JP7379071B2 - 電子写真用ベルトおよび画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やプリンター等の電子写真画像形成装置などに用いられる、搬送転写ベルトや中間転写ベルト等の電子写真用ベルトに関し、また該電子写真用ベルトを備えた電子写真画像形成装置に関する。
電子写真画像形成装置においては、転写材を搬送する搬送転写ベルトや、中間転写ベルトとして、エンドレス形状を有する熱可塑性樹脂製の電子写真用ベルトが用いられている。このような電子写真用ベルトは、電子写真画像形成装置内において、通常、複数のローラ間に張架されて用いられるが、長期に亘る使用によって変形(以降、「クリープ」ともいう)が生じる場合がある。
特許文献1は、熱可塑性樹脂組成物から形成されたプリフォームを加熱し、金型内で延伸棒を用いて延伸し、延伸棒により延伸するプリフォーム内に気体を流入せしめて該プリフォームを膨らませることを開示している。これによってボトル状の成形物を得て、該ボトル状の成形物から、エンドレス形状の電子写真用ベルトを切り出す方法を開示している。
特開2007-24954号公報
特許文献1に記載されている方法によって製造された電子写真用ベルトは、周方向及び周方向に直交する方向の双方向に延伸(2軸延伸)されているため、耐クリープ性に優れている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、2軸延伸された電子写真用ベルトを中間転写ベルトとして用いて電子写真画像を形成したところ、以下の現象が生じることがあった。すなわち、電子写真用ベルトの外周面に担持されたトナー像を紙上に転写させるときに(2次転写工程)、トナーの記録媒体上における転写位置が、本来転写されるべき位置からずれ、画像品位を低下させるというものである。
デジタルデータをより忠実に電子写真画像として再現するうえでは、この2次転写の際のトナー転写位置のずれは、解決すべき課題であると本発明者らは認識した。
本開示の一態様は、耐クリープ性に優れると共に、2次転写の際のトナーが転写位置のずれの発生を防止し得る電子写真用ベルトの提供に向けたものである。
また、本開示の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、2軸延伸円筒形フィルムからなる電子写真用ベルトであって、該2軸延伸円筒形フィルムは、熱可塑性樹脂のマトリックスと、イオン液体を含む導電性ドメインとを有し、該2軸延伸円筒形フィルムの外周面における周方向の表面抵抗率をA(Ω/□)、該2軸延伸円筒形フィルムの外周面における周方向に直交する方向の表面抵抗率をB(Ω/□)としたとき、A>Bであり、該2軸延伸円筒形フィルムの周方向の引っ張り弾性率が、1.0GPa以上、3.0GPa以下である電子写真用ベルトが提供される。また、本開示の他の態様によれば、前記電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして具備している電子写真画像形成装置が提供される。
本開示の一態様によれば、耐クリープ性に優れると共に、2次転写の際のトナーが転写位置のずれの発生を防止し得る電子写真用ベルトを得ることができる。また本開示の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を形成可能な電子写真画像形成装置を得ることができる。
電子写真プロセスを利用したフルカラー画像形成装置の一例を示す概略図である。 射出成形装置の一例を示す概略図である。 延伸ブロー成形機を用いた電子写真用エンドレスベルトの製造方法の一例を示す概略図である。 外表面に溝を有する、本開示の他の態様に係る電子写真用ベルトの説明図である。
従来の2軸延伸された電子写真用ベルトを中間転写ベルトとして用いた場合において、前記したように、2次転写の際にトナーの転写位置がずれる現象が発生する原因を解明すべく本発明者らは更なる検討を行った。その過程で、当該電子写真用ベルトと感光ドラムとのニップ部以外の位置でも電子写真用ベルトと感光体ドラムとの間で放電が生じていることが分かった。本発明者らは、このニップ部以外の位置で発生している放電により、トナーの転写位置が乱されていると推測した。
すなわち、従来の2軸延伸された電子写真用ベルトは、特許文献1に記載されているように、試験管形状を有するプリフォームを加熱し、延伸棒を用いて、その長手方向に延伸している。これと共に、該プリフォームの内部に気体を流入させて膨張させることで該プリフォームを拡径させることによって製造されている。
このような方法で2軸延伸円筒形フィルムを作製する場合、軸方向の延伸倍率をX、周方向の延伸倍率をYとすると、Y/Xが、1よりも大きくなるように設定されているのが通常である。その理由は、周方向の延伸倍率Yを大きくすることは、電子写真用ベルトの耐クリープ性を向上させるうえで有利だからである。
このように、Y/Xが1を超えるような延伸倍率にて2軸延伸成形円筒形フィルムにおいては、イオン導電剤を含むドメインが、電子写真用ベルトの周方向に、より長く延びて存在することとなり。このことにより、電子写真用ベルトの周方向における導電性が、周方向に直交する方向(軸方向)の導電性よりも高くなっている。そのため、2次転写の際に、ニップ部に所定の転写電圧が印加されたときに、電子写真用ベルトの軸方向よりも、周方向により多くの電気が流れ、ニップ部の外で放電が生じているものと考えられる。
本発明者は、2軸延伸された電子写真用ベルトにおいて、その周方向の導電性を、軸方向の導電性と同等以下とすることができれば、耐クリープ性を確保しつつ、ニップ外における放電が抑えられ、2次転写の際のトナーの転写位置の乱れを防止し得ると考えた。このような考察に基づき、本発明者は、2次転写時のトナーの転写位置の乱れを防ぐことのできる電子写真用ベルトを得ることを目的として検討を重ねた。
その結果、2軸延伸円筒形フィルムからなる電子写真用ベルトが、下記の条件を満たす場合に、上記の目的を良く達成し得ることを見出した。すなわち、周方向の引っ張り弾性率が、1.0GPa以上、3.0GPa以下であり、かつ、外周面の周方向の表面抵抗率をA(Ω/□)、外周面の周方向に直交する方向の表面抵抗率をB(Ω/□)としたとき、A≧Bである電子写真用ベルトである。
このような電子写真用ベルトは、例えば、2軸延伸円筒形フィルムの作製時のプリフォームの周方向への延伸倍率Yを、耐クリープ性を損なわない範囲で小さくすることで、Y/Xの値を小さくすることによって得ることができる。具体的には、例えば、2軸延伸成形に供するプリフォームとして、その長さに対する内径の比率(長さ/内径)を、従来のプリフォームの当該比率よりも小さくしたものと用いる方法が挙げられる。すなわち、内径が相対的に大きなプリフォームを用いることで、所定の内径を有する電子写真用ベルトを得るための周方向の延伸倍率を相対的に小さくすることができる。その結果、Y/Xの値を小さくすることができ、上記の物性を備えた電子写真用ベルトを得ることができる。
以下、2軸延伸円筒形フィルムとフィルムを構成する各材料について説明する。
<2軸延伸円筒形フィルム>
2軸延伸円筒形フィルムは、その周方向と、周方向に直交する方向(以降、「軸方向」とも称する)に、樹脂が延伸されている。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、2軸延伸を行うことが可能であれば、特に限定されるものではない。
2軸延伸可能な捏可塑性樹脂の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、及び、ポリアミドを含む。中でも、電子写真用ベルトに要求される強度に鑑みると、ポリエステル、及び、ポリアミドが好ましい。
ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。
また、ポリアミドの例としては、ポリメタキシリレンアジパミドが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
<イオン導電剤>
イオン導電剤としては、例えば高分子型帯電防止剤、イオン電解質、イオン液体が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。イオン電解質、イオン液体は比較的少量で所望の導電率を付与することができる。
高分子型帯電防止剤の例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド共重合体、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、部分架橋ポリエチレンオキサイド共重合体、アイオノマーが挙げられる。ここで、アイオノマーとしては、側鎖にカルボン酸のアルカリ金属塩、スルホン酸のアルカリ金属塩、4級アンモニウム塩を有するポリマーを挙げることができる。
イオン電解質やイオン液体はカチオン成分とアニオン成分から成り立っている。
カチオン成分としては、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、リチウムやカリウム、ナトリウム、セシウムなどの金属イオンなどが挙げられる。
アニオン成分としては、AlCl 、AlCl 、NO 、BF 、PF 、CHCOO、CFCOO、CFSO 、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF などが挙げられる。
他のアニオン成分としては、F(HF)n(n=1~4の整数)、CF(CF2)SO 、(CFCFSO、(CFCFCFCFSO、CFCFCFCOO、ClO などが挙げられる。
これらのアニオン成分のうちでは、電子吸引性のフッ素原子を含有するものが、アニオン内において負電荷の非局在化が生じ、カチオンとの静電的な相互作用が低下し、イオン解離しやすくなるなどの観点からより好ましい。
特に、(CFSO、(CFCFSO、(CFCFCFCFSOが好ましい。アニオン成分とカチオン成分の組合せにより、常温で液体になっているものを一般的にイオン液体、そうでないものをイオン電解質と呼称されており、イオン液体としては、特に下記式(1)で表される陰イオンを含むことが好ましい。
Figure 0007379071000001
(ここで、nは1~4の整数を、mは1~4の整数を表す。)
<マトリックス・ドメイン構造>
電子写真用エンドレスベルトは、熱可塑性樹脂のマトリックスと、イオン導電剤を含む導電性ドメインとを有している。
電子写真用エンドレスベルトが、熱可塑性樹脂のマトリックス、及びイオン導電剤のドメインからなるマトリックス・ドメイン構造を有することは、次の方法により確認できる。例えば、当該電子写真用エンドレスベルトから採取したサンプルの電子顕微鏡による観察、及びX線分析装置による分析によって確認することができ、その詳細な方法は後述する。
マトリックス中に分散されたドメインについて、その形態や大きさは特には限定されない。但し、中間転写ベルトの場合、電子写真用エンドレスベルトは、略球形状のトナーを静電気力の作用で移動させるため、ドメインの形態は球状や楕円状、棒状が好ましい。また、ドメイン径としては、1nm(0.001μm)以上、10μm以下、特には、1μm以上、5μm以下が好ましい。ドメイン径が上記の範囲内にある場合、電子写真用ベルトに安定した導電性を付与することができる。また、トナーの転写性にドメインが影響を与えることを抑制し得る。なお、ここで、ドメイン径とは、電子写真用エンドレスベルトの外表面を電子顕微鏡で観察したときに認識できるイオン導電剤からなるドメインの面積と同じ面積を有する円の径と定義される。
熱可塑性樹脂の含有量は、イオン導電剤を含む樹脂組成物の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、特には60質量%以上、さらには70質量%以上であることが好ましい。該含有量が50質量%以上であれば、電子写真用ベルトの耐久性の低下をより防ぐことができる。
<添加剤>
電子写真用エンドレスベルトは、本開示の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、導電性高分子、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系など)、紫外線吸収剤、有機顔料、無機顔料、pH調整剤、架橋剤、相溶化剤、加水分解防止剤などを挙げることができる。他には、離型剤(例えば、シリコーン系、フッ素系など)、カップリング剤、滑剤、絶縁性フィラー、導電性フィラーを挙げることができる。
ここで、絶縁性フィラーとしては、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、マイカが挙げられる。
他の絶縁性フィラーとしては、クレー、カオリン、ハイドロタルサイト、シリカ、シリコーン粒子、アルミナ、フェライト、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ニッケルが挙げられる。
また他の絶縁性フィラーとしては、ガラス粉、石英粉末、ガラス繊維、アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、熱硬化性樹脂の微粒子などが挙げられる。ここで、導電性フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、導電性酸化チタン、導電性酸化錫、導電性マイカが挙げられる。これらは1種類を単独で、あるいは2種類以上を組み合せて用いることも可能である。
<電子写真用エンドレスベルト>
電子写真用エンドレスベルトの厚みは10μm以上500μm以下が好ましく、30μm以上150μm以下が特に好ましい。また、本開示に係る電子写真用エンドレスベルトは、ベルト状として使用するほか、電子写真用部材として使われているドラムあるいはロールなどに巻き付けたり、被覆したりして使用しても良い。また、本開示に係る電子写真用エンドレスベルトからのトナー離型性の改良などを目的として、該電子写真用エンドレスベルトを基層としてその上に表面層を施すことができる。なお、電子写真用エンドレスベルトには、基層と表面層との間、基層の内面上、および表面層上に、さらに別の層があっても構わない。
また、本発明に係る電子写真用エンドレスベルトの用途は特に制限はないが、例えば、中間転写ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルトなどに好適に用いられる。特に中間転写ベルトとして好適に使用することができる。
電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用いる場合には、表面抵抗率が1×10Ω/□以上1×1014Ω/□以下であることが好ましい。表面抵抗率が1×10Ωcm以上であれば、抵抗が著しく低くなることを防ぎ、転写電界を容易に得ることができ、画像の抜けやガサツキが生じることを優れて防ぐことができる。表面抵抗率が1×1014Ω/□以下であれば、転写電圧を高くすることを抑えることができる。それに伴って電源の大型化、コスト増大を抑制し得る。
電子写真用エンドレスベルトの外周面における周方向の表面抵抗率Aは、当該電子写真用エンドレスベルトの外周面おける周方向に直交する方向の表面抵抗率Bよりも同じか高い必要がある。表面抵抗率Aが、表面抵抗率Bよりも低いと、感光体と電子写真用エンドレスベルトとのニップ部外における放電を多く生じさせることになる。その結果、トナーの飛び散りが多くなり、デジタル再現性が低下する。
この場合、表面抵抗率Aおよび表面抵抗率Bのいずれの値も、1×10Ω/□以上、1×1012Ω/□以下であることが好ましい。
表面抵抗率Aを、表面抵抗率B以上とするためには、イオン導電剤の添加量を最適化し、エンドレスベルト作製時の周方向と直交する軸方向の延伸倍率を、周方向の延伸倍率以上となるように調整することで実現できる。延伸倍率は、使用する熱可塑性樹脂の種類により適宜最適となるように調整される。
電子写真用エンドレスベルトの周方向の引っ張り弾性率は1.0GPa以上、3.0GPa以下である必要がある。該引っ張り弾性率が1.0GPa未満であると、2軸延伸が十分に行われているとはいえず、クリープが不十分となる場合がある。該引っ張り弾性率が3.0GPaを越えると、2軸延伸は十分に行われているものの、硬くなりすぎることで弾性回復が生じなくなり、クリープが不十分となる場合がある。
なお、周方向と直交する軸方向の引っ張り弾性率は、延伸倍率が周方向以上とすることから、周方向の引っ張り弾性率以上となる。但し、軸方向の引っ張り弾性率があまり高くなりすぎると電子写真用エンドレスベルトが軸方向に破断しやすくなるため、軸方向の引っ張り弾性率は4.0GPa以下が好ましい。通常、軸方向の延伸倍率を周方向の延伸倍率の2倍以下とすることで達成することができる。
本開示に係る電子写真用エンドレスベルトは、外周面に溝の如き凹凸形状を有していることが好ましい。外表面が、凹凸形状を有することで、クリーニングブレードの如き他の接触部材との接触面積が小さくなり、外表面へのトナーの付着をより一層低減させ得る。
凹凸形状の付与方法としては、特に限定されないが、例えば中子などに支持された上記表層を有する中間転写ベルトを、砥粒を含有するラッピングフィルムと当接させながら周方向に回転させて、該表層の該表面を研磨し、凹凸形状を付与する方法が挙げられる。また、予め所望の形状に加工した型を当接するインプリント加工などの方法も用いることができる。
図4は、外表面に溝を有する、本開示の他の態様に係る電子写真用ベルトの説明図である。電子写真用ベルト405の外周側の表面(以降、「外表面」とも称する)には、複数本の溝401が付与されている。溝401の各々は電子写真用ベルト405の周方向に直交する方向に直線を置いたと仮定したとき、該直線と交差し、かつ、周方向に対して非平行に延在している。具体的には、溝401の各々は、周方向に対してなす狭角θが0°を超えて±3°未満であることが好ましい。より好ましくは狭角θが±1°未満である。溝401が周方向に対してなす狭角が上記の範囲内である場合、クリーニングブレードの、電子写真用ベルトの、隣接する2本の溝401で挟まれている領域と当接する箇所が固定されないため、その部分のみが摩耗することを抑制できる。
溝401は、電子写真用ベルトの外表面に複数本設けられている。該電子写真用ベルトの外表面は、その周方向に直交する方向における溝の本数がn本である第1領域402、および、その周方向に直交する方向における溝の本数がn本より多い第2領域403、のみで構成されている。該第1領域と該第2領域とは、周方向に交互に配置されている。溝401の本数nは、1以上の整数であり、トナークリーニングが安定的に行うことができれば、特には問わないが、2000~120000本であることが好ましい。2000本以上であると、溝401が付与されていない部分と当接するクリーニングブレード部分の面積が減ることで、クリーニングブレードと電子写真用ベルト405との間に発生する摩擦力を小さくすることができる。120000本以下であると、溝401上にあるトナーを、より良く転写することができる。
該第2領域の溝の本数は、2n-10本以上、2n+10本以下であることが好ましい。該第2領域の溝の本数が2n-10本以上であると、該第1領域と該第2領域の境界におけるクリーニングブレードの当接部の場所の変化を安定して生じさせることができる。また、該第2領域の溝の本数が、2n+10本以下であると、溝上にあるトナーを、より良く転写させることができる。
該溝の各々について、隣り合う溝の間隔については、特に制限はないが、トナークリーニングの観点からおよそ均等であることが好ましい。間隔を均等にすることで、局所的なブレードの摩耗を抑えることができる。
該第2領域の周方向の長さは、0.01~50mmであることが好ましい。また該溝の各々は、周方向に非連続であり、該第2領域は、各々の溝の端部を含んでいてもよい。該第2領域の周方向の長さが50mm以下であると、溝上にあるトナーをより良く転写させることができる。
該第2領域が、電子写真用ベルト405の外表面に少なくとも1個存在する。特には、1~3個存在することが好ましく、周方向に2~3個存在することがより好ましい。第2領域を、電子写真用ベルトの周方向に2~3個存在させることで、溝上にあるトナーをより良く転写させることができる。
溝401の深さは0.10μm以上5.0μm未満であることが好ましく、0.20μm以上2.0μm未満であることがさらに好ましい。溝の深さを上記範囲内とすることで、電子写真用ベルトへのクリーニングブレードの当接状態を長期にわたって安定させることができる。
該溝の幅は0.10μm以上3.0μm未満であることが好ましく、0.20μm以上2.0μm未満であることがさらに好ましい。溝の幅を上記範囲内とすることで、トナーの転写性を維持し、電子写真用ベルトの画像品位を保つことが可能となる。該溝を形成するための加工方法としては、例えば、切削加工、エッチング加工、インプリント加工など公知の加工方法を用いて加工することができる。該溝の加工再現性や加工コストの観点からは、インプリント加工が好ましい。
電子写真用ベルト405の厚みは10μm以上500μm以下が好ましく、30μm以上150μm以下が特に好ましい。また、本発明の電子写真用ベルト5は、ベルトとして使用するほか、電子写真用部材として使われているドラムあるいはロールなどに巻き付けたり、被覆したりして使用しても良い。
<電子写真画像形成装置>
本開示の一態様に係る電子写真画像形成装置は、上記した本態様に係る電子写真用エンドレスベルトを中間転写ベルトとして具備する。図1により電子写真画像形成装置の実施形態の一例を説明する。本実施形態の画像形成装置は、複数色の画像形成ステーションを電子写真用エンドレスベルト(以下、「中間転写ベルト」と称する)の回転方向に並べて配置した、所謂タンデム型の構成を有する。なお、以下の説明では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に関する構成の符号に、それぞれ、Y、M、C、kの添え字を付しているが、同様の構成については添え字を省略する場合もある。
図1の符号1Y、1M、1C、1kは感光ドラム(感光体、像担持体)で、感光ドラム1の周囲には、帯電装置2Y、2M、2C、2k、露光装置3Y、3M、3C、3k、現像装置4Y、4M、4C、4k、中間転写ベルト(中間転写体)6が配置される。感光ドラム1は、矢印Fの方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電装置2は、感光ドラム1の周面を所定の極性、電位に帯電する(1次帯電)。露光装置3としてのレーザビームスキャナーは、不図示のイメージスキャナー、コンピュータ等の外部機器から入力される画像情報に対応してオン/オフ変調したレーザー光を出力して、感光ドラム1上の帯電処理面を走査露光する。この走査露光により感光ドラム1面上に目的の画像情報に応じた静電潜像が形成される。
現像装置4Y,4M,4C,4kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(k)の各色成分のトナーを内包する。そして、画像情報に基づいて使用する現像装置4を選択し感光ドラム1面上に現像剤(トナー)が現像され、静電潜像がトナー像として可視化される。本実施形態では、このように静電潜像の露光部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。また、このような帯電装置、露光装置、現像装置により画像形成手段を構成している。
また、中間転写ベルト6は、本態様に係る電子写真用エンドレスベルトで、感光ドラム1の表面に当接されるよう配設され、複数の張架ローラ20、21、22に張架されている。そして、矢印Gの方向へ回動するようになっている。本実施の形態では、張架ローラ20は中間転写ベルト6の張力を一定に制御するようにしたテンションローラ、張架ローラ22は中間転写ベルト6の駆動ローラ、張架ローラ21は2次転写用の対向ローラである。また、中間転写ベルト6を挟んで感光ドラム1と対向する1次転写位置には、それぞれ、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5kが配置されている。感光ドラム1にそれぞれ形成された各色未定着トナー像は、1次転写ローラ5に定電圧源または定電流源によりトナーの帯電極性と逆極性(例えば正極性)の1次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト6上に順次静電的に1次転写される。そして、中間転写ベルト6上に4色の未定着トナー像が重ね合わされたフルカラー画像を得る。中間転写ベルト6は、このように感光ドラム1から転写されたトナー像を担持しつつ回転する。1次転写後の感光ドラム1の1回転毎に感光ドラム1の表面は、クリーニング装置11で転写残トナーをクリーニングし、繰り返し作像工程に入る。
また、記録材7の搬送経路に面した中間転写ベルト6の2次転写位置には、中間転写ベルト6のトナー像担持面側に2次転写ローラ(転写部)9を圧接配置している。また、2次転写位置の中間転写ベルト6の裏面側には、2次転写ローラ9の対向電極をなし、バイアスが印加される対向ローラ21が配設されている。中間転写ベルト6上のトナー像を記録材7に転写する際、対向ローラ21にはトナーと同極性のバイアスが転写バイアス印加手段28により印加され、例えば-1000~-3000Vが印加され-10~-50μAの電流が流れる。このときの転写電圧は転写電圧検知手段29により検知される。更に、2次転写位置の下流側には、2次転写後の中間転写ベルト6上に残留したトナーを除去するクリーニング装置(ベルトクリーナ)12が設けられている。
2次転写位置に導入された記録材7は、2次転写位置で挾持搬送され、その時に、2次転写ローラ9の対向ローラ21に2次転写バイアス印加手段28から所定に制御された定電圧バイアス(転写バイアス)が印加される。対向ローラ21にはトナーと同極性の転写バイアスが印加されることで転写部位にて中間転写ベルト6上に重ね合わされた4色のフルカラー画像(トナー像)を記録材7へ一括転写し、記録材上にフルカラーの未定着トナー像が形成される。トナー像の転写を受けた記録材7は不図示の定着器へ導入され加熱定着される。
本開示の一態様によれば、耐クリープ性に優れると共に、2次転写の際のトナーが転写位置のずれの発生を防止し得る電子写真用ベルトを得ることができる。また本開示の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を形成可能な電子写真画像形成装置を得ることができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例および比較例で作製した電子写真用エンドレスベルトの特性値や性能の評価方法は次の〔評価1〕~〔評価5〕のとおりである。
〔評価1〕電子写真用エンドレスベルトのマトリックス・ドメイン構造
電子写真用エンドレスベルトからミクロトームで切り出したサンプルをエポキシ樹脂に包埋し、エポキシ樹脂の硬化後、さらにミクロトームにて電子写真用ベルトの断面を露出させ、切片を作製した。その後、電界放出型電子顕微鏡(商品名:JEM2100FX;JEOL社製)を用いて、加速電圧200kV、ビーム径1nm、倍率400000倍にて切片の断面観察を行った。
また、同時にエネルギー分散型X線分析装置(商品名;JED-2300T;JEOL社製)で元素マッピング分析を行った。これにより、断面写真中のマトリックス・ドメイン構造を構成している熱可塑性樹脂及びイオン導電剤を峻別した。そして、その結果を下記の基準で評価した。
<評価基準>
ランクA:熱可塑性樹脂のマトリックスとイオン導電剤のドメイン構造を有している。
ランクB:熱可塑性樹脂のマトリックスとイオン導電剤のドメイン構造を有していない。
〔評価2〕電子写真用エンドレスベルトの表面抵抗率
高抵抗率計(ハイレスタ-UP(MCP-HT450);三菱ケミカルアナリテック社製)と専用プローブであるUAプローブ(ピン間隔:20mm、ピン先:2Φ×2本、ばね圧:240g/本;三菱ケミカルアナリテック社製)を用いて、電子写真用エンドレスベルトの周方向と周方向に直交する方向の表面抵抗率を測定した。
電子写真用エンドレスベルトの周方向の表面抵抗率は、UAプローブの2本のピンを繋ぐ直線が電子写真用ベルトの周方向と平行となるようにUAプローブを配置し、印加電圧500V、印加時間10秒の条件で表面抵抗率を測定した。
電子写真用エンドレスベルトの周方向に直交する方向の表面抵抗率は、UAプローブの2本のピンを繋ぐ直線が電子写真用ベルトの周方向に直交する方向と平行となるようにUAプローブを配置し、印加電圧500V、印加時間10秒の条件で測定した。周方向に対して90°位相でそれぞれ4ケ所測定し、平均値を算出した。
〔評価3〕電子写真用エンドレスベルトの周方向の引っ張り弾性率
電子写真用エンドレスベルトを周方向に沿って幅10mm、長さ50mmの短冊状に切りだし、材料引っ張り試験機(インストロン5582;インストロン社製)を用いて、短冊シートの両端をチャックで固定した。チャック間距離10mm、引っ張り速度5mm/分で引っ張り、ひずみ量1%における応力値から引っ張り弾性率を測定した。N=5で測定を行い、平均値を算出した。
〔評価4〕電子写真用エンドレスベルトのクリープ特性
図1に示した構成の電子写真画像形成装置(商品名:LBP712Ci、キヤノン社製)を使用し、電子写真用ベルト5としての中間転写ベルトを装着した。この電子写真画像 形成装置の中間転写ベルトは、直径が18mmの駆動ローラと、直径が15mmのテンションローラとの間に、張架応力6kgfにて架け渡されている。このレーザビームプリンタを、温度35℃、相対湿度95%の環境下に1ヶ月静置した。次いで、導電性ベルトを若干量回転駆動させて、静置時に駆動ローラと接していた部分を駆動ローラから離間させ、その状態で温度35℃、相対湿度95%の環境下で1日静置した。その後、マゼンタのハーフトーン画像を出力した。このハーフトーン画像を目視で観察し、電子写真用エンドレスベルトの静置時に駆動ローラが当接していた跡について下記の基準で評価した。
<評価基準>
ランクA:駆動ローラの当接跡が画像では目視判断できない。
ランクB:駆動ローラの当接跡が画像の濃淡でわずかに確認できる。
ランクC:駆動ローラの当接跡が画像の濃淡で明瞭に確認できる。
〔評価5〕電子写真画像形成装置のデジタル再現性
図1に示した構成の電子写真画像形成装置を使用し、電子写真用エンドレスベルトとしての中間転写ベルトを装着し、細線画像(7本/1mm)が紙上に転写にされた時点の未定着画像を出力し、それを100℃のオーブンを用いて非加圧で定着させ画像を得た。その画像を、ルーペを用いて観察し、各細線画像のトナーの飛び散りの有無を確認し、下記の基準で評価した。
<評価基準>
ランクA:トナーの飛び散りが発生した細線画像が0本。
ランクB:トナーの飛び散りが発生した細線画像が1~3本。
ランクC:トナーの飛び散りが発生した細線画像が4本以上。
なお、上記実施例1~3、10~12は、参考例として記載される。
実施例および比較例に係る電子写真用エンドレスベルトの製造に用いる材料(熱可塑性樹脂、イオン導電剤)としてそれぞれ下記表1~表2に記載の材料を用意した。なお、表2において、イオン液体1~3は、式(1)で表される陰イオンを有する。
Figure 0007379071000002
Figure 0007379071000003
〔実施例1〕
二軸混練押出機(商品名:TEX30α;日本製鋼所社製)を用いて、表3に記載の配合において熱溶融混練して樹脂組成物を調製した。熱溶融混練温度は260℃以上、280℃以下の範囲内となるように調整し、熱溶融混練時間はおよそ3~5分とした。得られた樹脂組成物をペレット化し、温度140℃で6時間乾燥させた。
図2に示した構成を有する射出成形装置(SE180D、住友重機械工業社製)のホッパー48内に、前記樹脂組成物の乾燥ペレットを投入した。そして、シリンダ設定温度を290℃にし、スクリュー42および42A内で溶融させ、ノズル41Aを通して、金型内に射出成形して高さ80mm、径50mmのプリフォーム104を作製した。このときの射出成形金型温度は30℃とした。温度500℃の加熱装置107内にプリフォーム104を入れて軟化させたのち、プリフォーム104を500℃で加熱した。
その後、図3に示すブロー成形機にプリフォーム104を投入した。そして、金型温度を110℃に保った高さ400mm、径226mmのブロー金型108内で延伸棒109とエアーの力(ブローエアー注入部分110)でプリフォーム温度105℃以上、165℃以下の範囲内になるように調整し、エアー圧力0.3MPa、延伸棒速度1000mm/sでブロー成形してブローボトル112を得た。このブローボトルの両端をカットすることにより、エンドレスベルト形状の導電性ベルトを得た。ブローボトルの高さ方向の延伸倍率は5.00倍、径方向の延伸倍率は4.52倍であった。得られた電子写真用エンドレスベルトは、幅246mm、周方向の長さ712mm、厚み70μmであった。この電子写真用エンドレスベルトの評価結果を表3に示す。
〔実施例2~9〕
熱可塑性樹脂とイオン導電剤を表3に記載した配合組成にした以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。
〔実施例10〕
高さ88.5mm、径50mmのプリフォームを作成した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。このときのブローボトルの高さ方向の延伸倍率は4.52倍、径方向の延伸倍率は4.52倍であった。
〔実施例11〕
高さ70mm、径55mmのプリフォームを作成した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。このときのブローボトルの高さ方向の延伸倍率は5.71倍、径方向の延伸倍率は4.11倍であった。
〔実施例12〕
高さ60mm、径60mmのプリフォームを作成した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。このときのブローボトルの高さ方向の延伸倍率は6.67倍、径方向の延伸倍率は3.77倍であった。
実施例1~12に係る電子写真用エンドレスベルトの評価結果を表3に併せて示す。
Figure 0007379071000004
〔比較例1~2〕
熱可塑性樹脂とイオン導電剤を表4に記載した配合組成にした以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。
〔比較例3〕
高さ200mm、径80mmのプリフォームを作成した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。このときのブローボトルの高さ方向の延伸倍率は2.00倍、径方向の延伸倍率は2.83倍であった。
〔比較例4〕
高さ70mm、径45mmのプリフォームを作成した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。このときのブローボトルの高さ方向の延伸倍率は5.71倍、径方向の延伸倍率は5.02倍であった。
〔比較例5〕
高さ120mm、径60mmのプリフォームを作成した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。このときのブローボトルの高さ方向の延伸倍率は3.33倍、径方向の延伸倍率は3.76倍であった。
〔比較例6〕
高さ120mm、径50mmのプリフォームを作成した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。このときのブローボトルの高さ方向の延伸倍率は3.33倍、径方向の延伸倍率は4.52倍であった。
〔比較例7~11〕
熱可塑性樹脂とイオン導電剤を表4に記載した配合組成にし、高さ120mm、径50mmのプリフォームを作成した以外は実施例1と同様にして電子写真用エンドレスベルトを作製し、評価に供した。このときのブローボトルの高さ方向の延伸倍率は3.33倍、径方向の延伸倍率は4.52倍であった。
比較例1~11に係る電子写真用エンドレスベルトの評価結果を表4に併せて示す。
Figure 0007379071000005
<結果および考察>
〔実施例1~9および11~12〕
実施例1~9および11~12は、ベルト周方向の表面抵抗率よりも周方向に直交する方向の表面抵抗率のほうが高くなっていること、ベルトの引っ張り弾性率が1.0~3.0GPaの範囲内にあることから、耐クリープ性およびデジタル再現性に優れていた。
〔実施例10〕
実施例10においては、ベルト周方向の表面抵抗率と周方向に直交する方向の表面抵抗率が同等であり、ベルトの引っ張り弾性率が1.0~3.0GPaの範囲内にあることから、耐クリープ性およびデジタル再現性に優れていた。
〔比較例1および2〕
比較例1および2においては、イオン導電剤の配合量が多いことに起因して、マトリックス・ドメイン構造となっていないため、耐クリープ性およびデジタル再現性が劣っていた。
〔比較例3および4〕
比較例3および4においては、延伸倍率が低すぎるもしくは高すぎることに起因して、ベルトの引っ張り弾性率が1.0~3.0GPaの範囲外にあることから、耐クリープに劣っていた。
〔比較例5~11〕
比較例5~11においては、ブローボトルの高さ方向の延伸倍率よりも径方向の延伸倍率の方が高いことに起因して、ベルト周方向の表面抵抗率よりも周方向に直交する方向の表面抵抗率のほうが低くなっていることから、デジタル再現性が劣っていた。
1 感光ドラム
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
6 中間転写ベルト
9 2次転写ローラ(転写部)
20、21、22 帳架ローラ

Claims (11)

  1. 2軸延伸円筒形フィルムからなる電子写真用ベルトであって、
    該2軸延伸円筒形フィルムは、熱可塑性樹脂のマトリックスと、イオン液体を含む導電性ドメインと、を有し、
    該2軸延伸円筒形フィルムの外周面における周方向の表面抵抗率をA(Ω/□)、該2軸延伸円筒形フィルムの外周面における周方向に直交する方向の表面抵抗率をB(Ω/□)としたとき、A>Bであり、
    該2軸延伸円筒形フィルムの周方向の引っ張り弾性率が、1.0GPa以上、3.0GPa以下であることを特徴とする電子写真用ベルト。
  2. 前記熱可塑性樹脂がポリエステルである請求項1に記載の電子写真用ベルト。
  3. 前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリエチレンナフタレートである請求項2に記載の電子写真用ベルト。
  4. 前記イオン液体が下記式(1)で表される陰イオンを含む、請求項1に記載の電子写真用ベルト:
    Figure 0007379071000006
    (ここで、nは1~4の整数を、mは1~4の整数を表す。)。
  5. 前記イオン液体が、カチオンとして、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、及び、スルホニウムイオンからなる群から選択される少なくとも一つのイオンを含む、請求項1に記載の電子写真用ベルト。
  6. 前記電子写真用ベルトの表面抵抗率であるAおよびBが、各々1×10(Ω/□)以上、1×1012(Ω/□)以下の範囲内である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子写真用ベルト。
  7. 前記電子写真用ベルトは、外周面に複数本の溝を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の電子写真用ベルト。
  8. 前記複数本の溝は、前記表面に、前記電子写真用ベルトの周方向に直交する方向に直線をおいたと仮定したとき、該直線と交差し、かつ、該周方向に対して非平行な方向に延びる請求項7に記載の電子写真用ベルト。
  9. 前記外周面は、
    前記直線と交差する前記溝の本数がn本である第1領域と、
    前記直線と交差する該溝の本数がn本より多い第2領域と、のみで構成されており、
    該第1領域と該第2領域とは、前記電子写真用ベルトの周方向に交互に配置されている請求項8に記載の電子写真用ベルト(但し、nは、1以上の整数を表す)。
  10. 前記電子写真用ベルトが、中間転写ベルトである請求項1~9のいずれか1項に記載の電子写真用ベルト。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の電子写真用ベルトを中間転写ベルトとして具備していることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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