JP6518012B2 - 被覆されたアイロンがけプレート及び被覆されたアイロンがけプレートを形成する方法 - Google Patents

被覆されたアイロンがけプレート及び被覆されたアイロンがけプレートを形成する方法 Download PDF

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Description

本発明は、アイロンがけプレートのための被覆、及び被覆されたアイロンがけプレートを形成する方法に関する。
摩擦帯電は、2つの異なる面が互いに接触し離れるときに生じる。一方の物質の原子はしばしば、他方の物質よりも電子に対して大きな誘引力を持つ(電子親和力の相違)。このことが生じると、一方の面は負の電荷を持ち(より多くの電子)、他方は正の電荷を持つ(より少ない電子)こととなる。
摩擦電気は、2つの誘電体、2つの半導体又は2つの金属の間で摩擦が起きたときに観察される。これらの物質は、異なる化学的組成のものであっても良いし、又は同一の組成であるが異なる密度を持つものであっても良い。摩擦電気はまた、例えば金属と誘電体との間、2つの同一の誘電体の間、液体誘電体の間、又は液体誘電体と固体の表面との間で、摩擦が起きたときに観察される。いずれの場合においても、双方の物質は帯電され、電荷が同じとなるが反対の符号を持つこととなる。
静電気は、非導電性物質を加工する機械において大きな問題となることが多い。帯電の問題に対処するため、2つの単純な規則が一般に用いられる。即ち、第1の方法は、全ての導電体を接地することであり、第2の方法は、全ての絶縁性の電荷発生体を取り除くか又は制限することである。
帯電した物体が導電体である場合には、該物体は接地面に導線により接続されるべきである。該導線は通常、機械の金属のフレーム、冷水管、又は同様の何らかのものである。代替としては、非導電性面における静電気は、該面を接地面へと導電性を持つものとすることにより除去され得る。帯電防止スプレー及び添加物は、空気から水分を引き寄せ、該面を僅かに導電性とすることにより、このように機能する。更に接地又は逆に帯電した面への経路がある。帯電防止スプレーは、効果が消えていくものであり、空気の温度及び湿度レベルに影響を受ける。
アイロン機器のアイロンがけプレート(IP)は通常、動作の間に布又は衣類に接触する面において特定のコーティングにより被覆された1つ以上の金属シート又はブロックを有する。IP面の被覆は、審美的な機能、腐食/力学的な損傷からの保護、及び/又は布上における容易な滑動のための低摩擦性を提供するよう機能し得る。斯かる被覆のために一般的に用いられる物質は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、有機−無機混合高分子、及び磁器エナメル(porcelain enamel)を含み得る。多くの被覆は誘電被覆であり、絶縁材料を含むか、又は非常に少ない電流しか通さないものである。図1は、有機−無機混合高分子の構造を示す図である。有機−無機混合高分子は、シリコーン及び/又はその他の絶縁材料を含み得る。Rはメチル、エチル又はフェニルのような有機基を表し得る。
アイロンがけは、アイロンがけプレートが連続的に及び反復的に布面に接触し布綿を擦る工程である。異なるタイプの布の電子親和力は異なるため、異なるタイプの布をアイロンがけすると摩擦帯電現象が生じることは避けられない。誘電体コーティングにより被覆された金属のアイロンがけプレートを用いてアイロンがけが実行される場合、表面に摩擦帯電が生じ(即ち誘電体コーティングに電荷が生成され)、電荷を取り除くこと又は消散させることを困難にする。誘電体コーティングは絶縁体であり、電荷は放出/脱出する径路を持たない。更に、誘電体コーティングの抵抗が高いため、帯電速度が放出速度よりもかなり速い。図2A及び2Bは、金属のプレートがアセンブリ側から導電体により接地された、金属のアイロンがけプレートを被覆する誘電体コーティングの表面上の正味の電荷の2つの状況を示す。図2Aは、誘電体コーティング2が正味の負電荷を持ち、アイロンがけプレート1が設置された、金属のアイロンがけプレート1を模式的に示す。図2Bは、誘電体コーティング2が正味の正電荷を持ち、アイロンがけプレート1が設置された、金属のアイロンがけプレート1を模式的に示す。金属のアイロンがけプレート1は、図2Cに示されるようにアイロン本体3により接地されても良い。
アイロンがけプレートにおける正味の電荷は、処置される布における電荷とは反対であり、正味の電荷が、アイロンがけプレート1と布との間の接着力を増大させる。従って、摩擦力が増大する。斯かる状況においては、滑動性能が影響を受け、アイロンがけ動作の間、ユーザはアイロンがうまく進まない感覚を受け得る。酷い状況では、布がアイロンがけプレートの表面に接着し、アイロンが布に対して動かなくなり得る。
独国特許3617034は、接着防止層で圧力アイロンを被覆するための工程、及び圧力アイロンを開示している。
本発明の目的は、上述した問題を回避又は軽減する、被覆されたアイロンがけプレートを提案することにある。
本発明は、独立請求項により定義される。従属請求項は、有利な実施例を定義する。
本発明の一態様によれば、被覆されたアイロンがけプレートが提供される。該被覆されたアイロンがけプレートは、アイロンがけプレートと、前記アイロンがけプレートの上に形成された複合コーティングと、を有し、前記複合コーティングは、10オームより大きな表面抵抗を持つ、前記アイロンがけプレート上の誘電体層と、前記誘電体層上に配置されたアイロンがけの間に衣類又は布に接触するための、及び前記アイロンがけプレートに直接接触するための、静電気消散層と、を有し、前記静電気消散層は、10オームよりも小さな表面抵抗を持ち、それにより、前記静電気消散層がない場合における前記アイロンがけプレートを通る前記誘電体層からの電荷の消散に比べて、アイロンがけの間の前記静電気消散層に発生した静電気が、前記アイロンがけプレートを通り前記静電気消散層から容易に消散させられる。
該静電気消散コーティングに発生した静電気は、誘電体コーティング又は層に比べて、より容易に消散させられる。電荷は、アイロンがけ処理の間に、静電気消散層が衣類を擦るときに生成される。静電気消散層は、誘電体層の表面抵抗に比べて低い表面抵抗を持ち、発生した電荷を消散させることを支援する。該電荷は、静電気消散層に物理的に接触したアイロンがけプレートへと消散させられる。
反対に、静電気消散層を持たず、誘電体のコーティング又は層のみを持つアイロンがけプレートについては、アイロンがけ処理の間に誘電体層が衣類を擦るときに、アイロンがけ処理の間に誘電体層に電荷が発生する。該電荷は、誘電体のコーティング又は層の高い表面抵抗のために、消散させられる可能性が低い。
好適な実施例においては、前記誘電体層は、前記アイロンがけプレート上にある。代替の実施例においては、前記誘電体層と前記アイロンがけプレートとは、1枚以上の中間層を介して離隔されても良い。前記誘電体層は、有機−無機混合高分子層、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層及び磁器エナメル層並びにこれらのいずれかの組み合わせから成る群から選択されても良い。該誘電体層は、該アイロンがけプレートを保護し、及び/又は該アイロンがけプレートの腐食を防止することを支援し得る。
好適な実施例においては、前記静電気消散層は、1つ以上の適切な金属酸化物を有する。前記1つ以上の適切な金属酸化物は、透明な導電性金属酸化物であっても良い。前記1つ以上の適切な金属酸化物は、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウム錫酸化物、酸化インジウム、酸化カドミウム、カドミウム錫酸化物、及びインジウムドープ酸化カドミウムから成る群から選択されても良い。
該被覆されたアイロンがけプレートを有する電気機器(例えばアイロン)が提供され得る。該電気機器は、該被覆されたアイロンがけプレートを加熱するための加熱器を含んでも良い。該アイロンはまた、水を収容するための水タンクと、該水を加熱して蒸気を生成するための蒸気生成器と、を含んでも良い。該アイロンは更に、該水タンクから該蒸気生成器へと水をポンピングするためのポンプを含んでも良い。
前記アイロンがけプレートは、アルミニウム及びステンレス鋼のうち一方を有しても良く、即ちアルミニウム又はステンレス鋼であっても良い。前記アイロンがけプレートは、他の適切な金属、他の適切な金属合金(例えばアルミニウム合金)又は他のいずれかの適切な物質を有しても良い。
前記静電気消散層は、前記アイロンがけプレートの1つ以上の端部と直接に接触しても良い。前記アイロンがけプレートは、境界に沿って1つ以上の端部を持つ。前記静電気消散層は、該1つ以上の端部に物理的に接触していても良い。
前記アイロンがけプレートは、壁部によって定義された蒸気孔を有しても良い。前記アイロンがけプレートは、前記アイロンにおける蒸気生成器から、外部環境又は衣類への蒸気の通過を可能とする、1つ以上の蒸気孔を持っても良い。前記静電気消散層は、前記蒸気孔を定義する前記壁部と直接に接触しても良い。
本発明の更に他の態様によれば、被覆されたアイロンがけプレートを形成する方法が提供され得る。該方法は、アイロンがけプレートを備えるステップと、10オームより大きな表面抵抗を持つ誘電体層を、前記アイロンがけプレート上に形成するステップと、アイロンがけの間に衣類又は布に接触するための、及び前記アイロンがけプレートに直接接触するための、静電気消散層を前記誘電体層上に形成するステップと、を有し、前記静電気消散層は、10オームよりも小さな表面抵抗を持ち、それにより、前記静電気消散層がない場合における前記アイロンがけプレートを通る前記誘電体層からの電荷の消散に比べて、アイロンがけの間の前記静電気消散層に発生した静電気が、前記アイロンがけプレートを通り前記静電気消散層から容易に消散させられる。
前記誘電体層を形成するステップは、スプレー被覆によって前記アイロンがけプレート上に誘電材料を塗布するステップを有しても良い。
前記静電気消散層を形成するステップはまた、前記誘電体層によって被覆されていない前記アイロンがけプレートに静電気消散材料を塗布するステップを有しても良い。前記静電気消散材料は、前記静電気消散層を形成する。
前記静電気消散層を形成するステップは、前記誘電体層に静電気消散材料を塗布するステップを有し、前記誘電体層によって被覆されていない前記アイロンがけプレートに静電気消散材料が広がることを可能としても良い。該誘電体層上に堆積された該静電気消散材料は、該アイロンがけプレートの被覆されていない部分へと、該誘電体層上の端部を通って広がり得る。
本発明の実施例は、添付図面を参照しながら、単に例として以下に説明される。
有機−無機混合高分子の構造を示す図である。 アイロンがけプレートが接地された、誘電体コーティングが正味の負電荷を持つ、金属のアイロンがけプレートを示す模式図である。 アイロンがけプレートが接地された、誘電体コーティングが正味の正電荷を持つ、金属のアイロンがけプレートを示す模式図である。 アイロン本体により接地された金属のアイロンがけプレートを示す模式図である。 本発明の一態様によるアイロンがけプレート4のためのコーティング7を示す模式図である。 本発明の他の態様による方法を示すフロー図である。 一実施例によるスプレー被覆処理を受けるアイロンがけプレート4を示す模式図である。 一実施例によるアイロンがけプレート4上に形成された誘電体層5を示す模式図である。 一実施例による誘電体層5上に形成された静電気消散層6を示す模式図である。 一実施例による誘電体層5の被覆端部8を示す模式図である。
本発明の一態様においては、複合コーティングを有するアイロンがけプレートが備えられ得る。図3は、本発明の一態様によるアイロンがけプレート4のためのコーティング7を示す模式図である。図3に示されるように、コーティング7は、複合コーティングである。(複合)コーティング7は、アイロンがけプレート4の上に誘電体層5を有し、誘電体層5は、10オームよりも大きな表面抵抗を持つ。(複合)コーティング7は更に、誘電体層5の上に、アイロンがけプレート4と直接に接触した静電気消散層6を有し、静電気消散層6は、10 オームよりも小さな表面抵抗を持つ。
換言すれば、複合コーティング7は、アイロンがけプレート4の上に塗布される。複合コーティング7は、静電気消散層6と誘電体層5とを有する。複合コーティング7は、誘電体層5がアイロンがけプレート4に近く、静電気消散層6がアイロンがけプレート4から遠くなるように、アイロンがけプレート4上に塗布される。静電気消散層6は、誘電体層5及びアイロンがけプレート4との両方と接触する。静電気消散層6は、誘電体層5と接触した第1の部分と、アイロンがけプレート4と接触した第2の部分と、を有しても良い。
アイロンがけの間に、複合コーティング7の最も外側の層である静電気消散層6が、衣類又は布と擦り合わされると、静電気消散層6に電荷が生じる。静電気消散層6の低い表面抵抗のため、生じた電荷は静電気消散層6からアイロンがけプレート4へと迅速に移動する。アイロンがけプレート4は、電源プラグのような適切な手段を介して接地されていても良い。アイロンがけ動作の間に静電気消散層6において誘発された電荷は斯くして、接地により迅速に中和される。種々の実施例においては、静電気消散層6の表面抵抗は、10オームより小さく、10オームより小さく、又は10オームより小さくても良い。
表面抵抗は、表面抵抗計により測定されても良い。表面抵抗は、試験基準ESD STM11.13-2004による標準的な2点プローブにより測定されても良い。試験基準ESD STM11.13-2004によれば、サイズ、直径、プローブの距離及びその他の特性のような良く定義されたパラメータに基づいて測定が為される。
静電気消散層6は、誘電体層5から、誘電体層5によってカバーされていない(非カバーの)アイロンがけプレート4の部分まで延在する。静電気消散層6は、誘電体層5をカバーし、アイロンがけプレート4の少なくとも一部も直接的に被覆する、連続的な層である。図3は、アイロンがけプレート4上の誘電体層5を示す。斯かる状況においては、誘電体層5は、アイロンがけプレート4に接触する。しかしながら、誘電体層5とアイロンがけプレート4とが、1つ以上の中間層により離隔されることも想到され得る。
静電気消散層6は、1つ以上の適切な金属酸化物を有しても良い。該1つ以上の適切な金属酸化物は、透明な導電性金属酸化物である。該1つ以上の適切な金属酸化物は、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウム錫酸化物、酸化インジウム、酸化カドミウム、カドミウム錫酸化物、及びインジウムドープ酸化カドミウムから成る群から選択されても良い。
誘電体層5は、有機−無機混合高分子層、ポリテトラフルオロエチレン層、及び磁器エナメル層から成る群から選択されても良い。
被覆されたアイロンがけプレート9は、ここで説明されたアイロンがけプレート4及び複合コーティング7を有しても良い。換言すれば、被覆されたアイロンがけプレート9は、アイロンがけプレート4、アイロンがけプレート4上の誘電体層5、及び誘電体層5上にありアイロンがけプレート4とも直接に接触した静電気消散層6を有する。複合コーティング7は、アイロンがけプレート4の外側面、即ち動作の間にアイロンがけのために用いられる面上にある。
被覆されたアイロンがけプレート9を有する、アイロンのような電気機器が提供され得る。該電気機器(例えばアイロン)は、被覆されたアイロンがけプレート9を加熱するための加熱器を含んでも良い。該アイロンはまた、水を収容するための水タンクと、該水を加熱して蒸気を生成するための蒸気生成器と、を含んでも良い。該アイロンは更に、該水タンクから該蒸気生成器へと水をポンピングするためのポンプを含んでも良い。
アイロンがけプレート4は、アルミニウム及びステンレス鋼のうち一方を有しても良く、即ちアルミニウム又はステンレス鋼であっても良い。アイロンがけプレート4はまた、他の適切な金属、他の適切な金属合金(例えばアルミニウム合金)又は他のいずれかの適切な物質を有しても良い。
静電気消散層6は、アイロンがけプレート4の1つ以上の端部と直接に接触しても良い。アイロンがけプレート4は、境界に沿って1つ以上の端部を持つ。該静電気消散層は、該1つ以上の端部に物理的に接触していても良い。
該アイロンがけプレートは、壁部によって定義された蒸気孔を有しても良い。該アイロンがけプレートは、該アイロンにおける蒸気生成器から、外部環境又は衣類への蒸気の通過を可能とする、1つ以上の蒸気孔を持っても良い。静電気消散層は、該蒸気孔を定義する該壁部と直接に接触しても良い。
本発明の他の態様によれば、被覆されたアイロンがけプレートを形成する方法が提供され得る。図4は、本発明の他の態様による方法を示すフロー図である。該方法は、
−ステップS1において、アイロンがけプレート4を備えるステップと、
−ステップS2において、10オームより大きな表面抵抗を持つ誘電体層5を、アイロンがけプレート4上に形成するステップと、
−ステップS3において、アイロンがけプレート4に直接接触するための10オームよりも小さな表面抵抗を持つ静電気消散層6を誘電体層5上に形成するステップと、
を有する。
誘電体層5は、アイロンがけプレート4に又はアイロンがけプレート4の上に形成されても良い。次いで静電気消散層6が誘電体層5上に形成され、静電気消散層6は誘電体層5及びアイロンがけプレート4と接触する。誘電体層5は、10オームより大きな表面抵抗を持つ。
誘電体層5を形成するステップは、スプレー被覆によってアイロンがけプレート4上に誘電材料を塗布するステップを有する。堆積させられた誘電材料が、誘電体層5を形成する。図5Aは、一実施例によるスプレー被覆処理を受けるアイロンがけプレート4を示す模式図である。スプレー被覆は、スプレー被覆ノズル又は射出器9により塗布されても良い。アイロンがけプレート4は、1つ以上の蒸気孔8を持ち得る。図5Bは、一実施例によるアイロンがけプレート4上に形成された誘電体層5を示す模式図である。誘電体層5は、アイロンがけプレート4を完全にはカバー又は被覆しない。例えば、壁を定義する蒸気孔8の位置及びアイロンがけプレート4の端部は、誘電体層5によってカバー又は被覆されない。
次いで静電気消散材料(例えば液体のラッカの形をとる)が、誘電体層5によって被覆されていない(即ち非被覆の)アイロンがけプレート4に、例えばスプレー被覆によって塗布されても良い。静電気消散材料は、静電気消散層6の材料を(最終的に)形成する前駆物質を指し得る。静電気消散層6は、ゾルゲル法のような適切な方法によって、該前駆物質から形成されても良い。該前駆物質は、例えば250℃より高い温度にまで加熱されて、静電気消散層6を形成しても良い。
静電気消散材料は、誘電体層5上に塗布されても良い。静電気消散材料はこのとき、誘電体層5によりカバーされていない(非カバーの)又は被覆されていないアイロンがけプレート4へと広がることを可能とされる。堆積した静電気消散材料により形成された静電気消散層6は、アイロンがけプレート4の端部又は壁を定義する蒸気孔8を通して、アイロンがけプレート4の金属表面と直接に接続しても良い。それ故、アイロンがけの間に静電気消散層6上に引き起こされる表面電荷の消散のための接地経路が、本方法により確立される。図5Cは、一実施例による誘電体層5上に形成された静電気消散層6を示す模式図である。
アイロンがけプレート4のカバーされていない部分への消散材料の広がりは、表面張力により駆動される湿潤により達成されても良い。誘電体層5の被覆端部における堆積した消散材料又はラッカは、アイロンがけプレート4の金属表面と接触し得、堆積した消散材料又はラッカは、金属表面の表面エネルギーにより駆動されアイロンがけプレート4の金属表面領域へと更に広がり得る。図5Dは、一実施例による誘電体層5の被覆端部8を示す模式図である。
代替としては、静電気消散材料又はラッカは、壁部を定義する蒸気孔8及びアイロンがけプレート4の端部の部分のような、アイロンがけプレートのカバーされていない部分に直接に塗布されても良い。該ラッカは、カバーされていない金属表面に直接に射出されても良い。一般的に、静電気消散層6とアイロンがけプレート4とのいずれの直接的な接続又は接触も、接地経路を確立することが可能となり得る。
静電気消散層6を形成するため、酸化錫(SnO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)が、ゾルゲル被覆法により塗布されても良い。これら物質は、10オームよりも小さな表面抵抗を持つ静電気消散層6を形成する。被覆されたアイロンがけプレートの上端面におけるいずれかの点からアイロンの電源プラグの接地ピンまでの抵抗は約10オームであり、従って該面が効果的に接地される。下にある誘電体層の外観に影響を与えないため、透明な導電性のコーティング(例えばアンチモンドープ酸化錫)が好適となり得る。有機−無機混合コーティングは、アイロンがけプレートの審美的なデザイン又は特徴を形成する高い柔軟性を持つ。
酸化錫、アンチモンドープ酸化錫又は酸化チタンの層が、ゾルゲル被覆工程によって塗布されても良い。
例えば、酸化錫の場合には、ラッカは溶媒中に溶解した塩化錫塩であっても良い。該ラッカは、(既に誘電体層により被覆された)アイロンがけプレートにスプレーされ、次いで約300℃で1時間硬化され、酸化錫を有する静電気消散層を形成しても良い。
アンチモンドープ酸化錫の場合には、ラッカは溶媒中に溶解した塩化アンチモンと塩化錫塩との混合物である。該ラッカは、(既に誘電体層により被覆された)アイロンがけプレートにスプレーされ、次いで約300℃で1時間硬化され、アンチモンドープ酸化錫を有する静電気消散層を形成しても良い。
以上の実施例は単に例として記載されたものであり、本発明の技術的手法を限定することを意図したものではない。本発明は、好適な実施例を参照しながら詳細に説明されたが、当業者は、本発明の技術的手法は、本発明の技術的手法の範囲から逸脱することなく、修正又は同等に変更され得、斯かる修正及び変更もまた、本発明の請求項の保護範囲に入ることを、理解するであろう。請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

Claims (14)

  1. アイロンがけプレートと、
    前記アイロンがけプレートの上に塗布された複合コーティングと、
    を有し、前記複合コーティングは、
    10オームより大きな表面抵抗を持つ、前記アイロンがけプレート上の誘電体層と、
    アイロンがけの間に衣類又は布に接触するための、及び前記アイロンがけプレートに直接接触するための、前記誘電体層上に配置された静電気消散層と、
    を有し、前記静電気消散層は、10オームよりも小さな表面抵抗を持ち、それにより、前記静電気消散層がない場合における前記アイロンがけプレートを通る前記誘電体層からの電荷の消散に比べて、アイロンがけの間に前記静電気消散層に発生した静電気が、前記アイロンがけプレートを通り前記静電気消散層から容易に消散させられる、被覆されたアイロンがけプレート。
  2. 前記誘電体層は、前記アイロンがけプレート上にある、請求項1に記載の被覆されたアイロンがけプレート。
  3. 前記誘電体層は、有機−無機混合高分子、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、有機−無機混合高分子及び磁器エナメル層並びにこれらのいずれかの組み合わせから成る群から選択される、請求項1又は2に記載の被覆されたアイロンがけプレート。
  4. 前記静電気消散層は、1つ以上の適切な金属酸化物を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の被覆されたアイロンがけプレート。
  5. 前記1つ以上の適切な金属酸化物は、透明な導電性金属酸化物である、請求項4に記載の被覆されたアイロンがけプレート。
  6. 前記1つ以上の適切な金属酸化物は、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウム錫酸化物、酸化インジウム、酸化カドミウム、カドミウム錫酸化物、及びインジウムドープ酸化カドミウムから成る群から選択される、請求項4又は5に記載の被覆されたアイロンがけプレート。
  7. 前記アイロンがけプレートは、アルミニウム及びステンレス鋼のうち一方を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の被覆されたアイロンがけプレート。
  8. 前記静電気消散層は、前記アイロンがけプレートの1つ以上の端部と直接に接触する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の被覆されたアイロンがけプレート。
  9. 前記アイロンがけプレートは、壁部によって定義された蒸気孔を有し、
    前記静電気消散層は、前記蒸気孔を定義する前記壁部と直接に接触する、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載の被覆されたアイロンがけプレート。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の被覆されたアイロンがけプレートを有する、衣類を処置するための電気機器。
  11. 被覆されたアイロンがけプレートを形成する方法であって、
    アイロンがけプレートを備えるステップと、
    前記アイロンがけプレート上に、10オームより大きな表面抵抗を持つ誘電体層を形成するステップと、
    前記誘電体層上に、アイロンがけの間に衣類又は布に接触するための、及び前記アイロンがけプレートに直接接触するための、静電気消散層を形成するステップと、
    を有し、前記静電気消散層は、10オームよりも小さな表面抵抗を持ち、それにより、前記静電気消散層がない場合における前記アイロンがけプレートを通る前記誘電体層からの電荷の消散に比べて、アイロンがけの間の前記静電気消散層に発生した静電気が、前記アイロンがけプレートを通り前記静電気消散層から容易に消散させられる、方法。
  12. 前記誘電体層を形成するステップは、スプレー被覆によって前記アイロンがけプレート上に誘電材料を塗布するステップを有する、請求項11に記載の方法。
  13. 前記静電気消散層を形成するステップは、前記誘電体層によって被覆されていない前記アイロンがけプレートに静電気消散材料を塗布するステップを有する、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記静電気消散層を形成するステップは、前記誘電体層に静電気消散材料を塗布し、前記誘電体層によって被覆されていない前記アイロンがけプレートに静電気消散材料が広がることを可能とするステップを有する、請求項11又は12に記載の方法。
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