図1は、本発明の実施形態に係るネットワークシステム1の構成を示す図である。
ネットワークシステム1は、画像形成機能及びサーバー機能を有する複数の画像形成装置100と、画像形成装置100が提供するサービスを利用するクライアント装置200とで構成される。画像形成装置100及びクライアント装置200は、有線又は無線のLAN(ローカルエリアネットワーク)又はWAN(ワイドエリアネットワーク)等のネットワークを介して接続されている。図1には、画像形成装置100及びクライアント装置200を3つずつ示しているが、ネットワークに画像形成装置100が複数接続されていれば、画像形成装置100及びクライアント装置200の数はいくつであってもよい。
クライアント装置200は、CPU(中央処理装置)、揮発性メモリー、不揮発性メモリー、ハードディスク等のストレージ、モニター、キーボード、マウス等を備えており、例えばPC(パーソナルコンピューター)で実現することができる。クライアント装置200は、ユーザーの指示によって画像データやサービスのリクエストを画像形成装置100にネットワークを介して送信する。
図2は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
画像形成装置100は、制御部110、不揮発性メモリー120、ストレージ130、ネットワークI/F部140、スキャナー部150、FAX制御部160、画像形成部170、操作表示部180、サーバー機能制御部190を備えている。制御部110には、不揮発性メモリー120、ストレージ130、ネットワークI/F部140、スキャナー部150、FAX制御部160、画像形成部170、操作表示部180、サーバー機能制御部190のそれぞれがバスを介して接続されている。
不揮発性メモリー120は、画像形成装置100を制御するための制御プログラムを記憶する。制御プログラムには、画像形成機能を制御するための画像形成制御プログラム、サーバー機能を制御するためのサーバー制御プログラム、ネットワークI/F部140を制御するためのネットワークI/F制御プログラムが含まれる。不揮発性メモリー120は、例えばROMによって構成される。
制御部110は、CPU111と、揮発性メモリー112とで構成されている。CPU111は、不揮発性メモリー120に記憶された制御プログラムを揮発性メモリー112に読み込み、揮発性メモリー112上で制御プログラムを実行する。CPU111は、クライアント装置200からのサービスのリクエストやユーザーによる操作表示部180の操作を受け付け、ストレージ130、ネットワークI/F部140、スキャナー部150、FAX制御部160、画像形成部170、サーバー機能制御部190等を制御して、画像形成機能及びサーバー機能を提供する。揮発性メモリー112は、各種データの一時的な記憶や画像形成機能及びサーバー機能の処理を行うための作業用メモリーである。揮発性メモリー112は、例えばRAMによって構成される。揮発性メモリー112は、CPU111が画像形成機能及びサーバー機能を処理する際、不揮発性メモリー120から制御プログラムを読み込んで記憶するための記憶部として機能する。制御部110は、電源ON時に、不揮発性メモリー120に記憶されている制御プログラムを揮発性メモリー112に読み込む。そして、制御部110(CPU111)は、揮発性メモリー112上で制御プログラムを実行する。
画像形成機能は、画像形成に関する機能であり、CPU111が画像形成制御プログラムを用いてネットワークI/F部140、スキャナー部150、画像形成部170、必要に応じてストレージ130やFAX制御部160を制御することによって処理される。
画像形成機能として、コピー機能、プリント機能、FAX機能、スキャン機能がある。コピー機能は、スキャナー部150が読み取った画像データに基づいて画像形成部170によって画像を形成させる。プリント機能は、ネットワークI/F部140を介してクライアント装置200から受信した画像データに基づいて画像形成部170によって画像を形成させる。FAX機能は、スキャナー部150が読み取った画像データを、FAX制御部160を介して他のFAX装置に送信したり、FAX制御部160を介して他のFAX装置から画像データを受信し、画像形成部170によって画像を形成させたりする。スキャン機能は、スキャナー部150が読み取った画像データをストレージ130に記憶させる。
サーバー機能は、クライアント装置200からのリクエストに対して所定の処理を行って処理結果をクライアント装置200へ提供する機能である。サーバー機能は、CPU111がサーバー制御プログラムを用いてストレージ130、ネットワークI/F部140、サーバー機能制御部190を制御することによって処理される。
サーバー機能として、ファイルサーバー機能、メールサーバー機能、プリンターサーバー機能、クラウドアクセスサーバー機能、Webサーバー機能、グループウェアサーバー機能、基幹システムサーバー機能がある。ファイルサーバー機能は、クライアント装置200からストレージ130へファイル(文書や画像のデータ)を送信したり、ストレージ130からクライアント装置200へファイルを送信したりすることを可能にする。メールサーバー機能は、電子メールを受信したり、指定されたアドレスに電子メールを送信又は転送したりする。プリンターサーバー機能は、クライアント装置200から受信した画像形成に関するジョブを管理し、他機(他の画像形成装置100)との間でジョブを振り分ける。クラウドアクセスサーバー機能は、クライアント装置200からネットワークを介して接続された図示しないクラウドサーバーへのアクセスを制御し、クラウドサーバーとのデータの送受信を可能にする。Webサーバー機能は、クライアント装置200のWebブラウザに画像形成装置100に関するデータを表示させ、画像形成装置100に対する制御を可能にする。グループウェアサーバー機能は、複数のクライアント装置200をグループとして管理し、クライアント装置200間での接続を制御する。基幹システムサーバー機能は、社内のクライアント装置200を管理し、社員の勤怠管理や承認フローの制御を行う。
ストレージ130は、ハードディスク等の記憶装置であり、クライアント装置200が利用する文書や画像等のデータやスキャナー部150によって読み取った画像データを記憶する。ストレージ130は、ファイルサーバー機能をユーザーが使用する際、クライアント装置200から送信されたファイルを記憶したり、ストレージ130に記憶しているファイルをクライアント装置200へ送信したりする場合に用いる。
ネットワークI/F部140は、モデム等で構成され、画像形成装置100と、クライアント装置200や他機との接続を確立する。
スキャナー部150は、原稿台上の原稿から画像データを光学的に読み取る。スキャナー部150は、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCDセンサー等のイメージセンサーとから構成される。
FAX制御部160は、電話網を介して画像データの送受信を行う。FAX制御部160は、例えばスキャナー部150によって読み取られた画像データを操作表示部180によって指定された電話番号の宛先に送信する。
画像形成部170は、ジョブから生成した画像データやスキャナー部150によって読み取った画像データに基づいて用紙上に画像を形成する。具体的には、帯電器により帯電された感光体に露光部によって画像データに対応する光を照射して潜像を形成し、現像器によってトナーを潜像に付着させて現像し、現像したトナー像を転写ベルトや転写ローラーによって用紙に転写し、転写したトナー像を定着部によって定着させる処理を行う。
操作表示部180は、ユーザーによる操作を受け付ける操作部としての機能と、ユーザーに対して操作画面やメッセージを表示する表示部としての機能を有している。操作表示部180は、液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイ上に透明電極が格子状に配置されたタッチパネル、タッチパネルの周囲に配置されるキー等で構成される。
サーバー機能制御部190は、図示しないCPUによって構成され、不揮発性メモリー120に記憶されたサーバー制御プログラムを揮発性メモリー112に読み込んでサーバー機能を制御する。
図3は、画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。
制御部110は、不揮発性メモリー120に記憶された制御プログラムを揮発性メモリー112に読み込んでCPU111が実行することにより、更新処理部113、代行部114、領域解放部115、プログラム切替部116として機能する。
更新処理部113は、不揮発性メモリー120に記憶されている画像形成制御プログラムを更新し、更新後の画像形成制御プログラムを揮発性メモリー112に読み込む更新処理の制御を行う。更新処理を開始する時点では、不揮発性メモリー120及び揮発性メモリー112には、それぞれ古い(更新前の)画像形成制御プログラムと、サーバー制御プログラム、ネットワークI/F制御プログラムが記憶されている。更新処理において不揮発性メモリー120に記憶されている画像形成制御プログラムを更新する際は、不揮発性メモリー120の古い画像形成制御プログラムが記憶された記憶領域を解放、すなわち新しい(更新後の)画像形成制御プログラムを記憶できる状態にし、その記憶領域に新しい画像形成制御プログラムを記憶する。また、不揮発性メモリー120に記憶された新しい画像形成制御プログラムを揮発性メモリー112に読み込む際は、揮発性メモリー112の古い画像形成制御プログラムが記憶された記憶領域を解放せずに、サーバー制御プログラムが記憶された記憶領域を一旦解放し、その記憶領域に不揮発性メモリー120に記憶された新しい画像形成制御プログラムを読み込む。すなわち、新しい画像形成制御プログラムの読み込み時、揮発性メモリー112には、古い画像形成制御プログラムと新しい画像形成制御プログラムとが併存する。このように、揮発性メモリー112に古い画像形成制御プログラムを記憶したまま新しい画像形成制御プログラムを読み込むことで、画像形成機能を停止させることなく更新処理を行うことができる。そして、揮発性メモリー112において新しい画像形成制御プログラムの読み込みが完了すると、揮発性メモリー112の古い画像形成制御プログラムが記憶された記憶領域を解放し、その記憶領域に不揮発性メモリー120に記憶されたサーバー制御プログラムを再び読み込む。
代行部114は、少なくとも、揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域が一旦解放されてから、不揮発性メモリー120に記憶されたサーバー制御プログラムを揮発性メモリー112に再び読み込むまでの期間(サーバー制御プログラムが揮発性メモリー112にない期間)、サーバー機能を他機に代行させる。サーバー機能を代行させるにあたり、代行部114は、クライアント装置200からサーバー機能を使用するリクエストが送信された場合にサーバー機能を他機に代行させる期間である代行期間を次のように設定する。代行期間を開始するタイミングとして、少なくとも揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域が解放されるより前のタイミングに設定する。代行期間を終了するタイミングとして、少なくとも揮発性メモリー112の一旦解放されてなくなっていたサーバー制御プログラムが再度読み込み完了した後のタイミングに設定する。
代行部114は、代行期間において、図4に示すような代行処理を行う。代行部114は、クライアント装置200からサーバー機能を使用するサービスのリクエストが送信された場合、サーバー機能のリクエストに対する処理を他機が代行可能であるかを他機に確認する。確認を受けた他機は、代行が可能又は不可能のいずれかの応答を行う。ここで、代行が不可能な場合として、他機自身がすでに他のサーバー機能に関するサービスを処理している場合等がある。他機が代行可能である場合、代行部114は、リクエストを送信したクライアント装置200のIPアドレス及びサーバー機能のリクエスト内容を他機に送信して代行を依頼する。IPアドレスは、クライアントと他機との間で通信を確立させるためのデータであればよく、他のデータであってもよい。他機が代行不可能である場合、代行部114は別の他機に対して同様に代行可否確認を行う。他機は代行を依頼されると、受信したサーバー機能のリクエスト内容に基づいて所定の処理を行い、受信したクライアント装置200のIPアドレスを用いてクライアント装置200へ処理結果を提供し、代行部114へ代行を正常に完了させた通知を行う。このように、サーバー機能を他機に代行させることで、画像形成制御プログラムの更新処理に伴ってサーバー制御プログラムが記憶された揮発性メモリー112の記憶領域が一旦解放されても、サーバー機能を停止させることなく更新処理を行うことできる。
また、代行部114は、揮発性メモリー112へ新しい画像形成制御プログラムの読み込みが完了し、揮発性メモリー112の古い画像形成制御プログラムが記憶されていた記憶領域に再びサーバー制御プログラムが読み込まれると代行期間を終了するが、この際は特に他機とデータを送受信することなく、代行期間を終了したタイミング以降に送信されたリクエストを通常どおり自機で処理する。
また、代行部114は、サーバー機能を他機に代行させるにあたり、ストレージ130に記憶されたデータを代行前に他機に送信する。なお、ストレージ130に記憶されたデータ量が多い場合には、データを他機に送信するのに時間がかかる場合がある。そのため、ストレージ130に記憶されたデータを送信する際、データの使用頻度や最終更新日時に基づいて、使用頻度の高いデータや最近使用したデータのみを送信し、送信するデータ量を削減してもよい。このように送信するデータ量を削減することで、ストレージ130に記憶されたデータ量が多い場合でも、サーバー機能に用いる可能性があるファイルを短い時間で他機に送信することができる。
領域解放部115は、更新処理部113による制御に従って、不揮発性メモリー120の記憶領域を解放したり、揮発性メモリー112の記憶領域を解放したりする。具体的には、不揮発性メモリー120に記憶されている画像形成制御プログラムを更新する際、不揮発性メモリー120の古い画像形成制御プログラムが記憶された記憶領域を解放する。また、不揮発性メモリー120に記憶された新しい画像形成制御プログラムを揮発性メモリー112に読み込む際、揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域を解放する。また、新しい画像形成制御プログラムの揮発性メモリー112への読み込みが完了すると、古い画像形成制御プログラムが記憶された記憶領域を解放する。
プログラム切替部116は、新しい画像形成制御プログラムの揮発性メモリー112への読み込みが完了すると、CPU111が実行するプログラムを古い制御プログラムから新しい制御プログラムに切り替える。
図5は、画像形成制御プログラム更新処理の流れを示すフローチャートである。図6は、画像形成制御プログラム更新処理における不揮発性メモリー120及び揮発性メモリー112の状態を示す図である。
制御部110(揮発性メモリー112、更新処理部113、代行部114、領域解放部115、プログラム切替部116)は、不揮発性メモリー120に記憶された制御プログラムを揮発性メモリー112に読み込んだ状態(図6(a))でCPU111が実行することにより、図5のフローチャートに示す各ステップの処理を実行する。
制御部110(更新処理部113)は、画像形成制御プログラムを更新する指示をネットワークI/F部140を介して外部端末から受信し、所定のタイミング(例えば、更新する指示を受けてから初めての電源ON時)で不揮発性メモリー120の古い制御プログラムが記憶された記憶領域を解放する(S101、図6(b))。次に、新しい画像形成制御プログラムをネットワークI/F部140を介して外部端末からダウンロードし、不揮発性メモリー120の解放した記憶領域に記憶する(S102、図6(c))。
その後、制御部110(代行部114)は、図4で説明した代行処理において他機が代行可能であると確認し、ストレージ130に記憶されたデータを代行可能であると確認した他機に送信する(S103)。
その後、制御部110(代行部114)は、サーバー機能の代行期間を開始し、このタイミング以降に自機にリクエストが送信されると、リクエストに対する処理を図4で説明したように他機に代行させる(S104)。なお、代行期間を開始するタイミングにおいて自機で処理中のサーバー機能のサービスがある場合、その処理については他機には代行させず、完了するまで自機で継続して行う。
制御部110(領域解放部115)は、自機で処理中のサーバー機能のサービスがないことを確認して(S105でNO)、揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域を解放する(S106、図6(d))。一方、処理中のサービスがある場合(S105でYES)は、そのサービスの処理が完了するまで待機してから揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域を解放する。
その後、制御部110(更新処理部113)は、解放した揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶されていた記憶領域(図6(d)に網掛けで示す記憶領域)に不揮発性メモリー120に記憶された新しい画像形成制御プログラムを読み込む(S107、図6(e))。揮発性メモリー112へ新しい画像形成制御プログラムの読み込みが完了すると、制御部110(プログラム切替部116)は、CPU111が実行するプログラムを揮発性メモリー112の古い制御プログラムから揮発性メモリー112の新しい制御プログラムに切り替える(S108)。
実行するプログラムが新しい制御プログラムに切り替わると古い画像形成制御プログラムは不要になるので、制御部110(領域解放部115)は、古い画像形成制御プログラムが記憶された揮発性メモリー112の記憶領域を解放する(S109、図6(f))。制御部110(更新処理部113)は、その記憶領域に不揮発性メモリー120に記憶されたサーバー制御プログラムを読み込む(S110、図6(g))。
サーバー制御プログラムの読み込みが完了すると、制御部110(代行部114)は代行期間を終了し、このタイミング以降に時期にリクエストが送信されると、リクエストに対する処理を自機で行う(S111)。つまり、S104からS111の間がサーバー機能の代行期間である。なお、代行期間を終了するタイミングにおいて他機で処理中のサーバー機能のサービスがある場合、その処理については完了するまで他機に継続して代行させる。
図7は、図5のフローチャートで説明した画像形成制御プログラム更新処理に伴うサーバー機能の代行処理の例を示す図である。図5のフローチャートには示していないが、画像形成制御プログラム更新処理中には、画像形成制御プログラム更新処理とは無関係にクライアント装置200から自機にサーバー機能に関するサービスのリクエストが送信される。そして、リクエストが送信されたサービスに対し、画像形成制御プログラム更新処理と並行して自機又は他機(代行させている場合)が処理を行っている。したがって、代行期間の開始タイミング(S104)や代行期間の終了タイミング(S111)では、自機又は他機がサービスの処理中である場合とサービスを処理していない場合とがある。代行期間とサービスの処理の関係の例として、図7(a)、図7(b)、図7(c)に、それぞれ3つの異なる例を示す。横軸は時間の流れを示しており、横軸の長方形の部分はその時間においてサーバー機能に関するサービスの処理を行っていることを示している。また、縦線Aは代行期間の開始タイミング(S104)、縦線Bは代行期間の終了タイミング(S111)を示しており、下矢印(実線)は自機にリクエストが送信されたタイミング、下矢印(点線)は他機に代行を依頼したタイミングを示している。また、縦線Aのタイミング(代行期間の開始タイミング)と縦線Bのタイミング(代行期間の終了タイミング)とで挟まれた期間は代行期間を示しており、網掛けの期間はサーバー制御プログラムが揮発性メモリー112にない期間を示している。サーバー制御プログラムが揮発性メモリー112にない期間は、揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域が解放されてから、不揮発性メモリー120に記憶されたサーバー制御プログラムを揮発性メモリー112に再び読み込むまでの期間である。制御部110(更新処理部113)は、サーバー制御プログラムが揮発性メモリー112にない期間に、新しい画像形成制御プログラムを揮発性メモリー112に記憶する(図5のS107)。
図7(a)において、サービス1に対するリクエストは代行期間を開始する前(S104より前)に送信されている。したがって、サービス1の処理は自機で行われる。また、サービス2に対するリクエストは代行期間内(S104〜S111)で送信されている。したがって、サービス2の処理は図4で説明したように他機に代行される。また、サービス3に対するリクエストは代行期間を終了した後(S111より後)に送信されている。したがって、サービス3の処理は自機で行われる。図7(a)では、代行期間を開始するタイミングにおいて自機で処理中のサービスがないため、サービスを処理するためのサーバー制御プログラムが必要なく、代行期間を開始した直後に揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域が解放される。
図7(b)は、代行期間を開始するタイミングでサービス1が処理中である点が図7(a)と異なる。図7(b)のように、代行期間を開始するタイミングにおいて自機で処理中のサービスがある場合、その処理については完了するまで自機で継続して行う。また、代行期間を終了するタイミングでサービス2が処理中である点が図7(a)と異なる。図7(b)のように、代行期間を終了するタイミングにおいて他機で処理中のサービスがある場合、その処理については完了するまで他機に継続して代行させる。サービス3に対するリクエストが代行期間を終了した後に送信され、サービス3の処理が自機で行われる点は図7(a)と同様である。図7(b)では、代行期間を開始するタイミングにおいて自機で処理中のサービスがあるため、そのサービスの処理が完了するまで待機してから揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域が解放される。
図7(c)は、サービス2に対するリクエストが送信されたタイミングでサービス1が処理中である点が図7(b)と異なる。このような場合、サービス1の処理が完了するまで自機で継続して処理を行う。また、サービス3に対するリクエストが送信されたタイミングでサービス2が処理中である点が図7(b)と異なる。このような場合、サービス2の処理が完了するまで他機に継続して処理を代行させる。図7(c)では、代行期間を開始するタイミングにおいて自機で処理中のサービスがあるため、図7(b)と同様にそのサービスの処理が完了するまで待機してから揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域が解放される。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、更新処理部113による更新処理では、古い画像形成制御プログラムを揮発性メモリー112に記憶したまま、新しい画像形成制御プログラムを揮発性メモリー112に読み込むので、新しい画像形成制御プログラムの読み込みに際して画像形成機能を停止させることなく使用できる。また、領域解放部115によって揮発性メモリー112のサーバー制御プログラムが記憶された記憶領域を解放し、揮発性メモリー112にサーバー制御プログラムがない間でも、代行部114によってサーバー機能を他機に代行させるので、サーバー機能を停止させることなく使用できる。
また、更新処理部113が揮発性メモリー112へ新しい画像形成制御プログラムの読み込みを完了すると、領域解放部115が揮発性メモリー112の古い画像形成制御プログラムが記憶された記憶領域を解放し、更新処理部113は揮発性メモリー112の解放された記憶領域にサーバー制御プログラムを再び読み込むので、更新処理が完了すると再び自機でサーバー機能を処理することができる。
また、代行部114が代行期間を開始するタイミングにおいて自機で処理中のサービスがある場合、その処理については完了するまで自機で継続して行う。また、代行部114が代行期間を終了するタイミングにおいて他機で処理中のサービスがある場合、その処理については完了するまで他機に継続して代行させる。このように、代行期間の開始及び終了タイミングにおいて処理中のサービスを中断させることなく処理させるので、サービスの処理を正常に完了させることができる。
<変形例1>
次に、本発明の変形例1について図8及び図9を用いて説明する。
図8は、変形例1に係るサーバー機能の代行処理を説明するためのシーケンス図である。図9は、変形例1に係るサーバー機能の代行処理において、クライアント装置に表示させるメッセージの例を示す図である。
変形例1は、次の点で上記実施形態と異なり、画像形成制御プログラム更新処理は上記実施形態と同一であるため説明を省略する。上記実施形態では、代行部114は、代行期間においてクライアント装置200からサーバー機能のリクエストが送信された場合、そのリクエストに対する処理を他機が代行可能であるかを他機に確認するが、変形例1では、クライアント装置200に対して自機でそのリクエストに対する処理が行えないことを、図9のようなメッセージを表示して通知する。図9は表示させるメッセージの一例であり、サーバー機能が自機で処理できないことを示す内容であればメッセージの内容はこれに限らない。
ユーザーは、表示されたメッセージを確認すると、クライアント装置200を操作して、別の画像形成装置100(他機)にリクエストを送信する。他機はリクエストが送信されると、受信したリクエスト内容に基づいて所定の処理を行い、クライアント装置200へ処理結果を提供する。
以上説明したように、変形例1では、代行部114は、クライアント装置200からリクエストが送信された場合、クライアント装置200に対してメッセージを表示させればよく、他機とデータの送受信を直接行わなくてもよいので、簡易な構成でサーバー機能を他機に代行させることができる。
<変形例2>
次に、変形例2について図10及び図11を用いて説明する。
図10は、変形例2に係るサーバー機能の代行処理を説明するためのシーケンス図である。図11は、変形例2に係るサーバー機能の代行処理において、クライアント装置に表示させるメッセージの例を示す図である。
変形例1では、クライアント装置200に対して、サーバー機能が自機で処理できないというメッセージを表示させるが、変形例2では、サーバー機能が自機で処理できないことに加え、サーバー機能を代行可能な他機の情報を表示させる。
図10において、代行部114は、クライアント装置200からリクエストが送信された場合、そのリクエストに対する処理を代行可能であるかを複数の他機(他機A、他機B、他機C)に確認する。他機A、他機B、他機Cは、代行部114から代行が可能であるかの確認を受けると、代行が可能又は不可能のいずれかの応答を代行部114に対して行う。
代行部114は、他機A、他機B、他機Cのそれぞれから代行が可能又は不可能のいずれかの応答を受けると、クライアント装置200に対して図11のようなメッセージを表示させる。図11は、サーバー機能が自機で処理できないことに加え、サーバー機能を代行可能な他機の情報を表示している。ここでは、他機Aが代行不可能、他機B及び他機Cが代行可能である場合の例を示している。
ユーザーは、表示されたメッセージを確認すると、クライアント装置200を操作して、メッセージに表示されたサーバー機能を代行可能な他機(他機B、他機C)から任意の他機を選択し、リクエストを送信する。ここで、代行可能な他機は、クライアント装置200が自動で選択してもよい。他機はリクエストが送信されると、受信したリクエスト内容に基づいて所定の処理を行い、クライアント装置200へ処理結果を提供する。
以上説明したように、変形例2では、代行部114は、リクエスト内容等を代行部114から他機に送る必要がないので、簡易な構成でサーバー機能を他機に代行させることができる。また、代行部114は、クライアント装置200に対してサーバー機能を代行可能な他機の情報を表示させるので、ユーザーがサーバー機能を代行させる他機を容易に選択することができる。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、上記実施形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の例であり、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、画像形成機能として、コピー機能、プリント機能、FAX機能、スキャン機能を示し、サーバー機能として、ファイルサーバー機能、メールサーバー機能、プリンターサーバー機能、クラウドアクセスサーバー機能、Webサーバー機能、グループウェアサーバー機能、基幹システムサーバー機能を示したが、画像形成機能及びサーバー機能はこれらに限定されない。