以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1Aおよび図1Bは、それぞれ平面視および側面視において、電流センサ100の内部構成を示す。ここで、図1Aにおける上下方向を縦方向、図1A及び図1Bにおける左右方向を横方向、および図1Bにおける上下方向を高さ方向とする。電流センサ100は、複数の磁気センサを用いて複数の電流の量を検出する複数チャネルの電流センサであり、複数の電流経路とデバイス端子との間を十分離間して絶縁耐圧を維持しつつパッケージ全体をコンパクトに成形することを目的とする。
電流センサ100は、パッケージ9、ベース10、複数のデバイス端子17、絶縁体18、2つの電流経路22,24、2つの第1磁気センサ32,34、2つの第2磁気センサ33,35、および2つの信号処理デバイス42,44を備える。なお、2つの電流経路22,24を含んで第1リードフレーム20が構成され、2つの信号処理デバイス42,44が搭載されるベース10および複数のデバイス端子17を含んで第2リードフレーム19が構成される。
パッケージ9は、後述するベース10が有する2つのデバイス端子15,16、複数のデバイス端子17、および2つの電流経路22,24のそれぞれの端子部の底面および先端面を除いて、電流センサ100の構成各部をその内部に封止して保護する。パッケージ9は、例えば、エポキシなどの絶縁性に優れた封止樹脂を用いてモールド成形することで、矩形状の上面(すなわち、図1Aにおける手前側の一面)および上面の一辺の長さより小さい厚さを有する直方体状に成形される。なお、パッケージ9の一辺(すなわち、図1Aおよび図1Bにおける左側の辺)を第1辺9a、第1辺9aに対向する別の辺(すなわち、図1Aおよび図1Bにおける右側の辺)を第2辺9bとする。
ベース10は、第1磁気センサ32,34、第2磁気センサ33,35、および信号処理デバイス42,44を支持する。ベース10は、特に信号処理デバイス42,44が発する熱を放熱するために、例えば熱伝導率の高い金属を用いて板状に成形される。ベース10は、本体11、突出部12,13,14、およびデバイス端子15,16を有する。
本体11は、平面視において、信号処理デバイス42,44を支持するのに十分な大きさの略矩形状を有する。本体11には、短手方向の一側の辺(すなわち、図1Aにおける右側の辺)の中央に矩形状の切欠き11aが形成されている。本体11は、その長手を縦方向に向け、切欠き11aを第2辺9bに向けて、パッケージ9のほぼ中央に配置される。本体11に切欠き11aを入れることで信号処理デバイス42,44の位置ずれのチェックが容易となる。
突出部12,13,14は、それぞれ本体11の短手方向の他側の辺(すなわち、図1Aにおける左側の辺)の一端(すなわち、図1Aにおける上端)、中央、および他端(すなわち、図1Aにおける下端)から、第1辺9aに向かって突出する。
デバイス端子15,16は、それぞれ本体11の短手方向の一側の辺の一端(すなわち、図1Aにおける上端)および他端(すなわち、図1Aにおける下端)から、第2辺9bまで延びる。デバイス端子15,16は、段差加工により高さ方向に段差を設けて基端に対して先端を下げることにより、それらの先端にそれぞれ端子部15a,16aを形成する。
ベース10は、デバイス端子15,16の端子部15a,16aの底面および先端面をそれぞれパッケージ9の底面および右側面に面一に露出して(すなわち、端子部15a,16aをパッケージ9から突出しないで)、パッケージ9内に封止されている。それにより、パッケージ9は、デバイス端子15,16にリードを持たないリードレスパッケージとして成形される。
上述の構成のリードレスパッケージでは、デバイス端子15,16の端子部15a,16aは、電流センサ100をプリント配線基板等の外部基板上に実装した場合に、外部基板上に配設された配線等に接合される。このとき、2つの信号処理デバイス42,44を支持するベース10の本体11がパッケージに使用された封止樹脂により外部基板から離間することで、2つの信号処理デバイス42,44と外部基板との間の絶縁耐圧が得られる。
複数のデバイス端子17は、デバイス端子15,16とともに、信号処理デバイス42,44から出力される電流の検出結果を外部デバイスに出力するための2次導体である。この他、複数のデバイス端子17は、デバイス端子15,16とともに、信号処理デバイス42,44に電源や動作パラメーターを与えるために用いられる。本実施形態では、デバイス端子17は第2辺9bに設けられる。デバイス端子17は、金属を用いて矩形板状に成形される。
本実施形態では、一例として8つのデバイス端子17が、それらの長手を横方向に向けて、ベース10のデバイス端子15,16の間に等間隔に配列される。8つのデバイス端子17のうちの7つは本体11の短手方向の一側の辺(すなわち、図1Aにおける右側の辺)の近傍から、残りの1つは切欠き11a内から、第2辺9bまで延びる。8つのデバイス端子17は、段差加工により高さ方向に段差を設けて基端に対して先端を下げることにより、それらの先端に端子部17aを形成する。
デバイス端子17は、端子部17aの底面および先端面をそれぞれパッケージ9の底面および右側面に面一に露出して(すなわち、端子部17aをパッケージ9から突出させずに)、パッケージ9内に封止されている。それにより、パッケージ9は、複数のデバイス端子17にリードを持たないリードレスパッケージとして成形される。この構成のリードレスパッケージでは、デバイス端子17の端子部17aは、電流センサ100を例えば外部基板上に実装した場合に、外部基板上に配設された配線等に接合される。
絶縁体18は、第1磁気センサ32,34および第2磁気センサ33,35を支持する矩形状のシートまたはフィルムであり、一例としてポリイミドテープ等の絶縁耐圧の高い素材を有する。絶縁体18は、その長手を縦方向に向け、長手の一端、中央、および他端をそれぞれベース10の突出部12,13,14の下面に貼り付けて突出部12,14の間に架けることで、ベース10に保持されている。
2つの電流経路22,24は、電流センサ100により検出される電流を通電する1次導体である。本実施形態では、電流経路22,24は、第1辺9aに、縦方向の一側および他側(すなわち、図1Aにおける上側および下側)にそれぞれ配置される。電流経路22,24は、第1辺9aに設けられる第1電流端子22a,24aから第1辺9aに設けられる第2電流端子22e,24eへと至るU字状に成形される。電流経路22,24は、金属を用いて成形される。
電流経路22は、第1および第2電流端子(単に端子部とも呼ぶ)22a,22e、段差部22b,22d、曲部22c、および延設部22fを含む。
端子部22a,22eは、平面視において一軸方向(すなわち、縦方向)を長手とする矩形状を有する。端子部22a,22eは、一軸方向に直交する方向(すなわち、横方向)の一端の中央に切欠きが形成されている。
段差部22b,22dは、平面視において端子部22a,22eと等しい縦方向の幅の矩形状を有する。段差部22b,22dは、それぞれ端子部22a,22eの横方向の他端を後述する曲部22cの2つの脚部に一体的に接続する。
曲部22cは、2つの脚部およびこれら2つの脚部を繋ぐ繋部を有する。2つの脚部は、段差部22b,22dより小さい縦方向の幅を有する。曲部22cは、繋部の長手を縦方向に向け、その両端から2つの脚部を横方向に延伸する。ここで、2つの脚部の離間距離は、第1磁気センサ32の幅より大きい。
延設部22fは、曲部22cと等しい幅を有し、その基端を曲部22cの繋部の一端(すなわち、図1Aにおける下端)に一体的に接続し、その先端を横方向(すなわち、曲部22cの2つの脚部が繋部から延伸する方向)に屈曲する。ここで、延設部22fの先端とこれに隣接する曲部22cの脚部との離間距離は、第2磁気センサ33の幅より大きい。
電流経路22の端子部22a,22eは、段差加工により高さ方向に段差を設けて段差部22b,22dに対して下げることにより、電流端子を形成する。これとともに、端子部22a,22eに対する段差部22b,22dの高さは、端子部15a,16a,17aに対するベース10の本体11および突出部12,13,14の高さに等しくなる。
さらに、電流経路22の曲部22cおよび延設部22fは、段差加工により高さ方向に段差を設けて段差部22b,22dに対して上げられる。それにより、曲部22cおよび延設部22fの底面は、ベース10の突出部12,13,14の底面に貼り付けられた絶縁体18の上面より高くなる。すなわち、第1リードフレーム20は、後述するように第1磁気センサ32の周囲を囲む曲部22cにおいて、第2リードフレーム19におけるデバイス端子15,16の端子部15a,16aの底面(すなわち、パッケージ9の下面)からデバイス端子15,16の基端、そしてより内部側へと段差加工されたベース10の突出部12,13,14よりもさらに上側に段差加工されている。それにより、電流経路22を含む1次導体とデバイス端子15,16,17を含む2次導体に接続する絶縁体18とが離間することで、パッケージ9内における1次導体と2次導体との間で高い絶縁耐圧が得られる。
電流経路24は、第1および第2電流端子(単に端子部とも呼ぶ)24a,24e、段差部24b,24d、曲部24c、および延設部24fを含む。これらの各部は、それぞれ、電流経路22の端子部22a,22e、段差部22b,22d、曲部22c、および延設部22fと同様に形成される。ただし、延設部24fは、その基端を曲部24cの繋部の(すなわち、図1Aにおける上端)に一体的に接続する。
電流経路24の端子部24a,24eは、電流経路22の端子部22a,22eと同様に段差加工が施されて、電流端子を形成する。これとともに、端子部24a,24eに対する段差部22b,22dの高さは、端子部15a,16a,17aに対するベース10の本体11および突出部12,13,14の高さに等しくなる。
また、電流経路24の曲部24cおよび延設部24fは、電流経路22の曲部22cおよび延設部22fと同様に段差加工が施されて、段差部24b,24dに対して上げられる。それにより、曲部24cおよび延設部24fの底面は、ベース10の突出部12,13,14の底面に貼り付けられた絶縁体18の上面の上に位置する。すなわち、第1リードフレーム20は、後述するように第1磁気センサ34の周囲を囲む曲部24cにおいて、第2リードフレーム19におけるデバイス端子15,16の端子部15a,16aの底面(すなわち、パッケージ9の下面)からデバイス端子15,16の基端、そしてより内部側へと段差加工されたベース10の突出部12,13,14よりもさらに上側に段差加工されている。それにより、電流経路24を含む1次導体とデバイス端子15,16,17を含む2次導体に接続する絶縁体18とが離間することで、パッケージ9内における1次導体と2次導体との間で高い絶縁耐圧が得られる。
電流経路22は、曲部22cおよび延設部22fをベース10の突出部12,13の間に配し、端子部22a,22eの底面および先端面をそれぞれパッケージ9の底面および左側面に面一に露出して(すなわち、端子部22a,22eをパッケージ9から突出しないで)、パッケージ9内に封止される。同様に、電流経路24は、曲部24cおよび延設部24fをベース10の突出部13,14の間に配し、端子部24a,24eの底面および先端面をそれぞれパッケージ9の底面および左側面に面一に露出して(すなわち、端子部24a,24eをパッケージ9から突出しないで)、パッケージ9内に封止される。それにより、パッケージ9は、電流経路22,24の端子部(第1および第2電流端子)22a,22e,24a,24eにリードを持たないリードレスパッケージとして成形される。
上述の構成のリードレスパッケージでは、電流経路22,24の通電距離が短くなる分、電流経路22,24の抵抗値が小さくなり発熱量が小さくなる。また、外部基板への放熱性も向上するためより大きな量の電流を通電することができる。電流経路22,24の端子部22a,22e,24a,24eは、電流センサ100を例えば外部基板上に実装した場合に、外部基板上に配設された配線等に接合される。
2つの第1磁気センサ32,34は、それぞれ、電流経路22,24に通電される電流により発生する磁場を検出する。第1磁気センサ32,34として、例えば、InAs、GaAs等から構成される化合物半導体ホール素子、シリコンから構成されるホール素子(或いは増幅回路と一体化されたホールIC)、および磁気抵抗素子を採用することができる。
第1磁気センサ32は、絶縁体18上で、平面視において電流経路22に囲まれる曲部22cの内側に配置される。ここで、第1磁気センサ32の感磁面(すなわち、磁場を検出する検出面)は、本実施形態では、第1磁気センサ32の上面に設けられている。第1磁気センサ32の上面は、高さ方向に関して、電流経路22が第1磁気センサ32の周囲を囲む部分の上面および下面の間に、好ましくは電流経路22の板厚の中心高さに位置決めされる。それにより、第1磁気センサ32により、電流経路22に通電する電流により発生する磁場を高いSN比で検出することができる。
第1磁気センサ34は、同様に、絶縁体18上で、平面視において電流経路24に囲まれる曲部24cの内側に配置される。ここで、感磁面が設けられている第1磁気センサ34の上面は、高さ方向に関して、電流経路24が第1磁気センサ34の周囲を囲む部分の上面および下面の間に、好ましくは電流経路24の板厚の中心高さに位置決めされる。それにより、第1磁気センサ34により、電流経路24に通電する電流により発生する磁場を高いSN比で検出することができる。
第1磁気センサ32,34は、それぞれ、ワイヤボンディングによって信号処理デバイス42,44に接続され、検出した磁場の強度に応じた電圧を出力信号として信号処理デバイス42,44に出力する。
第2磁気センサ33は、電流経路22の周囲に生じる外部磁場、電流経路24に通電される電流により発生する磁場等のノイズを、第1磁気センサ32と略等しく検出する。第1磁気センサ32と第2電流センサ33の差分を行うことで外部磁場や電流経路24から発生する漏えい磁場の影響をキャンセルすることができる。
第2磁気センサ35は、電流経路24の周囲に生じる外部磁場、電流経路22に通電される電流により発生する磁場等のノイズを、第1磁気センサ34と略等しく検出する。第1磁気センサ34と第2電流センサ35の差分を行うことで外部磁場や電流経路22から発生する漏えい磁場の影響をキャンセルすることができる。
第2磁気センサ33,35として、第1磁気センサ32,34と同様の素子を採用することができる。
第2磁気センサ33は、電流経路22に対応して、平面視において電流経路22に囲まれる曲部22cの外側であり、互いに隣接する2つの電流経路22,24に対応してこれらの間に配置される。ここで、第1および第2磁気センサ32,33の磁場検出の感度は、通常、環境温度に依存する。そこで本実施形態では、第2磁気センサ33は、曲部22cとこれに連接する延設部22fとに囲まれる領域内に配置される。延設部22fは、曲部22cと同じ素材より一体的に形成されるため、電流が曲部22cに通電することで発生する熱が延設部22fに伝わり、第2磁気センサ33は第1磁気センサ32と近い温度環境下に置かれることとなる。それにより、第2磁気センサ33の磁場検出の感度が第1磁気センサ32のそれに等しくなる。従って、第2磁気センサ33は、第1磁気センサ32と等しく磁気ノイズを検出することができる。
第2磁気センサ35は、電流経路24に対応して、平面視において電流経路24に囲まれる曲部24cの外側であり、互いに隣接する2つの電流経路22,24に対応してこれらの間に配置される。ここで、第1および第2磁気センサ34,35の磁場検出の感度は、通常、環境温度に依存する。そこで本実施形態では、第2磁気センサ35は、曲部24cとこれに連接する延設部24fとに囲まれる領域内に配置される。それにより、第2磁気センサ35は第1磁気センサ34と近い温度環境下に置かれることとなり、第2磁気センサ35の磁場検出の感度が第1磁気センサ34のそれに等しくなる。従って、第2磁気センサ35は、第1磁気センサ34と等しく磁気ノイズを検出することができる。
なお、第2磁気センサ33,35は、第1磁気センサ32,33と同様に絶縁体18上に配置され、感磁面が設けられている上面が、高さ方向に関して、電流経路22,24が第1磁気センサ32,34の周囲を囲む部分の上面および下面の間に、好ましくは電流経路22,24の板厚の中心高さに位置決めされる。
第2磁気センサ33,35は、それぞれ、ワイヤボンディングによって信号処理デバイス42,44に接続され、検出した磁場の強度に応じた電圧を出力信号として信号処理デバイス42,44に出力する。
信号処理デバイス42は、第1および第2磁気センサ32,33の出力信号を処理して、電流経路22に通電される電流の量を算出する。信号処理デバイス44は、第1および第2磁気センサ34,35の出力信号を処理して、電流経路24に通電される電流の量を算出する。
なお、信号処理デバイス42,44は、それぞれが第1磁気センサ32,34の両方の出力信号を、さらに第2磁気センサ33,35の両方の出力信号を処理することとしてもよい。係る場合、信号処理デバイス42,44の間で第1磁気センサ32,34の出力信号および第2磁気センサ33,35の出力信号を共有するよう、それらの間を接続して出力信号を互いに送信する、あるいは第1および第2磁気センサ32,33をさらに信号処理デバイス44に接続して出力信号を信号処理デバイス42,44の両方に出力し、第1および第2磁気センサ34,35をさらに信号処理デバイス42に接続して出力信号を信号処理デバイス42,44の両方に出力することとしてもよい。
本実施形態では、信号処理デバイス42,44は、第1磁気センサ32,34および第2磁気センサ33,35と別個のデバイスとしてハイブリッド構成されたものを採用する。信号処理デバイス42,44は、それぞれ、メモリ、感度補正回路、出力のオフセットを補正するオフセット補正回路、第1磁気センサ32,34および第2磁気センサ33,35からの出力信号を増幅する増幅回路、第1磁気センサ32,34からの出力信号と電流経路22および電流経路24の外側に設けられた第2磁気センサ33,35からの出力信号との差分を演算する差分演算回路、および温度に応じて出力を補正する温度補正回路を内蔵してもよい。
信号処理デバイス42,44は、ベース10の本体11上に支持される。信号処理デバイス42,44は、それぞれ、本体11の縦方向の一側および他側(すなわち、図1Aにおける上側および下側)に配置される。信号処理デバイス42は、ベース10のデバイス端子15および8つのデバイス端子17のうちの5つ(図1Aにおける上側の5つ)とワイヤボンディングによって接続されている。信号処理デバイス44は、ベース10のデバイス端子16および8つのデバイス端子17のうちの5つ(図1Aにおける下側の5つ)とワイヤボンディングによって接続されている。それにより、信号処理デバイス42,44は、電流経路22,24に通電される電流の量の算出結果をデバイス端子15,16,17を介して出力する。
なお、上述の構成の電流センサ100では、2つの信号処理デバイス42,44は、パッケージ9内において2つの電流経路22,24よりも第2辺9bに近い位置に設けられている。つまり、2つの電流経路22,24を含む1次導体が第1辺9aに、ベース10のデバイス端子15,16および複数のデバイス端子17を含む2次導体が第2辺9bに、これらの間に2つの信号処理デバイス42,44が配置されている。ここで、2つの信号処理デバイス42,44を支持するベース10の本体11は、ベース10のデバイス端子15,16及び複数のデバイス端子17に段差を設けることでこれらの端子部15a,16a,17aに対して上げられ、絶縁性に優れた封止樹脂によりパッケージ9内に封止されている。それにより、電流経路22,24の端子部22a,22e,24a,24eの底面をパッケージ9の底面に面一に露出する1次導体とデバイス端子15,16,17の端子部15a,16a,17aの底面をパッケージ9の底面に面一に露出する2次導体との間の沿面距離が設けられ、1次導体と2次導体との間の絶縁耐圧が向上するとともに、パッケージ全体をコンパクトに形成することができる。
図2は、平面視において、第1の変形例に係る電流センサ110の内部構成を示す。電流センサ110では、先述の電流センサ100に対して、主に、2つの電流経路22,24の構成および第2磁気センサ33,35の配置が異なる。
電流経路22は、第1および第2電流端子(単に端子部とも呼ぶ)22a,22e、段差部22b,22d、曲部22c、および延設部22fを含む。延設部22fを除き、これらの各部は電流センサ100におけるそれらと同様に構成されている。延設部22fは、曲部22cと等しい幅を有し、その基端を曲部22cの繋部の一端(すなわち、図2における上端)に一体的に接続し、その先端を横方向(すなわち、曲部22cの2つの脚部が繋部から延伸する方向)に屈曲する。ここで、延設部22fの先端とこれに隣接する曲部22cの脚部との離間距離は、第2磁気センサ33の幅より大きい。
電流経路24は、第1および第2電流端子(単に端子部とも呼ぶ)24a,24e、段差部24b,24d、曲部24c、および延設部24fを含む。これらの各部は、それぞれ、電流経路22の端子部22a,22e、段差部22b,22d、曲部22c、および延設部22fと同様に形成される。ただし、延設部24fは、その基端を曲部24cの繋部の一端(すなわち、図2における下端)に一体的に接続する。
第2磁気センサ33,35は、互いに隣接する2つの電流経路22,24に対応してこれらを間に挟む位置に配置される。第2磁気センサ33は、曲部22cとこれに連接する延設部22fとに囲まれる領域内に配置され、第2磁気センサ35は、曲部24cとこれに連接する延設部24fとに囲まれる領域内に配置される。
上述の構成の電流センサ110では、先述の電流センサ100に対して、第1および第2磁気センサ32,33は、電流経路24からより離れることでその電流経路に通電する電流に対する感度が小さくなり、第1および第2磁気センサ34,35は、電流経路22からより離れることでその電流経路に通電する電流に対する感度が小さくなる。それにより、第1および第2磁気センサ32,33ならびに第1および第2磁気センサ34,35は、隣接する電流経路から発生する漏えい磁場の影響が小さくなるため、それぞれの電流経路に通電する電流量をより精密に検出することが可能になる。また、電流量の検出精度を維持しつつ2つの電流経路22,24をより近くに配置することができる。それにより、パッケージ全体をコンパクトに形成することも可能になる。
電流センサ100,110のアプリケーションとして高圧の電流を検出する場合、大きな絶縁耐圧を要するため、2つのチャネルが離間する電流経路22,24の構成および配置が望ましい。係る場合、電流センサ100のように、大きく離間した電流経路22,24の間に第2磁気センサ33,35を配置することで、パッケージ全体をコンパクトに形成することができる。逆に、低圧の電流を検出する場合、絶縁耐圧を要さないため、2つのチャネルが近接する電流経路22,24の構成および配置がパッケージ全体をコンパクトに形成するうえで望まれる。係る場合、電流センサ110のように、近接する電流経路22,24を間に挟む第2磁気センサ33,35の配置がより精密に電流量を検出するうえで好適である。
電流センサ100および第1の変形例に係る電流センサ110における2つの信号処理デバイス42,44による電流量の算出について説明する。信号処理デバイス42は、第1磁気センサ32の出力信号と第2磁気センサ33の出力信号との差分を算出し、この差分を電流経路22に通電する電流量として出力する。出力信号の差分において、電流経路22の周囲に生じる外部磁場、電流経路24に通電される電流により発生する漏えい磁場等に由来する磁気ノイズが相殺されることで、電流経路22に通電する電流量を精密に検出することが可能となる。同様に、信号処理デバイス44は、第1磁気センサ34の出力信号と第2磁気センサ35の出力信号との差分を算出し、この差分を電流経路24に通電する電流量として出力する。出力信号の差分において、電流経路24の周囲に生じる外部磁場、電流経路22に通電される電流により発生する漏えい磁場等に由来する磁気ノイズが相殺されることで、電流経路24に通電する電流量を精密に検出することが可能となる。これに加えて、2つの電流経路22,24をより近くに配置して、パッケージ9をよりコンパクトに形成することも可能となる。
図3は、平面視において、第2の変形例に係る電流センサ120の内部構成を示す。電流センサ120では、先述の電流センサ100に対して、主に、ベース10の構成、2つの電流経路22,24の構成、2つの第1磁気センサ32,34のみが配置されていること、及び1つの信号処理デバイス42のみを有することが異なる。
ベース10は、本体11、突出部12,13,14、およびデバイス端子15,16を有する。これらの各部は、本体11に切欠き11aが形成されていないことを除いて、電流センサ100,100におけるそれらと同様に構成されている。
電流経路22は、第1および第2電流端子(単に端子部とも呼ぶ)22a,22e、段差部22b,22d、および曲部22cを含む。延設部22fは設けられていない。これらの各部は、電流センサ100におけるそれらと同様に構成されている。
電流経路24は、第1および第2電流端子(単に端子部とも呼ぶ)24a,24e、段差部24b,24d、および曲部24cを含む。延設部24fは設けられていない。これらの各部は、電流センサ100におけるそれらと同様に構成されている。
第1磁気センサ32は、絶縁体18上で、平面視において電流経路22に囲まれる曲部22cの内側に配置される。第1磁気センサ34は、絶縁体18上で、平面視において電流経路24に囲まれる曲部24cの内側に配置される。第1磁気センサ32,34は、ワイヤボンディングによって信号処理デバイス42に接続され、検出した磁場の強度に応じた電圧を出力信号として信号処理デバイス42に出力する。
信号処理デバイス42は、ベース10の本体11上に支持される。信号処理デバイス42は、平面視において矩形状を有し、その長手を縦方向に向けて本体11中央に配置される。信号処理デバイス42は、ベース10のデバイス端子15,16および8つのデバイス端子17とワイヤボンディングによって接続されている。それにより、信号処理デバイス42は、電流経路22,24に通電される電流の量の算出結果をデバイス端子15,16,17を介して出力する。
第2の変形例に係る電流センサ120における信号処理デバイス42による電流量の算出について説明する。信号処理デバイス42は、第1磁気センサ32,34の出力信号V1,V2を用いて、電流経路22,24に通電する電流量I1,I2を算出する。第1磁気センサ32,34の出力信号V1,V2は、電流量I1,I2を用いて次のように表すことができる。
V1= K1×I1−K2×I2 …(1a)
V2=−K3×I1+K4×I2 …(1b)
ただし、電流経路22,24に通電する電流の向きは、第1電流端子22a,24aから第2電流端子22e,24eに流れる向きを正とする。
係数K1(K2)は、電流経路22(24)に通電する電流に対する磁気センサ32の感度であり、電流経路22(24)に通電する単位量の電流により磁気センサ32の感磁面に生じる磁場強度と磁場強度から電圧への変換係数との積により与えられる。係数K3(K4)は、電流経路22(24)に通電する電流に対する磁気センサ34の感度であり、電流経路22(24)に通電する単位量の電流により磁気センサ34の感磁面に生じる磁場強度と磁場強度から電圧への変換係数との積により与えられる。理想状態において、K3=K2,K4=K1と近似することができる。
式(1a)、式(1b)、および近似K3=K2,K4=K1より、電流量I1,I2は次のように求められる。
I1=(K1×V1+K2×V2)/(K12−K22) …(2a)
I2=(K2×V1+K1×V2)/(K12−K22) …(2b)
ただし、K1≠K2である。係数K1,K2は、例えば、電流経路22にゼロの電流量(I1=0)および電流経路24に単位量I0の電流量(I2=I0)をそれぞれ通電したときの第1磁気センサ32,34の出力信号V10,V20から、次のように決定することができる。
K1=−V20/I0 …(3a)
K2= V10/I0 …(3b)
上記補正ロジックにより2チャネル間の漏えい磁場の影響をキャンセルすることができ、高精度な電流検出が実現可能となる。また、1つの信号処理デバイス42を用いることで、2チャネルの電流量を高速で算出することが可能となる。
図4は、平面視において、第3の変形例に係る電流センサ130の内部構成を示す。電流センサ130では、上述の電流センサ120に対して、主に、ベース10の構成および第3磁気センサ36がさらに配置されていることが異なる。
ベース10は、本体11、突出部12,14、およびデバイス端子15,16を有する。つまり、電流センサ120のベース10に対して、突出部13が設けられていない。これらの各部は、電流センサ120におけるそれらと同様に構成されている。絶縁体18は、その長手を縦方向に向け、長手の一端および他端をそれぞれベース10の突出部12,14の下面に貼り付けて突出部12,14の間に架けることで、ベース10に保持されている。
第3磁気センサ36は、絶縁体18上で、2つの電流経路22,24の間に配置される。第3磁気センサ36は、ワイヤボンディングにより信号処理デバイス42に接続して出力信号を信号処理デバイス42に出力する。
第3の変形例に係る電流センサ130における信号処理デバイス42による電流量の算出について説明する。信号処理デバイス42は、第1磁気センサ32,34の出力信号V1,V2に加えて2つの電流経路22,24の間に配置された第3磁気センサ36の出力信号Vmを用いて、電流経路22,24に通電する電流量I1,I2を算出する。第3磁気センサ36は、一例として、2つの電流経路22,24の中間に配置されるものとする。第3磁気センサ36の出力信号V3は、電流量I1,I2を用いて次のように表すことができる。
V3=−K5×I1−K6×I2 …(4)
ここで、係数K5(K6)は、電流経路22(24)に通電する電流に対する第3磁気センサ36の感度であり、電流経路22(24)に通電する単位量の電流により第3磁気センサ36の感磁面に生じる磁場強度と磁場強度から電圧への変換係数との積により与えられる。第3磁気センサ36は2つの電流経路22,24の中間に配置されるとしたことから、K5=K6(=Km)と近似することができる。
式(1a)、式(1b)、式(4)、および近似K3=K2,K4=K1,K5=K6(=Km)より、電流量I1,I2は次のように求められる。
I1=((K2−Km)ΔV1+(K1+Km)ΔV2)/Δ …(5a)
I2=((K1+Km)ΔV1+(K2−Km)ΔV2)/Δ …(5b)
ただし、ΔV1、ΔV2、Δは、次のように与えられる。
ΔV1=V1−Vm …(6a)
ΔV2=V2−Vm …(6b)
Δ=(K1+K2)(K1−K2+2Km) …(6c)
係数K1,K2,Kmは、例えば、電流経路22にゼロの電流量(I1=0)および電流経路24に単位量I0の電流量(I2=I0)をそれぞれ通電したときの第1磁気センサ32,34の出力信号V10,V20および第3磁気センサ36の出力信号Vm0から、次のように決定することができる。
K1= V20/I0 …(7a)
K2=−V10/I0 …(7b)
Km=−Vm0/I0 …(7c)
上記補正ロジックにより2チャネル間の漏えい磁場と外部磁場の影響をキャンセルすることができ、高精度な電流検出が実現可能となる。また、1つの信号処理デバイス42を用いることで、2チャネルの電流量を高速で算出することが可能となる。
なお、第3磁気センサ36の出力信号Vmに代えて、電流センサ100,110における第2磁気センサ33,35の出力信号の平均を用いてもよい。
図5は、平面視における第4の変形例に係る電流センサ140の内部構成を示す。電流センサ140では、先述の電流センサ100に対して、主に、2つの電流経路22,24の構成および2つの第2磁気センサ33,35の配置が異なる。
電流経路22は、第1および第2電流端子(単に端子部とも呼ぶ)22a,22e、段差部22b,22d、曲部22c、および2つの延設部22f,22gを含む。延設部22gを除き、これらの各部は電流センサ100におけるそれらと同様に構成されている。延設部22gは、曲部22cと等しい幅を有し、その基端を曲部22cの繋部の一端(すなわち、図5における上端)に一体的に接続し、その先端を横方向(すなわち、曲部22cの2つの脚部が繋部から延伸する方向)に屈曲する。ここで、延設部22gの先端とこれに隣接する曲部22cの脚部との離間距離は、第2磁気センサ35の幅より大きい。
電流経路24は、第1および第2電流端子(単に端子部とも呼ぶ)24a,24e、段差部24b,24d、および曲部24cを含む。これらの各部は、電流センサ120,130におけるそれらと同様に構成されている。
電流経路22に対応して、これに囲まれる曲部22cの内側に第1磁気センサ32が配置される。曲部22cの外側において電流経路22を間に挟む位置に2つの第2磁気センサ33,35が配置される。第2磁気センサ33は、曲部24cとこれに連接する延設部24fとに囲まれる領域内に配置され、第2磁気センサ35は、曲部24cとこれに連接する延設部24gとに囲まれる領域内に配置される。一例として、2つの第2磁気センサ33,35のそれぞれの第1磁気センサ32(すなわち、電流経路22の縦方向に関する中心)との離間距離は等しく定めることができる。2つの第2磁気センサ33,35を用いることで、第1磁気センサ32によりノイズとして検出される外部磁場、電流経路24に通電される電流により発生する磁場等をより精密に検出することが可能となる。
電流経路24に対応して、これに囲まれる曲部24cの内側に第1磁気センサ34が配置される。なお、電流経路24に対応して、さらに、曲部24cの外側において電流経路24を間に挟む位置に2つの第2磁気センサを配置してもよい。2つの第2磁気センサを用いることで、第1磁気センサ34によりノイズとして検出される外部磁場、電流経路22に通電される電流により発生する磁場等をより精密に検出することが可能となる。
または、電流経路24に磁気センサを設けなくてもよい。係る場合、電流経路22に対応して配置された2つの第2磁気センサ33,35を用いて、電流経路24に通電する電流量を検出する。2つの第2磁気センサ33,35は、電流経路22の中心に対して等距離離間することから、電流経路22に通電される電流により発生する磁場を等しい強度で検出するとともに、電流経路24の中心に対して異なる距離離間することから、電流経路24に通電される電流により発生する磁場を異なる強度で検出する。そこで、信号処理デバイス42は、2つの第2磁気センサ33,35の出力信号の差分を算出することで、電流経路24に通電される電流の量を検出することができる。
電流センサ100の製造方法について説明する。
まず、一枚の金属板をプレス加工して、ベース10、複数のデバイス端子17、および2つの電流経路22,24のパターンを成形する。このパターンは、段差加工が施されていない状態におけるベース10、複数のデバイス端子17、および2つの電流経路22,24を、それらの端子部を矩形枠状のフレームの内側に連結して含む。
次にベース10の突出部12,13,14の下面に絶縁体18を貼り付ける。
次に、パターンに段差加工を施して、ベース10のデバイス端子15,16、複数のデバイス端子17、および2つの電流経路22,24に段差を設ける。それにより、フレームおよびこれに連結するそれらの端子部に対してパターンの内側部分が上げられる。さらに、パターンに段差加工を施して、2つの電流経路22,24にさらに段差を設ける。それにより、2つの電流経路22,24に含まれる曲部22c,24cがベース10の本体11および突出部12,13,14に対して上げられる。なお、2回の段差加工は、一度に行ってもよい。
次に、2つの第1磁気センサ32,34、2つの第2磁気センサ33,35、および2つの信号処理デバイス42,44をパターン上に設置する。ここで、ベース10の突出部12,13,14の下面に貼り付けられた絶縁体18上に第1磁気センサ32,34および第2磁気センサ33,35を配置する。信号処理デバイス42,44は、ベース10の本体11上に配置する。
次に、ワイヤボンディングにより、第1磁気センサ32および第2磁気センサ33と信号処理デバイス42とを接続し、第1磁気センサ34および第2磁気センサ35と信号処理デバイス44とを接続し、信号処理デバイス42,44とデバイス端子15,16,17とを接続する。
次に、パターンを、フレームおよびこれとベース10、複数のデバイス端子17、および2つの電流経路22,24の端子部とを連結する部分を残して、モールド成形する。それにより、パッケージ9が成形され、その内部に第1磁気センサ32,34、第2磁気センサ33,35、信号処理デバイス42,44、およびこれらが設置されたパターンの内側部分が封止される。
最後に、パッケージ9から露出するパターン、すなわちフレームおよびこれとベース10、複数のデバイス端子17、および2つの電流経路22,24の端子部とを連結する部分を切断する。これにより、ベース10、複数のデバイス端子17、および2つの電流経路22,24が互いに分離され、電流センサ100,110が完成する。
なお、変形例に係る電流センサ110,120,130,140も同様に製造することができる。
なお、本実施形態の電流センサ100および変形例に係る電流センサ110,120,130,140は、一例として2つの電流経路22,24を有する2チャネルの電流センサとしたが、これに限定されず、3以上の電流経路を有する複数チャネルの電流センサとしてもよい。係る場合、3以上の電流経路は縦方向に並設することとする。係る場合、特に電流センサ100,110において、各電流経路の延設部を曲部に対して縦方向の一側に設けてよい。これに合わせて、各電流経路について第2磁気センサを第1磁気センサに対して縦方向の一側に配置してよい。それにより、複数の電流経路とデバイス端子との間の絶縁耐圧を維持しつつパッケージ全体をコンパクトに成形することができる。
なお、本実施形態の電流センサ100および変形例に係る電流センサ110,120,130,140において、それぞれのチャネルの電流経路22,24に通電する電流は、直流であっても交流であってもよい。また、直流の場合において、通電する電流の向きを任意に定めてよい。
なお、本実施形態の電流センサ100および変形例に係る電流センサ110,140では、それぞれ、第1磁気センサ32および第1磁気センサ34の出力信号をそれぞれ処理する2つの信号処理デバイス42,44を備えることとしたが、1つの共通(または3以上)の信号処理デバイスを備えることとしてもよい。また、変形例に係る電流センサ120,130では、1つの信号処理デバイス42のみを備えることとしたが、第1磁気センサ32および第1磁気センサ34の出力信号をそれぞれ処理する2つまたはそれ以上の信号処理デバイスを備えることとしてもよい。
なお、本実施形態の電流センサ100および変形例に係る電流センサ110,120,130,140では、ベース10のデバイス端子15,16、電流経路22,24、および複数のデバイス端子17の先端に、段差加工により高さ方向に段差を設けて基端に対して先端を下げることで、端子部を形成することとした。ここで、段差加工として、例えば半抜き、エッチング、フォーミング、コイニング等を利用することができる。
なお、本実施形態の電流センサ100および変形例に係る電流センサ110,120,130,140では、パッケージ9は、複数のデバイス端子15,16,17の端子部15a,16a,17aおよび電流経路22,24の端子部(第1および第2電流端子)22a,22e,24a,24eにリードを持たないリードレスパッケージとして成形されるが、これに代えて、リードを有するパッケージとして成形してもよい。
図6Aおよび図6Bは、それぞれ平面視および側面視において、第5の変形例に係る電流センサ150の内部構成を示す。電流センサ150は、先述の電流センサ100に対して、デバイス端子15,16,17および電流経路22、24の構成が異なる。
デバイス端子15,16,17は、パッケージ9内から第2辺9bを越えてパッケージ9外に突出する。デバイス端子15,16,17は、例えばフォーミングによりパッケージ9外に突出する部分の基端を下方に、さらに先端を水平に曲げることで、それらの先端にそれぞれ端子部15a,16a,17aを形成する。
電流経路22は、その端子部22a,22eを第1辺9aからパッケージ9外に突出する。端子部22a,22eは、例えばフォーミングによりパッケージ9外に突出する部分の基端を下方に、さらに先端を水平に曲げることで、電流端子を形成する。同様に、電流経路24は、その端子部24a,24eを第1辺9aからパッケージ9外に突出する。端子部24a,24eは、例えばフォーミングによりパッケージ9外に突出する部分の基端を下方に、さらに先端を水平に曲げることで、電流端子を形成する。
上述の構成のパッケージでは、デバイス端子15,16,17の端子部15a,16a,17aおよび電流経路22,24の端子部22a,22e,24a,24eは、電流センサ150を例えば外部基板上に実装した場合に、外部基板上に配設された配線等にそれら端子部の底面を接合する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。