JP6513756B2 - 工事用テント装置、及び工事方法 - Google Patents
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Description
しかし、工事箇所が広範囲に渡る場合は、必要な養生材料も養生に係る時間も増大するという問題がある。
そこで、特許文献1には、走行用の車輪を装着したフレーム部材に対して、空気の通過を許容するが塗料の通過を禁止するフィルターを装着した吹付け塗装工事用の養生用具が開示されている。この養生用具は、吹付け塗装工事を実施する部位を施工箇所以外から隔離するスプレーブースとして機能し、施工材料が施工箇所以外へ飛散することを防止している。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、テント装置を全体として移動させることなく、施工面全体に対する工事を実施できる工事用テント装置及び工事用テント装置を用いた工事方法を提供することを目的とする。
本発明の工事方法は、施工面に立設される複数の可動支柱と、シート状部材が取り付けられる上部フレームと、前記各可動支柱を前記上部フレームに対して相対移動可能に接続する可動接続機構と、を備えた工事用テント装置を用いて、前記施工面に対する工事を行う工事方法であって、前記可動支柱が前記施工面の第一部位と接する状態で前記施工面の他の部位を工事する第一の工程と、前記可動支柱を前記上部フレームに対して相対移動させることにより、前記可動支柱が前記第一部位と非接触となる状態とした上で、前記第一部位を工事する第二の工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の第一の実施形態に係る飛散防止装置について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る飛散防止装置のフレームの全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る飛散防止装置を示す模式的正面図である。図3は、可動接続機構を分解した様子を示す模式的正面図である。
飛散防止装置1においては、可動支柱20が上部フレーム40に対して相対的に移動するので、上部フレーム40の位置を固定した状態であっても可動支柱20を施工面S上で移動させる(走行させる)ことができる。従って、可動支柱20が施工面Sの第一部位Saと接触している状態で施工面Sの他部位Sbを施工し、上部フレーム40を位置固定したまま可動支柱20を移動(変位)させて、可動支柱20が施工面Sの他部位Sbと接触する状態とした上で施工面Sの第一部位Saを施工することができる。つまり、飛散防止装置1の上部フレーム40を移動させることなく、また可動支柱20が施工面Sと接して上部フレーム40を支持した状態を維持したままで施工面Sの全体を施工できる。
以下、飛散防止装置1について詳細に説明する。
夫々の可動支柱20は、施工面Sに立設される柱部材21と、柱部材21の長手方向一端(下端)に取り付けられて施工面S上を移動するキャスター23と、柱部材21の長手方向他端部(上端部)から柱部材21の長手方向と交差(本例では直交)する方向に並行して伸びる一対の横接続部材25、25と、2つの横接続部材25、25の長手方向中間部を接続する縦接続部材27と、各横接続部材25、25の軸方向他端に配置されて柱部材21を上部フレーム40に対して回動可能(可動可能)に接続する回動接続部(可動接続部)29、29とを備える。
本図に示すキャスター23は、柱部材21の軸線を中心として車輪が自在に旋回して施工面S上を自由に走行することが可能な構成であるが、キャスター23は少なくとも可動支柱20が上部フレーム40に対して相対移動する方向に沿って施工面S上を移動可能に構成されていればよい。
柱部材21、横接続部材25、25、縦接続部材27、及び回動接続部29、29は、円筒状の金属製のパイプ材(単管パイプ)により構成することができるが、上述したパイプ材以外の材料を用いて構成してもよい。
回動接続部29、29は可動接続機構90を構成する。回動接続部29、29及び可動接続機構90については後述する。
上部フレーム40は、少なくともシート状部材80(80a、80b)が施工面Sに対して並行な姿勢(シート状部材80a)又は起立した姿勢(シート状部材80a)を取るようにシート状部材80a、80bを支持する。
本例に示す上部フレーム40は、矩形状に接続された4本の横架材41、41…と、横架材41の端部を超えて外側に延びる張出材43と、横架材41同士の連結部から垂下する(下方の施工面Sに向けて伸びる)垂直材(垂下材)45と、横架材41と並行に配置されて隣接する垂直材45同士を補助的に接続する補助横架材47と、垂直材45とこれに接続された張出材43との間に斜めに架設される斜材49と、を備える。
横架材41、張出材43及び補助横架材47は施工面Sに対して並行(或いは実質的に平行)に配置され、垂直材45は施工面Sに対して実質的に垂直に配置される。
横架材41、張出材43、垂直材45、補助横架材47、及び斜材49は、円筒状の金属製のパイプ材(単管パイプ)から構成することができ、上部フレーム40は、複数のパイプ材を互いに各種のジョイントにより着脱自在に固定することによって形成される。即ち、上部フレーム40は非使用時及び運搬時には複数のパイプ材とジョイントに分解され、コンパクト化される。また、上部フレーム40のサイズは組み合わせるパイプ材とジョイントの数により決定でき、上部フレーム40は施工箇所の大きさに応じて任意のサイズで組み立てられる。
なお、横架材41、張出材43、垂直材45、補助横架材47、及び斜材49は、上述したパイプ材以外の材料を用いて構成してもよい。
上部フレーム40の横架材41、張出材43、及び垂直材45は、クロスジョイント50Aにより接続される。クロスジョイント50Aは、4本のパイプ材(横架材41と張出材43)を平面的に十字状に接続すると共に、4本のパイプ材の交点に相当する位置から4本のパイプ材に対して1本のパイプ材(垂直材45)を直交するように接続する。
垂直材45と補助横架材47とは、コーナージョイント50Bにより接続される。コーナージョイント50Bは、2本の補助横架材47の長手方向の夫々の一端部を直交するように接続すると共に、垂直材45の長手方向の中間部に、垂直材45と2本の補助横架材47の夫々が直交するように接続する。
斜材49と垂直材45、斜材49と張出材43とは、ブレースジョイント50Cにより接続される。ブレースジョイント50Cは、垂直材45又は張出材43の長手方向の中間部に、斜材49の長手方向の端部を斜め方向に伸びるように接続する。
図4は、クロスジョイントの外観構成を示した斜視図である。
クロスジョイント50Aは、パイプ材の長手方向の一端部を中空部53内に受け容れて保持する5つのジョイントパイプ51(51a、51b:保持部材)と、夫々のジョイントパイプ51の中空部53内に受け入れたパイプ材を脱落しないように支持する固定ネジ55と、を備える。ジョイントパイプ51は、例えば円筒状の金属製のパイプ(単管パイプ)から構成される。
図示する固定ネジ55は、アイボルトである。固定ネジ55には、作業員が工具を用いずにジョイントパイプ51に対してパイプ材を締結できる部材を用いることが望ましい。
このように、各ジョイントは、接続するパイプ材の本数及び接続するパイプ材同士の角度に応じて、溶接等により互いに接合された複数のジョイントパイプと、夫々のジョイントパイプの中空部内に受け入れたパイプ材を脱落しないように支持する固定ネジと、を備える。
各ジョイントには必要に応じて、シート状部材80を取り付けるフックを設けることができる。例えば、クロスジョイント50Aのジョイントパイプ51aの外周面には、固定ネジ55(不図示)の取付位置を回避した部位にフック57が設けられている。
図5(a)、(b)は、ジョイントパイプとパイプ材との接続を説明するための模式図である。(a)は、ジョイントパイプにパイプ材を接続する前の状態を示した斜視図であり、(b)はジョイントパイプにパイプ材を接続した状態を示す断面図である。
ジョイントパイプ51は、その側面に内外空間を連通させるように貫通形成されて、少なくとも一部に雌ネジが形成されたネジ穴52を有しており、固定ネジ55は、ネジ穴52に螺着される雄ネジが形成されたネジ軸56を有している。ネジ軸56は、中空部53内から退避した位置と中空部53内に突出した位置との間で、ジョイントパイプ51の径方向に進退する。また、パイプ材60の長手方向の各端部、又は必要に応じて長手方向の中間部適所には、外周側からネジ軸56を挿入可能なピン孔61が貫通形成されている。
ジョイントパイプ51の中空部53内にパイプ材60の長手方向の一端部を挿入し、ピン孔61とネジ穴52とを連通させた状態にて、固定ネジ55をネジ穴52に螺着すると共に、ネジ軸56をピン孔61を介してパイプ材60の中空部内に突出させることで、ジョイントパイプ51にパイプ材60を脱落不能に接続することができる。
特に斜材49の接続に関わる部分を予め溶接等により固定、一体化しておくと効果的である。例えば、垂直材45に対しては、斜材49の長手方向の一端部を着脱自在に接続するブレースジョイント50Cを溶接等により固定しておき、斜材49の長手方向の他端部に対しては、張出材43を着脱自在に接続するブレースジョイント50Cを溶接等により固定しておくことができる。この場合、飛散防止装置1の組立工程と分解工程の中に垂直材45に対して斜材49を着脱する工程を含むことになるが、非使用時及び運搬時にコンパクト化できるという利点がある。或いは、垂直材45、斜材49、及びブレースジョイント50C、50Cを溶接等により固定、一体化してもよい。
このように、斜材49の接続に関わる部位を予め溶接等により固定しておくことで、斜材49周辺のがたつきが低減され、飛散防止装置1の強度を全体として高めることができる。また、斜材49を接続する工程、言い換えれば、パイプ材同士を斜め方向に傾斜した姿勢で接続する工程が削減されることから、その他の部位を組み立てる必要があるとしても、全体として上部フレーム40の組み立てが容易となり、飛散防止装置1の組み立てに係る作業時間を短縮できる。
上部フレーム40の適所には、シート状部材80を取り付けるフック77を備えたシートハンガー70が装着される。
図6(a)、(b)は、シートハンガー及びシートハンガーをパイプ材に取り付ける方法を説明する模式図である。(a)はパイプ材にシートハンガーを取り付ける前の状態を示した斜視図であり、(b)はパイプ材にシートハンガーを取り付けた状態を示す断面図である。
シートハンガー70は、上部フレーム40を構成するパイプ材の長手方向の中間部適所に着脱自在に固定されることにより、パイプ材の長手方向の任意の位置において、シート状部材80を吊り下げることを可能とする部材である。
シートハンガー70は、軸方向に貫通した中空部73を有し、中空部73内にパイプ材60が挿通される直線的形状の挿通パイプ71と、挿通パイプ71をパイプ材60に対して固定する固定ネジ75と、を備える。なお、フック77は、固定ネジ75の取付位置を回避した挿通パイプ71の外周部の適所に設けられている。
挿通パイプ71の中空部73内にパイプ材60を挿入し、固定ネジ75をネジ穴72に螺着してネジ軸76の先端縁76aをパイプ材60の側面に圧接させることにより、パイプ材60に対してシートハンガー70を固定することができる。
図1〜図3に示す例において、シートハンガー70は、横架材41と張出材43に取り付けられているが、シートハンガー70は、シート状部材80を取り付けようとする上部フレーム40の位置に応じて、横架材41と張出材43以外を構成するパイプ材に取り付けてもよい。
可動接続機構について図3に基づいて説明する。
可動接続機構90は、上部フレーム40を構成する垂直材45と、可動支柱20を構成する回動接続部29、29とを含んで構成される。回動接続部29、29は、垂直材45に対して垂直材45の軸線(回動中心軸)を中心として回動する(正逆自在に回転する)ように接続される。本例に示す回動接続部29、29は、垂直材45を挿通可能な内径を有し、軸方向に貫通した円筒状の可動パイプ31と、垂直材45に対して可動パイプ31を旋回しないように固定する固定ネジ33とを備える。回動接続部29は、図6に示したシートハンガー70と類似する構成を有するため、垂直材45との接続方法等の詳細な説明は省略する。
2つの回動接続部29、29のうち、上側に位置する回動接続部29の可動パイプ31の上端縁はブレースジョイント50Cの下端縁と当接することで、垂直材45に対する可動支柱20の長手方向位置が決定される。
固定ネジ33を緩めた状態にて可動パイプ31の中空部内に垂直材45を挿通することにより、可動支柱20は垂直材45の軸線を中心として垂直材45の周囲を正逆自在に回転することができる。また、固定ネジ33を締結して、固定ネジ33の先端縁を垂直材45の外側面に圧接させることにより、垂直材45に対して可動支柱20を所定の周方向位置に固定することができる。
ここで、可動支柱20を垂直材45の軸線を中心として回動させるという機能を発揮するためには、可動支柱20は一つの回動接続部29を備えれば足りる。しかし、本例に示すように垂直材45の軸方向に離間して複数の回動接続部29、29を設けることによって、可動支柱20を垂直材45回りにスムーズに回動させることができる。即ち、垂直材45の軸線に対して可動パイプ31、31の軸線が傾斜しにくくなるため、可動支柱20を垂直材45回りにスムーズに回転させることができる。また、各可動パイプ31、31の軸方向長を短くすることができるので、可動パイプ31、31の内周面と垂直材45の外周面との間に発生する摩擦抵抗を低減させることができ、可動支柱20を垂直材45回りにスムーズに回転させることができる。
シート状部材について、図2及び図7に基づいて説明する。
図7(a)は飛散防止装置の上面図であり、(b)はシート状部材の部分拡大図である。
シート状部材80(80a、80b)は、布材、メッシュ状の布材、樹脂シート等を裁断、縫製等して形成される可撓性を有するシート状の部材である。シート状部材80は例えば矩形状であり、外周縁部(端縁部)、角隅部、及び必要に応じてそれ以外の箇所に、フック57(図4参照)やフック77(図6参照)に係止される複数の被係止部81を備えている。被係止部81は、図示するようにシート状部材80に貫通形成した孔でもよいし、環状に成形した線材等であってもよい。
シート状部材80は、クロスジョイント50Aが備えるフック57(図4参照)や、シートハンガー70が備えるフック77(図6参照)を利用して、上部フレーム40から吊り下げられる(図2参照)。また、シート状部材80は上部フレーム40に対して着脱自在であり、折り畳むことができるので、非使用時及び運搬時には非常にコンパクトにすることができる。
フレーム10に対して、屋根幕としてのシート状部材80aと側面幕としてのシート状部材80bの何れを取り付けるか、又は双方を取り付けるかは、シート状部材80が果たすべき機能に応じて決定される。また、フレーム10に対して取り付けるシート状部材80の形状及び枚数は、フレーム10のサイズやシート状部材80によって覆うべき箇所の面積に対するシート状部材80のサイズ等に応じて適宜決定される。
なお、シート状部材80aに対しては、必要に応じて被係止部81に線材83を締結し、この線材83をフレーム10以外の適所(例えば建築物等に設けた支持部材)に結びつける(固定する)ことにより、シート状部材80aを張設するようにしてもよい。
シート状部材80には、飛散防止装置1の使用目的に応じた機能を有するシート状の部材が使用される。
シート状部材80は、単一のシート状の部材から構成されていてもよいし、複数のシート状の部材を層状に重ね合わせて構成されていてもよい。後者の場合、シート状部材80は、別体構成の複数のシート状の部材を必要に応じて層状に重ねたものでもよいし、予め、縫合・接着等の方法により複数のシート状の部材を層状に重ねて一体化したものでもよい。また、シート状部材80は、面内に、夫々異なる機能を有するシート状の部材からなる複数の領域を有していてもよい。
例えば、施工面Sに対して施工材料をミスト状に噴霧する工事を実施する場合は、シート状部材80として施工材料の外部への飛散を防止する飛散防止ネットを用いることができる。この場合、図2に示したように、屋根幕としてのシート状部材80aと側面幕としてのシート状部材80bの双方を上部フレーム40に取り付けて、施工面S以外の部分が完全に覆われた施工空間100(本例では直方体状の空間)を形成することができる。また、夏季の施工時には、屋根幕としてのシート状部材80aには、飛散防止ネットの上面に遮熱ネットを層状に重ね合わせて作業員の熱射病対策を図ってもよい。
また、大気中の水蒸気が雨や雪等となって地上に落下する降水時に施工面Sを施工する場合には、施工面への降水による影響を回避するため、少なくとも防水シートを屋根幕としてのシート状部材80aに用いることができる。
このように、シート状部材80には、目的に応じた機能を有するものを、その目的に応じた位置に取り付ける。
飛散防止装置1を用いて、施工面Sに対する工事を行う方法について図1、図2、図7(a)を参照して説明する。なお、飛散防止装置1の組み立て及び分解についての説明は省略する。
施工面Sに対する工事は、作業員が飛散防止装置1の施工空間100内に入った状態で実施される。従って、飛散防止装置1は作業員が内部に入れる大きさとして、例えば、施工面Sからの高さが2.1m、上部フレーム40の横架材41の長さが3.6m、張出材43の長さが2.0mのように設定される。なお、例えば可動支柱20の横接続部材25、25の長さは0.4mのように、張出材43の長さよりも短くなるように設定される。
フレーム10はキャスター23により施工面Sと接しており、可動支柱20は垂直材45を中心として回動することから、上部フレーム40自体を施工面Sに対して相対移動させない場合でも、キャスター23は垂直材45の延長線と施工面Sとの交点を中心として円弧状(円状)の軌跡L(図7(a))を描いて施工面S上を移動(走行)可能である。即ち、可動支柱20は施工面Sに接触した状態を維持したまま施工面S上を移動する。
続いて、可動支柱20を上部フレーム40に対して図中の点線位置に相対移動させることにより、可動支柱20が施工面Sの第一部位Saとは非接触となる状態とした上で(言い換えれば、可動支柱20が施工面Sの他部位Sbの適所と接する状態とした上で)、施工面Sの第一部位Saを工事する(第二の工程)。
他の可動支柱20周辺の施工面Sについても同様に工事を実施する。
このようにすることで、施工面Sに対して上部フレーム40を相対移動させることなく、飛散防止装置1によって覆われた施工空間100内にある施工面Sの全体を工事することができる。
例えば、上部フレーム40が張出材43を備えない構成とし、矩形状に組み合わせられた横架材41、41…によって屋根幕としてのシート状部材80bと側面幕としてのシート状部材80bの少なくとも一方を支持するようにしてもよい。この場合も、可動支柱20の施工面S上の移動範囲(移動軌跡L)の少なくとも一部が施工空間100内に位置するため、可動支柱20の施工面Sとの接地部位を適宜変更することによって、施工面Sの全体を工事することができる。
特に、本実施形態においては、可動支柱20の横接続部材25、25の長さが張出材43の長さよりも短くなるように設定されているため、可動支柱20の施工面S上の移動範囲(移動軌跡L)の全体が施工空間100内に位置するようになっており、可動支柱20の移動範囲に制限はない。
飛散防止装置1においては、上部フレーム40に対して可動支柱20を相対移動させることによって、可動支柱20の施工面Sとの接地位置(接地状態)を可動支柱20の可動範囲内で自由に設定できる。
本実施形態においては、可動支柱20が施工面Sに接触した状態を維持したまま、施工面S上を移動するようにした。特に、可動支柱20が垂直材45を軸として回動するようにしたので、可動支柱20の移動前後における施工面Sとの接地位置が大きく変動しない。従って、可動支柱20を移動させた場合であっても、可動支柱20は施工面Sから離間せず、上部フレーム40を支持した状態を維持するので、飛散防止装置1の姿勢及び全体的なバランスを維持することができる。
なお、本実施形態に示す上部フレーム40は、4本の横架材41を組み合わせることで、上面視で1つの矩形状のマス目が形成された例である。しかし、飛散防止装置1が備える横架材41の数はこれに限らない。より多数の横架材41を格子状に組み合わせることで、上面視で2以上の矩形状のマス目が形成されるようにしてもよい。また、上部フレーム40に張出材43を設けるか否かは施工箇所の状態に応じて任意に決定することができる。
上部フレームに対する可動支柱の相対的な移動態様は種々考えられる。以下、可動支柱の他の構成例について説明する。なお、第一の実施形態と同一機能を有する部材については、同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
図8は、可動支柱の第一の変形例を示す正面図である。
本例に示す可動支柱20は、例えば円筒状の金属製のパイプ材(単管パイプ)により構成される柱部材21と、柱部材21の長手方向一端(下端)に取り付けられたキャスター23と、柱部材21の長手方向他端(上端)に取り付けられた回動接続部29とを備える。回動接続部29の軸線方向は柱部材21の軸線方向(長手方向)に対して傾斜(交差)しているため、柱部材21は垂直材45に対して傾斜した状態にて取り付けられる。即ち、柱部材21は施工面Sに対して傾斜した状態にて立設される。キャスター23が施工面Sと接地する部位が、垂直材45の軸線の延長線上にはないため、本実施形態においても第一の実施形態と同様に、柱部材21は垂直材45を中心としてその周囲を回動する。
このように、柱部材21は必ずしも施工面Sに対して垂直に立設されていなくともよい。
図9(a)、(b)は、可動支柱の第二の変形例を示す正面図である。図9(a)は横接続部材25が収縮姿勢にある状態を示し、図9(b)は横接続部材25が伸長姿勢にある状態を示す図である。本例に示す可動支柱20は、横接続部材25、25を伸縮自在に構成することにより、キャスター23が施工面Sに対して直線的に往復移動できるようにした点に特徴がある。
夫々の横接続部材25、25は、柱部材21に一端部を支持された筒状の外側部材25aと、回動接続部29により一端部を支持されると共に、他端部を外側部材25aの他端開口から中空部内に挿入されて外側部材25aの軸方向に自在に進退する内側部材25bと、外側部材25aに対する内側部材25bの軸方向位置を固定する固定ネジ25cとを備える。
外側部材25aと内側部材25bは例えば内外径の異なる円筒状の金属製のパイプ材(単管パイプ)により構成されるが、外側部材25aと内側部材25bの横断面形状は円形、多角形、その他の形状としてもよい。
本構成により横接続部材25は、内側部材25bが外側部材25a内に収容されることで全長が短縮化された収縮姿勢と、内側部材25bが外側部材25aから露出することで全長が伸長した伸長姿勢との間で変位する。横接続部材25を伸縮させることによりキャスター23の施工面Sに対する接地位置を直線的に変化させることができる。
本例においては、回動接続部29及び垂直材45の他に横接続部材25が、可動支柱20(特に、柱部材21及びキャスター23の施工面Sに対する接地位置)を上部フレーム40に対して相対移動可能にする可動接続機構として機能する。
本例においても、キャスター23を施工面S上で移動させる(走行させる)ことができる。特に、本例においては、キャスター23が描く円弧状の移動軌跡の半径を伸縮させることが可能である。本変形例においても、工事の工程に応じて可動支柱20を上部フレーム40に対して相対移動させながら、施工面Sの全体を工事することができる。
図10(a)は可動支柱の第三の変形例を示す正面図であり、(b)はその部分拡大図である。
本例に示す可動支柱20は、可動接続機構90により、柱部材21が上部フレーム40の補助横架材47に対してその長手方向に沿って進退可能に接続することにより、キャスター23が施工面Sに対して直線的に往復移動できるようにした点に特徴がある。
可動支柱20を上部フレーム40に対して相対移動可能に接続する可動接続機構90は、柱部材21、補助横架材47、及び柱部材21を補助横架材47に対して接続する可動ジョイント91により構成される。可動ジョイント91は、軸方向に貫通した筒形状を成し、中空部内に補助横架材47が挿通される第一パイプ93と、第一パイプ93に対してT字状に接続されて、柱部材21の長手方向の他端部(上端部)を中空内部に受け容れて保持する第二パイプ95と、第一パイプ93と第二パイプ95内に夫々受け入れた補助横架材47と柱部材21を夫々固定する固定ネジ97、97とを備える。
なお、固定ネジ97を用いた第一パイプ93と第二パイプ95に対する補助横架材47と柱部材21の固定には、図5に示したジョイントパイプ51に対するパイプ材60の固定方法や、図6に示した挿通パイプ71に対するパイプ材60の固定方法を採用することができるため、詳細な説明を省略する。
本例においても、まず可動支柱20のキャスター23が、施工面Sの第一部位Saと接する状態で施工面Sの他部位Sbを工事する(第一の工程)。可動ジョイント91の第一パイプ93の固定ネジ97を緩めて、キャスター23が施工面Sの他部位Sbの適所と接する状態とした上で固定ネジ97を締結し、補助横架材47に対して可動ジョイント91を固定する。この状態にて、施工面Sの第一部位Saを工事すれば(第二の工程)、施工面Sに対して上部フレーム40を移動させることなく、飛散防止装置1によって覆われた施工空間100内にある施工面Sの全体を工事することができる。
図11は、可動支柱の第四の変形例を示す正面図である。
本例に示す可動支柱20は、可動パイプ31によって柱部材21を回動可能に軸支したことにより、キャスター23が施工面Sに対して接地した接地姿勢と、キャスター23が施工面Sから離間した離間姿勢との間で変位するようにした点に特徴がある。
回動接続部29は、可動パイプ31及び固定ネジ33と、可動パイプ31の外周面から並行に突出すると共に面内に軸支部(軸穴)35a、35aを備えた支持板35、35と、柱部材21の長手方向他端部を径方向に貫通して軸支部35a、35aと連通する被軸支部(軸穴)21aと、連通した状態の軸支部35a、35a及び被軸支部21aに挿通されることにより柱部材21を支持板35、35に回動自在に支持させるボルト(回転軸)37と、ボルト37に螺着されることにより柱部材21を支持板35、35に締結するナット(不図示)とを備える。
本例に示す可動支柱20は、柱部材21を上部フレーム40の垂直材45の軸線と交差する(本例では直交する)回転軸(ボルト37の軸部)を中心として回転するので、接地姿勢(実線にて示す)と離間姿勢(破線にて示す)との間で変位する。
柱部材21を支持板35、35に締結するボルト37及びナットは、支持板35、35に対する柱部材21の軸方向(角度)を任意に固定できる。即ち、柱部材21は支持板35、35により、接地姿勢又は離間姿勢に固定される。
このように本例においても、可動支柱20を上部フレーム40に対して相対移動させることで、キャスター23を施工面Sに対して接触又は離間させることができる。可動支柱20を順次、一時的に施工面Sから離間させるようにして、施工面Sの全体を工事することができる。
図12(a)、(b)は、可動支柱の第五の変形例を示す正面図である。図12(a)はキャスター23が施工面Sに対して接地した接地姿勢にある状態を示し、図12(b)はキャスター23が施工面Sから離間した離間姿勢にある状態を示す図である。本例に示す可動支柱20は、柱部材21を伸縮自在に構成することにより、可動支柱が接地姿勢と離間姿勢との間で変位するようにした点に特徴がある。
柱部材21は、横接続部材25、25によって支持された中空筒状の外側部材21bと、長手方向一端(下端)にキャスター23を備え、長手方向他端部(上端部)を外側部材21bの下端開口から中空部内に挿入される内側部材21cと、外側部材21bに対して内側部材21cを固定する固定ネジ21dとを備える。
内側部材21cは外側部材21bに対して、柱部材21が段階的に伸縮するように固定される構成でもよいし、柱部材21が無段階に伸縮するように固定される構成でもよい。柱部材21を段階的に伸縮させる場合は、図5に示したジョイントパイプ51(外側部材)とパイプ材60(内側部材)のような構成とすればよいし、柱部材21を無段階で伸縮させる場合は、図6に示した挿通パイプ71(外側部材)とパイプ材60(内側部材)のような構成とすればよい。
本構成により柱部材21は、全長が伸長してキャスター23が施工面Sと接地する接地姿勢(図12(a))と、 全長が収縮してキャスター23が施工面Sから離間する離間姿勢(図12(b))との間で姿勢変位することができる。
このように本例においても、キャスター23を施工面Sに対して接触又は離間させることができるので、上部フレーム40を移動させることなく、可動支柱20を上部フレーム40に対して相対移動させながら、施工面Sの全体を工事することができる。
上記実施形態においては、飛散防止装置1を施工材料の飛散を防止する装置として記載したが、飛散防止装置1を以下のように使用することも可能である。
上部フレーム40を建築物等に固定せずに、可動支柱20のキャスター23を利用して飛散防止装置1の全体を走行させるようにしてもよい。
施工面S上に障害物がある場合には、障害物を回避した位置に可動支柱20を接地させて、飛散防止装置1を立てることができる。特に、上部フレームの位置を移動できない場合に有効である。
飛散防止装置1は、特に施工面Sに対する工事を実施する際に有効であるが、飛散防止装置1をその他の用途、例えば仮設テントとして用いてもよい。
<第一の実施態様>
本態様に係る工事用テント装置(飛散防止装置1)は、施工面Sに立設される複数の可動支柱20、20…と、シート状部材80が取り付けられる上部フレーム40と、各可動支柱を上部フレームに対して相対移動可能に接続する可動接続機構90と、を備えたことを特徴とする。
上部フレームに対する可動支柱の相対的な移動態様は種々考えられる。例えば、可動支柱が施工面上で円弧状の軌跡を描いて移動するようにしてもよいし、可動支柱が施工面上で直線的に往復移動するようにしてもよい。可動支柱が施工面に対して接地した状態を維持した場合であっても、可動支柱を上部フレームに対して相対移動させることで、可動支柱と施工面との接地位置を変化させることができるので、施工面の全体を工事できる。
或いは、可動支柱が施工面に対して接地又は離間するように、上部フレームに対して可動支柱を相対移動させてもよい。例えば、可動支柱が上部フレームに対して上下方向に回動するか、又は上下方向に直線的に移動するように構成し、一時的に施工面から可動支柱を離間させるようにすれば、施工面の全体を工事できる。なお、一部の可動支柱を一時的に施工面から離間させたとしても、他の可動支柱により工事用テント装置の姿勢を維持可能となるように、可動支柱の位置及び本数を設定する必要がある。
以上のように本態様によれば、上部フレームの位置を固定した状態であっても、上部フレームに対して可動支柱を相対移動させることによって、テント装置を全体として移動させることなく、施工面全体に対する工事を完了できる。
本態様に係る工事用テント装置(飛散防止装置1)において、可動支柱20は相対移動時に施工面S上を移動することを特徴とする。
本実施態様においては、可動支柱が施工面に接触した状態を維持したまま施工面上を移動するようにした。可動支柱を移動させた場合であっても、可動支柱は施工面から離間せず、上部フレームを支持した状態を維持するので、工事用テント装置の姿勢及びバランスを維持したまま、施工面全体に対する工事を完了できる。
本態様に係る工事用テント装置(飛散防止装置1)において、可動接続機構90は、上部フレーム40を構成すると共に施工面Sに向けて伸びる垂下材(垂直材45)と、可動支柱20を構成すると共に垂下材に対して垂下材を中心として回動するように接続される回動接続部29と、を備えることを特徴とする。
可動支柱が垂下材を軸として回動するようにしたので、可動支柱の移動前後における施工面との接地位置が大きく変動しない。従って、工事用テント装置の姿勢及びバランスを維持したまま、施工面全体に対する工事を完了できる。
本態様に係る工事用テント装置(飛散防止装置1)において、上部フレーム40は、可動支柱20の移動範囲の少なくとも一部をシート状部材80によって覆いうる大きさ及び形状を有することを特徴とする。
本態様においては、シート状部材によって覆われた範囲内で可動支柱を移動させて施工面を工事することができる。施工面を工事するときにシート状部材の取付位置を調整する必要はなく、工事をスムーズに実施できる。
本態様に係る工事用テント装置(飛散防止装置1)において、上部フレーム40は、少なくともシート状部材80(80a、80b)が施工面Sに対して並行な姿勢(シート状部材80a)又は起立した姿勢(シート状部材80b)を取るようにシート状部材を支持することを特徴とする。
シート状部材の姿勢は、シート状部材が果たすべき機能に応じて決定される。例えば、シート状部材を施工面に対して並行にした場合は、シート状部材を屋根幕として機能させることができる。シート状部材を施工面に対して起立した姿勢にした場合は、シート状部材を側面幕として機能させることができる。
本態様は、工事用テント装置(飛散防止装置1)を用いて、施工面Sに対する工事を行う工事方法であって、可動支柱20、20…が施工面の第一部位Saと接する状態で施工面の他の部位Sbを工事する第一の工程と、可動支柱を上部フレーム40に対して相対移動させることにより、可動支柱が第一部位とは非接触となる状態とした上で、第一部位を工事する第二の工程と、を含むことを特徴とする。
本態様によれば、可動支柱の接地状態を工事の工程に応じて変更することで、工事用テント装置の上部フレームを移動させることなく、つまり、工事用テント装置を全体として移動させることなく、施工面全体に対する工事を完了できる。
Claims (5)
- 施工面に立設される複数の可動支柱と、
シート状部材が取り付けられる上部フレームと、
前記各可動支柱を前記上部フレームに対して相対移動可能に接続する可動接続機構と、を備え、
前記可動支柱は、前記相対移動時に前記施工面上を移動することを特徴とする工事用テント装置。 - 前記可動接続機構は、前記上部フレームを構成すると共に前記施工面に向けて伸びる垂下材と、前記可動支柱を構成すると共に前記垂下材に対して該垂下材を中心として回動するように接続される回動接続部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の工事用テント装置。
- 前記上部フレームは、前記可動支柱の移動範囲の少なくとも一部を前記シート状部材によって覆いうる大きさ及び形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の工事用テント装置。
- 前記上部フレームは、少なくとも前記シート状部材が前記施工面に対して並行な姿勢又は起立した姿勢を取るように前記シート状部材を支持することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の工事用テント装置。
- 施工面に立設される複数の可動支柱と、シート状部材が取り付けられる上部フレームと、前記各可動支柱を前記上部フレームに対して相対移動可能に接続する可動接続機構と、を備えた工事用テント装置を用いて、前記施工面に対する工事を行う工事方法であって、
前記可動支柱が前記施工面の第一部位と接する状態で前記施工面の他の部位を工事する第一の工程と、
前記可動支柱を前記上部フレームに対して相対移動させることにより、前記可動支柱が前記第一部位と非接触となる状態とした上で、前記第一部位を工事する第二の工程と、を含むことを特徴とする工事方法。
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