以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、キャブを搭載した小旋回式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図1、図2において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルを示している。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置5とにより構成されている。
ここで、旋回装置3は、下部走行体2と上部旋回体4(旋回フレーム6)との間に大径な軸受構造体として設けられた旋回輪3A(図1参照)と、該旋回輪3Aの中心O(図3中に図示)を旋回中心として上部旋回体4を旋回駆動する旋回モータ3Bとを含んで構成されている。また、旋回輪3Aの中心Oには、下部走行体2と上部旋回体4との間で圧油を流通させるためのセンタジョイント3Cが配設されている。
6は上部旋回体4の支持構造体を形成する旋回フレームである。この旋回フレーム6は、図4に示すように、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板6Aと、該底板6A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板6B,右縦板6Cと、該各縦板6B,6Cの左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム6D,右サイドフレーム6Eと、前記底板6A、各縦板6B,6Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム6D,6Eを支持する複数本の張出しビーム6Fとを含んで構成されている。
一方、旋回フレーム6の後側には、左,右の縦板6B,6C間に位置して、複数個、例えば4個のエンジンブラケット6Gが設けられている。これらのエンジンブラケット6Gは、後述する防振マウント8Dを介してエンジン8を支持するものである。さらに、左,右の縦板6B,6Cの前側には、作業装置5が俯仰動可能に取付けられ、後部には後述のカウンタウエイト7が取付けられている。
7は旋回フレーム6の後部に取付けられたカウンタウエイトである(図3参照)。このカウンタウエイト7は、作業装置5との重量バランスをとるもので、円弧状をした重量物として形成されている。カウンタウエイト7は、旋回動作時でも上部旋回体4の後側が下部走行体2の車幅内にほぼ収まるように、旋回中心Oに近い位置に配置されている。
8はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6の後側に設けられたエンジンで、該エンジン8は、左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。エンジン8の左側には、後述の熱交換装置9に冷却風を供給するための冷却ファン8A(図5参照)が設けられている。一方、エンジン8の右側は、円環状の端面に複数個のめねじ穴(図示せず)が設けられたポンプ取付部8Bとなり、このポンプ取付部8Bには、後述する油圧ポンプ10の取付フランジ10Aと後処理ユニット19の取付台を構成する取付ベース20の取付部材20Aがボルト止めされる。さらに、エンジン8の前側の上部には、排気ガスを排出するための排気口(図示せず)が設けられ、この排気口には、後述する排気管18の入口側が連通状態で取付けられている。
エンジン8は、旋回フレーム6の各エンジンブラケット6Gに対応するように前,後方向および左,右方向に間隔をもって4個の取付脚部8Cを有し、該各取付脚部8Cが防振マウント8Dを介して各エンジンブラケット6Gに防振状態で取付けられている。
9はエンジン8の冷却ファン8Aに対面するように旋回フレーム6の左後側に設けられた熱交換装置を示している。この熱交換装置9は、温度上昇した各種の流体を冷却風により冷却するものである。熱交換装置9は、支持枠体9A内にラジエータ9B、オイルクーラ、インタクーラ等(いずれも図示せず)を備えている。
10はエンジン8のポンプ取付部8Bに取付けられた油圧ポンプである。この油圧ポンプ10は、エンジン8によって駆動されることにより、後述の作動油タンク11から供給される作動油を、圧油として制御弁装置(図示せず)に向け吐出するものである。油圧ポンプ10には、エンジン8側の端部を円形状に拡開することにより取付フランジ10Aが設けられている。この取付フランジ10Aの外周側には、複数個のボルト挿通孔(図示せず)が設けられている。
そして、油圧ポンプ10は、取付フランジ10Aをエンジン8のポンプ取付部8Bに対面させ、各ボルト挿通孔にボルト(図示せず)を挿入し、該各ボルトをポンプ取付部8Bの各めねじ穴に螺着することにより、該ポンプ取付部8Bに取付けられている。一方、油圧ポンプ10をエンジン8に取付ける各ボルトのうち、上側に位置する複数本のボルトは、取付ベース20の取付部材20Aをエンジン8に対して取付ける場合にも用いられている。
11は油圧ポンプ10の前側で旋回中心O側に位置して旋回フレーム6に設けられた作動油タンクである。この作動油タンク11は、下部走行体2、旋回装置3、作業装置5に設けられた各アクチュエータを駆動するための作動油を貯えるものである。このために、作動油タンク11は、上,下方向に長尺な直方体状の容器として形成されている。
次に、本発明の特徴部分の一部をなす燃料タンク12、尿素水タンク13等の構成について述べる。
12は作動油タンク11に対し左,右方向の右側に並ぶように旋回フレーム6に設けられた燃料タンクを示している。この燃料タンク12は、エンジン8に供給する燃料を貯えるものである。ここで、燃料タンク12が配置されている作動油タンク11の右側位置は、左,右方向の外側に位置して外部に露出している。これにより、燃料タンク12は、外気に触れることにより、温まった状態で戻される燃料の熱を効率よく放出することができる。そして、燃料タンク12は、図6に示すように、前面板12A、後面板12B、左側面板12C、右側面板12D、上面板12E、下面板12Fによって箱形状の容器として形成されている。
燃料タンク12は、後述する尿素水タンク13を搭載するために、上側部位がステップ状に形成されている。即ち、燃料タンク12の上面板12Eは、左,右方向の左側に位置する高面部12E1と、左,右方向の中間部に位置して該高面部12E1の右端縁から立ち下がった立下り部12E2と、該立下り部12E2の下端縁から右側に延びた低面部12E3とを有している。
高面部12E1の前側位置には、燃料を給油するための給油口12Gが上向きに突出して設けられている。一方、立下り部12E2の下側寄り位置には、前,後方向に離間して2個のねじ座12Hが設けられ、該各ねじ座12Hには、尿素水タンク13を固定する後述の固定具15を取付けるためのボルト16が螺着される。さらに、燃料タンク12の後面板12Bの上側位置には、ポンプブラケット12Jが設けられている。このポンプブラケット12Jには、後述の尿素水ポンプ17が取付けられている。
13は燃料タンク12の上面板12E上に設けられた尿素水タンクである。この尿素水タンク13は、後述する後処理ユニット19の尿素選択還元触媒28の上流側で接続管24を流通する排気ガス中に供給する還元剤としての尿素水を貯えるものである。尿素水タンク13は、燃料タンク12の上側のスペースを利用して配置され、かつ傾いた状態で作業した場合でも尿素水を効率よく吸い出せるような形状に形成されている。
具体的に、尿素水タンク13は、上面板12Eの立下り部12E2と対面するように前,後方向と上,下方向に延びた形状、即ち、左,右方向に扁平な箱体として形成されたタンク本体13Aと、該タンク本体13Aの上部から左側に屈曲し上面板12Eの高面部12E1上に配置される屈曲タンク部13Bとにより、全体として逆L字状に形成されている。
ここで、タンク本体13Aの下側寄り位置には、後述の固定具15を引っ掛けるための段部13Cが設けられている。一方、屈曲タンク部13Bの左前側は、給油口12Gを避けるための切欠部13Dとなっている。また、尿素水タンク13の上側には、前側の傾斜面に位置して、尿素水を補給するための給水口13Eが設けられている。さらに、尿素水タンク13の上側には、後述する尿素水管路30の他に、残量計、温度計等の各種センサに接続されたリード線等(いずれも図示せず)が取付けられる蓋体13Fが設けられている。
このように、逆L字状に形成された尿素水タンク13は、タンク本体13Aによって所望の高さ寸法(深さ寸法)を得ることができるから、液面を高い位置に維持することができる。従って、例えば傾斜地での作業で、尿素水タンク13が傾いた場合でも、尿素水管路30の吸込口を尿素水の液中に配置させることができる。
14は尿素水タンク13に設けられた断熱部材である。この断熱部材14は、燃料タンク12が発する熱が尿素水タンク13に伝わるのを阻止するもので、例えば発泡性の樹脂材料を板状に成形することにより形成されている。従って、断熱部材14は、尿素水タンク13が燃料タンク12と対面する位置、即ち、タンク本体13Aの左側面と屈曲タンク部13Bの下面とに亘って設けられている。これにより、断熱部材14は、燃料タンク12からの熱が尿素水タンク13に伝わるのを防止でき、尿素水タンク13内の尿素水の温度上昇を抑えることができる。
上述したように、断熱部材14が設けられた尿素水タンク13は、燃料タンク12の上面板12Eに沿うように配置される。この状態で、段部13Cに引っ掛けるように板体をC字状に折り曲げた固定具15を配置し、該固定具15の両端部に挿通したボルト16を燃料タンク12のねじ座12Hに螺着することにより、尿素水タンク13を燃料タンク12上に取付けることができる。
17は油圧ポンプ10の上側に張出すようにして燃料タンク12に設けられた尿素水ポンプである。この尿素水ポンプ17は、尿素水タンク13に貯えられた尿素水をエンジン8に設けられた後処理ユニット19側に供給するものである。尿素水ポンプ17は、燃料タンク12のポンプブラケット12Jに取付けられ、その吸込口には、後述の尿素水管路30の上流側供給管路30Aが接続され、吐出口(いずれも図示せず)には、下流側供給管路30Bが接続されている。
ここで、尿素水ポンプ17は、図3に示すように、尿素水タンク13とNOx浄化装置を構成する後述の尿素水噴射弁25との間、詳しくは、後述の尿素水管路30が接続される尿素水タンク13の蓋体13Fと尿素水噴射弁25との間に配置されている。このように配置することにより、尿素水ポンプ17と尿素水タンク13と尿素水噴射弁25とをほぼ一直線状に配置することができる。これにより、尿素水ポンプ17と尿素水タンク13と尿素水噴射弁25とを繋ぐ尿素水管路30を短くすることができる。
18はエンジン8と後述する第1の排気ガス後処理装置21との間に設けられた排気管(図3参照)である。この排気管18は、入口側となる一端がエンジン8の排気口に接続され、出口側となる他端が第1の排気ガス後処理装置21を構成する筒状ケース22の給気口22Aに接続されている。
次に、エンジン8から排出される排気ガスを処理するために、該エンジン8の排気側に接続して設けられた後処理ユニット19の構成について述べる。
19はエンジン8の右側に位置して油圧ポンプ10の上側に設けられた後処理ユニットを示している。この後処理ユニット19は、エンジン8から排出される排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去し、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化し、さらに、排気ガスの騒音を低減するものである。後処理ユニット19は、後述の取付ベース20、第1の排気ガス後処理装置21、接続管24、尿素水噴射弁25、第2の排気ガス後処理装置26により構成されている。
後処理ユニット19は、図5、図7に示すように、取付ベース20に第1の排気ガス後処理装置21、接続管24、第2の排気ガス後処理装置26を組付けた状態で、この取付ベース20を油圧ポンプ10と一緒にエンジン8に取付ける構成となっている。これにより、後処理ユニット19は、エンジン8の上側で尿素水ポンプ17と隣接する位置に配置されている。即ち、尿素水タンク13と尿素水ポンプ17と後処理ユニット19とは、上部旋回体4の右後側のエリアに互いに接近して配置されている。
20は後処理ユニット19の取付台をなす取付ベースである。この取付ベース20は、油圧ポンプ10の上側に位置してエンジン8のポンプ取付部8Bに取付けられている。取付ベース20は、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とをエンジン8側に固定的に取付けるものである。取付ベース20は、油圧ポンプ10の取付フランジ10Aを挟んでエンジン8のポンプ取付部8Bと対面する取付部材20Aと、該取付部材20A上に設けられた台部材20Bとを含んで構成されている。台部材20Bは、例えば長方形状の板体をL字状に折り曲げることにより形成されている。
取付ベース20は、例えばエンジン8に油圧ポンプ10を取付けるときに、取付部材20Aを油圧ポンプ10の取付フランジ10Aにあてがい、この状態で取付部材20Aに挿通した各ボルトをエンジン8のポンプ取付部8Bに設けた各めねじ穴に螺着することにより、取付フランジ10Aと一緒に(共締め状態で)ポンプ取付部8Bに取付けることができる。
21は後処理ユニット19の一部を構成する第1の排気ガス後処理装置である。この第1の排気ガス後処理装置21は、排気管18の出口側に設けられている。第1の排気ガス後処理装置21は、上部旋回体4の前,後方向に延設された筒状ケース22と、該筒状ケース22内に配置された酸化触媒23とにより構成されている。
筒状ケース22は、円筒状の密閉容器として形成され、その上流側(前側部位)には、管体からなる給気口22Aが径方向に突出して設けられている。この給気口22Aには、筒状ケース22内に位置して多数個の貫通孔(図示せず)が設けられ、この各貫通孔を排気ガスが通過することにより、排気音が低減(消音)される。一方、給気口22Aの突出端側には、排気管18の出口側が接続されるようになっている。さらに、筒状ケース22の下流側(後側部位)には、径方向に開口して排気口22Bが設けられている。
酸化触媒23は、排気ガスを浄化する処理部材の1つを構成するものである。この酸化触媒23は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数個の貫通孔が形成され、内面に貴金属等がコーティングされている。そして、酸化触媒23は、所定の温度下で各貫通孔に排気ガスを流通させることにより、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去するものである。
第1の排気ガス後処理装置21は、筒状ケース22が取付ベース20の台部材20B上に載置され、この状態で締結バンド、ボルト等(いずれも図示せず)を用いて台部材20Bに固定されている。
24は筒状ケース22の排気口22Bに接続された接続管である。この接続管24は、第1の排気ガス後処理装置21の外周に該第1の排気ガス後処理装置21とほぼ平行に延びて配置されている。接続管24は、円筒状の筒部24Aと、該筒部24Aの上流側となる入口側(後側)の端縁を閉塞する上流蓋板24Bと、前記筒部24Aの下流側となる出口側(前側)の端縁を閉塞する下流蓋板24Cとにより構成されている。
接続管24は、入口側が筒状ケース22の排気口22Bに接続され、出口側が後述する第2の排気ガス後処理装置26をなす筒状ケース27の給気口27Aに接続されている。これにより、接続管24は、第1の排気ガス後処理装置21から排出される排気ガスを第2の排気ガス後処理装置26に導くことができる。
25は接続管24に設けられた尿素水噴射弁を示し、該尿素水噴射弁25は、NOx浄化装置の一部を構成するものである。尿素水噴射弁25は、接続管24の上流蓋板24Bに取付けられ、後述する尿素水管路30の下流側供給管路30Bを介して尿素水ポンプ17に接続され、戻し管路30Cを介して尿素水タンク13に接続されている。尿素水噴射弁25は、接続管24の筒部24A内を流通する排気ガスに向けて尿素水溶液を噴射するものである。
26は後処理ユニット19の一部を構成する第2の排気ガス後処理装置である。この第2の排気ガス後処理装置26は、接続管24の出口側に設けられると共に、例えば、第1の排気ガス後処理装置21の上側に重なる位置に配置されている。第2の排気ガス後処理装置26は、前述した第1の排気ガス後処理装置21とほぼ同様に、円筒状の筒状ケース27と、該筒状ケース27内に配置された尿素選択還元触媒28と、該尿素選択還元触媒28の下流側に配置された酸化触媒29とにより構成されている。
ここで、第2の排気ガス後処理装置26(筒状ケース27、尿素選択還元触媒28、酸化触媒29)と前述した尿素水噴射弁25とは、エンジン8から排出される排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去するためのNOx浄化装置を構成している。
筒状ケース27は、円筒体の両端を閉塞することにより密閉容器として形成されている。筒状ケース27の上流側となる前側部位には、径方向に開口して給気口27Aが設けられ、この給気口27Aには、接続管24の出口側が接続されている。一方、筒状ケース27の下流側となる後側部位には、径方向の上側に突出して排気口27Bが設けられ、この排気口27Bの突出端側は、後述する外装カバー33の尾管33Dに接続されている。排気口27Bの下側部分には、多数個の貫通孔が設けられ、この各貫通孔を排気ガスが通過することにより、排気音が低減(消音)される。
尿素選択還元触媒28は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。この尿素選択還元触媒28は、通常、エンジン8から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を、尿素水溶液から生成されたアンモニアによって選択的に還元反応させ、窒素と水に分解するものである。
一方、酸化触媒29は、前述した酸化触媒23とほぼ同様に、セラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。これにより、酸化触媒29は、尿素選択還元触媒28で窒素酸化物を還元した後に残った残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離するものである。
第2の排気ガス後処理装置26は、第1の排気ガス後処理装置21とほぼ同様に、筒状ケース27が取付ベース20の台部材20Bに締結バンド、ボルト等(いずれも図示せず)を用いて固定されている。
30は尿素水タンク13と尿素水ポンプ17とNOx浄化装置を構成する尿素水噴射弁25とを接続して設けられた管路としての尿素水管路である。この尿素水管路30は、尿素水タンク13から尿素水噴射弁25に向けて尿素水を流通させるものである。尿素水管路30は、尿素水ポンプ17によって加圧された尿素水が流通するものであるから、例えば、可撓性を有する耐圧ホースが用いられている。
尿素水管路30は、尿素水タンク13(蓋体13F)と尿素水ポンプ17とを接続する上流側供給管路30Aと、尿素水ポンプ17と尿素水噴射弁25とを接続する下流側供給管路30Bと、尿素水噴射弁25と尿素水タンク13(蓋体13F)とを接続する戻し管路30Cとにより構成されている。これにより、尿素水管路30は、尿素水タンク13と尿素水噴射弁25との間で尿素水を循環流通させている。
ここで、尿素水タンク13と尿素水ポンプ17とNOx浄化装置を構成する尿素水噴射弁25とは、近傍にまとめて配置している。この上で、尿素水ポンプ17と尿素水タンク13と尿素水噴射弁25とをほぼ一直線状に配置している。従って、尿素水管路30は、その長さ寸法を最小限に抑えることができる。これにより、尿素水タンク13から尿素水噴射弁25まで短い距離で素早く尿素水を供給することができるから、供給中における尿素水の温度上昇を抑えることができる。
さらに、31は尿素水管路30の一部、例えば下流側供給管路30Bと戻し管路30Cの尿素水噴射弁25側の約半分とを覆うように設けられた断熱管体である。この断熱管体31は、例えば発泡性の樹脂材料を管状に成形することにより形成されている。断熱管体31は、尿素水管路30内を流通する尿素水が、エンジン8、油圧ポンプ10、後処理ユニット19等が発する熱によって温度上昇しないように断熱するものである。
なお、32は旋回フレーム6の左前側に搭載されたキャブ(図4、図5参照)で、該キャブ32は、オペレータが搭乗するもので、その内部には、オペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
33はキャブ32の後側から側方に亘って旋回フレーム6に設けられた外装カバーである。この外装カバー33は、旋回フレーム6上に搭載されたエンジン8、熱交換装置9、油圧ポンプ10、尿素水タンク13、尿素水ポンプ17、後処理ユニット19等を覆うものである。詳しくは、外装カバー33は、図2に示すように、燃料タンク12の上側から前側を覆うように右前部に設けられた右前カバー33Aと、エンジン8、熱交換装置9、油圧ポンプ10等を覆うようにキャブ32とカウンタウエイト7との間に設けられたエンジンカバー33Bと、該エンジンカバー33Bの左側から立ち下がった左側面カバー33Cとを含んで構成されている。
前記エンジンカバー33Bには、後処理ユニット19の上側に位置して尾管33Dが上側に突出して設けられている。この尾管33Dは、排気ガスを外部に排出するもので、第2の排気ガス後処理装置26を構成する筒状ケース27の排気口27Bに接続されている。
次に、第1の実施の形態が適用された油圧ショベル1の動作(操作)について説明する。
キャブ32に搭乗したオペレータは、エンジン8を始動して油圧ポンプ10を駆動する。これにより、油圧ポンプ10からの圧油は、制御弁装置を介して各種アクチュエータに供給される。これにより、オペレータが走行用の操作レバーを操作したときには、下部走行体2を前進または後退させることができる。一方、作業用の操作レバーを操作することにより、旋回装置3と作業装置5を動作させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
エンジン8の運転時に、該エンジン8から排出される排気ガスは、排気管18、第1の排気ガス後処理装置21、接続管24、第2の排気ガス後処理装置26を通じて大気中に排出される。このときには、第1の排気ガス後処理装置21に設けられた酸化触媒23が排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。
一方、接続管24では、尿素水噴射弁25から排気ガスに向けて尿素水を噴射し、第2の排気ガス後処理装置26では、尿素選択還元触媒28によって窒素酸化物を窒素と水に分解する。さらに、酸化触媒29が残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離することにより、浄化した排気ガスを大気中に排出する。
ここで、尿素水タンク13から尿素水噴射弁25に尿素水を供給する場合には、エンジン8、油圧ポンプ10、後処理ユニット19等が発する熱によって温度上昇する虞がある。この尿素水は、約50℃を越えると劣化が始まるとされている。
然るに、第1の実施の形態によれば、油圧ポンプ10の前側に配置された作動油タンク11に対し左,右方向の外側となる右側に並ぶように燃料タンク12を配置した上で、この燃料タンク12の上側には、還元剤である尿素水を貯えるための尿素水タンク13を設ける構成としている。
一方、燃料タンク12には、油圧ポンプ10の上側に張出すようにして尿素水タンク13に貯えられた尿素水をエンジン8側の尿素水噴射弁25に供給するための尿素水ポンプ17を設け、エンジン8の上側で前記尿素水ポンプ17と隣接する位置には、後処理ユニット19を設け、この後処理ユニット19には、エンジン8から排出される排気ガス中の窒素酸化物を除去するための尿素選択還元触媒28および尿素水噴射弁25を有している。この上で、尿素水タンク13と尿素水ポンプ17とNOx浄化装置を構成する尿素水噴射弁25とは、尿素水が流通する尿素水管路30を用いて接続する構成としている。
従って、小旋回式の油圧ショベル1のように、上部旋回体4が小さくて尿素水タンク13を設置するためのスペースを確保できない場合でも、既存の燃料タンク12の上側のスペースを利用することにより、長時間運転するのに十分な容量をもった尿素水タンク13を設置することができる。
しかも、尿素水タンク13と尿素水ポンプ17は、後処理ユニット19(NOx浄化装置)の近傍にまとめて配置できるから、これらを接続するのに用いられる尿素水管路30の長さ寸法を短くすることができる。これにより、接近して配置した尿素水タンク13からNOx浄化装置の尿素水噴射弁25まで短い距離で素早く尿素水を供給することができる。
この結果、尿素水噴射弁25に向けて供給される尿素水の温度上昇を抑えることができるから、NOx浄化装置に対し、劣化しない適正温度に保持された正常な尿素水を供給することができる。これにより、尿素水の寿命を延ばすことができる上に、窒素酸化物の除去性能を高めて信頼性を向上することができる。一方、短い尿素水管路30は、取扱い易く簡単に取回すことができるから、組立作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
一方、尿素水ポンプ17は、尿素水タンク13と尿素水噴射弁25との間に配置しているから、尿素水ポンプ17と尿素水タンク13と尿素水噴射弁25とをほぼ一直線状に配置することができる。従って、尿素水ポンプ17と尿素水タンク13と尿素水噴射弁25とを繋ぐ尿素水管路30の長さ寸法をほぼ最短にすることができる。これにより、尿素水の劣化を防止できる上に、組立作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
さらに、燃料タンク12と尿素水タンク13との間には、断熱機能を有する断熱部材14を設けているから、この断熱部材14によって燃料タンク12からの熱が尿素水タンク13に伝わるのを防止でき、尿素水タンク13内の尿素水の温度上昇を抑えることができる。
次に、図8および図9は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、油圧ポンプと尿素水ポンプとの間には、断熱機能を有する仕切板を設け、この仕切板によって油圧ポンプの熱が尿素水ポンプに伝わるのを阻止する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図8において、41は油圧ポンプ10と尿素水ポンプ17との間に設けられた仕切板を示している。この仕切板41は、外装カバー33を取付けるためにエンジン8、後処理ユニット19を取囲むように旋回フレーム6上に配設されたフレーム部材42の上部に、ボルト止め、溶接等の手段で取付けられている。仕切板41は、後側のカウンタウエイト7を避けるために、カウンタウエイト7側(後側)の端縁が傾斜した台形状の板体として形成されている。
そして、仕切板41は、図9に示すように、台形状の鋼板の周囲を下向きに折り曲げてなる板部41Aと、該板部41Aの下面側に設けられた断熱機能を有する断熱部41Bとにより構成されている。また、仕切板41には、後側寄りに位置して尿素水管路30を通すための切欠部41Cが形成されている。さらに、断熱部41Bは、例えば発泡性の樹脂材料を板状に成形することにより形成されている。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、油圧ポンプ10と尿素水ポンプ17との間には、断熱機能を有する仕切板41を設けているから、この仕切板41によって油圧ポンプ10の熱が尿素水ポンプ17に伝わるのを阻止することができる。この結果、尿素水ポンプ17の温度上昇を抑えることができ、この尿素水ポンプ17を通る尿素水の温度上昇を抑えて、尿素水の寿命を延ばすことができる。
次に、図10および図11は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、上部旋回体には、エンジンを覆うエンジンカバーとは別個に、尿素水タンクを覆う尿素水タンクカバー、尿素水ポンプを覆う尿素水ポンプカバー、NOx浄化装置を覆う浄化装置カバーをそれぞれ設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図10、図11において、51は第3の実施の形態による外装カバーを示している。この外装カバー51は、前述した第1の実施の形態による外装カバー33とほぼ同様に、キャブ32の後側から側方に亘って旋回フレーム6に設けられている。しかし、第3の実施の形態による外装カバー51は、エンジン8等を覆うエンジンカバーとは別個に、尿素水タンクカバー51D、尿素水ポンプカバー51E、処理装置カバー51Fをそれぞれ設ける構成としている点で、第1の実施の形態による外装カバー33と相違している。
即ち、外装カバー51は、燃料タンク12の前側を覆うように右前部に設けられた右前カバー51Aと、エンジン8、熱交換装置9等を覆うようにキャブ32とカウンタウエイト7との間に設けられたエンジンカバー51Bと、該エンジンカバー51Bの左側から立ち下がった左側面カバー51Cと、これらとは別個に設けられた尿素水タンクカバー51D、尿素水ポンプカバー51E、浄化装置カバーとしての処理装置カバー51Fとを含んで構成されている。
尿素水タンクカバー51Dは、燃料タンク12の上側に搭載された尿素水タンク13を覆うものである。また、尿素水ポンプカバー51Eは、尿素水タンクカバー51Dの後側に位置して尿素水ポンプ17を覆うものである。さらに、処理装置カバー51Fは、尿素水タンクカバー51D、尿素水ポンプカバー51Eの左側を前,後方向に延び、NOx浄化装置を構成する第2の排気ガス後処理装置26を覆うものである。処理装置カバー51Fには、後側に位置して尾管51Gが上側に突出して設けられている。この尾管51Gは筒状ケース27の排気口27Bに接続されている。
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態では、エンジン8を覆うエンジンカバー51Bとは別個に、尿素水タンクカバー51D、尿素水ポンプカバー51E、処理装置カバー51Fを設けているから、尿素水タンク13、尿素水ポンプ17および第2の排気ガス後処理装置26を独立して覆うことができる。これにより、個々のメンテナンス作業を容易に行うことができる上に、破損した場合にも容易に交換することができる。
次に、図12および図13は本発明の参考例を示している。本参考例の特徴は、燃料タンクの上面板を平坦に形成し、この上面板に尿素水タンクを搭載する構成としたことにある。なお、本参考例では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図12、図13において、61は参考例による燃料タンクを示している。この燃料タンク61は、第1の実施の形態による燃料タンク12とほぼ同様に、前面板61A、後面板61B、左側面板61C、右側面板61D、上面板61E、下面板61Fを備え、上面板61Eの前側には給油口61Gが設けられている。しかし、参考例による燃料タンク61は、その上面板61Eが平坦に形成されている点で、第1の実施の形態による燃料タンク12と相違している。
62は燃料タンク61の上面板61E上に該燃料タンク61の一部として設けられた取付台である。この取付台62には、例えば、後述の尿素水タンク63と尿素水ポンプ17が取付けられるようになっている。取付台62は、四角形状の鋼板の周囲を下向きに折り曲げてなる板部62Aと、該板部62Aの下面側に設けられた断熱機能を有する断熱部62Bと、前記板部62Aの後端部に立上って設けられた立上り板62Cとを含んで構成されている。取付台62は、その板部62Aがボルト等の締結手段または溶接手段を用いて燃料タンク61の上面板61Eに取付けられている。また、断熱部62Bは、例えば発泡性の樹脂材料を板状に成形することにより形成されている。これにより、断熱部62Bは、燃料タンク61からの熱が尿素水タンク63に伝わるのを防止でき、尿素水タンク63内の尿素水の温度上昇を抑えることができる。
立上り板62Cには、後面側に位置してポンプブラケット62Dが設けられている。このポンプブラケット62Dには、尿素水ポンプ17が取付けられている。さらに、立上り板62Cには、板部62Aの前部と立上り板62Cの上部との間に亘って後述する2本の固定ベルト64が設けられる。
63は取付台62の板部62A上に設けられた参考例による尿素水タンクを示している。この尿素水タンク63は、後処理ユニット19に供給する還元剤としての尿素水を貯えるものである。尿素水タンク63は、前面63A、後面63B、左面63C、右面63D、上面63E、下面63Fにより、直方体状の容器として形成されている。尿素水タンク63には、例えば左面63Cに位置して、尿素水を補給するための給水口(図示せず)が設けられている。一方、尿素水タンク13の上面63Eには、尿素水管路30、リード線等が取付けられる蓋体63Gが設けられている。なお、給水口は、左面63C以外にも、前面63A、右面63D、上面63Eに設ける構成としてもよい。
このように構成された尿素水タンク63は、取付台62の板部62A上に載置された状態で、板部62Aの前部と立上り板62Cの上部との間に亘って2本の固定ベルト64を設ける。そして、この2本の固定ベルト64を締付けることにより、尿素水タンク63は、取付台62に固定的に取付けることができる。
かくして、このように構成された参考例においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、参考例では、燃料タンク61の上面板61Eを平坦面とし、この平坦な上面板61E上に尿素水タンク63を設ける構成としている。これにより、一般的な形状の燃料タンク61上にも尿素水タンク63を容易に設けることができる。さらに、燃料タンク61と尿素水タンク63との間には、断熱機能を有する断熱部62Bを設けているから、この断熱部62Bによって燃料タンク61からの熱が尿素水タンク63に伝わるのを防止でき、尿素水タンク63内の尿素水の温度上昇を抑えることができる。
なお、第1の実施の形態では、第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22内に酸化触媒23だけを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22内に、酸化触媒23の下流側に位置して粒子状物質除去フィルタ(Diesel Particulate Filter、略してDPFとも呼ばれている)を設ける構成としてもよい。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
各実施の形態では、カウンタウエイト7が旋回中心Oに近い位置に配置された円形状の上部旋回体4を備えた小旋回式の油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、カウンタウエイトを旋回中心から大きく離間させることで前,後方向に長尺となった上部旋回体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。
さらに、各実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。