JP6510223B2 - 有機el素子および有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子および有機el素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光共振器構造を採用した有機EL素子および光共振器構造を採用した有機EL素子の製造方法に関する。
有機EL素子は、自己発光を行うため視認性が高く、さらに完全固体素子であるため耐衝撃性に優れるなどの特徴を有し、近年、表示装置に有機EL素子を利用したものが普及しつつある。
有機EL素子は、一対の電極(陽極および陰極)間に、少なくとも発光層が挟まれた構成を有している。そして、有機EL素子は、多くの場合、発光層の他に、発光層に電子を供給するための機能層(電子輸送層、電子注入層等)が発光層と陰極の間にさらに挟まれた構成を有している。また、アルカリ金属やアルカリ土類金属は仕事関数が低いため、これらを含む層を機能層に用いると、良好な電子注入性が得られることが知られている。
また、有機EL素子において、消費電力の低減や長寿命化の観点から、有機EL素子の外部量子効率(以下、単に「発光効率」と表記する)を向上させることが望まれている。発光効率は、内部量子効率および光取り出し効率の積によって決まるため、内部量子効率、光取り出し効率のそれぞれを向上させることが望まれる。内部量子効率とは、有機EL素子に注入された電子の数に対して有機EL素子内部で生じた光子の数の割合であり、光取り出し効率とは、有機EL素子内部で生じた光子の数に対して有機EL素子の外部に放射された光子の数の割合である。
光取り出し効率を向上させる技術として、例えば特許文献1に示されるように、有機EL素子に光共振器構造を採用する技術が知られている。有機EL素子に光共振器構造を採用する際には、金属層を陰極に含むことで、光取り出し効率の向上効果をさらに高めることができる。
WO2012/020452A1公報
しかしながら、陰極に金属層を含む場合、例えば、金属層の製造過程で金属元素が発光層内に拡散すると、発光層に不純物準位が生じて内部量子効率が低下するおそれがある。また、青色光を出射する発光層における励起子は、金属の自由電子と共振して無放射失活するプラズモンを起こしやすい。そのため、陰極に金属層を含む場合、青色光を出射する有機EL素子では、プラズモンロスにより内部量子効率が低下すると考えられる。
金属層の製造過程での元素拡散による内部量子効率の低下や、プラズモンロスによる内部量子効率の低下を抑制するためには、発光層と陰極との間に設けられる機能層を厚膜化して発光層を陰極から遠ざけることが有効であると考えられる。
しかし、一般に金属の消衰係数が高いため、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含む機能層の厚膜化は、機能層における光の吸収を増大させることになる。これにより、光取り出し効率が低下するという問題もある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、陰極に金属層を含む光共振器構造を有し、良好な内部量子効率を実現しつつ光取り出し効率の低下を抑制することができる有機EL素子および当該有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る有機EL素子は、光反射性の陽極と、前記陽極の上方に配され、青色光を出射する発光層と、前記発光層上に配され、電子輸送性を有する有機材料とアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるドープ金属とを含む機能層と、前記機能層上に配され、金属層を含む光透過性の陰極と、を有し、前記陽極と前記陰極との間には、光共振器構造が形成されており、前記機能層の膜厚は、前記光共振器構造が前記青色光に対して2次干渉を示す膜厚に設定されており、前記機能層は、前記陰極に接する第1領域と、前記第1領域に接し且つ前記第1領域より前記発光層に近い第2領域とを有し、前記第1領域における前記ドープ金属の濃度は、前記第2領域における前記ドープ金属の濃度よりも高いことを特徴とする。
1次干渉を示す光共振器構造に比べて、2次干渉を示す光共振器構造は、機能層の膜厚が厚い。そのため、上記態様の有機EL素子においては、金属層の製造過程での元素拡散や、プラズモンロスを抑制し、良好な内部量子効率を実現することができる。
また、第1領域よりも第2領域でドープ金属の濃度が低く抑えられているため、第2領域にも第1領域と同等の濃度で第2金属が含まれる場合に比べて、機能層全体での消衰係数を低く抑えることができる。そのため、上記態様によれば、厚膜化による光の吸収の増大を抑え、光取り出し効率の低下を抑制することができる。その一方で、陰極と接する第1領域では、ドープ金属の濃度が第2領域のように低く抑えられていないため、陰極から機能層への電子注入性が過度に低下することがない。
従って、上記態様の有機EL素子においては、機能層の厚膜化により良好な内部量子効率を実現しつつ、光取り出し効率の低下を抑制することができる。
実施形態に係る有機EL素子の構成を模式的に示す断面図である。 第2中間層の膜厚の違いによる電流密度の変化を示すグラフである。 第2中間層の膜厚の違いによる発光効率比の変化を示すグラフである。 (a)は、第1中間層の膜厚の違いによる輝度保持率の違いを示すグラフ、(b)は、第1中間層の膜厚の違いによる発光効率比の違いを示すグラフである。 第1中間層の膜厚に対する第2中間層の膜厚の割合に対する発光効率比の変化を示すグラフであって、(a)と(b)では正孔輸送層に用いている物質が異なっている。 機能層における有機材料に対する金属のドープ濃度の違いによる発光効率比の変化を示すグラフである。 有機EL素子に形成された光共振器構造における光の干渉について説明する図である。 機能層の光学膜厚を変化させて、青色発光素子から取り出される青色光の輝度/y値をシミュレーションで算出した結果を示すグラフである。 発光層〜機能層の合計膜厚を5nm〜200nmの範囲で変化させて、青色有機EL素子から取り出される青色光の輝度/y値をシミュレーションした結果を示すグラフである。 (a)は機能層の光学膜厚の違いによる青色光の輝度/y値の実効率の変化を示すグラフ、(b)は発光層〜機能層の合計膜厚を5nm〜200nmの範囲で変化させて、青色有機EL素子から取り出される青色光の輝度/y値をシミュレーションした結果と、各膜厚で実効率から推定される青色光の輝度/y値を示すグラフである。 実施形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、基板上にTFT層および層間絶縁層が形成された状態、(b)は、層間絶縁層上に画素電極が形成された状態、(c)は、層間絶縁層および画素電極上に隔壁材料層が形成された状態を示す。 図11の続きの有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、隔壁層が形成された状態、(b)は、隔壁層の開口部内において画素電極上に正孔注入層が形成された状態、(c)は、隔壁層の開口部内において正孔注入層上に正孔輸送層が形成された状態を示す。 図12の続きの有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、隔壁層の開口部内において正孔輸送層上に発光層が形成された状態、(b)は、発光層および隔壁層上に第1中間層が形成された状態、(c)は、第1中間層上に第2中間層が形成された状態を示す。 図13の続きの有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、第2中間層上に電子輸送層の金属ノンドープ領域が形成された状態、(b)は、電子輸送層の金属ノンドープ領域上に電子輸送層の金属ドープ領域が形成された状態、(c)は、電子輸送層の金属ドープ領域上に対向電極が形成された状態、(d)は、対向電極上に封止層が形成された状態を示す。 実施形態に係る有機EL素子の製造過程を示す模式工程図である。 実施形態に係る有機EL素子を備えた有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
<発明の態様>
本発明の一態様に係る有機EL素子は、光反射性の陽極と、前記陽極の上方に配され、青色光を出射する発光層と、前記発光層上に配され、電子輸送性を有する有機材料とアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるドープ金属とを含む機能層と、前記機能層上に配され、金属層を含む光透過性の陰極と、を有し、前記陽極と前記陰極との間には、光共振器構造が形成されており、前記機能層の膜厚は、前記光共振器構造が前記青色光に対して2次干渉を示す膜厚に設定されており、前記機能層は、前記陰極に接する第1領域と、前記第1領域に接し且つ前記第1領域より前記発光層に近い第2領域とを有し、前記第1領域における前記ドープ金属の濃度は、前記第2領域における前記ドープ金属の濃度よりも高いことを特徴とする。
ここで「金属層」は、Ag,Alをはじめとする金属元素の単体で形成された層であってもよいが、複数の金属元素の合金で形成された層であってもよい。
また、「光共振器構造が青色光に対して2次干渉を示す機能層の膜厚」とは、光共振器構造における光の干渉によって青色光の輝度とxy色度のy値との比(輝度/y値)が極大値を示す機能層の膜厚のうち2番目に小さい膜厚である。
1次干渉を示す光共振器構造に比べて、2次干渉を示す光共振器構造は、機能層の膜厚が厚い。そのため、上記態様の有機EL素子においては、金属層の製造過程での元素拡散や、プラズモンロスを抑制し、良好な内部量子効率を実現することができる。
また、第1領域よりも第2領域でドープ金属の濃度が低く抑えられているため、第2領域にも第1領域と同等の濃度で第2金属が含まれる場合に比べて、機能層全体での消衰係数を低く抑えることができる。そのため、上記態様によれば、厚膜化による光の吸収の増大を抑え、光取り出し効率の低下を抑制することができる。その一方で、陰極と接する第1領域では、ドープ金属の濃度が第2領域のように低く抑えられていないため、陰極から機能層への電子注入性が過度に低下することがない。
従って、上記態様の有機EL素子においては、機能層の厚膜化により良好な内部量子効率を実現しつつ、光取り出し効率の低下を抑制することができる。
また、前記第1領域は、前記有機材料に前記ドープ金属がドープされており、前記第2領域は、前記有機材料に前記ドープ金属がドープされていないとしてもよい。
上記態様によれば、第2領域での光の吸収を抑えることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
ドープ金属として、バリウムを用いる。バリウムは汎用性のある材料なので、これを用いて機能層を形成することによって、コスト低減に資することができる。
また、機能層の膜厚を、当該膜厚を変化させたときに取り出される青色光の輝度/y値が示す特性に関し、2次干渉に相当する膜厚の範囲内で、且つ輝度/y値が1次干渉の極大値以上となる膜厚に設定するとしてもよい。
これによって、青色発光素子から、輝度/y値の高い青色光が取り出されるので、色純度の良好な青色光を効率よく取り出すことができる。
また、機能層はさらに、発光層と第2領域との間に配され、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である第1金属のフッ化物を含む第1中間層と、中間層上に配され、第1金属のフッ化物における第1金属とフッ素との結合を切る性質を有するアルカリ金属またはアルカリ土類金属である第2金属を含む第2中間層とを含むとしてもよい。
アルカリ金属やアルカリ土類金属は、水分や酸素といった不純物と反応しやすいため、アルカリ金属やアルカリ土類金属であるドープ金属を含む機能層は、不純物が存在すると劣化が促進され、有機EL素子の発光効率の低下や発光寿命の短縮といった悪影響が発生するおそれがある。しかし、アルカリ金属、アルカリ土類である第1金属のフッ化物は、不純物をブロックする性能が高いので、これを含む第1中間層は、発光層から機能層に不純物が浸入するのをブロックして、機能層の劣化を防止することができる。そのため、上記態様によれば、発光効率の低下や発光寿命の短縮といった悪影響の発生を抑えることができる。
また、第2中間層に含まれる第2金属は、第1中間層に含まれる第1金属のフッ化物における第1金属とフッ素との結合を切って第1金属を遊離させる。遊離した第1金属は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、仕事関数が小さく電子注入性が高い。そのため、上記態様によれば、発光層への電子供給性が良好となり、良好な内部量子効率を実現することができる。
第1金属として、ナトリウムを用いる。これによって、第1中間層は、吸湿性が低く、酸素との反応性が低いフッ化ナトリウムを含むため、不純物をブロックする性質に優れた層となる。また、ナトリウムは仕事関数が低いので、第1中間層から発光層に対する電子注入性が優れたものとなる。
第2金属として、バリウムを用いる。バリウムは汎用性のある材料なので、これを用いて第2中間層を形成することによって、コスト低減に資することができる。
本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法は、光反射性の陽極を形成する工程と、前記陽極の上方に、青色光を出射する発光層を形成する工程と、前記発光層上に、電子輸送性を有する有機材料とアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるドープ金属とを含む機能層を形成する工程と、前記機能層上に、金属層を含む光透過性の陰極を形成する工程と、を含み、前記機能層を形成する工程では、前記陰極に接する第1領域に、前記第1領域に接し且つ前記第1領域より前記発光層に近い第2領域よりも高い濃度で、記前記ドープ金属を含有させ、前記機能層の膜厚を、前記陽極と前記陰極との間に構成される光共振器構造が前記青色光に対して2次干渉を示す膜厚に設定することを特徴とする。
1次干渉を示す光共振器構造に比べて、2次干渉を示す光共振器構造は、機能層の膜厚が厚いため、上記製造方法によって形成した有機EL素子においては、金属層の製造過程での元素拡散や、プラズモンロスを抑制し、良好な内部量子効率を実現することができる。
また、第1領域よりも第2領域でドープ金属の濃度を低く抑えるため、第2領域にも第1領域と同等の濃度で第2金属が含まれる場合に比べて、機能層全体での消衰係数を低く抑えることができる。そのため、上記製造方法によれば、厚膜化による光の吸収の増大を抑え、光取り出し効率の低下を抑制して有機EL素子を形成することができる。その一方で、陰極と接する第1領域では、ドープ金属の濃度を第2領域のように低く抑えないため、陰極から電子輸送層への電子注入性を過度に低下させることなく、有機EL素子を形成することができる。
<実施の形態>
以下、実施の形態にかかる有機EL素子について説明する。なお、以下の説明は、本発明の一態様に係る構成および作用・効果を説明するための例示であって、本発明の本質的部分以外は以下の形態に限定されない。
[1.有機EL素子の構成]
図1は、実施の形態に係る有機EL表示パネル100(図16参照)の部分断面図である。有機EL表示パネル100は、3つの色(赤色、緑色、青色)を発光する有機EL素子1(R)、1(G)、1(B)で構成される画素を複数備えている。図1では、その1つの青色の有機EL素子1(B)を中心としてその周辺の断面を示している。
有機EL表示パネル100において、各有機EL素子1は、前方(図1における紙面上方)に光を出射するいわゆるトップエミッション型である。
有機EL素子1(R)と、有機EL素子1(G)と、有機EL素子1(B)は、ほぼ同様の構成を有するので、以下では、まとめて有機EL素子1として説明する。
図1に示すように、有機EL素子1は、基板11、層間絶縁層12、画素電極13、隔壁層14、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、機能層31、対向電極22、および封止層23を備える。なお、基板11、層間絶縁層12、機能層31、対向電極22、および封止層23は、画素ごとに形成されているのではなく、有機EL表示パネル100が備える複数の有機EL素子1に共通して形成されている。
<基板>
基板11は、絶縁材料である基材111と、TFT(Thin Film Transistor)層112とを含む。TFT層112には、画素毎に駆動回路が形成されている。基材111は、例えばガラス材料からなる基板である。ガラス材料としては、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英等のガラスなどが挙げられる。
<層間絶縁層>
層間絶縁層12は、基板11上に形成されている。層間絶縁層12は、樹脂材料からなり、TFT層112の上面の段差を平坦化するためのものである。樹脂材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。また、図1の断面図には示されていないが、層間絶縁層12には、画素毎にコンタクトホールが形成されている。
<画素電極>
画素電極13は、光反射性の金属材料からなる金属層を含み、層間絶縁層12上に形成されている。画素電極13は、画素毎に個々に設けられ、コンタクトホールを通じてTFT層112と電気的に接続されている。
本実施形態においては、画素電極13は、陽極として機能する。
光反射性を具備する金属材料の具体例としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。
画素電極13は、金属層単独で構成してもよいが、金属層の上に、ITOやIZOのような金属酸化物からなる層を積層した積層構造としてもよい。
<隔壁層>
隔壁層14は、画素電極13の上面の一部の領域を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で画素電極13上に形成されている。画素電極13上面において隔壁層14で被覆されていない領域(以下、「開口部」という。)は、サブピクセルに対応している。即ち、隔壁層14は、サブピクセル毎に設けられた開口部14aを有する。
本実施形態においては、隔壁層14は、画素電極13が形成されていない部分においては、層間絶縁層12上に形成されている。即ち、画素電極13が形成されていない部分においては、隔壁層14の底面は層間絶縁層12の上面と接している。
隔壁層14は、例えば、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂等)からなる。隔壁層14は、発光層17を塗布法で形成する場合には塗布されたインクがあふれ出ないようにするための構造物として機能し、発光層17を蒸着法で形成する場合には蒸着マスクを載置するための構造物として機能する。本実施形態では、隔壁層14は、樹脂材料からなり、隔壁層14の材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。本実施形態においては、フェノール系樹脂が用いられている。
<正孔注入層>
正孔注入層15は、画素電極13から発光層17への正孔の注入を促進させる目的で、画素電極13上の開口部14a内に設けられている。正孔注入層15は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。上記の内、酸化金属からなる正孔注入層15は、正孔(ホール)を安定的に、または正孔(ホール)の生成を補助して、発光層17に対し正孔(ホール)を注入する機能を有し、大きな仕事関数を有する。本実施の形態においては、正孔注入層15は、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる。
ここで、正孔注入層15を遷移金属の酸化物で形成すると、複数の酸化数をとるため、複数の準位をとることができ、その結果、正孔注入が容易になり、駆動電圧の低減に寄与する。
<正孔輸送層>
正孔輸送層16は、親水基を備えない高分子化合物を用い開口部14a内に形成されている。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いることができる。
正孔輸送層16は、正孔注入層15から注入された正孔を発光層17へ輸送する機能を有する。
<発光層>
発光層17は、開口部14a内に形成されている。発光層17は、正孔と電子の再結合によりR,G,Bの各色の光を出射する機能を有する。発光層17の材料としては公知の材料を利用することができる。例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質や、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウムなどの燐光を発光する金属錯体等の燐光物質を用いることができる。
<機能層>
機能層31は、第1中間層18、第2中間層19、および電子輸送層30で構成されている。
第1中間層18は、発光層17上に形成されており、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から選択される第1金属のフッ化物で形成されている。
アルカリ金属に該当する金属は、リチウム,ナトリウム,カリウム,ルビジウム,セシウム,フランシウムであり、アルカリ土類金属の該当する金属は、カルシウム,ストロンチウム,バリウム,ラジウムである。これらのフッ化物で形成した膜は、不純物をブロックする働きをなす。
従って、第1中間層18は、発光層17、正孔輸送層16、正孔注入層15、隔壁層14の内部や表面に存在する不純物が、機能層31や対向電極22へと侵入するのを防止する働きをなす。
第1金属としては、特に、NaあるいはLiが好ましく、第1中間層18を、NaF(フッ化ナトリウム)あるいはLiF(フッ化リチウム)で形成することが好ましい。
第2中間層19は、第1中間層18の直上に形成されており、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から選択され、第1金属のフッ化物(NaF)の結合を切る性質を持つ第2金属の単体からなる。
第2金属は、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなど)またはアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)の中で、第1中間層18に含まれる第1金属のフッ化物における第1金属とフッ素との結合を切る性質を有する金属を用いる。
本実施形態においては、第2金属として、アルカリ土類金属に属するBa(バリウム)を選択することとする。このBaは、NaFにおけるNaとFの結合を切ってNaを遊離させる性質を有する元素である。
電子輸送層30は、対向電極22から注入された電子を発光層17へと輸送する機能を有する有機材料と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から選択されるドープ金属とを含む層である。
電子輸送層30は、第2中間層19の上に形成され電子輸送性の有機材料からなりドープ金属がドープされていない金属ノンドープ領域20と、金属ノンドープ領域20の上に積層され電子輸送性の有機材料からなりドープ金属がドープされた金属ドープ領域21とで構成されている。本実施形態においては、金属ドープ領域21が第1領域となり、金属ノンドープ領域20が第2領域となる。
電子輸送層30に用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
本実施形態においては、ドープ金属として、アルカリ土類金属に属するBa(バリウム)を選択することとする。このBaは、仕事関数が低く、電子輸送層30の有機材料にドープすることで、対向電極22から金属ドープ領域21への良好な電子注入性が得られる元素である。
<対向電極>
対向電極22は、各サブピクセル共通に設けられており、陰極として機能する。
この対向電極22には、金属材料で形成された金属層が含まれているが、金属層の膜厚は10nm〜30nm程度に薄く設定されて光透過性を有している。金属材料は光反射性の材料であるが、金属層の膜厚を30nm以下と薄くすることによって、光透過性を確保することができる。
従って、発光層17からの光の一部は対向電極22において反射されるが、残りの一部は対向電極22を透過する。
このように対向電極22に金属層が含まれることによって、そのシート抵抗値を低くすることができる。金属層の膜厚が10nm以上であれば、その表面抵抗(Rs)を10Ω/□以下の低抵抗にすることができる。
また対向電極22に金属層が含まれることによって、画素電極13と対向電極22との間に形成される光共振器構造においてそのキャビティ効果を高めることができる。
金属層を形成する金属材料としては、銀(Ag)、Agを主成分とする銀合金、アルミニウム(Al)、Alを主成分とするAl合金が挙げられる。Ag合金としては、マグネシウム−銀合金(MgAg)、インジウム−銀合金が挙げられる。Agは、基本的に低抵抗率を有し、Ag合金は、耐熱性、耐腐食性に優れ、長期にわたって良好な電気伝導性を維持できる点で好ましい。
Al合金としては、マグネシウム−アルミニウム合金(MgAl)、リチウム−アルミニウム合金(LiAl)が挙げられる。
その他の合金として、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、が挙げられる。
金属層は、例えばAg層あるいはMgAg合金層の単層で構成してもよいし、Mg層とAg層の積層構造(Mg/Ag)、あるいは、MgAg合金層とAg層の積層構造(MgAg/Ag)にしてもよい。
また、対向電極22は、金属層単独で構成してもよいが、金属層の上に、ITOやIZOのような金属酸化物からなる層を積層した積層構造としてもよい。
<封止層>
対向電極22の上には、発光層17が水分や酸素等に触れて劣化することを抑制する目的で封止層23が設けられている。有機EL表示パネル100はトップエミッション型であるため、封止層23の材料としては、例えばSiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の光透過性材料が選択される。
<その他>
なお図1には示されないが、封止層23の上に、封止樹脂を介してカラーフィルタや上部基板を貼り合せてもよい。上部基板を貼り合せることによって、正孔輸送層16、発光層17、機能層31を水分および空気などから保護できる。
[2.不純物ブロック性と電子注入性]
正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17をウェットプロセスで形成する場合、これらの層の内部および表面に存在する不純物が電子輸送層30に到達すると、電子輸送層30の有機材料にドープされている金属と反応して、電子輸送層30の機能を低下させる。
また、不純物が有機材料と反応すると、有機材料が変質し、安定性を損なう虞もある。
隔壁層14をウェットプロセスで形成する場合にも、隔壁層14の内部および表面に存在する不純物が、同様に電子輸送層30の機能低下を引き起こす原因となる。
これに対して、本実施形態に係る有機EL素子1は、発光層17と電子輸送層30との間に、第1中間層18および第2中間層19を備え、第1中間層18は、アルカリ金属のフッ化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物を含んでいるので、このフッ化物が発光層17側から電子輸送層30側への不純物の侵入を防ぐ。
特にNaFは、吸湿性が低く、酸素との反応性が低いため、不純物をブロックする性能が優れ、発光層17側からの不純物の侵入を防ぐ。それによって電子輸送層30に含まれるアルカリ金属・アルカリ土類金属が不純物と反応するのを防ぎ、電子輸送層30の電子供給能の低下を抑制することができ、さらに、対向電極22が不純物によって劣化するのを防止する。
一方NaFは電気絶縁性が高いため、対向電極22および電子輸送層30から供給される電子の発光層17への移動を阻害し、発光効率を低下させる問題があるが、有機EL素子1の機能層31には、第1中間層18に隣接して、第2金属としてのBaで形成された第2中間層19が設けられている。このBaは、第1中間層18中の第1金属であるNaのフッ化物(NaF)におけるNaとFとの結合を切る働きがあるので、第1中間層18中のNaFの一部が乖離して、Naが遊離する。
Naは仕事関数が低く、電子供給能が高いため、電子輸送層30から発光層17への電子の移動をアシストする。それによって、発光効率の低下を抑制し、駆動電圧を低減することができる。同時に第1中間層18中のNaFにより良好な不純物ブロック性を得ることができる。
なお、第1金属のフッ化物における第1金属とフッ素との結合を分解する機構は、上記に限られない。発光層17、第1中間層18、第2中間層19、電子輸送層30等の機能を損なわない限り、何れの機構によって第1金属とフッ素との結合が切れてもよい。
このように、第1中間層18が、高い不純物ブロック性を有する第1金属のフッ化物を含むことにより、発光層17側からの不純物の侵入をブロックして電子輸送層30(および対向電極22)の電子供給能の低下を抑制することができ、第2中間層19が、第1金属とフッ素との結合を切る第2金属を含むことにより、第1金属が遊離し、絶縁性の高い第1中間層18を超えて電子輸送層30から発光層17へと電子が移動しやすくなり、良好な発光効率を得ることができる。
なお実際は、第1中間層18と第2中間層19の境界は明確には分かれておらず、第1中間層18を形成する材料と、第2中間層19を形成する材料とが、製造の過程で多少混ざり合って形成されている場合もある。即ち、第1中間層18および第2中間層19の膜厚が、それぞれ正確にD1,D2〔nm〕というわけではなく、その境界がはっきりしていない場合もある。
ただしその場合でも、第1金属の濃度は、電子輸送層30側よりも発光層17側で高く、第2金属の濃度は、発光層17側よりも電子輸送層30側で高いので、上述した効果を奏する。
ここでは、第1中間層18および第2中間層19を形成する際に、それぞれ膜厚がD1およびD2となるように意図した方法で形成した場合、形成された第1中間層18および第2中間層19の膜厚がそれぞれD1およびD2であるということとする。他の層の膜厚についても同様である。
[3.第2中間層による電流密度向上効果に関する実験]
第2中間層19の膜厚D2が互いに異なる4種類の有機EL表示パネル100を試験体として作製し、それぞれの試験体に電圧を印加して電流密度を測定した。第2中間層19の膜厚D2は、0nm,0.5nm,1nm,2nmの4種類である。4つの試験体における第1中間層18の膜厚D1は、何れも4nmである。
図2はその結果を示すグラフである。
図2に示すように、第2中間層19の膜厚D2が0nmの試験体(即ち、第2中間層19を備えない試験体)と比べて、膜厚D2=0.5nm,1nm,2nmの試験体は、何れも高い電流密度を示した。この結果は、第2中間層19を設けることによって、有機EL素子1の発光層17により多くの電流が流れることを示している。
また、膜厚D2=0.5nm,1nm,2nmの3試験体同士を比べると、膜厚D2が2nmの試験体が最も高い電流密度を示したものの、膜厚D2が0nmのものと0.5nmのものとの間の違いに比べると、3試験体間の電流密度の差は小さい。
従って、第2中間層19の膜厚D2は、0.5nmあれば十分な電流密度が得られるといえる。
[4.第2中間層の膜厚と発光効率比]
図3は、第2中間層19の膜厚D2が互いに異なる6種類の有機EL表示パネル100についての発光効率比を示すグラフである。6種類の膜厚D2は、0nm,0.1nm,0.2nm,0.5nm,1,2nmである。なお、6種類の有機EL表示パネル試験体において、第1中間層18の膜厚D1はいずれも4nmとした。
この6種類の各試験体に対して、電流密度が10mA/cm2となるように電圧を印加した際の輝度を測定し、測定された輝度の値から発光効率を算出した。そして、基準となる有機EL表示パネルの発光効率の値を発光効率基準値として、発光効率基準値に対する比(発光効率比)をグラフにプロットした。
なお発光効率の基準値としては、第2中間層19を備えず、正孔輸送層16に正孔注入性の低い物質(具体的には、酸化タングステン)を用いた有機EL表示パネルの発光効率の値を用いた。
図3に示すように、第2中間層19の膜厚D2が0.2nmである試験体が、最も高い発光効率比を示した。そして、膜厚D2が2nmの試験体では、膜厚D2が0nmの試験体と略同じ発光効率比であった。これは、正孔輸送層16から発光層17へと注入される正孔の量が一定であるため、それよりも過剰な電子が発光層17に注入されて電流が増加しても、輝度は増加せず、結果として発光効率が低下し、発光効率比も低下したと考えられる。
図3に示すように、膜厚D2が2nmの試験体では、膜厚D2が0nmの試験体と略同じ発光効率比であることから、第2中間層19の膜厚D2は、0.1nm≦D2≦1nmの範囲が好ましいといえる。
[5.第1中間層の膜厚と保管安定性]
第1中間層18の膜厚D1が互いに異なる3種類の有機EL表示パネル100を試験体として保管安定性試験を行った。
試験体における第1中間層18の膜厚D1は、1nm,4nm,10nmである。
保管安定性試験においては、各試験体に通電して初期輝度を測定し、80℃の環境下に7日間保管した後、再び通電して高温保管後の輝度を測定した。そして各試験体について、輝度保持率(初期輝度に対する高温保管後の輝度の割合〔%〕)を算出した。
この高温保管後の輝度保持率で保管安定性を評価した。
図4(a)は、その結果を示すグラフである。
図4(a)に示すように、第1中間層18の膜厚D1が1nmの場合、輝度保持率が59〔%〕であって、保管安定性は低いが、膜厚D1が4nm以上の場合、輝度保持率が95%以上であり、良好な保管安定性を示している。
これより、第1中間層18の膜厚D1が4nm以上あれば、良好な保管安定性が得られ、有機EL素子の長寿命化を図れることがわかる。
なお、膜厚D1が10nmの試験体では、輝度保持率が100%を超える結果となっている。これは、高温保管前の状態において、正孔と電子とのバランスが最適な状態からずれていたのが、高温保管により、最適なバランス状態に近づいたためと考えられる。
[6.第1中間層の膜厚と発光効率比]
図4(b)は、第1中間層18の膜厚D1が互いに異なる3種類の有機EL表示パネル100についての発光効率比を示すグラフである。膜厚D1は、1,4,10〔nm〕の3種類である。発光効率比は、図3に示す発光効率比の場合と同様に、電流密度が10mA/cm2となるような電圧を印加した際の輝度を測定し、測定された輝度の値から発光効率を算出した。そして、基準となる有機EL表示パネルの発光効率の値を発光効率基準値として、発光効率基準値に対する比(発光効率比)をグラフにプロットした。
図4(b)に示すように、3種類の試験体うち、膜厚D1=4〔nm〕の試験体が、最も高い発光効比を示し、膜厚D1が1nmおよび10nmの試験体は、ほぼ同じ発光効率比を示した。
この結果から、第1中間層18の膜厚D1が、1nmよりも薄い場合および10nmよりも厚い場合には、さらに発光効率比が低くなると考えられる。これは、第1中間層18の膜厚D1が薄くなりすぎると、乖離する第1金属(本実施形態においてはNa)の絶対量が少なくなり、電子輸送層30から発光層17への電子の移動が促進されなくなり、一方、第1中間層18の膜厚D1が厚くなりすぎると、絶縁層としての機能が強くなって、発光効率が低下するためと考えられる。
従って、第1中間層18の膜厚D1は、1nm以上、10nm以下の範囲に設定することが好ましい。
[7.第1中間層の膜厚に対する第2中間層の膜厚の割合と発光効率比]
以上説明したように、第1中間層18の膜厚D1については、不純物ブロック性を確保するための最低限の膜厚が必要である。一方、膜厚D1が厚くなりすぎると、絶縁膜としての性質が強くなって発光層17へ電子が注入されにくくなり、十分な輝度が得られなくなる。
また、第2中間層19の膜厚D2が薄すぎると、第2中間層19に含まれる第2金属(本実施形態ではBa)が、第1中間層18に含まれる第1金属(本実施形態ではNa)を十分に遊離させることができず、発光層17に十分な電子を供給することができない。一方、D2が厚くなりすぎると、発光層17に供給される正孔の量に対して過剰な電子を発光層に供給することとなり、発光効率が低下する。
さらには、第1中間層18の膜厚D1に対して第2中間層19の膜厚D2が厚すぎると、第2金属が第1金属を過剰に遊離させて、第1金属のフッ化物が減少する結果、第1中間層18の不純物ブロック性が十分得られないことがある。
以上の結果から、本発明者らは、第1中間層18および第2中間層19は、それぞれの膜厚の好適な値の範囲が存在するのみならず、膜厚D1と膜厚D2との比率(D2/D1)にも好適な範囲が存在するのではないかと考え、膜厚D1に対する膜厚D2の比(D2/D1)を変えて、発光効率比がどのように変わるかを調べた。
その結果を、図5(a)および(b)に示す。
図5(a)に示す試験体と、図5(b)に示す試験体とでは、正孔輸送層16に用いられた正孔輸送物質が異なるが、それ以外の基本的な構成は同じである。図5(a)の試験体の正孔輸送層16に用いられた正孔輸送物質Aは、図5(b)の試験体の正孔輸送層16に用いられた正孔輸送物質Bよりも、正孔供給能が高い。
図5(a)は、膜厚比D2/D1を、1.25%,2.5%,5%,25%,37.5%の5種類に設定した試験体について、発光効率比をプロットしたグラフである。図5(b)は、膜厚比D2/D1=0%,1.25%,5%,12.5%,25%の5種類の試験体について、発光効率をプロットしたグラフである。
図5(b)に示すように、正孔供給能が比較的低い正孔輸送物質Bを用いた場合、膜厚比D2/D1が3〜5〔%〕の範囲に、発光効率比のピークが観察された。図5(a)に示すように、正孔供給能が比較的高い正孔輸送物質Aを用いた場合、膜厚比D2/D1が20%〜25%の範囲に、発光効率比のピークが観察された。
そして図5(a),(b)のグラフから、膜厚比D2/D1が3〜25%の範囲において、発光効率比が好適である(即ち良好な発光効率が得られる)ことがわかる。
なお、上述したように、実際には、第1中間層18と第2中間層19の境界は、明確には分かれておらず、第1中間層18を形成する材料と、第2中間層19を形成する材料とが、製造の過程で多少混ざり合って形成されている場合もあると考えられる。そのような場合には、第1金属と第2金属の成分比(モル比)が、1〔%〕≦第2金属/第1金属≦10〔%〕であれば、良好な発光効率が得られると考えられる。
[8.電子輸送層のドープ金属濃度と発光効率比]
図6は、電子輸送層30におけるドープ金属濃度の違いによる発光効率比の違いを示すグラフである。ここではドープ金属はBa(バリウム)であり、ドープ金属濃度は、5,20,40wt%の3つの値である。なお、各試験体における第1中間層18の膜厚D1はいずれも4nmであり、第2中間層19の膜厚D2はいずれも0.2nmである。
図6に示すように、ドープ金属濃度が20wt%の試験体が最も高い発光効率比を示した。また、3つの試験体はいずれも発光効率比が1以上であり、発光効率基準値よりも良好な発光効率を示したことから、電子輸送層30におけるドープ金属濃度は5〜40wt%の範囲内で良好な発光効率が得られることがわかる。
ただし、電子輸送層30におけるドープ金属(Ba)の濃度が20wt%のところで発光効率が最大値を示しているので、ドープ金属の濃度は、5〜40wt%の範囲の中でも、20wt%以下の範囲(5〜20wt%の範囲)内に設定することが好ましい。
これは、電子輸送層30の金属ドープ領域21に5〜20wt%の範囲でドープ金属がドープされていることで、金属ドープ領域21が、隣接する対向電極22からの良好な電子注入特性を有するためと考えられる。
一方、第1中間層18の上に、Ba単体からなる第2中間層19が存在しているため、電子輸送層30の金属ノンドープ領域20におけるドープ金属の濃度は低くても電子注入性を向上する効果が得られる。そのため、電子輸送層30の金属ノンドープ領域20においてドープ金属をドープしなくても(すなわち金属ノンドープ領域20におけるドープ金属濃度が0であっても)、第2中間層19による電子注入性向上効果を得ることができる。
[9.各層の光学膜厚と光共振器構造について]
図7は、本実施形態にかかる有機EL素子の光共振器構造における光の干渉を説明する図である。当図では青色発光の発光層17を有する有機EL素子1(B)について示し、ここでは特に有機EL素子1(B)について説明する。
この有機EL素子1(B)の光共振器構造において、発光層17における正孔輸送層16との界面近傍から青色光が出射されて各層を透過していく。この各層界面において光の一部が反射されることによって光の干渉が生じる。その主なものを例示すると以下のような干渉が挙げられる。
(1)発光層17から出射され対向電極22側に進行した光の一部が、対向電極22を透過して発光素子の外部に出射される第1光路C1と、発光層17から、画素電極13側に進行した光の一部が、画素電極13で反射された後、発光層17および対向電極22を透過して発光素子の外部に出射される第2光路C2とが形成される。そして、この直接光と反射光との干渉が生じる。
図7に示す光学膜厚L1は、第1光路C1と第2光路C2との光学距離の差に対応している。この光学膜厚L1は、発光層17と画素電極13との間に挟まれた正孔注入層15、正孔輸送層16の合計の光学距離(膜厚と屈折率との積、nm)である。
(2)発光層17から対向電極22側に進行した光の一部が、対向電極22で反射されて、さらに画素電極13で反射された後、発光素子の外部に出射される第3光路C3も形成される。
そして、この第3光路C3を経由する光と、上記第2光路C2を経由する光との干渉が生じる。
第2光路C2と第3光路C3との光学距離の差は図7に示す光学膜厚L2に対応する。この光学膜厚L2は、発光層17、機能層31の合計の光学距離である。
特に、有機EL素子1(B)においては、対向電極22に金属層が含まれているので、対向電極が金属酸化物だけで構成される場合よりも、対向電極22で反射されやすいので、このような干渉も生じやすい。
(3)第3光路C3を経由する光と、上記第1光路C1を経由する光との干渉も生じる。第1光路C1と第3光路C3との光学距離の差は、図7に示す光学膜厚L3に対応する。光学膜厚L3は、上記光学膜厚L1と光学膜厚L2の和である(L3=L1+L2)。
光学膜厚L3は、画素電極13と対向電極22との間に挟まれた正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、機能層31の合計の光学距離である。
通常、共振器構造において、光取り出し効率が極大値を示す光学膜厚に調整される。上記の各光路を経由する光が、互いに干渉によって強め合って光取り出し効率が高まるように、発光層17と画素電極13との間の光学膜厚L1、発光層17と対向電極22との間の光学膜厚L2、そして、画素電極13と対向電極22との間の光学膜厚L3は設定される。
これらの基本的な光干渉については、赤色の有機EL素子1(R)、緑色の有機EL素子1(G)においても同様に生じる。
ただし本発明者の考察によると、青色発光素子に関しては、光取り出し効率が極大値となる光学膜厚に設定すると、取り出される青色光の色度が目標色度に近いとはいえず、むしろ光取り出し効率が極大値をとる光学膜厚からずらして、色度y値の小さい青色光を取り出す光学膜厚を選択する方が好ましいといえる。
すなわち、青色の有機EL素子1(B)の共振器構造において、発光層17と画素電極13との間の光学膜厚L1を変化させたり、発光層17と対向電極22との間の光学膜厚L2を変化させたりすると、取り出される青色光の光取り出し効率が変化すると共に色度も変化する。
そこで、以下に詳細に説明するように、青色発光素子については、輝度とxy色度のy値との比(輝度/y値)が高い値を示すような光学膜厚に調整することとする。
青色の有機EL素子1(B)から最終的に取り出す青色光の色度としては、xy色度のy値が0.08以下であることが一般的な色度目標とされている。
青色の有機EL素子1(B)から取り出される青色光の色度y値がこの目標色度から遠ければ、カラーフィルタ(CF)で大きく色度補正をする必要がある。その場合、光透過率の低いCFを用いざるを得ないので、もとの青色発光素子からの光取り出し効率が大きくても、CF通過後の光取り出し効率は大幅に低下してしまう。
従って、色度y値が0.08程度以下の青色光を効率よく取り出すには、光取り出し効率を大きくすることだけではなく、色度Y値を小さくすることも考慮することが必要である。すなわち、青色発光素子における各層の光学膜厚を設定するときに、光取り出し効率と色度y値の両方を考慮して、光学膜厚を設定することが必要である。
本発明者等は、さらに検討を行った結果、上記特許文献1にも開示されているように、色度y値が0.08以下の青色光を効率よく取り出すには、輝度/y値が高い値を示すように各層の光学膜厚の設定を行えばよいことも見出した。
このような考察に基づいて、青色の有機EL素子1(B)については、輝度/y値を指標とし、この指標が高い値を示すように光学膜厚L1,L2を設定することとする。以下にその具体例を光学シミュレーションに基づいて説明する。
(光学シミュレーション)
本実施形態に基づく一実施例にかかる青色の有機EL素子1(B)において、正孔輸送層16の膜厚、及び発光層17から機能層31までの合計膜厚を、それぞれ変化させたときに、素子から取り出される青色光の輝度/y値がどのように変化するかをシミュレーションで算出した。
このシミュレーションは、マトリックス法を用いた光学シミュレーションとして知られている。
このシミュレーションにおいて、有機EL素子1(B)の各層の屈折率は、460nmの光に対する屈折率の値を用いた。また、このシミュレーションは、対向電極22の膜厚を30nmに固定し、正孔輸送層16の膜厚を5nm〜200nmの範囲で変え、発光層17から機能層31までの合計膜厚を10nm〜200nmの範囲で変えて行った。
図8のグラフにおいて、横軸は正孔輸送層16の膜厚を示し、縦軸は、発光層17〜機能層31の合計膜厚を示しており、各膜厚は5nm間隔で変化させている。
ここで、光学膜厚L1は、正孔輸送層16、正孔注入層15、画素電極13の金属酸化物層の光学膜厚の合計なので、正孔注入層15、画素電極13の金属酸化物層の膜厚を固定した場合、正孔輸送層16の膜厚を変化させるのに応じて、光学膜厚L1も変化する。図8の横軸にはその光学膜厚L1の値も表示している。
同様に、光学膜厚L2は、発光層17〜機能層31の合計光学膜厚であって、その発光層17〜機能層31の合計膜厚を変化させるのに応じて、光学膜厚L2も変化する。図8の縦軸にはその光学膜厚L2の値も表示している。
なお、光学膜厚L3は、光学膜厚L1と光学膜厚L2の和なので、図8中に矢印L3で示す斜め方向に光学膜厚L3が増加するということもできる。
輝度/y値の最高値を1としたときの輝度/y値の相対値を、数値範囲(0.2、0.3〜0.4、0.5〜0.6、0.7〜0.8、0.9〜1.0)に分けてグラフ内にマッピングした。
図8に示すグラフを見ると、正孔輸送層16の膜厚が20nm及び155nmを示す縦方向に伸長する破線と、発光層17〜機能層31の合計膜厚が、35nm及び160nmを示す横方向に伸長する破線とが交差する4つの箇所(a,b,c,d)に、輝度/y値のピーク(極大値)が明確に表れている。すなわち、正孔輸送層16の膜厚が20nmあるいは155nm、且つ、発光層17〜機能層31の合計膜厚が35nmあるいは160nmのときに、輝度/y値が極大値を示している。
本明細書では、有機EL素子1(B)の何れかの層の膜厚を変化させたときに取り出される青色光の輝度/y値が極大値を示すことを、膜厚が最少のものから順に1次干渉、2次干渉というように、次数を増やして表現する。
光学膜厚L1(正孔輸送層16の膜厚)に対する輝度/y値の関係を見ると、a点、b点は1次干渉ピーク、c点、d点は2次干渉ピークに相当し、1干渉ピークでは、2次干渉ピークと比べて輝度/y値が高い値を示している。一方、光学膜厚L2(発光層17〜機能層31の合計膜厚)に対する輝度/y値の関係を見ると、a点、c点は1次干渉ピーク、b点、d点は2次干渉ピークに相当し、1干渉ピークでは2次干渉ピークと比べて輝度/y値が高い値を示している。
ここで、1次干渉のピークは、輝度/y値が極大値を示すの光学膜厚の中で最小の光学膜厚に相当し、2次干渉のピークは、輝度/y値が極大値を示す2番目に小さい光学膜厚に相当する。
以上のことから、有機EL素子1(B)から輝度/y値の高い青色光を取り出すには、光学膜厚L1を干渉ピークに合せて設定するだけでなく、光学膜厚L2も干渉ピークに合せて設定することによって、より高い輝度/y値の青色光を取りせることがわかる。
また、特に、光学膜厚L1に関する1次干渉ピークと、光学膜厚L2に関する1次干渉ピークとが重なったa点においては、高い輝度/y値が得られること(高い光共振効果が得られること)がわかる。
ここで、光学膜厚L2に関する干渉ピークが大きくなっているのは、対向電極22に金属層が含まれていることが要因と考えられるので、対向電極22に金属層が含まれていることが、光共振効果を高めるのに寄与しているということもいえる。
光学膜厚L2と輝度/y値:
以下では、光学膜厚L2に着目し、光学膜厚L1を、1次干渉に相当する一定値に固定して、光学膜厚L2を変化させたときに、輝度/y値がどのように変化するかを考察する。
光学膜厚L1が1次干渉に相当するのは、図8に示すように、正孔輸送層16の膜厚20nm、光学膜厚L1が76nmのときである。
図9は、発光層17〜機能層31の合計膜厚を5nm〜200nmの範囲で変化させて、青色有機EL素子1(B)から取り出される青色光の輝度/y値をシミュレーションした結果を示すグラフである。光学膜厚L2は、横軸の発光層17〜機能層31の合計膜厚に屈折率1.9を掛けた値である。
図9のグラフに示されるように、光学膜厚L2が小さい方から順に、1次干渉のピーク,2次干渉のピークが存在する。そして、光学シミュレーションにおいて、1次干渉のピークaにおける輝度/y値の極大値は、2次干渉のピークbにおける輝度/y値の極大値よりも高い値である。
従って、光学シミュレーションの結果からは、有機EL素子1(B)において、機能層31の膜厚を、1次干渉のピークに相当する膜厚に設定すれば、素子から取り出される青色光の輝度/y値が高くなるので、色度が良好な青色光を効率よく取り出せると考えられる。
ただし、マトリックス法を用いた光学シミュレーションでは、対向電極22の製造過程でAgが発光層17の内部へ拡散し不純物準位が生じることに起因する内部量子効率の低下や、プラズモンロスによる内部量子効率の低下が反映されない。これらの理由による内部量子効率の低下は、青色発光の発光層17を有する有機EL素子1(B)において顕著である。また、機能層31の膜厚が大きく、発光層17が対向電極22から離れていれば、これらの理由による内部量子効率の低下は隠微になる。
そこで本発明者らは、実際に有機EL素子1(B)から色度が良好な青色光を効率よく取り出せる機能層31の膜厚と、光学シミュレーションの結果に基づいた機能層31の好適な膜厚とが相違するのではないかと考え、有機EL素子1(B)から出射した青色光の実測値と光学シミュレーションの結果とで輝度/y値を比較した。
その結果を、図10(a)に示す。
図10(a)は、機能層31の膜厚が互いに異なる4種類の有機EL素子1(B)についての光学シミュレーションの結果と実測値との比率を示すグラフである。4種類の有機EL素子1(B)試験体における機能層31の膜厚は、10nm,50nm,100nm,125nmである。なお、4種類の有機EL素子1(B)の試験体において、光学膜厚L1はいずれも1次干渉に相当する76nmとした。
この4種類の各試験体に対して、輝度およびy値を測定して輝度/y値の実測値を算出した。そして、各試験体で光学シミュレーションにより得た輝度/y値に対する比率(以下、「実効率」と表記する)を、グラフにプロットした。
図10(a)に示すように、機能層31の膜厚が10nmの場合、実効率が44%であって実測値とシミュレーション結果との差が大きい。しかし、機能層31の膜厚が厚くなるほど実効率が向上し、機能層31の膜厚が125nmの場合、実効率が89%であり、シミュレーション結果に近い性能を示している。
これは、機能層31の膜厚が小さい場合、対向電極22の製造過程でAgが発光層17の内部へ拡散しやすいことや、プラズモンロスが大きくなるために、光学シミュレーションの条件よりも実際の内部量子効率が低下したと考えられる。逆に、機能層31の膜厚が大きいほど、対向電極22の製造過程で発光層17へのAgの拡散が機能層31によって阻止され、さらに、発光層17の発光点が対向電極22から遠ざかりプラズモンロスが低減することにより、光学シミュレーションの条件と実際の内部量子効率との差が抑えられると考えられる。そのため、機能層31の膜厚が130nm以上の場合、実効率は90%以上になると推定される。
図10(b)は、機能層31の膜厚と青色有機EL素子1(B)から取り出される青色光の輝度/y値との関係を示すグラフである。太線は発光層17〜機能層31の合計膜厚を5nm〜200nmの範囲で変化させて、有機EL素子1(B)から取り出される青色光の輝度/y値を光学シミュレーションした結果を示す。細線は各膜厚で実効率から推定される青色光の輝度/y値を示す。なお、試験体において、発光層17の膜厚は50nmに固定している。
図10(b)のグラフに示されるように、実効率から推定される青色光の輝度/y値についても、機能層31の膜厚が小さい方から順に、1次干渉のピーク,2次干渉のピークが存在することは、光学シミュレーションの結果と同様である。
しかし、実効率から推定される青色光の輝度/y値では、2次干渉のピークaにおける極大値が、1次干渉のピークbにおける極大値よりも高い値である点で、光学シミュレーションの結果と相違している。
従って、実効率を考慮すると、有機EL素子1(B)において、発光層17〜機能層31の合計膜厚を、2次干渉のピークに相当する膜厚に設定すれば、素子から取り出される青色光の輝度/y値が高くなるので、色度が良好な青色光を効率よく取り出せることになる。
特に、図10(b)の細線で示すグラフにおいて、2次干渉のピークに相当する発光層17〜機能層31の合計膜厚範囲の中で、1次干渉のピークの極大輝度/y値以上の輝度/y値を示す範囲Aに設定することは、色度が良好な青色光を効率よく取り出す上で好ましい。
この範囲Aは、発光層17〜機能層31の合計膜厚が150nm〜170nmの範囲である。図10(b)に結果を示す光学シミュレーションでは発光層17の膜厚を50nmに固定しているので、範囲Aに相当する機能層31の膜厚の範囲は100nm〜120nmの範囲であって、機能層31の光学膜厚の範囲としては、100×1.9=190nmから120×1.9=228nmに相当する。
従って有機EL素子1(B)から色度の良好な青色光を効率よく取り出すには、光学膜厚L1を1次干渉に相当する76nm付近(例えば光学膜厚L1が60〜90nmの範囲)に設定し、機能層31の光学膜厚を190nm〜228nmの範囲に設定することが特に好ましい。
なお、図9および図10(b)には、光学膜厚L1が1次干渉ピークに相当するとき(正孔輸送層16の膜厚20nmのとき)について示したが、図8を参照すると、光学膜厚L1が2次干渉ピークに相当するとき(正孔輸送層16の膜厚155nm、光学膜厚L1が305.5nmのとき)も、輝度/Y値の値は全体的に低いものの図9および図10(b)と同様の形状のグラフが得られることがわかる。
従って有機EL素子1(B)から色度の良好な青色光を効率よく取り出す上で、光学膜厚L1を2次干渉に相当する305.5nm付近(例えば光学膜厚L1が290〜320nmの範囲)に設定し、機能層31の光学膜厚を190nm〜228nmの範囲に設定することも好ましい。
このように、有機EL素子1(B)から色度の良好な青色光を効率よく取り出すには、光学膜厚L1を光学干渉に適した範囲に設定した上で、機能層31の光学膜厚を190nm〜228nmの範囲に設定することが好ましい。
以上のように、青色の有機EL素子1(B)については輝度/y値が高くなるように、光学膜厚L1および機能層31の光学膜厚を設定することが好ましいことを説明したが、赤色の有機EL素子1(R)および緑色の有機EL素子1(B)においても、同様にして、各色の発光輝度が高くなるように、光学膜厚L1および機能層31の光学膜厚を設定することが好ましい。
[10.電子輸送層の膜厚]
ここまでの説明で示したように、第1中間層18の膜厚D1は、1nm以上、10nm以下の範囲に設定することが好ましく、第2中間層19の膜厚D2は、0.1nm以上、1nm以下の範囲に設定することが好ましい。つまり、機能層31全体の好ましい膜厚(100nm以上、120nm以下の範囲)において第1中間層18および第2中間層19が占める割合は小さく、機能層31を好ましい膜厚に設定するためには、電子輸送層30の膜厚を大きくする必要がある。例えば、第1中間層18の膜厚D1を4nmに設定し、第2中間層19の膜厚D2を0.2nmに設定した場合、機能層31の膜厚を100nm以上、120nm以下の範囲に収めるに、電子輸送層30の膜厚を95.8nm以上、115.8nm以下の範囲に設定することが好ましい。
このような電子輸送層30の厚膜化により、有機EL素子1からの光取り出し効率は、電子輸送層30の消衰係数に大きく影響される。特に、金属ドープ領域21において有機材料にBaを20%の濃度でドープした場合、金属ドープ領域21の消衰係数は、0.16と比較的高い値になる。
しかし、金属ノンドープ領域20では、有機材料にBaがドープされていないため、金属ノンドープ領域20の消衰係数は、0.034に抑えられる。そこで、電子輸送層30全体での消衰係数を低く抑えるには、金属ドープ領域21の膜厚を小さく形成し、金属ノンドープ領域20の膜厚を大きく形成することが好ましい。
ただし、金属ドープ領域21の膜厚を小さくしすぎると、対向電極22からの十分な電子注入特性が確保できないと考えられる。そこで金属ドープ領域21の膜厚を例えば10nm以上、30nm以下の範囲に設定した上で、機能層31全体の膜厚を好ましい膜厚の範囲に収める範囲で、金属ノンドープ領域20を厚膜化することが好ましい。
なお実際は、金属ノンドープ領域20と金属ドープ領域21の境界は明確には分かれておらず、金属ノンドープ領域20と、金属ドープ領域21とが、製造の過程で多少混ざり合って形成されている場合もある。ただしその場合でも、電子輸送層30におけるドープ金属の濃度は、第2中間層19側よりも対向電極22側で高いので、対向電極22からの十分な電子注入特性を確保しつつ、電子輸送層30全体での消衰係数を低く抑えることができる。
[11.有機EL素子の製造方法]
有機EL素子1の製造方法について、図11〜図14、図15を参照しながら説明する。なお、図11〜図14は、有機EL素子1の製造過程を模式的に示す断面図であり、図15は、有機EL素子1の製造過程を示す模式工程図である。
まず、図11(a)に示すように、基材111上にTFT層112を成膜して基板11を形成し(図15のステップS1)、基板11上に層間絶縁層12を成膜する(図15のステップS2)。層間絶縁層12の材料である層間絶縁層用樹脂には、本実施形態においては、ポジ型の感光性材料であるアクリル樹脂を用いる。層間絶縁層12は、層間絶縁層用樹脂であるアクリル樹脂を層間絶縁層用溶媒(例えば、PGMEA)に溶解させた層間絶縁層用溶液を基板11上に塗布し、その後、焼成することによって成膜する(図15のステップS3)。この焼成は、150℃以上210℃以下の温度で180分間行う。
なお、図11〜図14の断面図および図15の工程図には示されないが、層間絶縁層12を形成するときに、パターン露光と現像を行うことによってコンタクトホールを形成する。層間絶縁層12は焼成後には硬くなるので、コンタクトホールの形成は、層間絶縁層12の焼成前に行う方が容易である。
そして、サブピクセル毎に、金属材料を真空蒸着法またはスパッタ法で厚み150nm程度に成膜して、図11(b)に示すように、画素電極13を形成する(図15のステップS4)。
次に、画素電極13上に、隔壁層14の材料である隔壁層用樹脂を塗布し、隔壁材料層14bを形成する(図11(c))。隔壁層用樹脂には、例えば、ポジ型の感光性材料であるフェノール樹脂が用いられる。隔壁材料層14bは、隔壁層用樹脂であるフェノール樹脂を溶媒(例えば、乳酸エチルとGBLの混合溶媒)に溶解させた溶液を画素電極13上に一様に塗布することによって形成する。
次に、隔壁材料層14bに露光と現像を行うことで隔壁層14の形状にパターン形成し(図12(a)、図15のステップS5)、焼成することによって隔壁層14を形成する(図15のステップS6)。この焼成は、例えば、150℃以上210℃以下の温度で60分間行う。形成された隔壁層14によって、発光層17の形成領域となる開口部14aが規定される。
隔壁層14の形成工程においてさらに、隔壁層14の表面を所定のアルカリ性溶液や水、有機溶媒等によって表面処理したり、プラズマ処理を施してもよい。隔壁層14の表面処理は、開口部14aに塗布するインクに対する接触角を調節したり、隔壁層14の表面に撥液性を付与する目的で行われる。
そして、マスク蒸着法やインクジェットによる塗布法によって、正孔注入層15の材料を成膜し、焼成することによって、図12(b)に示すように正孔注入層15を形成する(図15のステップS7)。
次に、隔壁層14が規定する開口部14aに対し、正孔輸送層16の構成材料を含むインクを塗布し、焼成(乾燥)を経て、図12(c)に示すように正孔輸送層16を形成する(図15のステップS8)。
同様に、発光層17の材料を含むインクを塗布し、焼成(乾燥)することにより、図13(a)に示すように発光層17を形成する(図15のステップS9)。
続いて、図13(b)に示すように、発光層17の上に、真空蒸着法などにより、第1中間層18を膜厚D1で成膜する(図15のステップS10)。第1中間層18は隔壁層14の上にも形成される。そして、図13(c)に示すように、第1中間層18の上に、真空蒸着法などにより、第2中間層19を膜厚D2で成膜する(図15のステップS11)。
次に、第2中間層19の上に、電子輸送層30の有機材料を真空蒸着法で成膜することによって、図14(a)に示すように電子輸送層30の金属ノンドープ領域20を形成する(図15のステップS12)。さらに、金属ノンドープ領域20の上に、第2金属をドープしながら電子輸送層30の有機材料を真空蒸着法で成膜することによって、図14(b)に示すように電子輸送層30の金属ドープ領域21を形成する(図15のステップS13)。
金属ノンドープ領域20および金属ドープ領域21の形成工程では、金属ノンドープ領域20および金属ドープ領域21を合わせた電子輸送層30の膜厚が、機能層31の好適な膜厚の範囲(100nm〜120nm)から第1中間層18の膜厚D1および第2中間層19の膜厚D2を引いた膜厚の範囲に収まるように、真空蒸着法により有機材料および第2金属を堆積させる量を決定する。
続いて、図14(c)に示すように、電子輸送層30の金属ドープ領域21の上に、金属材料等を、真空蒸着法、スパッタ法等で成膜することにより、対向電極22を形成する(図15のステップS14)。
そして、対向電極22の上に、SiN、SiON等の光透過性材料を、スパッタ法、CVD法等で成膜することによって、図14(d)に示すように封止層23を形成する(図15のステップS15)。
以上の工程を経ることにより、有機EL素子1が完成すると共に、複数の有機EL素子1を備えた有機EL表示パネル100ができあがる。なお、封止層23の上にカラーフィルタや上部基板を貼り合せてもよい。
[12.有機EL表示装置の全体構成]
図16は、有機EL表示装置1000の構成を示す模式ブロック図である。当図に示すように、有機EL表示装置1000は、有機EL表示パネル100と、これに接続された駆動制御部200とを有している。駆動制御部200は、4つの駆動回路210〜240と制御回路250とから構成されている。
なお、実際の有機EL表示装置1000では、有機EL表示パネル100に対する駆動制御部200の配置については、これに限られない。
[実施の形態のまとめ]
本実施の形態では、青色光を出射する有機EL素子1(B)において機能層31の膜厚を、100nm〜120nmの範囲に設定している。この機能層31の膜厚の範囲は、青色光に対する2次干渉のピークに相当する膜厚範囲であり、1次干渉のピークに相当する膜厚範囲よりも膜厚が大きいため、対向電極22の製造過程でのAgの拡散や、プラズモンロスが抑制され、内部量子効率が向上する。そのため、出射する青色光が1次干渉のピークの極大輝度/y値以上の輝度/y値を示し、色純度の良好な青色光を効率よく取り出すことができる。
また、電子輸送層30のうち金属ノンドープ領域20には、Baがドープされておらず、消衰係数が0.034に抑えられている。さらに、機能層31を100nm〜120nmの範囲に設定する際に、Baがドープされ消衰係数が大きい金属ドープ領域21の膜厚を10nm〜30nmの範囲に抑え、消衰係数が小さい金属ノンドープ領域20を厚膜化している。そのため、電子輸送層30全体での消衰係数の増大を抑制し、光取り出し効率の低下を抑制することができる。
その一方で、対向電極22と接する金属ドープ領域21にはBaがドープされているため、対向電極22から電子輸送層30への電子注入性特性が確保されている。
また、第1中間層18によって、発光層17側から機能層31や対向電極22への不純物が侵入するのを防止し、且つ、第2中間層19の働きで対向電極22側から発光層17への電子注入を促進するので、良好な保管安定性と発光効率とを実現することができる。
また、第1中間層18の膜厚D1に対する第2中間層19の膜厚D2の比D2/D1が、3〔%〕≦D2/D1≦25〔%〕の関係を満たすので、良好な発光効率を実現することができる。
第2中間層19の膜厚D2は1nm以下であるため、第2中間層19における光吸収量を低く抑えて、良好な光取出し性を実現することができる。
また、対向電極22に、金属材料からなる金属層が含まれているので、対向電極22を、ITOのような金属酸化物の材料だけで形成する場合と比べると、Agのような金属材料層が含まれることによって、そのシート抵抗を低減することができる。そして、対向電極22の導電性が向上することによって、有機EL表示パネル100の中央部に存在する有機EL素子1に電力を供給する際の電圧降下を低減することができる。
また対向電極22に、金属材料の層が含まれることによって、対向電極22を金属酸化物材料だけで形成する場合と比べると、有機EL素子1における光共振器構造のキャビティ効果を高めることができる。それによって、有機EL素子1における光取り出し効率を高めることができる。
なお、上記説明における膜厚の範囲や膜厚の割合についての条件は、必ずしも開口部14aで規定されるサブピクセルの全領域で満たさなくてもよく、サブピクセルの中央部での膜厚が、上記説明における膜厚の条件を満たしていればよい。
<変形例>
以上、実施の形態について説明したが、本発明は実施形態に限定されることはなく、例えば以下に示すような変形例を実施することも出来る。
(変形例1)上記実施形態における有機EL素子は、正孔注入層15、正孔輸送層16を備えていたが、これらのうち1つ以上の層を備えない構成の有機EL素子も同様に実施することができる。
(変形例2)さらに、電子注入層や、透明導電層などの層を含む構成とすることもできる。電子注入層を備える場合には、電子注入層と電子輸送層と第1中間層と第2中間層とをまとめて、機能層として扱ってもよい。
(変形例3)上記実施形態においては、有機EL素子1の基材111は、絶縁材料としてガラスを用いた例について説明したが、これに限られない。基材111を構成する絶縁材料として、例えば、樹脂やセラミック等を用いてもよい。基材111に用いる樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂等の絶縁性材料が挙げられる。基材111に用いるセラミックとしては、例えばアルミナが挙げられる。
(変形例4)上記実施形態においては、トップエミッション型であって、画素電極13が光反射性の陽極であり、対向電極22が光透過性の陰極であったが、逆に、画素電極が光透過性の陰極で、対向電極が光反射性の陽極であるボトムエミッション型も実施できる。
その場合、例えば、層間絶縁層12上に陰極としての画素電極13および隔壁層14を形成し、開口部14a内において、画素電極13の上に、電子輸送層30の金属ドープ領域21、電子輸送層30の金属ノンドープ領域20、第2中間層19、第1中間層18、発光層17を順に形成し、その上に、正孔輸送層16、正孔注入層15を形成し、その上に陽極としての対向電極22を形成する。
(変形例4)上記実施形態においては、電子輸送層30の金属ノンドープ領域20にドープ金属を含まない例について説明したが、金属ノンドープ領域20にドープ金属を含む構成とすることもできる。金属ノンドープ領域20にドープ金属を含む場合は、電子輸送層30の金属ノンドープ領域20におけるドープ金属の濃度を、金属ドープ領域21におけるドープ金属の濃度よりも低く設定する。
例えば、電子輸送層30にBaをドープする場合、金属ノンドープ領域20および金属ドープ領域21におけるBaのドープ濃度は、いずれも5〜40wt%の範囲に設定することが好ましいが、金属ノンドープ領域20におけるBaのドープ濃度は、5〜40wt%の範囲の中でも金属ドープ領域21におけるBaのドープ濃度よりも低く設定する。これにより、金属ノンドープ領域20における光の吸収を抑えることができる。
本発明の有機EL素子、有機EL表示パネルは、家庭用、公共施設、あるいは業務用の各種表示装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ等に利用可能である。
1 有機EL素子
13 画素電極(陽極)
17 発光層
18 第1中間層
19 第2中間層
20 金属ノンドープ領域(第2領域)
21 金属ドープ領域(第1領域)
22 対向電極(陰極)
30 電子輸送層
31 機能層

Claims (8)

  1. 光反射性の陽極と、
    前記陽極の上方に配され、青色光を出射する発光層と、
    前記発光層上に配され、電子輸送性を有する有機材料とアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるドープ金属とを含む機能層と、
    前記機能層上に配され、金属層を含む光透過性の陰極と、
    を有し、
    前記陽極と前記陰極との間には、光共振器構造が形成されており、
    前記機能層は、
    有機EL素子から取り出される前記青色光の輝度とxy色度のy値との比を輝度/y値としたときに、前記機能層の膜厚を変化させたときに得られる前記輝度/y値が示す特性において、2次干渉のピークに相当する膜厚の範囲内で、且つ前記輝度/y値が1次干渉のピークの極大値以上となる膜厚であると共に、
    前記陰極に接する第1領域と、前記第1領域に接し且つ前記第1領域より前記発光層に近い第2領域とを有し、
    前記第1領域は、前記有機材料に前記ドープ金属がドープされており、前記第2領域は、前記有機材料に前記ドープ金属がドープされていない
    有機EL素子。
  2. 前記ドープ金属は、バリウムである
    請求項に記載の有機EL素子。
  3. 前記発光層と前記機能層を合わせた膜厚は、150nm以上170nm以下である
    請求項1に記載の有機EL素子
  4. 前記発光層と前記機能層を合わせた光学膜厚は、285nm以上323nm以下である
    請求項1に記載の有機EL素子
  5. 前記機能層はさらに、
    前記発光層と前記第2領域との間に配され、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である第1金属のフッ化物を含む第1中間層と、
    前記第1中間層上に配され、前記第1金属のフッ化物における前記第1金属とフッ素との結合を切る性質を有するアルカリ金属またはアルカリ土類金属である第2金属を含む第2中間層と、
    を含む
    請求項に記載の有機EL素子。
  6. 前記第1金属はナトリウムである
    請求項5に記載の有機EL素子。
  7. 前記第2金属はバリウムである
    請求項6に記載の有機EL素子。
  8. 光反射性の陽極を形成する工程と、
    前記陽極の上方に、青色光を出射する発光層を形成する工程と、
    前記発光層上に、電子輸送性を有する有機材料とアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるドープ金属とを含む機能層を形成する工程と、
    前記機能層上に、金属層を含む光透過性の陰極を形成する工程と、
    を含み、
    前記機能層を形成する工程では、
    有機EL素子から取り出される前記青色光の輝度とxy色度のy値との比を輝度/y値としたときに、前記機能層の膜厚を変化させたときに得られる前記輝度/y値が示す特性において、2次干渉のピークに相当する膜厚の範囲内で、且つ前記輝度/y値が1次干渉のピークの極大値以上となる膜厚で前記機能層を形成し、
    前記機能層の前記陰極に接する第1領域には前記ドープ金属がドープされており、前記第1領域に接し且つ前記第1領域より前記発光層に近い第2領域には前記ドープ金属がドープされていない
    有機EL素子の製造方法。
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