、液体供給装置の部品点数を削減し、構成を簡素化することができる。
さらに、第1逆止弁が常開型であれば、特にポンプを要することなく、液体供給装置の使用初期状態や起動直後などにキャリッジの第1方向及び第2方向の移動により第2貯留室から第1貯留室へ液体を送ることができる。例えば第1逆止弁が常閉型であれば、第1チューブ内にほとんど気体しか存在しない状態においては、第1チューブ内の気体に働く上記慣性力だけでは第1逆止弁が容易に開弁せず、液体の先導となる気体を第1貯留室に容易に移動させることができないことも考えられる。これに対して、第1逆止弁が常開型であれば、キャリッジの第1方向及び第2方向の移動により、第1チューブ内の気体を液体の先導として上記慣性力により第1貯留室に比較的容易に移動させることができる。したがって、第1逆止弁が常開型であれば、特にポンプを要することなく、液体供給装置の使用初期状態や起動直後などに第2貯留室から第1貯留室に液体を送ることができる。
(4) 好ましくは、該液体供給装置においては、上記第2チューブに設けられ、上記第1貯留室から上記第2貯留室へ向かう流体の流れを許容し、かつ上記第2貯留室から上記第1貯留室へ向かう流体の流れを制限する第2逆止弁を更に備える。
上記構成によれば、第2逆止弁により、第2貯留室から第1貯留室へ向かう液体(チューブ内に液体がないときは気体)の流れが制限されるので、効率よく上記循環動作を行うことができる。また、第2チューブが第2貯留室の上部において開口する構成において、イニシャルパージを行うときに、第2貯留室内で上部に溜まった気体が第2チューブを通して第1タンクに送られるのを防止することができる。したがって、イニシャルパージを効率よく行うこともできる。
(5) 好ましくは、該液体供給装置においては、上記第2チューブは、上記第2貯留室の上部において開口する。
上記構成によれば、第2チューブを通して第1貯留室から第2貯留室に送られた気体が、再び第1チューブを通して第2貯留室から第1貯留室に送られるのを防止することができる。第1チューブは、第2貯留室から第1貯留室に液体を送るチューブであるために、第2貯留室の下部、ないしは底面において開口させることが好ましい。したがって、第2チューブを、第2貯留室の上部において開口させることで、特に区画壁などを設けることなく、上記の効果を達成することができる。
(6) 好ましくは、該液体供給装置においては、上記第2チューブは、上記第2貯留室の下部において開口し、上記第2貯留室に、上記第2チューブの開口と上記第1チューブの開口との間であって上記第2貯留室に貯留された液体内を気体が移動することを阻止する区画壁が設けられている。
上記構成によれば、第2チューブが第2貯留室の下部において開口することで、第2チューブを通して第2貯留室内の気体が第1貯留室に送られるのを防止することができる。したがって、第2チューブが第2逆止弁を有していない場合にも、イニシャルパージを容易に行うことができる。また、第2貯留室に区画壁が設けられることで、第2チューブを通して第1貯留室から第2貯留室に送られた気体が第1チューブの開口に向かって液体内を移動し、再び、第1チューブを通して第1貯留室に送られるのを防止することができる。
(7) 好ましくは、該液体供給装置においては、上記第1チューブは、上記第1貯留室の下部において開口する。
上記構成によれば、第2チューブが上記第1貯留室の上部において開口するときに、第1チューブの開口と第2チューブの開口との間に十分な距離を置くことが容易になる。その結果、第1チューブを通して第2タンクから第1タンクに送られる液体が直接的に第2チューブの開口に到達し、第2チューブを通して第1タンクに送られるのを防止することができる。したがって、第1貯留室内の気体を効果的に除去することができる。
(8) 好ましくは、該液体供給装置は、上記第1貯留室の上部において開口するガス排出路と、上記ガス排出路を開閉する弁と、を更に備える。
上記構成によれば、上記弁により上記ガス排出路を開放することで、イニシャルパージを容易に行うことができる。
(9) 好ましくは、該液体供給装置においては、上記第1貯留室を区画する壁の少なくとも一部は可撓性の膜であり、当該膜が撓むことにより上記第1貯留室の容積が変化する。
上記構成によれば、キャリッジの移動などに伴う第1貯留室内の圧力の変動により液体吐出ヘッドの液体吐出圧力が変動し、液体の吐出量が変動するのを抑制することができる。したがって、液体供給装置がインクジェット記録装置である場合には、上記圧力の変動によりインクの吐出量が変動し、印字品質が低下するのを抑制することができる。
(10) 本発明の一実施形態に係る液体供給方法は、第1方向及び当該第1方向と逆向きの第2方向に移動可能なキャリッジと、上記キャリッジに搭載され、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、上記キャリッジに搭載され、上記液体吐出ヘッドに供給するための液体を貯留する第1貯留室を有する第1タンクと、上記第1貯留室より容積の大きい第2貯留室を有する第2タンクと、上記第1タンクと上記第2タンクとに接続されており、上記第1貯留室と上記第2貯留室とを連通する可撓性を有する第1チューブと、上記第1タンクと上記第2タンクとに接続されており、上記第1貯留室と上記第2貯留室とを連通する可撓性を有する第2チューブと、上記キャリッジをガイドに沿って上記第1方向及び上記第2方向に駆動する駆動部と、上記第1チューブに設けられ、上記第2貯留室から上記第1貯留室へ向かう流体の流れを許容し、かつ上記第1貯留室から上記第2貯留室へ向かう流体の流れを制限する第1逆止弁と、を備える液体供給装置において、上記第2貯留室から上記第1貯留室へ液体を供給する方法であって、上記キャリッジを上記第1方向へ移動させる第1ステップと、上記キャリッジを上記第2方向へ移動させる第2ステップと、を含み、上記第1ステップ及び上記第2ステップを交互に複数回繰り返す。
(11) 該液体供給方法においては、上記第1ステップ及び上記第2ステップにおいて、上記キャリッジを移動させる間に上記液体吐出ヘッドから液体を吐出させないようにすることができる。
(12) 該液体供給方法においては、上記第1ステップ及び上記第2ステップにおいて、上記第1方向と交差しており、上記液体吐出ヘッドから液体が吐出されるシートが通過する搬送路を外れた位置まで上記キャリッジを移動させることができる。
(13) 該液体供給方法は、上記第1ステップ及び上記第2ステップにおいて、上記キャリッジを移動させる間に上記液体吐出ヘッドから液体を吐出させずに、かつ上記第1方向と交差しており、上記液体吐出ヘッドから液体が吐出されるシートが通過する搬送路を外れた位置まで上記キャリッジを移動させるようにして、上記第1ステップ及び上記第2ステップのセットを少なくとも3回連続して実行する。
上記構成によれば、第1チューブ内の流体に働く上記慣性力により第2貯留室から第1貯留室に十分な量の液体を送ることができる。
(14) 該液体供給方法においては、上記液体供給装置は、上記第1貯留室の上部において開口するガス排出路と、上記ガス排出路を開閉する弁と、を更に備え、該液体供給方法は、上記第2貯留室から上記第1貯留室へ最初に液体を供給するときに、上記第1ステップ及び上記第2ステップを行う前に、上記弁を開放した状態で上記ガス排出路を通して上記第1貯留室内から気体を吸引して排出する第3ステップをさらに実行する。
上記構成によれば、第1チューブ内の気体に働く上記慣性力だけでは第2貯留室から第1貯留室に迅速に液体を送れないときに、イニシャルパージを行うことにより、第2貯留室から第1貯留室に迅速に液体を送ることができ、液体吐出ヘッドによる液体吐出動作の準備に要する時間を短縮することができる。
本発明によれば、特にポンプを要することなく、液体吐出ヘッドに付属する第1タンクに第2タンクから液体を送ることができる。また、第1タンクと第2タンクとの間の流路中に特にポンプを設けることなく、液体吐出ヘッドに付属する第1タンク内の気体を除去することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る複合機10の外観構成を示す斜視図である。 図2は、複合機10の内部構成を示す縦断面図である。 図3は、キャリッジ23、及びインクチューブ43の配置を示す概略平面図である。 図4は、複合機10の制御部としての演算装置130の概略構成を示すブロック図である。 図5は、複合機10による液体供給処理の動作原理を示すグラフであって、(a)は、処理中のキャリッジ23の位置と速度との関係を示し、(b)は、処理中のキャリッジ23の位置とインクチューブ43内の流体に働く慣性力との関係を示す。 図6は、複合機10による液体供給処理の動作原理を概念的に示すバッファタンク30やインクタンク100等の断面図であって、(a)は、キャリッジの加速時であり、(b)は、キャリッジの等速運動時であり、(c)は、キャリッジの減速時であり、(d)は、キャリッジが停止した直後である。 図7は、複合機10によるイニシャルパージ処理を概念的に示すバッファタンク30やインクタンク100等の断面図であって、(a)は、イニシャルパージの開始時であり、(b)は、イニシャルパージの終了時である。 図8は、液体供給方法を示すフローチャートである。 図9は、循環処理を示すフローチャートである。 図10は、変形例におけるバッファタンク30やインクタンク100等の断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態であって、「使用状態」と表記することがある。)若しくは姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上方向7A及び下方向7Bが定義され、複合機10の開口13が設けられている側を手前(前面)として前方向8A及び後方向8Bが定義され、複合機10を手前(前面)から見て左方向9A及び右方向9Bが定義される。
[複合機10の全体構成]
複合機10は、図1に示されるように、概ね直方体に形成されている。複合機10は、下部にインクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を有している。プリンタ部11は、図2に示されるように、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、インクタンク100(第2タンクの一例)とを備えている。また、複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、液体供給装置の一例である。
[給送トレイ20、排出トレイ21]
給送トレイ20は、図1に示されるように、複合機10の前面で且つ複合機10の左方向9A及び右方向9Bにおける中央部に形成された開口13を通じて前方向8A及び後方向8Bにユーザによって複合機10に対して挿抜される。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20と共に挿抜される。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって記録部24とプラテン42との間から排出された用紙12を支持する。
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送路65へ給送する。給送部15は、図2に示されるように、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で回転可能に支持されている。給送ローラ25は、搬送モータ(不図示)の回転逆転によって、用紙12を搬送方向16に搬送する向きに回転する。以下、給送ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62が、用紙12を搬送方向16に搬送する向きに回転することを、「正回転」と表記する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20の方へ回動するように付勢されている。
[搬送路65]
搬送路65は、図2に示されるように、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送路65は、給送トレイ20の後端部からプリンタ部11の後方向8Bに延びる経路である。また、搬送路65は、プリンタ部11の後部において下部から上部に延びつつUターンし、前方向8Aに沿って記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送路65は、左方向9A及び右方向9Bにおける複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前方向8Aに延びている。このように、搬送路65は、第1方向(例えば左方向9A)と交差している。なお、搬送路65内における用紙12の搬送方向16は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。また、搬送路65の左方向9A及び右方向9Bに沿った幅は、図3に示されるように、用紙12の左方向9A及び右方向9Bに沿った幅となる。
[搬送ローラ部54]
搬送ローラ部54は、図2に示されるように、記録部24より搬送方向16の上流に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60は、搬送モータによって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて搬送方向16に搬送される。
[排出ローラ部55]
排出ローラ部55は、図2に示されるように、記録部24より搬送方向16の下流に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62は、搬送モータによって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて搬送方向16に搬送される。
[記録部24]
記録部24は、図2に示されるように、搬送方向16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。また、記録部24は、搬送路65を挟んでプラテン42と上方向7A及び下方向7Bに沿って対向配置されている。すなわち、記録部24は、搬送路65より上方で、且つ搬送路65に対面するように配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39(液体吐出ヘッドの一例)とを備えている。記録ヘッド39には、第1貯留室31を有するバッファタンク30(第1タンクの一例)が付属している。
キャリッジ23は、図3に示されるように、前方向8A及び後方向8Bに離間する位置において各々が左方向9A及び右方向9Bに沿って延設されたガイドレール45、46(ガイドの一例)に支持されている。ガイドレール45、46は、プリンタ部11のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール45よりも前方にあるガイドレール46に設けられた公知のベルト機構に連結されている。
上記ベルト機構は、キャリッジモータ22(図4参照)によって駆動される。キャリッジモータ22は、演算装置130によって制御される。また、キャリッジモータ22には演算装置130の制御により電源28から電力が供給される。ベルト機構に連結されたキャリッジ23は、キャリッジモータ22の駆動によって左方向9A(第1方向の一例)及び右方向9B(第2方向の一例)に所定の移動範囲で往復移動する。以下、ガイドレール45、46を、後方のガイドレール45,前方のガイドレール46と称して区別することがある。上記の例では、キャリッジモータ22及びベルト機構が駆動部の少なくとも一部分を構成している。
[記録ヘッド39]
記録ヘッド39は、図2に示されるように、キャリッジ23に搭載されている。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が形成されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39及び記録ヘッド39を搭載するキャリッジ23の下面から露出されている。以下、ノズル40の先端が露出された面を「ノズル面」と表記することがある。記録ヘッド39は、ピエゾ素子などのアクチューエータ41(図6(a)等参照)の動作によりノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。
[バッファタンク30]
バッファタンク30は、記録ヘッド39の上方でキャリッジ23に搭載されている。図6(a)などに示すように、バッファタンク30内には、第1貯留室31が形成されている。より詳細には、本実施の形態においては、バッファタンク30内には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクを貯留する4つの第1貯留室31が形成されている。第1貯留室31の上部にはガス排出路37が開口している。なお、第1貯留室31の上部とは、上方向7A及び下方向7Bに沿った第1貯留室31の最大寸法の中心よりも上方に位置する第1貯留室31の部分である。また、第1貯留室31の下部とは、上方向7A及び下方向7Bに沿った第1貯留室31の最大寸法の中心よりも下方に位置する第1貯留室31の部分である。
ガス排出路37には、演算装置130により制御される電磁弁である開閉弁38が設けられている。開閉弁38はイニシャルパージのときにだけガス排出路37を開放し、それ以外のときにはガス排出路37を塞いでいる。ここで、イニシャルパージとは、複合機10の使用初期状態で第1貯留室31内、第1チューブ43a内、及び第2チューブ43b内に気体しか存在しないときに、第1貯留室31内の気体をポンプなどによりガス排出路37を通じて外部に吸引排出する圧力により、インクタンク100からバッファタンク30に液体(インク)を送る処理である。なお、イニシャルパージは、長期間使用されていなかった複合機10の起動直後などで第1貯留室31内や第1チューブ43a内に比較的に多量の気体が存在するときに行ってもよい。その場合には、ガス排出路37を通じて第1貯留室内から気体に加え、インクも吸引排出されてもよい。
バッファタンク30において、第1貯留室31を区画する壁の少なくとも一部は可撓性の膜30aから形成されている。当該膜30aが撓むことにより第1貯留室31の容積が変化する。その結果、第1貯留室31内の圧力変動が一定程度抑えられる。
[インクチューブ43]
また、キャリッジ23からは、インクタンク100及びバッファタンク30を接続するインクチューブ43が延出されている。インクチューブ43は、インクタンク100に貯留されたインク(液体の一例)をバッファタンク30を介して記録ヘッド39に供給する。より詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通するインクチューブ43B、43M、43C、43Y(これらを総称して、「インクチューブ43」と表記することがある。)がインクタンク100から延出され、これらが垂直方向に並ぶように束ねられた状態で引き回された後、バッファタンク30に接続されている。
さらに詳細には、インクチューブ43B、43M、43C、43Yのそれぞれは、第1チューブ43a(図6(a)参照)と、第2チューブ43bとから構成されている。つまり、インクチューブ43B、43M、43C、43Yは実際には8本のチューブから構成されている。第1チューブ43a及び第2チューブ43bは、それぞれ、第1貯留室31とインクタンク100内の第2貯留室101とを連通する可撓性を有するチューブである。より詳細には、インクチューブ43B、43M、43C、43Yの第1チューブ43a及び第2チューブ43bは、それぞれ、対応する色のインクを貯留する第1貯留室31と、対応する色のインクを貯留するインクタンク100B、100M、100C、100Yの第2貯留室101とを連通させる。基本的には、第1チューブ43aは、第2貯留室101から第1貯留室31へ流体(主にインク34)を送るためのチューブであり、第2チューブ43bは第1貯留室31から第2貯留室101へ流体(インク34または空気)を送るためのチューブである。これにより、第2貯留室101内のインク34は、第1チューブ43aを通して第1貯留室31へ送られ、第2チューブ43bを通して第1貯留室31から第2貯留室101に戻されるように循環される。
しかし、イニシャルパージのときには、後述する第2逆止弁33が無い場合、第1チューブ43aだけではなく、第2チューブ43bによっても第2貯留室101から第1貯留室31へ流体(インク34)を送ることができる(図7(a)参照)。また、循環されるインク34の一部は、ノズル40から用紙12に向けて吐出することができる。さらに、第2チューブ43bは、第1貯留室31内のインク34に気体(例えば空気)が混入したときに、その気体を例えばインク34とともに第2貯留室101に送って第1貯留室31内から気体を除去する気体回収通路としての機能も有している。
図6(a)等に示すように、第2チューブ43bは、第1貯留室31の上部において開口していることが好ましい。第1貯留室31内のインク34に気体が混入している場合には、気体は第1貯留室31の上部に溜まる。第2チューブ43bが第1貯留室31の上部において開口することで、第2チューブ43bを通して第1貯留室31内の気体を第2貯留室101に容易に回収することができる。
[演算装置130]
図4に示すように、演算装置130は、例えばCPU、ROM、RAMなどからなるものであり、キャリッジモータ22の外、アクチューエータ41、開閉弁38及びイニシャルパージ用のポンプなどを制御する。演算装置130は、複合機10の制御部として装置筐体の内部に制御基板として配置されてもよいし、複合機10の制御部とは独立した別個の制御基板として設けられてもよい。
[プラテン42]
プラテン42は、図2に示されるように、搬送方向16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、上方向7A及び下方向7Bにおいて記録部24に対向するようにして配置されており、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下方から支持する。
[インクタンク100]
インクタンク100(第2タンクの一例)は、図1に示されるように、複合機10の内部に収容されている。インクタンク100は、第1貯留室31より容積の大きい第2貯留室101を有し、複合機10から容易に取り外すことができないように、複合機10に固定されている。インクタンク100の前面は、複合機10の前面で且つ右方向9Bの端部に形成された開口を通じて、複合機10の外部に露出される。
インクタンク100は、図1に示すように、プリンタ部11の前部であって複合機10の筐体内の右端部近傍に設けられたインクタンク収容部(不図示)に収容されている。インクタンク100は、複合機10内において、記録ヘッド39を搭載するキャリッジ23とは別途に設けられており、キャリッジ23に搭載されたバッファタンク30及び記録ヘッド39へはインクチューブ43を通じてインクが供給されるようになっている。このようにキャリッジ23とインクタンク100とを別途に配置することにより、キャリッジ23が小型化される。
ここで、第1チューブ43aには、第2貯留室101から第1貯留室31へ向かう流体の流れを許容し、かつ第1貯留室31から第2貯留室101へ向かう流体の流れを制限する第1逆止弁32(図6(a)参照)が設けられる。また、第2チューブ43bには、第1貯留室31から第2貯留室101へ向かう流体の流れを許容し、かつ第2貯留室101から第1貯留室31へ向かう流体の流れを制限する第2逆止弁33を設けることができる。しかし、第2逆止弁33を設けることは必須ではない。
インクタンク100は、シアン(C)・マゼンダ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクを貯蔵する4個のインクタンク100C,100M,100Y,100Bからなり、装置筐体内に設けられたインクタンク収容部内の所定の位置にそれぞれ装填されている。各インクタンク100C,100M,100Y,100B内に第2貯留室101が形成されている。なお、第2貯留室101は不図示の大気連通部を介して大気に連通されている。
なお、本実施の形態では、4色のインクで画像記録を行う複合機10について説明しているが、本発明に係る画像記録装置においてインク色の数は特に限定されず、例えば、6色インクや8色インクにより画像記録を行う場合には、インクタンクを増やすことが可能であることは勿論である。インクタンク100は、合成樹脂製の筐体内に各色インクが充填された、複合機10から着脱可能なカートリッジ式としたり、複合機10の筐体内に据え置きされてインクが適宜補充される補充式としたりすることができる。
インクチューブ43Cは、インクタンク100Cに対応しておりシアン(C)のインクを供給するためのものである。同様に、インクチューブ43M,43Y,43Bは、それぞれインクタンク100M,100Y,100Bに対応しており、それぞれマゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)のインクを供給するためのものである。なお、可撓性のインクチューブ43C,43M,43Y,43Bの端部が直接第1貯留室31及び第2貯留室101において開口していてもよいし、可撓性のインクチューブ43C,43M,43Y,43Bの端部がジョイントに接続されており、ジョイントの端部が第1貯留室31及び第2貯留室101において開口していてもよい。ジョイント内の流路は直線上であってもよいし、折れ曲がっていてもよい。本実施形態おいて、インクチューブ43がバッファタンク30及びインクタンク100に接続されているとは、インクチューブ43がバッファタンク30及びインクタンク100に直接接続されている場合も、インクチューブ43がバッファタンク30及びインクタンク100にジョイントを介して接続されている場合も含む。同様に、インクチューブ43が第1貯留室31及び第2貯留室101において開口しているとは、インクチューブ43が第1貯留室31及び第2貯留室101に直接開口している場合も、インクチューブ43が第1貯留室31及び第2貯留室101にジョイント内の流路を介して開口している場合も含む。
インクタンク100から導出されたインクチューブ43C,43M,43Y,43Bは、左方向9Aに向かって複合機10の左方向9A及び右方向9Bにおける中央付近まで引き出されて、複合機10のフレーム等の適当な部材に一旦固定されている。この固定部材は特に限定されず、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bを前方向8A及び後方向8Bから挟持する部材として複合機10のフレーム等に設けられていてもよいし、断面が略C形状のクランプとして複合機10のフレーム等に設けられていてもよいし、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bと複合機10のフレームの一部を一体に結束する、一般に結束バンドと呼称されるような、金属製や合成樹脂製の帯状の部材であってもよい。インクチューブ43C,43M,43Y,43Bにおいて固定部材によって固定されている部分を中間固定部69と呼ぶ。インクチューブ43C,43M,43Y,43Bにおいて、インクタンク収容部から中間固定部69までの部分は、適当な複数の位置で複合機10のフレーム等に係止されて固定されており、キャリッジ23の往復移動に拘わらず一定の姿勢を保っている。
一方、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bにおいて、中間固定部69からバッファタンク30までの部分は、複合機10のフレーム等に固定されておらず、キャリッジ23の往復移動に追従して姿勢変化する。このような中間固定部69の位置は、バッファタンク30から延出されるインクチューブ43C,43M,43Y,43Bの曲げ半径が最小となる位置(左方端の位置)にある場合に、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bが潰れずに湾曲姿勢を維持する位置の範囲内において、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bの長さや引き回し経路を考慮して適宜設定すればよい。
インクチューブ43C,43M,43Y,43Bのバッファタンク30から中間固定部69までの部分は、バッファタンク30から、キャリッジ23の往復移動方向の一方向(左方向9A)へ略水平に延出され、バッファタンク30と中間固定部69との略中間位置に相当する中間部70が湾曲して上記一方向と反対方向(右方向9B)へ延出されて中間固定部69に至っている。したがって、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bのバッファタンク30から中間固定部69からまでの部分は、水平方向へ略U字状に湾曲している。このように、実施形態においては、中間部70が湾曲部を構成している。バッファタンク30からからインクチューブ43C,43M,43Y,43Bが延出する方向は、キャリッジ23の往復移動方向のいずれの方向(左方向9Aまたは右方向9B)であってもよい。
また、図3に示すように、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bは、キャリッジ23の往復移動に追従して中間部70の湾曲を変化させながら移動する。図に示すように、キャリッジ23が往復移動されることにより、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bの中間固定部69からバッファタンク30に至る部分がキャリッジ23に追従する。そして、キャリッジ23が往復移動範囲の一端(右方向9Bの端)から他端(左方向9Aの端)へ移動するに従い、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bは、湾曲している中間部70の曲げ半径が小さくなるように撓みながら、キャリッジ23の移動方向へ移動する。また、中間部70から中間固定部69までは、不図示の複合機10のフレームに沿って往復移動方向に直線状となる。
一方、記録ヘッド39が往復移動範囲の他端から一端へ移動するに従い、インクチューブ43C,43M,43Y,43Bは、湾曲している中間部70の曲げ半径が大きくなるように撓みながら、キャリッジ23の移動方向へ移動する。図3においては、上記往復移動範囲の他端の位置(位置P1)に移動したキャリッジ23を実線により示し、上記往復移動範囲の中央の位置(位置P2)に移動したキャリッジ23を想像線L11により示し、上記往復移動範囲の一端の位置(位置P0)に移動したキャリッジ23を想像線L12により示している。
また、相互に独立したインクチューブ43C,43M,43Y,43Bは、中間固定部69とインクタンク100との間の少なくとも一箇所において結束部材72により結束されている。結束部材72は、垂直方向に配列されたインクチューブ43C,43M,43Y,43Bを、その配列状態で一体に結束するものであり、一般に結束バンドと呼称されるような、金属製や合成樹脂製の帯状の部材により実現される。
以下、本発明の液体供給装置の一例である複合機10により液体を供給する方法について説明する。キャリッジ23が、ガイドレール45、46に沿ってキャリッジモータ22の駆動によって左方向9A及び右方向9Bに往復移動するとき、キャリッジ23に追従するインクチューブ43内の流体(インクまたは空気)には、キャリッジ23の加減速に起因する慣性力が働く。本実施形態においては、その慣性力を利用して、インクタンク100内のインクをバッファタンク30に送る。また、上記慣性力を利用して、バッファタンク30内でインクに混入した気体(例えば空気)をインクタンク100に回収する。
以下、キャリッジ23が、図3の位置P0から位置P1へ移動する場合を例に、上記慣性力により上記循環動作が実行される原理を説明する。キャリッジ23が、図3の位置P0から位置P1へ移動するとき、図5に示すように、キャリッジ23の加速時(期間TP1)には、インクチューブ43でキャリッジ23に隣接している部分(以下、隣接部分と称する)の内部の流体(インクまたは空気)に右方向9Bへの慣性力が働く。なお、図5(b)のグラフでは、右方向9Bの慣性力を正の値の慣性力として示している。この慣性力により、インクチューブ43の上記隣接部分の内部の流体は第1貯留室31の中に押し込まれる。その結果、第1貯留室31の内部の圧力は増大する。この圧力の一部は膜30aが撓むことにより吸収される。
以上の通り、図6(a)に示すように、期間TP1には、上記慣性力によりインクチューブ43を通して第2貯留室101から第1貯留室31に流体が流れる。なお、第2チューブ43bに第2逆止弁33があれば、第2チューブ43bを通した流体の流れは制限され(図6(a)の第2逆止弁33内に、×印を付けた矢印により示す)、第1チューブ43aを通した流体の流れ(図6(a)に、矢印により示す)だけが許容される。また、用紙12に画像記録を行うときには、キャリッジ23が加速されているとき(期間TP1)に画像記録を行うことで、記録ヘッド39の液体吐出動作をスムーズに行わせることができる。
キャリッジ23の加速が終わると上記慣性力は消失し(図5の期間TP2)、期間TP1で増大した第1貯留室31の内部圧力により第1貯留室31内の流体はインクチューブ43の上記隣接部分内に戻ろうとする。このとき、第1チューブ43aを通した流体の流れは第1逆止弁32の作動により制限される(図6(b)に、×印を付けた矢印により示す)。一方、第2チューブ43bを通した流体の流れは特に制限されない。その結果、期間TP2においては、第2チューブ43bを通して第1貯留室31から第2貯留室101に流体が流れる(図6(b)に、矢印により示す)。以上の結果、期間TP1及び期間TP2においては、第1チューブ43aを通して第2貯留室101から第1貯留室31に流体を送り、第2チューブ43bを通して第1貯留室31から第2貯留室101に流体を戻すような循環動作が行われる。なお、第2逆止弁33がないものとしても、期間TP1及び期間TP2を全体として見れば、第1逆止弁32により第1チューブ43aを通した第1貯留室31から第2貯留室101への流体の流れが制限されるので、第2チューブ43bを通して第2貯留室101から第1貯留室31に流体が流れることも第1逆止弁32の存在により制限される。
次に、キャリッジ23が位置P1に到着すべく、キャリッジ23が減速するとき(図5の期間TP3)には、上記隣接部分の内部の流体(インクまたは空気)に左方向9Aへの慣性力が働く。この慣性力により、上記隣接部分の内部に向かって第1貯留室31内の流体が吸引される。その結果、第1貯留室31の内部の圧力は減少する。以上の結果、図6(c)に示すように、期間TP3には、上記慣性力によりインクチューブ43を通して第1貯留室31から第2貯留室101に流体が流れる。しかし、第1チューブ43aにおいては第1逆止弁32の作動により流体の流れは制限される(図6(c)に、×印を付けた矢印により示す)。よって、流体は、主に第2チューブ43bを通して第1貯留室31から第2貯留室101に流れる(図6(c)に、矢印により示す)。
次に、減速したキャリッジ23が位置P1で止まると上記慣性力は消失し、その直後の所定期間(図5の期間TP4)には、期間TP3の減圧により負圧となった第1貯留室31の内部圧力により上記隣接部分内の流体は第1貯留室31の内部に戻ろうとする。このとき、第2チューブ43bに第2逆止弁33が設けられている場合には、第2チューブ43bを通した流体の流れは第2逆止弁33の作動により制限される(図6(d)に、×印を付けた矢印により示す)ので、第1チューブ43aを通した流体の流れだけが許容される(図6(d)に、矢印により示す)。第2逆止弁33がなければ、流体は、第1チューブ43a及び第2チューブ43bの両方を通して第2貯留室101から第1貯留室31に流れる。しかし、第2逆止弁33がない場合にも、期間TP3及び期間TP4を全体として見れば、第1チューブ43aを通して第2貯留室101から第1貯留室31に流体が流れる結果、第2チューブ43bを通して第1貯留室31から第2貯留室101に流体が流れることになる。
以上のようにして、期間TP1〜TP4にインクの循環動作が行われる。また、キャリッジ23が、図3の位置P1から位置P0へ移動するときにも、上記と同様の原理によりインクの循環動作が行われる。
ここで、第1逆止弁32は、静止状態の流体に対して開弁し、かつ第1貯留室31から第2貯留室101に向かって流体が流れるときにだけ液体の流れを制限するものであることが好ましい。以下、逆止弁が流体の流れを制限する方向を逆方向と称し、逆止弁が流体の流れを許容する方向を順方向と称することがある。また、静止状態の流体に対して開弁しており、逆方向の流体の流れが生じたときに流体の流れを制限するタイプの逆止弁を常開型の逆止弁と称することがある。つまり、第1逆止弁32は、常開型の逆止弁であることが好ましい。常開型の逆止弁としては、例えば、特開2009−133458号公報に開示されている逆止弁や、特開2005−231220号公報に開示されている逆止弁が挙げられる。これに対して、静止状態の流体に対して閉弁しており、順方向の流体の流れが生じたときにだけ開弁するタイプの逆止弁を常閉型の逆止弁と称することがある。常閉型の逆止弁としては、例えば、特開2006−69223号公報に開示されているインク供給制御手段があげられる。すなわち、常閉型の逆止弁は常時はバネ等の付勢力により閉弁しており、付勢力に打ち勝つ液体の流れや圧力が生じたときに開弁する。
ここで、第2チューブ43bは、図6(a)などに示すように、第2貯留室101の下部において開口させることが好ましい。なお、第2貯留室101の下部とは、上方向7A及び下方向7Bに沿った第2貯留室101の最大寸法の中心よりも下方に位置する第2貯留室101の部分である。また、第2貯留室101の上部とは、上方向7A及び下方向7Bに沿った第2貯留室101の最大寸法の中心よりも上方に位置する第2貯留室101の部分である。これにより、イニシャルパージを行うときに、第2貯留室101内のインク量が比較的に少なくなり、第2貯留室101内の上部に気体があるときにも、その気体が第2チューブ43bを通して第1貯留室31に送られるのを防止することができる。これにより、第2逆止弁33を設けることなく、イニシャルパージを迅速に行うことができる。なお、第2貯留室101から第1貯留室31にインクを送ることを目的とした第1チューブ43aも、第2貯留室101の下部において開口させることが好ましいことは言うまでもない。
なお、第2チューブ43bを第2貯留室101の下部において開口させる場合には、第2貯留室101の第1チューブ43aの開口A1(図6(a)参照)と第2チューブ43bの開口A2との間に、第2貯留室101に貯留されたインク34内を気体が移動することを阻止する区画壁35を設けることが好ましい。これにより、第2チューブ43bを通してインクタンク100に回収された気体が第1チューブ43aを通して再びバッファタンク30に送られるのを抑制することができる。なお、第1チューブ43aの開口A1及び第2チューブ43bの開口A2は、上述のようにジョイント内の流路の開口であってもよい。
図6(a)などに示すように、第1チューブ43aは、第1貯留室31の下部において開口させることができる。これにより、第2チューブ43bを第1貯留室31の上部において開口させた場合に、第1チューブ43aの第1貯留室31における開口A3と、第2チューブ43bの第1貯留室31における開口A4との間に適当な距離をおくことが容易になる。これにより、第1チューブ43aを通して第2貯留室101から第1貯留室31に送られたインク34が直接的に第2チューブ43bを通して第2貯留室101に戻されることを抑制することができる。よって、第1貯留室31内の気体を第2チューブ43bを通して第2貯留室101に回収することが容易になる。なお、第1チューブ43aの開口A3及び第2チューブ43bの開口A4は、上述のようにジョイント内の流路の開口であってもよい。
以下、図6及び図7並びに、図8及び図9のフローチャートを参照して、本実施形態に係る液体供給方法を説明する。図8に本液体供給方法の全体的な流れを示す。本液体供給方法においては、まず、液体供給装置の使用初期状態や長期間使用されていなかった液体供給装置の起動直後などでバッファタンク30の内部に十分なインクが存在しないときにイニシャルパージ(S11)が行われる。このイニシャルパージにおいては、図7(a)に示すように、開閉弁38を開放し、ガス排出路37を通してバッファタンク30内の気体を吸引する。これにより、インクタンク100内のインクが第1チューブ43a及び第2チューブ43bを通してバッファタンク30に送られる。なお、第2チューブ43bに逆止弁33が設けられている場合には、第1チューブ43aを通してインクがバッファタンク30に送られる。その結果、図7(b)に示すように、バッファタンク30の第1貯留室31がインクにより満たされる。ただし、第1貯留室31が完全にインクにより満たされる必要は必ずしもなく、第1貯留室31内に気体が残留していてもよい。なお、ステップS11のイニシャルパージをスキップし、次の循環処理を直ちに開始することもできる。循環処理によっても、液体供給装置の使用初期状態や長期間使用されていなかった液体供給装置の起動直後などでバッファタンク30の内部に十分なインクが存在しないときにバッファタンク30をインクで満たすことができる。しかし、イニシャルパージ(第3ステップ)を実行することで、バッファタンク30をインクで迅速に満たすことができ、画像記録動作を迅速に開始することができる。また、バッファタンク30内に十分なインクがあるときには、ステップS11のイニシャルパージは当然にスキップすることができる。
次に、図6を使用して説明した原理による循環処理が行われる(S12)。この循環処理により、バッファタンク30内の気体を除去したり、インクタンク100からバッファタンク30及び記録ヘッド39に画像記録用のインクを供給したりすることができる。また、ステップS12の循環処理の実行中に画像記録を行うこともできる。
図9に、循環処理のフローチャートを示す。循環処理は、キャリッジ23を第1方向(例えば左方向9A)へ移動させる第1ステップ(S21)と、キャリッジ23を第2方向(例えば右方向9B)へ移動させる第2ステップ(S22)と、を含む。第1ステップS21及び第2ステップS22は交互に複数回繰り返すことができる。例えば、イニシャルパージの代わりに循環処理によりバッファタンク30をインクで満たすときには第1ステップS21及び第2ステップS22を交互に3回以上繰り返すことができる。また、バッファタンク30内の気体の除去のみを目的として循環処理を行うときにも第1ステップS21及び第2ステップS22を交互に3回以上繰り返すことができる。
ここで、循環処理は、記録ヘッド39による液体の吐出を伴わずに、つまり画像記録を伴わずに実行することができる。例えば、イニシャルパージの代わりに循環処理によりバッファタンク30内をインクにより満たす場合には、循環処理は、記録ヘッド39による液体の吐出を伴わずに実行される。また、バッファタンク30内の気体の除去のみを目的として循環処理を行う場合にも、その循環処理は、記録ヘッド39による液体の吐出を伴わずに実行することができる。
また、循環処理においては、搬送路65を外れた位置(図3における位置P0及び位置P1)までキャリッジ23を移動させることができる。画像記録のためのキャリッジ23の移動は、搬送路65の範囲内で、つまり用紙12の幅の範囲内で行われる。画像記録を伴わずに循環処理を行うとき、キャリッジ23の移動距離を大きくすることにより、キャリッジモータ22に高出力のモータを使用することなく、バッファタンク30を効率よくインクにより満たすことができる。
なお、本実施の形態では、第2チューブ43bは第2貯留室101の下部において開口されており、第2貯留室101内に区画壁35が設けられていたが、図10に示されるように、第2チューブ43bが第2貯留室101の上部において開口されている場合、第2貯留室101内に区画壁35は設けられていなくてもよい。この構成によっても、第2チューブ43bを通して第1貯留室31から第2貯留室101に送られた気体が、再び第1チューブ43aを通して第2貯留室101から第1貯留室31に送られるのを防止することができる。この構成においては、第2チューブ43bに逆止弁33が設けられていないと、イニシャルパージが行われる際に第2チューブ43bを通して第2貯留室101内の気体が送られてしまうため、第2チューブ43bには逆止弁33が設けられていることが好ましい。
また、本実施の形態では、4色のインクで画像記録を行う複合機10について説明しているのでインクチューブ43も4本(合計8本)であるが、前述したように、本発明に係る画像記録装置においてインク色の数は特に限定されない。したがって、例えば、6色インクや8色インクにより画像記録を行うことも可能であり、その場合には、インクチューブ43の本数を増やせばよい。また、多数のインクチューブ43を水平方向に配列するスペースがキャリッジ23の周辺に十分にない場合には、インクチューブ43を2群に分割して、キャリッジ23の右側と左側とからそれぞれ延出し、各群のインクチューブの湾曲方向が逆となるように引き回してインクタンク100に接続することとしてもよい。
10・・・複合機(液体供給装置)
22・・・キャリッジモータ(駆動部)
23・・・キャリッジ
30・・・バッファタンク(第1タンク)
31・・・第1貯留室
32・・・第1逆止弁
33・・・第2逆止弁
34・・・インク
35・・・区画壁
37・・・ガス排出路
38・・・開閉弁
39・・・記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
43,43C,43M,43Y,43B・・・インクチューブ
43a・・・第1チューブ
43b・・・第2チューブ
100,100C,100M,100Y,100B・・・インクタンク(第2タンク)
101・・・第2貯留室
130・・・演算装置


Claims (5)

  1. 第1方向及び当該第1方向と逆向きの第2方向に移動可能なキャリッジと、
    上記キャリッジに搭載され、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
    上記キャリッジに搭載され、上記液体吐出ヘッドに供給するための液体を貯留する第1貯留室を有する第1タンクと、
    上記第1貯留室より容積の大きい第2貯留室を有する第2タンクと、
    上記第1タンクと上記第2タンクとに接続されており、上記第1貯留室と上記第2貯留室とを連通する可撓性を有する第1チューブと、
    上記第1タンクと上記第2タンクとに接続されており、上記第1貯留室と上記第2貯留室とを連通する可撓性を有する第2チューブと、
    上記キャリッジをガイドに沿って上記第1方向及び上記第2方向に駆動する駆動部と、
    上記第1チューブに設けられ、上記第2貯留室から上記第1貯留室へ向かう流体の流れを許容し、かつ上記第1貯留室から上記第2貯留室へ向かう流体の流れを制限する第1逆止弁と、
    上記第1貯留室の上部において開口するガス排出路と、
    上記ガス排出路を開閉する弁と、を備える液体供給装置において、上記第2貯留室から上記第1貯留室へ液体を供給する方法であって、
    上記キャリッジを上記第1方向へ移動させる第1ステップと、
    上記キャリッジを上記第2方向へ移動させる第2ステップと、
    上記弁を開放した状態で上記ガス排出路を通して上記第1貯留室内から気体を吸引して排出する第3ステップと、を含み、
    上記第2貯留室から上記第1貯留室へ最初に液体を供給するときに、上記第1ステップ及び上記第2ステップを行う前に、上記第3ステップを実行し、
    上記第1ステップ及び上記第2ステップを交互に複数回繰り返す液体供給方法。
  2. 上記第1ステップ及び上記第2ステップにおいて、上記キャリッジを移動させる間に上記液体吐出ヘッドから液体を吐出させない請求項に記載の液体供給方法。
  3. 上記第1ステップ及び上記第2ステップにおいて、上記第1方向と交差しており、上記液体吐出ヘッドから液体が吐出されるシートが通過する搬送路を外れた位置まで上記キャリッジを移動させる請求項又はに記載の液体供給方法。
  4. 上記第1ステップ及び上記第2ステップにおいて、上記キャリッジを移動させる間に上記液体吐出ヘッドから液体を吐出させずに、上記第1ステップ及び上記第2ステップのセットを少なくとも3回連続して実行する請求項に記載の液体供給方法。
  5. 第1方向及び当該第1方向と逆向きの第2方向に移動可能なキャリッジと、
    上記キャリッジに搭載され、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
    上記キャリッジに搭載され、上記液体吐出ヘッドに供給するための液体を貯留する第1貯留室を有する第1タンクと、
    上記第1貯留室より容積の大きい第2貯留室を有する第2タンクと、
    上記第1タンクと上記第2タンクとに接続されており、上記第1貯留室と上記第2貯留室とを連通する可撓性を有する第1チューブと、
    上記第1タンクと上記第2タンクとに接続されており、上記第1貯留室と上記第2貯留室とを連通する可撓性を有する第2チューブと、
    上記キャリッジをガイドに沿って上記第1方向及び上記第2方向に駆動する駆動部と、
    上記第1チューブに設けられ、上記第2貯留室から上記第1貯留室へ向かう流体の流れを許容し、かつ上記第1貯留室から上記第2貯留室へ向かう流体の流れを制限する第1逆止弁と、
    上記第1貯留室の上部において開口するガス排出路と、
    上記ガス排出路を開閉する弁と、
    上記ガス排出路を通じて上記第1貯留室内の気体を外部に排出するポンプと、
    制御部と、を備える液体供給装置であって、
    上記制御部は、
    上記弁を開放して、上記ポンプに上記ガス排出路を通して上記第1貯留室内から気体を排出させるイニシャルパージを実行し、
    上記イニシャルパージの実行後に、上記キャリッジを上記第1方向へ移動させる第1ステップ及び上記キャリッジを上記第2方向へ移動させる第2ステップを含む循環処理を実行する液体供給装置。
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