JP6503696B2 - 画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6503696B2
JP6503696B2 JP2014229061A JP2014229061A JP6503696B2 JP 6503696 B2 JP6503696 B2 JP 6503696B2 JP 2014229061 A JP2014229061 A JP 2014229061A JP 2014229061 A JP2014229061 A JP 2014229061A JP 6503696 B2 JP6503696 B2 JP 6503696B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
contact
region
containing region
carbon layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014229061A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016090974A (ja
Inventor
田中 大輔
大輔 田中
瀬古 真路
真路 瀬古
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2014229061A priority Critical patent/JP6503696B2/ja
Publication of JP2016090974A publication Critical patent/JP2016090974A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6503696B2 publication Critical patent/JP6503696B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cleaning In Electrography (AREA)
  • Electrophotography Configuration And Component (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Description

本発明は、画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、像保持体や中間転写ベルト等に残留した現像剤を清掃するためにクリーニング装置が設けられている。このクリーニング装置としては、基材としてポリウレタンゴム等の樹脂を用いた弾性を有するクリーニングブレードが一般的である。クリーニングブレードは、被接触部材に角部(エッジ)が接触するよう設置され、摺擦によりエッジで現像剤を掻き落とす。尚、クリーニングブレード以外にも画像形成装置においては、他の部材に接触するよう配置されて摺擦される態様で用いられる摺擦部材が存在する。
ここで、例えば特許文献1には、静電潜像が形成される像保持体、該像保持体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段および該像保持体の表面に残留するトナーを除去するための弾性ブレードからなるクリーニング手段を具備する電子写真画像形成装置において、該潤滑剤によって該弾性ブレードに発生する振動を検知する手段を具備し、該検知信号によって該像保持体表面への潤滑剤供給量を制御する電子写真画像形成装置が開示されている。
また、特許文献2には、トナー保持体接触部に、イソシアネート化合物およびポリウレタン樹脂が反応してなり、定められた形状を有する硬化層を形成し、硬化層のtanδと自由長部のtanδとの関係を制御するクリーニングブレードが開示されている。
また、特許文献3には、表面が有機化合物を真空中グロー放電プラズマにより堆積させた非晶質炭素膜よりなるプラズマ重合膜に被覆されている電子写真用クリーナーブレードが開示されている。
また、特許文献4には、像搬送体上に残留する作像粒子を清掃するクリーニング装置において、像搬送体に接触し且つ像搬送体との接触部形状が像搬送体の移動停止に拘わらず非変形状態に保たれるクリーニング部材を有し、このクリーニング部材には、板状のベース基材と、このベース基材のうち少なくとも像搬送体との接触部に対応する部分を被覆する被覆層とを具備させ、前記被覆層として、a.ビッカース硬度が1500Hv以上であること、b.摩擦係数が被覆前のベース基材の摩擦係数よりも小さいこと、c.表面粗さが被覆前のベース基材の表面粗さ以下であること、を満たすクリーニング部材が開示されている。
また、特許文献5には、ウレタンゴム製クリーニングブレードにおいて、被クリーニング部材との接触部分にイソシアネート化合物による硬化処理を行い、プラズマイオン注入・成膜法によりCVD潤滑膜を成膜するクリーニングブレードが開示されている。
また、特許文献6には、シート状のポリウレタンゴム成形体からなり、トナーが付着した移動部材表面を摺擦する画像形成装置用ブレードであって、前記ポリウレタンゴム成形体表面に、炭素をプラズマ重合した低摩擦層を複合化した画像形成装置用ブレードが開示されている。
特開2004−279734号公報 特開2001−343874号公報 特開昭64−90484号公報 特開2005−274952号公報 特開2013−80077号公報 特開平9−160457号公報
本発明は、炭素含有領域と炭素層との何れにおいても、前記接触部を含む少なくとも一部の領域、または前記接触界面のうち接触部に最も近い部分を含む少なくとも一部の領域に、前記濃度変化領域を有さない場合に比べ、被接触部材との摺動を繰り返した後にも摺動姿勢の変化を抑制し得る画像形成用摺擦部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
は、
画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材であって、
sp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を少なくとも前記被接触部材との接触側に有する基材を備え、且つ下記(A)および(a)の要件、または下記(B)および(b)の要件を満たす画像形成用摺擦部材。
(A)前記炭素含有領域が前記被接触部材との接触部を構成する
(a)前記炭素含有領域が、前記接触部を含む少なくとも一部の領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する
(B)前記炭素含有領域の前記被接触部材との接触側表面に、sp3結合を有する炭素が前記炭素含有領域の表面に蒸着され積層された炭素層を備え、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する
(b)前記炭素含有領域と前記炭素層との少なくとも一方が、前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面のうち前記接触部に最も近い部分を含む少なくとも一部の領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する
は、
前記(B)の要件を満たし且つ前記(b)に記載の前記濃度変化領域を少なくとも前記炭素層が有し、
前記濃度変化領域は前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面全面を含み、該接触界面に近い側ほど前記濃度が低くなるに記載の画像形成用摺擦部材。
は、
前記(B)および(b)の要件を満たし、
前記炭素層が、前記接触部を含み且つ前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面を含まない一部の領域に、該炭素層中の他の領域よりも硬度が低い低硬度領域を有するまたはに記載の画像形成用摺擦部材。
は、
前記低硬度領域がSi、F、およびCrからなる群より選択される少なくとも1種を含有するに記載の画像形成用摺擦部材。
は、
前記(B)および(b)の要件を満たし、
前記基材の形状が板状であり且つ前記板状の基材において面(X)および面(Y)の2つの面が接する角部が前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面のうち前記接触部に最も近い部分を構成し、
前記面(X)および面(Y)の両方に接する2つの面(Z1)および(Z2)が、前記角部に接する箇所を含む少なくとも一部の領域の表面に、更に前記炭素層を備えるのいずれか一項に記載の画像形成用摺擦部材。
は、
前記面(Z1)および(Z2)の表面における前記炭素層が、前記基材との接触界面全面を含む領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触界面から遠い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有するに記載の画像形成用摺擦部材。
は、
前記被接触部材に接触しながら、該被接触部材の表面をクリーニングするクリーニング部材であるのいずれか一項に記載の画像形成用摺擦部材。
は、
クリーニング部材としてに記載の画像形成用摺擦部材を備えたクリーニング装置。
は、
に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
10は、
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、
前記中間転写体上に転写された前記トナー像を記録媒体上に二次転写する二次転写装置と、
前記二次転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記中間転写体の表面に、前記画像形成用摺擦部材を接触させてクリーニングするに記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
およびによれば、炭素含有領域と炭素層との何れにおいても、前記接触部を含む少なくとも一部の領域、または前記接触界面のうち接触部に最も近い部分を含む少なくとも一部の領域に、前記濃度変化領域を有さない場合に比べ、被接触部材との摺動を繰り返した後にも摺動姿勢の変化を抑制し得る画像形成用摺擦部材が提供される。
およびによれば、前記低硬度領域を有さない場合に比べ、異物の衝突による微小な亀裂の発生を抑止し得る画像形成用摺擦部材が提供される。
およびによれば、前記面(Z1)および面(Z2)の少なくとも一方に前記炭素層を備えない場合に比べ、被接触部材との摺動を繰り返した後にも端部において被接触部材から離れる現象(めくれ)を抑制し得る画像形成用摺擦部材が提供される。
乃至10によれば、炭素含有領域と炭素層との何れにおいても、前記接触部を含む少なくとも一部の領域、または前記接触界面のうち接触部に最も近い部分を含む少なくとも一部の領域に、前記濃度変化領域を有さない場合に比べ、被接触部材との摺動を繰り返した後にも摺動姿勢の変化を抑制し得る画像形成用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置が提供される。
本実施形態における摺擦部材を用いたクリーニングブレードの一例を示す概略図である。 本実施形態におけるクリーニングブレードが駆動している像保持体に接触している状態を示す概略図である。 本実施形態における摺擦部材の一例を示す概略図である。 本実施形態における他の摺擦部材の一例を示す概略図である。 本実施形態における他の摺擦部材の一例を示す概略図である。 本実施形態における他の摺擦部材の一例を示す概略図である。 本実施形態における他の摺擦部材の一例を示す概略図である。 本実施形態における他の摺擦部材の一例を示す概略図である。 本実施形態における他の摺擦部材の一例を示す概略図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略模式図である。 本実施形態におけるクリーニング装置の一例を示す模式断面図である。
以下、本発明の画像形成装置およびプロセスカートリッジの実施形態について詳細に説明する。
<画像形成装置用摺擦部材>
本実施形態に係る画像形成装置用摺擦部材(以下単に「摺擦部材」と称す)は、少なくとも画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材である。
尚、該摺擦部材は少なくとも基材を有し、更に下記(B)に示すごとく基材表面に炭素層を有していてもよい。該基材はsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を少なくとも前記被接触部材との接触側に有する。
更に、該摺擦部材は、下記(A)および(a)の要件、または下記(B)および(b)の要件を満たす。
(A)前記炭素含有領域が前記被接触部材との接触部を構成する
(a)前記炭素含有領域が、前記接触部を含む少なくとも一部の領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する
(B)前記炭素含有領域の前記被接触部材との接触側表面に、sp3結合を有する炭素が前記炭素含有領域の表面に蒸着され積層された炭素層を備え、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する
(b)前記炭素含有領域と前記炭素層との少なくとも一方が、前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面のうち前記接触部に最も近い部分を含む少なくとも一部の領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する
本実施形態に係る摺擦部材は、上記の構成を満たすことにより、被接触部材との摺動を繰り返した後にも摺動姿勢の変化を抑制し得る。この効果を奏し得る理由は、必ずしも明確ではないものの以下のように考えられる。
まず前記(A)の要件を満たす場合、被接触部材との接触部が最も前記濃度が高くなる。尚、sp3結合を有する炭素の濃度は、高いほど変形性が小さくなる。そのため、被接触部材との摺動に伴う摺擦部材の変形を、前記濃度がより低い領域、つまり被接触部材との接触部よりも内側の領域に担わせられる。一方、接触部は前記濃度がより高いため、接触部自体の変形を抑制し得る。これにより、基材として求められる変形性は維持しつつ、且つ摺動の繰り返しによる摺擦部材の接触部での破壊等が抑制され、その結果被接触部材との摺動を繰り返した後にも摺動姿勢の変化が抑制されるものと推察される。
また前記(B)の要件を満たす場合、つまり基材の接触側表面に炭素層を備える場合、通常は該炭素層が基材よりも変形能が小さく、摺動に伴って生じる変形に対しても炭素層と基材とで追従のし易さに差がある。そのため、摺動を繰り返すうちに炭素層の剥離が発生することがあった。
これに対し、本実施形態のうち前記(b)に記載の濃度変化領域を少なくとも炭素含有領域が有する場合には、炭素含有領域における炭素層との接触界面のうち被接触部材との接触部に近い部分が前記濃度が最も高くなる。前記の通り該濃度は高いほど変形性が小さくなるため、炭素含有領域と炭素層との接触界面のうち被接触部材との接触部に近い部分、つまり前記接触界面のうち摺動による変形の影響が最も強い部分では、炭素含有領域と炭素層との変形能の差を縮められ、摺動に伴う変形に対する追従のし易さも炭素含有領域と炭素層とで差を縮められる。一方で、被接触部材との摺動に伴う摺擦部材の変形は、前記濃度がより低い領域、つまり前記接触界面のうち前記接触部に近い部分よりも内側の領域に担わせられる。これにより、基材として求められる変形性は維持しつつ、且つ摺動の繰り返しによる炭素層の剥離が抑制され、その結果被接触部材との摺動を繰り返した後にも摺動姿勢の変化が抑制されるものと推察される。
また、本実施形態のうち前記(b)に記載の濃度変化領域を少なくとも炭素層が有する場合には、炭素層における炭素含有領域との接触界面のうち被接触部材との接触部に近い部分が前記濃度が最も高くなる。前記の通り該濃度は低いほど変形性が大きくなるため、炭素層と炭素含有領域との接触界面のうち被接触部材との接触部に近い部分、つまり前記接触界面のうち摺動による変形の影響が最も強い部分では、炭素層と炭素含有領域との変形能の差を縮められ、摺動に伴う変形に対する追従のし易さも炭素層と炭素含有領域とで差を縮められる。一方で、保護層としての炭素層に求められる役割は、前記濃度がより高い領域、つまり前記接触界面のうち前記接触部に近い部分よりも外側の領域に担わせられる。これにより、摺擦部材の保護層に求められる機能は維持しつつ、且つ摺動の繰り返しによる炭素層の剥離が抑制され、その結果被接触部材との摺動を繰り返した後にも摺動姿勢の変化が抑制されるものと推察される。
・濃度変化の確認方法
ここで、摺擦部材が炭素含有領域または炭素層において、sp3結合を有する炭素の濃度が段階的または連続的に変化する濃度変化領域を有するか否かの確認は、以下のモジュラス勾配を確認することにより行われる。
−モジュラス勾配の確認方法−
摺擦部材の基材からの炭素含有領域へのモジュラス変化、且つ、炭素含有領域から炭素層におけるモジュラスの変化を有するか否かの確認は、以下の方法で行われる。前記摺擦部材の炭素含有領域および炭素層を含む区画を1cm角に切り出し、試料台に前記区画を上面にして貼り付け、エポキシ樹脂で固めた後にウルトラミクロトームで断面切削を行う。その断面に対して走査型プローブ顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製)により断面部のモジュラス分布を可視化することで、前記区画内のモジュラス変化が確認される。即ち、モジュラスの値が高い値に変化すれば、sp3結合を有する炭素の濃度が高くなったことが推定される。
次いで、本実施形態に係る摺擦部材の実施態様について詳述する。
本実施形態に係る摺擦部材は、少なくとも画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置して用いられる。ここで、上記摺擦部材がクリーニングブレードとして用いられる態様について、図1および図2を用いて説明する。尚、図1および図2に示す摺擦部材(クリーニングブレード)では、基材が板状形状である場合を例にする。
図1に示すごとく、摺擦部材(クリーニングブレード)は、駆動する被接触部材(像保持体、感光体ドラム)31に接触して被接触部材(像保持体)31の表面をクリーニングする接触部(接触角部)3Aと、接触部(接触角部)3Aが1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向(矢印A方向)の上流側を向く先端面3Bと、接触部(接触角部)3Aが1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向(矢印A方向)の下流側を向く腹面3Cと、先端面3Bと1つの辺を共有し且つ腹面3Cに対向する背面3Dと、先端面3B、腹面3Cおよび背面3Dとそれぞれ1つの辺を共有する側面3Eと、を有する。
また、接触部(接触角部)3Aと平行な方向を奥行き方向と、接触部(接触角部)3Aから先端面3Bが形成されている側の方向を厚み方向と、接触角部3Aから腹面3Cが形成されている側の方向を幅方向と称す。
尚、図1には便宜上、被接触部材(像保持体)31が駆動する方向を矢印Aとして描いたが、図1は被接触部材(像保持体)31が停止している状態を示している。
本実施形態に係る摺擦部材(クリーニングブレード)は、図1に示すごとく、被接触部材(像保持体)31の表面に接触して配置される。被接触部材(像保持体)31が駆動すると、図2に示すごとく、摺擦部材(クリーニングブレード)342と被接触部材(像保持体)31との接触部に摺動が生じてニップ部Tが形成され、被接触部材(像保持体)31の表面が清掃される。
−第1の態様−
第1の態様は、前記(A)および(a)の要件を満たす摺擦部材である。第1の態様に係る摺擦部材は、図3に示すごとく、板状形状の基材4Aを有し、且つsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域5Aを有する。炭素含有領域5Aは被接触部材31との接触側に形成され、この炭素含有領域5Aの一部である角部3Aが被接触部材31との接触部を構成する。
炭素含有領域5Aは、図3においてグラデーションを持って描かれているように、sp3結合を有する炭素の濃度が、前記接触部(角部3A)を頂点として該接触部から離れる方向に向かって連続的に変化する濃度変化領域である。尚、この濃度変化領域では前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる。
・変形例
尚、炭素含有領域5Aでの前記濃度の変化は、図3では連続的に変化する態様として示されているが、当然段階的に変化する態様であってもよい。
また、炭素含有領域5Aにおいて前記濃度が変化する方向は、図3では前記接触部を頂点として該接触部から離れる方向に向かって変化する態様として示されているが、一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ接触部に近い側ほど前記濃度が高くなるとの構成を満たす限りこれに限定されない。前記濃度が変化する方向の他の例としては、例えば図4に示す態様が挙げられる。
図4に示す摺擦部材は、板状形状の基材4Bを有し、且つsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域5Bを有する。炭素含有領域5Bは被接触部材31との接触側に形成され、この炭素含有領域5Bの一部である角部3Aが被接触部材31との接触部を構成する。
炭素含有領域5Bは、図4においてグラデーションを持って描かれているように、sp3結合を有する炭素の濃度が、前記先端面3Bを頂点として該先端面3Bから離れる方向に向かって連続的に変化する濃度変化領域である。尚、この濃度変化領域では前記接触部に近い側、つまり先端面3Bに近い側ほど前記濃度が高くなる。
ここで、第1の態様の摺擦部材における、各部の構成について説明する。
(基材)
本実施形態に係る摺擦部材の基材(炭素含有領域が形成される前の基材)の材質として、例えば樹脂、アルミニウム、SUS等が用いられる。この中でも基材の材質としては、特に樹脂が好ましい。
−樹脂−
本実施形態に係る摺擦部材の基材に用いられる樹脂について説明する。
樹脂としてはゴムが望ましく、例えば、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。尚、特にポリウレタンゴムが望ましく、更には高結晶化されたポリウレタンゴムがより望ましい。
ポリウレタンゴムは、通常ポリイソシアネートとポリオールとを重合することで合成される。また、ポリオール以外にイソシアネート基と反応し得る官能基を有する樹脂を用いてもよい。尚、ポリウレタンゴムはハードセグメントとソフトセグメントとを有していることが望ましい。
ここで、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、ポリウレタンゴム材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
また、上記「ポリイソシアネート」は、合成された樹脂において架橋構造を形成するものではない。
ハードセグメントを構成する材料(ハードセグメント材料)とソフトセグメントを構成する材料(ソフトセグメント材料)との組み合わせとしては、特に限定されず、一方が他方に対して相対的に硬く、他方が一方に対して相対的に柔らかい組み合わせとなるよう公知の樹脂材料から選択し得るが、本実施形態においては、以下の組み合わせが好適である。
・ソフトセグメント材料
まず、ソフトセグメント材料としては、ポリオールとして、ジオールと二塩基酸との脱水縮合で得られるポリエステルポリオール、ジオールとアルキルカーボネートの反応により得られるポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。なお、ソフトセグメント材料として用いられる上記ポリオールの市販品としては、例えば、ダイセル化学社製のプラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
・ハードセグメント材料
また、ハードセグメント材料としては、イソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂を用いることが望ましい。また、柔軟性のある樹脂であることが望ましく、柔軟性の点から直鎖構造を有する脂肪族系の樹脂であることがより望ましい。具体例としては、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂や、2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂等を用いることが望ましい。
2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂の市販品としては、例えば、綜研化学社製のアクトフロー(グレード:UMB−2005B、UMB−2005P、UMB−2005、UME−2005等)が挙げられる。
2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂の市販品としては、例えば、出光興産社製、R−45HT等が挙げられる。
2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、従来の一般的なエポキシ樹脂のごとく硬くて脆い性質を有するものではなく、従来のエポキシ樹脂よりも柔軟強靭性であるものが望ましい。上記エポキシ樹脂としては、例えば、分子構造の面では、その主鎖構造中に、主鎖の可動性を高くし得る構造(柔軟性骨格)を有するものが好適であり、柔軟性骨格としては、アルキレン骨格や、シクロアルカン骨格、ポリオキシアルキレン骨格等が挙げられ、特にポリオキシアルキレン骨格が好適である。
また、物性面では、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、重量平均分子量が900±100の範囲内であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが望ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより望ましい。この特性を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC製、EPLICON EXA−4850−150等が挙げられる。
ハードセグメント材料およびソフトセグメント材料を用いる場合、ハードセグメント材料およびソフトセグメント材料の総量に対するハードセグメントを構成する材料の質量比(以下「ハードセグメント材料比」と称す)が10質量%以上30質量%以下の範囲内であることが望ましく、13質量%以上23質量%以下の範囲内であることがより望ましく、15質量%以上20質量%以下の範囲内であることが更に望ましい。
ハードセグメント材料比が、10質量%以上であることにより、耐摩耗性が得られる。一方、ハードセグメント材料比が30質量%以下であることにより、硬くなり過ぎることがなく、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制される。
・ポリイソシアネート
ポリウレタンゴムの合成に用いられるポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)および3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
尚、求められる大きさ(粒子径)のハードセグメント凝集体の形成し易さという点から、ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)がより望ましい。
ポリイソシアネートのイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂100質量部に対する配合量は、20質量部以上40質量部以下が望ましく、更には20質量部以上35質量部以下がより望ましく、20質量部以上30質量部以下が更に望ましい。
20質量部以上であることにより、ウレタン結合量が多く確保されてハードセグメント成長し、求められる硬度が得られる。一方40質量部以下であることにより、ハードセグメントが大きくなり過ぎず、伸張性が得られ、摺擦部材の欠けの発生が抑制される。
・架橋剤
架橋剤としては、ジオール(2官能)、トリオール(3官能)、テトラオール(4官能)等が挙げられ、これらを併用してもよい。また、架橋剤としてアミン系化合物を用いてもよい。尚、3官能以上の架橋剤を用いて架橋されたものであることが望ましい。3官能の架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
架橋剤のイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂100質量部に対する配合量は2質量部以下が望ましい。2質量部以下であることにより、分子運動が化学架橋で拘束されることなく、熟成によるウレタン結合由来のハードセグメントが大きく成長し、求められる硬度が得やすくなる。
・基材(炭素含有領域が形成される前の基材)の成形方法
本実施形態において樹脂の一種であるポリウレタンゴムを用いた基材(但し炭素含有領域を形成する前の基材)の製造は、プレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法が用いられる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性に優れるポリウレタンが得られるため本実施形態には好適であるが、製法により制限されるものではない。
かかるポリウレタンゴムは、上述したポリオールに、ポリイソシアネート化合物および架橋剤等を配合し混合して成形する。尚、炭素含有領域を形成する前の基材の成形は、上記方法により調製された基材形成用の組成物を、例えば、遠心成形や押し出し成形等を利用して、シート状に形成し、切断加工等を施すことにより作製される。
ここで、一例を挙げて、炭素含有領域を形成する前の基材の製造方法の詳細を説明する。
まず、ソフトセグメント材料(例えばポリカプロラクトンポリオール)と、ハードセグメント材料(例えば2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂)を、混合(例えば質量比8:2)する。
次に、このソフトセグメント材料とハードセグメント材料との混合物に対して、イソシアネート化合物(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を加えて、例えば窒素雰囲気下で反応させる。この際の温度は60℃以上150℃以下であることが望ましく、更には80℃以上130℃以下であることが望ましい。また反応時間は0.1時間以上3時間以下であることが望ましく、更には1時間以上2時間以下であることが望ましい。
続いて、イソシアネート化合物を更に加え、例えば窒素雰囲気下で反応させてプレポリマーを得る。この際の温度は40℃以上100℃以下であることが望ましく、更には60℃以上90℃以下であることが望ましい。また反応時間は30分間以上6時間以下であることが望ましく、更には1時間以上4時間以下であることが望ましい。
次いで、このプレポリマーを昇温し減圧下で脱泡する。この際の温度は60℃以上120℃以下であることが望ましく、更には80℃以上100℃以下であることが望ましい。また反応時間は10分間以上2時間以下であることが望ましく、更には30分間以上1時間以下であることが望ましい。
その後、プレポリマーに対して、架橋剤(例えば1,4−ブタンジオールやトリメチロールプロパン)を加え、更にチキソ性組成物を混合して、基材形成用の組成物を調製する。
次いで、遠心成形機の金型に上記基材形成用の組成物を流し込み、硬化反応させる。この際の金型温度は80℃以上160℃以下であることが望ましく、更には100℃以上140℃以下であることが望ましい。また反応時間は20分間以上3時間以下であることが望ましく、更には30分間以上2時間以下であることが望ましい。
更に架橋反応させ、冷却した後に切断し炭素含有領域を形成する前の基材が形成される。この架橋反応の際の熟成加熱の温度は70℃以上130℃以下であることが望ましく、80℃以上130℃以下であることがより望ましく、更には100℃以上120℃以下であることが望ましい。また反応時間は1時間以上48時間以下であることが望ましく、更には10時間以上24時間以下であることが望ましい。
・物性
基材に含まれる樹脂としては、JIS−Aの硬度85度以下のゴムであることが好ましく、該硬度は更に70度以上85度以下がより好ましく、73度以上82度以下が更に好ましい。
尚、上記のJIS−Aの硬度は以下の方法により測定される。
ゴム試料表面に定められた形状の押針を、バネを介して押し付けたときの押込み深さから硬さを求めるデュロメータによる試験方法により測定される。
基材に含有される樹脂がポリウレタンゴムである場合、該ポリウレタンゴムの重量平均分子量は、1000乃至4000の範囲内であることが望ましく、1500乃至3500の範囲内であることがより望ましい。
(炭素含有領域)
第1の態様における基材は、被接触部材との接触側にsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を有する。炭素含有領域の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば基材に対し直接プラズマイオンを注入することで基材内部にsp3結合を有する炭素原子を浸透させる方法が挙げられる。
尚、第1の態様に係る摺擦部材は、炭素含有領域中にsp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する。この濃度変化領域を形成し得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下のパルスプラズマイオン注入法が挙げられる。
・パルスプラズマイオン注入法による炭素含有領域の形成
濃度変化領域を有する炭素含有領域を形成し得る、パルスプラズマイオン注入法について説明する。
パルスプラズマイオン注入法においては、少なくとも1以上のイオン注入用ガスを用いて、パルスプラズマによるイオン注入プロセスによって、基材の被接触部材との接触側に炭素含有領域を形成する。また、上記のプロセスの前にパルスプラズマによる表面調整プロセスを設けてもよい。
尚、パルスプラズマイオン注入法では、プラズマを発生させる際に印加する電圧の大きさ等を調整することで、イオンが注入される距離、即ちsp3結合を有する炭素原子が基材中に浸透する距離のピーク位置を調整し得る。設定した電圧値を保ったままイオン注入を行えば、該ピーク位置を頂点として注入方向の奥側および手前側に向かってsp3結合を有する炭素原子の濃度勾配が形成される。
従って、基材の前記濃度を最も高くしたい表面部分の側からイオン注入を行い、且つこの際の印加する電圧を調整して、基材の前記濃度を最も高くしたい部分の表面が前記ピーク位置となるよう制御することで、第1の態様における濃度変化領域を有する炭素含有領域を形成し得る。
例えば、図3に示す摺擦部材の場合であれば、角部3A側からイオン注入を行い、且つこの角部3Aが濃度のピークとなるよう印加電圧を調整することで、図3に示す濃度変化領域を有する炭素含有領域5Aが形成される。また、図4に示す摺擦部材の場合であれば、先端面3B側からイオン注入を行い、且つこの先端面3Bが濃度のピークとなるよう印加電圧を調整することで、図4に示す濃度変化領域を有する炭素含有領域5Bが形成される。
尚、こうして形成される炭素含有領域では、基材中の樹脂の種類を選択することによって該樹脂とsp3結合を有する炭素とが結合され、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)層が形成される。
ここで、より具体的な形成方法について説明する。
プラズマ発生用高周波電源と、高電圧パルス発生用電源とを、共通のフィードスルーを介してチャンバー内の基材に接続しておき、前記プラズマ発生用高周波電源から基材に高周波パルス(パルスRF電圧)を印加して基材の外形に沿って周囲にプラズマを発生させる。そして、そのプラズマ中またはアフターグロープラズマ中に、高電圧パルス発生用電源から基材に負の高電圧パルス(DCパルス電圧)を少なくとも1回印加し、これら高周波パルスの印加と負の高電圧パルスの印加とを繰り返し行う。尚、この高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加との繰り返し数は、100回/秒以上5000回/秒以下の範囲が好ましい。sp3結合を有する炭素原子が基材中に浸透する距離(ピーク位置)の調整は、具体的には高電圧パルスの大きさ、印加する回数等を調整することで行われる。
高周波パルス幅は2μs以上200μs以下の短パルスとし、高電圧パルス幅は0.2μs以上50μs以下の短パルスとすることが望ましい。前記高周波パルスの印加後10μs以上300μs以下経過した後に高電圧パルスを印加する。
前記表面調整プロセスに用いるガスとしては、アルゴンとメタン、または更に水素を含む混合ガスが用いられる。
炭素含有領域を形成する場合、パルスプラズマイオン注入用ガスとしては、メタン、トルエン、およびヘキサメチルジシロキサンからなる群より選ばれる1種以上のガスが好適に用いられる。
一方、後述の炭素層を成膜する成膜用ガスとしては、メタン、アセチレン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ベンゼン、クロルベンゼン、およびトルエンからなる群より選ばれる1種以上のガスが用いられる。
尚、高パルス印加電極によって基材の表面近傍に遊離された少なくともSiイオンとCイオンを含むプラズマイオンを、例えば5keV以上30keV以下の運動エネルギーに励起させた状態で基材へ注入させることで、処理温度を50℃以上100℃以下の範囲に抑制しつつ、基材内部に炭素含有領域を形成し得る。
尚、炭素含有領域の浸透を高めるためガス圧を高くし(0.5Pa以上2Pa以下の範囲が好ましい)、高電圧パルスの繰り返し数を可能な限り高くする(2000pps以上10000pps以下の範囲が好ましい)ことが好ましい。
また、炭素含有領域中には、sp3結合を有するC原子に加えて、更にN原子、F原子、およびSi成分等を成分として含んでいてもよい。
N原子を含むことにより、摺擦部材において摩擦帯電による粉体の固着が抑制される。また、F原子を含むことにより、摺擦部材における摺擦部分の離型性が向上され粉体の固着が抑制される。
尚、N原子を含有させる際に用いる注入用ガスとしては、例えばアルゴン、水素、酸素と、アンモニアガスを混合させたガス等が挙げられる。
また、F原子を含有させる際に用いる注入用ガスとしては、例えばヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とアセチレン(C)、フッ化炭素(C)を流量比1:1:0.1の割合で混合したガス等が挙げられる。
Siを含有させる際に用いるガスとしては、例えばヘキサメチルジシロキサンのガス等が挙げられる。
・厚み
前記炭素含有領域のイオン注入側からの厚みとしては、0.1μm以上50μm以下が好ましい。
炭素含有領域の厚みが0.1μm以上であることにより、求められる低摺動性を得るとの点で好ましく、一方厚みが5.0μm以下であることにより、炭素含有領域の樹脂(ゴム)としての靭性(粘弾性)が維持されることによる異物衝突時の破損防止との点で好ましい。
尚、炭素含有領域の厚みは、例えば前述のイオン注入の際における、印加電圧、カレント電流、繰返しパルス数、パルス幅、ディレータイム等の調整によって制御される。
−第2の態様−
第2の態様は、前記(B)の要件を満たし且つ前記(b)に記載の前記濃度変化領域を少なくとも炭素含有領域が有する摺擦部材である。第2の態様に係る摺擦部材は、図5に示すごとく、板状形状の基材4Cを有し、且つsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域5Cを有する。炭素含有領域5Cは被接触部材31との接触側に形成される。また、炭素含有領域5Cの被接触部材31との接触部に最も近い部分を含む表面に炭素層6Cを備える。炭素層6Cは、sp3結合を有する炭素が炭素含有領域5Cの表面に蒸着され積層されて形成される。この炭素層6Cの一部である角部3Aが被接触部材31との接触部を構成する。
炭素含有領域5Cは、図5においてグラデーションを持って描かれているように、sp3結合を有する炭素の濃度が、前記接触部(角部3A)に最も近い部分を頂点として該部分から離れる方向に向かって連続的に変化する濃度変化領域である。尚、この濃度変化領域では前記接触部(角部3A)に近い側ほど前記濃度が高くなる。
・濃度変化領域における面(X)方向および面(Y)方向の濃度の変化度合い
図5に示される摺擦部材では、前記接触部(角部3A)に最も近い部分を頂点として該部分から離れる方向に向かって前記濃度が連続的に変化している。
即ち、板状の基材4Cにおいて先端面3B側の面と腹面3C側の面(仮に面(X)および面(Y)とする)の2つの面が接する角(エッジ部分)が、炭素含有領域5Cと炭素層6Cとの接触界面のうち接触部(角部3A)に最も近い部分を構成する。そして、炭素含有領域5Cが有する濃度変化領域において、前記エッジ部分における前記濃度が該エッジ部分から面(X)方向に1mmの位置での前記濃度より高く、且つ面(Y)方向に1mmの位置での前記濃度より高い構成である。
そして図5に示される摺擦部材では、面(X)方向に1mmの位置までの前記濃度の変化度合いと、面(Y)方向に1mmの位置までの前記濃度の変化度合いと、が同程度となるよう制御されている。
前記エッジ部分から面(X)方向に1mmの位置までの前記濃度の変化度合いと、面(Y)方向に1mmの位置までの前記濃度の変化度合いと、が大きく異なり、一方の濃度の変化度合いのみが大きいことは、つまり被接触部材に接触して摺動される部分である前記エッジ部分を挟んで一方の面側は変形能が大きく、対して他方の面側は変形能が小さい状態となる。これに対し、上記の要件を満たす本態様では、エッジ部分を挟んで一方の面側の変形能と他方の面側の変形能との差が小さく制御される。両面の変形能に大きな差があると摺動の負荷によってエッジ部分から裂けが生じる場合があり、本態様を満たすことにより、このエッジ部分での裂けの発生が抑制される。
・変形例
尚、炭素含有領域5Cでの前記濃度の変化は、図5では連続的に変化する態様として示されているが、当然段階的に変化する態様であってもよい。
また、炭素含有領域5Cにおいて前記濃度が変化する方向は、図5では前記接触部(角部3A)に最も近い部分を頂点として該部分から離れる方向に向かって変化する態様として示されているが、一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ接触部に近い側ほど前記濃度が高くなるとの構成を満たす限りこれに限定されない。前記濃度が変化する方向の他の例としては、例えば図6に示す態様が挙げられる。
図6に示す摺擦部材は、板状形状の基材4Dを有し、且つsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域5Dを有する。炭素含有領域5Dは被接触部材31との接触側に形成され、また炭素含有領域5Dの被接触部材31との接触部に最も近い部分を含む表面に炭素層6Dを備える。炭素層6Dは、sp3結合を有する炭素が炭素含有領域5Dの表面に蒸着され積層されて形成される。この炭素層6Dの一部である角部3Aが被接触部材31との接触部を構成する。
炭素含有領域5Dは、図6においてグラデーションを持って描かれているように、sp3結合を有する炭素の濃度が、前記先端面3B側を頂点として該先端面3Bから離れる方向に向かって連続的に変化する濃度変化領域である。尚、この濃度変化領域では前記接触部に近い側、つまり先端面3Bに近い側ほど前記濃度が高くなる。
ここで、第2の態様の摺擦部材における、各部の構成について説明する。
(基材)
第2の態様の摺擦部材においても、基材(炭素含有領域が形成される前の基材)としては前記第1の態様において列挙したものがそのまま好適に用いられる。
(炭素含有領域および炭素層)
第2の態様における基材は、被接触部材との接触側にsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を有する。炭素含有領域の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば基材に対し直接プラズマイオンを注入することで基材内部にsp3結合を有する炭素原子を浸透させる方法が挙げられる。
また、第2の態様に係る摺擦部材は、前記炭素含有領域の更に被接触部材との接触側表面に、sp3結合を有する炭素を含む炭素層を備える。炭素層の形成方法としても、特に限定されるものではないが、上記の直接プラズマイオンを注入する方法によって炭素含有領域を形成する際、イオン注入の時間を調整することで前記炭素含有領域の外側にまでsp3結合を有する炭素を積層させる方法が挙げられる。
尚、第2の態様に係る摺擦部材は、炭素含有領域中にsp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する。この濃度変化領域を形成し得る方法としては、特に限定されるものではないが、前記第1の態様において説明した方法がそのまま好適に用いられる。
・パルスプラズマイオン注入法による炭素含有領域の形成、および炭素層の成膜
濃度変化領域を有する炭素含有領域および炭素層を形成し得る、パルスプラズマイオン注入法について説明する。
パルスプラズマイオン注入法においては、少なくとも1以上のイオン注入用ガスを用いて、パルスプラズマによるイオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、基材の被接触部材との接触側に炭素含有領域を形成し、さらに該炭素含有領域の被接触部材との接触側表面に炭素層を成膜する。また、上記の複合プロセスの前にパルスプラズマによる表面調整プロセスを設けてもよい。
尚、前記第1の態様においても説明した通り、パルスプラズマイオン注入法では、プラズマを発生させる際に印加する電圧の大きさ、基材に対してイオン注入させる方向等を調整することで、求められる濃度変化領域を有する炭素含有領域を形成し得る。
尚、こうして形成される炭素含有領域では、基材中の樹脂の種類を選択することによって該樹脂とsp3結合を有する炭素とが結合され、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)層が形成される。また、上記方法で形成される炭素層も、sp3結合を有する炭素が積層されてDLC層が形成される。
ここで、より具体的な形成方法について説明する。
プラズマ発生用高周波電源と、高電圧パルス発生用電源とを、共通のフィードスルーを介してチャンバー内の基材に接続しておき、前記プラズマ発生用高周波電源から基材に高周波パルス(パルスRF電圧)を印加して基材の外形に沿って周囲にプラズマを発生させる。そして、そのプラズマ中またはアフターグロープラズマ中に、高電圧パルス発生用電源から基材に負の高電圧パルス(DCパルス電圧)を少なくとも1回印加し、これら高周波パルスの印加と負の高電圧パルスの印加とを繰り返し行う。尚、この高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加との繰り返し数は、100回/秒以上5000回/秒以下の範囲が好ましい。sp3結合を有する炭素原子が基材中に浸透する距離(ピーク位置)の調整は、前記第1の態様において説明した通りである。
高周波パルス幅は2μs以上200μs以下の短パルスとし、高電圧パルス幅は0.2μs以上50μs以下の短パルスとすることが望ましい。前記高周波パルスの印加後10μs以上300μs以下経過した後に高電圧パルスを印加する。
前記表面調整プロセスに用いるガスとしては、アルゴンとメタン、または更に水素を含む混合ガスが用いられる。
炭素含有領域を形成する場合、パルスプラズマイオン注入用ガスとしては、メタンガスが好適に用いられる。
炭素層を成膜する場合、パルスプラズマイオン注入用ガスとしては、メタンガスが好適に用いられる。成膜用ガスとしては、アセチレン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ベンゼン、クロルベンゼン、およびトルエンからなる群より選ばれる1種以上のガスが用いられる。
尚、高パルス印加電極によって基材の表面近傍に遊離された少なくともSiイオンとCイオンを含むプラズマイオンを、例えば5keV以上30keV以下の運動エネルギーに励起させた状態で基材へ注入させることで、処理温度を50℃以上100℃以下の範囲に抑制しつつ、基材内部に炭素含有領域を形成し得る。また、炭素含有領域の表面に0.2μm以上1.0μm以下の範囲で炭素層を堆積し得る。
また、炭素含有領域および炭素層中には、sp3結合を有するC原子に加えて、更にN原子、F原子、Si成分等を成分として含んでいてもよい。
N原子を含むことにより、摺擦部材において摩擦帯電による粉体の固着が抑制される。また、F原子を含むことにより、摺擦部材における摺擦部分の離型性が向上され粉体の固着が抑制される。
尚、N原子を含有させる際に用いる注入用ガスとしては、例えばアルゴン、水素、酸素と、アンモニアガスを混合させたガス等が挙げられる。
また、F原子を含有させる際に用いる注入用ガスとしては、例えばヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とアセチレン(C)、フッ化炭素(C)を流量比1:1:0.1の割合で混合したガス等が挙げられる。
Siを含有させる際に用いるガスとしては、例えばヘキサメチルジシロキサンのガス等が挙げられる。
・厚み
前記炭素含有領域の厚みとしては、前記第1の態様において記載した範囲がそのまま好適に用いられる。
前記炭素層の厚みとしては、0nm以上500nm以下が好ましく、更には10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が更に好ましい。
炭素含有領域の厚みが500nm以下であることにより、炭素層の剥がれが発生した場合であっても発生した剥離片が小さいため、接触する被接触部材への剥離片による傷付きが抑制されるとの点で好ましい。
尚、炭素層の厚みは、例えばイオン注入の時間の調整によって制御される。
−第3の態様−
第3の態様は、前記(B)の要件を満たし且つ前記(b)に記載の前記濃度変化領域を少なくとも炭素層が有する摺擦部材である。第3の態様に係る摺擦部材は、図7に示すごとく、板状形状の基材4Eを有し、且つsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域5Eを有する。炭素含有領域5Eは被接触部材31との接触側に形成される。また、炭素含有領域5Eの被接触部材31との接触部に最も近い部分を含む表面に炭素層6Eを備える。炭素層6Eは、sp3結合を有する炭素が炭素含有領域5Eの表面に蒸着され積層されて形成される。この炭素層6Eの一部である角部3Aが被接触部材31との接触部を構成する。
炭素層6Eは、図7に示す通りsp3結合を有する炭素の濃度が、他の炭素層の部分より低い層6Eaと、該層6Eaよりも前記濃度が高い層6Ebと、該層6Ebよりも前記濃度が高い層6Ecと、を有している。つまり炭素層6Eでは、濃度変化領域が炭素含有領域5Eと炭素層6Eとの接触界面全面を含んでおり、該接触界面に近い側に向かって段階的に前記濃度が低くなる構成となっている。そして、この濃度変化領域では被接触部材31との接触部(角部3A)に近い側ほど前記濃度が高くなる。
炭素層6Eが有する濃度変化領域において、炭素含有領域5Eと炭素層6Eとの接触界面側の全面がより前記濃度が低い層6Eaで構成されることで、炭素層6Eと炭素含有領域5Eとの変形能の差をより効果的に縮められる。その結果、摺動の繰り返しによる炭素層の剥離がより抑制され、被接触部材との摺動を繰り返した後にも摺動姿勢の変化がより抑制される。
・変形例
尚、炭素層6Eでの前記濃度の変化は、図7では層6Ea、層6Eb、層6Ecと段階的に変化する態様として示されているが、当然連続的に変化する態様であってもよい。
ここで、第3の態様の摺擦部材における、各部の構成について説明する。
(基材)
第3の態様の摺擦部材においても、基材(炭素含有領域が形成される前の基材)としては前記第1の態様において列挙したものがそのまま好適に用いられる。
(炭素含有領域および炭素層)
第3の態様における基材は、被接触部材との接触側にsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を有する。炭素含有領域の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば基材に対し直接プラズマイオンを注入することで基材内部にsp3結合を有する炭素原子を浸透させる方法が挙げられる。
また、第3の態様に係る摺擦部材は、前記炭素含有領域の更に被接触部材との接触側表面に、sp3結合を有する炭素を含む炭素層を備える。炭素層の形成方法としても、特に限定されるものではないが、上記の直接プラズマイオンを注入する方法によって炭素含有領域を形成する際、イオン注入の時間を調整することで前記炭素含有領域の外側にまでsp3結合を有する炭素を積層させる方法が挙げられる。
尚、第3の態様に係る摺擦部材は、炭素層中にsp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する。この炭素層に濃度変化領域を形成し得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下のパルスプラズマイオン注入法が挙げられる。
・パルスプラズマイオン注入法による炭素含有領域の形成、および炭素層の成膜
濃度変化領域を有する炭素含有領域および炭素層を形成し得る、パルスプラズマイオン注入法について説明する。
パルスプラズマイオン注入法においては、少なくとも1以上のイオン注入用ガスを用いて、パルスプラズマによるイオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、基材の被接触部材との接触側に炭素含有領域を形成し、さらに該炭素含有領域の被接触部材との接触側表面に炭素層を成膜する。また、上記の複合プロセスの前にパルスプラズマによる表面調整プロセスを設けてもよい。
尚、パルスプラズマイオン注入法では、炭素層を成膜する際に成膜用のガスを段階的または連続的に変更することで、炭素層中に含まれる水素原子等の他の原子(sp3結合を有する炭素以外の原子)の含有量を調整し得る。つまり、炭素層成膜時の成膜用ガスの種類やガスの混合比等を段階的または連続的に変更して、水素原子等の他の原子が炭素層中に含まれる含有量を段階的または連続的に変更することにより、sp3結合を有する炭素の濃度勾配が形成され、第3の態様における濃度変化領域を有する炭素層を形成し得る。
例えば、図7に示す摺擦部材の場合であれば、角部3A側からイオン注入を行い、且つ炭素層の成膜時に用いる成膜用のガスとして2種以上のガスを用い、このガスの混合比を段階的に変更することで、sp3結合を有する炭素の濃度が異なる層6Ea、層6Eb、層6Ecが形成される。
尚、こうして形成される炭素含有領域では、基材中の樹脂の種類を選択することによって該樹脂とsp3結合を有する炭素とが結合され、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)層が形成される。また、上記方法で形成される炭素層も、sp3結合を有する炭素が積層されて炭素層が形成される。
ここで、より具体的な形成方法について説明する。
プラズマ発生用高周波電源と、高電圧パルス発生用電源とを、共通のフィードスルーを介してチャンバー内の基材に接続しておき、前記プラズマ発生用高周波電源から基材に高周波パルス(パルスRF電圧)を印加して基材の外形に沿って周囲にプラズマを発生させる。そして、そのプラズマ中またはアフターグロープラズマ中に、高電圧パルス発生用電源から基材に負の高電圧パルス(DCパルス電圧)を少なくとも1回印加し、これら高周波パルスの印加と負の高電圧パルスの印加とを繰り返し行う。尚、この高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加との繰り返し数は、100回/秒以上5000回/秒以下の範囲が好ましい。
sp3結合を有する炭素原子の、炭素層中での濃度の調整は、前記の通り成膜用ガスの種類やガスの混合比等を段階的または連続的に変更することで行われる。
高周波パルス幅は2μs以上200μs以下の短パルスとし、高電圧パルス幅は0.2μs以上50μs以下の短パルスとすることが望ましい。前記高周波パルスの印加後10μs以上300μs以下経過した後に高電圧パルスを印加する。
前記表面調整プロセスに用いるガスとしては、アルゴンとメタン、または更に水素を含む混合ガスが用いられる。
炭素含有領域を形成する場合、パルスプラズマイオン注入用ガスとしては、メタンガスが好適に用いられる。
炭素層を成膜する場合、パルスプラズマイオン注入用ガスとしては、メタンガス、トルエンガス、ヘキサメチルジシロキサンガスの混合が好適に用いられる。成膜用ガスとしては、メタン、アセチレン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ベンゼン、クロルベンゼン、トルエンからなる群より選ばれる1種以上のガスが用いられる。
尚、炭素層中に含まれる他の原子(水素原子等)の量は、例えばトルエンが多くなり、アセチレンがトルエンよりも少なく、更にメタンがトルエンよりも少なくなる。従って、例えばトルエンとメタンとを成膜用の混合ガスとして用いる場合であれば、炭素層の成膜時の初期にはトルエンの混合比を多くしておき、その後メタンの混合比を段階的または連続的に増やすことで、含まれる水素原子の量が成膜方向に向かって次第に少なくなる炭素層が形成される。
尚、高パルス印加電極によって基材の表面近傍に遊離された少なくともSiイオンとCイオンを含むプラズマイオンを、例えば5keV以上30keV以下の運動エネルギーに励起させた状態で基材へ注入させることで、処理温度を50℃以上100℃以下の範囲に抑制しつつ、基材内部に炭素含有領域を形成し得る。また、炭素含有領域の表面に0.2μm以上1.0μm以下の範囲でDLC層、つまり炭素層を堆積し得る。
また、炭素含有領域および炭素層中には、sp3結合を有するC原子やSi成分に加えて、更にN原子、F原子を成分として含んでいてもよい。
N原子を含むことにより、摺擦部材において摩擦帯電による粉体の固着が抑制される。また、F原子を含むことにより、摺擦部材における摺擦部分の離型性が向上され粉体の固着が抑制される。
尚、N原子を含有させる際に用いる注入用ガスとしては、例えばアルゴン、水素、酸素と、アンモニアガスを混合させたガス等が挙げられる。
また、F原子を含有させる際に用いる注入用ガスとしては、例えばヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とアセチレン(C)、フッ化炭素(C)を流量比1:1:0.1の割合で混合したガス等が挙げられる。
Siを含有させる際に用いるガスとしては、例えばヘキサメチルジシロキサンのガス等が挙げられる。
・厚み
前記炭素含有領域の厚み、および炭素層の厚みとしては、前記第2の態様において記載した範囲がそのまま好適に用いられる。
−第4の態様−
第4の態様は、前記(B)および(b)の要件を満たし、前記(b)に記載の前記濃度変化領域を炭素含有領域および炭素層の少なくとも一方に有する摺擦部材である。そして、炭素層が、被接触部材との接触部を含み且つ炭素含有領域と炭素層との接触界面を含まない一部の領域に、該炭素層中の他の領域よりも硬度が低い低硬度領域を有する。
第4の態様に係る摺擦部材は、図8に示すごとく、板状形状の基材4Fを有し、且つsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域5Fを有する。炭素含有領域5Fは被接触部材31との接触側に形成される。また、炭素含有領域5Fの被接触部材31との接触部に最も近い部分を含む表面に炭素層6Fを備える。炭素層6Fは、sp3結合を有する炭素が炭素含有領域5Fの表面に蒸着され積層されて形成される。この炭素層6Fの一部である角部3Aが被接触部材31との接触部を構成する。
炭素層6Fは、図8に示す通りsp3結合を有する炭素の濃度が、より低い層6Faと、該層6Faよりも前記濃度が高い層6Fbと、を有し濃度変化領域を形成している。つまり炭素層6Fの濃度変化領域である層6Faおよび層6Fbは、炭素含有領域5Fと炭素層6Fとの接触界面全面を含んでおり、該接触界面に近い側に向かって段階的に前記濃度が低くなる構成となっている。そして、この濃度変化領域では被接触部材31との接触部(角部3A)に近い側ほど前記濃度が高くなる。
そしてこの炭素層6Fでは、更に被接触部材との接触部を含む側、つまり炭素層6Fの基材から離れる側に、該炭素層6Fの他の領域よりも硬度が低い低硬度層7を有する。
炭素層は、sp3結合を有する炭素が蒸着され積層された層であり、通常は靱性が高くない。そのため、被接触部材と摺動する際にこの被接触部材の表面に例えば鉄粉等の異物が存在した場合に、この異物との衝突により、微細な亀裂が生じることがある。
これに対し第4の態様では、被接触部材との接触部を含む領域に低硬度領域(低硬度層7)を有しており、この低硬度領域が炭素層の他の領域に比べて靱性に優れることから、鉄粉等の異物との衝突に対しても、微細な亀裂の発生を抑制し得る。
・変形例
尚、図8では、炭素層6F中に濃度変化領域として前記濃度が段階的に変化する層6Faおよび層6Fbを有する態様を示したが、当然前記濃度が連続的に変化する態様であってもよい。また、濃度変化領域は炭素層6Fではなく炭素含有領域5Fに有していてもよく、両方に有していてもよい。
(炭素層における低硬度領域の形成)
sp3結合を有する炭素が蒸着され積層された層である炭素層において、より硬度が低い低硬度層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えばSi、F、およびCrからなる群より選択される少なくとも1種を含有させ、且つこれらの量を調整することで低硬度層を得る方法が挙げられる。
尚、炭素層の低硬度層(低硬度領域)中にSi、Fを含有させる方法は、第2の態様および第3の態様で説明した通りである。
・厚み
前記低硬度層(低硬度領域)の厚みとしては、10nm以上1000nm以下が好ましい。低硬度層(低硬度領域)の厚みが上記範囲であることにより、異物の衝突による微小な亀裂の発生をより抑制し得る。
−第5の態様−
第5の態様は、前記(B)および(b)の要件を満たし、前記(b)に記載の前記濃度変化領域を炭素含有領域および炭素層の少なくとも一方に有する摺擦部材である。そして、炭素含有領域と炭素層との接触界面のうち被接触部材との接触部に最も近い部分(角部)に接する面(X)および面(Y)の2つの面を有し、この面(X)および面(Y)の両方に接する2つの面(Z1)および(Z2)が、前記角部に接する箇所を含む少なくとも一部の領域の表面に、更に炭素層を備える。
ここで、図を用いて第5の態様を説明する。尚、図9は図3乃至図8とは向きが異なり、先端面3Bと背面3Dと側面3Eとを眺める斜め方向からの斜視図である。
第5の態様に係る摺擦部材は、図9に示すごとく、板状形状の基材4Gを有し、且つsp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域(不図示)を有する。炭素含有領域は被接触部材との接触側(つまり角部3A側)に形成される。また、炭素含有領域の被接触部材との接触部に最も近い部分を含む表面に炭素層6Gを備える。炭素層6Gは、sp3結合を有する炭素が炭素含有領域の表面に蒸着され積層されて形成される。この炭素層6Gの一部である角部3Aが被接触部材との接触部を構成する。
炭素層6Gは、図9に示す通りsp3結合を有する炭素の濃度が、より低い層6Gaと、該層6Gaよりも前記濃度が高い層6Gbと、該層6Gbよりも前記濃度が高い層6Gcと、を有し濃度変化領域を形成している。つまり炭素層6Gの濃度変化領域である層6Ga乃至層6Gcは、炭素含有領域と炭素層6Gとの接触界面全面を含んでおり、該接触界面に近い側に向かって段階的に前記濃度が低くなる構成となっている。そして、この濃度変化領域では被接触部材との接触部(角部3A)に近い側ほど前記濃度が高くなる。
更に、この炭素層6Gは、側面3E側にわたって連続して形成されており、つまり側面3Eの被接触部材との接触部である角部3Aに接する箇所を含む少なくとも一部の領域にも、炭素層6Gを備える。
側面3Eの角部3Aに接する箇所を含む少なくとも一部の領域にも、炭素層6Gを備えることで、側面3Eに炭素層を有しない場合に比べ、摺擦部材の両端部(側面3E側部分)のへたり(永久歪)が抑制され、摺動を繰り返した後において摺擦部材の両端部が被接触部材から離れてしまう現象、つまり端部のめくれが抑制される。
・変形例
尚、図9では、炭素層6G中に濃度変化領域として前記濃度が段階的に変化する層6Ga乃至層6Gcを有する態様を示したが、当然前記濃度が連続的に変化する態様であってもよい。また、濃度変化領域は炭素層6Gではなく炭素含有領域に有していてもよく、その場合には炭素層6G自体は濃度変化領域を有していない態様であってもよい。また、濃度変化領域を炭素層6Gおよび炭素含有領域の両方に有していてもよい。
(側面3Eにおける炭素層の形成)
側面3Eに炭素層6Gを形成しない場合には、側面3Eを型等のカバーで覆った状態で蒸着を行い炭素層を形成する。対して、側面3Eに炭素層6Gを有する第5の態様の摺擦部材を形成するには、側面3Eの炭素層6Gを形成したい箇所において、蒸着の際に表面とカバーとの間に隙間を設け、側面3Eにも炭素層6Gが積層するよう調整することで行い得る。
・用途
本実施形態の摺擦部材は、例えばクリーニングブレードとして好適に用いられる。該クリーニングブレードによるクリーニングの対象となる被クリーニング部材としては、表面のクリーニングが要求される部材であれば特に限定されず、例えば、像保持体(感光体)、中間転写体、帯電ロール、転写ロール、被転写材搬送ベルト、用紙搬送ロール、像保持体からトナーを除去するクリーニングブラシからさらにトナーを除去するデトーニングロール等が挙げられる。
また、本実施形態の摺擦部材は、クリーニングブレード以外にも、画像形成装置において他の部材に接触するよう配置されて摺擦される態様であれば、特に限定されずあらゆる部材に用い得る。例えば、摺擦部材の他の用途としては、回転ローラー表面、記録媒体搬送路表面、気密パッキン表面、摺擦パッド表面、シート等が挙げられる。
(クリーニング装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置)
次に、本実施形態の摺擦部材をクリーニングブレードとして用いたクリーニング装置、プロセスカートリッジ、および、画像形成装置について説明する。
本実施形態のクリーニング装置は、被クリーニング部材表面に接触し、被クリーニング部材表面をクリーニングするクリーニングブレードとして、本実施形態の摺擦部材を備えたものであれば特に限定されない。例えば、クリーニング装置の構成例としては、被クリーニング部材側に開口部を有するクリーニングケース内に、エッジ先端が開口部側となるようクリーニングブレードを固定すると共に、クリーニングブレードにより被クリーニング部材表面から回収された廃トナー等の異物を異物回収容器に導く搬送部材を備えた構成などが挙げられる。また、本実施形態のクリーニング装置には、本実施形態のクリーニングブレードが2つ以上用いられていてもよい。
なお、本実施形態のクリーニングブレードを中間転写ベルト等の中間転写体のクリーニングに利用する場合、クリーニングブレードが中間転写体に押し当てられる力NF(Normal Force)は1.2gf/mm以上3.0gf/mm以下の範囲であることが望ましく、1.6gf/mm以上2.5gf/mm以下の範囲であることがより望ましい。
また、クリーニングブレード先端部が中間転写体に食込む長さが0.6mm以上2.0mm以下の範囲であることが望ましく、0.9mm以上1.4mm以下の範囲であることがより望ましい。
クリーニングブレードと中間転写体との接触部における角度W/A(Working Angle)は8°以上14°以下の範囲であることが望ましく、10°以上12°以下の範囲であることがより望ましい。
一方、本実施形態のプロセスカートリッジは、像保持体や中間転写体等の1つ以上の被クリーニング部材表面に接触し、被クリーニング部材表面をクリーニングするクリーニング装置として、本実施形態のクリーニング装置を備えたものであれば特に限定されず、例えば、中間転写体と、この中間転写体表面をクリーニングする本実施形態のクリーニング装置とを含み、画像形成装置に対して脱着自在な態様等が挙げられる。加えて、本実施形態のクリーニング装置の他に、クリーニングブラシ等を併用してもよい。
−画像形成装置、クリーニング装置の具体例−
次に、本実施形態のクリーニングブレード、並びに、これを用いた画像形成装置およびクリーニング装置の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図10は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、いわゆるタンデム型の画像形成装置について示したものである。
図10中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像ユニット、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は感光体ドラム、33は各現像ユニット、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。
図10に示すタンデム型画像形成装置は、本体ハウジング21内に四つの色(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の作像ユニット22(具体的には22a乃至22d)を配列し、その上方には各作像ユニット22の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト230が含まれるベルトモジュール23を配設する一方、本体ハウジング21の下方には用紙等の記録媒体(図示せず)が収容される記録媒体供給カセット24を配設すると共に、この記録媒体供給カセット24からの記録媒体の搬送路となる記録媒体搬送路25を垂直方向に配置したものである。
本実施の形態において、各作像ユニット22(22a乃至22d)は、中間転写ベルト230の循環方向上流側から順に、例えばイエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、各感光体ユニット30と、各現像ユニット33と、共通する一つの露光ユニット40とを備えている。
ここで、感光体ユニット30は、例えば感光体ドラム31と、この感光体ドラム31を予め帯電する帯電装置(帯電ロール)32と、感光体ドラム31上の残留トナーを除去するクリーニング装置34とを一体的にサブカートリッジ化したものである。
また、現像ユニット33は、帯電された感光体ドラム31上に露光ユニット40にて露光形成された静電潜像を対応する色トナー(本実施の形態では例えば負極性)で現像するものであり、例えば感光体ユニット30からなるサブカートリッジと一体化されてプロセスカートリッジ(所謂Customer Replaceable Unit)を構成している。
尚、感光体ユニット30を現像ユニット33から切り離して単独のプロセスカートリッジとしてもよいことは勿論である。また、図10中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
一方、露光ユニット40は、ユニットケース41内に例えば四つの半導体レーザ(図示せず)、一つのポリゴンミラー42、結像レンズ(図示せず)および各感光体ユニット30に対応するそれぞれミラー(図示せず)を格納し、各色成分毎の半導体レーザからの光をポリゴンミラー42で偏向走査し、結像レンズ、ミラーを介して対応する感光体ドラム31上の露光ポイントに光像を導くよう配置したものである。
また、本実施の形態において、ベルトモジュール23は、例えば一対の支持ロール(一方が駆動ロール)231,232間に中間転写ベルト230を掛け渡したものであり、各感光体ユニット30の感光体ドラム31に対応した中間転写ベルト230の裏面には一次転写装置(本例では一次転写ロール)51が配設され、この一次転写装置51にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、感光体ドラム31上のトナー像を中間転写ベルト230側に静電的に転写する。更に、中間転写ベルト230の最下流作像ユニット22dの下流側の支持ロール232に対応した部位には二次転写装置52が配設されており、中間転写ベルト230上の一次転写像を記録媒体に二次転写(一括転写)する。
本実施の形態では、二次転写装置52は、中間転写ベルト230のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール521と、中間転写ベルト230の裏面側に配置されて二次転写ロール521の対向電極をなす背面ロール(本例では支持ロール232を兼用)とを備えている。そして、例えば二次転写ロール521が接地されており、また、背面ロール(支持ロール232)にはトナーの帯電極性と同極性のバイアスが印加されている。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像ユニット22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。尚、ベルトクリーニング装置53で用いられるクリーニングブレード531として、本実施形態のクリーニングブレードが用いられている。
また、記録媒体供給カセット24には記録媒体を送り出す送出しロール61が設けられ、この送出しロール61の直後には記録媒体を送出する搬送ロール62が配設されると共に、二次転写部位の直前に位置する記録媒体搬送路25には記録媒体を定められたタイミングで二次転写部位へ供給するレジストレーションロール(位置合わせロール)63が配設されている。一方、二次転写部位の下流側に位置する記録媒体搬送路25には定着装置66が設けられ、この定着装置66の下流側には記録媒体排出用の排出ロール67が設けられており、本体ハウジング21の上部に形成された排紙部68に排出記録媒体が収容される。
更に、本実施の形態では、本体ハウジング21の側方には手差し供給装置(MSI)71が設けられており、この手差し供給装置71上の記録媒体は送出しロール72および搬送ロール62にて記録媒体搬送路25に向かって送出される。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を排出ロール67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
次に、図10に示すタンデム型画像形成装置内に配置されたクリーニング装置34について詳述する。
図11は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、図10中に示すクリーニング装置34と共にサブカートリッジ化された感光体ドラム31、帯電ロール32や、現像ユニット33も示した図である。
図11中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335はトリミング部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
クリーニング装置34は、残留トナーが収容され且つ感光体ドラム31に対向して開口するクリーニングケース341を有し、このクリーニングケース341の開口下縁には感光体ドラム31に接触配置されるクリーニングブレード342を図示外のブラケットを介して取り付ける一方、クリーニングケース341の開口上縁には感光体ドラム31との間が気密に保たれるフィルムシール344を取り付けたものである。尚、符号345はクリーニングケース341内に収容された廃トナーを側方の廃トナー容器に導く搬送部材である。
尚、本実施の形態では、各作像ユニット22(22a乃至22d)の全てのクリーニング装置34において、クリーニングブレード342として本実施形態のクリーニングブレードが用いられている。また、ベルトクリーニング装置53で用いられるクリーニングブレード531も本実施形態のクリーニングブレードが用いられている。
また、本実施の形態で用いられる現像ユニット(現像装置)33は、例えば図11に示すごとく、現像剤が収容され且つ感光体ドラム31に対向して開口するユニットケース331を有している。ここで、このユニットケース331の開口に面した箇所に現像ロール332が配設されると共に、ユニットケース331内には現像剤攪拌搬送のためのトナー搬送部材333が配設されている。更に、現像ロール332とトナー搬送部材333との間には搬送パドル334を配設してもよい。
現像に際しては、現像ロール332に現像剤を供給した後、例えばトリミング部材335にて現像剤を層厚規制した状態で、感光体ドラム31に対向する現像領域に搬送される。
本実施の形態では、現像ユニット33としては、例えばトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を使用するが、トナーのみからなる一成分現像剤を使用するものであっても差し支えない。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動を説明する。先ず、各作像ユニット22(22a乃至22d)が各色に対応した単色トナー像を形成すると、各色の単色トナー像は中間転写ベルト230表面に、元の原稿情報と一致するよう順次重ね合わせて一次転写される。続いて、中間転写ベルト230表面に転写されたカラートナー像は、二次転写装置52にて記録媒体表面に転写され、カラートナー像が転写された記録媒体は定着装置66による定着処理を経た後、排紙部68へと排出される。
一方、各作像ユニット22(22a乃至22d)において、感光体ドラム31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃され、また、中間転写ベルト230上の残留トナーはベルトクリーニング装置53にて清掃される。
こうした作像過程において、夫々の残留トナーはクリーニング装置34、ベルトクリーニング装置53によって清掃される。
なお、クリーニングブレード342は、図11に示されるごとくクリーニング装置34内のフレーム部材に直接固定するのではなく、バネ材を介して固定されてもよい。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において「部」は「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
−炭素含有領域を有さない基材の作製−
まず、ポリカプロラクトンポリオール(株式会社ダイセル製、プラクセル205、平均分子量529、水酸基価212KOHmg/g)と、ポリカプロラクトンポリオール(株式会社ダイセル製、プラクセル240、平均分子量4155、水酸基価27KOHmg/g)と、をポリオール成分のソフトセグメント材料として用いた。また、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂(綜研化学社製、アクトフローUMB−2005B)をハードセグメント材料として用い、上記ソフトセグメント材料およびハードセグメント材料を8:2(質量比)の割合で混合した。
次に、このソフトセグメント材料とハードセグメント材料との混合物100部に対して、イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMT)を6.26部加えて、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させた。尚、この反応で使用したイソシアネート化合物量は、反応系に含まれる水酸基に対するイソシアネート基の比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるよう選択したものである。
続いて、上記イソシアネート化合物を更に34.3部加え、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させて、プレポリマーを得た。尚、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56部であった。
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した。その後、プレポリマー100部に対して、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物(質量比=60/40)を7.14部加え、3分間泡を巻きこまないよう混合し、基材形成用組成物Aを調製した。
次いで、140℃に金型を調整した遠心成形機に上記基材形成用組成物Aを流し込み、1時間硬化反応させた。次いで、110℃で24時間熟成加熱し、冷却した後切断して、長さ320mm、幅12mm、厚さ2mmの基材Aを得た。
−炭素含有領域の形成および炭素層の成膜−
パルスプラズマイオン注入法により、前記基材Aの被接触部材との接触側にプラズマ化させた炭素イオンおよびケイ素イオンを注入することにより基材A内部に炭素−炭素結合を有する炭素および前記Si−C結合を有する炭化ケイ素が混在する炭素含有領域を形成し、且つ、その炭素含有領域の外側(被接触部材との接触表面)に炭素層を製膜した。以下に具体的なパルスプラズマイオン注入の方法を説明する。
基材Aに対し、チャンバー内をメタンガス、トルエンガス、ヘキサメチルジシロキサンガスで充填させ、高周波電極にてプラズマ化させた状態で高電圧パルス(15kV以上35kV以下)を印加することで、基材Aに主として炭素イオンおよびケイ素イオンをイオン注入した。これにより、炭素イオンおよびケイ素イオンがゴムからなる基材Aの炭素同士の結合または炭素と水素との結合を切り、ゴム中の炭素または水素と置換される。その結果、基材Aから少なくとも0.03μm以上の深さまで炭素イオン乃至ケイ素イオンが注入され、炭素−炭素間のsp2、sp3結合、および炭素−ケイ素間のSi−C結合を形成した。
次に、メタンガス、トルエンガス、アセチレンガス、水素ガス、ヘキサメチルジシロキサンガスを混合しプラズマ化させた混合ガス内において基材A本体に低電圧パルス(2kV以上5kV以下)を印加した。これにより、基材Aの炭素含有領域の表面にsp3結合を有する炭素層が形成された。更に、前記混合ガスの炭化水素ガス(メタンガス、トルエンガス、アセチレンガス)混合比率を定められた時間経過した後に段階的に高めることで、該炭素層内のsp3結合を有する炭素の濃度を該炭素含有領域と炭素層の界面から炭素層の表面に向かって段階的に高めた炭素層が形成された。
〔実施例2〕
実施例1における炭素層成膜の際の、メタンガス、トルエンガス、アセチレンガス、水素ガス、ヘキサメチルジシロキサンガスを混合しプラズマ化させた混合ガスを、メタンガス、トルエンガス、アセチレンガス、水素ガスを混合しプラズマ化させた混合ガスに変更した以外は、実施例1と同様にして炭素含有領域の形成および炭素層の成膜をおこなった。
〔実施例3〕
実施例1における炭素層成膜の際の、メタンガス、トルエンガス、アセチレンガス、水素ガス、ヘキサメチルジシロキサンガスを混合しプラズマ化させた混合ガスを、メタンガス、トルエンガス、アセチレンガスを混合しプラズマ化させた混合ガスに変更した以外は、実施例1と同様にして炭素含有領域の形成および炭素層の成膜をおこなった。
〔比較例1〕
実施例1における炭素含有領域を有しない基材Aを用いた。
<評価試験>
各実施例および比較例で得られた摺擦部材を、画像形成装置におけるクリーニングブレードとして使用した。
比較例1に比して実施例1乃至3は、摺擦部材をクリーニングブレードとして使用した際の摩耗が抑制された。
3A 接触角部、3B 先端面、3C 腹面、3D 背面、3E 側面、4A乃至4G 基材、5A乃至5F 炭素含有領域、6C乃至6G 炭素層、7 低硬度層、21 本体ハウジング、22、22a乃至22d 作像ユニット、23 ベルトモジュール、24 記録媒体供給カセット、25 記録媒体搬送路、30 感光体ユニット、31 感光体ドラム(像保持体)、32 帯電ロール、33 現像ユニット、34 クリーニング装置、35、35a乃至35d トナーカートリッジ、40 露光ユニット、41 ユニットケース、42 ポリゴンミラー、51 一次転写装置、52 二次転写装置、53 ベルトクリーニング装置、61 送出しロール、62 搬送ロール、63 位置合わせロール、66 定着装置、67 排出ロール、68 排紙部、71 手差し供給装置、72 送出しロール、73 両面記録用ユニット、74 案内ロール、76 搬送路、77 搬送ロール、230 中間転写ベルト、231、232 支持ロール、331 ユニットケース、332 現像ロール、333 トナー搬送部材、334 搬送パドル、335 トリミング部材、341 クリーニングケース、342 クリーニングブレード、344 フィルムシール、345 搬送部材、521 二次転写ロール、531 クリーニングブレード

Claims (11)

  1. 画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材であって、
    sp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を少なくとも前記被接触部材との接触側に有する基材を備え、且つ下記(B)(bおよび(b2)の要件を満たす画像形成用摺擦部材。
    (B)前記炭素含有領域の前記被接触部材との接触側表面に、sp3結合を有する炭素が前記炭素含有領域の表面に蒸着され積層された炭素層を備え、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する
    (b)前記炭素含有領域と前記炭素層との少なくとも一方が、前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面のうち前記接触部に最も近い部分を含む少なくとも一部の領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する
    (b2)前記炭素層が、前記接触部を含み且つ前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面を含まない一部の領域に、該炭素層中の他の領域よりも硬度が低い低硬度領域を有する
  2. 前記低硬度領域がSi、F、およびCrからなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項に記載の画像形成用摺擦部材。
  3. 画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材であって、
    sp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を少なくとも前記被接触部材との接触側に有する基材を備え、且つ下記(B)、(b1)および(b3)の要件を満たす画像形成用摺擦部材。
    (B)前記炭素含有領域の前記被接触部材との接触側表面に、sp3結合を有する炭素が前記炭素含有領域の表面に蒸着され積層された炭素層を備え、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する
    (b1)前記炭素含有領域と前記炭素層との少なくとも一方が、前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面のうち前記接触部に最も近い部分を含む少なくとも一部の領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する
    (b3)前記基材の形状が板状であり且つ前記板状の基材において面(X)および面(Y)の2つの面が接する角部が前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面のうち前記接触部に最も近い部分を構成し、前記面(X)および面(Y)の両方に接する2つの面(Z1)および(Z2)が、前記角部に接する箇所を含む少なくとも一部の領域の表面に、更に前記炭素層を備える
  4. 前記面(Z1)および(Z2)の表面における前記炭素層が、前記基材との接触界面全面を含む領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触界面から遠い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する請求項に記載の画像形成用摺擦部材。
  5. 画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置され、該被接触部材の表面をクリーニングするクリーニング部材である摺擦部材であって、
    sp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を少なくとも前記被接触部材との接触側に有する基材を備え、且つ下記(B)及び(b1)の要件を満たす画像形成用摺擦部材。
    (B)前記炭素含有領域の前記被接触部材との接触側表面に、sp3結合を有する炭素が前記炭素含有領域の表面に蒸着され積層された炭素層を備え、該炭素層が前記被接触部材との接触部を構成する
    (b1)前記炭素含有領域と前記炭素層との少なくとも一方が、前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面のうち前記接触部に最も近い部分を含む少なくとも一部の領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する
  6. 前記(B)の要件を満たし且つ前記(b)に記載の前記濃度変化領域を少なくとも前記炭素層が有し、
    前記濃度変化領域は前記炭素含有領域と前記炭素層との接触界面全面を含み、該接触界面に近い側ほど前記濃度が低くなる請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成用摺擦部材。
  7. 画像形成装置において被接触部材に接触しながら摺擦されるよう配置される摺擦部材であって、
    sp3結合を有する炭素を含む炭素含有領域を少なくとも前記被接触部材との接触側に有する基材を備え、且つ下記(A)および(a)の要件を満たす画像形成用摺擦部材。
    (A)前記炭素含有領域が前記被接触部材との接触部を構成する
    (a)前記炭素含有領域が、前記接触部を含む少なくとも一部の領域に、前記sp3結合を有する炭素の濃度が一方向に向かって段階的または連続的に変化し且つ前記一方向の前記接触部に近い側ほど前記濃度が高くなる濃度変化領域を有する
  8. 前記被接触部材に接触しながら、該被接触部材の表面をクリーニングするクリーニング部材である請求項1〜請求項4、請求項6及び請求項7のいずれか一項に記載の画像形成用摺擦部材。
  9. クリーニング部材として請求項5又は請求項8に記載の画像形成用摺擦部材を備えたクリーニング装置。
  10. 請求項に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
  11. 像保持体と、
    前記像保持体を帯電する帯電装置と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
    前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記像保持体上に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
    前記像保持体上に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、
    前記中間転写体上に転写された前記トナー像を記録媒体上に二次転写する二次転写装置と、
    前記二次転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記中間転写体の表面に、前記画像形成用摺擦部材を接触させてクリーニングする請求項に記載のクリーニング装置と、
    を備える画像形成装置。
JP2014229061A 2014-11-11 2014-11-11 画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 Active JP6503696B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014229061A JP6503696B2 (ja) 2014-11-11 2014-11-11 画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014229061A JP6503696B2 (ja) 2014-11-11 2014-11-11 画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016090974A JP2016090974A (ja) 2016-05-23
JP6503696B2 true JP6503696B2 (ja) 2019-04-24

Family

ID=56018001

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014229061A Active JP6503696B2 (ja) 2014-11-11 2014-11-11 画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6503696B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6922184B2 (ja) * 2016-10-26 2021-08-18 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 クリーニングブレード及び画像形成装置
JP6880652B2 (ja) * 2016-10-26 2021-06-02 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 転写装置及び画像形成装置
JP2018155877A (ja) * 2017-03-16 2018-10-04 コニカミノルタ株式会社 クリーニングブレード、画像形成装置および画像形成方法
JP7354566B2 (ja) * 2019-03-26 2023-10-03 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP7298232B2 (ja) * 2019-03-26 2023-06-27 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3547930B2 (ja) * 1997-02-13 2004-07-28 三洋電機株式会社 薄膜磁気ヘッド
JP2000335804A (ja) * 1999-05-25 2000-12-05 Canon Inc 剥離装置
US8649724B2 (en) * 2011-05-27 2014-02-11 Eastman Kodak Company Cleaning blade member and apparatus with controlled tribocharging

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016090974A (ja) 2016-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6503696B2 (ja) 画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
JP5880375B2 (ja) クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
KR101700717B1 (ko) 클리닝 블레이드, 클리닝 장치, 프로세스 카트리지, 및 화상 형성 장치
CN104035308B (zh) 清洁刮板、清洁装置、处理盒、以及图像形成设备
KR101675385B1 (ko) 클리닝 블레이드, 클리닝 장치, 프로세스 카트리지, 및 화상 형성 장치
CN105319926B (zh) 清洁刮板、处理盒、以及成像装置
US9405233B2 (en) Sliding member with a base material for contacting a member to be slid, process cartridge having the sliding member, and image forming apparatus having the sliding member
JP6135558B2 (ja) 画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
JP2020181151A (ja) クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
US9709946B2 (en) Cleaning blade, process cartridge, and image forming apparatus
JP7371464B2 (ja) クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2019061148A (ja) クリーニング部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6206241B2 (ja) クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
JP6398753B2 (ja) クリーニングブレード、クリーニングブレードの製造方法、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2014081446A (ja) クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170928

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181005

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190226

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190311

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6503696

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350