JP5996449B2 - 建設機械 - Google Patents

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本発明は、エンジンから排出された排気ガスを処理する排気ガス処理装置を有する建設機械に関する。
従来より、ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)を搭載した油圧ショベル等の建設機械では、エンジンの排気系に排気ガス処理装置が設置されている。エンジンからの排気ガスは排気管の下流側に設けた排気ガス処理装置で浮遊粒子状物質(PM)及び窒素酸化物(NOx)等が除去された後、大気中に放出される構成とされている。
従来、この排気ガス処理装置は、エンジン室内においてエンジンに一体的に取り付けられる構成とされていた。また、特許文献1の図5及び図6に示されるように、排気ガス処理装置を構成するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)と選択還元型触媒(SCR)を分離し、それぞれをエンジンに並列に取り付けることも行われていた。
特開2009−184558号公報
しかしながら近年では、高次の排ガス規制が要求されており、この高次の排ガス規制に対応するために排気ガス処理装置(DPF及びSCR等)が大型化及び重量化する傾向にある。排気ガス処理装置が大型化及び重量化した場合、これをエンジンに支持させることは困難となる。このため、旋回体内に設けられたハウスフレームに排気ガス処理装置を支持させる構成が提案されている。
ところで、エンジンには冷却ファンが設けられており、この冷却ファンを回転させることにより冷却風を生成する構成とされている。この冷却風により、熱交換装置においてエンジンの冷却水、油圧機器の作動油等は冷却される。また、熱交換装置を通過した冷却風は、エンジン側部を通過してエンジン室の外部に放出される。
しかしながら、排気ガス処理装置は、熱交換装置の配設位置に対してエンジンを介して反対側に配設される。即ち、排気ガス処理装置は、冷却風の流れ方向に対してエンジンの下流側に配設された構成とされている。
このようにエンジンの下流側に大型化した排気ガス処理装置が設けられた場合、冷却風の流路が排気ガス処理装置により妨げられ、エンジン室から良好に排出されなくなる。よって、熱交換装置における熱交換効率が低下し、ヒートバランスが悪化するおそれがある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ハウスフレームに排気ガス処理装置を設けても、冷却風の流れを確保しうる建設機械を提供することを目的とする。
上記の課題は、第1の観点からは、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載され、冷却ファンを駆動することにより冷却風を生成するエンジンと、
該エンジンから排出された排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、
前記冷却風の流れに対し前記エンジンの下流側に配設されたハウスフレームとを有した建設機械であって、
前記排気ガス処理装置は、
第1の排気ガス処理部と第2の排気ガス処理部とを有していること、
前記ハウスフレームは、
前記上部旋回体の旋回フレームに下部が固定されたフレーム本体と、該フレーム本体の上部に配設される前記第1の排気ガス処理部と前記第2の排気ガス処理部を支持する支持体を有しており、
前記フレーム本体の前記冷却風の上流側で、且つ前記エンジンと対向する位置にファイアーウォールが設けられており、前記支持体に前記冷却風が流れる導風路形成されている
ことを特徴とする建設機械により解決することができる。
開示の発明によれば、ハウスフレームに冷却風が流れる導風路を形成したことにより、冷却風の流路を確保することができ、ヒートバランスの低下を防止することができる。
図1は、本発明の一実施形態である建設機械の側面図である。 図2は、本発明の一実施形態である建設機械のエンジン室の概略構成を示す断面図である。 図3は、本発明の一実施形態である建設機械のエンジン室を部分拡大した斜視図である。 図4は、本発明の一実施形態である建設機械に配設されるハウスフレームを示す斜視図である。 図5は、本発明の一実施形態である建設機械に配設されるハウスフレームを示す側面図である。 図6は、本発明の一実施形態である建設機械に配設されるハウスフレームを示す正面図である。
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
図1は本発明の一実施形態である建設機械を示している。本実施形態では、建設機械として油圧ショベル1を例に挙げて説明する。
油圧ショベル1は、大略すると自走可能なクローラ式の下部走行体2と、この下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより略構成されている。また、上部旋回体3の前部側には作業アタッチメント4が設けられている。
この作業アタッチメント4は、ブーム6、アーム9、及びバケット10等を有している。ブーム6は、後述の旋回フレーム5に俯仰動可能に取り付けられている。アーム9は、ブーム6の先端側に回動可能に取り付けられている。また、バケット10は、アーム9の先端側に回動可能に取り付けられている。
ブームシリンダ12は、旋回フレーム5とブーム6との間に配設されている。このブームシリンダ12により、ブーム6は旋回フレーム5に対して俯仰動する。アームシリンダ13は、ブーム6とアーム9との間に配設されている。このアームシリンダ13により、アーム9はブーム6に対して回動動作する。更にバケットシリンダ14は、バケット10とアーム9との間に配設されている。このバケットシリンダ14により、バケット10はアーム9に対して回動する。
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回機構16を介して旋回自在に設置されている。この上部旋回体3には、図1に加え図2に示すように、旋回フレーム5、キャブ8、カウンタウエイト15、外装カバー(外装体)18、エンジンフード17a、エンジン20、熱交換装置24、排気ガス処理装置30、ハウスフレーム35、及び接続装置50A,50B等が配設されている。
キャブ8は旋回フレーム5上に設けられており、その内部には運転席(図示せず)が設けられている。オペレータはキャブ8内の運転席に着座し、油圧ショベル1の運転操作を行う。
カウンタウエイト15は、作業アタッチメント4との重量バランスをとる機能を奏する。また、外装カバー18及びエンジンフード17aは、エンジン室17内に配設されたエンジン20,熱交換装置24,及び排気ガス処理装置30等を覆うものである。
次に、エンジン室17内の構成について説明する。
図2はエンジン室17の内部構成を示す概略構成図であり、図3はエンジン室17のエンジン20の近傍を拡大して示す斜視図である。
エンジン室17内には、エンジン20、熱交換装置24、排気ガス処理装置30、及びハウスフレーム35等が配設されている。
エンジン20は、旋回フレーム5に配設されたエンジン取り付け座21の上部に、マウント22を介して支持されている。マウント22は防振マウントであり、エンジン20で発生する振動が旋回フレーム5に伝達されるのを防止している。
エンジン20のX1方向側(図中左側)には、冷却ファン23が配設されている。また、冷却ファン23のX1方向側には熱交換装置24が配設されている。
冷却ファン23は、エンジン20により回転駆動される。冷却ファン23が回転駆動されることより、外気が冷却風39としてエンジン室17内に取り込まれる。熱交換装置24は、このエンジン室17に取り込まれた冷却風39により熱交換処理を行う。
冷却風39は、図2に矢印で示すように図中右方向に流れる。よって、図中矢印X1方向側が冷却風上流側となり、図中矢印X2方向が冷却風下流側となる。
熱交換装置24は、エンジン20内を流れる冷却水を冷却するラジエータ、ブームシリンダ12、アームシリンダ13、バケットシリンダ14等の油圧機器の作動油の放熱をするためのオイルクーラ及びエンジンに供給される過給空気を冷却するためのインタークーラが並設されたラジエータユニット24Aと、図示しない燃料タンクに戻る余剰燃料を冷却する燃料クーラ24Bと、エアコン用のコンデンサ24Cとを有して構成されている。
この冷却水、作動油、過給空気、及び余剰燃料等は、冷却風39により冷却される。従って、冷却風39は熱交換装置24を通過することにより温度が上昇する。
またエンジン20のX2方向側には、油圧ポンプ27が一体的に取り付けられている。油圧ポンプ27は、作業アタッチメント4を駆動するブームシリンダ12、アームシリンダ13、バケットシリンダ14等の油圧源である。この油圧ポンプ27もエンジン20により駆動される。
エンジン20から排出された排気ガスは、排気ガス処理装置30により浄化処理が行われる。エンジン20から排出される排気ガス中には、窒素酸化物(NOx)等の有害物質が含まれることがあり、これらを浄化するためにエンジン20には排気ガス処理装置30が接続されている。
この排気ガス処理装置30は、排気ガス中に含まれるパティキュレートマター(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ31(請求項に記載の第1の排気ガス処理部に相当する。以下、DPFという)と、窒素酸化物(NOx)を還元除去する選択的還元剤(例えば、尿素等)を用いて還元除去する選択還元型触媒32(請求項に記載の第2の排気ガス処理部に相当する。以下、SCRという)等が設けられている。また、DPF31はその上流側に前段酸化触媒を備えており、SCR32はその下流側に後段酸化触媒を備えている。なお、DPF31は酸化触媒担持型フィルタ(CSF)としてもよい。
排気ガス処理装置30及び排気ガス処理装置30を支持するハウスフレーム35を、図2に加えて図4乃至図6に示す。
排気ガス処理装置30は、上記のようにエンジン20から排気される排気ガスを浄化するものであるため、エンジン20の近傍位置に配設される。また、冷却風39の流れ方向に対しエンジン20の上流側には熱交換装置24が配設されているため、排気ガス処理装置30は冷却風39の流れ方向に対しエンジン20の下流側(X2方向側)に配設される。
また前記したように近年では、高次の排ガス規制が要求されており、この高次の排ガス規制に対応するために排気ガス処理装置30を構成するDPF31及びSCR32は大型化及び重量化している。このため従来のように排気ガス処理装置30をエンジン20に取り付けることは困難であり、よって本実施形態では排気ガス処理装置30をハウスフレーム35に取り付け、このハウスフレーム35に支持させる構成としている。
また、排気ガス処理装置30を構成するDPF31とSCR32を一列に並べて配設した場合、その長さはエンジン幅に比べて長くなってしまい、エンジン室17のコンパクトが図れない。このため本実施形態では、DPF31とSCR32を分離させ、DPF31とSCR32を略平行となるよう並設した構成としている。
エンジン20から排出された排気ガスは、排気ガス配管29を介してDPF31に導入され第1段の浄化処理が行われた後、図示しない配管を介してSCR32に送られ第2段の浄化処理が行われ、その後に排気管41及びテールパイプ25を介して機体外部に排出される。なお、エンジン20及び排気ガス処理装置30の上部には、エンジンフード17aが設けられている。
ハウスフレーム35は、前記のように排気ガス処理装置30を支持する機能を奏するものである。このハウスフレーム35は、旋回フレーム5上に設けられている。また、ハウスフレーム35の配設位置は、冷却風39の流れ方向に対しエンジン20の下流側(X2方向側)に設定されている。
ハウスフレーム35は、フレーム本体36と、支持体37とを有している。フレーム本体36は、その下部が旋回フレーム5に固定されている。また、フレーム本体36の内部には、油圧ポンプ27と接続された油圧系の部品が配設されている。このため、フレーム本体36には、これらの油圧系の部品とエンジン20とを遮蔽するためのファイヤーウォール42が設けられている。
支持体37は、フレーム本体36の上部に配設されている。この支持体37は、図3、図4、及び図6に示すように箱状の形状を有している。排気ガス処理装置30を構成するDPF31は、支持体37の側部に取り付けられている。また、DPF31は支持体37の上部に取り付けられている。
このように、排気ガス処理装置30がハウスフレーム35に取り付けられることにより、排気ガス処理装置30はエンジン20と分離される。そして、排気ガス処理装置30は、ハウスフレーム35を介して旋回フレーム5上に取り付けられた構成となる。
ここで、排気ガス処理装置30及びハウスフレーム35について更に詳細に説明する。
前記のようにハウスフレーム35は、冷却風39の流れ方向に対してエンジン20の下流側に配置されている。このハウスフレーム35は、その下部に油圧系の部品が配設され、またエンジン20と対向する位置にファイヤーウォール42が配設されているため、冷却ファン23で生成された冷却風39はハウスフレーム35によりその流れが妨げられる。
また、ハウスフレーム35の上部には、排気ガス処理装置30を構成するDPF31及びSCR32が設けられている。前記のように、排気ガス処理装置30は大型化しており、エンジン室17のエンジンフード17aの近傍まで配設された構成となっている。よって冷却ファン23で生成された冷却風39は、この排気ガス処理装置30によってもその流れが妨げられる。
そこで本実施形態では、図3乃至図6に示すように、ハウスフレーム35に冷却風39が流れる(通過できる)導風路38を形成した。本実施形態では、フレーム本体36の上部に配設された支持体37に導風路38を形成した構成としている。
前記のように支持体37は箱形状とされており、矩形の枠体43の内部にL字形状の仕切り板40が配設された構成とされている。また隣接する仕切り板40の間には空間が形成されるよう構成されており、この空間部分が導風路38を構成する。
上記のように導風路38を設けることにより、この導風路38はファイヤーウォール42等が設けられたフレーム本体36の上部で、かつ排気ガス処理装置30の下部に位置した構成となる。よって図2に示すように、エンジン20のX2方向側において、下部(Z2方向側)がファイヤーウォール42等により冷却風39の流れが妨げられ、また上部(Z1方向側)が排気ガス処理装置30により冷却風39の流れが妨げられたとしても、排気ガス処理装置30とファイヤーウォール42との間において冷却風39は導風路38を通り下流側(X2方向側)に流れる。
このように、冷却風39の流れに対しエンジン20の下流側において、冷却風39の流れが確保されることにより、エンジン室17内に熱交換装置24を通過することにより温度が上昇した冷却風39の流れが悪化しヒートバランスが低下することを防止することができる。よって、熱交換装置24において、冷却風39によりエンジン冷却水等の冷却を効率良く行うことができる。
また本実施形態では、排気ガス処理装置30を構成するDPF31とSCR32を冷却風39の流れ方向及び上部旋回体3の上下方向にずらして配置(オフセット)した構成としている。具体的には、DPF31とSCR32をX1,X2方向(冷却風39の流れ方向)やZ1,Z2方向(上部旋回体3の上下方向)に沿って並べるのではなく、相対的にDPF31に対してSCR32をX2方向側且つZ1方向側にずらして配置した構成としている。
この構成することにより、エンジン室17の低背化を図りつつ、導風路38の流路面積を増大することができる。
仮にSCR32を図2に示す位置のままとし、その下部にDPF31を配設した場合、導風路38の流路は狭くなってしまう。よって、導風路38を設けない構成に比べてはヒートバランスの改善は見込まれるものの、十分な改善は望めない。
これを解決する手段として、DPF31とSCR32をZ1,Z2方向に重ねた状態で、この排気ガス処理装置30をZ1方向に移動させて支持体37に固定することが考えられる。
この構成では導風路38の流路面積は確保されるため、ヒートバランスの改善は図られるが、エンジン室17のエンジンフード17aの位置が図2に示される位置よりも高くなってしまう。この排気ガス処理装置30の配設位置は、キャブ8の後方位置であるため、エンジン室17が高背化した場合にはキャブ8からの後方視界が悪化してしまう。
これに対し、本実施形態のようにDPF31とSCR32をX1,X2方向及びZ1,Z2方向にずらして配置することにより、DPF31の下部に冷却風39の流路(図中、矢印FLで示す)が形成される。よって、エンジン室17の低背化を図りつつ、導風路38の流路を確保することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
例えば、ハウスフレーム35の下部に位置するフレーム本体36に導風路38を形成可能な領域があれば、フレーム本体36に導風路38を形成することも可能である。
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 アタッチメント
5 旋回フレーム
17 エンジン室
17a エンジンフード
18 外装カバー
19 旋回フレーム
20 エンジン
23 冷却ファン
24 熱交換装置
27 油圧ポンプ
29 排気ガス配管
30 排気ガス処理装置
31 DPF
32 SCR
35 ハウスフレーム
36 フレーム本体
37 支持体
38 導風路
39 冷却風
40 仕切り板
42 ファイヤーウォール
50A 第1の接続装置
50B 第2の接続装置

Claims (4)

  1. 下部走行体と、
    前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
    前記上部旋回体に搭載され、冷却ファンを駆動することにより冷却風を生成するエンジンと、
    該エンジンから排出された排気ガスを処理する排気ガス処理装置と、
    前記冷却風の流れに対し前記エンジンの下流側に配設されたハウスフレームとを有した建設機械であって、
    前記排気ガス処理装置は、
    第1の排気ガス処理部と第2の排気ガス処理部とを有していること、
    前記ハウスフレームは、
    前記上部旋回体の旋回フレームに下部が固定されたフレーム本体と、該フレーム本体の上部に配設される前記第1の排気ガス処理部と前記第2の排気ガス処理部を支持する支持体を有しており、
    前記フレーム本体の前記冷却風の上流側で、且つ前記エンジンと対向する位置にファイアーウォールが設けられており、前記支持体に前記冷却風が流れる導風路形成されている
    ことを特徴とする建設機械。
  2. 前記排気ガス処理装置は
    前記第1の排気ガス処理部と前記第2の排気ガス処理部前記ハウスフレームに並設されていること
    前記第1の排気ガス処理部と前記第2の排気ガス処理部は、前記冷却風の流れ方向にずらして配置されており、
    前記第1の排気ガス処理部は、
    前記第2の排気ガス処理部に対して前記冷却風の上流側にずれており、且つ前記第2の排気ガス処理部に対して鉛直下方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
  3. 前記第1の排気ガス処理部は、
    前記支持体の前記エンジン側の側面に配設されていることを特徴とする請求項に記載の建設機械。
  4. 前記フレーム本体は、
    内部に油圧部品が配設されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の建設機械。
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