JP6508680B2 - 印刷用ブランケット - Google Patents

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Description

本発明は、倍胴型オフセット印刷機のブランケット胴に装着される印刷用ブランケットに関する。
従来、オフセット印刷機として、ブランケット胴の径が版胴の径の2倍である倍胴型の印刷機が知られている。
然るに、倍胴型オフセット印刷機においては、ブランケット胴が1回転する間に版胴が2回転するために、ブランケットを装着するためのブランケット胴の溝(ギャップ)と、印刷用版を装着するための版胴の溝(ギャップ)とが一致するように位置合わせして印刷を開始しても、版胴が1回転したときには、この版胴の溝が、ブランケット胴の溝の位置と反対側の位置(180°間隔をおいた周方向位置)におけるブランケットの表面と接触し、このとき、版胴の溝に堆積したインキや紙粉がブランケットの表面に受理され、これが印刷物(紙)に転移して、当該印刷物を汚すという問題がある。
このような問題を解決するための手段として、下記特許文献1には、版胴の溝(ギャップ)に接触することになるブランケットの表面に凹部を形成することが紹介されている。また、下記特許文献2には、版胴の溝(ギャップ)に接触することになるブランケットの表面に凹部を形成し、凹部の形状を維持しながら、凹部の表面にインキとの親和性の低いコーティング被膜を形成することが紹介されており、コーティング被膜としてシリコーンゴム、シリコーン樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂からなるものが記載されている。
特開2010−167616号公報 特開2000−6543号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のブランケットの製造時において、凹部を形成するための加工作業は煩雑である。
また、特許文献1および特許文献2に記載のブランケットをブランケット胴に装着してオフセット印刷を行う場合に、ブランケット表面に付与される圧力が凹部において急激に緩和され、このときのショックによって画像乱れ(ショック目)が生じる、という問題がある。なお、このような画像乱れは低速で印刷することによりある程度防止することができるが、それでは印刷効率の低下を招くことになり、好ましくない。
このような問題に対して、版胴の溝に接触することになるブランケットの表面に凹部を形成することなく、当該表面(平坦面)に、特許文献2に記載されているようなインキとの親和性の低いとされるコーティング被膜を形成することが考えられる。
しかしながら、本発明者が確認したところ、インキとの親和性の低いとされている種々のコーティング被膜は、何れもブランケットの表面(表面ゴム層)に対する密着性に劣り、印刷中に剥離してしまうものであった。
また、インキの受理を抑制する効果も不十分であり、依然として印刷物に汚れを生じた。特に、特許文献2でインキとの親和性の低いとされるフッ素系のコーティング被膜は、却ってインキを受理する傾向が大きかった。
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、版胴の溝(ギャップ)に堆積したインキや紙粉の転写による印刷物の汚れを発生させることがなく、このような印刷物の汚れ防止効果を長期にわたり安定的に発揮することができ、高速で印刷しても画像乱れ(ショック目)などを生じさせることのない印刷用ブランケットを提供することにある。
本発明の印刷用ブランケットは、複数枚の織布を貼り合わせてなる基布層と表面ゴム層とを備えてなり、倍胴型印刷機のブランケット胴に装着される平板状の印刷用ブランケットであって、
前記倍胴型印刷機による印刷時において版胴の溝に接触することになる前記表面ゴム層の平坦な表面(帯状の領域)に、表面張力の水素結合成分(γs h )が0.7mN/m以上である縮合硬化型のシリコーン系コーティング材料による硬化被膜が形成されていることを特徴とする。
このような構成の印刷用ブランケットによれば、表面ゴム層上に形成された硬化被膜が、表面張力の水素結合成分(γs h )が0.7mN/m以上のシリコーン系の被膜であることにより、当該硬化被膜には優れた撥インキ性が発現され、これにより、ブランケット表面における硬化被膜の形成部分にはインキや紙粉が殆ど受理されなくなり、この結果、印刷物の汚れを確実に防止することができる。
また、表面ゴム層上に形成された硬化被膜が「縮合硬化型」のシリコーン系コーティング材料の硬化被膜であることにより、当該硬化被膜は、表面ゴム層に対する密着性が高く、耐久性に優れている。これにより、印刷物の汚れ防止効果を長期にわたり安定的に発揮することができる。
また、表面ゴム層の平坦な表面に硬化被膜が形成されていることにより、ブランケット表面に付与される圧力が当該硬化被膜の形成部分において急激に緩和されるようなことはないので、高速で印刷しても画像乱れ(ショック目)などを生じさせることはない。
本発明の印刷用ブランケットにおいて、前記硬化被膜の表面張力の水素結合成分(γs h )が1.0mN/m以上であること、特に1.1mN/m以上であることが好ましい。
本発明の印刷用ブランケットにおいて、前記硬化被膜の膜厚が5〜100μmであることが好ましい。
また、前記表面ゴム層を構成する原料ゴムがニトリルゴム(NBR)であることが好ましい。
本発明の印刷用ブランケットによれば、版胴の溝(ギャップ)に堆積したインキや紙粉の転写による印刷物の汚れを発生させることがなく、このような印刷物の汚れ防止効果を長期にわたり安定的に発揮することができ、高速で印刷しても画像乱れ(ショック目)などを生じさせることがない。
本発明の印刷用ブランケットの一実施形態を示す平面図である。 図1に示す印刷用ブランケットのII−II断面図である。 (1)は、インキ転移試験を受けるブランケットのサイズおよび被膜の形成領域を示す平面図であり、(2)は、被膜の耐久試験を受けるブランケットのサイズおよび被膜の形成領域を示す平面図である。 (1)は、インキ転移試験に使用する試験機の概略構成(胴の配置)を示す模式図であり、(2)は、被膜の耐久試験に使用する試験機の概略構成(胴の配置)を示す模式図である。 実施例1で得られたブランケットにおけるインキ転移試験の試験結果を示す写真である。
以下、本発明の印刷用ブランケットについて詳細に説明する。
図1および図2に示すブランケット100は、織布11、織布12および織布13を貼り合わせてなる基布層10と、発泡ゴムからなる圧縮層20と、織布からなる支持体層30と、ゴムからなる表面ゴム層40とを備えてなり、倍胴型印刷機のブランケット胴に装着される平板状の印刷用ブランケットであって、倍胴型印刷機による印刷時において版胴の溝(ギャップ)に接触することになる表面ゴム層40の表面(図1に示す帯状の領域)に、表面張力の水素結合成分(γs h )が0.7mN/m以上である縮合硬化型のシリコーン系コーティング材料による硬化被膜60が形成されているブランケットである。
図2において、51、52、53、54および55は、それぞれ接着ゴム層である。
ブランケット100の基布層10は、最下層の織布11と、中間層の織布12と、中間層の織布13とを貼り合わせてなる。織布11と織布12とは接着ゴム層51により接着され、織布12と織布13とは接着ゴム層52により接着されている。
基布層10を構成する織布11、織布12および織布13は、それぞれ、例えば綿糸による平織布よりなり、接着ゴム層51および接着ゴム層52は、それぞれ、ゴム糊(接着ゴム層形成用組成物)を乾燥・硬化させることにより形成される。ゴム糊を構成するゴム(原料ゴム)としては、特に限定されるものではないが、ニトリルゴム(NBR)を使用することが好ましい。
接着ゴム層54を介して基布層10(織布13)上に積層形成された圧縮層20は、ブランケット100に好適な圧縮特性を付与し、印圧を緩和して良好な印刷を可能にするための層である。かかる圧縮層20の構成材料としては、ニトリルゴムからなる発泡体(発泡ゴム)を例示することができる。発泡体は、連泡型であっても、独立気泡型であってもよい。接着ゴム層54は、ゴム糊(接着ゴム層形成用組成物)を乾燥・硬化させることにより形成される。ゴム糊を構成するゴム(原料ゴム)としては、特に限定されるものではないが、ニトリルゴム(NBR)を使用することが好ましい。
接着ゴム層55を介して圧縮層20上に積層形成された支持体層30は、例えば綿糸による平織布よりなり、接着ゴム層55は、ゴム糊(接着ゴム層形成用組成物)を乾燥・硬化させることにより形成される。ゴム糊を構成するゴム(原料ゴム)としては、特に限定されるものではないが、ニトリルゴム(NBR)を使用することが好ましい。
接着ゴム層53を介して支持体層30上に積層形成された表面ゴム層40を構成するゴム(原料ゴム)としては、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM・EPDM)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム(Q)、クロロプレンゴム(CR)などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
支持体層30と表面ゴム層40との間の接着ゴム層53は、ゴム糊(接着ゴム層形成用組成物)を乾燥・硬化させることにより形成される。ゴム糊を構成するゴム(原料ゴム)としては、特に限定されるものではないが、ニトリルゴム(NBR)を使用することが好ましい。
ブランケット100の表面ゴム層40には、ブランケット100をブランケット胴に巻き付ける際の巻き付け方向(長手方向)の中間において、ブランケット胴の軸方向(短手方向)に延びる帯状領域に沿って硬化被膜60が形成されている。
この硬化被膜60は、「シリコーン系」のコーティング材料を硬化させることによって形成された被膜である。
本発明者が確認したところ、フッ素系のコーティング材料によって形成される被膜は、後述する表面張力の水素結合成分(γs h )の値に関わらずインキを受理しやすい傾向があり、そのようなフッ素系の被膜を表面ゴム層40の表面に形成した場合には、版胴の溝(ギャップ)に堆積したインキを積極的に受理して紙に転写してしまう(後述する比較例6〜8参照)。
表面ゴム層40上に形成された硬化被膜60は、表面張力の水素結合成分(γs h )が0.7mN/m以上であり、好ましくは1.0mN/m以上、更に好ましくは1.1mN/m以上である。
本発明者が検討を重ねた結果、シリコーン系の硬化被膜によるインキ受理性は、当該被膜における表面張力の水素結合成分(γs h )の値に依存することが見出された。
後述する実施例の結果から明らかなように、表面張力の水素結合成分(γs h )が0.7mN/m以上、特に1.0mN/m以上となるシリコーン系の硬化被膜によってはじめて優れた撥インキ性が発現され、当該硬化被膜によるインキの受理を効果的に抑制することができる。これにより、表面ゴム層40の表面における硬化被膜60の形成部分にはインキや紙粉が殆ど受理されなくなり、この結果、印刷物の汚れを確実に防止することができる。
シリコーン系の硬化被膜であっても、表面張力の水素結合成分(γs h )が0.7mN/m未満である場合には、印刷物の汚れを防止することができない(後述する比較例2〜3参照)。
ここに、硬化被膜60により撥インキ性が発現されるインキとしては、特に限定されるものではなく、通常のオフセット印刷用として市販されている疎水性のインキを挙げることができる。
表面張力の水素結合成分(γs h )の値が高い(0.7mN/m以上、特に1.0mN/m以上である)ことにより、優れた撥インキ性が発現される理由としては明らかでないが、疎水性であるインキが硬化被膜に付着しにくくなるからではないかと推測される。
表面張力の水素結合成分(γs h )の値を高くする方法としては、例えば、シリコーン系コーティング材料として、水酸基を末端に有する低分子量の材料を使用し、形成される硬化被膜の表面に残留する水酸基を増加させる方法を挙げることができる。
本発明において、硬化被膜における表面張力の水素結合成分(γs h )の値は、北崎・畑の方法により求められる。
具体的には、表面エネルギー(γL )の分散成分(γL d )、配向成分(γL p )および水素結合成分(γL h )が既知である3種類の液体を用いて、硬化被膜の表面における各液体の接触角(θ)を測定し、下記に示す北崎・畑の理論式に代入して連立方程式を解くことにより、硬化被膜の表面張力(γs )の分散成分(γs d )および配向成分(γs p )とともに、水素結合成分(γs h )を求める。
Figure 0006508680
また、表面ゴム層40上に接触された硬化被膜60は、縮合硬化型のシリコーン系コーティング材料の硬化被膜(縮合硬化によって形成された被膜)である。
縮合硬化によって形成された硬化被膜60は、表面ゴム層40に対する密着性や耐油性が高く、長時間のオフセット印刷に供されても、表面ゴム層40から硬化被膜60が剥離することはなく、ブランケットとしての耐久性に優れる。これにより、印刷物の汚れ防止効果を長期にわたり安定的に発揮することができる。
過酸化物硬化型のシリコーン系コーティング材料は、空気により硬化反応が阻害される傾向があり、このため、印刷時に画像乱れを生じさせない程度に薄膜の硬化被膜を形成することができない(後述する比較例4参照)。
また、付加硬化型のシリコーン系コーティング材料は、表面ゴム層に含有される架橋剤などによって硬化反応が阻害される傾向があり、これにより、硬化被膜を形成することができない(後述する比較例5参照)。
硬化被膜60の幅としては、版胴の溝(ギャップ)の幅に対して1.5〜10倍程度とであることが好ましい。
硬化被膜の幅が狭すぎる場合には、印刷物の汚れ防止効果を十分に発揮することができない。他方、硬化被膜の幅が広すぎる場合には、印刷可能領域が狭くなるので好ましくない。
硬化被膜60の膜厚としては5〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは5〜20μmとされる。
この膜厚が過小である場合には、本発明の目的(印刷物の汚れ防止効果を長期にわたり安定的に発揮すること)を十分に達成できない場合がある。他方、この膜厚が過大である場合には、ブランケット表面に付与される圧力が硬化被膜の形成部において急激に変化して画像乱れ(ショック目)が生じるおそれがある。
硬化被膜60は、レジン系のコーティング剤を硬化して形成されたシリコーン樹脂からなるものであっても、ゴム系のコーティング剤を硬化して形成されたシリコーンゴムからなるものであってもよい。
硬化被膜60は、縮合硬化型のシリコーン系コーティング材料を表面ゴム層40の表面に塗布し、塗膜を硬化させることにより形成される。
ここに、コーティング材料の塗布方法としては特に限定されるものではなく、例えば、ローラやスプレーによる塗布、スクリーン印刷などを例示することができる。
また、硬化被膜60を得るための塗膜の硬化条件としては、通常、20〜150℃で10〜60分間とされ、好ましくは140〜150℃で10〜30分間とされる。
本実施形態のブランケット100によれば、表面ゴム層40上に形成された硬化被膜60が、表面張力の水素結合成分(γs h )が0.7mN/m以上、好ましくは1.0mN/m以上のシリコーン系の被膜であることにより、当該硬化被膜60には優れた撥インキ性が発現され、その形成部分においては版胴の溝(ギャップ)に堆積したインキや紙粉が殆ど受理されなくなり、この結果、これらが転写されることによる印刷物の汚れを確実に防止することができる。
また、表面ゴム層40上に形成された硬化被膜60が、「縮合硬化型」のシリコーン系コーティング材料の硬化被膜であることにより、この硬化被膜60は、表面ゴム層40に対する密着性が高くて耐久性に優れ、これにより、本実施形態のブランケット100によれば、印刷物の汚れ防止効果を長期にわたり安定的に発揮することができる。
また、この硬化被膜60は、倍胴型印刷機による印刷時に版胴の溝に接触することになる表面ゴム層40の平坦な表面に形成されており、この実施形態のブランケット100には、従来公知のブランケットのように凹部が形成されていない。
これにより、凹部を形成するための煩雑な加工作業が不要であるばかりでなく、ブランケット表面に付与される圧力が硬化被膜60の形成部分において急激に緩和されるようなことはないので、高速で印刷しても画像乱れ(ショック目)などを生じさせることはない。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
〔1〕ブランケットの製造:
3枚の織布を貼り合わせてなる基布層と、NBR系の発泡ゴムからなる圧縮層と、織布からなる支持体層と、NBRからなる表面ゴム層とを備えてなるブランケット本体(360mm×50mm)を準備し、長手方向(ブランケット胴に装着する際の巻き付け方向)の中間における表面ゴム層の表面(幅15mmの帯状の領域)に、縮合硬化型シリコーンコーティング剤(レジン系)(信越化学工業(株)製)を刷毛により塗布し、150℃のオーブンで10分間加熱することにより塗膜を硬化させて膜厚約10μmの硬化被膜を形成することにより、図2に示したような断面構成を有し、図3(1)に示すような平面形状(寸法)を有する本発明の印刷用ブランケットを製造した。
ここに、表面ゴム層40を構成するNBRの配合処方は下記のとおりである。
・Nipol 1042 :100.0質量部
・ノクラック ♯200 : 0.5質量部
・ステアリン酸 50S : 1.0質量部
・酸化亜鉛 : 5.0質量部
・ハクエンカCC : 30.0質量部
・酸化チタン JA−1 : 3.0質量部
・沈降硫黄 : 2.0質量部
・チオコールTP−95 : 15.0質量部
・ノクセラ CZ−G 3.0質量部
また、後述する耐久試験用のブランケットとして、ブランケット本体(842mm×150mm)の長手方向の中間における表面ゴム層の表面(幅15mmの帯状の領域)に、上記と同様にして硬化被膜を形成することにより、図2に示したような断面構成を有し、図3(2)に示すような平面形状(寸法)を有する本発明の印刷用ブランケットを製造した。
〔2〕硬化被膜の接触角および表面張力の測定:
表面エネルギー(γL )の分散成分(γL d )、配向成分(γL p )および水素結合成分(γL h )が既知である下記表1に示す3種類の液体を用い、表面ゴム層上に形成した硬化被膜の表面における各液体の接触角(θ)を測定した。
接触角(θ)の測定は、「自動接触角計DM−501」(協和界面科学社製)を使用し、硬化被膜の表面に2μLの液滴を着滴してから1秒後の静止画を取り込み、楕円フィッティング法にてフィッティングすることにより行った。

Figure 0006508680
次いで、各液体について測定した接触角(θ)(n=5の平均値)、並びに当該液体の表面エネルギー(γL )の分散成分(γL d )、配向成分(γL p )および水素結合成分(γL h )を上記の北崎・畑の理論式に代入して連立方程式を解くことにより、硬化被膜の表面張力(γs )の分散成分(γs d )、配向成分(γs p )、水素結合成分(γs h )の値を求めた。
硬化被膜の表面における各液体の接触角(θ)の測定結果(n=5の平均値)、およびこれらの測定結果に基づく硬化被膜の表面張力(γs )の各成分の値を下記表2に示す。
<実施例2>
縮合硬化型シリコーンコーティング剤(レジン系)に代えて、縮合硬化型シリコーンコーティング剤(ゴム系)(信越化学工業(株)製)を、ブランケット本体の表面ゴム層の表面に塗布して硬化被膜を形成したこと以外は実施例1〔1〕と同様にして、図2に示したような断面構成を有するブランケットであって、図3(1)に示すような平面形状(寸法)を有する本発明の印刷用ブランケットおよび図3(2)に示すような平面形状(寸法)を有する本発明の印刷用ブランケットを製造した。
また、実施例1〔2〕と同様にして、各液体の接触角(θ)を測定し、硬化被膜の表面張力(γs )の分散成分(γs d )、配向成分(γs p )、水素結合成分(γs h )の値を求めた。
硬化被膜の表面における各液体の接触角(θ)の測定結果、およびこれらの測定結果に基づく硬化被膜の表面張力(γs )の各成分の値を下記表2に示す。
<比較例1>
表面ゴム層上に被膜が形成されていない印刷用ブランケットとして、実施例1で使用したブランケット本体(360mm×50mm)を比較例1に係る印刷用ブランケットとした。
<比較例2>
縮合硬化型シリコーンコーティング剤(レジン系)に代えて、シランカップリング剤「KBE−903」(信越化学工業(株)製)をブランケット本体の表面ゴム層の表面に塗布して硬化被膜を形成したこと以外は実施例1〔1〕と同様にして、図3(1)に示すような平面形状(寸法)を有する印刷用ブランケットを製造した。
また、実施例1〔2〕と同様にして、各液体の接触角(θ)を測定し、硬化被膜の表面張力(γs )の分散成分(γs d )、配向成分(γs p )、水素結合成分(γs h )の値を求めた。
硬化被膜の表面における各液体の接触角(θ)の測定結果、およびこれらの測定結果に基づく硬化被膜の表面張力(γs )の各成分の値を下記表2に示す。
<比較例3>
縮合硬化型シリコーンコーティング剤(レジン系)に代えて、シランカップリング剤「Si−75」(エポニック・デグサジャパン社製)を、ブランケット本体の表面ゴム層の表面に塗布して硬化被膜を形成したこと以外は実施例1〔1〕と同様にして、図3(1)に示すような平面形状(寸法)を有する印刷用ブランケットを製造した。
また、実施例1〔2〕と同様にして、各液体の接触角(θ)を測定し、硬化被膜の表面張力(γs )の分散成分(γs d )、配向成分(γs p )、水素結合成分(γs h )の値を求めた。
硬化被膜の表面における各液体の接触角(θ)の測定結果、およびこれらの測定結果に基づく硬化被膜の表面張力(γs )の各成分の値を下記表2に示す。
<比較例4>
「TSE−260−5U」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)100質量部と、「TC12K」(同社製)2質量部と、トルエンとを混合してなる、粘度が200dPa・secの過酸化物硬化型シリコーンコーティング剤(ゴム系)を調製した。
縮合硬化型シリコーンコーティング剤(レジン系)に代えて、上記のようにして得られた過酸化物硬化型シリコーンコーティング剤を、ブランケット本体の表面ゴム層の表面に塗布し、150℃のオーブンで10分間加熱したが塗膜を硬化させることができなかった。これは、空気により塗膜の硬化反応が阻害されたためと推測される。
<比較例5>
縮合硬化型シリコーンコーティング剤(レジン系)に代えて、付加硬化型のシリコーンコーティング剤(ゴム系)「KE−1935」(信越化学工業(株)製)を、ブランケット本体の表面ゴム層の表面に塗布し、150℃のオーブンで10分間加熱したが塗膜を硬化させることができなかった。これは、表面ゴム層に含有される架橋剤(硫黄)などにより、塗膜の硬化反応が阻害されたためと推測される。
<比較例6>
縮合硬化型シリコーンコーティング剤(レジン系)に代えて、特開2003−253022号公報の実施例に記載されているフッ素系の表面処理剤を、ブランケット本体の表面ゴム層の表面に塗布し、150℃のオーブンで10分間加熱して被膜を形成したこと以外は実施例1〔1〕と同様にして、図3(1)に示すような平面形状(寸法)を有する印刷用ブランケットを製造した。
また、実施例1〔2〕と同様にして、各液体の接触角(θ)を測定し、硬化被膜の表面張力(γs )の分散成分(γs d )、配向成分(γs p )、水素結合成分(γs h )の値を求めた。
硬化被膜の表面における各液体の接触角(θ)の測定結果、およびこれらの測定結果に基づく硬化被膜の表面張力(γs )の各成分の値を下記表2に示す。
<比較例7>
縮合硬化型シリコーンコーティング剤(レジン系)に代えて、フッ素系の表面処理剤「FC−102 ニューTFEコート」(ファインケミカルジャパン社製)を、ブランケット本体の表面ゴム層の表面に塗布し、150℃のオーブンで10分間加熱して被膜を形成したこと以外は実施例1〔1〕と同様にして、図3(1)に示すような平面形状(寸法)を有する印刷用ブランケットを製造した。
また、実施例1〔2〕と同様にして、各液体の接触角(θ)を測定し、硬化被膜の表面張力(γs )の分散成分(γs d )、配向成分(γs p )、水素結合成分(γs h )の値を求めた。
硬化被膜の表面における各液体の接触角(θ)の測定結果、およびこれらの測定結果に基づく硬化被膜の表面張力(γs )の各成分の値を下記表2に示す。
<比較例8>
縮合硬化型シリコーンコーティング剤(レジン系)に代えて、フッ素系の表面処理剤「FC−250」(ファインケミカルジャパン社製)を、ブランケット本体の表面ゴム層の表面に塗布し、150℃のオーブンで10分間加熱して被膜を形成したこと以外は実施例1〔1〕と同様にして、図3(1)に示すような平面形状(寸法)を有する印刷用ブランケットを製造した。
また、実施例1〔2〕と同様にして、各液体の接触角(θ)を測定し、硬化被膜の表面張力(γs )の分散成分(γs d )、配向成分(γs p )、水素結合成分(γs h )の値を求めた。
硬化被膜の表面における各液体の接触角(θ)の測定結果、およびこれらの測定結果に基づく硬化被膜の表面張力(γs )の各成分の値を下記表2に示す。
<インキ転移試験>
実施例1〜2、比較例1〜3、比較例6〜8で得られたブランケット(360mm×50mm)の各々についてインキの転移試験を行った。
具体的には、インキ転移試験機(IGT製)を使用し、図4(1)に示すように、疎水性の商業用インキ(藍)による均一なインキ層71が形成されたインキローラ72を、ブランケット胴73に装着したブランケット74(サンプル)に接触させるとともに、このブランケット74に、紙胴75に装着した紙(図示省略)を接触させ、インキローラ72、ブランケット胴73および紙胴75を回転させ、これにより、インキ層71におけるインキの一部を、インキローラ72からブランケット74に受理させ、ブランケット74が受理したインキの一部を、更に紙に転移させた。
そして、被膜の形成部分におけるインキ受理の程度(被膜の撥インキ性)および被膜から紙へのインキ転移の程度を観察することで、当該被膜による紙への汚れ防止性能を評価した。結果を下記表2に併せて示す。
また、実施例1で得られたブランケットについて、転移試験後のブランケット表面を撮影した写真を図5(1)に示し、紙を撮影した写真を図5(2)に示す。
評価基準は下記のとおりである。但し、表面ゴム層上に被膜が形成されていない比較例1で得られたブランケットについては、紙へのインキ転移の程度のみ観察した。
〔評価基準〕
「○」:ブランケット表面において、被膜の形成部分のインキ濃度がきわめて低く、被膜の撥インキ性が十分に認められる。また、紙へのインキの転移が殆ど認められない。
「△」:ブランケット表面において、被膜の形成部分のインキ濃度が低く、被膜の撥インキ性が認められる。また、紙への転移は認められるが、実用上許容できる程度である。 「×」:ブランケット表面において、被膜の形成部分のインキ濃度が、被膜の非形成部分のインキ濃度と同程度か、非形成部分より高濃度である。また、紙への転移が顕著に認められる。
<被膜の耐油性>
実施例1〜2、比較例2〜3、比較例6〜8で得られたブランケット(360mm×50mm)の各々について、被膜の耐油性を評価した。
具体的には、ブランケットを、油性インキ洗浄剤「ブランクリンV」(ニッカー(株)製)に1時間浸漬した後、被膜の形成部分を目視観察を行って膨潤、欠落、変色の有無を確認し、更に、ウエスで擦って剥離が生じるか否かを確認した。
耐油性の評価基準としては、膨潤、欠落、変色、剥離などの異常が認められた場合を「×」とし、認められなかった場合を「○」とした。結果を下記表2に併せて示す。
<被膜の耐久試験>
実施例1〜2で得られたブランケット(842mm×150mm)の各々について、被膜の耐久試験を行った。
具体的には、図4(2)に示すように、ブランケット胴83に装着したブランケット84(サンプル)に圧胴85を接触させ、更に0.3mm追い込んだ状態で、ブランケット胴83を回転速度15rpmで100万回にわたり回転させた。その後、ブランケット84を取り外して硬化被膜の状態を観察した。
耐久性の評価基準としては、硬化被膜の剥離などが認められた場合を「×」とし、認められなかった場合を「○」とした。結果を下記表2に併せて示す。

Figure 0006508680
※1:信越化学工業(株)製
※2:信越化学工業(株)製
※3:「KBE−903」信越化学工業(株)製
※4:「Si−75」エポニック・デグサジャパン社製
※5:「TSE−260−5U」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)100質量部と、「TC12K」(同社製)2質量部と、トルエンとの混合物。
※6:「KE−1935」信越化学工業(株)製
※7:藤倉ゴム工業(株)製
※8:「FC−102 ニューTFEコート」(ファインケミカルジャパン社製)
※9:「FC−250」(ファインケミカルジャパン社製)
※10:被膜の表面における蒸留水の接触角(θ)
※11:被膜の表面における1−ブロモナフタレンの接触角(θ)
※12:被膜の表面における1,1,2,2−テトラブロモエタンの接触角(θ)
100 ブランケット
10 基布層
11 織布(最下層)
12 織布(中間層)
13 織布(中間層)
20 圧縮層
30 支持体層
40 表面ゴム層
51 接着ゴム層
52 接着ゴム層
53 接着ゴム層
54 接着ゴム層
55 接着ゴム層
60 硬化被膜
71 インキ層
72 インキローラ
73 ブランケット胴
74 ブランケット(サンプル)
75 紙胴
83 ブランケット胴
84 ブランケット(サンプル)
85 圧胴

Claims (5)

  1. 複数枚の織布を貼り合わせてなる基布層と表面ゴム層とを備えてなり、倍胴型印刷機のブランケット胴に装着される平板状の印刷用ブランケットであって、
    前記倍胴型印刷機による印刷時において版胴の溝に接触することになる前記表面ゴム層の平坦な表面に、表面張力の水素結合成分(γs h )が0.7mN/m以上である縮合硬化型のシリコーン系コーティング材料による硬化被膜が形成されていることを特徴とする印刷用ブランケット。
  2. 前記硬化被膜の表面張力の水素結合成分(γs h )が1.0mN/m以上であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用ブランケット。
  3. 前記硬化被膜の表面張力の水素結合成分(γs h )が1.1mN/m以上であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用ブランケット。
  4. 前記硬化被膜の膜厚が5〜100μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の印刷用ブランケット。
  5. 前記表面ゴム層を構成する原料ゴムがニトリルゴム(NBR)であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の印刷用ブランケット。
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