JP6505217B2 - 電子機器 - Google Patents

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Description

この発明は、ヒートシンクを備えた電子機器に関するものである。
基板に実装された発熱部品の温度上昇を防ぐために、ファンを使用して強制的に通風することによって筐体全体の温度上昇を防ぐ方法、または発熱部品の熱を放熱シートを介して板金部品へ放熱する方法が一般的であった。
近年では発熱部品の高性能化が進むことにより発熱量の増加傾向が著しいこと、また、筐体の小型化などによりファンのみでの冷却効果に限界があることから、発熱部品にヒートシンクを接触させて温度上昇を防ぐ構造が採用されている。ただし、発熱部品およびヒートシンクの寸法ばらつきおよび実装時のばらつき等があるため、発熱部品とヒートシンクとの間に隙間が生じ、放熱が十分にできなくなる問題があった。その対策として、発熱部品とヒートシンクの間に放熱シートを挟む場合があるが、放熱シートに対して上記のばらつきを吸収する機能を付加するには放熱シートを厚くする必要があるため、コストアップにつながっていた。
そこで、例えば特許文献1に記載された電子機器では、板ばねを使用して、ヒートシンクを発熱部品の方向へ付勢することにより、上記のばらつきを吸収している。
また、例えば特許文献2に記載された放熱構造では、ヒートシンクに相当する金属板をプレス加工して、発熱部品の上端面に弾性的に押し付けられる伝熱部を形成することにより、上記のばらつきを吸収している。
特開2001−196773号公報 特開2005−142350号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に係る発明ではヒートシンクの熱変形については考慮されていないため、発熱部品の熱を受けてヒートシンクが熱変形した場合に当該ヒートシンクを取り付けた基板等に負荷がかかり、はんだの剥がれまたはクラックなどが引き起こされ、基板等の破損につながるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、部品の寸法ばらつきおよび実装時のばらつき等に加え、ヒートシンクの熱変形を吸収することを目的とする。
この発明に係る電子機器は、発熱部品が実装された基板と、基板が取り付けられたシャーシと、発熱部品の熱を受けて放熱するヒートシンクと、発熱部品とヒートシンクの間に挟まれた放熱シートとを備え、ヒートシンクは、放熱シートに当接して発熱部品の熱を受ける受熱部と、受熱部の外周における互いに対向する2箇所を基部として、基部それぞれから1つずつ外周に沿って互いに反対方向にのびた、可撓性を有する2つの撓み部と、2つの撓み部の先端部に形成された、基板またはシャーシに固定される2つの固定部とを有するものである。
この発明によれば、ヒートシンクに2つの撓み部を形成し、2つの撓み部の先端部を基板またはシャーシに固定するようにしたので、撓み部が撓むことにより、部品の寸法ばらつきおよび実装時のばらつき等に加え、ヒートシンクの熱変形を吸収することができる。
この発明の実施の形態1に係る電子機器における放熱構造を示す斜視図である。 実施の形態1に係る電子機器における放熱構造を説明するための側面図である。 この発明の実施の形態2に係る電子機器における放熱構造を示す斜視図である。 実施の形態2に係る電子機器における放熱構造を説明するための側面図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る電子機器1における放熱構造を示す斜視図である。図2は、この放熱構造を説明するための側面図である。電子機器1は、発熱部品30が実装された基板20と、基板20が取り付けられたシャーシ10と、発熱部品30の熱を受けて放熱するヒートシンク50と、発熱部品30とヒートシンク50の間に挟まれた放熱シート40とを備えている。発熱部品30は、例えばIC(Integrated Circuit)である。
ヒートシンク50は、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属材料を用いて構成されている。このヒートシンク50は、放熱シート40に当接して発熱部品30の熱を受ける受熱部51と、受熱部51の外周における互いに対向する2箇所を基部として、その外周に沿って互いに反対方向にのびた、可撓性を有する2つの撓み部53,56と、2つの撓み部53,56の先端部に形成された、基板20に固定された2つの固定部54,57とを備えている。
なお、発熱部品30の発熱量が多い場合、ヒートシンク50を構成する金属板の面積をできるだけ大きくして、放熱効果を高めることが望ましい。図1の例では、受熱部51の縁を折り曲げて曲げ部58を形成することで、基板20上の占有面積を増やさずに放熱面積だけを増やすことができる。図1の例では、受熱部51の縁を上側に折り曲げて曲げ部58を形成したが、下側に折り曲げてもよい。また、複数の縁に複数の曲げ部58を形成してもよい。
また、図1の例では、ヒートシンク50は、アルミニウム等の熱伝導率の高い材料からなる金属板を、プレス加工等により成形してなる。
具体的には、略矩形状の金属板の曲げ部58が形成される辺の縁から、この辺に対向する辺へ向けてスリット55が形成されている。スリット55により受熱部51から分割された部分が撓み部56となる。
曲げ部58が形成される辺に対向する辺の縁から、曲げ部58が形成される辺へ向けてスリット52が形成されている。スリット52により受熱部51から分割された部分が撓み部53となる。撓み部53,56が撓むことにより、受熱部51は上下方向に移動することが可能である。
撓み部53の先端部および撓み部56の先端部は、基板20に固定する固定部54および固定部57となる。図1ではネジ61,62を用いて固定部54,57を基板20に固定しているが、固定方法は何でもよく、例えばビスまたはリベット等を用いてもよい。ヒートシンク50の1組の向かい合う2角は固定部54,57として基板20に固定される一方、もう1組の向かい合う2角は固定されていない。
図2に示す通り、基板20に実装された発熱部品30の上端面には、シリコーンゴム等の熱伝導率の高い材料からなる放熱シート40が設置され、この放熱シート40の上にヒートシンク50の受熱部51が接触している。放熱シート40の厚さ方向の寸法は、ヒートシンク50が基板20に取り付けられた際の受熱部51と発熱部品30との間の隙間の間隔よりも厚くなっており、オーバラップ部41を形成している。このオーバラップ部41は、ヒートシンク50が基板20に固定される際に受熱部51によって押圧されて弾性変形し、受熱部51と放熱シート40とが隙間なく接触する。発熱部品30と放熱シート40と受熱部51とが隙間なく接触することにより、発熱部品30が発する熱が放熱シート40を介して受熱部51へ伝わり放熱される。
撓み部53,56が撓んで受熱部51が上下方向に動くことにより、発熱部品30およびヒートシンク50等の寸法ばらつき、発熱部品30を基板20に実装する際のばらつき、ならびにヒートシンク50を基板20に固定する際のばらつき等を吸収することができる。よって、受熱部51から発熱部品30と基板20へかかる負荷を低減でき、発熱部品30および基板20の破損ならびにはんだの剥がれおよびクラック等を防止できる。
また、撓み部53,56が撓んで受熱部51が上下方向に動くことにより上記のばらつきを吸収できるので、従来のように放熱シート40に上記のばらつきを吸収させる機能を付加する必要はない。よって、放熱シート40を必要最低限の厚みにすることができ、コストダウンが可能となる。
さらに、発熱部品30の熱を受けたヒートシンク50が温度上昇して熱変形したとしても、このヒートシンク50を固定した基板20へかかる負荷を低減できる。つまり、撓み部53,56が撓むことによりヒートシンク50の熱変形を吸収できるので、固定部54,57に熱応力が生じず、よって基板20に負荷はかからない。また、固定部54,57を設けていない2角は拘束されていないため、ヒートシンク50の熱変形を逃がすことができる。
一方、先立って説明した特許文献1,2のような従来の構造では、ヒートシンクの例えば4隅が基板に固定されるので、ヒートシンクに熱応力が発生して基板との固定部分に負荷がかかり、基板が破損するおそれがある。
以上より、実施の形態1によれば、電子機器1に用いるヒートシンク50は、放熱シート40に当接して発熱部品30の熱を受ける受熱部51と、受熱部51の外周における互いに対向する2箇所を基部として、外周に沿って互いに反対方向にのびた、可撓性を有する2つの撓み部53,56と、2つの撓み部53,56の先端部に形成された、基板20に固定される2つの固定部54,57とを有する構成にしたので、部品の寸法ばらつきおよび実装時のばらつき等に加え、ヒートシンク50の熱変形を吸収することができる。
また、受熱部51に対して、別体として構成された2つの撓み部53,56を取り付けることにより、ヒートシンク50を製造してもよいが、金属板のプレス加工によりヒートシンク50を成形してもよい。プレス加工により成形されたヒートシンク50は、このヒートシンク50を構成する金属板に形成された互いに反対方向にのびた2つのスリット52,55が、受熱部51と2つの撓み部53,56とを形成している構造である。
また、実施の形態1によれば、受熱部51の縁を折り曲げて曲げ部58を形成することにより、放熱面積を増やすことができ、発熱部品30を効率よく冷却することができる。
なお、電子機器1において、ヒートシンク50を用いた発熱部品30の冷却だけでなく、ファンを用いた強制通風による冷却を行ってもよい。例えば、図1においてシャーシ10の側面に外気取り入れ口11を形成し、外気取り入れ口11と向かい合う側面にファン取り付け部12を形成してファンを取り付ける。図1ではファンは図示を省略している。
ファン取り付け部12に取り付けられたファンが動作することにより、矢印で示すように、シャーシ10の外部の空気が外気取り入れ口11を通じてシャーシ10の内部に取り入れられ、対面側の外気吐き出し口13を通じてシャーシ10の外部へ吐き出される。ファンを用いてシャーシ10内に外気を強制的に通風させることにより、ヒートシンク50が受けた発熱部品30の熱を効率よく放熱することができる。さらに、外気を強制的に通風させる経路上に、ヒートシンク50の曲げ部58を配置することにより、曲げ部58に強制的に外気を当てて放熱性能を高めることができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1ではヒートシンクを基板に固定する構成を示したが、本実施の形態2ではヒートシンクをシャーシに固定する構成を示す。
図3は、実施の形態2に係る電子機器1における放熱構造を示す斜視図である。図4は、この放熱構造を説明するための側面図である。図3および図4において、図1および図2と同一または相当する部分は、同一の符号を付し説明を省略する。
実施の形態2においては、ヒートシンク50の固定部54,57が第2シャーシ14に固定される。第2シャーシ14は金属製であり、例えばシャーシ10の上に重ねて取り付けられる2階シャーシ、またはシャーシ10の上面開口を被覆するカバーシャーシ等である。また、図示例では、ヒートシンク50に段差59を設けて、発熱部品30に当接させる受熱部51だけをヒートシンク50から基板20側へ突出させる構成にし、基板20に実装されている発熱部品30以外の実装部品にヒートシンク50がぶつからないようになっている。この構成であっても、上記実施の形態1と同様に、部品の寸法ばらつきおよび実装時のばらつき等に加え、ヒートシンク50の熱変形を吸収することができる。
また、上記実施の形態1のようなヒートシンク50が基板20に固定された構成では、発熱部品30などの実装部品が発するノイズまたは熱がヒートシンク50を介して基板20へ伝わる懸念があるが、本実施の形態2のようにヒートシンク50が金属製の第2シャーシ14に固定された構成では、発熱部品30などの実装部品が発するノイズをヒートシンク50を介して第2シャーシ14へ逃がすことができる。よって、近年求められている、音質またはノイズなどの電気性能の改善が可能である。また、発熱部品30が発する熱をヒートシンク50を介して第2シャーシ14から外部へ放熱することができるので、ヒートシンク50を基板20に固定した場合に比べて放熱性能を高めることができる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
この発明に係る電子機器は、ヒートシンクを用いて発熱部品を冷却するようにしたので、カーナビゲーション装置などの電子機器に用いるのに適している。
1 電子機器、10 シャーシ、11 外気取り入れ口、12 ファン取り付け部、13 外気吐き出し口、14 第2シャーシ、20 基板、30 発熱部品、40 放熱シート、41 オーバラップ部、50 ヒートシンク、51 受熱部、52,55 スリット、53,56 撓み部、54,57 固定部、58 曲げ部、59 段差、61,62 ネジ。

Claims (4)

  1. 発熱部品が実装された基板と、
    前記基板が取り付けられたシャーシと、
    前記発熱部品の熱を受けて放熱するヒートシンクと、
    前記発熱部品と前記ヒートシンクの間に挟まれた放熱シートとを備え、
    前記ヒートシンクは、
    前記放熱シートに当接して前記発熱部品の熱を受ける受熱部と、
    前記受熱部の外周における互いに対向する2箇所を基部として、前記基部それぞれから1つずつ前記外周に沿って互いに反対方向にのびた、可撓性を有する2つの撓み部と、
    前記2つの撓み部の先端部に形成された、前記基板または前記シャーシに固定される2つの固定部とを有することを特徴とする電子機器。
  2. 前記ヒートシンクを構成する金属板に形成された互いに反対方向にのびた2つのスリットが、前記受熱部と前記2つの撓み部とを形成していることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
  3. 前記ヒートシンクは、前記受熱部の縁が折れ曲がった曲げ部を有することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
  4. 前記曲げ部は、ファンを用いた強制通風の経路上に配置されていることを特徴とする請求項3記載の電子機器。
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