JP6515702B2 - 研磨液、貯蔵液及び研磨方法 - Google Patents

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本発明は、研磨液、貯蔵液及び研磨方法に関する。より具体的には、本発明は、サファイアを含む基体を研磨するために使用される研磨液、当該研磨液を得るための貯蔵液及びこれらを使用したサファイアの研磨方法に関する。
サファイアは従来からLEDの基板用途に主に用いられてきたが、サファイアが透明で、高い硬度も有し、傷がつきにくいことから、近年スマートフォンに代表される電子機器筐体等のフロントカバーガラスやカメラカバーガラス等にも用いられるようになり、年々その需要が増している。
サファイア基板の製造方法としては、まずベルヌーイ法やチョクラルスキー法、EFG(Edge−defined Film−fed Growth Method)法等でサファイアの塊を作り、次に基板状にくりぬき、薄くスライスして製造する方法が挙げられる。スライスするときにはダイヤモンド粒が付着した細いワイヤー等(マルチワイヤーソー)を使用して切り出すため、切り出した表面には細かい傷が存在する。
LED基板はサファイア上にGaNを結晶成長させて製造されるため、その用途上、サファイア表面には非常に平滑であることが求められる。またサファイアを電子機器筐体のカバーガラス等に用いる場合でも、サファイア表面に傷等があると意匠性が低下し、見た目にも美しくないことから、傷等が無く平滑であることが求められる。
このようなサファイア表面の傷等を除去し、平滑にするためにはCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)工程が必要不可欠である。CMPとは研磨液によって化学的に被加工物の表面を研磨し易く変質させながら、研磨液に含まれる砥粒と研磨パッドにより機械的に研磨する技術である。しかし、サファイアは化学的、熱的に非常に安定であり、硬度も高いため、CMPが難しく、加工時間が長くかかり、生産コストが高いという問題がある。
その生産コストを下げるため、研磨工程でのサファイアの研磨速度を向上させ、研磨時間を短縮することが望まれている。研磨速度は研磨時の研磨定盤の回転数や圧力を上げることで、高めることができる。しかし、年々必要とされるサファイア基板が薄膜化していく傾向にあり、研磨定盤の回転数や圧力を一定以上に上げるとサファイア基板が割れたり欠けたりする原因となる。そのため、研磨に用いられる研磨液を改善することで研磨速度を向上することが望まれている。
サファイア用の研磨液はいくつか知られているが、その種類は豊富とは言えない。例えば特許文献1には、高濃度のコロイダルシリカを含んだ研磨液によってサファイアを研磨することが開示されている。また特許文献2には、アルカノールアミン化合物とパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物の少なくとも一方と、シリカ粒子、及び水を含有してなるサファイア基板用研磨液が開示されている。さらに特許文献3には、粒子径が10nm以上50nm以下であるシリカを2質量%以上含有し、60nm以上かつ300nm以下の粒子径を有するシリカを2質量%以上含有してなる研磨液が開示されている。
特開2008−44078号公報 特開2009−297818号公報 国際公開第2013/069623号
しかし、例えば特許文献1〜3に記載された研磨液でサファイアを研磨した場合、比較的研磨速度が遅く、研磨速度は充分とはいえない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、サファイアを速い研磨速度で研磨することができる研磨液、その貯蔵液及びこれらを用いたサファイアの研磨方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、平均一次粒径が60〜150nmである少なくとも1種以上の大シリカ、平均一次粒径が40nm以下である少なくとも1種以上の小シリカ、水、及び研磨促進剤を含み、大シリカの含有量(L)を小シリカの含有量(S)で除した値(L/S)が1超であり、研磨促進剤がケイ酸アルミニウム系添加剤を含み、pHが7.0〜10.4である、サファイアを含む基体を研磨するための研磨液に関する。このような研磨液を用いることにより、サファイアの表面を、優れた研磨速度で研磨できる。
本発明の一態様において、前記大シリカ及び前記小シリカの合計含有量が、研磨液全質量基準で1〜40質量%であることが好ましい。これによりサファイアの表面を、より優れた研磨速度で研磨することができる。
本発明の一態様において、研磨液がさらにpH緩衝剤を含み、該pH緩衝剤の含有量が、研磨液全質量基準で0.01〜1.0質量%であることが好ましい。これによりサファイアの表面を、長時間、安定的に優れた研磨速度で研磨することができる。
本発明の一態様は、液状媒体で2倍以上に希釈されることにより、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨液を得ることができる、貯蔵液に関する。このような貯蔵液によれば、CMP用研磨液の貯蔵・運搬等に係るコストを低減できる。
本発明の一態様は、上記研磨液を用いて、サファイアを含む基体を研磨する工程を備える研磨方法に関する。このような研磨方法によれば、サファイアを含む基体を、優れた研磨速度で研磨することができる。
本発明の一態様は、上記貯蔵液を液状媒体で2倍以上に希釈することにより得られる研磨液を用いて、サファイアを含む基体を研磨する工程を備える研磨方法に関する。これにより、CMP用研磨液の貯蔵・運搬・保管等に係るコストを抑制できるため、総合的な製造コストを低減できる。
本発明によれば、サファイアを速い研磨速度で研磨することができる研磨液、その貯蔵液及びこれらを用いたサファイアの研磨方法を提供することができる。
図1は、粒子の平均粒子径の算出方法を説明するための図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
[研磨液]
本発明の一実施形態に係る研磨液は、平均一次粒径が60〜150nmである少なくとも1種以上の大シリカ、平均一次粒径が40nm以下である少なくとも1種以上の小シリカ、水、及び研磨促進剤を含み、大シリカの含有量(L)を小シリカの含有量(S)で除した値(L/S)が1超であり、研磨促進剤がケイ酸アルミニウム系添加剤を含み、pHが7.0〜10.4である、サファイアを含む基体を研磨するための研磨液である。
(シリカ)
本実施形態に係る研磨液は、シリカを含有する。シリカは砥粒として作用する。砥粒としては、従来から、シリカ、アルミナがよく知られているが、シリカは、サファイア表面の平滑化に優れている。
サファイアに対する研磨速度が向上する観点から、研磨液は、シリカの平均一次粒径が60〜150nmである少なくとも1種以上の大シリカと、平均一次粒径が40nm以下である少なくとも1種以上の小シリカを含む。本実施形態においては、大シリカの添加量(L)を小シリカの添加量(S)で除した値(L/S)が1を超過する値である。大シリカの平均一次粒径は65nm以上が好ましく、70nm以上がより好ましく、75nm以上が更に好ましい。また、当該平均一次粒子径は140nm以下が好ましく、130nm以下がより好ましく、120nm以下が更に好ましい。また小シリカの平均一次粒径は2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましく、6nm以上が更に好ましい。当該平均一次粒子径は35nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下が更に好ましい。
なお、本実施形態において粒子の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡で観測して得られたSEM画像から測定することができる。具体的には例えば、粒子のSEM画像から無作為に複数個(例えば20個)の粒子を選び出す。選び出した粒子について、SEMで表示される縮尺を基準に粒径を測定する。粒径は粒子の最大径と、これと直交する短径の積の平方根(2軸平均粒子径)として求めることができる。得られた測定値の平均値を粒子の平均一次粒径とする。
具体的には例えば、測定対象の砥粒の液を適量取り、その液が入っている容器にパターン配線付きウエハを2cm角に切ったチップを約30秒浸した後、純水の入った容器に移して約30秒間すすぎをし、そのチップを窒素ブロー乾燥する。その後、SEM観察用の試料台に乗せ、加速電圧10kVを掛け、適切な倍率(例えば20万倍)にて粒子を観察し、画像を撮影する。得られた画像から任意の20個の粒子を選択する。
例えば、選択した粒子が図1に示すような形状であった場合、粒子1に外接し、その長径が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形2)を導く。そして、その外接長方形2の長径をX、短径をYとしたときの「√(X×Y)」として、1粒子の2軸平均粒子径を算出する。この作業を任意の20個の粒子に対して実施し、得られた値の平均値を粒子の平均一次粒径とする。
研磨液が大シリカと小シリカを含むことで研磨速度が向上する理由は定かではないが、発明者らは下記のように考えている。
サファイアは、研磨時にシリカと固相反応し、サファイアより比較的脆弱なアルミノシリケートが形成されて研磨が進行すると言われている。このとき、大シリカのみでは、シリカ粒子と粒子との間に隙間が生じてしまい、サファイアとシリカの接触面積が大きくないために研磨速度は向上しないと考えられる。一方で小シリカのみでは、大シリカのみで研磨する場合と比較して接触面積は増加するが、研磨パッドからシリカに伝わる荷重は比較的小さくなると思われ、そのため研磨速度が向上しないと推察される。これに対し、大シリカと小シリカを研磨液に含有させることで、大シリカ粒子間の隙間に小シリカが入りこむので接触面積が増し、更に大シリカが隣接した小シリカに対し荷重を伝える働きをするため、小シリカでもサファイアに対する荷重が大きくなるため、研磨速度が向上するものと考えている。このような観点から、上記L/Sは1を超過することが好ましく、1.1以上がより好ましい。また、L/Sの上限は特に限定されるものではないが、研磨速度を向上させるという観点から、8以下とすることができる。
研磨液におけるシリカの含有量(大シリカ及び小シリカの合計含有量)は、研磨液の全質量を基準として1〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。研磨液が砥粒を含まない場合の研磨速度との有意差がある研磨速度を達成し易い観点において、砥粒の含有量は研磨液の全質量を基準として1質量%以上であることが好ましい。また、砥粒の含有量が研磨液の全質量を基準として40質量%以下である場合、含有量の増加に伴って研磨速度を向上し易い傾向がある。
(水)
研磨液の媒体である水としては、特に制限されないが、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。
(研磨促進剤)
本実施形態に係る研磨液は、サファイアを含む基体を研磨するための研磨促進剤としてケイ酸アルミニウム系添加剤を含む。これにより研磨速度を向上することができる。
ケイ酸アルミニウム系添加剤はカオリン系やスメクタイト系の天然鉱物や合成品を使用することができ、例えばベントナイト、カオリン、サポナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、研磨促進剤は、さらにカチオン性界面活性剤、ぬれ性向上剤、含窒素芳香族複素環化合物等をさらに含んでいてもよい。
カチオン性界面活性剤は、研磨液中で負に帯電したシリカの表面電位を低下させ、サファイア基板とシリカの引力を強めることで、サファイア基板の研磨速度を向上させる働きをする。そのようなカチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアルキルアミン、ポリアルキルアミン塩、アルキルホスホニウム塩等、が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ぬれ性向上剤は、研磨液の表面張力を低下させて、研磨パッド上の研磨液の液膜を薄くし、シリカとサファイア基板をより接触させることで、サファイア基板の研磨速度を向上させる働きをする。そのようなぬれ性向上剤としては、高級アルコール、フェノール、アルキルフェノール、脂肪酸、脂肪族アミンなどのアルキレンオキサイド付加物、アルコールの脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルホスホニウム、アルキルホスホニウム塩等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
含窒素芳香族複素環化合物は、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006515702

式(I)中、点線で囲まれたArは芳香環を示し、Rは、水素原子、ヒドロキシル基又はアルキル基を示す。
含窒素芳香族複素環化合物を研磨液に添加することで、サファイアの研磨速度が向上する理由は定かでないが、発明者らは次のように考えている。すなわち、サファイアの研磨は、サファイアに対しシリカが押圧された際に、サファイア上の水酸基とシリカ上の水酸基が水素結合を形成し、続いて反応してアルミノシリケートが生成し、アルミノシリケートが軟質であるためにCMPで機械的に除去され研磨が進行すると考えられる。このとき含窒素芳香族複素環化合物が、水酸基に直結したサファイアのアルミニウム原子、又はシリカのケイ素原子に作用し、水酸基上の電子密度を高め、水素結合が進行しやすくなるために、続くアルミノシリケートの生成反応が速く進み、研磨速度が向上するのではないかと考えている。
一般式(I)で表される含窒素芳香族複素環化合物としては、ピラゾール、1,2,4−トリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、シンノリン、テトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1H−テトラゾールや、これらの誘導体等が上げられる。中でも低コストであり、安全性が高く、水に対して溶解性が高く、サファイアに対する研磨速度が向上する観点から1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−テトラゾールがより好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記研磨促進剤に含まれ得る各成分(ケイ酸アルミニウム系添加剤、カチオン性界面活性剤、ぬれ性向上剤、含窒芳香族素複素環化合物等)それぞれ単独での含有量は、研磨液の全質量を基準として0.01質量%以上1.0質量%未満であることが好ましい。これによりサファイア基板の研磨速度をより向上させることができる。なお、優位性のある研磨速度を得る観点から、含有量は0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また同様に、優位性のある研磨速度を得る観点から、含有量は0.7質量%以下がより好ましい。
(pH)
本実施形態に係る研磨液のpHは7.0〜10.4の範囲である。これにより、研磨速度を向上することができる。同様の観点からpHは7.5以上が好ましく、8.0以上がより好ましく、9.0以上がさらに好ましい。また、pHは10.2以下が好ましく、10.0以下がより好ましく、9.8以下が更に好ましい。
pHは、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、ピコリン酸等の有機酸、又はアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、イミダゾール等のアルカリ成分などの添加によって調整可能である。
研磨液のpHは、pHメーター(例えば、電気化学計器株式会社製、型番:PHL−40)で測定することができる。pHの測定値としては、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、中性りん酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、ホウ酸塩pH緩衝液 pH:9.18(25℃))を用いて、3点校正した後、電極を研磨液に入れて、2分以上経過して安定した後の値を採用する。
(pH緩衝剤)
サファイア基板は、長時間研磨液を循環させながら研磨するのが一般的である。研磨液のpHは通常サファイアの研磨速度が高くなるように設定されるが、長時間研磨することによって、研磨液のpHがサファイアを研磨するための適正な範囲から徐々に外れてしまい、研磨速度が低下する場合があることが分かった。このことから、本実施形態に係る研磨液は、研磨中の研磨液のpHを安定化させるためpH緩衝剤を含むことが好ましい。これによりサファイアを長時間、安定的に優れた研磨速度で研磨することが可能となる。
特にpHが7.0〜10.4の範囲で効果のある緩衝液としてはホウ酸と水酸化ナトリウム等のアルカリの組み合わせからなる緩衝剤、四ホウ酸ナトリウムと水酸化ナトリウム等のアルカリの組み合わせからなる緩衝剤、リン酸二水素カリウムと水酸化ナトリウム等のアルカリの組み合わせからなる緩衝剤、塩化アンモニウムとアンモニアの組み合わせからなる緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと塩酸等の酸の組み合わせからなる緩衝剤、グリシンと水酸化ナトリウム等のアルカリの組み合わせからなる緩衝剤が挙げられる。
前記pH緩衝剤の含有量は、研磨中の研磨液のpHをより安定化させる観点から、研磨液の全質量を基準として0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。また上記緩衝剤は、多量に添加すると、研磨液中のシリカを凝集させ、著しく保管安定性を損なう傾向がある。保管安定性を損なわず、pHをより安定化させる観点から、研磨液中のpH緩衝剤の含有量は、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。なお、ここでいう含有量とは、上記各成分を組み合わせてなるpH緩衝剤の研磨液中における含有量を指す。
[貯蔵液]
本実施形態に係る研磨液は、貯蔵・運搬・保管等に係るコストを抑制できる観点で、使用時に水等の液状媒体で2倍以上に希釈されて使用される貯蔵液として保管することができる。貯蔵液は、研磨の直前に液状媒体で希釈されて研磨液としてもよいし、サファイアの基体を研磨する場合は、研磨定盤上に貯蔵液と液状媒体を供給し、研磨定盤上で研磨液を調製するようにしてもよい。なお、液状媒体としては、上記水の他、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
貯蔵液の希釈倍率としては、倍率が高いほど貯蔵・運搬・保管等に係るコストの抑制効果が高いため、2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。また、希釈倍率の上限としては、特に制限はないが、10倍以下が好ましく、7倍以下がより好ましく、5倍以下が更に好ましい。希釈倍率がこれらの上限値以下である場合、貯蔵液に含まれる砥粒や含窒素化合物の含有率が高くなり過ぎることを抑制し、保管中の貯蔵液の安定性を維持し易い傾向がある。なお、希釈倍率をdとするとき、貯蔵液中の砥粒及び有機酸の各含有率は、研磨液中の砥粒及び有機酸の各含有率のd倍である。
[研磨方法]
本実施形態に係る研磨方法では、公知の研磨装置を広く用いることができる。例えばサファイア基板を研磨する場合、使用できる研磨装置としては、サファイア基板を保持するためのホルダーと、研磨布(研磨パッド)を貼り付けた定盤(プラテン)、又は鋳鉄、銅、錫からなる定盤等とを有する一般的な研磨装置が挙げられる。定盤には、その回転数を変更するためのモータ等が取り付けられている。
研磨パッドとしては、特に限定されないが、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等が挙げられる。基体の研磨条件に制限はないが、基体の飛び出しを防止し易い観点において、常盤の回転数は200rpm(min−1)以下であることが好ましい。研磨後の基体表面における傷の発生を抑制し易い観点において、研磨荷重は20psi(34.5kPa)以下であることが好ましい。
本実施形態に係る研磨方法では、定盤に貼り付けられた研磨パッドに、サファイアを含む基体を押圧した状態で、研磨液を基体と研磨パッドとの間にポンプ等により供給しながら、基体と定盤とを相対的に動かす。これらの操作により、基体表面に対する研磨を行う。研磨液を研磨装置に供給する方法は、研磨の間、研磨液を研磨パッドに連続的に供給できるものであれば、特に限定されない。研磨液の供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。貯蔵液と水等の液状媒体とを基体と研磨布との間に供給し、研磨定盤上で貯蔵液を2倍以上に希釈しながら研磨を行なってもよい。また供給した研磨液を回収して再度研磨パッドに供給し、循環して使用してもよい。
研磨終了後の基体は、水、エタノール、イソプロピルアルコールやその他洗浄剤等で洗浄後、スピンドライヤ等を用いて基体上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
(実験1:研磨促進剤の影響)
研磨粒子として、表1に記載のシリカを用いた。
Figure 0006515702
脱イオン水にシリカA(平均一次粒径11nm)と、シリカC(平均一次粒径25nm)と、シリカE(平均一次粒径80nm)を添加して貯蔵液を調製し、この貯蔵液を2倍に希釈する(貯蔵液を貯蔵液と同質量の脱イオン水と混合する)ことで研磨液を調製した。研磨液中のシリカAの濃度は1質量%、シリカCの濃度は3.5質量%、シリカEの濃度は5質量%であった。すなわち、シリカEの含有量(L)をシリカA及びCの含有量(S)で除した値(L/S)は1.1であった。この研磨液に所定の研磨促進剤を、表2に記載された含有量となるよう加えた。また研磨液は、pHが9.2になるように水酸化カリウム水溶液又はリンゴ酸で調整した。
[CMP方法及び研磨特性評価方法]
以下の手順で、研磨装置を用いてCMP用研磨液による基体の化学機械研磨を行った。
プラテンに貼り付けられた研磨パッドに、下記の基体を押圧した状態で、CMP用研磨液(研磨液)を室温(25度)の状態で、基体と研磨パッドとの間にポンプにより供給しながら、プラテンを回転させた。このとき研磨液は循環しながら研磨を行った。これらの操作により基体表面のCMPを行った。
研磨する基体としては、研磨面の面方位がA面又はC面であるサファイアウエハを使用した。基体のサイズは直径4インチ(100mm)、厚さ0.65mmであった。
研磨装置として、不二越機械工業株式会社の型式RDP―500を用いた。研磨パッドとして、ローム・アンド・ハース社製の格子状の溝を有するSUBA800を用いた。研磨条件は以下の通りであった。
<研磨条件>
研磨圧力:7.1psi
プラテン直径:50.8cm
プラテンの回転数:110rpm(min−1
CMP用研磨液の流量(供給量):750mL/min
研磨時間:30min
<研磨速度>
各研磨液を用いたCMP前後の基体の質量を測定することで研磨された質量を求め、そこから基体研磨面の面積と密度(サファイアの密度3.97g/cmの値を使用)の値を用いて膜厚に換算し、研磨速度を算出した。面方位がA面のサファイア基板は1.8μm/h以上の研磨速度、またC面のサファイア基板は4.0μm/h以上である場合に良好であるとした。研磨速度の評価結果を表2に合わせて示す。
Figure 0006515702
[評価結果]
表2から、所定の研磨促進剤が研磨液中に含まれることで、サファイアの表面を高速に研磨できるCMP用研磨液が得られることが確認された。
(実験2:シリカの粒径と配合量の影響)
表1に記載のシリカ及び脱イオン水を用いて貯蔵液を調製した。そしてこの貯蔵液を2倍に希釈する(貯蔵液を貯蔵液と同質量の脱イオン水と混合する)ことで、表3に記載のシリカ濃度を有する研磨液を調製した。この研磨液にベントナイト0.05質量%、トリエチルアミン塩酸塩0.03質量%を加え、研磨液のpHが9.2になるように水酸化カリウム水溶液又はリンゴ酸で調整した。得られた研磨液について、実施例1と同様にして評価した研磨速度の評価結果を表3に示す。
Figure 0006515702
[評価結果]
平均一次粒径が60〜150nmである大シリカと、平均一次粒径が40nm以下である小さなシリカを含み、大シリカの含有量(L)を小シリカの含有量(S)で除した値L/Sが1を超過する場合に研磨速度は良好となった。
(実験3:pHの影響)
脱イオン水にシリカA(平均一次粒径11nm)と、シリカC(平均一次粒径25nm)と、シリカE(平均一次粒径80nm)を添加して貯蔵液を調製し、この貯蔵液を2倍に希釈する(貯蔵液を貯蔵液と同質量の脱イオン水と混合する)ことで研磨液を調製した。研磨液中のシリカAの濃度は1質量%、シリカCの濃度は3.5質量%、シリカEの濃度は5質量%であった。この研磨液にベントナイト0.05質量%、トリエチルアミン塩酸塩0.03質量%を加え、さらに研磨液のpHが表4に記載の値になるように水酸化カリウム水溶液又はリンゴ酸で調整した。得られた研磨液について、実施例1と同様にして評価した研磨速度の評価結果を表4に示す。
Figure 0006515702
[評価結果]
研磨液のpHが7.0〜10.4である場合にサファイアの表面を高速に研磨できることが確認された。
(実験4:pH緩衝剤の影響)
研磨液にグリシンを0.20質量%と水酸化ナトリウムを0.05質量%(pH緩衝剤として0.25質量%)加えたこと以外は、実施例4と同様にして研磨液を作製した。すなわち、研磨液中のシリカAの濃度は1質量%、シリカCの濃度は3.5質量%、シリカEの濃度は5質量%、ベントナイトの濃度は0.05質量%、トリエチルアミン塩酸塩の濃度は0.03質量%、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエチレンオキシドの濃度は0.1質量%であった。また、研磨液のpHは9.8であった。
一方、脱イオン水にシリカEを添加して貯蔵液を調製し、この貯蔵液を2倍に希釈する(貯蔵液を貯蔵液と同質量の脱イオン水と混合する)ことで研磨液を調製した。研磨液中のシリカEの濃度は20質量%であり、pHは10.4であった。
得られたそれぞれの研磨液を用いて、研磨時間を10時間としたこと以外は実施例1と同様にしてサファイア基板のC面を研磨した。なお、本実験においては、2時間、4時間、10時間研磨後の研磨速度と研磨液のpHをそれぞれ測定した。評価結果を表5に示す。
Figure 0006515702
[評価結果]
pH緩衝剤を研磨液中に含むことで、長時間サファイア基板を研磨した場合でもpHが安定し、長時間に渡って優れた研磨速度が得られることが明らかとなった。
本発明に係る研磨液(CMP用研磨液)、貯蔵液及びこれらを用いた研磨方法は、LED基板、スマートフォン等の電子機器筐体に用いられるサファイアを含む基体のCMPに好適である。
1…粒子、2…外接長方形。

Claims (6)

  1. 平均一次粒径が60〜150nmである少なくとも1種以上の大シリカ、平均一次粒径が40nm以下である少なくとも1種以上の小シリカ、水、及び研磨促進剤を含み、
    前記大シリカの含有量(L)を前記小シリカの含有量(S)で除した値(L/S)が1超であり、前記研磨促進剤がケイ酸アルミニウム系添加剤を含み、pHが7.0〜10.4である、サファイアを含む基体を研磨するための研磨液。
  2. 前記大シリカ及び前記小シリカの合計含有量が、研磨液全質量基準で1〜40質量%である、請求項1に記載の研磨液。
  3. さらにpH緩衝剤を含み、前記pH緩衝剤の含有量が、研磨液全質量基準で0.01〜1.0質量%である、請求項1又は2に記載の研磨液。
  4. 液状媒体で2倍以上に希釈されることにより、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨液を得ることができる、貯蔵液。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨液を用いて、サファイアを含む基体を研磨する工程を備える研磨方法。
  6. 請求項4に記載の貯蔵液を液状媒体で2倍以上に希釈することにより得られる研磨液を用いて、サファイアを含む基体を研磨する工程を備える研磨方法。
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