JP6514581B2 - 電子写真用ベルトおよび電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
(ベルト表面のケイ素原子の存在量)>(1T/2厚み部のケイ素原子の存在量)
であり、かつ、該粒子がベルトの厚み方向に分散されている電子写真用ベルトが提供される。
さらに、電子写真画像形成装置の長寿命化に伴って、中間転写ベルトの表面状態の経時的変化が課題となってきている。すなわち、長期に亘る中間転写ベルトの使用により、表面が摩耗していき、中間転写ベルトの表面からのトナー像の離型性が初期時とは変化し、画像品位が初期時と比較して変化してしまうことがある。
電子写真用ベルトの表面の平滑性は、画像品質に与える影響が大きく、より平滑化することが求められている。
その結果、平均粒子径が、約200nmのポリテトラフルオロエチレンを添加した単層の電子写真用ベルトと比較して、その表面は非常に平滑であった。
また、上記平均粒子径が3〜30nmの重合体粒子を含む電子写真用ベルトを中間転写ベルトとして用いて電子写真画像の作成したところ、得られた電子写真画像は、高品位であり、トナー離型性も向上していることが確認された。この結果は、添加する潤滑剤の平均粒子径が小さいほどトナー離型性を向上させることが可能であることを示唆している。
この現象はベルト表面が削れて平滑性が損なわれることにより、トナー離型性が低下したと考えられた。しかしながら、初期と、繰り返し使用後とでは、表面粗さには大きな差異は認められなかった。
一般的に粒子径が小さく、かつ低表面自由エネルギーの微粒子は熱可塑性マトリックス樹脂中を表面近傍に向かって移行しやすく、特に加熱されて熱可塑性マトリックス樹脂の粘度が低下すると、移行が促進される。フルオロ炭化水素基を有する分岐状ポリマーを含む粒子が、電子写真用ベルトの表面近傍に偏在すると、電子写真用ベルトの表面から深い部分においては、フルオロ炭化水素基を有する分岐状ポリマーを含む粒子の数が相対的に少なくなっている。そのため、繰り返し使用して電子写真用ベルト表面が削れた場合、トナー離型性が低下してしまうことが考えられる。
(ベルト表面のケイ素原子の存在量)>(1T/2厚み部のケイ素原子の存在量)
であり、かつ、前記フルオロ炭化水素基を有する重合体を含む粒子が、ベルトの厚み方向に分散されていることである。
本発明に係る電子写真用ベルトは、熱可塑性マトリックス樹脂としての熱可塑性樹脂と、平均一次粒子径が3〜30nmのフルオロ炭化水素基を有する分岐状ポリマーを含む粒子と、シリコーンオイルとからなる樹脂組成物を含有する。以下これらの材料について説明する。
本発明に用い得る熱可塑性樹脂は特に限定されない。しかし、ベルトの使用用途が電子写真装置の場合、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂が好ましく、さらには、以下の樹脂も好ましい。ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度、中密度、低密度、直鎖状低密度)、プロピレンエチレンブロックまたはランダム共重合体、ゴムまたはラテックス成分、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体または、その水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンテトラフロロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、耐久性を考慮すると、熱可塑性樹脂としては、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されるものが好ましい。具体的には、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートがより好ましい。
本発明では、フルオロ炭化水素基を有する重合体を含む粒子として、平均一次粒子径が3〜30nmの、フルオロ炭化水素基を有する分岐状ポリマーを含む粒子を用いる。
平均一次粒子径が3〜30nmのフルオロ炭化水素基を有する分岐状ポリマーとしては、主鎖がスターポリマー、デンドリマー、ハイパーブランチポリマーに代表される分岐状構造であり、その側鎖の末端がフルオロ炭化水素基を含む前記式[1]の官能基で変性されているものが挙げられる。分岐状ポリマーは、主鎖が直鎖ではなく枝状に分岐しており、分子同士がからみにくく凝集しにくい。そのため、粒子径が数nmと非常に小さいものも市販されている。さらに、分子表面に多くの機能性の末端基があるため、効果的に目的の改質機能が発現することが特徴として挙げられる。
シリコーンオイルは、主鎖がシロキサン結合から成る直鎖状構造で、分子量は一般的に200000以下であり、常温で液体である。電子写真用ベルトの成形温度において、流動性を示すものならば特に限定されることは無く、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイルなどが用いられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(ベルト表面のケイ素原子の存在量)>(1T/2厚み部のケイ素原子の存在量)
である。また、上記ベルト表面のシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量は、
(ベルト表面のケイ素原子の存在量)≧1.4×(1T/2厚み部のケイ素原子の存在量)
であることが、より好ましい。これは1.4倍以上だと、ベルト内部とベルト表面の表面エネルギー差が相対的に大きくなり、ベルト内部に存在するフルオロ炭化水素基を有する分岐状ポリマーのベルト表面への移行をより抑制しやすいことが実験より確認されたためである。
本発明における電子写真用ベルトを構成する他の成分としては、イオン導電剤(例えば、高分子イオン系導電剤、界面活性剤)、導電性高分子、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系、リン、硫黄系など)、紫外線吸収剤、有機顔料、無機顔料、pH調整剤、架橋剤、相溶化剤、架橋剤、カップリング剤、滑剤、絶縁性フィラー(例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ、クレー、カオリン、ハイドロタルサイト、シリカ、アルミナ、フェライト、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ニッケル、ガラス粉、石英粉末、ガラス繊維、アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、熱硬化性樹脂の微粒子など)、導電性フィラー(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、導電性酸化チタン、導電性酸化錫、導電性マイカ)、イオン性液体などを例示することができる。これらを単独で、あるいは2種類以上組合せて用いることも可能である。
本発明に係る電子写真用ベルトは、上記した熱可塑性樹脂組成物を含むものである。具体的には、例えば、上記熱可塑性樹脂組成物をペレット化し、連続熔融押出成形法、射出成形法、ストレッチブロー成形法、あるいはインフレーション成形法など公知の成形方法を用いて成形することでシームレス形状の電子写真用ベルトを得られる。前記電子写真用ベルトの成形方法として特に好ましいのは、連続熔融押出成形法やストレッチブロー成形法である。連続熔融押出成形法としては、例えば押し出したチューブの内径を高精度で制御可能な下方押出方式の内部冷却マンドレル方式、およびバキュームサイジング方式などが挙げられる。ストレッチブロー成形法による電子写真用ベルトの製造方法は、前記の熱可塑性樹脂組成物のプリフォームを成形する工程と、前記プリフォームを加熱する工程と、加熱後の前記プリフォームをシームレスベルト成形用金型に装着し、その後、その成形用金型内に気体を流入し延伸成形を行う工程と、その延伸成形により得られる延伸成形物を切断してシームレスなベルトを得る工程とを有する。
前記体積固有抵抗率が1×1014Ωcm以下であれば、転写電圧を高くすることを優れて防ぎ、電源の大型化やコストが増大することを優れて防ぐことができる。ただし、転写プロセスによっては、上記体積固有抵抗率の範囲外であっても転写可能となる場合もあるため、体積固有抵抗率は必ずしも上記範囲に限定されない。
本発明の電子写真用ベルトを中間転写ベルトに用いたフルカラー画像形成用の電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」ともいう)について、図1を参照しつつ、説明する。画像形成装置は、複数色の画像形成ステーションを本発明の電子写真用ベルトの回転方向に並べて配置した、所謂タンデム型の構成を有する。なお、以下の説明では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に関する構成の符号に、それぞれ、Y、M、C、kの添え字を付しているが、同様の構成については添え字を省略する場合もある。
実施例および比較例で作製した中間転写ベルトの特性値の測定方法および評価方法は次のとおりである。
トナー離型性は二次転写効率(%)として評価した。二次転写効率は、感光ドラムから一次転写により中間転写ベルト表面に保持されたトナー量F(g)と、記録媒体に二次転写されたときに、中間転写ベルト表面に残っている残トナー量S(g)から算出した。具体的には下記式[2]により表わされる。
式[2]
二次転写効率(%)=(1−S/F)×100
実際の評価では、図1で示されるような装置構造を有する中間転写方式のタンデム型フルカラー電子写真装置(商品名:LBP−7700C、キヤノン(株)製)の転写ユニットに中間転写ベルトを装着し、記録媒体にシアンとマゼンタのベタ画像をプリントした。なお、記録媒体には、温度23℃、相対湿度45%の環境下で1日放置した、Ra(算術平均粗さ)が4μm、Rz(十点平均粗さ)が15μmの表面が粗い用紙を用いた。10枚目にプリントされた画像を初期画像、100000枚目にプリントされた画像を繰り返し使用後の画像と定義し、その初期画像および繰り返し使用後の画像を用いて二次転写効率の評価を行った。
ベルト表面粗さの評価は表面粗さ測定機(日本海計測特機株式会社製 KOSAKA−SE3500)を使用し、測定端子をベルト表面の幅方向に走査して実施した。測定条件を下記に示す。評価はRzjis(十点平均粗さ)を用いて行った。
・測定サンプルサイズ 30mm×30mm
・測定間距離 4.0mm
・端子送り速さ 0.1mm/sec
また、後述の実施例1において、フルオロ炭化水素基を有する重合体を含む粒子1と、シリコーンオイル1を配合しないで作製した中間転写ベルトを標準ベルトとし、表面粗さRzjisを事前に測定したところ、0.23μmであった。
フルオロ炭化水素基を有する重合体を含む粒子の平均一次粒子径の評価は以下の方法で行った。
まず、作製した中間転写ベルトを軸方向に4等分し、得られた各々の断面の一部をさらにミクロトーム等で切り出して、図5に示すベルト厚み(=T)方向の4か所(ベルト外側表面を基準とし、最表面(トナー像担持面)、1T/4、2T/4(=1T/2)、3T/4)に対して、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy:TEM)にて20万倍の倍率で観察し、写真を撮影した。
また、同時にEDX(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy) を用いて、観察写真中に見られる粒子について元素分析を行い、フルオロ炭化水素基を有する重合体を含む粒子を特定した。さらに、得られた写真から、100個の、フルオロ炭化水素基を有する重合体を含む粒子を選択し、ベルト厚み方向の最大長さ(nm)およびベルト厚み方向と直交する方向の最大長さ(nm)を測定し、これらの値の和を2で除した値を一次粒子径とした。そして選択した100個の、フルオロ炭化水素基を有する重合体を含む粒子の一次粒子径の算術平均値を、本発明におけるフルオロ炭化水素基を有する重合体を含む粒子の平均一次粒子径と定義した。
(3)と同様の方法でベルト厚み方向の断面を切り出した。厚み方向3か所(最表面、1T/4、2T/4)を透過型電子顕微鏡を用いて10万倍でそれぞれ観察し、得られた画像から重合体粒子の分散性を評価した。評価基準は以下のように設定した。
A:最表面の粒子数が、1T/4の部位における粒子数の0.7倍以上、1.5倍以下、かつ、2T/4の部位における粒子数の0.7倍以上、1.5倍以下。
B:最表面の粒子数が、1T/4の部位または2T/4の部位における粒子数の0.2倍以上、0.5倍以下、または2倍以上5倍未満。
C:最表面の粒子数が、1T/4の部位または2T/4の部位における粒子数の0.2倍未満または5倍以上。
シリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量は飛行時間型二次イオン質量分析装置(Time of flight secondary ion mass spectrometry)を用いて行った。未使用の中間転写ベルトから任意部分の表面を80mm×80mmに切り出し、ケイ素原子の元素分析と最大ピーク強度(P1)を評価した。続いて、同じベルトから厚みが1T/2になるようにカットまたは表面を研磨し、同様に厚みが1T/2部分のケイ素原子の元素分析と、P1の検出軸と同じ分子量/電荷数(M/Z)におけるピーク強度(P2)を評価した。シリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比はベルト表面と1T/2部分のシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比をP1/P2(倍)として定義した。
後述の実施例および比較例に用いた樹脂組成物の材料を以下表1から4に示す。なお、各例の材料の配合については表5および7に示す。
二軸押出し機(商品名:TEX30α、日本製鋼所(株)製)を用いて、表5に記載の配合にて熱熔融混練して樹脂組成物を調製した。熱熔融混練温度は260℃以上280℃以下の範囲内となるように調整し、熱熔融混練時間はおよそ3〜5分とした。
得られた樹脂組成物をペレット化し、温度140℃で6時間乾燥させた。次いで、図2に示した構成を有する射出成形装置(商品名:SE180D、住友重機械工業(株)製)のホッパー48に、乾燥させたペレット状の樹脂組成物を投入した。そして、シリンダ設定温度を295℃にし、スクリュー42および42A内で樹脂組成物を熔融させ、ノズル41Aを通して、金型内に熔融樹脂組成物を射出成形してプリフォーム104を作成した。このときの射出成形金型温度は30℃とした。
その後、図3に示した1次ブロー成形機にプリフォーム104を投入した。そして、金型温度を110℃に保ったブロー金型108内で延伸棒109とエアーの力(ブローエアー注入部分110)でプリフォーム温度155℃、エアー圧力0.3MPa、延伸棒速度1000mm/sでブロー成形してブローボトル112を得た。このブローボトルの両端をカットすることによりエンドレス形状の電子写真用ベルトを得た(図4)。図4において、112はブローボトル、113はベルト外側表面、114はベルト内側表面を示す。得られた電子写真用ベルトは幅248mm、周長715mm、厚み80μmであった。また、この電子写真用ベルトの一部から周方向20mm×幅方向100mmのサンプル片を切り出し、引張り試験機(INSTRON社製 INSTRON 5582)で引張り速度5mm/分で測定した結果、引張り弾性率は2100MPaで強度も良好であった。この電子写真用ベルトを図1に示す画像形成装置に組み込み、100000回転して走行性を確認したところ、寄りや折れは発生せず特に問題は無かった。この電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で91%、繰り返し使用後でも90%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル1の寄与により、重合体粒子1の分散性も良好であった。重合体粒子1の平均一次粒子径は12.4nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は4.7倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で94%、繰り返し使用後でも92%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル1の寄与により、重合体粒子1の分散性も良好であった。少し凝集している粒子も見られたが、その平均一次粒子径は20.9nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は1.4倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で94%、繰り返し使用後でも93%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル2の寄与により、重合体粒子1の分散性も良好であった。少し凝集している粒子も見られたが、その平均一次粒子径は28.3nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は2.1倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で92%、繰り返し使用後でも92%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル3の寄与により、重合体粒子1の分散性も良好であった。重合体粒子1の平均一次粒子径は16.5nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は3.2倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で93%、繰り返し使用後でも91%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル1の寄与により、重合体粒子2の分散性も良好であった。重合体粒子2の平均一次粒子径は3.4nmと非常に小さく、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は2.9倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で92%、繰り返し使用後でも92%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル2の寄与により、重合体粒子2の分散性も良好であった。を有する重合体粒子2の平均一次粒子径は7.9nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は4.1倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で92%、繰り返し使用後でも90%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル3の寄与により、重合体粒子2の分散性も良好であった。重合体粒子2の平均一次粒子径は5.8nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は3.8倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で94%、繰り返し使用後でも91%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル4の寄与により、重合体粒子2の分散性も良好であった。重合体粒子2の平均一次粒子径は9.6nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は1.6倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で92%、繰り返し使用後でも91%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル1の寄与により、を有する重合体粒子1の分散性も良好であった。重合体粒子1の平均一次粒子径は11.2nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は2.6倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で93%、繰り返し使用後でも92%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル1の寄与により、重合体粒子1の分散性も良好であった。少し凝集している粒子も見られたが、その平均一次粒子径は21.6nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は2.5倍であった。
樹脂組成物の配合を表5に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表6に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期で91%、繰り返し使用後でも91%と耐久使用を行っても90%以上を維持し、非常に良好であった。また、配合されたシリコーンオイル1の寄与により、重合体粒子2の分散性も良好であった。重合体粒子2の平均一次粒子径は4.8nmと非常に小さく、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。ベルト表面と1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は2.7倍であった。
評価項目(1):初期および繰り返し使用後の最表面のトナー離型性(転写効率%)
評価項目(2):初期および繰り返し使用後の最表面の表面粗さRzjis(μm)
評価項目(3):フルオロ炭化水素基を有する重合体粒子の平均粒子径(nm)
評価項目(4):フルオロ炭化水素基を有する重合体粒子の分散性
評価項目(5):シリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比(倍)=[電子写真用ベルトの最表面(トナー像担持面)におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量]/[最表面から深さ1T/2部分におけるシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量]
樹脂組成物の配合を表7に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表8に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期は94%と非常に良好だが、繰り返し使用後では81%まで低下した。これは、シリコーンオイルが配合されておらず、重合体粒子1の分散性が悪いことに起因すると考えられる。初期の電子写真用ベルトの厚み方向断面のTEM観察を行うと、重合体粒子1が、ベルト表面近傍に著しく偏在していることが確認された。従って、繰り返し使用により電子写真用ベルトの表面が削れると、重合体粒子1の数が著しく少なくなるため、トナー離型性が低下したと考えられる。
重合体粒子1の平均一次粒子径は11.5nmと非常に小さく、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。
樹脂組成物の配合を表7に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表8に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期は95%と非常に良好だが、繰り返し使用後では83%まで低下した。これも比較例1と同様の理由で、トナー離型性が低下したと考えられる。
重合体粒子1の平均一次粒子径は19.4nmであり、電子写真用ベルトの表面粗さは初期、繰り返し使用後ともに標準ベルトの表面粗さと比べて大きな差は見られなかった。
樹脂組成物の配合を表7に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表8に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期、繰り返し使用後ともに90%未満であった。これは、配合された重合体粒子3の平均一次粒子径が186.2nmと非常に大きく、標準ベルトと比べて表面平滑性が低下したことによりトナー離型性が悪化したと考えられる。
またシリコーンオイルは未配合であったが、重合体粒子の粒子径が大きいため、ベルト成形の熱処理時に熱可塑性マトリックス樹脂中で移動しにくく分散状態が維持されていると考えられる。
樹脂組成物の配合を表7に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを得た。これらの電子写真用ベルトの評価結果を表8に示す。
この結果より、トナー離型性(転写効率%)は初期、繰り返し使用後ともに90%未満であった。これは、比較例3と同様に、配合された重合体粒子3の平均一次粒子径が234.9nmと非常に大きく、標準ベルトと比べて表面平滑性が低下したことによりトナー離型性が悪化したと考えられる。
また、比較例3と同様に重合体粒子3の分散性は良好であり、シリコーンオイルを配合することによるトナー離型性の向上は確認できなかった。ベルト表面と1T/2部分とのシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量比は3.2倍であった。
Claims (7)
- 熱可塑性マトリックス樹脂中に、フルオロ炭化水素基を有する重合体を含む粒子と、シリコーンオイルとを含有する単層の電子写真用ベルトであって、
該粒子は、平均一次粒子径が3〜30nmであり、
該重合体は、フルオロ炭化水素基の側鎖の末端に下記式[1]に示される官能基を有する分岐状ポリマーであり、
該単層の電子写真用ベルトの厚みをTとしたとき、その厚み方向の断面において、ベルト表面のシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量が、
(ベルト表面のケイ素原子の存在量)>(1T/2厚み部のケイ素原子の存在量)
であり、かつ、
該粒子がベルトの厚み方向に分散されていることを特徴とする電子写真用ベルト
- 前記ベルト表面のシリコーンオイル由来のケイ素原子の存在量が、
(ベルト表面のケイ素原子の存在量)≧1.4×(1T/2厚み部のケイ素原子の存在量)
である請求項1に記載の電子写真用ベルト。 - 前記熱可塑性マトリックス樹脂が熱可塑性ポリエステル樹脂であり、前記シリコーンオイルがジメチルシリコーンオイルである請求項1に記載の電子写真用ベルト。
- 前記粒子の含有量が、前記単層の電子写真用ベルトの全質量に対して、0.3質量%以上、5.0質量%以下である請求項1に記載の電子写真用ベルト。
- 前記シリコーンオイルの含有量が、前記単層の電子写真用ベルトの全質量に対して、0.5質量%以上、5.0質量%以下である請求項1に記載の電子写真用ベルト。
- 前記熱可塑性マトリックス樹脂の含有量が、前記単層の電子写真用ベルトの全質量に対して、50.0質量%以上、99.2質量%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用ベルト。
- 静電潜像担持体、
中間転写体、
該静電潜像担持体に担持されたトナー像を、該中間転写体に一次転写する手段、該中間転写体に一次転写されたトナー像を、該中間転写体から、記録媒体に二次転写する手段、および
該記録媒体に二次転写されたトナー像を定着させる定着装置を具備する電子写真画像形成装置であって、
該中間転写体が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真用ベルトであることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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