以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図9に従って詳細に説明する。
油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより構成されている。
上部旋回体3は、支持構造体をなす車体フレームとしての旋回フレーム5と、該旋回フレーム5の後側に設けられ、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6と、旋回フレーム5の前部左側に設けられオペレータが搭乗するキャブ7と、カウンタウエイト6の前側に設けられ、内部に後述のエンジン9、排気ガス浄化装置16等を収容する建屋カバー8とを含んで構成されている。
旋回フレーム5は、図2ないし図4に示すように、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、前記底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出ビーム5Fとを含んで構成されている。
エンジン9は、カウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5上に左,右方向に延びる横置き状態で設けられている。このエンジン9の左側には、後述する熱交換器11に冷却風を供給するための冷却ファン9Aが設けられている。一方、エンジン9の右側には、後述する油圧ポンプ12が設けられている。
図9に示すように、エンジン9内には、稼働時の温度上昇を抑えるための冷却水が流通するウォータジャケット9Bが設けられている。このウォータジャケット9Bの流入側には、冷却水を圧送供給するための冷却水ポンプ9Cが設けられている。ウォータジャケット9Bは、後述の熱交換器11に接続されている。冷却水は、冷却水ポンプ9Cの駆動によりウォータジャケット9Bと熱交換器11との間で循環流通している。
また、エンジン9には、排気ガスを外部に排出するための排気管10が接続されている。この排気管10は、エンジン9の前側を左,右方向に延びる金属製の管路として形成され、エンジン9から排出された高温の排気ガスを後述の第1の排気ガス後処理装置17へと導くものである。
熱交換器11は、エンジン9の左側に配設されている。この熱交換器11は、エンジン9の冷却ファン9Aに対面して設けられている。熱交換器11は、例えばエンジン9のウォータジャケット9B内を流通して加温された冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ、エンジン9が吸込む空気を冷却するインタクーラ等により構成されている。
油圧ポンプ12は、エンジン9の右側に位置して設けられている。この油圧ポンプ12は、エンジン9によって駆動されることにより、後述の作動油タンク13から供給される作動油を、圧油として制御弁装置(図示せず)に向け吐出するものである。
作動油タンク13は、油圧ポンプ12の前側に位置して旋回フレーム5の右側に設けられている(図2参照)。この作動油タンク13は、下部走行体2、作業装置4等に設けられたアクチュエータを駆動するための作動油を貯えるものである。一方、燃料タンク14は、作動油タンク13の前側に位置して旋回フレーム5に設けられている。
浄化装置取付架台15は、油圧ポンプ12の上側を覆うようにして、旋回フレーム5上に設けられている。この浄化装置取付架台15は、油圧ポンプ12を前,後方向で跨ぎ、油圧ポンプ12の上側で後述の排気ガス浄化装置16を支持するものである。
排気ガス浄化装置16は、浄化装置取付架台15に取り付けられている。この排気ガス浄化装置16は、油圧ポンプ12よりも上側に位置してエンジン9の排気管10に設けられている。排気ガス浄化装置16は、エンジン9から排出される排気ガス中の有害物質を除去するものである。また、排気ガス浄化装置16は、排気ガスの騒音を低減するための消音機構を備えている。そして、排気ガス浄化装置16は、第1の排気ガス後処理装置17、接続管20、第2の排気ガス後処理装置21を含んで構成されている。
第1の排気ガス後処理装置17は、排気管10の出口側に接続されている。この第1の排気ガス後処理装置17は、油圧ポンプ12よりも上側で後述の第2の排気ガス後処理装置21よりも下側に位置して浄化装置取付架台15に取り付けられている。そして、第1の排気ガス後処理装置17は、前,後方向に延びる円筒状の筒体18と、該筒体18内に設けられた酸化触媒19とを含んで構成されている。
筒体18は、両端が閉塞された密閉容器として形成され、上流側となる前側部位には排気管10が接続されている。また、筒体18には、後述の排気温度センサ26と窒素酸化物センサ27とが前,後方向に離間して設けられている。そして、筒体18は、本発明による排気ガス浄化装置16のケーシングの一部を構成している。
酸化触媒19は、排気ガスを浄化する処理部材の1つを構成するもので、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数個の貫通孔が形成され、内面に貴金属等がコーティングされている。そして、酸化触媒19は、所定の温度下で各貫通孔に排気ガスを流通させることにより、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去するものである。また、必要に応じて粒子状物質(PM)も燃焼除去するものである。
接続管20は、第1の排気ガス後処理装置17と後述の第2の排気ガス後処理装置21との間を接続するものである。接続管20は、第1の排気ガス後処理装置17を構成する筒体18の上側に配置され該筒体18と平行して前,後方向に延びる円筒状の筒部20Aと、該筒部20Aの上流側となる入口側の端縁を閉塞する上流蓋板20Bと、筒部20Aの下流側となる出口側の端縁を閉塞する下流蓋板20Cとにより構成されている。これら筒部20A、上流蓋板20B、下流蓋板20Cは、本発明による排気ガス浄化装置16のケーシングの一部を構成している。
第2の排気ガス後処理装置21は、第1の排気ガス後処理装置17の右斜め上側に配置されている。この第2の排気ガス後処理装置21は、浄化装置取付架台15に取り付けられた状態で油圧ポンプ12の上側に配置されている。この第2の排気ガス後処理装置21は、接続管20の出口側に接続され、第1の排気ガス後処理装置17の筒体18と平行して前,後方向に延びる円筒状の筒体22と、該筒体22内に設けられ窒素酸化物(NOx)をアンモニアによって選択的に還元反応させて水と窒素に分解する尿素選択還元触媒23と、該尿素選択還元触媒23の下流側に配置され、該尿素選択還元触媒23で窒素酸化物を還元した後に残った残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離する酸化触媒24とにより構成されている。
筒体22は、両端が閉塞された密閉容器として形成され、上流側となる前側部位には接続管20の出口側が接続されている。また、筒体22には、尿素選択還元触媒23よりも上流側に位置して後述の排気温度センサ26が設けられている。そして、筒体22は、本発明による排気ガス浄化装置16のケーシングの一部を構成している。
尿素選択還元触媒23は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。この尿素選択還元触媒23は、エンジン9から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を、尿素水溶液から生成されたアンモニアによって選択的に還元反応させ、窒素と水に分解するものである。
酸化触媒24は、前述した酸化触媒19とほぼ同様に、セラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。これにより、酸化触媒24は、尿素選択還元触媒23で窒素酸化物を還元した後に残った残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離するものである。
尿素水噴射弁25は、接続管20の上流蓋板20Bに取り付けられている。この尿素水噴射弁25は、接続管20の筒部20A内を流通する排気ガスに向けて尿素水溶液を噴射するものである。即ち、尿素水噴射弁25は、還元剤である尿素水を尿素選択還元触媒23よりも上流側に噴射している。
尿素水噴射弁25は、後述の尿素水供給管路36を介して後述の尿素水タンク29に接続されている。また、尿素水噴射弁25は、後述の冷却水供給管路39A、冷却水戻り管路39Bを介してエンジン9のウォータジャケット9Bに接続されている。尿素水噴射弁25は、後述のハーネス40を介してコントローラ42に接続され、該コントローラ42により弁体(図示せず)の開閉制御がなされている。
排気温度センサ26は、第1の排気ガス後処理装置17を形成する筒体18と第2の排気ガス後処理装置21を形成する筒体22とに設けられている。これら排気温度センサ26は、排気ガス浄化装置16内を流通する排気ガスの温度を検出するものである。図8、図9に示すように、排気温度センサ26は、筒体18の上流側に2箇所設けられている。
具体的には、排気温度センサ26は、筒体18内に設けられた酸化触媒19を挟んで2箇所に配設されている。また、排気温度センサ26は、筒体22の上流側に1箇所設けられている。具体的には、排気温度センサ26は、筒体22内に設けられた尿素選択還元触媒23よりも上流側に1箇所配設されている。各排気温度センサ26は、本発明の検出器を構成している。
窒素酸化物センサ27は、第1の排気ガス後処理装置17を形成する筒体18の下流側に設けられている。具体的には、窒素酸化物センサ27は、筒体18内に設けられた酸化触媒19よりも下流側に1箇所配設されている。この窒素酸化物センサ27は、尿素水噴射弁25よりも上流側で排気ガス中の窒素酸化物の濃度を検出するものである。この窒素酸化物センサ27は、本発明の検出器を構成している。
なお、浄化された排気ガスの窒素酸化物を検出するための窒素酸化物センサを第2の排気ガス後処理装置21を構成する筒体22の下流側(出口側)に設けてもよい。また、排気ガス浄化装置16には、筒体18,22内の圧力を検出する圧力センサを設けてもよい。
各排気温度センサ26および窒素酸化物センサ27は、第2の排気ガス後処理装置21の筒体22にボルト等により取り付けられた基板28上で後述の浄化装置用ハーネス40Bに接続されている。各排気温度センサ26により検出された温度および窒素酸化物センサ27により検出された窒素酸化物の濃度は、浄化装置用ハーネス40B、メインハーネス40Aを介してコントローラ42に出力される。なお、基板28は、例えば雨水、塵埃等から保護するために、カバーにより常時覆われている。
尿素水タンク29は、燃料タンク14よりも前側に位置して旋回フレーム5に設けられている。この尿素水タンク29は、還元剤である尿素水を貯えるもので、後述の尿素水供給管路36を介して尿素水噴射弁25に接続されている。図9に示すように、尿素水タンク29内の尿素水は、尿素水ポンプ30の駆動により尿素水供給管路36内を流通して尿素水噴射弁25に供給される。
機械室31は、建屋カバー8によって覆われ、エンジン9、熱交換器11、排気ガス浄化装置16を含む搭載機器を収容している。この機械室31の上側は、搭載機器等をメンテナンスするために開口しており、常時は後述の熱交換器上部カバー33、エンジン上部カバー34、浄化装置上部カバー35により覆われている。図9に示すように、機械室31には、左側から順に熱交換器11、エンジン9、排気ガス浄化装置16が並んで配設されている。
サポート部材32は、機械室31の後側(カウンタウエイト6側)に配設されている。このサポート部材32は、機械室31の開口の後縁部に位置して、熱交換器11と浄化装置取付架台15との間を左,右方向に延びている。即ち、サポート部材32は、左端側が熱交換器11に固着され、右端側が浄化装置取付架台15に固着されている。そして、サポート部材32は、カウンタウエイト6と対面する縦板32Aと、該縦板32Aの上側に位置する平板32BとによりL字状の枠体として形成されている。
縦板32Aは、左,右方向に延びる板体として形成され、前面32A1にハーネス40、尿素水供給管路36、冷却水供給管路39A、冷却水戻り管路39Bが支持されている。一方、平板32Bは、縦板32Aの上端から前方に向けて屈曲して形成されている。平板32Bの上面32B1には、複数個のヒンジ(図示せず)を介してエンジン上部カバー34、浄化装置上部カバー35が支持されている。また、平板32Bは、縦板32Aに配設された後述のハーネス40を例えば雨水、塵埃等から保護している。
熱交換器上部カバー33は、機械室31に配設された熱交換器11の上方全域を覆っている。図8に示すように、熱交換器上部カバー33は、建屋カバー8の上面板にヒンジ(図示せず)を介して取り付けられている。これにより、熱交換器上部カバー33は、左,右方向に開閉可能となっている。
エンジン上部カバー34は、熱交換器上部カバー33の右側に位置して、機械室31に配設されたエンジン9の上方全域を覆っている。図8に示すように、エンジン上部カバー34は、サポート部材32の平板32Bにヒンジ(図示せず)を介して取り付けられている。これにより、エンジン上部カバー34は、前,後方向に開閉可能となっている。
浄化装置上部カバー35は、エンジン上部カバー34の右側に位置して、機械室31に配設された排気ガス浄化装置16の上方全域を覆っている。図8に示すように、浄化装置上部カバー35は、サポート部材32の平板32Bにヒンジ(図示せず)を介して取り付けられている。これにより、浄化装置上部カバー35は、前,後方向に開閉可能となっている。エンジン上部カバー34と浄化装置上部カバー35とは、本発明の外装カバーを構成している。
尿素水供給管路36は、尿素水タンク29と尿素水噴射弁25との間を接続するものである。この尿素水供給管路36は、例えば樹脂製の管体からなり、尿素水タンク29内に貯えられた尿素水を尿素水噴射弁25に向けて流通させるものである。尿素水供給管路36は、後述の断熱管路38を介してサポート部材32の縦板32Aに設けられた後述の尿素水供給管路固定具44に固定されている。
加温管路37は、エンジン9のウォータジャケット9Bに接続され、尿素水供給管路36に向けて延びている。この加温管路37は、一端がウォータジャケット9Bに接続され、他端が後述の冷却水戻り管路39Bに接続されている。また、加温管路37は、途中部位が尿素水供給管路36に沿って配設されている。加温管路37は、尿素水供給管路36内を流通する尿素水を温めるものである。
即ち、加温管路37は、エンジン9で加温された冷却水の一部を流通させることにより、尿素水供給管路36を温めて尿素水の凍結を抑制する。加温管路37内の尿素水は、尿素水供給管路36を温めた後に後述の冷却水戻り管路39Bを介してウォータジャケット9Bに戻される。加温管路37は、後述の断熱管路38を介してサポート部材32の縦板32Aに設けられた後述の尿素水供給管路固定具44に固定されている。
断熱管路38は、尿素水供給管路36と加温管路37とを覆っている。この断熱管路38は、尿素水供給管路36と加温管路37とを一緒に取囲むことにより、加温管路37と外気との間を遮断して加温管路37内を流通する冷却水の熱を効率よく保温する。これにより、加温管路37の熱は、断熱管路38により発散するのを抑制されるので、尿素水供給管路36を効率よく保温することができ、ひいては尿素水供給管路36内の尿素水の凍結を抑制することができる。そして、断熱管路38は、サポート部材32の縦板32Aに設けられた後述の尿素水供給管路固定具44に固定されている。
冷却水供給管路39Aは、エンジン9のウォータジャケット9Bと尿素水噴射弁25との間を接続するものである。この冷却水供給管路39Aは、尿素水噴射弁25を冷却する冷却水が流通するもので、本発明の冷却水管路を構成している。冷却水供給管路39Aは、途中部位がサポート部材32の縦板32Aに設けられた後述の冷却水供給管路固定具45に固定されている。
一方、冷却水戻り管路39Bは、尿素水噴射弁25で加温された(熱交換された)冷却水をエンジン9のウォータジャケット9Bに向けて戻すものである。冷却水戻り管路39Bは、途中部位がサポート部材32の縦板32Aに設けられた後述の冷却水戻り管路固定具46に固定されている。
ハーネス40は、サポート部材32(枠体)の内部を通って左,右方向に延びている。このハーネス40は、一端が各排気温度センサ26、窒素酸化物センサ27、尿素水噴射弁25にそれぞれ電気的に接続され、他端が後述のコントローラ42に向けて延びている。ハーネス40は、各排気温度センサ26で検出された温度信号および窒素酸化物センサ27で検出された濃度信号をコントローラ42に向けて伝送すると共に、尿素水噴射制御コントローラ42Aから尿素水噴射弁25に向けて弁体を開閉する駆動信号を伝送する。
そして、ハーネス40は、一端がサポート部材32の縦板32Aに設けられたコネクタ41に接続され、他端がコントローラ42に接続されたメインハーネス40Aと、一端が各排気温度センサ26、窒素酸化物センサ27、尿素水噴射弁25とそれぞれ接続され、他端がコネクタ41に接続された浄化装置用ハーネス40Bとにより構成されている。
図4に示すように、コネクタ41は、サポート部材32の左,右方向の中央部よりも右側(排気ガス浄化装置16側)に設けられている。従って、メインハーネス40Aは、サポート部材32の内部をコネクタ41から左側に向けて延び、コントローラ42に接続されている。そして、メインハーネス40Aは、サポート部材32の縦板32Aに設けられたメインハーネス固定具43A,43Bに固定されている。
一方、浄化装置用ハーネス40Bは、サポート部材32の内部をコネクタ41から右側に向けて延び、基板28上で各排気温度センサ26と窒素酸化物センサ27とにそれぞれ接続されると共に、尿素水噴射弁25に接続されている。浄化装置用ハーネス40Bは、コネクタ41が排気ガス浄化装置16側に設けられているので、排気ガス浄化装置16を浄化装置取付架台15に取り付けたときに簡単にコネクタ41に接続させることができる。そして、浄化装置用ハーネス40Bは、サポート部材32の縦板32Aに設けられた浄化装置用ハーネス固定具43Cに固定されている。
図9に示すコントローラ42は、上部旋回体3に設けられている。このコントローラ42は、例えばエンジンコントローラおよび尿素水噴射制御コントローラ(UWC)42Aを含んで構成されている。コントローラ42は、例えばエンジン9、尿素水噴射弁25、各排気温度センサ26、窒素酸化物センサ27、尿素水ポンプ30等と電気的に接続され、エンジン9の駆動状況、各センサ26,27の検出値に基づき排気ガスの浄化制御を行う。
次に、サポート部材に設けられたハーネス固定具、尿素水供給管路固定具、冷却水管路固定具について説明する。
メインハーネス固定具43A,43Bは、コネクタ41よりも左側に位置してサポート部材32の縦板32Aに設けられている。これらメインハーネス固定具43A,43Bは、例えば金属製からなり、サポート部材32の縦板32Aにボルト等により取り付けられている。メインハーネス固定具43A,43Bは、メインハーネス40Aをサポート部材32に支持するものである。
一方、浄化装置用ハーネス固定具43Cは、コネクタ41よりも右側(排気ガス浄化装置16側)で、かつサポート部材32の平板32B側に位置して縦板32Aに設けられている。浄化装置用ハーネス固定具43Cは、複数のハーネス固定具43A,43B,43Cのうち最も排気ガス浄化装置16に近い位置に配設されている。そして、浄化装置用ハーネス固定具43Cは、例えば樹脂製からなり、縦板32Aに嵌着されている。
これにより、作業者は、工具等を用いずに浄化装置用ハーネス40Bを浄化装置用ハーネス固定具43Cに固定させることができるので、浄化装置用ハーネス40Bを取り付けるときの作業の作業性を向上することができる。図5ないし図7に示すように、浄化装置用ハーネス固定具43Cは、後述の尿素水供給管路固定具44および冷却水供給管路固定具45よりも上側に設けられている。各固定具43C,44,45の配置関係については、後で詳細に説明する。
尿素水供給管路固定具44は、浄化装置用ハーネス固定具43Cの下側に位置してサポート部材32の縦板32Aに設けられている。即ち、尿素水供給管路固定具44は、浄化装置用ハーネス固定具43Cの近傍位置に設けられている。尿素水供給管路固定具44は、例えば金属製からなり、サポート部材32の縦板32Aに固着されている。尿素水供給管路固定具44は、断熱管路38および断熱管路38内に配設された尿素水供給管路36と加温管路37とをサポート部材32に支持するもので、本発明の供給管路固定具を構成している。
冷却水供給管路固定具45は、サポート部材32の縦板32Aに設けられている。この冷却水供給管路固定具45は、冷却水供給管路39Aをサポート部材32に支持するもので、本発明の冷却水管路固定具を構成している。冷却水供給管路固定具45は、浄化装置用ハーネス固定具43Cと尿素水供給管路固定具44との間に位置してサポート部材32の縦板32Aに設けられている。即ち、冷却水供給管路固定具45は、浄化装置用ハーネス固定具43Cの近傍位置に設けられている。冷却水供給管路固定具45は、例えば金属製からなり、サポート部材32の縦板32Aにボルト等により取り付けられている。
冷却水戻り管路固定具46は、サポート部材32の縦板32Aに設けられている。この冷却水戻り管路固定具46は、縦板32Aの下端側に設けられ、冷却水戻り管路39Bをサポート部材32に支持するものである。図3、図8に示すように、冷却水戻り管路固定具46は、例えば金属製からなり、サポート部材32の縦板32Aから下側に向けて延び、下端側で冷却水戻り管路39Bを固定している。
ハーネス支持具47は、浄化装置用ハーネス固定具43Cの下方に設けられている。図7に示すように、ハーネス支持具47は、例えばサポート部材32の縦板32Aから前方に向けて延び、途中部位が上方に向けて屈曲した略L字状の棒鋼により形成されている。ハーネス支持具47は、浄化装置用ハーネス固定具43Cの予備的に設けられたもので、浄化装置用ハーネス40Bが垂れ下がるのを抑制するものである。
図6、図7に示すように、ハーネス支持具47は、浄化装置用ハーネス固定具43Cよりも下側、かつ冷却水供給管路固定具45よりも上側に位置して設けられている。ハーネス支持具47は、例えばメンテナンス等により浄化装置用ハーネス40Bを浄化装置用ハーネス固定具43Cおよび/またはコネクタ41から取り外したときに、浄化装置用ハーネス40Bを支持して垂れ下がるのを抑制する。これにより、浄化装置用ハーネス40Bが、尿素水供給管路36、加温管路37、冷却水供給管路39Aに接触するのを抑制することができる。
次に、浄化装置用ハーネス固定具43C、尿素水供給管路固定具44、冷却水供給管路固定具45、ハーネス支持具47の配置関係について説明する。
浄化装置用ハーネス固定具43Cは、尿素水供給管路固定具44、冷却水供給管路固定具45、およびハーネス支持具47よりも上側に位置してサポート部材32の縦板32Aに設けられている。これにより、ハーネス40(浄化装置用ハーネス40B)は、尿素水供給管路36、加温管路37および冷却水供給管路39Aよりも上側に配設される。従って、例えばメンテナンス等により尿素水供給管路36、加温管路37および冷却水供給管路39Aを取り外したときに、尿素水供給管路36等から尿素水が零れ落ちてハーネス40が濡れるのを低減することができる。
一方、尿素水供給管路固定具44、冷却水供給管路固定具45、およびハーネス支持具47は、浄化装置用ハーネス固定具43Cの近傍位置に設けられている。この場合、近傍位置とは、例えばメインハーネス40Aと浄化装置用ハーネス40Bとを接続するコネクタ41よりも排気ガス浄化装置16側(右側)に、尿素水供給管路固定具44、冷却水供給管路固定具45、およびハーネス支持具47が配設された場合を一例として挙げることができる。
即ち、近傍位置とは、浄化装置用ハーネス固定具43C、尿素水供給管路固定具44、冷却水供給管路固定具45を可及的に密集させて配設したことをいう。本実施の形態では、図6に示すように、浄化装置用ハーネス固定具43Cの下側には、ハーネス支持具47が設けられている。また、ハーネス支持具47の下側には、冷却水供給管路固定具45が設けられている。さらに、冷却水供給管路固定具45の下側には、尿素水供給管路固定具44が設けられている。
即ち、図6、図7に示すように、側面視にて複数のハーネス固定具43A,43B,43Cのうち最も排気ガス浄化装置16に近い位置の浄化装置用ハーネス固定具43Cと尿素水供給管路固定具44と冷却水供給管路固定具45とは、重ならない位置に配置されつつサポート部材32に集中的に配置されている。
これにより、作業者は、大きく体勢を変えることなく各管路36,39Aおよび浄化装置用ハーネス40Bを各固定具43C,44,45に固定することができるので、各管路36,39Aおよび浄化装置用ハーネス40Bを各固定具43C,44,45に取り付ける作業の作業性を向上することができる。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ7に搭乗してエンジン9を作動させる。そして、オペレータが、キャブ7内に配置された走行用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、油圧ショベル1を走行させることができる。また、オペレータが、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、作業装置4を用いて土砂の掘削作業を行うことができる。
ここで、エンジン9の運転時に、該エンジン9から排出される排気ガスは、排気管10を介して第1の排気ガス後処理装置17内に導入される。そして、図9に矢印で示すように、排気ガスは、第1の排気ガス後処理装置17から接続管20、第2の排気ガス後処理装置21を通過して大気中に排出される。
この場合、第1の排気ガス後処理装置17に設けられた酸化触媒19によって、排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等が酸化して除去される。また、必要に応じて粒子状物質(PM)が燃焼して除去される。一方、接続管20内では、尿素水噴射弁25から排気ガスに向けて尿素水が噴射され、第2の排気ガス後処理装置21では、尿素選択還元触媒23によって窒素酸化物が窒素と水に分解される。さらに、酸化触媒24が残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離することにより、十分に浄化された排気ガスを大気中に排出することができる。
ところで、コントローラ42は、排気ガス浄化装置16に設けられた各排気温度センサ26の検出値(温度)および窒素酸化物センサ27の検出値(濃度)に基づいて、尿素水噴射弁25の開閉制御、即ち排気ガス中に噴射させる尿素水の最適噴射量を算出する。従って、排気ガス浄化装置16の周囲には、各排気温度センサ26および窒素酸化物センサ27とコントローラ42との間を接続するハーネス40が配設されている。
また、排気ガス浄化装置16の周囲には、その他にも尿素水タンク29内の尿素水を尿素水噴射弁25に向けて供給する尿素水供給管路36、尿素水供給管路36内の尿素水が凍結するのを抑制するための加温管路37、尿素水噴射弁25を冷却するための冷却水が流通する冷却水供給管路39A、尿素水噴射弁25で加温(熱交換)された冷却水をウォータジャケット9Bに戻すための冷却水戻り管路39Bが配設されている。
この場合、例えば車体の振動等によるハーネス、尿素水供給管路、冷却水供給管路の干渉を抑制するために、これらを離して配置することが考えられる。しかし、排気ガス浄化装置16の周囲は、エンジン9、油圧ポンプ12等の種々の機器が設けられており、この狭隘なスペースにハーネス、尿素水供給管路、冷却水管路等を自由に配設するのは困難である。一方、ハーネス、尿素水供給管路、冷却水管路をそれぞれ離れた位置に配置すると、これらを組立てるときの作業性が低下する虞がある。
そこで、本実施の形態では、機械室31の後側に配設されたサポート部材32に浄化装置用ハーネス40Bを固定する浄化装置用ハーネス固定具43Cを設けている。そして、浄化装置用ハーネス固定具43Cの近傍位置には、尿素水供給管路36を固定する尿素水供給管路固定具44と、冷却水供給管路39Aを固定する冷却水供給管路固定具45とが設けられている。
即ち、複数個のハーネス固定具43A〜43Cのうち、最も排気ガス浄化装置16側に位置する浄化装置用ハーネス固定具43Cの周囲に、尿素水供給管路固定具44と冷却水供給管路固定具45とを可及的に近接して配設している。換言すると、図6、図7に示すように、側面視にて複数のハーネス固定具43A,43B,43Cのうち最も排気ガス浄化装置16に近い位置の浄化装置用ハーネス固定具43Cと尿素水供給管路固定具44と冷却水供給管路固定具45とは、重ならない位置に配置されつつサポート部材32に集中的に配置されている。
これにより、浄化装置用ハーネス40Bを浄化装置用ハーネス固定具43Cに固定した後に、尿素水供給管路36と加温管路37とを取囲む断熱管路38を尿素水供給管路固定具44に固定させることができ、冷却水供給管路39Aを冷却水供給管路固定具45に順次固定させることができる。その結果、機械室31内の狭隘なスペースに、尿素水供給管路36、冷却水供給管路39A、ハーネス40をサポート部材32に効率よく支持させることができるので、尿素水供給管路36、冷却水供給管路39A、浄化装置用ハーネス40Bの組立作業の作業性を向上することができる。
また、尿素水供給管路36、冷却水供給管路39A、浄化装置用ハーネス40Bを集中して配設することにより、排気ガス浄化装置16の周囲に各管路36,39Aおよび浄化装置用ハーネス40Bが錯綜するのを低減することができる。これにより、機械室31内に搭載される他部品の設計、レイアウト等の自由度を向上させることができる。
また、サポート部材32は、縦板32Aと平板32Bとにより逆L字状の枠体として形成されている。そして、浄化装置用ハーネス固定具43Cは、尿素水供給管路固定具44、冷却水供給管路固定具45よりも上側に位置して設けられ、ハーネス40は、枠体の内部を通って左,右方向に延びている。
これにより、浄化装置用ハーネス固定具43Cよりも左側(熱交換器11側)では、ハーネス40(浄化装置用ハーネス40B)が尿素水供給管路36、加温管路37、および冷却水供給管路39Aよりも上側に配設される。その結果、尿素水供給管路36、加温管路37、および冷却水供給管路39Aを脱着したときに、各管路36,37,39Aから尿素水または冷却水が零れ落ちたとしても、ハーネス40が濡れるのを低減することができる。
また、浄化装置用ハーネス固定具43Cの近傍位置には、ハーネス支持具47が設けられている。具体的には、ハーネス支持具47は、浄化装置用ハーネス固定具43Cよりも下側、かつ尿素水供給管路固定具44および冷却水供給管路固定具45よりも上側に設けられている。
これにより、ハーネス支持具47は、例えばメンテナンス等により浄化装置用ハーネス40Bを浄化装置用ハーネス固定具43Cおよび/またはコネクタ41から取り外したときに、浄化装置用ハーネス40Bを支持して垂れ下がるのを抑制する。その結果、浄化装置用ハーネス40Bが、尿素水供給管路36、加温管路37、冷却水供給管路39Aに接触するのを抑制することができ、排気ガス浄化制御の信頼性、安定性を向上することができる。
なお、上述した実施の形態では、第1の排気ガス後処理装置17の筒体18内に酸化触媒19だけを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第1の排気ガス後処理装置の筒体内に、酸化触媒の下流側に位置して粒子状物質除去フィルタ(DPF)が設けられていてもよい。この粒子状物質除去フィルタは、エンジンから排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集し、燃焼して除去することにより、排気ガスを浄化するものである。
また、上述した実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。