JP6508433B2 - 紫外線処理装置 - Google Patents
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Description
光処理装置として利用される紫外線処理装置の或る種のものは、図8に示すように、上壁71Aに石英ガラスよりなる紫外線透過性窓部材73が設けられた筐体71を備えており、この筐体71の内部に、紫外線ランプ80が配設された構成とされている(例えば、特許文献1参照。)。紫外線透過性窓部材73は、筐体71の上壁71Aに形成された開口部を塞ぐように設けられており、周縁部が枠状の固定板78によって固定されている。筐体71の内部には、冷却用ガスが流通されるガス流路形成部材75が設けられている。この紫外線処理装置においては、2つの矩形筒状のガス流路形成部材75が筐体71における上壁71Aの内面および筐体71における両側壁71B,71Cの内面に接する状態で、設けられている。各々のガス流路形成部材75の内部空間は、筐体71の上面における紫外線透過性窓部材73の周囲に開口するガス供給口74に連続している。
この紫外線処理装置においては、被処理物Wであるナノインプリント用テンプレートが、テンプレート保持機構79によって保持されることにより、被処理物Wが紫外線透過性窓部材73と離間した状態で紫外線透過性窓部材73と対向するように配置される。そして、被処理物Wの被処理面Wa(具体的には、ナノインプリント用テンプレートの表面)に対して、紫外線ランプ80からの光(紫外線)が紫外線透過性窓部材73を介して照射される。また、被処理物Wの被処理面Waに対して紫外線ランプ80からの光が照射されている間、すなわち光洗浄処理中には、冷却用ガスが被処理物Wと紫外線透過性窓部材73との間の間隙に供給される。冷却用ガスは、図示しないガス供給源より各々のガス流路形成部材75の内部に導入される。ガス流路形成部材75の内部に導入された冷却用ガスは、ガス供給口74を介して被処理物Wと紫外線透過性窓部材73との間の間隙に供給される。そして、冷却用ガスが当該間隙を流通されることにより、被処理物Wおよび紫外線透過性窓部材73が冷却される。特に、冷却用ガスとして、紫外線が照射されることによってオゾンが生成されるガス(以下、「オゾン生成源ガス」ともいう。)を用いた場合においては、冷却用ガスに紫外線が照射されることによってオゾンが生成される。その結果、被処理面Waにおいては、当該被処理面Waに到達する紫外線の作用、および生成されたオゾンの作用により、光洗浄処理が行われる。
このようにして光洗浄処理が行われることにより、ナノインプリント用テンプレートの表面、具体的にはスタンプ部(パターン部分)に付着していた光硬化性樹脂などの残渣が除去される。
具体的に説明すると、タッチパネルの製造工程およびバイオチップの製造工程においては、被処理物の表面に、親水性を有する親水性領域(活性化領域)と疎水性を有する疎水性領域(非活性化領域)とを形成する必要がある。すなわち、被処理物の表面に、洗浄処理を必要とする被処理領域と、洗浄処理が不要な処理禁止領域とが存在する。また、半導体の製造工程における、ペリクル付きレチクル(防護保護膜付きフォトマスク)を洗浄処理する場合においても、被処理物の表面に、洗浄処理を必要とする被処理領域と、洗浄処理が不要な処理禁止領域とが存在する。
また、処理禁止領域に対して紫外線ランプからの光(紫外線)が照射されることのないように遮光部材を設けた場合においても、被処理領域上(被処理領域上の空間)において紫外線ランプからの光により発生したオゾンが処理禁止領域上に拡散する。このため、当該処理禁止領域においても不所望な処理が行われてしまう、という問題もある。このような問題は、冷却用ガスとしてオゾン生成源ガスを用いる場合において顕著である。
前記被処理物における前記被処理領域以外の処理禁止領域の形状に対応する形状を有する、前記紫外線ランプからの光を遮光する遮光部材が、当該処理禁止領域と対向し、かつ当該被処理物と離間するように設けられており、
前記遮光部材には、当該遮光部材と前記被処理物との間の間隙にパージガスを供給するパージガス供給口が設けられていることを特徴とする。
前記ガス供給口が、前記遮光部材の前記被処理物に対向する面に開口するよう形成された構成とされている場合には、前記ガス供給口と被処理物との間に、当該被処理物の表面における処理禁止領域に対向してガス流制御板が設けられていることが好ましい。
当該被処理物は、前記凸部分が前記遮光部材における周壁部によって囲まれた空間内に位置された状態で、当該周壁部の開口端面と間隙を介して配置されることが好ましい。
前記遮光部材は、処理室内において前記隔壁の表面上の前記紫外線透過性窓部材に近接した位置に設けられており、
前記処理室を画成する処理室筐体には、処理用雰囲気ガスを当該処理室内に供給するための処理用雰囲気ガス供給口が設けられていることが好ましい。
さらにまた、前記処理用雰囲気ガスとして、前記紫外線ランプからの光が照射されることによりオゾンが生成されるガスを用いることができる。
従って、本発明の紫外線処理装置によれば、被処理物の表面における処理禁止領域に対して紫外線が照射されることがなく、かつ生成されたオゾンが処理禁止領域に接触することもないため、当該処理禁止領域に対する不所望な表面処理が行われることを回避することができる。すなわち、被処理物の表面における被処理領域に対してのみ所期の表面処理を行うことができるため、高い信頼性をもって被処理物の表面を部分的に処理することができる。
図1は、本発明の第1の紫外線処理装置の構成の一例の概略を、被処理物と共に示す説明用断面図であり、図2は、図1の第1の紫外線処理装置における処理室の構成を示す説明用平面図であり、図3は、図1の第1の紫外線処理装置における遮光部材の構成を示す説明用斜視図である。また、図4は、図1の紫外線処理装置によって処理される被処理物の構成を概略的に示す説明図である。
第1の紫外線処理装置10は、例えばペリクル付きレチクル(防護保護膜付きフォトマスク)を被処理物Wとし、ペリクル付きレチクルの表面を部分的に処理するために用いられる。具体的には、第1の紫外線処理装置10は、ペリクル付きレチクルの表面における少なくともペリクルが設けられた領域を処理禁止領域とし、当該処理禁止領域以外の領域を選択的にドライ洗浄処理するために用いられる。
この例の被処理物Wにおいては、当該被処理物Wの表面におけるペリクルW2が形成された領域と、ペリクルW2の形成領域の周囲を囲むレチクルW1の表面における矩形細環状領域とを含む長手方向に伸びる矩形状の領域が、処理禁止領域T1とされている。また、レチクルW1の表面における処理禁止領域T1の幅方向両側に位置された矩形帯状の領域の各々が、被処理領域T2(被処理面Wa)とされている。被処理領域T2を構成する2つの矩形帯状の領域は、被処理物Wの長手方向に伸びる側縁を含む領域である。図4において、処理禁止領域T1は、一点鎖線で囲まれた領域を示し、被処理領域T2は、二点鎖線で囲まれた領域を示す。
被処理物Wの一構成例を示すと、レチクルW1の縦横寸法は、例えば152mm×152mmであり、被処理領域T2の幅方向(図4(a)における左右方向)の寸法が例えば15mmであって、被処理領域T2の長手方向(図4(a)における上下方向)の寸法が例えば136mmである。
ランプ室筐体11の開口端面には、当該開口を塞ぐように矩形平板状の隔壁13が気密に設けられている。
隔壁13の上面には、上方開口が矩形平板状の蓋部材23によって閉塞された矩形枠状の処理室筐体21が配置されており、これにより、被処理物Wが配置される処理室S1が形成されている。この例における処理室筐体21は、長手方向の寸法がランプ室筐体11の長手方向の寸法より小さく、幅方向の寸法は、ランプ室筐体11の幅方向の寸法と同一の大きさとされている。この処理室筐体21は、長手方向一端側に位置された幅方向に伸びる一方の端壁22Aの外面の位置が、ランプ室筐体11における長手方向一端側に位置された幅方向に伸びる一方の端壁の外面の位置と一致した状態で、配置されている。また、長手方向に伸びる一対の側壁22B,22Dの各々の外面の位置が、ランプ室筐体11の長手方向に伸びる一対の側壁12A,12Bの各々の外面の位置と一致した状態とされている。
処理室筐体21の一方の端壁22Aには、被処理物Wを処理室S1に搬入および搬出するための搬入搬出口(図示省略)が設けられている。この搬入搬出口には、シャッター(図示省略)が設けられている。
また、各々のランプ室S2,S3には、当該ランプ室S2,S3内を例えば窒素ガスなどの不活性ガスによってパージする不活性ガスパージ手段(図示省略)が設けられている。
この図の例における紫外線ランプ40A,40Bは、互いに同一種類かつ同一形状のものである。また、紫外線ランプ40A,40Bは、それぞれ対応する紫外線透過性窓部材15A,15Bとの離間距離が同等の大きさとなるように配置されている。
そして、処理用雰囲気ガス供給口28には、処理室S1の外部に設けられた処理用雰囲気ガス供給手段(図示省略)が接続されている。
この図の例において、処理室S1には、被処理物Wを処理する過程において発生したオゾンを排気する排気管27が、処理室筐体21の他方の側壁22Dに沿って伸びるように設けられている。この排気管27は、処理室筐体21の他方の端壁22Cにおける他方の側壁22Dに接近した位置に形成された貫通孔よりなる排気口29を介して、処理室S1の外部に設けられたオゾン排気手段(図示省略)に接続されている。
例えば、被処理物Wの処理にオゾンの作用を利用する場合には、処理用雰囲気ガスとして紫外線が照射されることによってオゾンが生成されるガス(オゾン生成源ガス)が用いられる。ここに、オゾン生成源ガスの具体例としては、例えば酸素ガスおよびCDA(Clean Dry Air)などを例示することができる。また、処理用雰囲気ガスとしては、被処理物Wの処理にオゾンの作用を利用しない場合には、窒素ガスなどの不活性ガスが用いられる。処理用雰囲気ガスとして不活性ガスが用いられることにより、紫外線ランプ40A,40Bからの光に含まれる紫外線(真空紫外線)が酸素に吸収されることに起因して被処理物Wに対する紫外線照射量が低下することを抑制することができる。
また、処理用雰囲気ガスとしては、酸素ガス、CDAおよび不活性ガスの少なくとも2種の混合ガスを用いることもできる。
この例における被処理物保持部材は、紫外線透過性窓部材15A,15Bの両端の長手方向外方側の位置にそれぞれ配置された4つの載置台25により構成されている。各々の載置台25は、L字状の外観形状を有しており、長手方向に伸びる角柱状の支持部の平坦な上面によって載置面25Aが形成されている。各々の載置台25の載置面25Aは、同一水平面上に位置されている。よって、被処理物Wが4つの載置台25の載置面25Aによって支持されることにより、被処理物Wが、被処理面Waがそれぞれ対応する紫外線透過性窓部材15A,15Bの光出射面と互いに対向して平行に伸びる姿勢で、紫外線透過性窓部材15A,15Bと間隙を介して配置される。
照射距離調整機構は、例えばリフターにより構成されており、処理室S1内における紫外線透過性窓部材15A,15Bの両端の各々の長手方向外方側の位置において、互いに対向して幅方向に伸びるように配置された2つの長尺な矩形柱状の載置台固定部材26を備えている。各々の載置台固定部材26の一端部は、一方の紫外線透過性窓部材15Aが配設された幅方向位置に位置されており、他端部は、他方の紫外線透過性窓部材15Bが配設された幅方向位置に位置されている。各々の載置台固定部材26の上面における両端の各々に、載置台25が載置面25Aが上方を向く姿勢で固定されている。
各々の載置台固定部材26の下面における略中央位置には、柱状のシャフト34の一端が固定されている。各々のシャフト34は、隔壁13に形成されたシャフト用貫通孔(図示省略)を挿通して上下方向に伸びるよう設けられている。各々のシャフト34は、照射距離調整機構収容室S4内に配設されたシャフト駆動源19によって、上下方向に駆動される。
この照射距離調整機構においては、各々のシャフト34が互いに同期がとられた状態で移動されることにより、被処理物Wの姿勢が維持されたまま、被処理物Wの被処理面Waと紫外線透過性窓部材15A,15Bの光出射面との離間距離が調整される。
この図の例においては、遮光部材30は、隔壁13の上面における2つの紫外線透過性窓部材15A,15Bの間の矩形状の領域(以下、「窓部材間領域」ともいう。)に形成された凹所内に、周壁部32が隔壁13の上面より上方に突出する状態で位置され、被処理物Wの表面と離間した状態で、被処理物Wの表面における処理禁止領域T1と対向して配置されている。
従って、遮光部材30が周壁部32を有するものであることにより、処理禁止領域T1に含まれる被処理物Wにおける凸部分Wbの周囲を周壁部32によって包囲することができるため、当該遮光部材30により優れた遮光機能が得られる。また、第1の紫外線処理装置10の設計の自由度が大きくなる。具体的には、後述するパージガス供給口33の配設位置の自由度が大きくなり、また、主遮光板部31と被処理物Wとの離間距離を大きくすることができる。
この図の例において、主遮光板部31は、処理禁止領域T1の縦横寸法と同等の縦横寸法を有している。
遮光部材30の材質の具体例としては、ステンレス鋼材(SUS)などが挙げられる。
また、遮光部材30がステンレス鋼(SUS)よりなる場合には、主遮光板部31および周壁部32の厚みは、例えば0.5〜1.5mmである。
この図の例において、パージガス供給口33は、矩形状の切り欠き部によって構成されており、周壁部32の長手方向他端側に位置された幅方向に伸びる他方の端壁部分32Cに形成されている。具体的には、処理室S1内に配管されるパージガス供給管38と、照射距離調整機構におけるシャフト34との干渉を避けるため、パージガス供給口33は、他方の端壁部分32Cにおける幅方向中心位置より一方の側壁部分32Bに接近した位置に形成されている。パージガス供給管38は、照射距離調整機構における長手方向他端側(図2における上方側)に配置された載置台固定部材26と干渉しないように配管されている。この図の例では、パージガス供給管38の一端部がパージガス供給口33内に位置されており、他端部が処理室筐体21における他方の端壁22Cに形成された貫通孔24に設けられた管結合部材39の一端部に接続されている。管結合部材39の他端部には、パージガス供給手段(図示省略)に接続されたガス管((図示省略))が接続されている。
パージガスとしては、処理用雰囲気ガスとして例示した、酸素ガスおよびCDAなどのオゾン生成ガス、もしくは窒素ガスなどの不活性ガス、もしくは、これらの混合ガスを用いることができる。
パージガス供給手段によるパージガスの供給条件は、パージ空間Spにおいて、パージガスを、周壁部32の開口端面と被処理物Wの表面との間の間隙から溢流させながら、全体的にはパージガス供給口33から一方の端壁部分32Aに向かって長手方向に流動させることができるよう、主遮光板部31の上面と被処理物Wの表面との離間距離の大きさ、周壁部32の開口端面と被処理物Wの表面との離間距離の大きさおよび処理用雰囲気ガスの供給条件などを考慮して適宜に定められる。図3においては、パージガス供給口33から供給されたパージガスの流動方向(全体的な流動方向)が矢印によって示されている。
紫外線ランプ40A,40Bの具体例としては、水銀ランプ、並びに、ピーク波長(中心波長)が172nmの光(真空紫外線)を放射するキセノンエキシマランプ(Xe2 エキシマランプ)およびピーク波長(中心波長)が222nmの光(紫外線)を放射するクリプトンクロライドエキシマランプ(KrClエキシマランプ)等のエキシマランプなどが挙げられる。
この図の例において、紫外線ランプ40A,40Bとしては、ピーク波長が172nmの光を放射する、棒状のキセノンエキシマランプが用いられている。
被処理物Wの被処理面Waと、それぞれ対応する紫外線透過性窓部材15A,15Bの光出射面との離間距離は、例えば2mmである。ここに、一方の紫外線透過性窓部材15Aの光出射面と他方の紫外線透過性窓部材15Bの光出射面とは、互いに同一のレベル位置に位置されている。
また、被処理物Wの表面における矩形細環状領域と周壁部32の開口端面との離間距離は、0.5〜1.5mmであることが好ましく、被処理物Wにおける凸部分Wbの表面(ペリクルW2の表面)と主遮光板部31の上面との離間距離は、1〜2.5mmであることが好ましい。
このようにして被処理物Wが配置された処理室S1においては、処理用雰囲気ガス供給口28を介して窒素ガスが供給されると共に、パージガス供給口33を介して窒素ガスが供給されることにより、処理室S1における酸素濃度が1〜10vol%O2となるように窒素パージが行われる。ここに、処理用雰囲気ガス供給口28から供給される窒素ガスの流量は、例えば15L/minであり、パージガス供給口33を介して供給される窒素ガスの流量は、例えば5L/minである。
その後、処理用雰囲気ガス供給口28およびパージガス供給口33からの窒素ガスの供給が継続された状態で、紫外線ランプ40A,40Bが、例えば紫外線透過性窓部材15A,15Bにおける放射発散度が10mW/cm2 となる条件で一斉に点灯される。このようにして、紫外線ランプ40A,40Bからの光(紫外線)が紫外線透過性窓部材15A,15Bを介して被処理物Wの被処理面Waに照射されることにより、被処理物Wの処理が行われる。ここに、紫外線照射条件は、照射時間が例えば5〜600秒間、積算光量が50〜6000mJ/cm2 となる条件とされる。
紫外線照射処理が終了されると、照射距離調整機構によって載置台固定部材26の各々が上方に移動されて載置台固定部材26の各々が最上位置まで上昇した状態とされると共に、オゾン排気手段によって、処理室S1の雰囲気を構成するガス(被処理物Wを処理する過程において発生したオゾンを含む処理用雰囲気ガス)が排気管27を介して排気される。その後、処理室S1における搬入搬出口のシャッターが開かれ、処理済みの被処理物Wが搬入搬出用ロボットにより当該搬入搬出口から当該処理室S1から搬出される。
従って、第1の紫外線処理装置10によれば、被処理物Wの表面Waにおける処理禁止領域T1に対して紫外線が照射されることがなく、かつ生成されたオゾンが処理禁止領域T1に接触することもないため、処理禁止領域T1に対する不所望な表面処理が行われることを回避することができる。すなわち、被処理物Wの表面における被処理領域T2に対してのみ所期の表面処理を行うことができるため、高い信頼性をもって被処理物Wの表面を部分的に処理することができる。
図6は、本発明の紫外線処理装置の構成の他の例の要部を、被処理物と共に示す説明図である。この図6において、(a)は、遮光部材とガス流制御板との位置関係を示す、遮光部材の下面側から見た説明用平面図であり、(b)は、長手方向に垂直な断面を示す拡大図である。
この第2の紫外線処理装置は、遮光部材50におけるパージガス供給口53の配置位置が異なること、および、パージ空間Spにガス流制御板55が設けられていること以外は、図1に係る第1の紫外線処理装置10と同様の構成を有する。そして、第2の紫外線処理装置は、第1の紫外線処理装置10と同様に、ペリクル付きレチクル(防護保護膜付きフォトマスク)を被処理物Wとし、ペリクル付きレチクルの表面を部分的に処理するために用いられる。具体的には、第2の紫外線処理装置は、被処理物Wであるペリクル付きレチクルの表面における少なくともペリクルW2が設けられた長手方向(図6(a)において左右方向)に伸びる矩形状の領域を処理禁止領域T1とし、露出された状態のレチクルW1の表面における当該処理禁止領域T1の幅方向両側に位置された矩形帯状の被処理領域T2の各々を選択的にドライ洗浄処理するために用いられる。
この遮光部材50においては、遮光部材50の被処理物Wに対向する面、すなわち主遮光板部51の上面に開口する貫通孔が主遮光板部51の厚み方向に伸びるよう形成されており、これにより、パージガス供給口53が構成されている。この図の例においては、パージガス供給口53を構成する貫通孔は例えば円形状であって、主遮光板部51の中央位置に形成されている。
この図の例においては、被処理物Wは、その表面における凸部分Wbがパージ空間Sp内におけるガス流制御板55の直上の位置においてガス流制御板55と間隙を介して位置されるよう、配置されている。そして、ガス流制御板55は、被処理物WにおけるペリクルW2の表面の縦横寸法と同等の縦横寸法を有する矩形平板状体により構成されており、当該ガス流制御板55によって、ペリクルW2の表面の全体が覆われている。
ガス流制御板55は、例えばステンレス鋼材(SUS)およびアルミニウムなどの金属により構成されており、厚みは、例えば0.5〜1.5mmである。
また、遮光部材50における主遮光板部51の上面とガス流制御板55の下面との離間距離は、例えば1〜2.5mmとされており、ガス流制御板55の上面と被処理物Wにおける凸部分Wbの表面(ペリクルW2の表面)との離間距離は、例えば1〜1.5mmとされている。
従って、第2の紫外線処理装置によれば、被処理物Wの表面における処理禁止領域T1に対して紫外線が照射されることがなく、かつ生成されたオゾンが処理禁止領域T1に接触することもないため、処理禁止領域T1に対する不所望な表面処理が行われることを回避することができる。すなわち、被処理物Wの表面における被処理領域T2に対してのみ所期の表面処理を行うことができるため、高い信頼性をもって被処理物Wの表面を部分的に処理することができる。
具体的に説明すると、図1に係る第1の紫外線照射装置10においては、パージ空間Sp内においては、パージガスが、全体的には、周壁部32における他方の端壁部分32Cに形成されたパージガス供給口33から一方の端壁部分32Aに向かって長手方向に流動される。このため、パージガスの流れにより、周壁部32の開口端面と被処理物Wとの間の間隙から処理用雰囲気ガスが巻き込まれて、生成されたオゾンがパージ空間Sp内に流入されるおそれがある。而して、第2の紫外線処理装置においては、図6(a)、(b)においてパージガスの流動方向を白抜きの矢印によって示しているように、パージガス供給口53から供給されたパージガスは、パージ空間Sp内において、ガス流制御板55に沿って周壁部52に向かって放射状に流動される。従って、生成されたオゾンを含む処理用雰囲気ガスがパージガスの流れによって巻き込まれてパージ空間Sp内に流入することを確実に防止することができる。
図7は、本発明の紫外線処理装置の構成の更に他の例の要部を示す説明図である。この図7において、(a)は、遮光部材と被処理物との位置関係を示す、遮光部材の下面側から見た説明用平面図であり、(b)は、長手方向に垂直な断面を示す拡大図である。
この第3の紫外線処理装置は、遮光部材の構成が異なり、当該遮光部材におけるパージガス供給口の配置位置が異なること以外は、図1に係る第1の紫外線処理装置10と同様の構成を有する。
この第3の紫外線処理装置は、例えば表面が平坦な板状体よりなる被処理物Wの表面を部分的に処理するために用いられる。この図の例における被処理物Wにおいては、被処理物Wの表面における長手方向(図7(a)において左右方向)に伸びる長尺な矩形状の中央領域が処理禁止領域T1とされ、処理禁止領域T1の幅方向両側に位置された矩形帯状の領域が被処理領域T2とされる。
この遮光部材60においては、遮光部材60の被処理物Wに対向する面、すなわち上面に開口する貫通孔が厚み方向に伸びるよう形成されており、これにより、パージガス供給口63が構成されている。この図の例においては、パージガス供給口63を構成する貫通孔は例えば円形状であって、遮光部材60の中央位置に形成されている。
遮光部材60の厚みは、0.5〜1.5mmである。
従って、第3の紫外線処理装置によれば、被処理物Wの表面における処理禁止領域T1に対して紫外線が照射されることがなく、かつ生成されたオゾンが処理禁止領域T1に接触することもないため、処理禁止領域T1に対する不所望な表面処理が行われることを回避することができる。すなわち、被処理物Wの表面における被処理領域T2に対してのみ所期の表面処理を行うことができるため、高い信頼性をもって被処理物Wの表面を部分的に処理することができる。
例えば、紫外線処理装置全体の構造は、図1〜図7に示すものに限定されず、種々の構造を採用することができる。
また、第1の紫外線処理装置および第2の紫外線処理装置は、ペリクル付きレチクル(防護保護膜付きフォトマスク)に限定されず、紫外線照射処理が必要とされる種々のものに適用することができる。
11 ランプ室筐体
12A,12B 側壁
13 隔壁
15A,15B 紫外線透過性窓部材
17A,17B 区隔壁
19 シャフト駆動源
21 処理室筐体
22A,22C 端壁
22B,22D 側壁
23 蓋部材
24 貫通孔
25 載置台
25A 載置面
26 載置台固定部材
27 排気管
28 処理用雰囲気ガス供給口
29 排気口
30 遮光部材
31 主遮光板部
32 周壁部
32A,32C 端壁部分
32B 側壁部分
33 パージガス供給口
34 シャフト
38 パージガス供給管
39 管結合部材
40A,40B 紫外線ランプ
50 遮光部材
51 主遮光板部
52 周壁部
53 パージガス供給口
55 ガス流制御板
56 スペーサ
60 遮光部材
63 パージガス供給口
71 筐体
71A 上壁
71B,71C 側壁
73 紫外線透過性窓部材
74 ガス供給口
75 ガス流路形成部材
78 固定板
79 テンプレート保持機構
80 紫外線ランプ
W 被処理物
Wa 被処理面
Wb 凸部分
W1 レチクル
W2 ペリクル
T1 処理禁止領域
T2 被処理領域
S1 処理室
S2,S3 ランプ室
S4 照射距離調整機構収容室
Sp パージ空間
Claims (10)
- 紫外線を放射する紫外線ランプと、紫外線透過性窓部材とを備えており、当該紫外線ランプからの紫外線が、当該紫外線透過性窓部材を介して、当該紫外線透過性窓部材と離間して対向配置された被処理物の被処理領域に照射される紫外線処理装置であって、
前記被処理物における前記被処理領域以外の処理禁止領域の形状に対応する形状を有する、前記紫外線ランプからの光を遮光する遮光部材が、当該処理禁止領域と対向し、かつ当該被処理物と離間するように設けられており、
前記遮光部材には、当該遮光部材と前記被処理物との間の間隙にパージガスを供給するパージガス供給口が設けられていることを特徴とする紫外線処理装置。 - 前記遮光部材は、前記処理禁止領域の形状に対応する形状を有する主遮光板部と、当該主遮光板部の前記処理禁止領域に対向する面における外周縁位置において当該主遮光板部の外周縁の全周にわたって伸びるように形成された、前記被処理物に向かって突出する枠状の周壁部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の紫外線処理装置。
- 前記ガス供給口が、前記遮光部材における周壁部に開口するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の紫外線処理装置。
- 前記ガス供給口が、前記遮光部材の前記被処理物に対向する面に開口するよう形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紫外線処理装置。
- 前記ガス供給口と被処理物との間に、当該被処理物の表面における処理禁止領域に対向してガス流制御板が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の紫外線処理装置。
- 前記被処理物は、表面に凸部分を有する板状のものであって、当該被処理物の表面における凸部分形成領域を含む領域が処理禁止領域とされており、
当該被処理物は、前記凸部分が前記遮光部材における周壁部によって囲まれた空間内に位置された状態で、当該周壁部の開口端面と間隙を介して配置されることを特徴とする請求項2に記載の紫外線処理装置。 - 前記紫外線ランプが配置されたランプ室と、前記被処理物が配置される処理室とが、前記紫外線ランプと対向する位置に前記紫外線透過性窓部材が設けられた隔壁によって区画されており、
前記遮光部材は、処理室内において前記隔壁の表面上の前記紫外線透過性窓部材に近接した位置に設けられており、
前記処理室を画成する処理室筐体には、処理用雰囲気ガスを当該処理室内に供給するための処理用雰囲気ガス供給口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線処理装置。 - 前記処理用雰囲気ガスが前記パージガスと同一種類のガスであることを特徴とする請求項7に記載の紫外線処理装置。
- 前記処理用雰囲気ガスおよび前記パージガスが、不活性ガスであることを特徴とする請求項8に記載の紫外線処理装置。
- 前記処理用雰囲気ガスが、前記紫外線ランプからの光が照射されることによりオゾンが生成されるガスであることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の紫外線処理装置。
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