JP6520164B2 - ソイルセメントおよびソイルセメントを用いた盛土工法 - Google Patents

ソイルセメントおよびソイルセメントを用いた盛土工法 Download PDF

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Description

本発明は、天然の海水及び火山砕屑物を含む現地採取土砂を利用したソイルセメント、および当該ソイルセメントを用いた盛土工法に関する。
従来より、火山砕屑物は工場等にて適切に処理を施すことにより、再利用が可能であることは一般に広く知られている。例えば、特許文献1には、火山砕屑物の一つであるシラスを天然砂に代わる細骨材として製造し、利用することが開示されている。
このような中、火山砕屑物分布地域では、土石流対策の砂防施設工事に伴い発生した火山砕屑物もしくは火山砕屑物を含む土砂よりなる現地発生土を、砂防施設に利用することが望まれている。
火山砕屑物分布地域では、火山活動の活発化に伴う山体の荒廃や堆積した火山灰等が要因となり、泥流や土石流が発生しやすい。このため、土石流対策の砂防施設工事として、土石流等の発生・流下を抑制するための砂防堰堤、導流工などの設置、土石流を安全に流下させるための導流堤の設置等が行われている。一般に、土石流対策の砂防施設工事では、施設の構築に生コンクリートが採用されていたが、これらの施工現場は山中に位置する場合が多い。このため、工場にて製造した生コンクリートを施工現場へ運搬するまでに時間を要することから品質低下が生じやすく、また、材料費や運搬費等に膨大なコストが生じる。
そこで、コンクリート造に代わり、例えば特許文献2に開示されているような現地発生土を利用して砂防施設を構築するCSG工法やINSEM工法が実施されている。これらの工法はいずれも、施工現場で調達できる現地発生土を利用して施工現場にてソイルセメントを製造し、これを敷均し及び締固めして盛土構造物を構築する方法である。現地発生土を採用することにより、運送費の削減だけでなく建設残土の処理量も軽減され、工期短縮およびコスト低減を図ることが可能となる
特開2010−269951号公報 特開2007−51517号公報
しかし、火山砕屑物分布地域で発生する現地発生土を採用する場合、施工現場ごとで現地発生土の吸水率や骨材強度にばらつきがある等、品質が異なることから強度発現が安定しないことが多い。このため、火山砕屑物が含まれる現地発生土を利用したソイルセメントは、品質管理が煩雑であることから土石流対策の砂防施設のなかでも土石流が直撃する堰堤に利用することを避け、土石流が直撃しない堰堤袖部や導流堤部に適用するにとどまっていた。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、火山砕屑物を含む現地採取土砂と天然の海水とを使用し、安価でかつ安定して高品質なソイルセメントおよびソイルセメントを用いた盛土工法を提供することである。
かかる目的を達成するため本発明のソイルセメントは、主材、セメント系固化材及び海水を含むソイルセメントであって、前記主材に、吸水率4.0%未満となるよう粒度を調整されてなる火山砕屑物を含む現地採取土砂が用いられることを特徴とする。
上記のソイルセメントによれば、セメント水和物と火山砕屑物とによるポゾラン反応だけでなく、海水と火山砕屑物が共存することで、セメント系固化材と海水、あるいは火山砕屑物によるフリーデル氏塩(3CaO・Al23・CaCl2・10H2O)及びエトリンガイト(3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O)の生成が生じる。
これにより、火山砕屑物を含む現地採取土砂を主材とするソイルセメントの練混ぜ水に海水を使用しない場合と比較して、硬化後の圧縮強度を大幅に増加させることが可能となり、所用の強度を得るために必要なセメント量を削減し、コストを低減させることが可能となる。
さらに、上記のとおりセメント系固化材と海水、あるいは火山砕屑物の反応により豊富に生成されるエトリンガイトは針状結晶を成していることから、当該針状結晶がセメント水和物の空隙に入り込むことにより、ソイルセメントにおける硬化後の緻密性を向上させることが可能となる。
加えて、ソイルセメントに海水を用いることにより、海水のCl成分がセメント水和物の生成促進を促すため、強度発現が早期に生じやすく、寒冷地等にて施工する場合にも、施工直後の凍結による品質低下を防止することが可能となる。
また、前記主材が、前記火山砕屑物を含む現地採取土砂について粒径と吸水率の関係から吸水率が4.0%未満となる最大粒径寸法を算定し、該最大粒径寸法以下となるよう前記火山砕屑物を含む現地採取土砂をふるい分けしてなることを特徴とする。
上記のソイルセメントによれば、吸水率が高いとされる粒径の大きい火山砕屑物が排除されるため、現地採取土砂全体が吸収するソイルセメント中の水分量を大幅に削減することができる。また、微粒分量が多い火山砕屑物が主材に多く残存することとなるため、火山砕屑物のポゾラン反応の反応性がより高まることとなる。
本発明のソイルセメントは、前記主材が、表乾密度2.5g/cm3以上となるよう粒度を調整されてなることを特徴とする。
また、前記取材が、前記火山砕屑物を含む現地採取土砂について粒径と表乾密度の関係から表乾密度が2.5g/cm3以上となる最大粒径寸法を算定し、該最大粒径寸法以下となるよう前記火山砕屑物を含む現地採取土砂をふるい分けしてなることを特徴とする
上記のソイルセメントによれば、火山砕屑物のなかでも空隙が小さく密度の大きいものが残存することとなり、現地採取土砂全体の骨材強度が高まる。
このように、吸水率もしくは表乾密度に基づいて主材の粒度を調整することにより、粒度調整を行わない火山砕屑物を含む現地採取土砂を主材として用いる場合と比較して、安定してより高品質なソイルセメント硬化体を構築することが可能となる。
本発明のソイルセメントは、前記セメント系固化材に、高炉セメントを用いることを特徴とする。
なかでも、高炉セメントB種を用いると、六価クロムの溶出が少なく、また、海水に含まれるナトリウムイオンが多量に存在してもアルカリ骨材反応を抑制することのできるだけでなく、水に代えて海水を練混ぜ水に使用した場合の、一軸圧縮強度の改善効果がより著しい。
また、本発明のソイルセメントは、前記主材に、海水を吸水させることを特徴とする。
上記のソイルセメントによれば、主材の空隙に対して一様に海水が吸水されるため、主材がソイルセメントの締固めや硬化に必要な水分を過剰に吸収する現象を抑制することができる。これにより、本発明のソイルセメントにて盛土構造物を構築すると、締固め時の施工含水比にばらつきが生じにくく、最適含水比附近より大きく逸脱する現象を抑制できる。加えて、セメント系固化材による強度発現も阻害されることがない。このため局所的な強度低下を生じることなく、盛土構造物体全体に安定して一様な圧縮強度を発現させることが可能となる。
本発明のソイルセメントを用いた盛土工法は、本発明のソイルセメントを硬練りに製造した後、該ソイルセメントを層状に敷均し、転圧締固めることを特徴とする。
上記のソイルセメントを用いた盛土工法によれば、練混ぜ水に天然の海水を採用しない場合と比較して、盛土構造物の圧縮強度と緻密性がより向上し、様々な外力を受けても劣化現象が起こりにくく耐久性が高まる。これにより、当該盛土構造物を土石流災害時に土石流が直撃するような砂防堰堤にも利用することが可能となる。
また、ソイルセメントの主材に現地採取土砂を採用することから、主材の運搬が困難な現場においても現地調達できるだけでなく、建設残土の搬出量も削減されるため、搬送にかかるコストを大幅に削減することが可能となるとともに、工期短縮にも寄与することが可能となる。
さらに、施工現場が海岸に近い場合には、一般的な水道水を用いるよりもさらにコストを削減でき、現地採取土砂の利用と相俟ってソイルセメントに用いる主材や練混ぜ水等の材料の地産地消による建設コスト低減に大きく寄与することが可能となる。
本発明によれば、ソイルセメントに天然の海水と火山砕屑物を含む現地採取土砂を用いることにより、圧縮強度が高く緻密性に優れた安価で高品質なソイルセメント硬化体を得ることができ、当該ソイルセメントを盛土工法に採用することにより、外力を受けても劣化現象が起こりにくく耐久性に優れた盛土構造物を構築することが可能となる。
火山砕屑物の蛍光X線分析結果を示す図である。 火山砕屑物を含む現地採取土砂の粒度分布を示す図である。 火山砕屑物を含む現地採取土砂の物理性状を示す図である。 粒度調整された火山砕屑物を含む現地採取土砂の粒度分布を示す図である。 一軸圧縮試験を行った供試体の配合割合および一軸圧縮強度試験の結果を示す図である。 ソイルセメントを用いた盛土構造物の構築方法を示す図である。
以下に、本発明のソイルセメントおよび当該ソイルセメントを用いた盛土工法を、図1〜図6を用いて説明する。
本発明のソイルセメント1は、練混ぜ水に天然の海水を利用し、これを主材である火山砕屑物を含む現地採取土砂とセメント系固化材とともに練り混ぜる。当該ソイルセメント1が硬化することで構築される構造物は、砂防堰堤、床固工、導流工及び導流堤といった土石流対策の砂防施設や様々な盛土構造物として利用できるものである。
ソイルセメント1の主材となる火山砕屑物を含む現地採取土砂は、砂防施設に貯留した貯留土砂や建設工事に伴い副次的に発生する現地発生土等、盛土構造物を施工しようとする現地にて採取される土砂であって、火山礫、火山灰等の火山噴火時に放出される破片状の固形物質そのものや火砕流堆積物等の火山砕屑物、もしくはこれら火山砕屑物が混在した土石流堆積物を含むものを指す。
本実施の形態では、伊豆大島の急傾斜地にて降下火山砕屑物を含む土石流災害が発生した際に、砂防堰堤に貯留した火山砕屑物を含む土石流土砂を採取し、これを主材として採用した。
なお、伊豆大島にて採取した火山砕屑物を含む現地採取土砂は、図1に示すように、主にSi成分、Al成分、Fe成分およびCa成分を含んでおり、シラスと比較するとFe成分およびCa成分をより多く含む点が特徴的である。また、図2に示すように、粒度分布をみると微粒分量が多い点が特徴的である。
ところで、火山砕屑物は一般に粒径が大きいほど空隙が多いことから、密度が小さく骨材強度が低いだけでなく、吸水率が高いという特性を有している。このため、粒径が大きい火山砕屑物を多く含む現地採取土砂をソイルセメント1の主材として採用すると、主材自体の強度が低い上に、火山砕屑物がソイルセメント1の締固めや硬化に必要な水分を吸収してしまい、ソイルセメントを用いた盛土構造物に局部的な強度低下が生じやすい。
そこで本発明では、火山砕屑物を含む現地採取土砂を主材として採用するにあたり、吸水率が大きく密度が小さい火山砕屑物を含む現地採取土砂を排除し、吸水率が小さく密度が大きいつまり粒径の小さい火山砕屑物を多く含む現地採取土砂を、主材として採用する。
本実施の形態では、主材として用いる火山砕屑物を含む現地採取土砂の吸水率を、発明者の経験から得られた知見に基づいて決定した、4.0%未満に設定することとした。
吸水率4.0%未満の火山砕屑物を含む現地採取土砂の採取方法としては、あらかじめ現地採取土砂を採取して室内実験により吸水率と粒径の関係を求めた上で、吸水率が4.0%未満となる最大粒径寸法を把握しておく。そして、現地にて現地採取土砂に対して、粒径が上記の最大粒径寸法以下となるようふるい分けを行うことで、粒度調整を行う。
これにより、一般に吸水率が高いとされる粒径の大きい火山砕屑物を排除することができるため、現地採取土砂に含まれる火山砕屑物が吸収するソイルセメント1中の水分量を大幅に削減できる。
なお、本実施の形態にて採用する伊豆大島にて採取した火山砕屑物を含む現地採取土砂に対して、上述する方法により粒度調整を行った結果について、JIS A 1134に基づく密度および吸水率試験の結果を図3に、また粒度分布を図4に示す。
図3に示すように、火山砕屑物を含む現地採取土砂は吸水率が4%未満となった時の最大粒径寸法が5mmであった。したがって、本実施の形態では、火山砕屑物を含む現地採取土砂を5mmのふるいを用いてふるい分けし、5mm以上の現地採取土砂を排除した。図4に示すように、コンクリート用細骨材と比較すると微粒分量が多いものの、吸水率を4%未満とすることにより、図3に示すように、粒度調整する前の火山砕屑物を含む現地採取土砂と比較して表乾密度が向上し、2.53g/cm3となった。
なお、本実施の形態では、吸水率が4.0%未満となるようふるい分けを行ったが、必ずしも4.0%に限定されるものではなく、火山砕屑物を含む現地採取土砂全体や火山砕屑物自身の性状等を勘案し、目標とする吸水率を適宜設定すればよい。
また、本実施の形態では、吸水率に基づいて火山砕屑物を含む現地採取土砂の粒度を調整したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、表乾密度に基づいて、最適な表乾密度となるよう粒度を調整してもよく、例えば細骨材として適した表乾密度である2.5g/cm3以上となるように、粒度を調整することとしてもよい。
この場合も、あらかじめ現地採取土砂を採取して室内実験により表乾密度と粒径の関係を求めた上で、表乾密度が2.5g/cm3以上となる最大粒径寸法を把握しておく。そして、現地にて現地採取土砂に対して、粒径が上記の最大粒径寸法以下となるようふるい分けを行うことで、粒度調整を行うとよい。
これにより、火山砕屑物のなかでも空隙が小さく密度の大きいものが残存することとなり、現地採取土砂全体の骨材強度が高まるものである。
一方、ソイルセメント1に添加するセメント系固化材としては、高炉セメントを採用するが、なかでも六価クロムの溶出が少なく、海水に含まれる塩化ナトリウムを起源とするナトリウムイオンが多量に存在してもアルカリ骨材反応を抑制することのできる高炉セメントB種を採用している。これは、発明者の経験から、セメント系固化材として高炉セメントB種を採用することにより、水に代えて海水を練混ぜ水に使用する場合の、一軸圧縮強度の改善効果が著しいとの知見を得たことによる。
しかし、本実施の形態にて採用するセメント系固化材は、必ずしもこれに限定されるものではなく、高炉セメントB種以外の混合セメント(例えば、フライアッシュセメント等)やポルトランドセメント等、いずれのセメント系固化材を用いてもよい。
上述する主材、セメント系固化材及び天然の海水よりなるソイルセメント1の硬化体について、強度を確認するべく一軸圧縮強度試験を行った。一軸圧縮試験は、JIS A 1216で規定された方法に従うものである。なお、一軸圧縮試験に用いる供試体は、試験室内において試料土とセメント系固化材及び海水をフロー値測定不能の硬練り配合にして練り混ぜ、成形用型枠内に充填し鉄製角柱突き棒と鉄製コテにて十分締め固め、養生して行った。
本実施の形態では、試料土に先にも述べた伊豆大島にて採取した火山砕屑物を含む現地採取土砂、セメント系固化材に高炉セメントB種を用いた。また、図5に示すように、試料土1000gに対して練混ぜ水の量が一定であるものの、セメント量を変えた2種類(80gと120g)の配合について、それぞれ練混ぜ水に海水を使用したものを用意し、合計2体の供試体(供試体2、供試体4)を作製した。
また、比較例として、図5に示すように、上記と同様の配合による2種類のソイルセメント1について、それぞれ練混ぜ水に真水を使用したものを用意し、合計2体の供試体(供試体1、供試体3)を作製した。
図5のグラフを見ると、添加したセメント量の小さい供試体1、2および大きい供試体3、4の両者ともに、練混ぜ水に海水を使用した供試体2および供試体4は、真水を使用した供試体1および供試体3と比較して、強度の発現が早く、材齢7日の一軸圧縮強度は2〜2.4倍程度大きい。
これは、海水のCl成分がセメント水和物の生成を促すため、強度発現が早期に生じやすいことによるものと考えられる。これにより、本発明のソイルセメント1を用いて寒冷地等にて施工する場合には、施工直後の凍結による品質低下を防止することが可能となる。
また、セメント量が大きく練混ぜ水に海水を使用した供試体4は、材齢28日で圧縮強度が9.7N/mm2と、一般的に砂防施設工事にて用いられるソイルセメント構造物の設計強度4.5〜6.0N/mm2を大きく上回っている。
これは、以下の理由によるものと考えられる。
まず、主材の現地採取土砂に火山砕屑物が含まれることにより、セメント系固化材及び火山砕屑物のCa成分の水和により生成されたセメント水和物に、火山砕屑物に含まれるAl成分およびSi成分が反応して新たな水和物を生成する、いわゆるポゾラン反応が促進される。
また、一般に粉末度が高いほどポゾラン反応の反応性が高いことが知られているが、本実施の形態において主材の現地採取土砂は、図4に示すように微粒分量が多い。これにより、ポゾラン反応の反応性がより高められる。
さらに、練混ぜ水に海水を用いることで、セメント系固化材に含まれるCa成分及びAl成分と海水に含まれるCl成分、あるいは火山砕屑物のCa成分及びAl成分とによりフリーデル氏塩(3CaO・Al23・CaCl2・10H2O)の生成が促進されるとともに、セメント系固化材のCa成分及びAl成分と海水に含まれるSO4成分、あるいは火山砕屑物のCa成分及びAl成分とによりエトリンガイト(3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O)が生成される。
そして、セメント系固化材と海水、あるいは火山砕屑物の反応により豊富に生成されるエトリンガイトは針状結晶を成していることから、当該針状結晶がセメント水和物の空隙に入り込むことにより、ソイルセメント1における硬化後の緻密性を向上させることができる。
なお、エトリンガイトは、海水が含有しているフッ素を不溶化するとともにホウ素を固定する働きを有している。したがって、エトリンガイトが豊富に生成されたソイルセメント硬化体は、フッ素及びホウ素の溶出を効率よく抑制できるため、海水を利用してソイルセメント硬化体を構築する際にも、フッ素及びホウ素に関する土壌環境基準の条件を容易に満たすことが可能となる。
また、図3のグラフを見ると、セメント量が少ない供試体1および供試体2において、海水を使用した供試体2は材齢7日より材齢28日の圧縮強度が増大したものの、真水を使用した供試体1は材齢7日と材齢28日で圧縮強度が変わらない結果となった。
これは、以下の理由によるものと考えられる。
練混ぜ水に真水を用いる場合において、コンクリートの凝結や硬化はセメント系固化材に含まれるCa成分の水和により生成されたセメント水和物に大きく依存する。にもかかわらず、火山砕屑物を含む現地採取土砂に含まれる腐食土、泥炭など有機不純物中に含まれるフミン酸やその他の有機酸が、セメント系固化材中の水酸化カルシウムと化合して有機酸石灰塩を生じることにより、真水とセメント系固化材の水和反応を遅延させたり阻害するなどして、コンクリートの凝結や硬化を妨げる。このように水和反応が遅延・阻害されることに相まって、ポゾラン反応の促進も抑制されることとなる。
一方、練混ぜ水に海水を用いる場合には、先にも述べたように、海水のCl成分が水和反応を促進させる効果を有するため、練混ぜ水に真水を用いる場合と比較して、有機不純物によるセメント系固化材の水和反応の遅延・阻害の影響を受けにくいものと推定できる。
これらの結果から、ソイルセメント1の練混ぜ水に海水を使用するとともに、ソイルセメント1の主材に火山砕屑物を含む土砂を採用するだけでなく、火山砕屑物を含む現地採取土砂について、吸水率が4.0%未満となるときの最大粒径寸法を求め、粒径が上記の最大粒径寸法以下となるようふるい分けしたことで、一軸圧縮強度が大きく、強度発現が早く、さらに緻密性の高いソイルセメント硬化体を得ることが可能になる。よって、所用の強度を得るために必要なセメント量を削減し、コストを低減させることが可能となる。
次に、上述のソイルセメント1を採用して盛土構造物として砂防堰堤6を構築する場合を例にとり、施工手順を以下に示す。
まず、仮設ヤードにて火山砕屑物を含む現地採取土砂を集積し、室内試験にてあらかじめ算定しておいた吸水率が4.0%未満となるときの最大粒径寸法に基づいて、現地にて火山砕屑物を含む現地採取土砂のふるい分けを行って粒度調整を行い、これを主材とする。
次に、主材を海水に浸水するもしくは主材に海水を散水して、12〜24時間吸水させ、主材全体を一様な湿潤状態もしくは表面乾燥飽水状態とする。
これにより、主材となる火山砕屑物を含む現地採取土砂は、ソイルセメント1の締固めや硬化に必要な水分を過剰に吸収する現象を抑制できるから、締固め時の施工含水比にばらつきが生じにくく、最適含水比附近より大きく逸脱する現象を抑制できる。加えて、セメント系固化材による強度発現も阻害されることがない。このため、局部的な強度低下を生じることなく盛土構造物全体に一様な一軸圧縮強度を発現させることが可能となる。
この後、海水を吸水させた主材にセメント系固化材と海水を加えて練り混ぜ、ソイルセメント1を製造する。練り混ぜる方法は、いずれでもよく、例えば、セメント系固化材と海水とによりあらかじめセメントスラリーを製造しておき、当該セメントスラリーと主材を混練してもよい。
なお、主材、セメント系固化材及び海水は、あらかじめ配合試験を行いスランプ値が0の硬練り配合となるよう配合設計をしておく。
この後、図6に示すように、仮設ヤードにて製造したソイルセメント1を、砂防堰堤構築予定地2にブルドーザー3で敷均し、振動ローラ4にて転圧締固め所定厚さのソイルセメント転圧層5を構築する。
この工程を必要高さまで繰り返し、砂防堰堤6を構築した後、図示しないが堰堤の外面に対して必要に応じて外部保護材を設置し仕上げを行う。
このように、ソイルセメント1の主材に粒度調整した火山砕屑物を含む現地採取土砂を用いるとともに混練り水に海水を用いることにより、海水を用いない場合と比較して、強度発現が早く、また圧縮強度および緻密性が向上することから、様々な外力を受けても劣化現象が起こりにくく耐久性が高まる。よって、土石流災害時に土石流が直撃するような砂防堰堤にも利用することが可能となる。
また、ソイルセメント1の主材に現地にて調達可能な現地採取土砂を採用することから、主材の運搬が困難な現場においても現地調達できるだけでなく、建設残土の搬出量も削減されるため、搬送にかかるコストを大幅に削減することが可能となるとともに、工期短縮にも寄与することが可能となる。
さらに、施工現場が海岸に近い場合には、一般的な水道水を用いるよりもさらにコストを削減でき、現地採取土砂の利用と相俟って、ソイルセメント1に用いる材料の地産地消による建設コスト低減に大きく寄与することが可能となる。
なお、本発明のソイルセメント1及びソイルセメント1を用いた盛土工法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本発明の実施の形態では、ソイルセメント1を用いた盛土工法にて構築した盛土構造物を砂防堰堤6に適用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、河川堤防等いずれの盛土構造物に適用してもよい。
また、ソイルセメント1の製造にあたり必要に応じて、石膏、コンクリート再生微粉末、石灰石微粉末、砕石微粉末、高炉スラグ微粉末、石炭灰等の混和材を適宜添加してもよい。
さらに、本実施の形態では、吸水率4.0%未満となるよう、もしくは表乾密度2.5g/cm3以上となるよう、火山砕屑物を含む現地採取土砂の粒度を調整し、これをソイルセメントの主材として用いた。しかし、必ずしもこれに限定されるものではなく、火山砕屑物を含む現地採取土砂に対して、吸水率に基づく粒度調整と表乾密度に基づく粒度調整の両者を併用し、吸水率4.0%未満かつ表乾密度2.5g/cm3以上を満足するよう粒度調整し、これを主材として用いてもよい。
1 ソイルセメント
2 砂防堰堤構築予定地
3 ブルドーザー
4 振動ローラ
5 ソイルセメント転圧層
6 砂防堰堤

Claims (7)

  1. 主材、セメント系固化材及び海水を含むソイルセメントであって、
    前記主材に、吸水率4.0%未満となるよう粒度を調整されてなる火山砕屑物を含む現地採取土砂が用いられることを特徴とするソイルセメント。
  2. 請求項1に記載のソイルセメントにおいて、
    前記火山砕屑物を含む現地採取土砂について粒径と吸水率の関係から吸水率が4.0%未満となる最大粒径寸法を算定し、該最大粒径寸法以下となるよう前記火山砕屑物を含む現地採取土砂をふるい分けしてなることを特徴とするソイルセメント。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載のソイルセメントにおいて、
    前記主材が、表乾密度2.5g/cm3以上となるよう粒度を調整されてなることを特徴とするソイルセメント。
  4. 請求項3に記載のソイルセメントにおいて、
    前記火山砕屑物を含む現地採取土砂について粒径と表乾密度の関係から表乾密度が2.5g/cm3以上となる最大粒径寸法を算定し、該最大粒径寸法以下となるよう前記火山砕屑物を含む現地採取土砂をふるい分けしてなることを特徴とするソイルセメント。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のソイルセメントにおいて、
    前記セメント系固化材に、高炉セメントを用いることを特徴とするソイルセメント。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のソイルセメントにおいて、
    前記主材に、海水を吸水させることを特徴とするソイルセメント。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のソイルセメントを用いた盛土工法であって、
    前記ソイルセメントを硬練りに製造した後、該ソイルセメントを層状に敷均し、転圧締固めることを特徴とするソイルセメントを用いた盛土工法。
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