JP6509615B2 - 誘導機、並びにそれを用いる誘導機駆動システムおよび鉄道車両 - Google Patents

誘導機、並びにそれを用いる誘導機駆動システムおよび鉄道車両 Download PDF

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Description

本発明は、鉄道車両などに用いられる誘導機、並びにそれを用いる誘導機駆動システムおよび鉄道車両に関する。
誘導機は堅牢、低コスト、メンテナンスが容易である等の多くの利点を持つことから、広範な分野で最も多く使用されているが、社会的な傾向として省エネルギー、省資源の要請に応えた誘導機が求められている。
効率を向上させる手段として、一般的には、体格を大きくすることで、コイルの電流密度や、鉄心の磁束密度を低減させ、銅損や鉄損を下げる方法が挙げられる。しかし、誘導機を設置するスペースは限られている場合が多く、限られたスペース内を更に有効に活用することで、現行の体格と強度を維持しつつ、誘導機に発生する損失を低減する改良技術が求められている。このために、誘導機の高強度化、高効率化を目的とした多くの改良技術が提案されている。
このような高強度化および高効率化技術として、特許文献1〜4に記載の技術が知られている。
特許文献1に記載の技術では、回転子導体に発生する損失を低減するために断面形状の異なる2種の回転子スロットを交互に配置する。
特許文献2に記載の技術では、磁気飽和の解消効果を高めて高出力化するために、凹み及び角の無い2種の回転子スロットを交互に配置する。
特許文献3に記載の技術では、径方向に対して回転子バー端部にかかる応力を低減するために、回転子バー端部に切り欠きを設ける。
特許文献4に記載の技術では、エンドリングを高抗張力非磁性材料にしており、回転子鉄心を両側から圧力をかけて締めている鉄心抑え板を有する。
実開昭53−130406号公報 特開2010−268573号公報 特開平9−84311号公報 特開昭54−142511号公報
特許文献1、2の技術は、断面形状の異なる回転子バーを交互に配置することにより磁気飽和を抑制しながら二次銅損が低減されて効率が向上するが、軸方向の力に対しての強度信頼性の向上が難しい。
特許文献3の技術は、回転子バーの端部にかかる径方向の応力は低減できるが、軸方向に対する力に対する強度信頼性の向上が難しい。
特許文献4の技術は、回転子鉄心抑えが回転子バーを軸方向に対して保持しておらず、軸方向に対する強度信頼性の向上が難しい。
そこで、本発明は、効率および強度信頼性を共に向上できる誘導機、並びにそれを用いる誘導機駆動システムおよび鉄道車両を提供する。
上記課題を解決するために、本発明による誘導機は、固定子巻線を有する固定子と、軸方向に積層される複数の電磁鋼板から成る回転子鉄心と、複数の電磁鋼板を固定する略円環状の回転子鉄心抑えと、回転子鉄心に設けられる複数の回転子スロットに挿入される複数の回転子バーと、複数の回転子バーの軸方向の端部において複数の回転子バーを電気的に接続するエンドリングとを有し、空隙を介して固定子と対向する回転子と、を備えるものであって、複数の回転子バーは、軸方向の端部に切り欠きを有する第1の回転子バーを含み、複数の回転子スロットは、第1の回転子バーが挿入される第1の回転子スロットを含み、回転子鉄心抑えの外径が、第1の回転子バーの回転子鉄心内部における内径よりも大きく、複数の回転子バーは、軸方向に垂直な断面の形状が第1の回転子バーとは異なる第2の回転子バーを含み、複数の回転子スロットは、第2の回転子バーが挿入される第2の回転子スロットを含み、第2の回転子バーの回転子鉄心内部における内径は、第1の回転子バーの回転子鉄心内部における内径よりも大きく、かつ回転子鉄心抑えの外径よりも大きい
また、本発明による誘導機駆動システムは、電源から入力する電力を三相交流電力に変換して出力する変換器と、変換器が出力する前記三相交流電力によって回転駆動される誘導機と、を備えるものであって、誘導機が上記本発明による誘導機である。
さらに、本発明による鉄道車両は、台車と、台車に回転可能に軸支される複数の車輪と、複数の車輪を駆動する誘導機と、を備えるものであって、誘導機が上記本発明による誘導機である。
本発明によれば、回転子バーに発生する二次銅損を低減しつつ、回転子バーの軸方向のずれを抑制できるので、誘導機の効率を向上しつつ、強度信頼性を向上することができる。また、誘導機駆動システムや誘導機によって駆動される鉄道車両で発生する電力損失を低減しつつ、強度信頼性を向上することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施例1である誘導機の一部断面図である。 図1aにおけるA−A’断面を示す部分断面図である。 図1aにおけるB−B’断面を示す部分断面図である。 実施例1の変形例1である誘導機の回転子端部の一部断面図である。 実施例1の変形例2である誘導機の回転子端部の一部断面図である。 実施例1の変形例3である誘導機の回転子端部を示す一部断面図である。 図3aにおけるA−A’断面を示す一部断面図である。 図3aにおけるB−B’断面を示す一部断面図である。 実施例1の変形例4である誘導機の回転子端部の一部断面図である。 実施例1の変形例5である誘導機の回転子端部を示す一部断面図である。 図5aにおけるB−B’断面を示す一部断面図である。 実施例1の変形例6である誘導機の回転子端部の一部断面図である。 実施例1の変形例7である誘導機の回転子端部の一部断面図である。 本発明の実施例2である誘導機の回転子の部分断面図を示す。 本発明の実施例3である誘導機の回転子の部分断面図を示す。 本発明の実施例4である誘導機の回転子の一部断面図を示す。 本発明の実施例5である誘導機の回転子端部を示す。 図11aにおけるA−A’断面を示す。 実施例5の変形例である誘導機の回転子端部を示す。 図12aにおけるA−A’断面を示す。 本発明の実施例6である誘導機の回転子の部分断面図を示す。 本発明の実施例7である誘導機駆動システムを示す。 本発明の実施例8である鉄道車両を示す。
以下、本発明の実施例を図面に従い詳細に説明する。各図において、参照番号が同一のものは同一の構成要件あるいは類似の機能を備えた構成要件を示している。なお、実施例1について説明する誘導機の全体構成は、各実施例についても同様である。
図1aは、本発明の実施例1である誘導機の回転軸方向の一部断面図である。また、図1bおよび図1cは、それぞれ、図1aにおけるA−A’断面およびB−B’断面を示す部分断面図である。なお、A−A’断面およびB−B’断面は、いずれも回転軸方向に垂直な断面である。
図1aにおいて、固定子10は、軸方向に連続的に形成された固定子スロット12を内周部に設け、かつ電磁鋼板等の薄鋼板が軸方向に沿って複数枚積層され、固定子鉄心抑え14によって面圧をかけて固定される固定子鉄心11と、固定子スロット12に巻装された固定子巻線13を備えている。
回転子20は、空隙を介して固定子10に対向すると共に、固定子10に対して、同心軸上の内周側に位置する。回転子20は、電磁鋼板等の薄鋼板が軸方向に沿って複数枚積層され、略円環状から成る回転子鉄心抑え26によって面圧をかけて固定される回転子鉄心24を有している。回転子鉄心24の外周部すなわち回転子20の外周部においては、周方向に所定の間隔を持って配設され、軸方向に連続的に形成される複数の回転子スロット21が設けられる。このように、軸方向に延びる複数の回転子スロット21には、銅等の導体から成る複数の回転子バー22が、打ち込み等によって挿入される。回転子鉄心24の軸方向の両端側には、複数の回転子バー22を電気的に接続する円環状の導体であるエンドリング23(端絡環)が設置される。本実施例1では、エンドリング23は銅などからなり、エンドリング23の外周端部と回転子バー22の端部がロウ付けなどによって接合される。さらに、回転子鉄心24の軸方向の両端側においては、エンドリング23が遠心力や熱伸び等によって外径側に変位することを防止するリテイニングリング29(保持環)が、エンドリング23の外周側においてエンドリング23と嵌合するように設けられる。軸方向を長手方向とした回転子鉄心24の内周側すなわち中央部には、シャフト25が配置され、シャフト25は軸受30によって回転可能に支持される。
また、本実施例1は、固定子10と回転子20がフレーム2によって覆われ、鉄粉や粉塵等の周囲の塵埃を機内に侵入させない全閉構造になっている。誘導機1の機内の冷却は、回転子20の回転に伴い、シャフト25に接続された冷却ファン28が回転し、軸方向に対して圧力差を生じさせることで、固定子10と回転子20間の空隙部や、回転子20に備えられた通風孔27や、固定子鉄心11の背面ダクトに冷却風を機内循環させる。これによって、各部材に発生する発熱が均一化されると共に、フレーム2に設けられる図示されない冷却フィン等によりフレーム外部との熱交換が行なわれて誘導機1が冷却される。
誘導機1は、三相交流電源等によって固定子巻線13に電圧を印加し、回転磁界を発生させることによって駆動される。このとき、固定子10で作られた磁束が、固定子10と回転子20の間の空隙部を介して、回転子20に備えられる回転子バー22に鎖交すると、電磁誘導によって回転子バー22に誘導電流(二次電流)が流れるので、周方向にトルクが生ずることで、回転子20は回転する。
図1b示すように、断面形状の異なる複数種、本実施例1では2種の回転子バー22を使用する。回転子バー22A,22A’は、回転子鉄心24の軸方向に垂直な断面(A−A’断面)において、細長い長方形の断面形状を有する。回転子バー22A,22A’において、長方形の一方の短辺は回転子鉄心24の外周面側に位置し、長辺が回転子鉄心24内において回転子鉄心24の回転中心に向かって延びている。回転子バー22A,22A’は、回転子鉄心24の周方向沿って交互に並置される。ここで、回転子バー22Aの長辺の長さは、回転子バー22A’の長辺の長さよりも大きい。このため、回転子バー22の総断面積を増やすことができる。これにより、二次抵抗が低減され、二次銅損(誘導電流による導通損失)が低減される。なお、回転子バー22A,22A’が挿入される回転子スロット21の同断面形状は回転子バー22A,22A’と略同一であるが、本実施例1の回転子スロット21は、回転子鉄心24の外周面において一部開口しており、いわゆる半閉型スロットである。このような半閉型スロットにより、回転子スロットの漏れリアクタンスを低減できる。
上記のような断面形状の異なる2種の回転子バー22A,22A’により、図1bに示すように、回転子鉄心24において、隣り合う二つの回転子バー22A間のティースの付け根部は、隣り合う回転子バー22A,22A’間のティースの付け根部よりも広がる。このため、回転子バーの総断面積を増やしながらも、回転子鉄心24の磁気抵抗の増加が抑制され、回転子鉄心24の磁気飽和が抑制される。従って、磁気飽和に伴う力率の低下による一次銅損の増加および効率の低下が防止される。
さらに、本実施例1においては、回転子バー22A,22A’の内、上記のような断面が最も内周側まで延びる回転子バー22Aが、図1aが示すように、回転子鉄心24の軸方向両端部から回転子鉄心24の軸方向外部に延びる領域の内周側に切り欠きを有する。すなわち、回転子バー22Aの長方形断面の長辺の長さは、回転子鉄心24外では回転子鉄心24内よりも短くなり、最大で回転子バー22A’と同じ長さに設定される。なお本実施例1においては、回転子バー22A,22A’の短辺の長さは同じ長さに設定されているため、回転子鉄心24外では、回転子バー22A,22A’の断面形状は実質的に同じである。
ここで、回転子鉄心24内の断面すなわち図1bに示すA−A’断面において、回転子バー22A,22A’断面の内周側短辺までの内径をそれぞれa,a’とし、回転子鉄心24外の断面すなわち図1cに示すB−B’断面において、回転子バー22A断面の内周側短辺までの内径および回転子鉄心抑え26の外径をそれぞれc,bとする。この場合、回転子鉄心抑え26が回転子バー22A,22A’と干渉しないために、b<c=a’と設定される。また、a<a’=cであるから、a<d<a’=cとなるdを選択して、bをdに設定すれば、a<b<cとなるので、回転子鉄心抑え26が回転子バー22A,22A’と干渉しない。しかも、この場合、回転子鉄心24の中央部から、内径aと内径cの間の領域の少なくとも一部までを含む広い領域を回転子鉄心抑え26によって抑えることができる。これにより、上記のような断面形状の異なる2種の回転子バー22A,22A’を使用しながらも、薄鋼板を軸方向に複数枚積層された回転子鉄心24にかける面圧を増加することができるので、回転子の強度が向上する。さらに、回転子鉄心24内における回転子バー22Aの端部の内周側が回転子鉄心抑え26によって覆われるので、誘導機の長期使用時に回転子バーやエンドリング23が軸方向でずれるような経年劣化を緩和することができる。ここで、回転子バー22Aの内周側が回転子鉄心抑え26によって支持されるため、回転子バー22A,22A’とエンドリング23の接合部における応力が緩和できるので、この接合部の信頼性も向上する。特に、鉄道車両のような移動体に搭載される誘導機は、移動体走行中に強い振動を受けて経年劣化が起きやすい環境で使用されるので、本実施例によれば強度信頼性が向上する。また、回転子バーの軸方向へのずれを防止するために、回転子バーを部分的に打撃などにより塑性変形させて回転子鉄心24のティース部(回転子スロット内壁)に押し当てる、いわゆる、かしめ作業を、省略することができる。このため、誘導機の生産性を向上することが可能である。
さらに、上述したように、回転子鉄心24外では、回転子バー22A,22A’の断面形状は実質的に同じであるため、回転子バー22とエンドリング23をロウ付け等によって電気的に接合する嵌め合い部も同一の構成とできる。これにより、エンドリング23の取付作業が容易になり、誘導機の生産性が向上する。
さらには、回転子バー22Aのように、断面を内周側に長くして断面積を増加することで、回転子バーと回転子鉄心24の接触面積が増加できるため、両部材間の接触熱抵抗を小さくし、誘導機1の温度分布の均一化ができ、冷却性能の向上が可能である。そして、回転子バーの発熱による温度上昇を低減できるため、二次抵抗が低減され、二次銅損が低減されて効率が向上する。
図2aは、図1a〜cに示す実施例1の変形例1である誘導機の回転子端部の一部断面図である。また、図2bは、同実施例1の変形例2である誘導機の回転子端部の一部断面図である。図2aに示す変形例1においては、回転子バー22Aの内径aと回転子鉄心抑え26の外径bの差が小さいが、aとbの関係は実施例1と同様にa<bである。また、図2bに示す変形例2においては、回転子バー22Aの切り欠きが回転子鉄心24の外部に位置するが、回転子バー22Aの内径aと回転子鉄心抑え26の外径bの関係は実施例1と同様にa<bである。従って、これら変形例1および変形例2によれば、実施例1と同様に、回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。これにより、誘導機の強度信頼性が向上する。
図3a〜cは、図1a〜cに示す実施例1の変形例3である誘導機の回転子の一部断面図である。図3a、図3bおよび図3cは、それぞれ、回転子端部、図3aにおけるA−A’断面および図3aにおけるB−B’断面を示す。本変形例3においては、回転子鉄心24の周方向に沿って隣り合う二つの回転子バー22Aの断面形状、すなわち長方形断面の短辺と長辺の長さが同じである。本変形例3は、図1bにおいて、回転子バー22A’を、端部に切り欠けを有する回転子バー22Aで置き換え、a’をaに設定する場合に相当する。本変形例3において、回転子バー22Aの内径aと回転子鉄心抑え26の外径bの関係は実施例1と同様にa<bである。従って、変形例3によれば、実施例1と同様に、回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。これにより、誘導機の強度信頼性が向上する。
図4は、図1a〜cに示す実施例1の変形例4である誘導機の回転子端部の一部断面図である。本変形例4においては、実施例1とは切り欠きの形状が異なり、切り欠き部の外形線が曲線である。本変形例4においても、回転子バー22Aの内径aと回転子鉄心抑え26の外径bの関係は実施例1と同様にa<bである。従って、変形例4によれば、実施例1と同様に、回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。さらに、本変形例4によれば、回転子エンドリング23において、遠心力や熱伸びによって径方向の応力が加わる場合、回転子バー22A端部の切り欠き部への応力集中が緩和される。
図5a〜bは、図1a〜cに示す実施例1の変形例5である誘導機の回転子の一部断面図である。図5aおよび図5bは、それぞれ、回転子端部および図5aにおけるB−B’断面を示す。本変形例5において、回転子鉄心抑え26は、回転子バー22Aの軸方向端部と回転子バー22A’の軸方向端部の間における回転子鉄心24の端部の外周部表面上に、回転子鉄心抑え26の外周部が延在する部分を有する。すなわち、回転子鉄心抑え26の形状は、その外周部を見れば櫛歯形状であり、回転子鉄心抑え26の全体で見れば、歯車形状である。本変形例4においても、回転子バー22Aの内径aと回転子鉄心抑え26の外径bの関係は実施例1と同様にa<bである。但し、本変形例5において、外径bは、櫛歯状の延在部を除いた回転子鉄心抑え26の円形部の外径寸法である。すなわち、外径bは、複数種(本変形例5では実施例1と同様に2種)の回転子バー22Aおよび22A’の内、最も内径が小さい回転子バー22Aの切り欠き部を覆い、回転子バー22Aと回転子抑え26が干渉しないように設定される。なお、以下に説明する変形例および実施例においても、回転子鉄心抑えの外径は同様に設定される。
上記のように、本変形例5において、回転子バー22Aの内径aと回転子鉄心抑え26の外径bの関係は実施例1と同様にa<bである。従って、変形例5によれば、実施例1と同様に、回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。これにより、誘導機の強度信頼性が向上する。さらに、本変形例5によれば、回転子鉄心抑え26における櫛歯状の延在部によって、回転子鉄心24への面圧を増加することができるので、誘導機の強度信頼性が向上する。
図6は、図1a〜cに示す実施例1の変形例6である誘導機の回転子端部の一部断面図である(図1のA−A’断面に相当)。
本変形例6は、実施例1と異なり、形状が異なる3種の回転子バー22A,22A’,22A’’を備える。回転子バー22A,22A’,22A’’は、長方形状断面を有し、長方形断面の長辺が回転子鉄心の外周部から回転中心に向って延びているが、回転子バー22A,22A’,22A’’の長辺の長さが異なっている。また、回転子バー22A,22A’,22A’’の内、長辺が最も長い回転子バー22Aのみに切り欠き部が設けられる。ここで、回転子バー22A,22A’,22A’’の回転中心側の短辺までの径寸法すなわち内径を、それぞれa,a’,a’’とし、図示されない回転子鉄心抑え26の外径bを含めると、a<b<a’’<a’という関係がある。すなわち、外径bは、回転子鉄心抑えが、回転子バー22Aの切り欠き部を覆い、回転子バー22Aと回転子鉄心抑えが干渉しないように設定される。従って、本変形例6によれば、実施例1と同様に、回転子バー22の総断面積を増やして二次銅損を低減しながらも、回転子鉄心24の磁気飽和が抑制され、かつ回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。
また、本変形例6では、回転子バー22A,22A’,22A’’が、回転子鉄心の周方向に沿って、回転子バー22A’’,22A’,22A,22A’,22A’’の順に並ぶ配列を一周期として規則的に配置される。このため、長方形断面の長辺の長さ、すなわち断面の径方向長さが最も短い回転子バー22A’の個数が最も多く、断面の径方向長さが最も長い回転子バー22Aの個数が最も少ない。なお、本変形例6において、回転子バー22A’’断面の径方向の長さは回転子バー22A’よりも長くかつ回転子バー22Aよりも短く、最大および最小のいずれでもないが、回転子バー22A’’の個数は回転子バー22Aの個数と同数に設定されている。なお、回転子バー22A’’の本数は、回転子バー22Aの個数と回転子バー22A’の個数の中間値としても良い。この場合、回転子バー22A,22A’,22A’’が、例えば、回転子鉄心の周方向に沿って、回転子バー22A,22A’,22A’’,22A’,22A’’,22A’,22Aの順に並ぶ配列を一周期として規則的に配置される。前記のような回転子バーの配置によれば、回転子バーの総断面積を増やしながらも、ティース付け根部の磁気飽和を抑えることができる。
なお、変形例6において、断面の径方向長さが回転子バー22Aの次に長い回転子バー22A’’に切り欠きを設けても良い。この場合、回転子鉄心抑えの外径bは、回転子鉄心抑えが、回転子バー22Aおよび22A’’の切り欠き部を覆い、回転子バー22Aおよび22A’’と回転子抑えが干渉しないように設定される。
図7は、図1に示す実施例1の変形例7である誘導機の回転子端部の一部断面図である(図1のA−A’断面に相当)。本変形例7では、図6に示す変形例6における回転子バー22A,22A’,22A’’の断面形状の周方向の幅が、回転子鉄心の外周側から内周側に向かうにつれて徐々に小さくされる。すなわち、回転子バー22A,22A’,22A’’は、径方向を長手方向とする細長い台形状断面を有する。台形状断面における長さが異なる平行な2辺(上底および下底)は、周方向に沿って延びるが、長い方が外周側に位置し、短い方が内周側に位置する。そして、台形状断面の高さ方向が径方向である。なお、本変形例7における台形状断面は、上底および下底の中心点を通る直線を対称軸として線対称である。
本変形例7のように回転子バーの断面形状を上記のような台形状にすることにより、隣り合う二つの回転子バー間における回転子鉄心24のティース部の幅が径方向に沿って狭くなる程度を緩和することができる。本変形例7においては、隣り合う二つの回転子バー間における回転子鉄心24のティース部の幅は実質均等である。これによって、ティース部の磁束密度が均一化されるので、ティース部の磁気飽和を抑えることができる。
なお、本変形例7においても、高さ、すなわち径方向の長さが最も大きな回転子バー22Aのみに切り欠き部が設けられる。そして、回転子バー22A,22A’,22A’’の回転中心側の短辺までの径寸法すなわち内径(それぞれa,a’,a’’)と図示されない回転子鉄心抑えの外径bには、a<b<a’’<a’という関係がある。すなわち、外径bは、回転子抑えが、回転子バー22Aの切り欠き部を覆い、回転子バー22Aと回転子抑え26が干渉しないように設定される。従って、本変形例7によれば、実施例1と同様に、回転子バー22の総断面積を増やしながらも、回転子鉄心24の磁気飽和が抑制され、かつ回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。
なお、回転子バーの形状は、本変形例7のような台形状に限らず、回転子バーの断面形状の周方向の幅が、外周側から内周側に向かうにつれて徐々に小さくなっていれば良い。
上述した実施例1並びにその変形例によれば、誘導機1のフレーム2内の限られたスペースにおいて、回転子鉄心の磁気飽和を抑えながら回転子バーの総断面積を増大して二次銅損を低減しながらも、回転子鉄心24へ十分な面圧をかけて回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。従って、誘導機の効率および強度信頼性を共に向上できる。
また、図1に示すように、本実施例1の誘導機は、全閉構造であり、塵埃の多い環境で使用される鉄道車両などに好適である。なお、本実施例1の回転子の構造は、鉄道車両用の誘導機に限らず、回転子スロットに挿入される複数の回転子バーおよびこれら回転子バーの端部を電気的に接続する環状のエンドリングを備えるいわゆるかご型回転子を備える誘導機に適用できる。
さらに、回転子バーおよびエンドリングの導体材料は、無酸素銅、クロム銅、黄銅、アルミなどの各種金属材料を適用できる。また、複数の回転子バーにおいて、あるいは回転子バーとエンドリングにおいて、異なる導体材料が適用されても良い。
図8は、本発明の実施例2である誘導機の回転子の部分断面図を示す(図1のA−A’断面に相当)。以下、主に実施例1と異なる点について説明する。
本実施例2においては、回転子バー22A’が挿入される回転子スロット21A’の最内周位置と、回転子バー22A’と隣り合う回転子バー22Aが挿入される回転子スロット21Aとの周方向の距離Tと、回転子スロット21A’を挟んで隣り合う二つの回転子スロット21A間の最内周位置における距離Tは、T≧2Tという関係になるように設定される。なお、距離Tは、磁気飽和が抑制される大きさに設定されている。図示されない回転子鉄心抑えなどの他の構成は、実施例1と同様である。
本実施例2では、図8中に矢印で示すように、回転子スロット21A’の両側を通る磁束が、回転子スロット21A’を通り過ぎると、隣り合う二つの回転子スロット21A間に集中する。ここで、本実施例2では、上記のようにT≧2Tとしているので、隣り合う二つの回転子スロット21A間における磁束密度の増大が抑制される。これにより、回転子ティース部における磁気飽和が抑制できる。従って、磁気飽和に伴う励磁リアクタンスの低下による励磁電流の増大が防止されるので、力率の低下が防止できる。
なお、本実施例2は、実施例1と同様に回転子バーが長方形断面を有し、隣り合う二つの回転子バー間における回転子鉄心24のティース部の幅が径方向に沿って狭くなる場合に好適である。
実施例2によれば、回転子鉄心の磁気飽和を抑えながら回転子バーの総断面積を増大して二次銅損を低減しながらも、回転子鉄心へ十分な面圧をかけて回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。さらに、回転子鉄心の磁気飽和を抑制して、力率の低下を防止することができる。従って、誘導機の効率および強度信頼性を共に向上できる。
図9は、本発明の実施例3である誘導機の回転子の部分断面図を示す(図1のA−A’断面に相当)。以下、主に実施例1と異なる点について説明する。
本実施例3において、回転子バー22Aが挿入される回転子スロット21Aの開口部の周方向幅Sは、回転子バー22A’が挿入される回転子スロット21A’の開口部の周方向幅Sより大きな値に設定される。これにより、回転子スロット21Aを径方向に長くしたことによる漏れ磁束の増加が抑制され、回転子バー22Aでの漏れリアクタンスの増加が抑制される。従って、力率の低下を抑制でき、一次電流の増加が防止される。
また、本実施例3では、回転子バー22A,22A’の周方向の幅は同じであるため、回転子バー22A,22A’が挿入される回転子スロット21A,21A’の周方向幅は同じである。ここで、回転子スロット21A,21A’の周方向幅をwとすれば、回転子バー22Aは、開口部においてティース先端部の周方向の片側における幅(w−S)/2の部分によって支持される。また、回転子バー22A’は、開口部においてティース先端部の周方向の片側における幅(w−S)/2の部分によって支持される。従って、S>Sであるから、長方形断面の長さが長い回転子バー22Aを支持するティース先端部の張り出し部分の幅は、回転子バー22A’を支持するティース先端部の張り出し部分よりも小さい。従って、回転子バー22Aを支持するティース先端部の張り出し部分の幅は、回転子バー22A’を支持するティース先端部の張り出し部分よりも撓みにくい。このため、誘導機の回転時に、回転子バー22A’よりも質量が大きな回転子バー22Aに回転子バー22A’よりも大きな遠心力が働いても、回転子バー22Aを確実に支持できる。従って、回転子の機械的強度が向上するので、誘導機の強度信頼性が向上する。
なお、図示されない回転子鉄心抑えなどの他の構成は、実施例1と同様である。
実施例3によれば、回転子鉄心の磁気飽和を抑えながら回転子バーの総断面積を増大して二次銅損を低減しながらも、回転子鉄心へ十分な面圧をかけて回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。さらに、回転子における漏れ磁束を低減し、力率の低下を抑制できると共に、回転子の強度を向上できる。従って、誘導機の効率および強度信頼性を共に向上できる。
図10は、本発明の実施例4である誘導機の回転子の部分断面図を示す(図1のA−A’断面に相当)。以下、主に実施例1,3と異なる点について説明する。
本実施例4においては、実施例3(図9)における回転子バー22Aの周方向の幅Wが回転子バー22A’の周方向幅Wよりも大きな値に設定される(W>W)。これにより回転子バー22Aの長方形断面の径方向長さを回転子バー22A’の長方形断面の径方向長さよりも長くすることに伴う回転子バー22Aの漏れインダクタンスの増加が抑制される。これは、回転子バーの漏れインダクタンスが、回転子バー断面の径方向の長さに比例し、かつ回転子バーの周方向幅に反比例することに基づく。
なお、図示されない回転子鉄心抑えなどの他の構成は、実施例1と同様である。また、実施例3と同様の回転子スロット開口部の構成を有するので、回転子スロットにおける漏れ磁束を低減できる。
実施例4によれば、回転子鉄心の磁気飽和を抑えながら回転子バーの総断面積を増大して二次銅損を低減しながらも、回転子鉄心へ十分な面圧をかけて回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。さらに、回転子における漏れインダクタンスの増加を抑制し、力率の低下を抑制できる。従って、誘導機の効率および強度信頼性を共に向上できる。
なお、回転子バー22A,22A’の断面形状が長方形(矩形)以外の形状の場合、それぞれの周方向の幅の平均値W1AV,W2AVが、上記のW,Wと同様に、W2AV>W2AVとなる様にすればよい。
図11a〜bは、本発明の実施例5である誘導機の回転子を示す。図11aおよび図11bは、それぞれ、回転子端部、図11aにおけるA−A’断面を示す。以下、主に実施例1と異なる点について説明する。
本実施例5においては、回転子バー22Aが挿入される回転子スロット21Aの一部領域の内壁と回転子バー22Aとの間に空隙が設けられ、この空隙が通風孔27’となる。なお、通風孔27’の外形形状は、通風孔27と径寸法を同じくする円弧状としている。これにより、通風孔の加工が容易になり生産性が向上する。
本実施例5によれば、ティースの付け根部という狭い領域において、ティースの付け根部の周方向幅の縮小を抑えながら、回転子バー22Aを冷却する通風孔を設けることができる。従って、回転子鉄心の磁気飽和を抑制しながら、誘導機の冷却効率を向上することができる。また、通風孔27’と回転子スロット21Aが一体化されるので、回転子バー22Aが直接、冷却風に接触する。これにより、回転子バー22Aの積極的な冷却が可能となり、回転子バー22Aの発熱による温度上昇を低減できる。このため、温度上昇に伴う回転子バー22Aの抵抗増が抑制されるので、二次銅損が低減し、誘導機の効率が向上する。
なお、通風孔27’は、回転子スロット21Aの内周側に位置し、かつ最内周位置よりも外周側に位置することが好ましい。これにより、磁気飽和を抑制することができる。
図12a〜bは、図11a〜bに示す実施例5の変形例である誘導機の回転子を示す。図12aおよび図12bは、それぞれ、回転子端部、図12aにおけるA−A’断面を示す。以下、主に実施例5と異なる点について説明する。
本変形例においては、通風孔27’の外形形状が矩形である。このように、通風孔27’の外形形状は、実施例5のような円弧状に限らず、任意で良い。
実施例5並びにその変形例において、通風孔27’は、回転子鉄心24に設けられる全ての回転子スロット21Aに設けられる。これにより、冷却効率が向上する。なお、通風孔27’が設けられる回転子スロット21Aと通風孔27’が設けられない回転子スロット21Aが、回転子鉄心24の周方向に沿って交互に配置されても良い。
また、本実施例5およびその変形例における冷却方式は、図1に示すように、冷却ファン28によって、内気を循環させる空冷方式であるが(実施例1およびその変形例1〜7並びに実施例2〜4も同様)、このような空冷方式に限らず、油冷方式や水冷方式なども適用できる。
なお、図示されない回転子鉄心抑えなどの他の構成は、実施例1と同様である。
実施例5によれば、回転子鉄心の磁気飽和を抑えながら回転子バーの総断面積を増大して二次銅損を低減しながらも、回転子鉄心へ十分な面圧をかけて回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。さらに、誘導機の冷却効率が向上する。従って、誘導機の効率および信頼性を共に向上できる。
図13は、本発明の実施例6である誘導機の回転子の部分断面図を示す(図1のA−A’断面に相当)。以下、主に実施例1と異なる点について説明する。
本実施例6においては、回転子バー22Aよりも断面積が小さな回転子バー22A’に使用する導体の電気抵抗率ρを、回転子バー22A’よりも断面積が大きな回転子バー22Aに使用する導体の電気抵抗率ρよりも小さくする(ρ<ρ)。これにより、断面積が異なる回転子バー22Aおよび回転子バー22A’の抵抗値の差が低減される。従って、回転子バー22Aおよび回転子バー22A’の発熱量が均一化されるので、回転子導体の温度分布が均一化される。すなわち、回転子における局所的な温度上昇が防止できる。また、温度上昇に伴う回転子バーの軸方向への伸び量が均一化されるので、回転子バーとエンドリング23との接合部に加わる熱応力が緩和される。これらにより、誘導機の信頼性が向上する。
また、回転子バー22Aおよび回転子バー22A’を構成する導体として、互いに熱伝導率が異なる導体材料を用いても良い。この場合、回転子バー22A’を構成する導体の熱伝導率λを回転子バー22Aを構成する導体の熱伝導率λよりも大きくする(λ>λ)。なお、電気抵抗率ρおよびρは同じ値であっても良い。この場合も、ρ<ρの場合と同様に、誘導機の信頼性が向上する。
なお、図示されない回転子鉄心抑えなどの他の構成は、実施例1と同様である。
実施例6によれば、回転子鉄心の磁気飽和を抑えながら回転子バーの総断面積を増大して二次銅損を低減しながらも、回転子鉄心へ十分な面圧をかけて回転子バーやエンドリングの軸方向へのずれを抑制できる。さらに、回転子における温度分布が均一化できる。従って、誘導機の効率および信頼性を共に向上できる。
図14は、本発明の実施例7である誘導機駆動システムを示す。
本実施例7においては、電源40から供給される三相交流電力を、変換器41により、周波数や電圧が異なる三相交流電力に変換して、変換された三相交流電力によって誘導機1が回転駆動される。そして、誘導機1の回転出力によって、負荷42、例えば後述するような鉄道車両が駆動される。なお、変換器41としては、電源40から供給される三相交流電力をまず直流電力に変換した後、インバータ回路によって三相交流電力に変換する電力変換器や、電源40から供給される三相交流電力を、直流電力に変換することなく、直接、周波数や電圧が異なる三相交流電力に変換する、いわゆるマトリクスコンバータが適用できる。
誘導機1としては、上記実施例1およびその変形例1〜7、実施例2〜4、実施例5およびその変形例、実施例6のいずれかが適用される。このため、誘導機1における二次銅損が低減され、強度信頼性も向上できるため、誘導機駆動システムにおける電力損失が低減され、同システムを高効率化しつつ、強度信頼性も向上できる。
さらに、本実施例7によれば、誘導機1の回転子の二次抵抗を低減できるため、変換器41が出力する電圧波形に含有される時間高調波成分によって回転子バーに発生する損失(高調波二次銅損)を低減することができる。さらに、誘導機1の強度信頼性が向上されるため、誘導機1を高速回転に対する誘導機駆動システムの信頼性が向上する。
上述したように、本実施例7によれば、誘導機に発生する基本波成分の二次銅損(正弦波電圧入力時に生じる二次銅損)とともに、時間高調波成分の高調波二次銅損を低減できるため、誘導機駆動システムの電力損失を低減して同システムの効率が向上されるとともに、同システムの信頼性が向上する。
なお、変換器41は、電源電力として、三相交流電力を入力するものに限らず、単相交流電力や直流電力を入力するものでも良い。
図15は、本発明の実施例8である鉄道車両を示す。
図15に示すように、鉄道車両50は、台車53と、台車53に増速ギア51を介して車軸54によって回転可能に軸支される複数の車輪52と、増速ギア51を介して複数の車輪52に機械的に接続され、複数(4個)の車輪52を駆動する複数台(2台)の誘導機1を備える。このように、本実施例8の駆動系は、1軸1モータにて構成される。誘導機1は、図示されないが鉄道車両50に搭載される変換器と共に、前述した実施例7(図14参照)による誘導機駆動システムを構成する。従って、図14における誘導機1としては、前述した実施例1およびその変形例1〜7、実施例2〜4、実施例5およびその変形例、実施例6のいずれかが適用される。なお、本実施例8において、図示しない変換器は、架線や鉄道車両50に搭載される蓄電システムなどから電源電力を入力する。
鉄道車両50のように、移動体に誘導機1が搭載される製品は、他の製品に比べて、振動が加わることで経年劣化によって各構成部品に疲労や、部品間の緩みが生じやすい傾向にある。前述した実施例1〜6およびこれらの変形例が適用される誘導機1は、二次銅損低減により効率向上されると共に、回転子バーおよびエンドリングを含む回転子導体の経年変化による軸方向のずれが抑制されるので、鉄道車両50のエネルギー消費量が低減される共に強度信頼性が向上する。
本実施例8において、駆動系は、1軸1モータで2軸を駆動する駆動方式であり、計2台の誘導機を備えているが、これに限らず、他の駆動方式を用いて、1台あるいは3台以上の複数台の誘導機を備えるものでも良い。
なお、本発明は前述した実施例1〜8に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した各実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置き換えをすることが可能である。
例えば、複数種の回転子バー、あるいはこれらが挿入される複数種の回転子スロット21の断面形状は、径方向の長さが異なる複数の断面形状であれば、矩形や台形に限定されない。また、アルミダイカストロータのように、回転子鉄心における回転子スロットに充填されるアルミによって回転子バーを構成しても良い。さらに、上述した誘導機および誘導機駆動システムは、鉄道車両に限らず、誘導機でコンプレッサ等を駆動するポンプシステム、誘導機で掘削用のドリル等を駆動する掘削システム、誘導機で切粉用のミル等を駆動する切粉システム、誘導機でファンを駆動するファンシステム等にも適用できる。
1…誘導機
10…固定子
11…固定子鉄心
12…固定子スロット
13…固定子巻線
14…固定子鉄心抑え
20…回転子
21,21A,21A’…回転子スロット
22,22A,22A’,22A’’…回転子バー
23…エンドリング
24…回転子鉄心
25…シャフト
26…回転子鉄心抑え
27,27’…通風孔
28…冷却ファン
29…リテイニングリング
30…軸受
40…電源
41…変換器
42…負荷
50…鉄道車両
51…増速ギア
52…車輪
53…台車

Claims (14)

  1. 固定子巻線を有する固定子と、
    軸方向に積層される複数の電磁鋼板から成る回転子鉄心と、前記複数の電磁鋼板を固定する略円環状の回転子鉄心抑えと、前記回転子鉄心に設けられる複数の回転子スロットに挿入される複数の回転子バーと、前記複数の回転子バーの軸方向の端部において前記複数の回転子バーを電気的に接続するエンドリングと、を有し、空隙を介して前記固定子と対向する回転子と、
    を備える誘導機において、
    前記複数の回転子バーは、軸方向の端部に切り欠きを有する第1の回転子バーを含み、
    前記複数の回転子スロットは、前記第1の回転子バーが挿入される第1の回転子スロットを含み、
    前記回転子鉄心抑えの外径が、前記第1の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径よりも大きく、
    前記複数の回転子バーは、軸方向に垂直な断面の形状が前記第1の回転子バーとは異なる第2の回転子バーを含み、
    前記複数の回転子スロットは、前記第2の回転子バーが挿入される第2の回転子スロットを含み、
    前記第2の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径は、前記第1の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径よりも大きく、かつ前記回転子鉄心抑えの外径よりも大きいことを特徴とする誘導機。
  2. 請求項1に記載の誘導機において、
    前記回転子鉄心抑えは、前記複数の回転子バーに干渉しないことを特徴とする誘導機。
  3. 請求項1に記載の誘導機おいて、
    前記切り欠きが前記回転子鉄心外に位置することを特徴とする誘導機。
  4. 請求項1に記載の誘導機において、
    前記回転子鉄心抑えは、前記複数の回転子バーの軸方向の端部間に延びる櫛歯状部を有することを特徴とする誘導機。
  5. 請求項1に記載の誘導機において、
    前記複数の回転子バーは、軸方向に垂直な断面の形状が前記第1の回転子バーおよび前記第2の回転子バーとは異なる第3の回転子バーを含み、
    前記複数の回転子スロットは、前記第3の回転子バーが挿入される第3の回転子スロットを含み、
    前記第3の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径は、前記第1の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径よりも大きく、かつ前記第2の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径よりも小さいことを特徴とする誘導機。
  6. 請求項に記載の誘導機において、
    前記複数の回転子バーの前記回転子内における軸方向に垂直な断面形状における周方向の幅が、外周から内周に向かうにしたがって小さくなることを特徴とする誘導機。
  7. 請求項1に記載の誘導機において、
    前記第1の回転子バーおよび前記第2の回転子バーは、周方向に沿って交互に配置され
    前記第2の回転子バーを挟んで隣り合う二つの前記第1の回転子スロット間の最内周位置における距離(T )は、前記第2の回転子スロットの最内周位置と、前記第2の回転子バーと隣り合う前記第1の回転子バーが挿入される前記第1の回転子スロットとの周方向の距離(T )の2倍以上であること(T ≧2T を特徴とする誘導機。
  8. 請求項に記載の誘導機において、
    前記第1の回転子スロットの開口部の周方向の幅(S )が、前記第2の回転子スロットの開口部の周方向の幅(S )よりも大きいこと(S >S を特徴とする誘導機。
  9. 請求項に記載の誘導機において、
    前記第1の回転子バーの周方向の幅(W )が、前記第2の回転子バーの周方向の幅(W )よりも大きいこと(W >W を特徴とする誘導機。
  10. 請求項に記載の誘導機において、
    前記第1の回転子スロット内に通風孔が設けられていることを特徴とする誘導機。
  11. 請求項1に記載の誘導機において、
    前記第2の回転子バーの電気抵抗率(ρ )が前記第1の回転子バーの電気抵抗率(ρ )よりも小さいこと(ρ <ρ を特徴とする誘導機。
  12. 請求項に記載の誘導機において、
    前記第2の回転子バーの熱伝導率(λ )が前記第1の回転子バーの熱伝導率(λ )よりも大きいこと(λ >λ を特徴とする誘導機。
  13. 電源から入力する電力を三相交流電力に変換して出力する変換器と、前記変換器が出力する前記三相交流電力によって回転駆動される誘導機と、を備える誘導機駆動システムにおいて、
    前記誘導機は、
    固定子巻線を有する固定子と、
    軸方向に積層される複数の電磁鋼板から成る回転子鉄心と、前記複数の電磁鋼板を固定する略円環状の回転子鉄心抑えと、前記回転子鉄心に設けられる複数の回転子スロットに挿入される複数の回転子バーと、前記複数の回転子バーの軸方向の端部において前記複数の回転子バーを電気的に接続するエンドリングと、を有し、空隙を介して前記固定子と対向する回転子と、
    を備え、
    前記複数の回転子バーは、軸方向の端部に切り欠きを有する第1の回転子バーを含み、 前記複数の回転子スロットは、前記第1の回転子バーが挿入される第1の回転子スロットを含み、
    前記回転子鉄心抑えの外径が、前記第1の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径よりも大きく、
    前記複数の回転子バーは、軸方向に垂直な断面の形状が前記第1の回転子バーとは異なる第2の回転子バーを含み、
    前記複数の回転子スロットは、前記第2の回転子バーが挿入される第2の回転子スロットを含み、
    前記第2の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径は、前記第1の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径よりも大きく、かつ前記回転子鉄心抑えの外径よりも大きいことを特徴とする誘導機駆動システム。
  14. 台車と、前記台車に回転可能に軸支される複数の車輪と、前記複数の車輪を駆動する誘導機を備える鉄道車両において、
    前記誘導機は、
    固定子巻線を有する固定子と、
    軸方向に積層される複数の電磁鋼板から成る回転子鉄心と、前記複数の電磁鋼板を固定する略円環状の回転子鉄心抑えと、前記回転子鉄心に設けられる複数の回転子スロットに挿入される複数の回転子バーと、前記複数の回転子バーの軸方向の端部において前記複数の回転子バーを電気的に接続するエンドリングと、を有し、空隙を介して前記固定子と対向する回転子と、
    を備え、
    前記複数の回転子バーは、軸方向の端部に切り欠きを有する第1の回転子バーを含み、
    前記複数の回転子スロットは、前記第1の回転子バーが挿入される第1の回転子スロットを含み、
    前記回転子鉄心抑えの外径が、前記第1の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径よりも大きく、
    前記複数の回転子バーは、軸方向に垂直な断面の形状が前記第1の回転子バーとは異なる第2の回転子バーを含み、
    前記複数の回転子スロットは、前記第2の回転子バーが挿入される第2の回転子スロットを含み、
    前記第2の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径は、前記第1の回転子バーの前記回転子鉄心内部における内径よりも大きく、かつ前記回転子鉄心抑えの外径よりも大きいことを特徴とする鉄道車両。
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