JP2021025785A - 電流センサおよび電流センサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】通電による電流センサの発熱を抑制する。【解決手段】第1磁気センサと、平面視で第1磁気センサから離して配置され、一次側ワイヤを介して第1磁気センサに接続される信号処理ICと、第1磁気センサおよび信号処理ICの間を通る一次導体、および外部と一次導体との間で被測定電流を流す一次側端子が一体に形成されたリードフレームとを備え、一次側端子および一次導体の間には、一次側端子を一次導体に対して電流センサの第1面とは反対側にオフセットさせる一次側段差が設けられる電流センサを提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、電流センサおよび電流センサの製造方法に関する。
従来、電流センサとして、被測定電流によって発生する磁場に応じた信号を出力する磁気センサを用いて被測定電流を検出する電流センサが知られている。たとえば、電流センサは、被測定電流を入出力するための端子、端子に接続され、被測定電流が流れる導体および導体に近接して配置される磁気センサを備える。このような電流センサにおいて、端子をパッケージ表面に露出させて、パッケージをリードレス構造とすることで、パッケージの小型化が進められている。
たとえばこのようなリードレス構造の電流センサの耐圧特性を向上させるために、電流が流れる導体のうち、端子部分以外は薄肉化され、パッケージの内部に収容されていた。その結果、導体は、大きな抵抗を有していた。これにより、電流センサに大きな電流が流れた場合に、導体から生じる発熱は大きく、電流の検出精度に問題が生じていた。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、電流センサを提供する。電流センサは、第1磁気センサを備えてよい。電流センサは、平面視で第1磁気センサから離して配置され、一次側ワイヤを介して第1磁気センサに接続される信号処理ICを備えてよい。電流センサは、第1磁気センサおよび信号処理ICの間を通る一次導体、および外部と一次導体との間で被測定電流を流す一次側端子が一体に形成されたリードフレームを備えてよい。一次側端子および一次導体の間には、一次側端子を一次導体に対して電流センサの第1面とは反対側にオフセットさせる一次側段差が設けられてよい。
一次導体の厚みは、一次側端子の厚みの2/3倍以上1倍以下であってよい。
一次導体および一次側端子は、実質的に同一の厚みを有してよい。
第1磁気センサ、信号処理IC、一次側端子の一部、および一次導体は、パッケージとして封止されてよい。
第1磁気センサおよび信号処理ICは、パッケージの外部に露出しなくてよい。
一次導体は、パッケージの外部に露出しなくてよい。
磁気センサはホール素子であってよい。
パッケージは、樹脂外形からリードが突出しないリードレス構造であってよい。
一次側端子は、電流センサの第1面とは反対側の面が、パッケージの面に露出してよい。
リードフレームは、二次側ワイヤを介して信号処理ICに接続される二次導体、および、二次導体と一体に形成され、外部と二次導体との間で信号を伝搬させる二次側端子を有してよい。二次側端子および二次導体の間には、二次側端子を二次導体に対して電流センサの第1面とは反対側にオフセットさせる二次側段差が設けられてよい。
一次側段差および二次側段差は、高さが実質的に同一であってよい。
二次導体および二次側端子は、実質的に同一の厚みを有してよい。
信号処理ICは、平面視において一次導体および二次側端子の間に配置されてよい。
一次導体は、当該電流センサの第1辺に沿って配置された第1の一次側端子および第2の一次側端子の間に被測定電流を流すように構成されてよい。第1磁気センサは、平面視で一次導体に囲まれる位置に配置されてよい。
電流センサは、平面視で一次導体および第1辺により囲まれる領域の外側に配置された第2磁気センサを備えてよい。
信号処理ICは、樹脂のみによって支持されてよい。
第1磁気センサおよび信号処理ICは、平面視でリードフレームと重ならない位置に配置されてよい。
本発明の第2の態様においては、電流センサの製造方法を提供する。電流センサの製造方法は、リードフレームを半貫加工または曲げ加工することによって、一次側端子および一次導体の間に一次側段差を設ける段階を備えてよい。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る電流センサ100の構造を示す。図1の(A)は、電流センサ100の内部構造の平面図を示す。図1の(B)は、(A)における基準線AAに関する電流センサ100の概略断面図を示す。電流センサ100は、導体に流れる被測定電流によって発生する磁場に応じて磁気センサから出力される信号を用いて、被測定電流を検出する。なお、図1をはじめとする概略断面図において、切断面を斜線で示す。なお、図1に示すように、電流センサ100の底面を第1面1とし、第1面1とは反対の面(上面)を第2面2とする。また、第1面1と垂直な方向を第1方向、第1方向と直交する方向を第2方向、並びに第1方向および第2方向と直交する方向を第3方向とする。また、電流センサ100の第1面1の第2方向に対向する辺のうちの1辺を第1辺とする。なお、上記の「上面」および「底面」等の用語は、図1に示した状態を基準として便宜上名付けたものであり、基板等に対する電流センサ100の実装状態を示すものではない。本図の電流センサ100は、基板側に第2面2が向かうように、基板に実装されるものであり、基板側を「底面」とみれば、第2面2が底面、第1面1が上面となる。
本図の平面図および断面図は、パッケージ80(第1および第2封止部材81,82)を透過して電流センサ100の内部構成を表している。電流センサ100は、一次側リードフレーム10と、第1磁気センサ30と、一次側ワイヤ51と、信号処理集積回路(IC)36と、二次側ワイヤ52と、二次側リードフレーム60と、パッケージ80とを備える。
一次側リードフレーム10は、外部(不図示)に接続して、電流センサ100により検出されるべき外部からの電流(被測定電流と呼ぶ)が流れる導電性部材である。一次側リードフレーム10は、電流センサ100の第1辺側に配置される。一次側リードフレーム10は、複数の一次側端子12と、一次側ダミー端子13と、一次導体14とを有する。
複数の一次側端子12は、一次導体14に接続され、外部(不図示)と一次導体14との間で被測定電流を流すための導電性端子である。本実施形態において、複数の一次側端子12は、電流センサ100の第1辺に沿って第3方向に互いに離隔して配設される。複数の一次側端子12は、平面視で第2方向の第1辺とは反対側の端において、一次導体14に接続される。各一次側端子12は、一例として、矩形状に成形される。複数の一次側端子12は、銅または銅を含む合金等の金属であってよい。複数の一次側端子12は、第1の一次側端子12aと、第2の一次側端子12bとを含み、第1の一次側端子12aから第2の一次側端子12bへ(または第2の一次側端子12bから第1の一次側端子12aへ)と被測定電流を流すように構成される。
第1の一次側端子12aは、平面視で第3方向における第1辺の一方側(図中の上半分)に配設される。第2の一次側端子12bは、平面視で第3方向における第1辺の他方側(図中の下半分)に配設される。
第1の一次側端子12aおよび第2の一次側端子12bは、電流センサ100の第1面1とは反対側の面(すなわち第2面2側の面)が、パッケージ80の第2面2に面一に露出する。また、第1の一次側端子12aおよび第2の一次側端子12bは、電流センサ100の第1辺側の面が、パッケージ80の第1辺側の面に面一に露出する。第1の一次側端子12aおよび第2の一次側端子12bのその他の面は、パッケージ80に覆われてよい。各一次側端子12の第2面2側の露出した面は、電流センサ100を例えば外部基板上に実装した際に、外部基板上に配設された配線等に半田により接合される。なお、複数の一次側端子12は、半田による外部基板との接合を容易にするために、少なくとも第2面2側の面にメッキが施されてよい。
一次側ダミー端子13は、第1辺において、第1の一次側端子12aおよび第2の一次側端子12bの間に配置されてよい。一次側ダミー端子13は、一次導体14に接続されない。一次側ダミー端子13は、電流センサ100の外部との接合強度を向上するために設けられる。また、一次側ダミー端子13は、電流センサ100の第1辺側における外部との接合部分および第1辺と反対側における外部との接合部分を略対称にして、接合時のセルフアライメント性を向上させるために設けられる。一次側ダミー端子13は、複数の一次側端子12と同様に、一部をパッケージ80に露出させ、パッケージ80内に収容されている。一次側ダミー端子13は、複数の一次側端子12と同様の素材を有してよい。
一次導体14は、被測定電流が流れる導電性部材である。一次導体14は、電流センサ100の第1辺に沿って配置された第1の一次側端子12aおよび第2の一次側端子12bの間に被測定電流を流すように構成される。一次導体14は、銅または銅を含む合金等の非磁性金属であってよい。一次導体14は、第1の一次側端子12aに接続される脚部16aと第2の一次側端子12bに接続される脚部16bとを含む2つの脚部16と、2つの脚部16の間の曲部18を含む。
脚部16aは、第1の一次側端子12aの配列方向(第3方向)に沿って配設される。脚部16aは、平面視で第2方向の第1辺側の端部において、複数の第1の一次側端子12aに接続される。脚部16bは、第2の一次側端子12bの配列方向(第3方向)に沿って配設される。脚部16bは、平面視で第2方向の第1辺側の端部において、複数の第2の一次側端子12bに接続される。各脚部16は、平面視で第3方向を長手とする略矩形状を有してよい。
曲部18は、第2方向における第1辺側の端部において各脚部16と接続される。曲部18は、第1磁気センサ30および信号処理IC36の間を通り、第1磁気センサ30の少なくとも一部を囲うように形成される。たとえば、曲部18は、平面視で第1磁気センサ30の3辺に近接して、U字状に形成される。曲部18は、第2方向の第1辺側に向かって開口してよい。なお、曲部18は、2つの脚部16と一体的に形成されてよい。
被測定電流は、第1の一次側端子12a(または第2の一次側端子12b)から入力され、第3方向の一方側の脚部16を介して曲部18を流れ、第3方向の他方側の脚部16を介して第2の一次側端子12b(または第1の一次側端子12a)から出力される。
一次側端子12および一次導体14の間には、一次側端子12を一次導体14に対して電流センサ100の第1面1とは反対側にオフセットさせる一次側段差20が設けられる。ここで、「オフセットする」とは、元の中心線を基準に、中心線を一定距離ずらすことをいう。つまり、一次導体14は、第2面2側の面において複数の一次側端子12に対して第1面1側に凹む。すなわち、第1方向における一次導体14の第2面2側の面の高さは、複数の一次側端子12の第2面2側の面の高さより一次側段差20の高さだけ小さい。これにより、一次導体14がパッケージ80表面に露出することを防ぐ。また、一次導体14は、第1面1側の面において複数の一次側端子12に対して第1面1側に凹む。すなわち、第1方向における一次導体14の第1面1側の面の高さは、複数の一次側端子12の第1面1側の面の高さより一次側段差20の高さだけ小さい。
一次導体14の厚みは、一次側端子12の厚みの2/3倍以上1倍以下である。これに代えて、一次導体14および一次側端子12は、実質的に同一の厚みを有してよい。なお、本実施形態において、「実質的に同一」とは、製造誤差によって生じる範囲の相違を含んでもよく、誤差が±1%以内であることを示してもよい。また、一次導体14および一次側端子12は、互いに一体に形成されてよい。
一次導体14は、第1方向における第2面2側の面の高さが後述する第1磁気センサ30の第2面2側の面の高さより大きくなるように形成されてよい。一次導体14は、第1方向における第2面2側の面の高さが第1磁気センサ30の第2面2側の面の高さの倍になるように形成されてよい。
第1磁気センサ30は、一次導体14に流れる電流により発生する磁場の磁束に応じた信号を信号処理IC36に出力するホール素子であってよい。ホール素子としては、InAsまたはGaAs等から構成される化合物半導体チップまたはシリコンチップであるホール素子等を採用することができる。また、第1磁気センサ30は、これに代えて、ホール素子と増幅回路が一体化されたホールICまたは磁気抵抗素子であってもよい。第1磁気センサ30は、平面視で矩形状であってよい。
第1磁気センサ30は、一次側ワイヤ51を介して信号処理IC36に接続される。第1磁気センサ30は、曲部18の内側に形成される空間内に曲部18とは非接触で配置される。すなわち、第1磁気センサ30は、平面視で一次導体14に囲まれる位置に配置される。本図において第1磁気センサ30は、平面視で少なくとも3辺において一次導体14の曲部18に囲まれる位置に配置される。これにより、第1磁気センサ30は、一次導体14に流れる電流によって発生する磁束をより多く捉えることが可能となり、電流検出感度が向上する。また、第1磁気センサ30は、平面視で曲部18の対応する辺との間隔が一定となるように配置されてよい。これにより、第1磁気センサ30は、さらに多くの磁束を検出することができる。
第1磁気センサ30は、第2面2側の面の四隅において、一次側ワイヤ51にそれぞれ接続するための端子を有する。
なお、第1磁気センサ30は、第1方向に対向する面のうち少なくとも一方の面(すなわち、第1面1側および第2面2側の面の少なくとも一方)に磁性体メッキ等により形成された磁性体を有し、磁束を集めてよい。また、第1磁気センサ30は、第1方向に対向する面のうち少なくとも一方の面において、例えば銅またはアルミニウム等の非磁性導体を用いて静電シールドされ、パッケージ80外から来る静電ノイズを遮蔽してよい。
一次側ワイヤ51は、例えば銅や金のような金属等の導電体を用いて成形された線状部材である。一次側ワイヤ51は、第1磁気センサ30と信号処理IC36とを電気的に接続する。一次側ワイヤ51は、第1磁気センサ30の複数の端子と信号処理IC36の複数の端子とをそれぞれ接続する複数のワイヤを含む。たとえば、一次側ワイヤ51の複数のワイヤは、第1磁気センサ30において第2面2側の面の四隅に配置する複数の端子と、信号処理IC36において第2面2側の面の第1辺側に配置する複数の端子とを、それぞれ接続する。一次側ワイヤ51は、平面視で第2方向に平行に延びるワイヤを有してもよく、第1辺に対して斜めに延びるワイヤを有してもよい。
信号処理IC36は、シリコンチップ等の、信号を処理する素子である。信号処理IC36は、平面視で第2方向において第1磁気センサ30と一次導体14を挟んで、第1磁気センサ30から離して配置され、一次側ワイヤ51を介して第1磁気センサ30に接続される。また、信号処理IC36は、二次側端子64から離して配置され、二次側ワイヤ52を介して、二次側端子64に接続される。信号処理IC36は、平面視で矩形状であってよい。
信号処理IC36は、一次側ワイヤ51を介して第1磁気センサ30から受け取った信号を処理して、一次導体14に流れる電流の量を算出し、二次側ワイヤ52を介して二次側端子64に出力する。信号処理IC36は、たとえば第2面2側の面の第1辺側および第1辺と反対側に、複数の端子を有する。
信号処理IC36は、第1磁気センサ30からの出力信号を増幅する増幅回路を有してもよい。また信号処理IC36は、感度補正回路、出力信号のオフセットを補正するオフセット補正回路、および温度に応じて出力信号を補正する温度補正回路等の補正回路を有してもよい。なお、補正回路は、補正係数等の補正パラメータを含んでよい。
二次側ワイヤ52は、例えば銅や金のような金属等の導電体を用いて成形された線状部材である。二次側ワイヤ52は、信号処理IC36と二次導体62とを電気的に接続する。二次側ワイヤ52は、複数のワイヤを含み、複数のワイヤは、信号処理IC36において第2面2側の面の第1辺と反対側に配置する複数の端子と複数の二次導体62とをそれぞれ接続する。
二次側リードフレーム60は、信号処理IC36と外部デバイス(不図示)との間で送受信される信号を伝搬する導電性部材である。二次側リードフレーム60は、第1辺と反対側に配置され、電流センサ100の第1辺と反対側を支持する。二次側リードフレーム60は、複数の二次導体62、および複数の二次側端子64を有する。
複数の二次導体62は、信号処理IC36と二次側端子64との間で信号を伝搬させる導電性部材である。複数の二次導体62は、二次側ワイヤ52の複数のワイヤを介して信号処理IC36の複数の端子にそれぞれ接続される。複数の二次導体62は、第3方向に一定の間隔で並んで配設される。複数の二次導体62は、信号処理IC36の複数の端子の位置に応じて、二次側ワイヤ52の複数のワイヤのそれぞれの長さが略一定となるように配設されてよい。たとえば、図1において、複数の二次導体62のうち、第3方向における両端の二次導体62は、その他の二次導体62よりも第1辺側に突出して配置されている。複数の二次導体62は、平面視で略矩形状を有してよい。複数の二次導体62は、銅または銅を含む合金等の金属であってよい。複数の二次導体62は、信号処理IC36から出力される電流量の算出結果を示す信号を二次側端子64に伝搬させる。また二次導体62は、二次側端子64から受け取った補正パラメータを設定するための信号を信号処理IC36に入力する。
複数の二次導体62は、一次導体14と実質的に同一の厚みを有する。
複数の二次側端子64は、外部デバイス(不図示)と二次導体62との間で信号を伝搬させる導電性部材である。複数の二次側端子64は、電流センサ100の第1辺と反対側の辺に沿って、第3方向に一定の間隔で並んで配設され、第1辺側の端部において、複数の二次導体62と接続される。複数の二次側端子64は、平面視で略矩形状を有してよい。複数の二次側端子64は、銅または銅を含む合金等の金属であってよい。複数の二次側端子64は、信号処理IC36の処理結果(たとえば、電流量を示す値)を示す信号を二次導体62から受け取って外部デバイスに出力する。複数の二次側端子64はまた、補正パラメータ等の信号処理IC36を設定するための信号を外部デバイスから受け取り、二次導体62を介して信号処理IC36へと伝搬させる。複数の二次側端子64はまた、信号処理IC36を駆動するための電源を二次導体62および二次側ワイヤ52を介して信号処理IC36に供給してよい。
複数の二次側端子64は、二次導体62と一体に形成される。複数の二次側端子64は、複数の二次導体62と実質的に同一の厚みを有してよい。
また、複数の二次側端子64は、複数の一次側端子12と実質的に同じ厚みを有してよい。
各二次側端子64は、第2面2側の面および第1辺と反対側の面が、パッケージ80表面の第2面2および第1辺と反対側の面にそれぞれ面一に露出してよい。二次側端子64の第2面2側の露出した面は、電流センサ100を例えば外部基板上に実装した際に、外部基板上に配設された配線等に接合される。
各二次側端子64および各二次導体62の間には、二次側端子64を二次導体62に対して電流センサ100の第1面1とは反対側にオフセットさせる二次側段差70が設けられる。つまり、二次導体62は、第2面2側の面において二次側端子64に対して第1面1側に下がる。すなわち、第1方向における二次導体62の第2面2側の面の高さは、二次側端子64の第2面2側の面の高さより二次側段差70の高さだけ小さい。これにより、二次導体62がパッケージ80表面に露出することを防ぎ、一次側端子12と二次側端子64との間の絶縁距離(沿面距離)を大きくすることができる。したがって、電流センサ100の耐圧特性が向上する。また、二次側段差70により、信号処理IC36と各二次導体62との間のワイヤ接続スペースを確保することができ、電流センサ100の小型化および薄型化を容易にする。なお、二次導体62は、第1面1側の面において二次側端子64に対して第1面1側に下がり、第1方向における二次導体62の第1面1側の面の高さは、二次側端子64の第1面1側の面の高さより二次側段差70の高さだけ小さい。
二次側段差70は、一次側段差20と高さが実質的に同一であってよい。
パッケージ80は、電流センサ100が樹脂外形からリードが突出しないリードレス構造を有するように、複数の一次側端子12および複数の二次側端子64の一部を除く電流センサ100の各構成部を封止して保護する。ここで、パッケージ80は、第1磁気センサ30および信号処理IC36のそれぞれの外面全面を覆って、第1磁気センサ30および信号処理IC36を内部に収容する。それにより、第1磁気センサ30および信号処理IC36はそれぞれ、一次側端子12および一次導体14との間の絶縁性を高めることができる。なお、一次側端子12、一次導体14または二次側端子64は、パッケージ80に直接支持されて、覆われる。したがって、電流センサ100は、高い耐圧を得ることができる。また、第1磁気センサ30および信号処理IC36を支持するための別途のリードフレームが不要となることで、電流センサ100の小型化が可能となる。また、第1磁気センサ30が別途のリードフレームを有さないため、一次導体14によって囲まれる領域を小さくすることができ、電流センサ100の感度を高めることができる。
なお、パッケージ80は、例えば、エポキシなどの絶縁性の樹脂を用いてモールド成形することで、直方体状に成形されてよい。
パッケージ80は、一次導体14、一次側端子12、第1磁気センサ30、信号処理IC36および二次側端子64の第2面2側(すなわち、上面側)を封止する第1封止部材81と、第1面1側(すなわち、底面側)を封止する第2封止部材82とを有する。第1封止部材81および第2封止部材82により、一次導体14は、全ての外面においてパッケージ80の外部に露出しない。また、第1磁気センサ30および信号処理IC36は、全ての外面においてパッケージ80の外部に露出しない。これによりパッケージ80表面において、一次側端子12と二次側端子64との間の沿面距離を大きくすることができる。したがって、電流センサ100の耐圧特性はさらに向上し、電流センサ100の小型化および薄型化が容易となる。
なお、第1封止部材81および第2封止部材82は、同一材料が好ましいが、それぞれ異なる材料であってもよい。また、第1封止部材81および第2封止部材82の少なくとも一方は、無機物の材料であるフィラーを含む材料によって形成されてよい。
このように、本実施形態によれば、一次側端子12および一次導体14の間に、一次側段差20が設けられる。これにより、一次導体14は一次側端子12と実質的に同一の厚みを有したまま第1面1側にオフセットされるため、一次導体14が厚みを維持したまま、パッケージ80内部に収容されることで、一次側端子12と二次側端子64との間の沿面距離を大きくすることができる。したがって、一次導体14の厚みを薄くすることによる抵抗の増大を回避しつつ、電流センサ100の耐圧特性を向上させることができる。その結果、電流センサ100に大きな電流が流れた場合においても、発熱による電流の検出精度の低下を抑制することが可能となり、電流センサ100の小型化および薄型化が容易となる。また、一次側段差20により、第1磁気センサ30と信号処理IC36とのワイヤ接続スペースを確保することができる。これにより、電流センサ100の小型化および薄型化がさらに容易となる。
本実施形態によれば、一次導体14は、第2面2側の面の高さが、第1磁気センサ30の第2面2側の面の高さより大きくなるように形成されるため、第1磁気センサ30は、大きな垂直磁束密度(すなわち、第1方向の磁束密度)を検出することができる。したがって、電流センサ100の検出感度が向上する。また、一次導体14は、第2面2側の面の高さが第1磁気センサ30の第2面2側の面の高さの倍になるように形成されるため、第1磁気センサ30が検出することができる垂直磁束密度を最大化することができる。したがって、電流センサ100の検出感度がさらに向上する。
本実施形態に係る電流センサ100の製造方法について説明する。図2に、本実施形態に係る電流センサ100の製造工程のフローを示す。
S102において、リードフレームに一次導体14、複数の一次側端子12、一次側ダミー端子13ならびに複数の二次導体62および複数の二次側端子64のパターンを形成して、一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60を形成する。図3は、図2のS102によって形成された状態、すなわち、一次導体14、複数の一次側端子12および一次側ダミー端子13を含む一次側リードフレーム10並びに複数の二次導体62および複数の二次側端子64のパターンを含む二次側リードフレーム60を示す。図3の(A)は、平面図であり、図3の(B)は、(A)における基準線AAに関する概略断面図である。
本実施形態において、一次側リードフレーム10は、第1辺側に複数の一次側端子12および一次側ダミー端子13を、第1辺と反対側に脚部16および曲部18を含む一次導体14を有する。複数の一次側端子12および一次側ダミー端子13は、たとえば第1辺側の端部において互いに一体的に結合されてよい。本実施形態において、二次側リードフレーム60は、平面視で第1辺と反対側の辺に沿って並ぶ複数の二次側端子64と、複数の二次側端子64にそれぞれ接続する複数の二次導体62とを有する。複数の二次側端子64はそれぞれ、第1辺と反対側の端部において一体的に結合されてよい。一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60は、一体的に形成され、たとえば第3方向の端部において互いに連結されてよい。
たとえばリードフレームを構成する金属板をフルエッチングすることにより、第1方向において金属板を貫通する貫通孔を金属板に形成し、リードフレームにパターンを形成する。これにより、一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60を形成する。また、金属板をプレス加工することにより、一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60を形成してもよい。
金属板の厚みは、一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60の厚みと、実質的に同一である。ここで、金属板は、たとえば0.4mm厚を有する。
なお、図3では、1つの電流センサ100を構成する1組の一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60を示したが、これは説明のための一例であり、複数の電流センサ100を構成する複数組の一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60が配置されてよい。このとき、複数組の一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60は、周期的に配置されるように形成されてよく、異なる電流センサ100を構成する隣り合う一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60は、互いに連結されてよい。
S104において、段差加工により、S102において形成された一次側リードフレーム10の一次側端子12と一次導体14との接続部分に一次側段差20を形成する。図4は、図2のS104によって形成された状態、すなわち、段差加工により形成された一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60を示す。図4の(A)は、平面図であり、図4の(B)は、(A)における基準線AAに関する概略断面図である。
たとえば、一次側リードフレーム10を半貫加工または曲げ加工することによって、一次側端子12および一次導体14の間に一次側段差20を設ける。一例として、半貫加工または曲げ加工によって、平面視で一次側リードフレーム10の第1辺側の端部から所定の範囲の部分(すなわち、一次側端子12)の第1面1側および第2面2側の面を、それ以外の部分(すなわち、一次導体14)の第1面1側および第2面2側の面と比較して、第2面2に向かってそれぞれ突出させる。これにより、一次側リードフレーム10の第1面1側および第2面2側の面に、それぞれ一次側段差20が形成される。ここで、半貫加工を用いる場合、一次側段差20の第1方向の高さは、たとえば0.2mm以下であることが望ましい。
また、二次側リードフレーム60を半貫加工または曲げ加工することによって、二次側端子64および二次導体62の間に二次側段差70を設ける。一例として、半貫加工または曲げ加工によって、平面視で二次側リードフレーム60の第1辺と反対側の端部から所定の範囲の部分(すなわち、二次側端子64)の第1面1側および第2面2側の面を、それ以外の部分(すなわち、二次導体62)の第1面1側および第2面2側の面と比較して、第2面2に向かって突出させる。これにより、二次側リードフレーム60の第1面1側および第2面2側の面に、それぞれ二次側段差70が形成される。ここで、半貫加工を用いる場合、二次側段差70の第1方向の高さは、たとえば0.2mm以下であることが望ましい。
なお、二次側リードフレーム60の二次側端子64のワイヤ接続面に、例えば銀を用いてメッキ膜を設けてもよい。
任意で、一次側端子12および一次側ダミー端子13の第1辺側の先端部分における第1面1側の面をハーフエッチングして、先端部分を薄肉化させてもよい。また、二次側端子64の第1辺と反対側の先端部分における、第1面1側の面をハーフエッチングして、先端部分を薄肉化させてもよい。一次側端子12の第1辺側の先端部分および二次側端子64の第1辺と反対側の先端部分は、後述するS114におけるダイシング工程により電流センサ100から切り離される部分である。これにより、切断される部分の一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60の厚みは小さくなるため、ダイシング工程が容易となる。
S106において、支持部材90上にS104において形成された一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60と、信号処理IC36と、第1磁気センサ30とを配置する。S108において、信号処理IC36と、第1磁気センサ30および二次導体62とをワイヤボンディングする。図5は、図2のS106およびS108によって形成された状態、すなわち一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30および信号処理IC36が、支持部材90上に互いに離隔して配置され、信号処理IC36が、第1磁気センサ30および二次側端子64とワイヤで接続される状態を示す。図5の(A)は、平面図であり、図5の(B)は、(A)における基準線AAに関する概略断面図である。
たとえば、S106において、一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60の第1面1側の面にシート状の支持部材90を貼りつける。一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60は、一次導体14側の先端と二次導体62側の先端とが対向するように支持部材90上に配置される。そして、支持部材90上に第1磁気センサ30および信号処理IC36を一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60に接触しないように設置する。第1磁気センサ30および信号処理IC36は、平面視で一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60と重ならない位置に配置される。これにより、第1磁気センサ30および信号処理IC36を支持するためのアイランドをリードフレームに別途成形する必要はなくなるため、パッケージの薄型化および小型化を実現することができる。第1磁気センサ30は、一次側リードフレーム10における一次導体14の曲部18の内側に形成される空間内に曲部18から離隔して配置される。信号処理IC36は、平面視において一次導体14および二次側端子64の間に、一次導体14および二次側端子64から離隔して配置される。このように信号処理IC36を一次導体14より第1辺と反対側において直接支持部材90上に配置することによって、一次導体14の第2方向の長さを最小化することができる。支持部材90として、例えば、粘着層が形成された耐熱性の高いポリイミドテープ等を採用することができる。
たとえば、S108において、S106において形成された第1磁気センサ30と信号処理IC36とを一次側ワイヤ51によりワイヤボンディングする。また、信号処理IC36と各二次導体62とを二次側ワイヤ52によりワイヤボンディングする。
なお、一次側リードフレーム10(すなわち、一次側端子12および一次導体14)並びに二次側リードフレーム60(すなわち、二次側端子64および二次導体62)の厚みは、実質的に同一である。また一次側段差20および二次側段差70の第1方向における高さは、実質的に同一である。したがって、一次導体14および二次導体62の第1面1側の面の高さは、実質的に同一である。これにより、一次導体14および二次導体62が支持部材90によって安定して支持されることができ、支持部材90上に第1磁気センサ30および信号処理IC36を配置させてワイヤボンディング作業を容易にすることができる。
S110において、S108により形成された一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30、並びに信号処理IC36の第2面2側を第1封止部材81により封止する。図6は、図2のS110によって形成された状態、すなわち一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30および信号処理IC36の第2面2側が、第1封止部材81に覆われる状態を示す。図6の(A)は、平面図であり、図6の(B)は、(A)における基準線AAに関する概略断面図である。
たとえば、支持部材90上に配置された一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30および信号処理IC36を、開口を有する箱体状の型枠92内に収容する。なお、S102において複数の電流センサ100を構成する複数組の一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60を形成した場合は、1つの箱体状の型枠92内に複数組の一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30および信号処理IC36を収容してよい。
次に板状の蓋体93を型枠92上に押しつけて型枠92の内部空間を閉じ、型枠92の貫通孔(不図示)を介して第1封止部材81を型枠92内に流し込む。なお、複数の一次側端子12、一次側ダミー端子13および複数の二次側端子64の第2面2側の面は、第1封止部材81が流れ込まないように、蓋体93の型枠92側の面に接触してよい。さらに、複数の一次側端子12、一次側ダミー端子13および複数の二次側端子64の第2面2側の面への樹脂滲みを防止するために、たとえば耐熱シートで蓋体93の型枠92側の面を覆って、樹脂封止を行ってもよい。
S112において、S110により形成された、第2面2側が封止された一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30および信号処理IC36を含む第1封止体から支持部材90を除去する。図7は、図2のS112によって形成された状態、すなわち第1磁気センサ30および信号処理IC36の第1面1側の面が、第2封止部材82に覆われる状態を示す。図7の(A)は、平面図であり、図7の(B)は、(A)における基準線AAに関する概略断面図である。
たとえば、第1封止部材81により第1封止体を型枠92から取り出し、上下を返して、第1封止体から支持部材90を剥がす。次に、一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30、および信号処理IC36の第1面1側を第2封止部材82により封止する。たとえば、第1封止体を上下を返したままの状態で支持部材90上に配置し、開口を有する箱体状の型枠94内に収容する。なお、S110において複数の電流センサ100を構成する複数組の一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30および信号処理IC36の上面側を封止した場合は、1つの箱体状の型枠94内にその封止体を収容する。
次に開口を有する箱体状の蓋体95を、蓋体95の開口が型枠94の開口に対向するように型枠94上に押しつけて、2つの開口から形成される内部空間を閉じ、蓋体95の貫通孔(不図示)を介して第2封止部材82を内部空間に流し込む。なお、第1封止部材81の樹脂がガラス転移点以上となるように、型枠94を加熱してよい。これにより、第2封止部材82の境界部分の樹脂成分と第1封止部材81の境界部分の樹脂成分とは、一体化して硬化する。これにより、第1磁気センサ30、信号処理IC36、一次側ワイヤ51、複数の一次側端子12および一次側ダミー端子13の一部、並びに一次導体14は、パッケージ80として封止される。第1磁気センサ30および信号処理IC36は、外面全面が樹脂に覆われ、樹脂のみによって支持される。したがって、高い耐圧特性を有する電流センサ100を製造することができる。なお、複数の一次側端子12、一次側ダミー端子13および複数の二次側端子64の第2面2側の面は、パッケージ80の内部に封止されず、パッケージ80の第2面2からそれぞれ面一に露出する。
S114において、S112において形成されたパッケージ80をダイシングする。図8は、図2のS114によって形成された状態、すなわちパッケージされた一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30および信号処理IC36が支持部材96上に配置された状態を示す。図8の(A)は、平面図であり、図8の(B)は、(A)における基準線AAに関する概略断面図である。
たとえば、S112において形成されたパッケージ80を型枠94から取り出し、パッケージ80の上下を返し、支持部材96上に配置する。切断線Lに沿って、パッケージ80のうち、一次側リードフレーム10の各一次側端子12および一次側ダミー端子13が互いに連結する部分並びに二次側リードフレーム60の各二次側端子64が互いに連結する部分を、第1および第2封止部材81,82の外縁とともに切断する。それにより、複数の一次側端子12および一次側ダミー端子13の第1辺側の面と、複数の二次側端子64の第1辺と反対側の面は、パッケージ80の第1辺側の面および第1辺と反対側の面からそれぞれ面一に露出する。
なお、封止工程後に、一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60においてパッケージ80の表面に露出する部分に対し、たとえば錫等を用いて外装メッキ膜を設けてもよい。
これにより、電流センサ100が完成する。
本実施形態に係る電流センサ100の製造方法によれば、半貫加工または曲げ加工を用いて一次側段差20を形成するため、段差加工後の一次導体14の厚みは、段差加工前の一次側リードフレーム10の厚みと実質的に同一である。したがって、段差を形成する手段としてエッチング処理を用いて一次側リードフレーム10の厚みを部分的に薄くする場合と比較して、段差加工後に一次導体14の厚みが薄くなることを回避すると共に、厚みばらつきの発生を抑制することができる。これにより、段差加工による一次導体14の抵抗値上昇を回避すると共に、抵抗ばらつきの発生を抑制することができる。その結果、大電流測定に対応可能でかつ小型、薄型の電流センサ100を実現することができる。
本実施形態に係る電流センサ100の製造方法によれば、一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30および信号処理IC36の第2面2側を第1封止部材81により封止した後、上下を返して、第1面1側を第2封止部材82により封止する。これにより、第1および第2封止部材81,82が一体化したパッケージ80を形成することができる。したがって、高耐圧特性を有する電流センサ100を製造することができる。
なお、本実施形態においては、第1磁気センサ30および信号処理IC36がリードフレーム等によって支持されていない形態を示したが、第1磁気センサ30および信号処理IC36は、例えばリードフレーム上に載置されてもよい。
また、電流センサ100は、一次側ダミー端子13を有していなくてもよい。
図9は、複数の電流センサ100を構成するパッケージ80をダイシングする状態を示す。すなわち、図9は、樹脂封止された複数の電流センサ100を構成する複数組の一次側リードフレーム10、二次側リードフレーム60、第1磁気センサ30および信号処理IC36を形成した場合のパッケージ80の内部構造の平面図と、切断線L1,L2とを示す。本図において、1枚の金属板(全体的なリードフレーム)から複数の電流センサ100の一次側および二次側リードフレーム10,60が形成される。一次側および二次側リードフレーム10,60は、第2方向および第3方向にそれぞれ複数組並んで配列する。隣接する一次側および二次側リードフレーム10,60は、互いに端部を介して連結する。
互いに連結する複数組の一次側および二次側リードフレーム10,60は、図2のS102〜S104に示す工程と同様の工程によって、1枚の金属板から形成される。パッケージ80は、当該複数組の一次側および二次側リードフレーム10,60を用いて、S106〜S112に示す工程と同様の工程によって形成される。S114において、S112で形成されたパッケージ80を型枠94から取り出し、パッケージ80の上下を返し、支持部材96上に配置する。次に、切断線L1,L2に沿って、パッケージ80を第2方向および第3方向にそれぞれ切断する。なお、一次側および二次側リードフレーム10,60にあらかじめアライメントマーク98を形成してよく、アライメントマーク98に従って、パッケージ80を切断してよい。これにより、個々の電流センサ100が完成する。
このように、一次側および二次側リードフレーム10,60を複数組配列させることで、パターン加工および段差加工を複数組単位でまとめて行うことができる。さらに本構成をとることで、複数の電流センサ100をまとめて個片化することができる。したがって、電流センサ100の大量生産が容易となる。
図10は、本実施形態の第1変形例に係る電流センサ110の内部構造を示す。図10の(A)は、電流センサ110の平面図であり、図10の(B)は、(A)における基準線AAに関する電流センサ110の概略断面図である。図10に示す電流センサ110は、図1に示す電流センサ100とほぼ同様の構成および機能を有するが、一次側リードフレーム10に代えて、一次側リードフレーム11と、第2磁気センサ32と、一次側ワイヤ53とを有する点で相違する。なお、本図における図1と同じ符号を示した構成要素は、基本的には図1〜図9に示した説明と同様であるから、説明は省略する。
一次側リードフレーム11は、図1の一次側リードフレーム10と同様の構成および機能を有するが、一次導体14に代えて、一次導体15を有する点で相違する。
一次導体15は、図1の一次導体14と同様の構成および機能を有するが、形状が異なり、延設部19を有する点で相違する。
延設部19は、第3方向において曲部18から延設して形成される。延設部19は、平面視で第2磁気センサ32の少なくとも一部を囲うように形成される。たとえば、延設部19は、平面視で第2磁気センサ32の2辺に近接して、L字状に形成される。ただし、延設部19は、端部において脚部16に接続されず、脚部16から離隔して配置される。したがって、延設部19は、被測定電流が流れない。延設部19は、第2磁気センサ32と信号処理IC36との間を通る。延設部19は、脚部16および曲部18とともに第3方向に向かって一部開口してよい。第1方向における延設部19の高さは、曲部18の高さと実質的に同一である。なお、延設部19は、曲部18と一体的に形成されてよい。
第2磁気センサ32は、第1磁気センサ30と同様の素子であってよい。第2磁気センサ32は、平面視で一次導体15、一次側端子12および第1辺により囲まれる領域の外側に配置される。第2磁気センサ32は、延設部19に囲まれる領域に延設部19から離れて配置される。延設部19に電流は流れないため、第1磁気センサ30の出力と第2磁気センサ32の出力との差分を取ることで、電流センサ110に対して外部から印加される外部磁場ノイズを除去することができる。また、電流が一次導体15の曲部18に流れることで発生する熱が延設部19に伝わるため、第2磁気センサ32は、第1磁気センサ30と近い温度環境下に置かれることになり、信号処理IC36で演算する温度補正処理が容易になる。
図10において、第2磁気センサ32は、第1方向において第1磁気センサ30と実質的に同じ高さを有してよい。
一次側ワイヤ53は、例えば銅や金のような金属等の導電体を用いて成形された線状部材である。一次側ワイヤ53は、第2磁気センサ32と信号処理IC36とを電気的に接続する。一次側ワイヤ53は、第2磁気センサ32の各端子と信号処理IC36の各端子とをそれぞれ接続する複数のワイヤを含む。たとえば、一次側ワイヤ53の複数のワイヤは、第2磁気センサ32において第2面2側の面の四隅に配置する複数の端子と、信号処理IC36において第2面2側の面の第1辺側に配置する複数の端子とを、それぞれ接続する。一次側ワイヤ53は、平面視で第2方向に平行に延びるワイヤを有してもよく、第1辺に対して斜めに延びるワイヤを有してもよい。
本実施形態の第1変形例によれば、電流センサ110は、延設部19および第2磁気センサ32を有するため、一次導体15の周囲に生じる外部磁場等のノイズをキャンセルすることができる。
本実施形態の第1変形例によれば、一次導体15は、延設部19を有するため、通電時に一次導体15に発生する熱の一部が延設部19に伝わる。その結果、電流センサ110の放熱性が向上する。
図11は、本実施形態の第2変形例に係る電流センサ200の内部構造を示す。図11の(A)は、電流センサ200の平面図であり、図11の(B)は、(A)における基準線AAに関する電流センサ200の概略断面図であり、図11の(C)は、(A)における基準線CCに関する電流センサ200の概略断面図である。図11に示す電流センサ200は、図1に示す電流センサ100とほぼ同様の構成および機能を有するが、一次側リードフレーム10および二次側リードフレーム60に代えて、一次側リードフレーム40および二次側リードフレーム66を有する点で相違する。なお、本図における図1と同じ符号を示した構成要素は、基本的には図1〜9に示した説明と同様であるから、説明を省略する。
一次側リードフレーム40は、図1の一次側リードフレーム10と同様の構成および機能を有するが、複数の一次側端子12および一次側ダミー端子13を有さず、複数の一次側端子42を有する点で相違する。
複数の一次側端子42は、図1の一次側端子12と同様の構成および機能を有するが、形状が異なる。複数の一次側端子42は、複数の第1の一次側端子42aと複数の第2の一次側端子42bとを有する。
複数の第1の一次側端子42aは、第1辺に沿って一定の間隔で並んで配設される。複数の第1の一次側端子42aは、平面視で矩形形状を有し、第1辺と反対側の端部において互いに連結される。複数の第1の一次側端子42aは、当該端部において、平面視で一次導体14の一方の脚部16aの第1辺側の辺全体に一体的に接続される。なお、複数の第1の一次側端子42aが連結する部分は、第3方向において第2の一次側端子42bと反対側に向かって延長され、パッケージ80表面に露出してよい。
複数の第2の一次側端子42bは、第1辺に沿って一定の間隔で並んで配設される。複数の第2の一次側端子42bは、平面視で矩形形状を有し、第1辺と反対側の端部において互いに連結される。複数の第2の一次側端子42bは、当該端部において、平面視で一次導体14の一方の脚部16bの第1辺側の辺全体に一体的に接続される。なお、複数の第2の一次側端子42bが連結する部分は、第3方向において第1の一次側端子42aと反対側に向かって延長され、パッケージ80表面に露出してよい。
二次側リードフレーム66は、図1の二次側リードフレーム60と同様の構成および機能を有するが、複数の二次導体62に代えて、複数の二次導体67を有する点で相違する。
複数の二次導体67は、図1の複数の二次導体62と同様の構成および機能を有するが、形状が異なる。
複数の二次導体67は、第3方向に一定の間隔で並んで配設される。複数の二次導体67は、複数の二次側端子64にそれぞれ接続される。第3方向における両端の二次導体67は、その他の二次導体67よりも平面視で第1辺側に突出して形成される。これにより、二次側ワイヤ52の複数のワイヤのそれぞれの長さを略一定とすることができる。また、第3方向における中央の2つの二次導体67は、第1辺側の端部において互いに連結する。連結する端子を電源に割り当てることで、端子と基板との接触抵抗を下げることができるため、電源電圧の変動を抑えることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
1 第1面、2 第2面、10,11,40 一次側リードフレーム、12,42 一次側端子、12a,42a 第1の一次側端子、12b,42b 第2の一次側端子、13 一次側ダミー端子、14,15 一次導体、16、16a、16b 脚部、18 曲部、19 延設部、20 一次側段差、30 第1磁気センサ、32 第2磁気センサ、36 信号処理IC、51,53 一次側ワイヤ、52 二次側ワイヤ、60,66 二次側リードフレーム、62、67 二次導体、64 二次側端子、70 二次側段差、80 パッケージ、81 第1封止部材、82 第2封止部材、90、96 支持部材、92,94 型枠、93,95 蓋体、98 アライメントマーク、100、110、200 電流センサ
Claims (18)
- 電流センサであって、
第1磁気センサと、
平面視で前記第1磁気センサから離して配置され、一次側ワイヤを介して前記第1磁気センサに接続される信号処理ICと、
前記第1磁気センサおよび前記信号処理ICの間を通る一次導体、および外部と前記一次導体との間で被測定電流を流す一次側端子が一体に形成されたリードフレームと
を備え、
前記一次側端子および前記一次導体の間には、前記一次側端子を前記一次導体に対して前記電流センサの第1面とは反対側にオフセットさせる一次側段差が設けられる
電流センサ。 - 前記一次導体の厚みは、前記一次側端子の厚みの2/3倍以上1倍以下である請求項1に記載の電流センサ。
- 前記一次導体および前記一次側端子は、実質的に同一の厚みを有する請求項1に記載の電流センサ。
- 前記第1磁気センサ、前記信号処理IC、前記一次側端子の一部、および前記一次導体は、パッケージとして封止される請求項1から3のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記第1磁気センサおよび前記信号処理ICは、前記パッケージの外部に露出しない請求項4に記載の電流センサ。
- 前記一次導体は、前記パッケージの外部に露出しない請求項4または5に記載の電流センサ。
- 前記磁気センサはホール素子である請求項4から6のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記パッケージは、樹脂外形からリードが突出しないリードレス構造である請求項4から7のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記一次側端子は、前記電流センサの前記第1面とは反対側の面が、前記パッケージの面に露出する請求項4から8のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記リードフレームは、二次側ワイヤを介して前記信号処理ICに接続される二次導体、および、前記二次導体と一体に形成され、外部と前記二次導体との間で信号を伝搬させる二次側端子を更に有し、
前記二次側端子および前記二次導体の間には、前記二次側端子を前記二次導体に対して前記電流センサの前記第1面とは反対側にオフセットさせる二次側段差が設けられる
請求項1から9のいずれか一項に記載の電流センサ。 - 前記一次側段差および前記二次側段差は、高さが実質的に同一である請求項10に記載の電流センサ。
- 前記二次導体および前記二次側端子は、実質的に同一の厚みを有する請求項10または11に記載の電流センサ。
- 前記信号処理ICは、前記平面視において前記一次導体および前記二次側端子の間に配置される請求項10から12のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記一次導体は、当該電流センサの第1辺に沿って配置された第1の前記一次側端子および第2の前記一次側端子の間に前記被測定電流を流すように構成され、
前記第1磁気センサは、前記平面視で前記一次導体に囲まれる位置に配置される
請求項1から13のいずれか一項に記載の電流センサ。 - 前記平面視で前記一次導体および前記第1辺により囲まれる領域の外側に配置された第2磁気センサを更に備える請求項14に記載の電流センサ。
- 前記信号処理ICは、樹脂のみによって支持される請求項1から15のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記第1磁気センサおよび前記信号処理ICは、前記平面視で前記リードフレームと重ならない位置に配置される請求項1から16のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 請求項1から17のいずれか一項に記載の電流センサの製造方法であって、
前記リードフレームを半貫加工または曲げ加工することによって、前記一次側端子および前記一次導体の間に前記一次側段差を設ける
製造方法。
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