JP6506623B2 - デジタルシグナルプロセッサ及び音響機器 - Google Patents

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Description

本発明は、音の信号処理をするデジタルシグナルプロセッサ(DSP)及びこれを搭載した音響機器に関する。特に、本発明は、良好なS/N比を維持しつつ、A/D変換されたデジタル信号の歪みを防止することができるデジタルシグナルプロセッサ及び音響機器に関する。
<デジタル信号の歪み>
例えば、デジタルオーディオレコーダ、デジタルミキサー又はエフェクツユニットなど、音の信号を処理する音響機器が知られている。このような音響機器には、マイクや入力端子を介して、音のアナログ信号が入力される。音響機器に入力されたアナログ信号は、アナログアンプで増幅された後に、デジタル信号に変換される。アナログアンプの増幅率は、音響機器に設けられた操作部を、ユーザが手動操作することで設定される。
図7に示すように、音響機器のA/D変換器には、あらかじめA/D変換可能な最大電圧(例えば、「5.0V」)が定められている。音響機器に入力されるアナログ信号の信号レベル(すなわち、音量)に対して、アナログアンプの増幅率が大きすぎると、増幅されたアナログ信号の信号レベルが、A/D変換可能な最大電圧を超えてしまう場合がある(図7左の信号波形を参照)。このような場合、増幅されたアナログ信号のうち、A/D変換可能な最大電圧を超える部分は、A/D変換されずに切り捨てられる。この結果、連続的なアナログ信号が、不連続に歪んだデジタル信号に変換されてしまう(図7右の信号波形を参照)。デジタル信号の歪みは、修復不可能なノイズとなる。録音や演奏において、突発的の過大入力が発生することはしばしばある。アナログアンプの増幅率の設定を誤ると、過大入力が発生したときにノイズが生じてしまう。
<リミッタ回路>
従来の音響機器には、過大入力に対する措置として、リミッタ回路を備えたものがあった。図8に示すように、リミッタ回路は、過大入力が発生したときに、アナログアンプの増幅率を瞬時に低下させるリミッタ処理を実行する。従来のリミッタ回路として、例えば、VCA(Voltage Controlled Amplifier)又はフォトレジスタを用いたものがあった。
VCAは、アナログ信号の入出力と、制御電圧の入力とを有する増幅器である。VCAを用いたリミッタ回路は、アナログ信号の信号レベルに応じた制御電圧をVCAに出力させる。VCAは、入力された制御電圧に基づいて、アナログ信号の増幅率を変化させる。
フォトレジスタは、硫化カドミウムセルであり、受けた光の量に応じて抵抗値を変化させる。フォトレジスタを用いたリミッタ回路は、発光部としてのLEDを備える。このLEDは、過大入力が発生したときに点灯される。フォトレジスタは、LEDから光を受けることで抵抗値を減少させる。このフォトレジスタの抵抗値の減少によって、アナログアンプの増幅率が変化される。
<バックアップ機能>
従来のデジタルオーディオレコーダには、一のアナログ信号を、二通りの増幅率で増幅させて個別に記憶するバックアップ機能を備えたものがある。従来のバックアップ機能は、一のアナログ信号が入力される二つの信号経路を設けることにより実現される。二つの信号経路には、それぞれアナログアンプが接続される。一の信号経路に接続されたアナログアンプは、ユーザが設定した値の一の増幅率でアナログ信号を増幅させる。他の信号経路に接続されたアナログアンプは、ユーザが設定したよりも低い値の他の増幅率でアナログ信号を増幅させる。一の増幅率は、ユーザが増幅率調整ノブを操作することで設定される。一方、他の増幅率は、ユーザが表示パネルに設定画面を呼出し、この設定画面に値を入力することで設定される。
特開2014−78298号公報 特開2012−58704号公報 特開平06−44638号公報
しかし、VCAは、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、オペアンプ及び抵抗などの多数の電気部品からなる大規模回路である。このため、VCAを通過したアナログ信号にノイズが付加されてしまい、良好なS/N(Signal/Noise)比が得られない。また、部品点数の多いVCAは、回路の製造に多大な手間とコストが掛かる。
一方、フォトレジスタは、硫化カドミウムセルである。このため、フォトレジスタを含む音響機器は、2006年7月に施行されたRoHS指令により、現在、EU諸国で販売することができない。現時点で、フォトレジスタの代替品は存在せず、EU諸国で販売する音響機器には、VCAを用いたリミッタ回路を適用するほかない。
また、従来のデジタルオーディオレコーダは、バックアップのための他のアナログアンプの増幅率を、あらかじめ表示パネルの設定画面に設定しなければならない。このため、ユーザは、録音の状況に応じて、他のアナログアンプの増幅率の設定を変更することができない。さらに、従来のデジタルオーディオレコーダに備えられたデジタルシグナルプロセッサは、A/D変換された二つのデジタル信号に対して、同一のデジタル処理を行う構成となっている。つまり、従来のデジタルオーディオレコーダのバックアップ機能は、二つのアナログアンプの増幅率に差を持たせたに過ぎず、音の信号に関する種々の調整ができない。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものである。本発明の第1の目的は、入力されたアナログ信号の信号レベルを、A/D変換可能な最大電圧以下に抑えることが可能であり、良好なS/N比を維持しつつ、A/D変換されたデジタル信号の歪みを防止することができるデジタルシグナルプロセッサ及び音響機器を提供することである。
本発明の第2の目的は、一のアナログ信号に対して、二以上のアナログアンプの増幅率の制御と、二以上のA/D変換器に変換された各デジタル信号の処理とを行うことができ、更に、これらの制御及び処理に関する調整を、二以上の信号経路ごとに個別に行うことが可能なバックアップ機能を備えた音響機器を提供することである。
(1)上記目的を達成するために、本発明のデジタルシグナルプロセッサは、音のアナログ信号を増幅するアナログアンプの増幅率の制御、及び前記アナログ信号がA/D変換されたデジタル信号の処理を行うデジタルシグナルプロセッサであって、前記アナログアンプの増幅率を、操作部で指定された第1増幅率よりも低い第2増幅率に設定する増幅率設定手段と、A/D変換された前記デジタル信号を、前記第1増幅率よりも低い第3増幅率で増幅するデジタルアンプ手段と、前記第3増幅率で増幅された前記デジタル信号の信号レベルを、あらかじめ定められた閾値と比較し、この比較結果に基づいて、前記デジタル信号を、前記第3増幅率の範囲内で減衰させるデジタルリミッタ手段と、を備えた構成としてある。
(2)好ましくは、上記(1)のデジタルシグナルプロセッサにおいて、前記第3増幅率が、前記第1増幅率から前記第2増幅率を差し引いた値である構成にするとよい。
(3)好ましくは、上記(1)又は(2)のデジタルシグナルプロセッサにおいて、前記第3増幅率が、前記第2増幅率よりも低い構成にするとよい。
(4)上記目的を達成するために、本発明の音響機器は、音のアナログ信号を入力する信号入力部と、前記アナログ信号を増幅するアナログアンプと、前記アナログアンプの第1増幅率を指定するための操作部と、前記アナログアンプにより増幅された前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記アナログアンプの増幅率の制御、及び前記A/D変換器に変換された前記デジタル信号の処理を行う上記(1)〜(3)のいずれかのデジタルシグナルプロセッサと、を備えた構成としてある。
(5)好ましくは、上記(4)の音響機器において、前記デジタルシグナルプロセッサによって処理された前記デジタル信号のデジタルデータを記憶するための記憶手段、又は前記記憶手段との接続部を備えた構成にするとよい。
(6)好ましくは、上記(4)又は(5)の音響機器において、一の前記信号入力部に対して、複数の前記アナログアンプ、前記操作部、前記A/D変換器が接続され、複数の前記操作部で指定された二以上の前記第1増幅率に基づいて、前記デジタルシグナルプロセッサが、二以上の前記アナログアンプの増幅率の制御と、二以上の前記A/D変換器に変換された各デジタル信号の処理とを行う構成にするとよい。
(7)好ましくは、上記(6)の音響機器において、前記信号入力部、前記アナログアンプ、前記操作部、前記A/D変換器をそれぞれ含む複数の信号経路を備え、一の信号経路の前記信号入力部に、他の信号経路の前記アナログアンプ、前記操作部、前記A/D変換器を選択的に接続し、一及び他の信号経路の前記操作部で指定された二つの前記第1増幅率に基づいて、前記デジタルシグナルプロセッサが、一及び他の信号経路の各アナログアンプの増幅率の制御と、一及び他の信号経路の各A/D変換器に変換された二つの前記デジタル信号の処理とを行う構成にするとよい。
本発明のデジタルシグナルプロセッサ及び音響機器によれば、入力されたアナログ信号の信号レベルを、A/D変換可能な最大電圧以下に抑えることが可能であり、良好なS/N比を維持しつつ、A/D変換されたデジタル信号の歪みを防止することができる。
また、本発明の音響機器によれば、一のアナログ信号に対して、二以上のアナログアンプの増幅率の制御と、二以上のA/D変換器に変換された各デジタル信号の処理とを行うことができ、更に、これらの制御及び処理に関する調整を、二以上の信号経路ごとに個別に行うことが可能なバックアップ機能を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタルシグナルプロセッサを備えた音響機器の外観構成を示すものである。図1Aは正面図、図1Bは平面図、図1Cは左側面図、図1Dは右側面図である。 図2は、本実施形態の音響機器の回路を示すブロック図である。 図3は、本実施形態のデジタルシグナルプロセッサにより実行される増幅率設定ルーチンを示すフローチャートである。 図4は、本実施形態のデジタルシグナルプロセッサにより実行されるデジタルリミッタ処理ルーチンを示すフローチャートである。 図5は、本実施形態のデジタルシグナルプロセッサの入力−減衰率特を示すグラフである。 図6は、本実施形態のデジタルシグナルプロセッサの信号処理を示す概略図である。 図7は、過大な信号レベルのアナログ信号がA/D変換された場合に生じるデジタル信号の歪みを示す概略図である。 従来の音響機器に搭載されたリミッタ回路の信号処理を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態に係るデジタルシグナルプロセッサを備えた音響機器について、図面を参照しつつ説明する。
<外観構成>
本実施形態の音響機器1の外観構成は、図1に示される。本実施形態の音響機器1は、デジタルオーディオレコーダである。しかし、デジタルオーディオレコーダは、本発明の音響機器の一例である。本発明の音響機器は、デジタルオーディオレコーダに限定されるものではなく、例えば、デジタルオーディオレコーダ、デジタルミキサー又はエフェクツユニットなど、音の信号を処理する音響機器に広く適用することができる。
本実施形態の音響機器1は、8チャンネルの音を録音することが可能な構成となっている。図1Cに示されるように、音響機器1の左側面には、四つの信号入力部11A〜11Dが設けられている。一方、図1Dに示されるように、音響機器1の右側面にも、四つの信号入力部11E〜11Hが設けられている。八つの信号入力部11A〜11Hには、例えば、図示しないマイク、又はギター、ベース、キーボードなどの楽器が接続される。信号入力部11A〜11Hから入力された音のアナログ信号は、図2に示される八つの信号経路にそれぞれ出力される。
図1Cに示されるように、音響機器1の左側面には、二つのカードスロット(接続部)17A、17Bが設けられている。カードスロット17A、17Bは、図2に示されるSDメモリーカード35(記憶手段)を挿入することが可能となっている。なお、音響機器1の記憶手段は、SDメモリーカード35に限定されるものではない。音響機器1には、デジタルデータの記憶が可能な内蔵式又は外付けの種々のデータメディアを適用することができる。
図1A、1Bに示されるように、音響機器1の正面には、設定、録音、再生を行うための操作部及び表示部が設けられている。八つの増幅率調整ノブ(操作部)12A〜12Hは、信号入力部11A〜11Hから入力された音のアナログ信号のそれぞれの増幅率を、ユーザが個別に指定するためのものである。本実施形態では、増幅率調整ノブ12A〜12Hによって指定された増幅率を「第1増幅率」という。第1増幅率の数値範囲は、特に限定されない。本実施形態の音響機器1は、増幅率調整ノブ12A〜12Hを操作することにより、例えば、+10dB〜+75dBの範囲内の第1増幅率を指定することが可能である。
表示パネル13は、設定、録音、再生等に関する情報を表示する。表示パネル13としては、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを用いることができる。メニューボタン14は、設定メニューを表示パネル13に表示させる。選択・決定ノブ15は、表示パネル13に表示された設定事項の選択及び決定を行うためのものである。選択・決定ノブ15は、例えば、回転操作及び押込操作が可能な構成となっている。表示パネル13に表示された設定事項は、ユーザが選択・決定ノブ15を回転操作することで選択される。また、設定事項の選択は、ユーザが選択・決定ノブ15を押込操作することで決定される。
録音ボタン16aは、録音に関する制御処理を音響機器1に実行させるためのものである。ここでいう録音とは、音のアナログ信号からA/D変換されたデジタル信号のデジタルデータが、SDメモリーカード35に記憶されることを意味する。
再生・一時停止ボタン16bは、SDメモリーカード35に記憶されたデジタルデータの再生、再生又は録音の一時停止に関する制御処理を音響機器1に実行させるためのものである。ここでいう再生とは、SDメモリーカード35に記憶されたデジタルデータが読み出されることを意味する。
再生・一時停止ボタン16bが操作されると、音響機器1は、SDメモリーカード35に記憶されたデジタルデータを読み出し、音のデジタル信号を出力させる。また、デジタルデータが読み出されている最中に、再生・一時停止ボタン16bが操作されると、音響機器1は、デジタルデータの読み出しを一時停止させる。さらに、デジタルデータが記憶されている最中に、再生・一時停止ボタン16bが操作されると、音響機器1は、デジタルデータの記憶を一時停止させる。
停止ボタン16cは、録音又は再生に関する制御処理を音響機器1に停止させるためのものである。早送りボタン16dは、音響機器1にデジタルデータの読み出しを早送りさせるためのものである。早戻しボタン16eは、音響機器1にデジタルデータの読み出しを早戻しさせるためのものである。
<回路構成>
次に、本実施形態の音響機器1の特徴的な回路構成について、図2を参照しつつ説明する。図2中の「1」〜「8」の番号で示されるように、音響機器1は、信号入力部11A〜11Hのそれぞれに対応する八つの信号経路を有する。信号経路「1」〜「8」には、アナログアンプ21A〜21Hと、A/D変換器22A〜22Hとが一つずつ接続される。八つのA/D変換器22A〜22Hは、いずれもデジタルシグナルプロセッサ(DSP)2に接続される。A/D変換器22A〜22Hに変換されたデジタル信号は、それぞれデジタルシグナルプロセッサ2によってデジタル処理される。
アナログアンプ21A〜21Hは、信号入力部11A〜11Hに入力された音のアナログ信号を、アナログ回路によって増幅する。アナログアンプ21A〜21Hによって増幅されたアナログ信号は、A/D変換器22A〜22Hに出力される。
A/D変換器22A〜22Hは、アナログアンプ21A〜21Hによって増幅されたアナログ信号をA/D変換する。A/D変換器22A〜22HにA/D変換されたデジタル信号は、デジタルシグナルプロセッサ2に出力される。
デジタルシグナルプロセッサ2は、増幅率設定手段31A〜31Hと、デジタルアンプ32A〜32Hと、デジタルリミッタ手段33A〜33Hとを備える。これらの増幅率設定手段31A〜31H、デジタルアンプ32A〜32H、デジタルリミッタ手段33A〜33Hは、いずれもコンピュータプログラムに基づいて実行される、デジタルシグナルプロセッサ2のデジタル信号処理機能である。
増幅率設定手段31A〜31Hは、八つの増幅率調整ノブ12A〜12H及び八つのアナログアンプ21A〜21Hにそれぞれ対応する。増幅率設定手段31A〜31Hは、増幅率調整ノブ12A〜12Hによって指定された第1増幅率の値を監視する。そして、増幅率設定手段31A〜31Hは、第1増幅率の値に基づいて、アナログアンプ21A〜21Hの増幅率を設定する。本実施形態では、増幅率設定手段31A〜31Hによって設定されるアナログアンプ21A〜21Hの増幅率を「第2増幅率」という。増幅率設定手段31A〜31Hの処理については、後に詳述する。
デジタルアンプ32A〜32Hは、八つのA/D変換器22A〜22Hにそれぞれ対応する。デジタルアンプ32A〜32Hは、A/D変換器22A〜22Hから出力されたデジタル信号を、デジタル信号処理によって増幅する。A/D変換器22A〜22Hには、所定の増幅率があらかじめ設定される。実施形態では、デジタルアンプ32A〜32Hに設定される所定の増幅率を「第3増幅率」という。デジタルアンプ32A〜32Hによって増幅されたデジタル信号は、デジタルリミッタ手段33A〜33Hに出力される。デジタルアンプ32A〜32Hの処理については、後に詳述する。
デジタルリミッタ手段33A〜33Hは、デジタルアンプ32A〜32Hによって増幅されたデジタル信号をリミッタ処理する。すなわち、デジタルリミッタ手段33A〜33Hは、第3増幅率で増幅されたデジタル信号の信号レベルが過大な場合に、このデジタル信を、デジタル信号処理によって減衰させる。デジタルリミッタ手段33A〜33Hから出力されたデジタル信号は、例えば、SDメモリーカード35などの記憶手段に記憶される。デジタルリミッタ手段33A〜33Hの処理については、後に詳述する。
<増幅処理>
次に、本実施形態の音響機器1における信号の増幅処理について、図1〜図3を参照しつつ説明する。なお、増幅処理の説明を簡単にするために、以下、八つの信号入力部11A〜11Hのうち、一の信号入力部11Aに対応する信号経路「1」による増幅処理について説明する。他の信号入力部11B〜11Hに対応する信号経路「2」〜「8」においても、以下の説明と同様の増幅処理が行われる。
図1及び図2において、信号入力部11Aには、例えば、マイク、又はギター、ベース、キーボードなどの楽器が接続される。音響機器1のユーザは、増幅率調整ノブ12Aを操作して、例えば、+10dB〜+75dBの範囲内の第1増幅率を指定する。本実施形態では、ユーザが、第1増幅率の値として「+55dB」を指定したと仮定する。
増幅率設定手段31Aは、図3に示される増幅率設定ルーチンを実行する。音響機器1の電源が投入され、システムが起動されると、増幅率設定手段31Aは、第1増幅率の値が変更されたか否かを判断する(ステップS1)。つまり、増幅率設定手段31Aは、増幅率調整ノブ12Aによって指定された第1増幅率の値を監視し、現在の第1増幅率の値が、過去に指定された第1増幅率の値から変更されたか否かを判断するのである。
ステップS1において、増幅率設定手段31Aは、第1増幅率の値が変更されたと判別した場合(ステップS1の「YES」)、ステップS2の処理を実行する。すなわち、増幅率設定手段31Aは、変更された第1増幅率の値よりも低い値を、アナログアンプ21Aの第2増幅率として設定する。本実施形態では、増幅率設定手段31Aが、例えば、第1増幅率から「+10dB」を減算した値を、アナログアンプ21Aの第2増幅率として設定するものとする。したがって、増幅率設定手段31Aは、ユーザが指定した第1増幅率の値「+55dB」から「+10dB」を減算した「+45dB」を、アナログアンプ21Aの第2増幅率として設定する。この結果、アナログアンプ21Aは、信号入力部11Aから入力される音のアナログ信号を、ユーザが指定した第1増幅率「+55dB」で増幅するのではなく、これよりも低い第2増幅率「+45dB」で増幅する。その後、増幅率設定手段31Aは、ステップS1の判断を繰り返し、増幅率調整ノブ12Aによって指定された第1増幅率の値の変更を監視する。
一方、ステップS1において、増幅率設定手段31Aは、第1増幅率の値が変更されていないと判別した場合(ステップS1の「NO」)、このステップS1の判断を繰り返し、増幅率調整ノブ12Aによって指定された第1増幅率の値の変更を監視する。
次いで、図2に示されるように、第2増幅率で増幅されたアナログ信号は、A/D変換器22AによってA/D変換される。A/D変換されたデジタル信号は、デジタルシグナルプロセッサ2に出力される。デジタルシグナルプロセッサ2のデジタルアンプ32Aは、A/D変換器22Aから出力されたデジタル信号を、デジタル信号処理によって、あらかじめ設定された第3増幅率で増幅する。本実施形態では、第3増幅率の値を、例えば、「+10dB」とする。これにより、第2増幅率「+45dB」と第3増幅率「+10dB」との合計が、ユーザによって指定された第1増幅率「+55dB」と一致する。すなわち、本実施形態の音響機器1は、ユーザによって指定された第1増幅率「+55dB」を、アナログ信号処理の第2増幅率「+45dB」と、デジタル信号処理の第3増幅率「+10dB」とに振り分けているのである。そして、デジタル信号処理の第3増幅率「+10dB」は、次に説明するデジタルリミッタ手段33A〜33Hのリミッタ処理に利用される。
<リミッタ処理>
次に、本実施形態の音響機器1における信号のリミッタ処理について、図2及び図4を参照しつつ説明する。なお、リミッタ処理の説明を簡単にするために、以下、八つのデジタルリミッタ手段33A〜33Hのうち、一のデジタルリミッタ手段33Aによるリミッタ処理について説明する。他のデジタルリミッタ手段33B〜33Hも、以下の説明と同様のリミッタ処理を行う。
図2に示されるように、第3増幅率で増幅されたデジタル信号は、デジタルリミッタ手段33Aに入力される。デジタルリミッタ手段33Aは、図4に示されるデジタルリミッタ処理ルーチンを実行する。
ステップS11において、デジタルリミッタ手段33Aは、第3増幅率で増幅されたデジタル信号の信号レベルが、あらかじめ定められた閾値以上か否かを判断する。すなわち、第3増幅率で増幅されたデジタル信号の信号レベルが、デジタルシグナルプロセッサ2で処理可能な信号レベルを超える場合は、デジタル信号の不連続な歪みを生じる(図7右の信号波形を参照)。そこで、デジタルリミッタ手段33Aは、第3増幅率で増幅されたデジタル信号の信号レベルが、あらかじめ定められた閾値以上であると判別した場合(ステップS11の「YES」)、ステップS12の処理を実行する。ステップS12において、デジタルリミッタ手段33Aは、閾値を超える信号レベルのデジタル信号を、所定の減衰率で減衰させる。
ここで、ステップS11の判断に用いられる閾値は、デジタルシグナルプロセッサ2で処理可能な信号レベルの上限値とすることができる。ステップS11の閾値は、例えば、「−0.5dBFs」に設定される。この「−0.5dBFs」は、デジタルシグナルプロセッサ2で処理可能な信号レベルの上限値であり、A/D変換器22A〜22Hが変換可能な最大電圧「5.0V」(図6を参照)に対応している。
図5は、「−0.5dBFs」を超える信号レベルのデジタル信号が、デジタルリミッタ手段33Aに入力された場合の「入力−減衰率特性」を示す。図5に示されるように、デジタルリミッタ手段33Aは、「−0.5dBFs」を超えた部分の信号レベルに応じて、デジタル信号を「0」〜「1」の範囲の減衰率で減衰させる。この結果、「−0.5dBFs」を超える信号レベルのデジタル信号は、最大で「+10dB」減衰される(ステップS12)。
すなわち、デジタルリミッタ手段33Aは、第3増幅率「+10dB」で増幅されたデジタル信号の信号レベルが、閾値「−0.5dBFs」以上であると判別した場合(ステップS11の「YES」)、このデジタル信号を最大で「+10dB」減衰させる(ステップS12)。つまり、ステップS12の減衰は、第3増幅率「+10dB」の範囲内で行われるのである。このステップS12の減衰によって、デジタル信号の信号レベルが「−0.5dBFs」以下となる場合、デジタル信号の不連続な歪みは生じず、かつデジタル信号は、最も適切な増幅率で増幅されたことになる。このようなステップS12の処理が終了すると、デジタルリミッタ手段33Aは、ステップS11の判断を繰り返し、デジタル信号の信号レベルを監視する。
一方、ステップS11において、デジタルリミッタ手段33Aは、第3増幅率で増幅されたデジタル信号の信号レベルが、あらかじめ定められた閾値以上でないと判別した場合(ステップS11の「NO」)、このステップS11の判断を繰り返し、デジタル信号の信号レベルを監視する。第3増幅率「+10dB」で増幅されたデジタル信号の信号レベルが、閾値「−0.5dBFs」未満である場合、デジタル信号の不連続な歪みは生じない。
図2に示されるように、デジタルリミッタ手段33A〜33Hから出力されたデジタル信号は、例えば、SDメモリーカード35などの記憶手段に記憶される。本実施形態の音響機器1によれば、上述した増幅処理とリミッタ処理とが相俟って、デジタル信号の不連続な歪みが除去され又は軽減される。この結果、SDメモリーカード35には、ノイズが除去され又は軽減された良好な音のデジタル信号データが記憶される。
<バックアップ機能>
次に、本実施形態の音響機器1のバックアップ機能について、図2を参照しつつ説明する。
図2に示されるように、八つの信号経路「1」〜「8」のうち、信号入力部11E〜11Hに対応する四つの信号経路「5」〜「8」には、それぞれリレー23E〜23Hが設けられている。また、信号入力部11A〜11に対応する四つの信号経路「1」〜「4」は、リレー23E〜23Hを介して、信号経路「5」〜「8」に選択的に接続可能となっている。
リレー23E〜23Hの切替制御は、デジタルシグナルプロセッサ2の切替制御手段34により行われる。リレー23Eが切り替えられることにより、信号入力部11Eと信号経路「5」との接続が断たれ、信号経路「1」と「5」とが接続される。これにより、信号入力部11Aから入力される音のアナログ信号は、二つの信号経路「1」及び「5」に提供される。同様に、リレー23Fが切り替えられることにより、信号入力部11Fと信号経路「6」との接続が断たれ、信号経路「2」と「6」とが接続される。これにより、信号入力部11Bから入力される音のアナログ信号は、二つの信号経路「2」及び「6」に提供される。同様に、リレー23Gが切り替えられることにより、信号入力部11Gと信号経路「7」との接続が断たれ、信号経路「3」と「7」とが接続される。これにより、信号入力部11Cから入力される音のアナログ信号は、二つの信号経路「3」及び「7」に提供される。同様に、リレー23Hが切り替えられることにより、信号入力部11Hと信号経路「8」との接続が断たれ、信号経路「4」と「8」とが接続される。これにより、信号入力部11Dから入力される音のアナログ信号は、二つの信号経路「4」及び「8」に提供される。
すなわち、本実施形態の音響機器1では、リレー23E〜23Hが切り替えられることにより、信号経路「5」〜「8」が、信号経路「1」〜「4」のバックアップ信号経路として機能する。また、上述したように、信号経路「1」〜「8」には、アナログアンプ21A〜21Hと、A/D変換器22A〜22Hとが一つずつ接続され、A/D変換器22A〜22Hに変換されたデジタル信号は、デジタルシグナルプロセッサ2によって個別にデジタル信号処理される。したがって、本実施形態の音響機器1では、例えば、信号入力部11Aから入力される一のアナログ信号に対して、信号経路「1」の設定値と、これと異なる信号経路「5」の設定値とを適用することが可能である。この結果、本実施形態の音響機器1によれば、異なる二通りの調整を行った二種類のデジタル信号データを、SDメモリーカード35に記憶させることが可能となる。つまり、最も音質の良好な録音データが取得される可能性が高くなる。ここでいう調整には、上述した本実施形態の増幅処理及びリミッタ処理のほかに、低域カット処理、及び周波数特性の補正処理(イコライジング)など、音の信号に関する制御及び処理の調整が含まれる。
例えば、本実施形態の音響機器1によれば、信号入力部11Aから入力される一のアナログ信号に対して、設定値の異なる二通りの増幅処理及びリミッタ処理を適用することができる。例えば、ユーザは、増幅率調整ノブ12Aを操作して、信号経路「1」の第1増幅率の値を「+55dB」に指定する。これにより、信号入力部11Aから信号経路「1」に入力されるアナログ信号には、第2増幅率「+45dB」のアナログ増幅処理と、第3増幅率「+10dB」のデジタル増幅処理と、「+10dB」のリミッタ処理とが適用される。一方、ユーザは、バックアップとして、増幅率調整ノブ12Eを操作して、信号経路「5」の第1増幅率の値を「+45dB」に指定する。これにより、信号入力部11Aから信号経路「5」に入力されるアナログ信号には、第2増幅率「+35dB」のアナログ増幅処理と、第3増幅率「+10dB」のデジタル増幅処理と、「+10dB」のリミッタ処理とが適用される。この結果、仮に、信号経路「1」の設定によって除去できないデジタル信号の歪みが生じたとしても、このデジタル信号の歪みが、バックアップの信号経路「5」の設定によって除去される可能性がある。
<作用効果>
上述した本実施形態の音響機器1の作用効果について、図2及び図6を参照しつつ説明する。
図6は、左、中央、右の順番に三つの信号波形を示す。図6左の信号波形は、アナログアンプ21A〜21Hに増幅された音のアナログ信号である。図6中央の信号波形は、A/D変換器22A〜22Hに変換されたデジタル信号である。図6右の信号波形は、デジタルアンプ手段32A〜32Hの増幅処理と、デジタルリミッタ手段33A〜33Hのリミッタ処理を経たデジタル信号である。
本実施形態の音響機器1では、増幅率設定手段31A〜31Hが、アナログアンプ21A〜21Hの増幅率を、増幅率調整ノブ12A〜12Hで指定された第1増幅率「55dB」よりも「+10dB」低い、第2増幅率「+45dB」に設定する。これにより、図6左の信号波形のように、第1増幅率「55dB」で増幅されたならば、A/D変換可能な最大電圧「5.0V」を超えてしまうアナログ信号の信号レベルを、最大電圧「5.0V」以下に抑えることができる。この結果、図6中央の信号波形のように、A/D変換されたデジタル信号の不連続な歪みが防止される。
図6中央の信号波形のように、A/D変換されたデジタル信号は、デジタルアンプ手段32A〜32Hのデジタル信号処理によって、第3増幅率「+10dB」で増幅される。この結果、デジタル信号は、第2増幅率「+45dB」と第3増幅率「+10dB」との合計により、増幅率調整ノブ12A〜12Hで指定された第1増幅率「55dB」で増幅されたことになる。
図6右の信号波形のように、第3増幅率「+10dB」で増幅されたデジタル信号の信号レベルが、デジタルシグナルプロセッサ2で処理可能な信号レベルの上限値「−0.5dBFs」以上である場合は、デジタルリミッタ手段33A〜33Hが、デジタル信号を最大で「+10dB」減衰させる。これにより、デジタルシグナルプロセッサ2から出力される最終的なデジタル信号の不連続な歪みが防止される。この結果、SDメモリーカード35などの記憶手段には、ノイズが除去され又は軽減された良好な音のデジタル信号データが記憶される。
上述した本実施形態の音響機器1の増幅処理及びリミッタ処理は、デジタルシグナルプロセッサ2のデジタル信号処理機能によって実現される。したがって、本実施形態の音響機器1は、従来のVCAを用いたリミッタ回路のように、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、オペアンプ及び抵抗などの多数の電気部品からなる大規模回路を設ける必要がない。
さらに、本実施形態の音響機器1によれば、増幅処理及びリミッタ処理の後も、デジタル信号の良好なS/N比を維持することができる。
まず、本実施形態のリミッタ処理が、S/N比に与える影響について検討する。本実施形態の音響機器1は、音のアナログ信号をA/D変換したデジタル信号に対して、リミッタ処理を行う。このリミッタ処理の対象となるデジタル信号は、デジタルアンプ手段32A〜32Hによって「+10dB」のデジタル増幅処理がなされている。このデジタル信号を、リミッタ処理によって最大で「+10dB」減衰させたとしても、元のアナログ信号がA/D変換されたデジタル信号が減衰されたことにはならない。また、元のアナログ信号は、A/D変換可能な最大電圧「5.0V」よりも「+10dB」低い信号レベルで、A/D変換器22A〜22Hに入力される。これにより、元のアナログ信号の信号レベルが過大であったとしても、A/D変換されたデジタル信号に不可逆的な歪みは生じない。したがって、本実施形態のリミッタ処理によって、A/D変換されたデジタル信号が歪むことはなく、リミッタ処理に起因するノイズは生じない。
次に、本実施形態の増幅処理が、S/N比に与える影響について検討する。本実施形態の音響機器1では、元のアナログ信号が、A/D変換可能な最大電圧5.0Vよりも「+10dB」低い信号レベルで、A/D変換器22A〜22Hに入力される。このため、本実施形態の音響機器1は、A/D変換時に、S(Signal)が相対的に小さくなり、N(Noise)が相対的に大きくなる。
しかし、音響機器1のトータルノイズ量Nは、下記(1)式により算出される。このため、元のアナログ信号に含まれるノイズ量Nに対して、A/D変換時のノイズ量Nが十分に小さい場合、A/D変換時のノイズ量Nは問題にならない。仮に、A/D変換時のノイズ量Nが問題になるほど、元のアナログ信号に含まれるノイズ量Nが小さくなるのは、元のアナログ信号の信号レベルが小さい場合である。元のアナログ信号の信号レベルが小さいならば、そもそもリミッタ処理は必要ない。したがって、本実施形態の増幅処理が、S/N比に与える影響は極めて小さい。
=N +N ・・・(1)
上述したように、A/D変換器22A〜22Hが一般的な性能を有するならば、本実施形態の音響機器1は、従来のVCAを用いたリミッタ回路よりも極めて良好に、デジタル信号のS/N比を維持することができる。
以下、本実施形態の音響機器1のS/N比についての具体例を説明する。例えば、増幅率調整ノブ12A〜12Hによって第1増幅率「+55dB」が指定された場合の性能条件を、入力換算雑音=−120dBu、A/D変換器22A〜22Hのノイズ量N=−100dBuと仮定する。
元のアナログ信号に含まれるノイズ量Nは、以下のように算出される。
=入力換算雑音+増幅率
=−120dBu+55dB
=−65dBu
=−65dBuを電圧に換算すると、以下の値になる。
10(−65/20)×0.775×1000=0.435815mV
A/D変換時のノイズ量N=−100dBuを電圧に換算すると、以下の値になる。
10(−100/20)×0.775×1000=0.00775mV
音響機器1のトータルノイズ量Nは、下記(1)式より、以下の値になる。
=N +N ・・・(1)
=(0.435815)+(0.00775)
=−64.9986dBu
以上のとおり、本実施形態の音響機器1では、元のアナログ信号に含まれるノイズ量N=−65dBuに対して、トータルノイズ量N=−64.9986dBuであり、0.0014dBuの僅かなノイズしか増えていない。したがって、本実施形態の音響機器1によれば、デジタル信号のS/N比は良好に維持される。
さらに、本実施形態の音響機器1では、図2に示されるリレー23E〜23Hが切り替えられることにより、信号経路「5」〜「8」が、信号経路「1」〜「4」のバックアップ信号経路として機能する。これにより、信号入力部11A〜11Dから入力される各アナログ信号に対して、設定値の異なる二通りの増幅処理及びリミッタ処理を適用することができる。
また、本実施形態の音響機器1は、図1Aに示すメニューボタン14、選択・決定ノブ15及び表示パネル13を使用して、八つの信号経路「1」〜「8」に入力される音の信号に関する種々の調整を行うことが可能である。そして、本実施形態の音響機器1は、八つの信号経路「1」〜「8」のうち、四つの信号経路「5」〜「8」をそのまま使用してバックアップ機能を実現している。したがって、本実施形態の音響機器1は、バックアップ専用の信号経路、操作部、プログラムを新たに設けることなく、音の信号に関する種々の調整を行うことが可能なバックアップ機能を提供することができる。
<その他の変更>
本発明のデジタルプロセッサ及び音響機器は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態の増幅及び減衰に関する数値及び数値範囲は、全て例示であり、本発明のデジタルプロセッサ及び音響機器を実施する際に、適宜変更することが可能である。また、図1〜図4に示された構成及び処理も例示であり、本発明のデジタルプロセッサ及び音響機器の構成及び処理は、図1〜図4に限定されるものではない。
1 音響機器
2 デジタルシグナルプロセッサ
11A〜11H 信号入力部
12A〜12H 増幅率調整ノブ(操作部)
13 表示パネル
14 メニューボタン
15 選択・決定ノブ
16a 録音ボタン
16b 再生・一時停止ボタン
16c 停止ボタン
16d 早送りボタン
16e 早戻しボタン
17A、17B カードスロット(接続部)
21A〜21H アナログアンプ
22A〜22H A/D変換器
23E〜23H リレー
31A〜31H 増幅率設定手段
32A〜32H デジタルアンプ手段
33A〜33H デジタルリミッタ手段
34 切替制御手段
35 SDメモリーカード(記憶手段)

Claims (7)

  1. 音のアナログ信号を増幅するアナログアンプの増幅率の制御、及び前記アナログアンプにより増幅された前記アナログ信号がA/D変換されたデジタル信号の処理を行うデジタルシグナルプロセッサであって、
    前記アナログアンプの増幅率を、操作部で指定された第1増幅率よりも低い第2増幅率に設定する増幅率設定手段と、
    A/D変換された前記デジタル信号を、前記第1増幅率よりも低い第3増幅率で増幅するデジタルアンプ手段と、
    前記第3増幅率で増幅された前記デジタル信号の信号レベルが、あらかじめ定められた閾値以上の場合に、前記デジタル信号を、前記第3増幅率の範囲内で減衰させるデジタルリミッタ手段と、
    を備えたことを特徴とするデジタルシグナルプロセッサ。
  2. 前記第3増幅率が、前記第1増幅率から前記第2増幅率を差し引いた値である請求項1に記載のデジタルシグナルプロセッサ。
  3. 前記第3増幅率が、前記第2増幅率よりも低い請求項1又は2に記載のデジタルシグナルプロセッサ。
  4. 音のアナログ信号を入力する信号入力部と、
    前記アナログ信号を増幅するアナログアンプと、
    前記アナログアンプの第1増幅率を指定するための操作部と、
    前記アナログアンプにより増幅された前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、
    前記アナログアンプの増幅率の制御、及び前記A/D変換器に変換された前記デジタル信号の処理を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載のデジタルシグナルプロセッサと、
    を備えたことを特徴とする音響機器。
  5. 前記デジタルシグナルプロセッサによって処理された前記デジタル信号のデジタルデータを記憶するための記憶手段、又は前記記憶手段との接続部を備えた請求項4に記載の音響機器。
  6. 一の前記信号入力部に対して、複数の前記アナログアンプ、前記操作部、前記A/D変換器が接続され、複数の前記操作部で指定された二以上の前記第1増幅率に基づいて、前記デジタルシグナルプロセッサが、二以上の前記アナログアンプの増幅率の制御と、二以上の前記A/D変換器に変換された各デジタル信号の処理とを行う請求項4又は5に記載の音響機器。
  7. 前記信号入力部、前記アナログアンプ、前記操作部、前記A/D変換器をそれぞれ含む複数の信号経路を備え、一の信号経路の前記信号入力部に、他の信号経路の前記アナログアンプ、前記操作部、前記A/D変換器を選択的に接続し、一及び他の信号経路の前記操作部で指定された二つの前記第1増幅率に基づいて、前記デジタルシグナルプロセッサが、一及び他の信号経路の各アナログアンプの増幅率の制御と、一及び他の信号経路の各A/D変換器に変換された二つの前記デジタル信号の処理とを行う請求項6に記載の音響機器。
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