JP6511748B2 - 車両用灯具 - Google Patents

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Description

本発明は車両用灯具に関するものである。
従来、複数の半導体発光素子と、複数の半導体発光素子から出射された光を車両前方に照射する投影レンズと、を備える車両用灯具において、投影レンズは、主たる配光制御を行うとともに複数の半導体発光素子と対応付けられた複数の入射面と、単一の出射面と、を有し、出射面は、複数の入射面から投影レンズ内に入射した光を出射させる複数の出射領域のそれぞれが、隣り合う出射領域と一部を重複させるようにした車両用灯具が知られている(特許文献1参照)。
特開2012−119172号公報
この特許文献1では、具体的には12個のLEDを用いており、部品点数が多くコストが高くなるとともに、それら多数のLEDに対応した長尺な投影レンズを使用しているため、車両用灯具が大きくなるという問題がある。
また、近年、車両用灯具は、車両前方側から車両後方側に向かってスラント(傾斜)したデザインのものが多く、このような車両用灯具では、灯具ユニットの車両内側近傍にインナーパネルなどの部材が位置している場合が多い。
そして、灯具ユニットからの光がインナーパネルなどに照射されると、その光がインナーパネルなどで反射されてグレア光になるなどの問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、部品点数が少なく小型化ができるとともに車両内側にあるインナーパネルなどに光が照射されることを抑制した車両用灯具を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために以下の構成によって把握される。
(1)本発明の車両用灯具は、レンズと、前記レンズの光軸中心を挟んで設けられる一対の光源と、を備え、一方の前記光源に対応する前記レンズの入射面は集光配光パターンを形成する集光用入射面とされ、他方の前記光源に対応する前記レンズの入射面は拡散配光パターンを形成する拡散用入射面とされ、前記集光用入射面は、前記集光用入射面の略中央を基準として前記光軸中心側の一方の面が前記集光配光パターンの全体を形成するとともに、他方の面も前記一方の面と略同一形状の前記集光配光パターンを形成している。
(2)上記(1)の構成において、前記集光配光パターンと前記拡散配光パターンとが合わさってカットオフラインを有する配光パターンを形成しており、前記拡散用入射面は、前記拡散用入射面の形成する前記カットオフラインの光軸周辺の光を前記集光配光パターンのカットオフラインよりも鉛直方向に下げるように形成している。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記拡散配光パターンは、前記光軸中心より前記一方の光源側の配光範囲よりも、前記光軸中心より前記他方の光源側の配光範囲の方が広く形成されている。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つの構成において、前記集光用入射面の前記他方の面が、前記集光用入射面の前記一方の面の形成する前記集光配光パターン内に包含される前記集光配光パターンを形成する。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1つの構成において、前記集光用入射面と前記拡散用入射面との繋がり部は、段差なく繋がっている。
本発明によれば、部品点数が少なく小型化ができるとともに車両内側にあるインナーパネルなどに光が照射されることを抑制した車両用灯具を提供することができる。
本実施形態に係る車両用灯具を備えた車両の平面図である。 本実施形態に係る車両用灯具の灯具ユニットの斜視図である。 図2の灯具ユニットからカバーを取り除いた斜視図である。 図3のA−A線断面図である。 図3からレンズを取り除き正面から見た正面図である。 レンズを光源側から見た裏面図である。 集光用入射面の配光制御とスクリーン上での配光状態を説明するための図であり、それぞれ(a)は他方の面の車両内側に近い略半分の面、(b)は他方の面の光源側略半分の面、(c)は一方の面の車両内側に近い略半分の面、(d)は一方の面の光軸中心側の略半分の面の場合を示した図である。 集光用入射面の配光制御とその配光制御で形成されるスクリーン上でのロービーム配光用の集光配光パターンを示したものである。 拡散用入射面の配光制御とその配光制御で形成されるスクリーン上でのロービーム配光用の拡散配光パターンを示したものである。 光源の取付け位置がオフセットしたときの配光状態を説明する図であり、(a)は光源が取付け中心位置に取付けられたときのスクリーン上での集光配光パターンの状態を示す図であり、(b)は光源が取付け中心位置に取付けられたときのスクリーン上での集光配光パターン及び拡散配光パターンの状態を示す図であり、(c)は光源が取付け中心位置からオフセットした場合の集光配光パターン及び拡散配光パターンの状態を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。また、実施形態及び図中において、特に断りがない場合、「前」、「後」は、各々、車両の「前進方向」、「後進方向」を示し、「上」、「下」、「左」、「右」は、各々、車両に乗車する運転者から見た方向を示す。
本発明の実施形態に係る車両用灯具は、図1に示す車両102の前方の左右に設けられる車両用灯具(101R、101L)であり、左右の車両用灯具(101R、101L)の構成は左右対称であるため、以下では、左側の車両用灯具101Lについてのみ説明する。
なお、以下では、車両用灯具101Lのことを、単に「車両用灯具」と記載する。
本実施形態の車両用灯具は、車両前方側に開口したハウジング(図示せず)と開口を覆うようにハウジングに取付けられるアウターレンズ(図示せず)を備え、ハウジングとアウターレンズとで形成される灯室内に灯具ユニット(図2参照)などが配置されている。
図2は、本実施形態の車両用灯具の灯具ユニット10を示した斜視図であり、図2に示すように、灯具ユニット10は、カバー20と、ヒートシンク30と、レンズ40とを備えている。
図3は、図2のカバー20を取り外した灯具ユニット10を示した斜視図であり、図4は、図3のA−A線断面図である。
図4に示すように、レンズ40の車両幅方向の両端には、スクリュー61a、61bを通すための貫通孔が形成された一対のフランジ41a、41bが設けられている。
一方、ヒートシンク30の車両前方側には、レンズホルダ50がスクリュー62a、62bで取り付けられており、このレンズホルダ50の車両幅方向の両端には、スクリュー61a、61bを固定するための雌ネジ構造(図示せず)が形成された一対のスクリュー固定部51a、51bが設けられている。
したがって、フランジ41a、41bの貫通孔にスクリュー61a、61bを通し、スクリュー61a、61bをレンズホルダ50のスクリュー固定部51a、51bに螺合させることで、レンズ40がレンズホルダ50に固定できるようになっている。
また、図4に示すように、レンズホルダ50の中央側の部分は、光源を載置する載置部52になっており、レンズ40のレンズ原点Oから車両前方側に延びる光軸中心Zを挟んで一対の光源70a、70bが、それぞれ左右一対のスクリュー63a、63bで載置部52に取付けられている。
(光源)
図5は、図3のレンズ40を取外し、レンズホルダ50を正面から見るようにした正面図である。
図5に示すように、光源70a、70bは、どちらも給電のための電気コネクタ71a、71bが設けられたボディ72a、72bを備えている。
そして、ボディ72a、72bに一体に設けられた基板73a、73b上には、それぞれ、発光部となる発光チップ74a、74bが設けられている。
本実施形態の光源70a、70bは、たとえば、LED、レーザー光源などの自発光半導体型光源であり、発光チップ(LEDチップ)74a、74bの個数や形状は特に制限されるものではなく、1つの発光チップで発光部を形成してもよく、複数の発光チップを並べて、発光部を形成するようにしてもよい。
図4及び図5を見るとわかるように、ボディ72aには、一対のスクリュー63aを通す貫通孔が設けられ、同様にボディ72bにも一対のスクリュー63bを通す貫通孔が設けられている。
一方、図4を見るとわかるように、レンズホルダ50の光源を載置する載置部52には、一対のスクリュー63a及び一対のスクリュー63bに対応した雌ネジ構造が形成されたスクリュー固定部が設けられている。
したがって、ボディ72a、72bの貫通孔にスクリュー63a、63bを通し、スクリュー63a、63bをレンズホルダ50の対応するスクリュー固定部に螺合させることで、光源70a、70bを、それぞれレンズホルダ50に固定できるようになっている。
(レンズ)
レンズ40は、図4に示すように、車両前方側に光を照射する出射面42と、光源70a、70bからの光がレンズ40に入射する入射面43とを備えており、出射面42は、断面が2次曲線で組み合わされた複合2次曲面に形成されている。
一方、入射面43は、レンズ40の光軸中心Zより車両外側に位置する他方の光源70aに対応するロービーム用の拡散配光パターンを形成する拡散用入射面43aと、光軸中心Zより車両内側に位置する一方の光源70bに対応するロービーム用の集光配光パターンを形成する集光用入射面43bとからなる。
拡散用入射面43aと集光用入射面43bは、それぞれ自由曲面に形成されており、光源70a、70b側からレンズ40を見た図6に示されるように、拡散用入射面43aと集光用入射面43bとの繋がり部43cが、段差なく、位置連続(C級連続)で繋がっている。
なお、図6では、発光チップ74a、74b(つまり、発光部)の位置を模式的に四角で示している。
また、図6に示すように、本実施形態では、集光用入射面43bは、光源70b側に近づくような緩やかな凸状になっており、光源70bは、集光用入射面43bの最も光源70b側に凸状となっている部分の近傍に光照射軸が位置するように配置されている。
一方、本実施形態では、拡散用入射面43aは、光源70a側に近づくように光軸よりに傾斜した面になっている。
以下では、上記のように配置された発光チップ74a、74bからの光が、それぞれ、集光用入射面43b及び拡散用入射面43aによって、どのように配光制御されるのかについて詳細に説明する。
まず、光源70b(発光チップ74b)からの光が集光用入射面43bによってどのような配光制御が行われているのかについて説明し、その後、光源70a(発光チップ74a)からの光が拡散用入射面43aによってどのような配光制御が行われるのかについて説明する。
(集光用入射面の配光制御)
図7(a)〜(d)は、光源70bからの光が集光用入射面43bで配光制御されて、どのような配光パターンとして車両前方側に照射されるのかを説明するための図である。
図7(a)〜(d)の左側にある上下4つの図は、レンズ40の出射面42と集光用入射面43bの面の形状を模式的に示し、光源70bからの光が集光用入射面43bの各部に入射したときに、そのレンズ40に入射した光が、どのように出射面42から車両前方側に照射されるのかを示した図である。
また、図7(a)〜(d)の右側にある上下4つの図は、左側の図に対応したスクリーン上での配光状態を示したものであり、「VU−VD」はスクリーンの上下の垂直線を示し、「HL−HR」はスクリーンの左右の水平線を示している。
以降、図7以外の図においてもスクリーンの図が示されている場合、「VU−VD」がスクリーンの上下の垂直線を示し、「HL−HR」がスクリーンの左右の水平線を示すものとする。
なお、スクリーンの中央(「VU−VD」線付近)は車両用灯具の車両正面側に当たるので正面、同様に、スクリーンの左側は車両用灯具の車両外側に当たるので外(外側)、スクリーンの右側は車両用灯具の車両内側に当たるので内(内側)と記載する場合もある。
図7(a)と図7(b)は、集光用入射面43bの略中央を基準として車両内側に近い他方の面44bに光源70bからの光が入射した場合を示している。
そして、図7(a)は他方の面44bのうち、さらに、車両内側に近い略半分の面に光が入射した場合を示したものであり、図7(b)は他方の面44bの光源70b側略半分の面、つまり、他方の面44bの車両外側(レンズ40の光軸中心Z側)の略半分の面に光が入射した場合を示している。
一方、図7(c)と図7(d)は、集光用入射面43bの略中央を基準として車両外側(レンズ40の光軸中心Z側)の一方の面44aに光源70bからの光が入射した場合を示している。
そして、図7(c)は一方の面44aのうち、車両内側に近い略半分の面に光が入射した場合を示したものであり、図7(d)は一方の面44aの車両外側(レンズ40の光軸中心Z側)の略半分の面に光が入射した場合を示している。
したがって、図7は、光源70bからの光が入射する集光用入射面43bの位置を略1/4の面毎に分け、順に図7(a)→図7(d)を見ると、その光の入射する面の車両内側から車両外側の各位置でのレンズ40に対する光の入出射の状態(左図)と、そのときのスクリーン上での配光状態(右図)がわかるようにしたものになっている。
さらに、図7では、図7(a)〜(d)のスクリーンの図(右図)の左上に「外→正面」のように外、正面、内の方向を示す表示をしている。
上記表示が示す内容を、図7(a)を参照して、具体的に説明すると、本実施形態では、他方の面44bの車両内側に近い略半分の面は、最も車両内側に位置する部分が、スクリーンの配光パターンの外(スクリーンの左側)の配光を形成しており、他方の面44bの中央側(車両外側)に近づくにつれてスクリーンの配光パターンの正面(スクリーンの「VU−VD」線側)の配光を形成するようになっている。
そこで、上記のような光の入射する位置とスクリーン上の配光パターン中の位置との関係がわかるように、入射面を車両内側から車両外側に見たときに、スクリーン上での配光が、スクリーン上でどの方向に向けて形成されているのかを示しているものであり、図7(a)の場合、入射面の位置とスクリーン上の配光位置との関係は、上記の通りであるので表示が「外→正面」となっている。
図7の見方及び表記等については、以上の通りである。
以下、図7を参照しながら集光用入射面43bの配光制御の詳細な説明を進める。
図7(a)を見るとわかるように、光源70bから最も車両内側に向けて照射される光は、他方の面44bの最も車両内側の位置に到達するが、この光が車両内側に向かわないように、他方の面44の最も車両内側となる部分は、車両外側の配光を形成するように配光制御している。
つまり、最も車両内側に近い部分は、車両内側のインナーパネルなどが近くにあるので、インナーパネルなどに光が照射されることがないように、車両外側に光を照射するようにしている。
そして、順次、光源70bからの光の向かう方向が車両内側から車両外側になるのに合わせて、他方の面44bも車両内側から車両外側に向かうにつれて車両外側から車両内側方向へ配光を形成するように配光制御している。
具体的には、スクリーン左上の「外→正面」の表示のように、他方の面44bの車両内側の略半分の面は車両内側から車両外側に向かうにつれて、車両外側から車両正面の配光を形成するように配光制御を行っている。
次に、図7(b)示すように、他方の面44bの光源70b側略半分の面(他方の面44bの車両外側に位置する略半面)も車両内側から車両外側に向かうにつれて、車両外側から車両内側方向へ配光を形成するように配光制御している。
具体的には、この他方の面44bの光源70b側略半分の面の車両内側の部分は、先ほどの図7(a)から連続する面であるのでスクリーン上の「正面」近傍に光を照射することになる。
そして、他方の面44bの光源70b側略半分の面は、スクリーン上の「正面」近傍に光を照射している車両内側の部分を起点として、車両内側から車両外側に向かうにつれて、スクリーン左上の「正面→内」の表示のように、車両正面から車両内側の配光を形成するように配光制御を行っている。
このように、光源70bからの光のうち、最も車両内側に向かう光が車両内側のインナーパネルなどに照射されることがないように、他方の面44bの車両内側に近い部分は、車両外側に光を照射するように車両外側(スクリーンの左側)の配光を形成させるようにしている。
そして、他方の面44bの車両内側に近い部分が、車両外側の配光を形成しているのを起点として、他方の面44bは車両外側に向かうにつれて、つまり、車両内側のインナーパネルなどから遠ざかるにつれて、車両内側の配光を形成し、他方の面44b全体で図7(a)と図7(b)のスクリーン上の配光パターンを合わせて出来るロービーム用の集光配光パターンを形成している。
一方、図7(c)に示す一方の面44aの他方の面44bに繋がる部分は、他方の面44bの車両外側となる部分に連続する部分である。
そして、他方の面44bの車両外側の部分は、集光配光パターンの車両内側の配光を形成していることから、それに近接している一方の面44aの他方の面44bに繋がる部分も他方の面44bの形成している集光配光パターンの車両内側の配光部分近傍に光を照射することになる。
このため、これ以上、車両内側方向に光を照射しないように、一方の面44aは、車両内側の部分から車両外側の部分に向かって、車両内側(スクリーン右側)から車両外側(スクリーンの左側)への配光を形成するようにするとともに、その形成する配光パターンが他方の面44bが形成するのと略同一形状の集光配光パターンとなるようにしている。
より具体的には、一方の面44aの車両内側の略半分の面は、図7(c)に示すように、車両内側から車両外側に向かって、スクリーンの「内→正面」の配光を形成するように配光制御しているとともに、その配光制御によって形成されるスクリーン上の配光パターンが、図7(b)のスクリーン上の配光パターンと略同じ配光パターンとなるようになっている。
また、一方の面44aの車両外側(光軸中心Z側)の略半分の面は、図7(d)に示すように、車両内側から車両外側に向かって、スクリーンの「正面→外」の配光を形成するように配光制御しているとともに、その配光制御によって形成されるスクリーン上の配光パターンが、図7(a)のスクリーン上の配光パターンと略同じ配光パターンとなるようになっている。
このように、光が車両内側のインナーパネルなどに照射されることがないように、また、集光配光パターンを維持するように、一方の面44aは、車両内側から車両外側に向かって、他方の面44bが車両内側から車両外側に向かって形成してきた配光状態を逆に辿るように折り返したような配光パターンを形成し、他方の面44bが形成するのと略同一形状の集光配光パターンを形成している。
上記で説明した一方の面44a及び他方の面44bが形成する各々の集光配光パターンを合わせると図8に示すようになる。
図8は、下側にレンズ40の出射面42と集光用入射面43bの面の形状を模式的に示し、光源70bからの光が集光用入射面43bに入射したときに、そのレンズ40に入射した光が、どのように出射面42から車両前方側に照射されるのかを示した図を示し、上側に、そのときのスクリーン上での集光配光パターンの状態を示したものである。
図8において、レンズ40から車両前方側に照射された光からスクリーンの「VU−VD」線の下端に向けて設けられている点線矢印は、下側の図中のどこの光が「VU−VD」線の近傍に照射されているのかを示すものである。
図8に示すように、本実施形態では、集光用入射面43bは、斜めカットオフラインCLを有するロービーム配光用の集光配光パターンを形成するように配光制御を行っている。
(拡散用入射面の配光制御)
次に、光源70a(発光チップ74a)からの光が拡散用入射面43aによってどのような配光制御が行われるのかについて説明する。
図9は、図8と同様の図になっており、下側にレンズ40の出射面42と拡散用入射面43aの面の形状を模式的に示し、光源70aからの光が拡散用入射面43aに入射したときに、そのレンズ40に入射した光が、どのように出射面42から車両前方側に照射されるのかを示した図を示し、上側に、そのときのスクリーン上での拡散配光パターンの状態を示したものである。
図9に示すように、拡散用入射面43aは、光軸中心Z寄りの面の照射角が小さく、車両外側の面の照射角が大きくされており、スクリーン上の拡散配光パターンとして、「VU−VD」線よりも車両内側の配光範囲よりも、車両外側の配光範囲の方が広く形成されるように配光制御を行っている。
丁度、「VU−VD」線は、レンズ40の光軸中心Z上に位置するので、言い換えれば、拡散用入射面43aは、光軸中心Zより車両内側の一方の光源70b側の配光範囲よりも、光軸中心Zより車両外側の他方の光源70a側の配光範囲の方が広くなるように配光制御を行っており、車両外側の良好な視認性が得られるようになっている。
図8を参照しながら説明したように、集光配光パターンは、スクリーンの「VU−VD」線近傍に斜めカットオフラインCLを有しており、図9に示した拡散配光パターンと集光配光パターンとが合わさって、斜めカットオフラインCLを有するロービーム用配光パターンとなるが、例えば、光源70a、70bの取付け位置が取付け等のためのクリアランスの範囲でレンズ40に対して設計取付け中心よりも上下方向にオフセットした場合、図8及び図9に示される集光配光パターン及び拡散配光パターンも上下方向にオフセットすることになる。
そうすると、場合によっては、集光配光パターンの斜めカットオフラインCL上に拡散配光パターンが重なり、斜めカットオフラインCLが不明確になる恐れがある。
そこで、本実施形態では、このような問題が回避できるように拡散用入射面43aの配光制御を行っている。
以下、具体的に、どのような配光制御を行っているのかについて説明する。
図10は、スクリーン上の配光パターンを示したものであり、図10(a)は、光源70bがレンズ40に対して設計取付け中心に位置する場合の集光配光パターンの状態を示している。
また、図10(b)は光源70a、70bがレンズ40に対して設計取付け中心に位置する場合の集光配光パターン及び拡散配光パターンの状態を示す図である。
なお、図10(b)では、図が見やすいように、配光状態としては拡散配光パターンだけを示し、集光配光パターンについてはカットオフラインだけを示すようにしている。
そして、図10(c)は、光源70a、70bが、取付け誤差の範囲で最大にレンズ40に対してカットオフラインが不明確になる方向に取付け中心からオフセットして取付けた場合である。
つまり、図10(c)は、集光配光パターンが鉛直方向(「VU−VD」線方向)下側に最大にオフセットし、逆に、拡散配光パターンが鉛直方向(「VU−VD」線方向)上側に最大にオフセットした場合である。
なお、図10(c)についても図10(b)と同様に集光配光パターンについてはカットオフラインだけを示すようにしている。
図10(b)に示すように、拡散配光パターンは、主に「VU−VD」線を基準に車両内側と車両外側の5°の範囲(5°L〜5°Rの範囲)の光、つまり、カットオフラインの光軸周辺の光が、図10(a)に示す集光配光パターンよりも鉛直方向(VU−VD線方向)に下げるように形成されている。
このように、光軸周辺の光を部分的に鉛直方向(VU−VD線方向)に凹ませるように下げているので、図10(c)に示すように、光源70a、70bの取付け位置が、取付け誤差の範囲で最大にレンズ40に対して取付け中心からカットオフラインが不明確になる方向にオフセットした場合でも、カットオフラインの光軸周辺は、集光配光パターンの形成するカットオフラインを拡散配光パターンが越えることがないのでカットオフラインが不明確になることが回避される。
上記で説明した鉛直方向(VU−VD線方向)に凹ませている部分に対応する拡散用入射面43aの位置は、図6の発光チップ74a近傍の入射面であるため、この部分の入射面の形状を少し光が下方に照射されるように形成することで、上記で説明した光の鉛直方向(VU−VD線方向)への凹みを形成することができる。
本実施形態の構成による作用効果について以下で説明する。
本実施形態では、拡散配光パターンのための光源70aと集光配光パターンのための光源70bとの少なくとも2つの光源があればよく、このため従来技術のように多数の光源を使用する必要がなく、大幅に部品点数を削減することが可能である。
また、光源の数が少ないため、それに対応するレンズ40のサイズも大幅に縮小することが可能であるため、部品点数の削減と相まって車両用灯具の小型化が可能である。
さらに、集光配光パターンを略中央を基準としてレンズ40の光軸中心Z側の一方の面44aと光軸中心Zから遠い側(車両内側)の他方の面44bとで、それぞれ車両内側のインナーパネルなどに光が照射されないように集光配光パターンを形成するようにし、グレア光を抑制できるようにしている。
加えて、拡散用入射面43aと集光用入射面43bとの繋がり部が段差なく繋がるようにしているので、段差で光が散乱や反射されてグレア光が発生することもない。
また、拡散用入射面43aは、拡散用入射面43aの形成するカットオフラインの光軸周辺の光を集光配光パターンのカットオフラインよりも鉛直方向に下げるようにしているので光源70a、70bの取付け時のレンズ40に対する位置のオフセットが起きても集光配光パターンの形成するカットオフラインが不明確になることがない。
さらに、図7を参照するとわかるとおり、集光配光パターンの「VU−VD」線近傍の部分は、集光用入射面43bの他方の面44bの光源70bに近い側の略半分の面(図7(b)参照)と、集光用入射面43bの一方の面44aの光源70bに近い側の略半分の面(図7(c)参照)とで形成されている。
この光源70bに近い入射面は、高い光量が得られるので、集光用入射面43bの他方の面44bの光源70bに近い側の略半分の面(図7(b)参照)と、集光用入射面43bの一方の面44aの光源70bに近い側の略半分の面(図7(c)参照)とを、集光配光パターンの「VU−VD」線近傍の部分の配光を形成するのに用いることで、集光配光パターンの配光中央のホットゾーンを良好に形成することができる。
以上、具体的な実施形態を基に本発明の説明を行ってきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、実施形態では、図7(a)に示したように、集光用入射面43bの他方の面44bの車両内側に位置する略半分の面は、車両内側から外側に向かって、スクリーン上の配光として「外→正面」の配光を形成するように配光制御を行っている場合を示したが、スクリーン上の配光として「外→内」の配光を形成するようにしてもよい。
この場合でも、最も車両内側に位置する他方の面44bの部分は、車両内側にあるインナーパネルなどに光を照射しないように、車両外側となる配光を形成するのでグレア光を抑制することが可能である。
また、集光用入射面43bの他方の面44bが一方の面44aの形成する集光配光パターン内に包括されるような略同一形状の集光配光パターンを形成するようにしてもよい。
このように、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものであり、そのことは特許請求の範囲の記載から当業者にとって明らかである。
10 灯具ユニット
20 カバー
30 ヒートシンク
40 レンズ
41a、41b フランジ
42 出射面
43 入射面
43a 拡散用入射面
43b 集光用入射面
44a 一方の面
44b 他方の面
50 レンズホルダ
51a、51b スクリュー固定部
61a、61b スクリュー
62a、62b スクリュー
63a、63b 一対のスクリュー
70a 一方の光源
70b 他方の光源
71a、71b 電気コネクタ
72a、72b ボディ
73a、73b 基板
74a、74b 発光チップ
101L、101R 車両用灯具
102 車両
O レンズ原点
Z レンズの光軸中心

Claims (5)

  1. レンズと、
    前記レンズの光軸中心を挟んで設けられる一対の光源と、を備え、
    一方の前記光源に対応する前記レンズの入射面は集光配光パターンを形成する集光用入射面とされ、
    他方の前記光源に対応する前記レンズの入射面は拡散配光パターンを形成する拡散用入射面とされ、
    前記集光用入射面は、前記集光用入射面の略中央を基準として前記光軸中心側の一方の面が前記集光配光パターンの全体を形成するとともに、他方の面も前記一方の面と略同一形状の前記集光配光パターンを形成し、
    前記一方の面における前記光軸中心側の部分と、前記他方の面における前記光軸中心側とは逆側の部分とは、前記集光配光パターンにおける左右方向の中心よりも自車線側の配光パターンと、対向車線側の配光パターンのうちの、前記自車線側の配光パターンを主に形成することを特徴とする車両用灯具。
  2. 前記集光配光パターンと前記拡散配光パターンとが合わさってカットオフラインを有する配光パターンを形成しており、
    前記拡散用入射面は、前記拡散用入射面の形成する前記カットオフラインの光軸周辺の光を前記集光配光パターンのカットオフラインよりも鉛直方向に下げるように形成していることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  3. 前記拡散配光パターンは、前記光軸中心より前記一方の光源側の配光範囲よりも、前記光軸中心より前記他方の光源側の配光範囲の方が広く形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
  4. 前記集光用入射面の前記他方の面が、前記集光用入射面の前記一方の面の形成する前記集光配光パターン内に包含される前記集光配光パターンを形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
  5. 前記集光用入射面と前記拡散用入射面との繋がり部は、段差なく繋がっていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
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