JP6519192B2 - 振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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Description

本発明は、振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体に関するものである。
ATカット振動素子は、励振する主振動の振動モードが厚みすべり振動であり、小型化、高周波数化に適し、且つ周波数温度特性が優れた三次曲線を呈するので、圧電発振器、電子機器等の多方面で使用されている。
特許文献1には、中央部に凸面が設けられた所謂「メサ型」のATカット振動素子が開示されている。このようなメサ型のATカット振動素子は、エネルギーの閉じ込め効率が優れているという利点がある。また、特許文献2には、メサ型のATカット水晶振動子であって、中央部の凸部と周囲の薄肉部との境界部を傾斜面または曲面としたものが開示されている。このような構成とすることで、CI(クリスタルインピーダンス)値を低下させ、副振動を抑圧することができるという利点がある。しかしながら、特許文献1、2に記載のATカット振動素子では、不要振動モードである屈曲振動に起因したスプリアスを十分に低減することができない場合があった。
特開昭58−047316号公報 実開平06−052230号公報
本発明の目的は、不要振動モードである屈曲振動に起因したスプリアスを低減することのできる振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例
本適用例の振動素子は、厚み滑り振動で振動する振動部と、
前記振動部の周囲に位置し、前記振動部よりも厚みが薄い薄肉部と、
前記振動部の主面に配置された電極と、を有し、
前記厚み滑り振動の振動方向における前記振動部の長さをL1、前記電極の長さをL2としたとき、
L1>L2の関係を満足し、
前記厚み滑り振動の振動方向の一方側における前記電極および前記振動部の境界部にある第1段差と前記振動部および前記薄肉部の境界部にある第2段差との間に、屈曲振動の隣り合う第1腹および第2腹が位置し、
前記厚み滑り振動の振動方向における前記第1腹と前記第1段差との距離をd1、前記第2腹と前記第2段差との距離をd2とし、
屈曲振動の波長をλとしたとき、
L1/2=(n/2)λ+d2(ただし、nは整数である)なる関係を満足し、
0<d1≦λ/8および0<d2≦λ/8の関係をそれぞれ満足することを特徴とする。
これにより、不要振動モードである屈曲振動に起因したスプリアスを低減することのできる振動素子を提供することができる。
[適用例
本適用例の振動素子では、(L1−L2)/2=λ/2+d1+d2なる関係を満足することが好ましい。
これにより、より効果的に、不要振動モードである屈曲振動に起因したスプリアスを低減することができる。
[適用例
本適用例の振動素子は、厚み滑り振動で振動する振動部と、
前記振動部の周囲に位置し、前記振動部よりも厚みが薄い薄肉部と、
前記振動部の主面と前記薄肉部の主面とに跨って配置された電極と、を有し、
前記厚み滑り振動の振動方向における前記振動部の長さをL1、前記電極の長さをL2としたとき、
L1<L2の関係を満足し、
前記厚み滑り振動の振動方向の一方側における前記電極および前記振動部の境界部にある第1段差と前記振動部および前記薄肉部の境界部にある第2段差との間に、屈曲振動の隣り合う第1腹および第2腹が位置し、
前記厚み滑り振動の振動方向における前記第1腹と前記第1段差との距離をd1、前記第2腹と前記第2段差との距離をd2とし、
屈曲振動の波長をλとしたとき、
L1/2=(n/2)λ−d1(ただし、nは整数である)なる関係を満足し、
0<d1≦λ/8および0<d2≦λ/8の関係をそれぞれ満足することを特徴とする。
これにより、不要振動モードである屈曲振動に起因したスプリアスを低減することのできる振動素子を提供することができる。
[適用例
本適用例の振動素子では、(L2−L1)/2=λ/2+d1+d2の関係を満足することが好ましい。
これにより、より効果的に、不要振動モードである屈曲振動に起因したスプリアスを低減することができる。
[適用例
本適用例の振動素子では、前記振動部は、第1領域と、前記第1領域の前記厚み滑り振動の振動方向の両側に位置し、前記第1領域よりも厚みの薄い第2領域と、を有していることが好ましい。
これにより、より効果的に、不要振動モードである屈曲振動に起因したスプリアスを低減することができる。
[適用例
本適用例の振動素子では、前記振動部の周囲には、前記振動部の前記厚み滑り振動の振動方向と交差する外縁に沿う凸部が配置されていることが好ましい。
これにより、より効果的に、不要振動モードである屈曲振動に起因したスプリアスを低減することができる。
[適用例
本適用例の振動子は、上記適用例の振動素子と、
前記振動素子が収容されているパッケージと、を有することを特徴とする。
これにより、信頼性の高い振動子が得られる。
[適用例
本適用例の発振器は、上記適用例の振動素子と、
回路と、を有することを特徴とする。
これにより、信頼性の高い発振器が得られる。
[適用例
本適用例の電子機器は、上記適用例の振動素子を有することを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
[適用例10
本適用例の移動体は、上記適用例の振動素子を有することを特徴とする。
これにより、信頼性の高い移動体が得られる。
本発明の第1実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。 図1中のA−A線断面図である。 段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。 ウェットエッチングで形成した水晶基板を示す断面図である。 本発明の第2実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。 図5中のB−B線断面図である。 段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。 ウェットエッチングで形成した水晶基板を示す断面図である。 本発明の第3実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。 図9中のC−C線断面図である。 段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。 段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。 ウェットエッチングで形成した水晶基板を示す断面図である。 本発明の第4実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。 図14中のD−D線断面図である。 段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。 段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。 ウェットエッチングで形成した水晶基板を示す断面図である。 本発明の第5実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。 図19中のE−E線断面図である。 段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。 本発明の第6実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。 図22中のF−F線断面図である。 段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。 本発明の振動子の一例を示す断面図である。 本発明の振動子の変形例を示す上面図および断面図である。 本発明の発振器の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。
以下、本発明の振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.振動素子
まず、本発明の振動素子について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。図2は、図1中のA−A線断面図である。図3は、段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。図4は、ウェットエッチングで形成した水晶基板を示す断面図である。
図1および図2に示すように、振動素子1は、水晶基板(圧電基板)2と、水晶基板2上に形成された電極3とを有している。
(水晶基板)
水晶基板2は、板状の水晶基板である。ここで、水晶基板2の材料である水晶は、三方晶系に属しており、互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有している。X軸、Y軸、Z軸は、それぞれ、電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。本実施形態の水晶基板2は、XZ面をX軸の回りに所定の角度θ回転させた平面に沿って切り出された「回転Yカット水晶基板」であり、たとえばθ=35°15’だけ回転させた平面に沿って切り出された場合の基板は「ATカット水晶基板」という。このような水晶基板を用いることにより優れた温度特性を有する振動素子1となる。ただし、水晶基板2としては、厚みすべり振動を励振することができれば、ATカットの水晶基板に限定されず、例えば、BTカットの水晶基板を用いてもよい。
なお、以下では、角度θに対応してX軸まわりに回転したY軸およびZ軸を、Y’軸およびZ’軸とする。すなわち、水晶基板2は、Y’軸方向に厚みを有し、XZ’面方向に広がりを有する。
水晶基板2は、平面視にて、X軸方向を長辺とし、Z’軸方向を短辺とする長手形状をなしている。ただし、水晶基板2の平面視形状としては、これに限定されず、例えば、X軸方向とZ’軸方向の長さがほぼ等しい正方形状をなしていてもよいし、X軸方向を短辺とし、Z’軸方向を長辺とする長手形状をなしていてもよい。
図1および図2に示すように、水晶基板2は、厚みすべり振動する振動部21と、振動部21の周囲に位置すると共に振動部21と一体化され、振動部21よりも厚みが薄い薄肉部22と、を有している。振動部21は、薄肉部22の+Y’側および−Y’側の両方に突出している。ただし、振動部21は、+Y’軸側および−Y’軸側の少なくとも一方側に突出していればよい。
なお、水晶基板2は、例えば、水晶基板2の周囲を研削するベベル加工や、上面および下面を凸曲面とするコンベックス加工が施されていてもよい。また、振動部21の四隅の角部を丸み付けしてもよい。
電極3は、一対の励振電極311、321と、一対のパッド電極312、322と、一対の引出電極313、323とを有している。励振電極311は、振動部21の表面に配置されており、励振電極321は、振動部21の裏面に、励振電極311と対向して配置されている。また、励振電極311、321のX軸方向の長さEx(L2)は、振動部21のX軸方向の長さMx(L1)よりも短い。すなわち、Ex<Mxの関係を満足している。そして、励振電極311、321は、それぞれ、振動部21のX軸方向の両端と重ならないように、中央部に配置されている。
パッド電極312、322は、それぞれ、水晶基板2の+X軸側の端部にある薄肉部22の下面にZ’軸方向に並んで配置されている。そして、励振電極311とパッド電極312とを接続するように引出電極313が配置されており、励振電極321とパッド電極322とを接続するように引出電極323が配置されている。
このような電極3の構成としては、特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)等の下地層に、Au(金)、Al(アルミニウム)等の金属やAu、Alを主成分とする合金を積層した金属被膜で構成することができる。
以上、振動素子1の構成について説明した。このような振動素子1では、図2に示すように、振動部21の励振電極311、321が設けられている部分が最も厚さの厚い厚肉部11を形成し、その周囲にある振動部21が厚肉部よりも厚さの薄い中肉部12を形成し、振動部21の周囲にある薄肉部22が中肉部よりも厚さの薄い薄肉部13を形成している。そのため、振動素子1では、X軸方向において、振動部21と励振電極311、321との境界部に段差(第1段差)V1が形成されており、振動部21と薄肉部22との境界部に段差(第2段差)V2が形成されている。なお、以下では、−X軸側に位置する段差V1をV1’とし、+X軸側に位置する段差V1をV1”とする。同様に、−X軸側に位置する段差V2をV2’とし、+X軸側に位置する段差V2をV2”とする。
図3に示すように、水晶基板2に生じるスプリアス(不要振動)である屈曲振動の隣り合う2つの腹(最大振幅の位置)が段差V1’、V2’の間に位置し、同様に、屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V1”、V2”の間に位置している。具体的に説明すると、想定される屈曲振動の波形Bの頂点(最大振幅点)P1を通りY’軸に平行な仮想直線をC11とし、波形Bの頂点P1と−X軸側で隣り合う頂点P2を通りY’軸に平行な仮想直線をC12とし、段差V1’を通りY’軸に平行な仮想直線をC13とし、段差V2’を通りY’軸に平行な仮想直線をC14としたとき、仮想直線C13、C14の間に仮想直線C11、C12が位置している。同様に、波形Bの頂点P3を通りY’軸に平行な仮想直線をC15とし、波形Bの頂点P3と+X軸側で隣り合う頂点P4を通りY’軸に平行な仮想直線をC16とし、段差V1”を通りY’軸に平行な仮想直線をC17とし、段差V2”を通りY’軸に平行な仮想直線をC18としたとき、仮想直線C17、C18の間に仮想直線C15、C16が位置している。
すなわち、屈曲振動の波長をλとし、仮想直線C11と仮想直線C13との離間距離(仮想直線C15と仮想直線C17との離間距離)をd1とし、仮想直線C12と仮想直線C14との離間距離(仮想直線C16と仮想直線C18との離間距離)をd2としたとき、(Mx−Ex)/2=λ/2+d1+d2なる関係を満足している。この結果、スプリアスを段差V1’、V2’(V1”、V2”)の間で効果的に閉じ込めることができる。そのため、スプリアスを低減することができ、これにより、振動素子1のCI値が低下し、振動特性が向上する。
特に、本実施形態では、仮想直線C13、C14の間に仮想直線C11、C12が対称的に位置しており、仮想直線C17、C18の間に仮想直線C15、C16が対称的に位置している。すなわち、d1=d2の関係を満足している。これにより、より効果的に、スプリアスを閉じ込めることができ、よって、スプリアスを低減することができる。また、d1、d2は、0<d1≦λ/8および0<d2≦λ/8の関係をそれぞれ満足することが好ましく、さらには、Mx/2=(n/2)λ+d2(ただし、nは整数である)の関係を満足することが好ましい。これにより、スプリアスをさらに効果的に低減することができる。なお、屈曲振動の波長λは、振動素子1の共振周波数fから、例えば、λ/2=(1.332/f)−0.0024、などの数式によって求めることができる。
以上、第1実施形態について説明した。なお、例えば、水晶基板をウェットエッチングでパターニングすることで水晶基板2を形成した場合には、図4に示すように、水晶基板の結晶面が現れ、振動部21の側壁が傾斜面となる。この場合の段差V2は、振動部21の主面および傾斜面の境界と、傾斜面および薄肉部22の主面の境界と、の間の中央に位置する部分とする。また、振動部21のX軸方向の長さMxは、当該部分同士の離間距離とする。
<第2実施形態>
次に、本発明の振動素子の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。図6は、図5中のB−B線断面図である。図7は、段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。図8は、ウェットエッチングで形成した水晶基板を示す断面図である。
以下、第2実施形態の振動素子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる振動素子は、電極の配置が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図5および図6に示すように、本実施形態の振動素子1では、励振電極311、321のX軸方向の長さExが振動部21のX軸方向の長さMxよりも長い。すなわち、すなわち、Ex>Mxの関係を満足している。そして、励振電極311、321は、それぞれ、X軸方向の両端部が振動部21から薄肉部22上にはみ出して配置されている。
このような振動素子1では、振動部21が最も厚さの厚い厚肉部11を形成し、薄肉部22の励振電極311、321が配置されている部分が厚肉部よりも厚さの薄い中肉部12を形成し、その周囲にある薄肉部22が中肉部よりも厚さの薄い薄肉部13を形成している。そのため、X軸方向において、振動部21と薄肉部22との境界部に段差(第1段差)V3が形成されており、励振電極311、321と薄肉部22との境界部に段差(第2段差)V4が形成されている。なお、以下では、−X軸側に位置する段差V3をV3’とし、+X軸側に位置する段差V3をV3”とする。同様に、−X軸側に位置する段差V4をV4’とし、+X軸側に位置する段差V4をV4”とする。
図7に示すように、水晶基板2に生じるスプリアスである屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V3’、V4’の間に位置し、同様に、屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V3”、V4”の間に位置している。具体的に説明すると、想定される屈曲振動の波形Bの頂点P1を通りY’軸に平行な仮想直線をC21とし、波形Bの頂点P1と−X軸側で隣り合う頂点P2を通りY’軸に平行な仮想直線をC22とし、段差V3’を通りY’軸に平行な仮想直線をC23とし、段差V4’を通りY’軸に平行な仮想直線をC24としたとき、仮想直線C23、C24の間に仮想直線C21、C22が位置し、同様に、波形Bの頂点P3を通りY’軸に平行な仮想直線をC25とし、波形Bの頂点P3と+X軸側で隣り合う頂点P4を通りY’軸に平行な仮想直線をC26とし、段差V3”を通りY’軸に平行な仮想直線をC27とし、段差V4”を通りY’軸に平行な仮想直線をC28としたとき、仮想直線C27、C28の間に仮想直線C25、C26が位置している。
すなわち、屈曲振動の波長をλとし、仮想直線C21と仮想直線C23との離間距離(仮想直線C25と仮想直線C27との離間距離)をd1とし、仮想直線C22と仮想直線C24との離間距離(仮想直線C26と仮想直線C28との離間距離)をd2としたとき、(Ex−Mx)/2=λ/2+d1+d2なる関係を満足している。この結果、不要振動を段差V3、V4の間で効果的に閉じ込めることができる。そのため、スプリアスを低減することができ、振動素子1のCI値が低下し、振動特性が向上する。
特に、本実施形態では、仮想直線C23、C24の間に仮想直線C21、C22が対称的に位置しており、仮想直線C27、C28の間に仮想直線C25、C26が対称的に位置している。すなわち、d1=d2の関係を満足している。これにより、より効果的に、前述したスプリアスを低減することができる。また、d1、d2は、0<d1≦λ/8および0<d2≦λ/8の関係をそれぞれ満足することが好ましく、さらには、Mx/2=(n/2)λ−d1(ただし、nは整数である)の関係を満足することが好ましい。これにより、スプリアスをさらに効果的に低減することができる。
以上、第2実施形態について説明した。なお、例えば、水晶基板をウェットエッチングでパターニングすることで水晶基板2を形成した場合には、図8に示すように、水晶基板の結晶面が現れ、振動部21の側壁が傾斜面となる。この場合の段差V3(V3’、V3”)は、振動部21の主面および傾斜面の境界と、傾斜面および薄肉部22の主面の境界と、の間の中央に位置する部分とする。また、振動部21のX軸方向の長さMxは、当該部分同士の離間距離とする。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
なお、本実施形態では、励振電極311、321が、それぞれ、Z’軸方向においても振動部21をはみ出して配置されているが、Z’軸方向については、振動部21からはみ出して配置されていなくてもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明の振動素子の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。図10は、図9中のC−C線断面図である。図11および図12は、それぞれ、段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。図13は、ウェットエッチングで形成した水晶基板を示す断面図である。
以下、第3実施形態の振動素子について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる振動素子は、振動部が2段になっている(所謂「多段メサ型」となっている)こと以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図9および図10に示すように、本実施形態の振動素子1の振動部21は、中央部に位置する厚肉な第1領域211と、第1領域211の周囲(X軸方向両側)に位置し、第1領域211よりも厚みの薄い第2領域212と、を有している。このように、振動部21を所謂「多段メサ型」とすることで、振動部21により効率的にエネルギーを閉じ込めることができる。そのため、より優れた振動特性を発揮することができる。
また、励振電極311は、第1領域211の表面に配置されており、励振電極321は、第1領域211の裏面に、励振電極311と対向して配置されている。また、励振電極311、321のX軸方向の長さEx(L2)は、第1領域211のX軸方向の長さMx(L1)よりも短い。すなわち、Ex<Mxの関係を満足している。そして、励振電極311、321は、それぞれ、第1領域211のX軸方向の両端と重ならないように、中央部に配置されている。
このような振動素子1では、第1領域211の励振電極311、321が配置されている部分が最も厚さの厚い厚肉部11を形成し、その周囲の第1領域211が厚肉部よりも厚さの薄い第1中肉部121を形成し、第2領域212が第1中肉部121よりも厚さの薄い第2中肉部122を形成し、薄肉部22が第2中肉部122よりも厚さの薄い薄肉部13を形成している。そのため、X軸方向において、励振電極311、321と第1領域211の境界部に段差(第1段差)V5が形成されており、第1領域211と第2領域212との境界部に段差(第2段差)V6が形成されており、第2領域212と薄肉部22との境界部に段差(第3段差)V7が形成されている。
なお、以下では、−X軸側に位置する段差V5をV5’とし、+X軸側に位置する段差V5をV5”とする。同様に、−X軸側に位置する段差V6をV6’とし、+X軸側に位置する段差V6をV6”とし、−X軸側に位置する段差V7をV7’とし、+X軸側に位置する段差V7をV7”とする。
図11に示すように、水晶基板2に生じるスプリアスである屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V5’、V6’の間に位置し、同様に、屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V5”、V6”の間に位置している。具体的に説明すると、想定される屈曲振動の波形Bの頂点P1を通りY’軸に平行な仮想直線をC31とし、波形Bの頂点P1と−X軸側で隣り合う頂点P2を通りY’軸に平行な仮想直線をC32とし、段差V5’を通りY’軸に平行な仮想直線をC33とし、段差V6’を通りY’軸に平行な仮想直線をC34としたとき、仮想直線C33、C34の間に仮想直線C31、C32が位置し、同様に、波形Bの頂点P3を通りY’軸に平行な仮想直線をC35とし、波形Bの頂点P3と+X軸側で隣り合う頂点P4を通りY’軸に平行な仮想直線をC36とし、段差V5”を通りY’軸に平行な仮想直線をC37とし、段差V6”を通りY’軸に平行な仮想直線をC38としたとき、仮想直線C37、C38の間に仮想直線C35、C36が位置している。
すなわち、屈曲振動の波長をλとし、仮想直線C31と仮想直線C33との離間距離(仮想直線C35と仮想直線C37との離間距離)をd1とし、仮想直線C32と仮想直線C34との離間距離(仮想直線C36と仮想直線C38との離間距離)をd2としたとき、(Mx−Ex)/2=λ/2−d1−d2なる関係を満足している。この結果、不要振動を段差V5、V6の間で効果的に閉じ込めることができる。そのため、スプリアスを低減することができ、振動素子1のCI値が低下し、振動特性が向上する。
特に、本実施形態では、仮想直線C33、C34の間に仮想直線C31、C32が対称的に位置しており、仮想直線C37、C38の間に仮想直線C35、C36が対称的に位置している。すなわち、d1=d2の関係を満足している。これにより、より効果的に、前述したスプリアスを低減することができる。また、d1、d2は、0<d1≦λ/8および0<d2≦λ/8の関係をそれぞれ満足することが好ましく、さらには、Mx/2=(n/2+1/4)λ−d1−d2(ただし、nは整数である)の関係を満足することが好ましい。これにより、スプリアスをさらに効果的に低減することができる。
なお、本実施形態の変形例として、図12に示すように、水晶基板2に生じるスプリアスである屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V6’、V7’の間に位置し、同様に、屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V6”、V7”の間に位置していてもよい。すなわち、段差V5、V6の間に2つの腹が位置しているか、または、段差V6、V7の間に2つの腹が位置していれば、上述したように、効果的にスプリアスを低減することができる。
以上、第3実施形態について説明した。なお、例えば、水晶基板をウェットエッチングでパターニングすることで水晶基板2を形成した場合には、図13に示すように、水晶基板の結晶面が現れ、第1、第2領域211、212の各側壁が傾斜面となる。この場合の段差V6は、第1領域211の主面および傾斜面の境界と、傾斜面および第2領域212の主面の境界と、の間の中央に位置する部分とする。また、段差V7は、第2領域212の主面および傾斜面の境界と、傾斜面および薄肉部22の主面の境界と、の間の中央に位置する部分とする。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の振動素子の第4実施形態について説明する。
図14は、本発明の第4実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。図15は、図14中のD−D線断面図である。図16および図17は、段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。図18は、ウェットエッチングで形成した水晶基板を示す断面図である。
以下、第4実施形態の振動素子について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第4実施形態にかかる振動素子は、振動部が2段になっている(所謂「多段メサ型」となっている)こと以外は、前述した第2実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図14および図15に示すように、本実施形態の振動素子1の振動部21は、中央部に位置する厚肉な第1領域211と、第1領域211の周囲に位置し、第1領域211よりも厚みの薄い第2領域212と、を有している。
また、励振電極311、321のX軸方向の長さExが振動部21のX軸方向の長さMxよりも長い。すなわち、Ex>Mxの関係を満足している。そして、励振電極311、321は、それぞれ、X軸方向の両端部が振動部21から薄肉部22上にはみ出して配置されている。
このような振動素子1では、第1領域211が最も厚さの厚い厚肉部11を形成し、第2領域212が厚肉部よりも厚さの薄い第1中肉部121を形成し、薄肉部22の励振電極311、321が配置されている部分が第1中肉部121よりも厚さの薄い第2中肉部122を形成し、その周囲に位置する薄肉部22が第2中肉部122よりも厚さの薄い薄肉部13を形成している。そのため、X軸方向において、第1領域211と第2領域212との境界部に段差(第1段差)V8が形成されており、第2領域212と薄肉部22との境界部に段差(第2段差)V9が形成されており、励振電極311、321と薄肉部22との境界部に段差(第3段差)V10が形成されている。
なお、以下では、−X軸側に位置する段差V8をV8’とし、+X軸側に位置する段差V8をV8”とする。同様に、−X軸側に位置する段差V9をV9’とし、+X軸側に位置する段差V9をV9”とし、−X軸側に位置する段差V10をV10’とし、+X軸側に位置する段差V10をV10”とする。
図16に示すように、水晶基板2に生じるスプリアスである屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V9’、V10’の間に位置し、同様に、屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V9”、V10”の間に位置している。具体的に説明すると、想定される屈曲振動の波形Bの頂点P1を通りY’軸に平行な仮想直線をC41とし、波形Bの頂点P1と−X軸側で隣り合う頂点P2を通りY’軸に平行な仮想直線をC42とし、段差V9’を通りY’軸に平行な仮想直線をC43とし、段差V10’を通りY’軸に平行な仮想直線をC44としたとき、仮想直線C43、C44の間に仮想直線C41、C42が位置している。同様に、波形Bの頂点P3を通りY’軸に平行な仮想直線をC45とし、波形Bの頂点P3と+X軸側で隣り合う頂点P4を通りY’軸に平行な仮想直線をC46とし、段差V9”を通りY’軸に平行な仮想直線をC47とし、段差V10”を通りY’軸に平行な仮想直線をC48としたとき、仮想直線C47、C48の間に仮想直線C45、C46が位置している。
すなわち、屈曲振動の波長をλとし、仮想直線C41と仮想直線C43との離間距離(仮想直線C45と仮想直線C47との離間距離)をd1とし、仮想直線C42と仮想直線C44との離間距離(仮想直線C46と仮想直線C48との離間距離)をd2としたとき、(Mx−Ex)/2=λ/2−d1−d2なる関係を満足している。この結果、不要振動を段差V9、V10の間で効果的に閉じ込めることができる。そのため、スプリアスを低減することができ、振動素子1のCI値が低下し、振動特性が向上する。
特に、本実施形態では、仮想直線C43、C44の間に仮想直線C41、C42が対称的に位置しており、仮想直線C47、C48の間に仮想直線C45、C46が対称的に位置している。すなわち、d1=d2の関係を満足している。これにより、より効果的に、前述したスプリアスを低減することができる。また、d1、d2は、0<d1≦λ/8および0<d2≦λ/8の関係をそれぞれ満足することが好ましく、さらには、Mx/2=(n/2+1/4)λ−d1−d2(ただし、nは整数である)の関係を満足することが好ましい。これにより、スプリアスをさらに効果的に低減することができる。
なお、本実施形態の変形例として、図17に示すように、水晶基板2に生じるスプリアスである屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V8’、V9’の間に位置し、同様に、屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V8”、V9”の間に位置していてもよい。すなわち、段差V9、V10の間に屈曲振動の2つの腹が位置しているか、または、段差V8、V9の間に屈曲振動の2つの腹が位置していれば、上述したように、効果的にスプリアスを低減することができる。
以上、第4実施形態について説明した。なお、例えば、水晶基板をウェットエッチングでパターニングすることで水晶基板2を形成した場合には、図18に示すように、水晶基板の結晶面が現れ、第1、第2領域211、212の各側壁が傾斜面となる。この場合の段差V8(V8’、V8”)は、第1領域211の主面および傾斜面の境界と、傾斜面および第2領域212の主面の境界と、の間の中央に位置する部分とする。また、段差V9(V9’、V9”)は、第2領域212の主面および傾斜面の境界と、傾斜面および薄肉部22の主面の境界と、の間の中央に位置する部分とする。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の振動素子の第5実施形態について説明する。
図19は、本発明の第5実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。図20は、図19中のE−E線断面図である。図21は、段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。
以下、第5実施形態の振動素子について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第5実施形態にかかる振動素子は、薄肉部に凸部が配置されていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には同一符号を付してある。
図19および図20に示すように、本実施形態の振動素子1の薄肉部22には、凸部221が設けられている。凸部221は、平面視で、振動部21から−X軸側に離間し、Z’軸方向(振動部21の厚み滑り振動の振動方向(X軸方向)と交差する外縁に沿う方向)に延在している第1凸部221aと、振動部21から+X軸側に離間し、Z’軸方向に延在している第2凸部221bと、を有している。なお、本実施形態では、第1、第2凸部221a、221bは、それぞれ、薄肉部22と一体形成されているが、例えば、薄肉部22の表面に、SiO等の別材料を堆積させることで第1、第2凸部221a、221bを配置してもよい。また、第1、第2凸部221a、221bは、例えば、振動部21の周囲を囲むように配置された枠状部によって一体形成されていてもよい。
このような振動素子1では、X軸方向において、第1凸部221aと薄肉部22との境界部に段差V11、V12が形成されている。なお、以下では、−X軸側に位置する段差V11をV11’とし、+X軸側に位置する段差V11をV11”とする。同様に、−X軸側に位置する段差V12をV12’とし、+X軸側に位置する段差V12をV12”とする。
図21に示すように、水晶基板2に生じるスプリアスである屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V11’、V12’の間に位置し、同様に、屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V11”、V12”の間に位置している。具体的に説明すると、想定される屈曲振動の波形Bの頂点P5を通りY’軸に平行な仮想直線をC51とし、波形Bの頂点P5と−X軸側で隣り合う頂点P6を通りY’軸に平行な仮想直線をC52とし、段差V11’を通りY’軸に平行な仮想直線をC53とし、段差V12’を通りY’軸に平行な仮想直線をC54としたとき、仮想直線C53、C54の間に仮想直線C51、C52が位置し、同様に、波形Bの頂点P7を通りY’軸に平行な仮想直線をC55とし、波形Bの頂点P7と+X軸側で隣り合う頂点P8を通りY’軸に平行な仮想直線をC56とし、段差V11”を通りY’軸に平行な仮想直線をC57とし、段差V12”を通りY’軸に平行な仮想直線をC58としたとき、仮想直線C57、C58の間に仮想直線C55、C56が位置している。この結果、振動素子1は、屈曲振動成分をより効果的に抑制することができ、スプリアスをより効果的に低減することができる。
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の振動素子の第6実施形態について説明する。
図22は、本発明の第6実施形態にかかる振動素子の上面図および下面図である。図23は、図22中のF−F線断面図である。図24は、段差と屈曲振動の波形の位置関係を示す図である。
以下、第6実施形態の振動素子について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第6実施形態にかかる振動素子は、薄肉部に凸部が配置されていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には同一符号を付してある。
図22および図23に示すように、本実施形態の振動素子1の薄肉部22には、凸部222が設けられている。凸部222は、平面視で、振動部21の外周に接し、振動部21を囲む枠状をなしている。ただし、凸部222は、引出電極313、323と重なる部分には形成されていない。このような凸部222は、例えば、電極3と同じ材料で構成されており、電極3と同時に形成されている。ただし、凸部222の構成材料としては、これに限定されず、例えば、SiO等を用いてもよい。
このような振動素子1では、振動部21の励振電極311、321が配置されている部分が最も厚さの厚い厚肉部11を形成し、その周囲の振動部21が厚肉部よりも厚さの薄い第1中肉部121を形成し、凸部222が第1中肉部121よりも厚さの薄い第2中肉部122を形成し、薄肉部22が第2中肉部122よりも厚さの薄い薄肉部13を形成している。そのため、X軸方向において、励振電極311、321と振動部21の境界部に段差(第1段差)V13が形成されており、振動部21と凸部222との境界部に段差(第2段差)V14が形成されており、凸部222と薄肉部22との境界部に段差(第3段差)V15が形成されている。
なお、以下では、−X軸側に位置する段差V13をV13’とし、+X軸側に位置する段差V13をV13”とする。同様に、−X軸側に位置する段差V14をV14’とし、+X軸側に位置する段差V14をV14”とし、−X軸側に位置する段差V15をV15’とし、+X軸側に位置する段差V15をV15”とする。
図24に示すように、水晶基板2に生じるスプリアスである屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V14’、V15’の間に位置し、同様に、屈曲振動の隣り合う2つの腹が段差V14”、V15”の間に位置している。具体的に説明すると、想定される屈曲振動の波形Bの頂点P1を通りY’軸に平行な仮想直線をC61とし、波形Bの頂点P1と−X軸側で隣り合う頂点P2を通りY’軸に平行な仮想直線をC62とし、段差V14’を通りY’軸に平行な仮想直線をC63とし、段差V15’を通りY’軸に平行な仮想直線をC64としたとき、仮想直線C63、C64の間に仮想直線C61、C62が位置し、同様に、波形Bの頂点P3を通りY’軸に平行な仮想直線をC65とし、波形Bの頂点P3と+X軸側で隣り合う頂点P4を通りY’軸に平行な仮想直線をC66とし、段差V14”を通りY’軸に平行な仮想直線をC67とし、段差V15”を通りY’軸に平行な仮想直線をC68としたとき、仮想直線C67、C68の間に仮想直線C65、C66が位置している。
この結果、不要振動を段差V14、V15の間で効果的に閉じ込めることができる。そのため、スプリアスを低減することができ、振動素子1のCI値が低下し、振動特性が向上する。
このような第6実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
2.振動子
次に、前述した振動素子1を適用した振動子について説明する。
図25は、本発明の振動子の一例を示す断面図である。
図25に示す振動子10は、前述した振動素子1と、振動素子1を収容するパッケージ4とを有している。
パッケージ4は、上面に開放する凹部411を有する箱状のベース41と、凹部411の開口を塞いでベース41に接合された板状のリッド42とを有している。そして、凹部411がリッド42によって塞がれることにより形成された収容空間Sに振動素子1が収納されている。収容空間Sは、例えば、減圧(真空)状態となっていてもよい。また、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。
ベース41の構成材料としては、特に限定されないが、酸化アルミニウム等の各種セラミックスを用いることができる。また、リッド42の構成材料としては、特に限定されないが、ベース41の構成材料と線膨張係数が近似する部材であると良い。例えば、ベース41の構成材料を前述のようなセラミックスとした場合には、コバール等の合金とするのが好ましい。なお、ベース41とリッド42の接合は、特に限定されず、例えば、接着材を介して接合してもよいし、シーム溶接等により接合してもよい。
ベース41の凹部411の底面には、接続電極451、461が形成されている。また、ベース41の下面には、外部実装端子452、462が形成されている。接続電極451は、ベース41に形成された貫通電極を介して外部実装端子452と電気的に接続されており、接続電極461は、ベース41に形成された貫通電極を介して外部実装端子462と電気的に接続されている。
収容空間S内に収容されている振動素子1は、下面をベース41側に向けて、+X軸側の端部において2つの導電性接着材51、52によってベース41に固定されている。導電性接着材51は、接続電極451とパッド電極312とに接触して設けられている。これにより、導電性接着材51を介して接続電極451とパッド電極312とが電気的に接続される。一方、導電性接着材52は、接続電極461とパッド電極322とに接触して設けられている。これにより、導電性接着材52を介して接続電極461とパッド電極322とが電気的に接続される。導電性接着材51、52としては、導電性および接着性を有していれば特に限定されず、例えば、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系、ビスマレイミド系等の接着材に導電性フィラーを分散させたものを用いることができる。
(変形例)
次に、振動子の変形例について説明する。
図26は、本発明の振動子の変形例を示す上面図および断面図である。
この変形例は、所謂「MAT」型の振動子である。図26に示すように、本変形例の振動子10は、振動素子1(水晶基板2)と、振動素子1の周囲に位置する枠部61と、枠部61と水晶基板2とを連結する連結部62と、が一体形成された振動素子含有層60を、箱状のベース41と箱状のリッド42とで挟み込んだ構成となっている。より具体的には、ベース41は、上面に開口する凹部411を有しており、その上面が枠部61の下面と接合されている。一方、リッド42は、下面に開口する凹部421を有しており、その下面が枠部61の上面と接合されている。これにより、ベース41、リッド42および枠部61で囲まれた収容空間Sが形成され、この収容空間S内に振動素子1が収容された状態となる。
なお、本変形例では、パッド電極312、322が枠部61に設けられており、パッド電極312、322がベース41に形成された貫通電極を介して外部実装端子452、462と電気的に接続されている。
3.発振器
次に、本発明の振動子を適用した発振器(本発明の発振器)について説明する。
図27は、本発明の発振器の好適な実施形態を示す断面図である。
図27に示す発振器100は、振動子10と、振動素子1を駆動するためのICチップ110とを有している。以下、発振器100について、前述した振動子との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図27に示すように、発振器100では、ベース41の凹部411にICチップ110が固定されている。ICチップ110は、凹部411の底面に形成された複数の内部端子120と電気的に接続されている。複数の内部端子120には、接続電極451、461と接続されているものと、外部実装端子452、462と接続されているものがある。ICチップ110は、振動素子1の駆動を制御するための発振回路を有しており、ICチップ110によって振動素子1を駆動すると、所定の周波数の信号を取り出すことができる。
4.電子機器
次に、本発明の振動子を適用した電子機器(本発明の電子機器)について説明する。
図28は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動子10(振動素子1)が内蔵されている。
図29は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。このような携帯電話機1200には、フィルター、共振器等として機能する振動子10(振動素子1)が内蔵されている。
図30は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300には、フィルター、共振器等として機能する振動子10(振動素子1)が内蔵されている。
なお、本発明の振動素子を備える電子機器は、図28のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図29の携帯電話機、図30のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
5.移動体
次に、本発明の振動子を適用した移動体(本発明の移動体)について説明する。
図31は、本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1500には、振動子10(振動素子1)が搭載されている。振動子10は、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
以上、本発明の振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、圧電基板として水晶基板を用いているが、これに替えて、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の各種圧電基板を用いてもよい。
1……振動素子
10……振動子
11……厚肉部
12……中肉部
121……第1中肉部
122……第2中肉部
13……薄肉部
100……発振器
110……ICチップ
120……内部端子
2……水晶基板
21……振動部
211……第1領域
212……第2領域
22……薄肉部
221……凸部
221a……第1凸部
221b……第2凸部
222……凸部
3……電極
311、321……励振電極
312、322……パッド電極
313、323……引出電極
4……パッケージ
41……ベース
411……凹部
42……リッド
421……凹部
451、461……接続電極
452、462……外部実装端子
51、52……導電性接着材
60……振動素子含有層
61……枠部
62……連結部
1100……パーソナルコンピューター
1102……キーボード
1104……本体部
1106……表示ユニット
1108……表示部
1200……携帯電話機
1202……操作ボタン
1204……受話口
1206……送話口
1208……表示部
1300……ディジタルスチルカメラ
1302……ケース
1304……受光ユニット
1306……シャッターボタン
1308……メモリー
1310……表示部
1312……ビデオ信号出力端子
1314……入出力端子
1430……テレビモニター
1440……パーソナルコンピューター
1500……自動車
B……波形
C11〜C18、C21〜C28、C31〜C38、C41〜C48、C51〜C58、C61〜C68……仮想直線
P1〜P8……頂点
S……収容空間
V1(V1’、V1”)〜V15(V15’、V15”)……段差

Claims (10)

  1. 厚み滑り振動で振動する振動部と、
    前記振動部の周囲に位置し、前記振動部よりも厚みが薄い薄肉部と、
    前記振動部の主面に配置された電極と、を有し、
    前記厚み滑り振動の振動方向における前記振動部の長さをL1、前記電極の長さをL2としたとき、
    L1>L2の関係を満足し、
    前記厚み滑り振動の振動方向の一方側における前記電極および前記振動部の境界部にある第1段差と前記振動部および前記薄肉部の境界部にある第2段差との間に、屈曲振動の隣り合う第1腹および第2腹が位置し、
    前記厚み滑り振動の振動方向における前記第1腹と前記第1段差との距離をd1、前記第2腹と前記第2段差との距離をd2とし、
    屈曲振動の波長をλとしたとき、
    L1/2=(n/2)λ+d2(ただし、nは整数である)なる関係を満足し、
    0<d1≦λ/8および0<d2≦λ/8の関係をそれぞれ満足することを特徴とする振動素子。
  2. (L1−L2)/2=λ/2+d1+d2なる関係を満足する請求項に記載の振動素子。
  3. 厚み滑り振動で振動する振動部と、
    前記振動部の周囲に位置し、前記振動部よりも厚みが薄い薄肉部と、
    前記振動部の主面と前記薄肉部の主面とに跨って配置された電極と、を有し、
    前記厚み滑り振動の振動方向における前記振動部の長さをL1、前記電極の長さをL2としたとき、
    L1<L2の関係を満足し、
    前記厚み滑り振動の振動方向の一方側における前記電極および前記振動部の境界部にある第1段差と前記振動部および前記薄肉部の境界部にある第2段差との間に、屈曲振動の隣り合う第1腹および第2腹が位置し、
    前記厚み滑り振動の振動方向における前記第1腹と前記第1段差との距離をd1、前記第2腹と前記第2段差との距離をd2とし、
    屈曲振動の波長をλとしたとき、
    L1/2=(n/2)λ−d1(ただし、nは整数である)なる関係を満足し、
    0<d1≦λ/8および0<d2≦λ/8の関係をそれぞれ満足することを特徴とする振動素子。
  4. (L2−L1)/2=λ/2+d1+d2の関係を満足する請求項に記載の振動素子。
  5. 前記振動部は、第1領域と、前記第1領域の前記厚み滑り振動の振動方向の両側に位置し、前記第1領域よりも厚みの薄い第2領域と、を有している請求項ないしのいずれか1項に記載の振動素子。
  6. 前記振動部の周囲には、前記振動部の前記厚み滑り振動の振動方向と交差する外縁に沿う凸部が配置されている請求項ないしのいずれか1項に記載の振動素子。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動素子と、
    前記振動素子が収容されているパッケージと、を有することを特徴とする振動子。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動素子と、
    回路と、を有することを特徴とする発振器。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動素子を有することを特徴とする電子機器。
  10. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動素子を有することを特徴とする移動体。
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