図1は、本発明の実施形態に係る油圧ショベルを示す側面図である。
油圧ショベルは、自走可能なクローラ式の下部走行体1と、この下部走行体1上に旋回機構2を介して旋回可能に搭載された上部旋回体3を有している。
上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5及びバケット6により作業アタッチメントが構成される。
ブーム4は、旋回フレーム31に俯仰動可能に取付けられている。アーム5は、ブーム4の先端側に回動可能に取付けられている。また、バケット6は、アーム5の先端側に回動可能に取付けられている。
ブームシリンダ7は、旋回フレーム31とブーム4との間に配設されている。このブームシリンダ7により、ブーム4は旋回フレーム31に対して俯仰動する。アームシリンダ8は、ブーム4とアーム5との間に配設されている。このアームシリンダ8により、アーム5はブーム4に対して回動する。更にバケットシリンダ9は、バケット6とアーム5との間に配設されている。このバケットシリンダ9により、バケット6はアーム5に対して回動する。
上部旋回体3は、下部走行体1上に旋回機構2を介して旋回自在に設置されている。この上部旋回体3には、図1に加え図2に示すように、旋回フレーム31、キャブ10、カウンタウエイト32、外装カバー33、エンジン11、熱交換装置40、防塵装置50、及び排気ガス処理装置60等が配設されている。
キャブ10は旋回フレーム31上に設けられており、その内部には運転席(図示せず)が設けられている。オペレータはキャブ10内の運転席に着座し、油圧ショベルの運転操作を行う。
カウンタウエイト32は、作業アタッチメントとの重量バランスをとる機能を奏する。また、外装カバー33及びエンジンフード34aは、エンジン室34内に配設されたエンジン11、熱交換装置40、防塵装置50、及び排気ガス処理装置60等を覆うものである。
次に、エンジン室34内の構成について説明する。
図2はエンジン室34の内部構成を示す概略構成図である。エンジン室34内には、エンジン11、熱交換装置40、防塵装置50、及び排気ガス処理装置60等が配設されている。
エンジン11は、旋回フレーム31に配設されたエンジン取付け座31aの上部に、マウント31bを介して支持されている。マウント31bは防振マウントであり、エンジン11で発生する振動が旋回フレーム31に伝達されるのを防止している。
エンジン11のX1方向側(図中左側)には、冷却ファン35が配設されている。また、冷却ファン35のX1方向側には熱交換装置40が配設されている。更に、熱交換装置40のX1方向側には防塵装置50が配設されている。
冷却ファン35は、エンジン11により回転駆動される。冷却ファン35が回転駆動されることにより、メンテナンスドア33Aに設けられた吸気口から外気が冷却風Wとしてエンジン室34内に取り込まれる。熱交換装置40は、このエンジン室34に取り込まれた冷却風Wにより熱交換処理(冷却処理)を行う。
冷却風Wは、図2に矢印で示すように図中右方向に流れる。よって、図中矢印X1方向側が冷却風上流側となり、図中矢印X2方向が冷却風下流側となる。また、本実施形態では、図中矢印Z1方向が上方向となり、図中矢印Z2方向が下方向となる。
熱交換器としての熱交換装置40は、ラジエタユニット40A、燃料クーラ40B、コンデンサ40C、オイルクーラ40D、及びインタークーラ40E等の各熱交換器を一体的にユニット化した構成とされている(図3参照)。
ラジエタユニット40Aは、エンジン11内を流れる冷却水を冷却する。燃料クーラ40Bは、図示しない燃料タンクに戻る余剰燃料を冷却する。コンデンサ40Cは、キャブ10に搭載されたエアコンで冷気を発生させるためのものである。オイルクーラ40Dは、各種シリンダ7、8、9等の油圧機器の作動オイルの冷却を行う。インタークーラ40Eは、エンジン11に供給される過給空気を冷却する。これらの各熱交換器40A〜40Eに流入する冷却水、作動油等の各種冷媒は、冷却風Wにより冷却される。
エンジン11のX2方向側には、油圧ポンプ14が一体的に取付けられている。油圧ポンプ14は、作業アタッチメントを駆動するブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等の油圧源である。この油圧ポンプ14もエンジン11により駆動される。
エンジン11から排出された排気ガスは、排気ガス処理装置60により浄化処理が行われる。エンジン11から排出される排気ガス中には、窒素酸化物(NOx)等の有害物質が含まれることがあり、これらを浄化するためにエンジン11には排気ガス処理装置60が接続されている。
この排気ガス処理装置60は、排気ガス中の微粒子を燃焼させる酸化触媒が配置された第1処理部61と、微粒子が取り除かれた排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元除去する選択的還元剤(例えば、尿素等)を用いて還元除去する第2処理部としての選択還元型触媒62(SCR)等が設けられている。また、第1処理部61として、排気ガス中に含まれるパティキュレートマター(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を用いてもよい。
上記構成とされた排気ガス処理装置60は、支持体37、ファイヤーウォール42等を有するフレーム体36に支持される。
次に、図3を用いて、熱交換装置40及び防塵装置50について説明する。
熱交換装置40は、前記のように各熱交換器40A〜40Eを有しており、これらの各熱交換器40A〜40Eはフレーム41に取付けられている。
フレーム41は、対向離間して設けられる一対のラジエタフレーム41A、41Bと、このラジエタフレーム41A、41Bの上端部を連結する上部フレーム41Cと、ラジエタフレーム41A、41Bの下端部を連結する下部フレーム41Dとを有している。
この各フレーム41A〜41Dは、全体として矩形の枠を構成する。前記の各熱交換器40A〜40Eのうちラジエタユニット40A及びオイルクーラ40Dは、矩形の枠形状とされたフレーム41の内部に取付けられる。図示例のラジエタユニット40Aは、ラジエタフレーム41Aと41Bに取付けられている。また、燃料クーラ40B、コンデンサ40C、及びインタークーラ40Eは、フレーム41から延出する支持部材などに取付けられて、冷却風Wの流れ方向に対してラジエタユニット40Aの上流側(X1方向側)に配置される。
防塵装置50は、冷却風Wの流れ方向に対し熱交換装置40の上流側に取付けられる。また、エンジン室34内における防塵装置50の配設位置は、図2に示すように、外装カバー33の側部に形成されたメンテナンスドア33Aの近傍位置に設定されている。
防塵装置50は、一対のネット用ブラケット51A、51Bと、防塵ネット80とを有している。
ネット用ブラケット51Aは図中矢印Y1方向側に位置しており、ラジエタフレーム41Aに取付けられる。また、ネット用ブラケット51Bは図中矢印Y2方向側に位置しており、ラジエタフレーム41Bに取付けられる。よって、一対のネット用ブラケット51A、51Bは、燃料クーラ40B、コンデンサ40C、及びインタークーラ40Eを挟むようにして、熱交換装置40のフレーム41に取付けられる。
本実施形態では、ネット用ブラケット51A、51Bをラジエタフレーム41A、41Bにボルトを用いて固定している。しかしながら、ネット用ブラケット51A、51Bのラジエタフレーム41A、41Bへの固定方法は特に限定されるものではなく、他の固定方法(溶接等)を用いてもよく、また着脱可能な構成としてもよい。
ネット用ブラケット51A、51Bは、上端部から中央部に向け漸次幅広となる第1の傾斜部52A、52Bと、下端部から中央部に向け漸次幅広となる第2の傾斜部53A、53Bとを有している。よって、ネット用ブラケット51A、51Bは、上端部及び下端部に対して中央部が冷却風Wの流れ方向に対し上流側に突出した形状を有している。即ち、ネット用ブラケット51A、51Bは、側面視すると上端部及び下端部に比べて中央部分がX1方向に突出した形状とされている。
ネット用ブラケット51Aの上端部と、ネット用ブラケット51Bの上端部との間には、補強板54が配設されている。また、ネット用ブラケット51Aの突出した中央部と、ネット用ブラケット51Bの突出した中央部との間には、中渡し板55が配設されている。
防塵装置50の上端部には、開口部59が形成されている。補強板54は、この開口部59に設けられている。この補強板54は、ネット用ブラケット51A、51Bの上部における強度を高めるものである。なお開口部59は、エンジンフード34aを外装カバー33に装着する際にエンジンフード34aで覆われる。
中渡し板55は、ネット用ブラケット51A、51Bの中央部における強度を高めるものである。また中渡し板55の中央位置には、載置部56が設けられている。
このように、ネット用ブラケット51A、51Bは、その上端部、及び中央部が補強板54、中渡し板55により補強される。これにより、一対のネット用ブラケット51A、51Bは、所定の対向離間した位置を維持する。
ここで、補強板54の幅寸法(矢印X1、X2方向に対する長さ)は、防塵装置50の強度を維持しうる範囲で最小の幅寸法とされている。なお、補強板54については、ネット用ブラケット51A、51Bの補強を行うことができれば、必ずしもネット用ブラケット51Aとネット用ブラケット51Bとの間に架設する必要はない。
ネット用ブラケット51Aの上端近傍位置には、上部ガイド部材70Aが設けられている。また、ネット用ブラケット51Aの下端部近傍には、下部ガイド部材71Aが設けられている。同様に、ネット用ブラケット51Bの上端近傍位置には上部ガイド部材70Bが設けられており、ネット用ブラケット51Bの下端部近傍には下部ガイド部材71Bが設けられている。
上部ガイド部材70A及び上部ガイド部材70Bの配設位置は、上部ガイド部材70Aと上部ガイド部材70Bとの間に矢印Z1、Z2方向及び矢印X1、X2方向を含む面(以下、この面を対称面という)に対して鏡面対称に配置されている。また同様に、下部ガイド部材71Aと下部ガイド部材71Bの配設位置も、対称面に対して鏡面対称に配置されている。
上部ガイド部材70A、70B、下部ガイド部材71A、71Bは、それぞれ図中矢印X2方向に延在する固定面70x、71xと、図中矢印Y1方向又はY2方向に延出する上面としての係止面70y、71yを有している。
上部ガイド部材70Aと上部ガイド部材70B、及び下部ガイド部材71Aと下部ガイド部材71Bは鏡面対称な構成であり、基本構成は同一である。
ここで、ガイド部材としての上部ガイド部材70A、70Bについて、図4を用いてより詳細に説明する。なお、前記のように上部ガイド部材70Aと上部ガイド部材70Bは、基本構成は同一であるため、一括的に説明する。
図4(A)は、ネット用ブラケット51A、51Bの上端部近傍に配設された上部ガイド部材70A、70Bを示す防塵装置50の斜視図である。図4(B)は、図4(A)に示す防塵装置50の側面図である。
ネット用ブラケット51A、51Bは第1の傾斜部52A、52Bを有しているが、上部ガイド部材70A、70Bは、水平方向に対して矢印α1で示す傾斜角度を有する第1の傾斜部52A、52Bの上部近傍に配設されている。本実施形態において、この位置には図2に示すように、メンテナンスドア33Aの上縁部33Bが近接している。本実施形態の上部ガイド部材70A、70Bは、メンテナンスドア33Aの上縁部33Bとの干渉を回避する構成を有している。以下その点を詳しく説明する。
上部ガイド部材70A、70Bは、防塵ネット80の取付け方向(矢印Z1−Z2方向)の途中位置に切欠き70Kを有している。切欠き70Kは、具体的には係止面70yの略中間位置と固定面70xの略中間位置の一部に亘って切り欠かれている。切欠き形状はこの限りではなく適宜変更されてよい。
本実施形態の係止面70yは、防塵ネット80の取付け方向に対して切欠き70Kより前側の前側部70yA(矢印Z2側)と、切欠き70Kより後側の後側部70yB(矢印Z1側)を有している。
上部ガイド部材70A、70Bの係止面70yは、ネット用ブラケット51A、51Bの第1の傾斜部52A、52Bに対して傾斜しており、係止面70yの前側部70yAと、後側部70yBとは異なる傾斜角度に形成されている。
前側部70yAは、第1の傾斜部52A、52Bに対して矢印β1で示す傾斜角度を有している。後側部70yBは、第1の傾斜部52A、52Bに対して矢印β2で示す傾斜角度を有している。よって、係止面70yの前側部70yAと第1の傾斜部52A、52Bとの間には、傾斜空間70Cが形成される。この傾斜空間70Cの形状は、その幅(前側部70yAと第1の傾斜部52A、52Bとの離間距離)が下方から上方に向けて漸次狭くなる形状となっている。また、係止面70yの後側部70yBと第1の傾斜部52A、52Bとの間には、傾斜空間70Dが形成される。この傾斜空間70Dの形状は、その幅(後側面70yBと第1の傾斜部52A、52Bとの離間距離)が下方から上方に向けて漸次狭くなる形状となっている。
傾斜角度β1は、傾斜角度β2よりも大きく設定している(β1>β2)。したがって、上部ガイド部材70A、70Bの係止面70yの前側部70yAの開口角度は、係止面70yの後側部70yBの開口角度より大きくなる。また、傾斜空間70Cは、傾斜空間70Dより広い。
上部ガイド部材70A、70Bの上端部(矢印Z1方向端部)には、挿通部74が形成されている。この挿通部74は、後述する上部防塵ネット81を挿通できる形状及び大きさとされている。
上部ガイド部材70Aと上部ガイド部材70Bの設置位置は、図2に示すように、メンテナンスドア33Aの上縁部33Bの近接位置であり、更に云うと切欠き70Kが上縁部33Bと対応する位置関係に配置される。したがって、上部ガイド部材70Aと上部ガイド部材70Bは、切欠き70Kにより周辺部材であるメンテナンスドア33Aの上縁部33Bと干渉することを回避できる。
ネット用ブラケット51A、51Bの下端部近傍に配設された下部ガイド部材71A、71Bは、上部ガイド部材70A、70Bと同様の構成で上下を反転させて配置されてよい。したがって、下部ガイド部材71A、71Bの説明は省略する。また、図3に示すように下部ガイド部材71A、71Bは、切欠きを有さない構成であっても良い。この場合、係止面71yは、第2の傾斜部53A、53Bに対して一定の角度で傾斜されてよい。
一方、防塵装置50を構成するネット用ブラケット51A、51B、及び補強板54の内壁面には、他の機器や装置の邪魔にならない範囲で防音材57が配設されている(防音材57の一部を図3にドットパターンで示す)。
一般にエンジン室34内で発生する騒音は、冷却ファン35が回転することにより発生する。この冷却ファン35で発生した騒音の多くは、熱交換装置40及び防塵装置50を通りエンジン室34の外部に伝達される。
本実施形態では、この冷却ファン35から外部への騒音の伝達途中である防塵装置50の内壁面に防音材57を配設している。よって冷却ファン35で発生した騒音は、防塵装置50に設置された防音材57で吸音され、冷却ファン35で発生する騒音を低減できる。
また図2に示されるように、防塵装置50は冷却ファン35に近接した位置に配設されている。このため、冷却ファン35で発生した騒音は騒音発生位置に近い位置で吸音されるため、騒音低減を効率よく行うことができる。
更に、防音材57はネット用ブラケット51A、51B等の内壁面に設けられているため、冷却風Wが防塵装置50を通過する際、防音材57が邪魔になるようなことはない。よって、防音材57を設けても、熱交換装置40における冷却効率が低下するようなことはない。
次に、ネット用ブラケット51A、51Bに装着される防塵ネット80について図3、図4から説明する。
本実施形態では防塵ネット80は二分割されており、上部防塵ネット81と下部防塵ネット82とにより構成されている。各防塵ネット81、82は、矩形状の枠体83に冷却風Wに含まれる塵埃を除去するフィルタとなるネット部材F(図3では網目の図示を省略している)を配設した構成とされている。また枠体83には、メンテナンス時において各防塵ネット81、82をネット用ブラケット51A、51Bに対して装着脱する際、作業者が把持する把持部84、85が設けられている。
上部防塵ネット81は、ネット用ブラケット51A、51Bの第1の傾斜部52A、52Bに着脱可能な構成で取付けられる。また下部防塵ネット82は、ネット用ブラケット51A、51Bの第2の傾斜部53A、53Bに着脱可能な構成で取付けられる。
上部防塵ネット81が第1の傾斜部52A、52Bに取付けられる際、上端部81Aはシール部材S1に当て止めされることにより固定され(図2、図4B参照)、下端部81Bはワンタッチクリップ58で中渡し板55に固定される。
また、下部防塵ネット82が第2の傾斜部53A、53Bに取付けられる際、下端部82Bはシール部材S2に当て止めされることにより固定され(図2参照)、上端部82Aはワンタッチクリップ58で中渡し板55に固定される。シール部材S1、S2は、弾性材或いは可撓性材料等の荷重が印加されることにより圧縮変形(弾性変形、可撓変形等を含む)するものが選定されている。具体的なシール部材S1、S2としては、例えばゴム材料、発泡材料、弾性樹脂材料等を用いることができる。
上記構成の熱交換装置40及び防塵ネット80を搭載した防塵装置50は、図2に示すようにエンジン室34内の冷却風Wの流れ方向に対し冷却ファン35の上流側に固定される。
旋回フレーム31における熱交換装置40及び防塵装置50の配設位置には、固定台38が形成されている。この固定台38は、旋回フレーム31の床面に対して突出形成されている。熱交換装置40は、この固定台38上に固定される。熱交換装置40がエンジン室34に固定された状態において、防塵装置50の上部はエンジンフード34aにより覆われる。エンジンフード34aは、外装カバー33に対して開閉可能な構成とされている。
防塵装置50は、冷却風Wの流れ方向に対して熱交換装置40の上流側に配設されている。このため、防塵装置50は熱交換装置40を構成する各熱交換器40A〜40Eに対して防塵処理を行うため、全ての熱交換器40A〜40Eで目詰まりが発生することを防止できる。
次に、主に図4を用いて防塵装置50における防塵ネット80の装着脱処理について説明する。図4は上部防塵ネット81の装着脱処理を示す図である。下部防塵ネット82の装着脱処理は上部防塵ネット81の装着脱処理と略同様の技術的思想を有しているため、本実施形態では特に上部防塵ネット81の装着脱処理について説明する。
先ず、上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A、51Bから取り外す処理について説明する。
上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A、51Bから取り外す際、作業者は先ずワンタッチクリップ58を操作して、上部防塵ネット81の中渡し板55への固定を解除する。その後、作業者は把持部84を把持して、上部防塵ネット81の下端部81Bを手前下方に引く。
ネット用ブラケット51A、51Bの上端部近傍には、上部ガイド部材70A、70Bが設けられている。この上部ガイド部材70A、70Bは、その内部に形成された傾斜空間70C、70Dが下方から上方に向けて漸次狭くなる形状となっている。また、傾斜空間70Cは、傾斜空間70Dより広く、上部ガイド部材70A、70Bの係止面70yの前側部70yAの開口角度が、係止面70yの後側部70yBの開口角度より大きい。よって、作業者は上部防塵ネット81を取り外す際、手前下方に引くにしたがって上部防塵ネット81を大きく傾けることができるため、作業しやすい角度で取り出し作業が行えて作業性がよい。
次に、上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A、51Bに取付ける処理について説明する。上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A、51Bに装着するには、作業者は把持部84を把持して上部防塵ネット81を持ち上げ、上端部81Aの両端部を上部ガイド部材70A、70Bに挿入する。
上部ガイド部材70A、70Bは、固定面70xと係止面70yとを有している。この係止面70yと第1の傾斜部52A、52Bは、上部防塵ネット81を取付け方向(図中、矢印Z1方向)に挿入する時のガイドとして機能する。
また固定面70xは、上部防塵ネット81が上部ガイド部材70A、70B内に挿入する際に、その両側部と係合することにより取付け方向に対し直交する方向(図中、矢印Y1、Y2方向)に対するガイドを行う。
このように、上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A、51Bに取付ける際、上部ガイド部材70A、70Bにより、取付け方向(Z1方向)と、この取付け方向に直交する方向(Y1、Y2方向)との双方に対するガイドが行われる。これにより、上部防塵ネット81の取付け時において、ネット用ブラケット51A、51Bに対する上部防塵ネット81の面倒な位置決めは不要となる。
本実施形態の上部ガイド部材70A、70Bは、その内部に形成された傾斜空間70C、70Dが下方から上方に向けて漸次狭くなる形状となっている。更に、傾斜空間70Cは、傾斜空間70Dより広く、上部ガイド部材70A、70Bの係止面70yの前側部70yAの開口角度が、係止面70yの後側部70yBの開口角度より大きい。このため、作業者は、上部防塵ネット81の上部ガイド部材70A、70Bへの挿入処理を容易に行うことができる。
また、防塵ネット80とネット用ブラケット51A、51Bは、図4Bに示すように側面視すると上端部及び下端部に比べて中央部分がX1方向に突出した形状とされている。
したがって、上部防塵ネット81を、上端部81Aが上部ガイド部材70A、70Bに設けた切欠き70Kを突き出る挿入角度に傾けようとしても、下端部81Bがネット用ブラケット51A、51Bの突出する中央部分と接触して傾けられない。よって、上部防塵ネット81を上部ガイド部材70A、70Bへ挿入する際に、図4の点線に示した上部防塵ネット81の上端部81Aが切欠き70Kを突き出ることを効果的に防止できる。ネット用ブラケット51A、51Bの中央部分がX1方向に突出しない構成の場合には、各防塵ネット81、82の挿入角度を制限する部材を別途設けてもよい。また、必ずしもX1方向に突出しなくてもよい。
なお、図示例においては防塵ネット80をネット用ブラケット51A、51Bに取付ける構成を示したが、この限りではない。ラジエタフレーム41A、41Bに直接、防塵ネット80を取付けることが可能であれば、ネット用ブラケット51A、51Bは無くてもよい。この場合、ラジエタフレーム41A、41Bが防塵ネット80を取付けるブラケットの役割を果たす。このため、ラジエタフレーム41A、41Bに上部ガイド部材70A、70B及び下部ガイド部材71A、71Bが取付けられる。
次に図5、図6に基づいて別の実施形態に係るショベルについて説明する。別の実施形態は上述の実施形態と同様の技術的思想を有しており、以下その相違点のみを説明する。図5は別の実施形態に係るショベルを説明する後方斜視図である。図5は外装カバー33を取外した状態を示している。図6は別の実施形態に係るショベルのエンジン室を概略的に示す断面図である。
本実施形態のショベルは、上部ガイド部材70A、70Bと接触する可能性のある周辺部材が上述の実施形態と異なっている。本実施形態においては上部ガイド部材70A、70Bの近接位置には、周辺部材としてハウスフレーム90が存在する。
ハウスフレーム90は例えば上面カバー39などを支持するフレーム体であり、縦フレーム91と横フレーム92とで構成されてよい。また縦フレーム91の外側(矢印X1側)縁部には、メンテナンスドア33Aなどを開閉可能に接続するヒンジ部93が取付けられている。ヒンジ部93の場所は図示の限りではなく適宜変更されてよい。
図6に示すように上部ガイド部材70A、70Bは、ハウスフレーム90の横フレーム92の内側縁部92aと近接している。本実施形態の上部ガイド部材70A、70Bの切欠き70Kは、内側縁部92aと対応する位置に配置される。したがって、上部ガイド部材70Aと上部ガイド部材70Bは、切欠き70Kにより周辺部材であるハウスフレーム90の横フレーム92の内側縁部92aと干渉することを回避できる。
また、縦フレーム91の上部が内方寄りに若干傾斜してしまうことがあっても、切欠き70Kにより縦フレーム91の上面部に接続された横フレーム92の内側縁部92aが上部ガイド部材70A、70Bと接触することを回避できる。
次に図7に基づいてさらに別の実施形態に係るショベルについて説明する。さらに別の実施形態は上述の実施形態と同様の技術的思想を有しており、以下その相違点のみを説明する。図7はさらに別の実施形態に係るショベルのエンジン室を概略的に示す断面図である。
本実施形態のショベルは、上部ガイド部材70A、70Bと接触する可能性のある周辺部材が上述の実施形態と異なっている。本実施形態においては上部ガイド部材70A、70Bの近接位置には、周辺部材としてエンジンフード34aが存在する。
エンジンフード34aはエンジン室34の上面部をカバーするカバー材であり、幅方向(矢印X1−X2方向)の両端部が下方に向かって湾曲する形状とされている。エンジンフード34aの防塵装置50側の端部の内側縁部には、リブ34bが設けられている。リブ34bはエンジン室34の内方に突出して、上部ガイド部材70A、70Bに近接する。本実施形態の上部ガイド部材70A、70Bの切欠き70Kは、リブ34bと対応する位置に配置される。したがって、上部ガイド部材70Aと上部ガイド部材70Bは、切欠き70Kにより周辺部材であるエンジンフード34aのリブ34bと干渉することを回避できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更等が可能である。